CPUソケット

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Socket T (または LGA775)
Socket A (または Socket 462)

CPUソケット、あるいはCPUスロットとは、

  1. CPUを物理的に保持し
  2. 電気的な接続を確立するための接点を持つ
電子部品である。

狭義のCPUソケット・スロット[編集]

2011年現在、ほとんどのデスクトップパソコンサーバコンピュータ、特にインテルx86アーキテクチャに基づくものは、ソケットでCPUを搭載している。

ほとんどのCPUソケットインタフェースはPin grid array (PGA) 構造を採用し、CPUパッケージ底面の短く硬いピンがソケットの穴に嵌る。ピンを曲げる危険性を低減するため、 Zero Insertion Force (ZIF) ソケットではほとんど抵抗なくCPUを挿入することができるようになっている。レバーを倒すことによりピンをしっかりと保持し、接点を確実に接触させることができる。

2007年現在、いくつかの現行のCPUと今後予定されているCPUの設計では、Land Grid Array (LGA) が使用されている。このパッケージではピンはソケットの側に存在する。ピンは、CPUパッケージ底面のパッド またはランドと接触する。

CPUスロット
1990年代後半に、多くのx86プロセッサはソケットではなくスロットに装着された。CPUスロットは拡張スロットに似た、シングルエッジのコネクタであり、そこにCPUを搭載したプリント基板であるCPUユニットを挿入した。スロット型のCPUパッケージは2つの利点があった。CPUユニットのプリント基板に集積回路を追加することによりL2キャッシュメモリを拡充できることと、CPUの挿入・抜却が容易になることである。しかし、スロット型のパッケージはCPUとチップセットの間の配線長が長くなり、その長いプリントパターンに分布する静電容量電気抵抗が、500 MHz を超えるクロックスピードにおいて無視できないインピーダンスとして顕在化し不適切なものとなった。CPUスロットは、AMDSocket AとインテルのSocket 370が導入されたことで使われることはなくなった。
名称の混同
例えば、LGA775パッケージを採用した(すなわち外形がLGA775である)CPUを接続するCPUソケットの正しい名称は Socket T であるが、しばしば LGA775 ソケット 、あるいは略して単に LGA775 と表記される。また LGA775 という語は、後述するとおりハードウェアプラットフォームの名称としても拡大使用されている。これらのことから、LGA775 とのみ表記されている場合はそれがCPUの形状を指すのかマザーボードの構成部品を指すのかコンピュータのハードウェア仕様を指すのか、文脈から判断しなければならない。

汎用品[編集]

これらはCPU専用として設計されたものではなく、既存の汎用品である。これら汎用品に合致するようCPUがパッケージされた。CPUと同時には設計されておらず、したがってプラットフォームとして扱われることは無い。そのため、電気的に互換性のない80808086が同じ形状のソケットを使用したり、他のLSIが他の目的に使用したりしている。また、ZIFソケットではないものが多く、引き抜く際に適切な工具が必要になる。

広義のCPUソケット・スロット[編集]

本節の配下では、広義(コンピュータのハードウェアプラットフォーム)のCPUソケットやCPUスロットについて一覧し解説を加える。

3桁の数字を含んでいる多くのソケット名は、CPUやソケットのピンの数を意味している。

インテルおよびその互換[編集]

インテル専用[編集]

デスクトップ[編集]

モバイル[編集]

サーバ[編集]

AMD[編集]

デスクトップ[編集]

  • Super Socket 7 - AMD K6-2, AMD K6-III; Rise mP6.
  • Slot A - AMD Athlon
  • Socket A(または "Socket 462" として知られている) - Athlon, Duron, Athlon XP, Athlon XP-M, Athlon MP, Sempron, Geode プロセッサをサポートする AMD のソケット(462 個の接点の PGA)。
  • Socket 754 - シングルチャネルのDDR SDRAMに対応したAMDのシングルプロセッサ用のソケット。Athlon 64, Sempron, Turion 64 プロセッサに対応する(754 個の接点の PGA)。このソケット以降はメモリコントローラがCPUに統合されているため、CPUソケットとメモリが直結されている。
  • Socket 939 - デュアルチャネルの DDR-SDRAM に対応した AMD のシングルプロセッサ用のソケット。Athlon 64, 1 GHz[12] までの Athlon 64 FX, 4800+ までの Athlon 64 X2, Opteron 100 シリーズのプロセッサに対応する(939 個の接点の PGA)。発売後、約 2 年で Socket AM2 に置き換えられた。
  • Socket AM2 - DDR2-SDRAM に対応した AMD のシングルプロセッサ用のソケット。Socket 754 と Socket 939[12] を置き換えた(940 個の接点の PGA であり、Socket AM2 とサーバプロセッサ用の "Socket 940" と混用することがある)。 Athlon 64, Athlon 64 X2, Athlon 64 FX, Opteronプロセッサに対応し、電源回路とBIOSの対応があれば、Phenom, PhenomII プロセッサにも対応できる。
  • Socket AM2+ - シングルプロセッサシステム用の AMD のソケット。DDR2 と電源回路の分離された HyperTransport 3 をサポートする。Socket AM2 を置き換えた(940 個の接点の PGA の Socket AM2 と電気的に互換性がある)。Athlon 64, Athlon 64 X2, Athlon 64 FX, Opteronプロセッサに対応し、電源回路とBIOSの対応があれば、Phenom, PhenomII プロセッサにも対応できる。
  • Socket AM3 - シンプルプロセッサシステム用のAMDのソケット。DDR3 と電源回路の分離された HyperTransport 3 をサポートする。DDR3-SDRAM をサポートすることで Socket AM2+ を置き換える(938 個の接点の PGA)。AM3版PhenomIIをサポートしているが、DDR3メモリコントローラを搭載していないAM2+版PhenomIIやPhenom以前のCPUは使用できない。
  • Socket FM1 - Fusion APU用のAMDのソケット。ノースブリッジの廃止やCPUソケットに映像出力が加わることで、従来とは別のソケットとされた。FM1を使用するのは最初のデスクトップ向けAPUであるLlanoとその派生であるFM1版Athlonのみで、次世代のTrinityからはSocket FM2に置き換えられた。
  • Socket FM2 - Fusion APU用のAMDのソケット。二世代目のデスクトップ向けAPUであるTrinityと三世代目のデスクトップAPUであるRichland用。

モバイル[編集]

  • Socket A - モバイルDuron,モバイルAthlon4,モバイル Athlon XP,Geode
  • Socket 563 - AMDの省電力モバイル Athlon XP-M(563 個の接点を持つ μ-PGA版Socket A。基板の面積を取らないため主にモバイル用として使用された)。
  • Socket 754
  • Socket S1 - DDR2-SDRAM に対応したモバイルプラットフォーム用の AMD のソケット。モバイルプロセッサ用の Socket 754 を置き換えた(638 個の接点の PGA)。
  • Socket FS1 - 将来の、CPU と GPU の機能を持ったノート PC 向けの Fusion プロセッサ用(コードネーム Swift)。DDR3-SDRAM をサポートする。2009年にリリースされる予定。

サーバ[編集]

  • Socket 940 - DDR-SDRAM に対応した AMD のシングル、およびマルチプロセッサ用のソケット。AMD Opteron[12](2xx と 8xx シリーズ), Athlon 64 FX プロセッサに対応する(940 個の接点の PGA)。
  • Socket A
  • Socket F(または "Socket 1207" として知られている) - DDR2-SDRAM をサポートした、AMD のマルチプロセッサ用のソケット。AMD Opteron[12](2xxx と 8xxx シリーズ)と Athlon 64 FX プロセッサに対応する。 Socket 940 を置き換え、部分的に Socket F+ と互換性がある(1207 個の接点の LGA)。
  • Socket F+ - 最高 2.6 GHz までの高速 HyperTransport をサポートする、AMD の将来のマルチプロセッサ用のソケット。Socket F を置き換えるが、Socket F 用のプロセッサを後方互換性としてサポートする。
  • プロジェクトコードネーム Fusion で開発されている将来のプロセッサは、Socket FS1 と他の 2 つのソケットを使用する。
  • Socket G3 - Socket F+ の後継であり、サーバのメモリ拡張のための、Socket G3 Memory Extender とあわせて使用される。

その他[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 8080ソフトウェア互換CPUであるNECのµCOM-8(µPD753)のピン数は42でありピン配置も異なるが、増えた2本のピンはNC(無接続)である。後に8080とピン互換のµCOM-80(µPD8080A)も出た
  2. ^ http://www.ciao.se/Intel_80186_12_MHz_processor__5790
  3. ^ http://www.mwiacek.com/pc.pl/x86/x86.htm#4.2.80286/80287%20Socket%20%2880286/80287%29%7Coutline
  4. ^ 初期には、486用に汎用の17列PGAソケット(3周、接点数168または169(487SXおよびODP用))が使用されたこともある
  5. ^ WB対応486はWB制御のピン配置がP24T(Socket 2および3で486が使用しない最外周を使用)と異なるため専用ソケットが開発され、また、Socket 6用Pentium ODP(Kバージョン)にはピン配置を変換する基板が装着されていた(基板を外すと通常版のP24Tとして使用できる)。IntelDX4用マザーボードの中にはSocket 3を採用し、WB制御の配線をIntelDX4用とP24T用の両方にしてあるものもある(ただし、IntelDX4→P24Tは、インテルは正規のアップグレードパスとしていない)。
  6. ^ a b c この 478 ピンのソケットは、micro-PGA レイアウトにより Socket 423 よりも物理的サイズを縮小するために導入された。Socket 775 は PCI ExpressDDR2 メモリと Intel 64 (x86-64 のインテルによる実装) をサポートすることで導入されたが、新しい Land Grid Array レイアウトへの変更も行われた。より良い電気的性能のため、ピンは CPU パッケージでなくソケットの側にある。
  7. ^ Fudzilla report、2007年10月23日に取得
  8. ^ http://download.intel.com/design/mobile/applnots/24528401.pdf
  9. ^ インテル次世代ノートPC向けCPU用「ソケットG1,PGA989/988Aソケット2011年1月19日に取得
  10. ^ インテル最新Core iシリーズ&チップセットを総チェック2011年1月19日に取得
  11. ^ http://www.intel.com/cd/channel/reseller/asmo-na/eng/products/server/processors/index.htm 2011年1月19日に取得
  12. ^ a b c d これらのソケットは、統合メモリコントローラを持った CPU 向けである。754ピンのモデルは CPU のピンに 1 つのメモリチャンネルがある。939 ピンのモデルは 2 つのメモリチャンネルがあり、ピンの数が増えている。940 ピンのモデルにも 2 つのメモリチャンネルがあるが、レジスタードメモリが必要であり、SMP をサポートする。Socket F と AM2 は、DDR2 をサポートするために再設計された。Socket F は 1207 ピンを持っている(より高いスケーラビリティと、電力分配の改善のためと推測されるピンが追加)。Socket AM2 は 940 のピンホールを持つが、現行の AMD Opteron プロセッサには対応していない。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]