Intel Atom
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Atom(アトム)は、米国時間2008年3月2日に発表されたインテルが開発製造するマイクロプロセッサで、LPIAと呼ばれる低消費電力でIA-32命令セットアーキテクチャに基づくカテゴリの製品。LPIA製品としてマイクロアーキテクチャから新規に開発された初めての製品となる。2008年夏から順次出荷されている。
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[編集] 概要
過去にインテルのモバイル・組込向けプロセッサはIA-32製品ではなく、DEC (Digital Equipment Corporation) から買収したStrongARM部門の製品と、それを発展させた製品をXScaleブランドで販売していた。XScaleは携帯情報端末や組み込みシステムのプロセッサとして採用された(多くのPocket PCに採用された)。
当時のIA-32製品は競合していたSuperHやARMと比べ、回路規模やクロック周波数の高さから、フットプリントが大きい上に消費電力が多く、モバイル・組込機器への小型化とバッテリ駆動での長い稼働時間の要求に応えられなかった。 しかし、IA-32プロセッサ向けの豊富なソフトウェア開発ツールやソフトウェア開発技術者の多さなどから、半導体プロセスやマイクロアーキテクチャの改良などの技術的なブレークスルーで、前述の問題が克服されさえすれば、モバイル・組込製品に於いてもIA-32製品が受け入れられる環境は整っていた。
このような背景の中、インテルは2007年4月に、新しいプロセッサカテゴリとして、低消費電力でIA-32に基づくカテゴリの製品「LPIA」を提唱し、第一弾の製品としてIntel A100を発表した[1]。 これは専用に開発されたものでなく、既に販売されていたPentium Mマイクロアーキテクチャの第二世代にあたるCeleron M(コードネーム「Dothan-512K」、90nmプロセス)の流用であり、周辺チップも既存のICH7から消費電力の多いPCI Expressインターフェースを取り除くなどしたICH7Uが使われるなど、新規性には乏しいが、XScale部門がMarvell社に売却された事[2] などから、インテルがIA-32製品のモバイル・組込機器市場における競争力に自信を持った表れである、との指摘する向きもある。
[編集] 搭載される機能など
本CPUに実装されている命令セットはIntel Core 2と互換であるとされ、x86命令、x87命令、そしてMMX、SSE、SSE2、SSE3、SSSE3などの拡張命令を搭載している。製品により、Intel 64やIntel VT、ハイパースレッディング・テクノロジー、EIST、NXビットが利用可能な物もある。また、新しくディープパワーダウン (C6)、スレッド別の低電力状態 (TCx)、CMOSバスモードなど電力管理機能が強化された[3]。
最初の製品は、細長いI/Oパッドを両サイドに配置した長方形のダイレイアウトで、製造効率が最も高いとされる正方形のダイ形状ではない。低コストでのマルチコア化は、I/Oパッドで複数のコアを挟むこのレイアウトが有利なことから、近い将来的にマルチコア製品が発売されることを示唆しているとの意見も有る。
[編集] 回路仕様
約4,700万個のトランジスタにより構成されており、これは現在のインテルのIA-32プロセッサの中では最も少ない。ダイサイズ25平方mm未満であり、インテル史上最小のx86プロセッサとして登場した。製造にはリーク電流低減に有効とされるハフニウム注入によるHigh-k(高誘電率)ゲート絶縁膜とメタルゲートによる45nmプロセスルールが採用されるなど省電力化が徹底されており、インテルのCPU史上最も低い動作電圧で動作し、消費電力でVIA Edenに比肩する。電圧を高くすることで当面最大で1.8GHz程度の動作周波数を予定し、それに応じてTDPは0.6から2.5W程度と抑制される[4]。
刷新されたマイクロアーキテクチャはi486やPentium時代のインオーダー実行を中心に再設計された、比較的古い時代の(いわば電力をあまり必要としない)設計が多用されている。intelが公開したフロアレイアウト写真は、同様に過去公開されたi486と非常に似ており、いくつかのフロアは同じ場所に配置されている物もある。i486より若干長い部分は大容量キャッシュメモリと現行世代のフロントサイドバスコントローラが占めている。古い設計を継承しつつ最先端の半導体技術を投入するという手法は、VIA Technologies(とVIAが買収した会社)が得意としていた分野であったが、intelもそれに倣った物と考えられる。ここで特筆に値する事は、古い設計に倣ったものだったにせよ、結果的に出来上がったCPUがより複雑高度なCeleron Mに劣らないものとなったという事である。
[編集] ターゲット市場
[編集] Centrino Atom (セントリーノ アトム)(Menlow(メンロー))
移動端末などの低消費電力が求められる小型機に採用される予定。インテルのウェブサイトではネットブック(ノートパソコンとPDAとの中間)や組み込み機器向けとしている。CPUコアはコードネーム「Bonnell」(ボンネル)と呼ばれている。Bonnellを採用した製品は複数公表されており、それぞれ対象とする市場が異なる[5]。
- Silverthorne - モバイルインターネットデバイス (MID, 2008年4月発表)
- Diamondville - ネットブック・ネットトップ
Silverhorneと統合チップセット(コードネーム「Poulsbo」(ポルスボ)、System Controller Hub - SCH)を組み合わせたプラットホーム(コードネーム「Menlow」)には、インテル Centrino Atom プロセッサー・テクノロジー (Intel Centrino Atom processor technology) というブランドネームが与えられた。
[編集] Embedded Menlow(エンベデッド メンロー)
組込機器向けの、コードネーム「Embedded Menlow」もSilverhorneとPoulsboで構成される。組込機器においては「同じものが長期間に渡り調達可能であり続ける事」が重要となるため、ライフサイクルサポートを7年としている点が異なる。
[編集] Canmore(キャンモア)
セットトップボックスやテレビ向けのシステム・オン・チップ。2008年後半に出荷予定[6]。
以下の機能を持つ。
- 高精細度テレビジョン放送 (1080p) 対応
- 7.1チャンネル音声
- 3次元グラフィックス
[編集] Sodaville(ソーダヴィル)
家電向けシステムオンチップ (System on a Chip - SoC) としてコードネーム「Sodaville」が2009年に計画されている[7]。
[編集] Moorestown(ムーアーズタウン)
Menlowに続くプラットホームとしてコードネーム「Moorestown」が2009年 - 2010年に予定されている[8]。Moorestownでは待機時消費電力を10分の1にするとしているので、スマートフォンのアプリケーションプロセッサなどへの採用が想定されている。
[編集] 製品群一覧
| SKU[9] | 動作周波数 | FSB | 2次キャッシュ | HT対応 | 64bit対応 | VT対応 | EIST対応 | TDP(HT) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Z550 | 2.0 GHz | 533MHz | 512KB | ○ | × | ○ | ○ | 2.4W(2.64W) |
| Z540 | 1.86 GHz | 533MHz | 512KB | ○ | × | ○ | ○ | 2.4W(2.64W) |
| Z530 | 1.6 GHz | 533MHz | 512KB | ○ | × | ○ | ○ | 2W(2.2W) |
| Z520 | 1.33 GHz | 533MHz | 512KB | ○ | × | ○ | ○ | 2W(2.2W) |
| Z515 | BPT:1.2GHz HFM:800MHz | 400MHz | 512KB | ○ | × | × | ○ | BPT:1.4W HFM:0.65W |
| Z510 | 1.1 GHz | 400MHz | 512KB | × | × | × | ○ | 2W |
| Z500 | 800 MHz | 400MHz | 512KB | × | × | × | ○ | 0.65W |
| N280 | 1.66 GHz | 667MHz | 512KB | ○ | × | × | ○ | 2.5W |
| N270 | 1.6 GHz | 533MHz | 512KB | ○ | × | × | ○ | 2.5W |
| 230 | 1.6 GHz | 533MHz | 512KB | ○ | ○ | × | × | 4W |
| 330 | 1.6 GHz x2 (※デュアルコア) | 533MHz | 512KB x2 | ○ | ○ | × | × | 8W |
[編集] 補足
2次キャッシュの容量やFSBの速度はモバイルPentium 4-Mと同程度。実質的な処理速度でも、同クロックのWillamette・NorthwoodのPentium 4やNorthwood-256kのモバイルCeleron、Prescott-V(Prescott-256K)のCeleron D、Banias-512K・Dothan-512K の超低電圧版Celeron Mと同程度であるが、同クロックのZ530(FSB533MHz 1.6GHz TDP2.2W(HT))とモバイルPentium 4-M(Northwood FSB400MHz 1.6GHz TDP46.8W)とで比較した場合、TDPは後者の約4.7%となり、エネルギー効率は格段に向上した。
2008年9月より出荷された330は、CPUパッケージに230を2個搭載させたモデルである[10]。デュアルコアAtom搭載機種はデスクトップパソコン(ネットトップ)において発売開始された。なお、ネットブックへの搭載については2009年6月に発売された[11][12]。
230と330に関しては、各社からMini-ITXやマイクロATXのマザーボードに実装された状態で発売され、いずれも概ね1万円以下で入手可能である。CPUのみの交換はできないが、自作デスクトップPCとして組み立てることが可能である。
[編集] 脚注
- ^ インテル (2008年1月19日). "Intel Processor A100 and A110 on 90 nm Process with 512-KB L2 Cache DatasheetPDF" (英語). 2008年4月5日 閲覧。
- ^ インテル (2006年6月27日). "Marvell To Purchase Intel’s Communications And Application Processor Business For $600 Million" (英語). 2008年4月5日 閲覧。
- ^ Intel Atom Processor Z5xx Series Datasheet - Apr 2008 Intel
- ^ IEEE Spectrum: The High-k Solution - Mark T. Bohr, Robert S. Chau, Tahir Ghani, and Kaizad Mistry - 2008
- ^ Technology@Intel · Deciphering Intel codewords for Mobile Internet Devices (MIDs)
- ^ 日経BP。
- ^ 日経BP。
- ^ PC Watch。
- ^ SKU - Stock Keeping Unit; Intel Atom Z5xxシリーズは、CPU+SCHを出荷単位とする。
- ^ 疑似クアッドコアのAtom 330、消費電力が上昇:ニュース
- ^ 【特別企画】台湾ネットブック開発者インタビュー MSI編
- ^ サードウェーブ製の「Prime Note Cresion NA」においてIntel Atom 330を搭載。
[編集] 関連項目
- インテル
- Ultra-Mobile PC
- System-on-a-chip
- Intel Core 2
- ARMアーキテクチャ
- VIA Eden
- VIA Nano
- Geode
- Athlon Neo
- Mini-ITX
- ネットブック
- NVIDIA ION
[編集] 外部リンク
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