AMD Phenom II

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Phenom II
生産時期 2008年から
販売者 AMD
設計者 AMD
生産者 GLOBALFOUNDRIES
CPU周波数 2.4 GHz から 3.7 GHz
HyperTransport帯域 3.6 GT/s から 4.0 GT/s
プロセスルール 45nm
命令セット AMD64
MMX, Extended 3DNow!
SSE, SSE2, SSE3, SSE4a
マイクロアーキテクチャ K10
コア数 2・3・4・6
ソケット Socket AM2+
Socket AM3
コードネーム Thuban
Deneb
Zosma
Heka
Callisto
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Phenom II (フェノム ツー) は、AMDx86互換のマイクロプロセッサ

Phenom IIはデスクトップパソコン向けプロセッサの1つで、先代の Phenom (コア開発コードネーム:Agena/Toliman) を 45 nmシュリンクし、回路の最適化による性能向上と機能の追加をした K10 マイクロアーキテクチャの製品群である。

2009 年 1 月より、DDR2 SDRAM 対応、DDR3 SDRAM 非対応の Socket AM2+ の CPU が発売。 同年 2 月からは、DDR3 SDRAM 対応の Socket AM3クアッドコアの Phenom II X4 (Deneb) と、トリプルコア Phenom II X3 (Heka)、デュアルコア Phenom II X2 (Callisto) が、2010年4月からは、AMD初の6コアとなる、Phenom II X6 (Thuban)が順次発売されている。稀に「ペノム」とも呼称されるが、正しくは「フェノム」である[1]

登場までの経緯[編集]

45 nm 版の Phenom そのものは、当初よりロードマップに含まれていた。 しかしながら当初は諸般の事情により、65 nm SOIプロセスで製造されプロセスルールの未消化が課題となった。65 nm SOIプロセスで製造された製品は「Phenom」と呼ばれる。

Phenom II は、45 nm で製造されており、Phenom など 65 nm で製造された製品に対して、高クロック化や L3 キャッシュの増量、また、TDP の改善を実現している。

登場から現在まで[編集]

デスクトップ向けとしては AMD 初の 45 nm プロセスとなる [2] が、 インテルCore 2 シリーズに遅れること 1 年であった。 コアのコードネームは 「Deneb」 となった。 初期製品の TDP は 125 W と Phenom と変わらないが、プロセスの微細化で消費電力は下がっている。 メモリコントローラの設計変更とチューニングにより、処理速度もクロック相応に速く、商品性が向上している。

まず、2009年1月8日に動作倍率の変更が可能な Phenom II X4 940 Black Edition と、Phenom II X4 920 が投入された。 Socket AM2+ 対応で、DDR2 SDRAMメモリコントローラを持つ。

矢継ぎ早に2月9日には Phenom II X4 810 と 3 コアで倍率可変の Phenom II X3 720 Black Edition が発表となり、これ以降の製品は DDR2 / DDR3 両対応のメモリコントローラを持ち、対応ソケットも Socket AM2+ / Socket AM3 の両方をサポートする。

4月2日に Phenom II X4 955 Black Edition が発売され、動作周波数は 3.2 GHz でそれまでの AMD のデスクトップ向け CPU で最高動作周波数 3.2 GHz を持つ Athlon 64 X2 6400+ と同じ動作周波数になった。 5月28日には Phenom II X4 945 が発売されるが、早くも6月12日には X4 945 の TDP 95 W 版が追加投入される。

追って8月13日に追加された Phenom II X4 965 Black Edition は、出荷時の動作周波数は 3.4 GHz となり、Phenom II X4 955 および Athlon 64 X2 6400+ の動作周波数 3.2 GHz を 200 MHz 上回り、Athlon 64 X2 6400+ が発表・発売されてから 2 年ぶりに AMD のデスクトップ向け CPU の最高動作周波数を更新した。 また、一般消費者向けに販売されているデスクトップ向けクアッドコア CPU での最高動作周波数も更新した。 同年11月4日 TDP 125 W 版が追加投入された。

6月2日、キャッシュ容量をそのままに、動作周波数を抑えた低消費電力版の Phenom II X4 905e、Phenom II X3 705e が追加された(共に TDP 65W)。同時に 「Callisto」 コアの Phenom II X2 550 Black Edition が発表された。 これまで AMD のデスクトップ向けデュアルコア CPU は Athlon ブランドのみであり、先代の Phenom を含め、Phenom II にも存在しなかった。

第4四半期後半からX4とX2はC3ステッピングへ移行し、これ以降TDPを下げた製品や、TDPを維持したまま動作周波数を向上させた製品の投入が続く。

2010年4月27日、AMDのデスクトップ向けのCPUとして初めての6コアのCPUとなるPhenom II X6が発表された(全ラインナップTDP125W)。Phenom II X6には新機能となるAMD Turbo CORE Technology[3]を搭載する。そのわずか2カ月後の6月26日には、Phenom II X6 1055TのTDP95W版が投入された

互換性[編集]

Socket AM3版のPhenom II、およびAthlon IIは、DDR3 SDRAMDDR2 SDRAM両対応のメモリコントローラを内蔵している。CPUの物理的なピン配列も、Socket AM2 / AM2+と互換である(厳密には、後述のとおりピン数は減っている)。このため、BIOSの対応、CPUへの供給電圧、そして消費電力や電流の問題をクリアできるならば、既存のSocket AM2/AM2+のソケットを備えたマザーボードとも物理的な互換性があり、使用可能である[4]

Socket AM3のソケットを備えたマザーボードに、Socket AM2/AM2+のCPUを搭載することはできない。公式には、Socket AM3のソケットを備えるマザーボードは、DDR3 SDRAMのメモリスロットしか装備していない。それは、Socket AM2/AM2+のCPUは、DDR2 SDRAMのメモリコントローラしか内蔵しておらず、メモリに互換性が無いためである。そのため、Socket AM3のソケットは、Socket AM2/AM2+のものとホールの位置が違い、物理的にSocket AM2/AM2+のCPUが装着できないように配慮されている[5]。したがって、Phenom IIのうち、Socket AM2+版に関しては、既存のSocket AM2/AM2+ソケットを備えたマザーボード用である。

無効機能の有効化[編集]

Phenom II X4 の「Deneb」と Phenom II X3 の「Heka」、Phenom II X2 の「Callisto」は実装部品が共通で、X4 の4つのコアとL2キャッシュのうちの1組を無効化したものが X3、2組を無効化したものが X2 である。これは、ダイサイズの拡大と、マルチコア化を推進する上で避けられない、歩留まりの低下をできるだけ抑えるためにも重要な製品群である。

CPUの高性能化につれ、必要なトランジスタの数は増え続けており、それに伴いダイサイズも増大するが、定期的な製造プロセスの微細化によって、無用なサイズの拡大を防いでいる。その一方、欠陥のないシリコンウエハーの製造方法は依然として確立されていない。そのため、ウエハーを細分化する際、ダイサイズを抑える(一つのウエハーからたくさん切り出す)ことで歩留まりの向上を図り、ダイの複数実装によって総面積を確保する手法が採られているが、それでも欠陥ダイによる不良コアの発生は避けられない。phenom II X4 の場合、製造過程で4つずつ備わるコアとL3キャッシュのうち、どれか1つにでも欠陥が見つかった場合、当然4コア製品としては成り立たないが、それを無効化することで正常な3コア・2コア製品として出荷できるようになる。これで Phenom II シリーズ全体の利益が確保できる上、多品種化で価格帯の下限を引き下げ、Athlon II シリーズとのギャップを埋めることも可能となっている。[6]

この共通性のため、自作PCユーザーの間では、Phenom II X3 、Phenom II X2 の一部でマザーボードBIOS設定を変えると、4つのコア全てが動作するようになるとの報告がある。しかし、上記のような理由から、新たに有効となったコアが正常である保証は無く、そのままのコア電圧と動作周波数では動作温度の上限値である「Tcase」を超えるため、これがリスクの高い行為であることがわかる。実際に、4コア化でCPUの温度検知ができなくなるなどの例もあり、この場合、温度が上昇した際でも、クロックダウンやシャットダウンなどのフェイルセーフ機能が働かない可能性がある。

また、Phenom II X4 800 Seriesは、同900 SeriesのL3キャッシュの一部(2MB分)を無効化したものであるが、これも一部のCPUでBIOS設定を変えると、全て(6MB)のL3キャッシュが有効になるという報告がある。但し、Athlon II のL3キャッシュの件も含め、これらの行為はメーカーの推奨する使用方法から外れるものであり、上記の行為による機器の故障はメーカーサポートや保証の対象外となる。

ラインナップ[編集]

Phenom II X6[編集]

Thuban
  • 製造プロセスルール: 45nm SOI
  • L1 キャッシュ: 64 KiB 各コア独立
  • L2 キャッシュ: 512 KiB 各コア独立
  • L3 キャッシュ: 6144 KiB 全コア共有
  • 対応ソケット: Socket AM2+/AM3

Phenom II X4[編集]

Deneb
  • 製造プロセスルール: 45nm SOI
  • L1 キャッシュ: 64 KiB 各コア独立
  • L2 キャッシュ: 512 KiB 各コア独立
  • L3 キャッシュ: 4096 or 6144 KiB 全コア共有
  • 対応ソケット: Socket AM2+/AM3
Zosma
  • 製造プロセスルール: 45nm SOI
  • L1 キャッシュ: 64 KiB 各コア独立
  • L2 キャッシュ: 512 KiB 各コア独立
  • L3 キャッシュ: 4096 or 6144 KiB 全コア共有
  • 対応ソケット: Socket AM2+/AM3
    • Thubanのコアを2つ無効化している

Phenom II X3[編集]

Heka
  • 製造プロセスルール: 45nm SOI
  • L1 キャッシュ: 64 KiB 各コア独立
  • L2 キャッシュ: 512 KiB 各コア独立
  • L3 キャッシュ: 6144 KiB 全コア共有
  • 対応ソケット: Socket AM2+/AM3
    • Denebのコアを1つ無効化している

Phenom II X2[編集]

Callisto
  • 製造プロセスルール: 45nm SOI
  • L1 キャッシュ: 64 KiB 各コア独立
  • L2 キャッシュ: 512 KiB 各コア独立
  • L3 キャッシュ: 6144 KiB 全コア共有
  • 対応ソケット: Socket AM2+/AM3
    • Denebのコアを2つ無効化している

一覧[編集]

モデル 動作周波数
(GHz)
L2 キャッシュ
(KB)
L3 キャッシュ
(MB)
ソケット ステッピング TDP
(W)
HyperTransport 発売時期
Phenom II X6 1000 シリーズ (Thuban)
Phenom II X6 1100T Black Edition 3.30
(TC 3.70)
[7]
512 x 6 6.0 AM3 E0 125 2000 MHz
(4000 MT/s)
2010年12月
Phenom II X6 1090T Black Edition 3.20
(TC 3.60)
512 x 6 6.0 AM3 E0 125 2000 MHz
(4000 MT/s)
2010年4月
Phenom II X6 1075T 3.00
(TC 3.50)
512 x 6 6.0 AM3 E0 125 2000 MHz
(4000 MT/s)
2010年9月
Phenom II X6 1065T 2.90
(TC 3.40)
512 x 6 6.0 AM3 E0 95 2000 MHz
(4000 MT/s)
2010年12月
Phenom II X6 1055T 2.80
(TC 3.30)
512 x 6 6.0 AM3 E0 125/95 2000 MHz
(4000 MT/s)
2010年4月/6月
Phenom II X4 900 シリーズ (Deneb)
Phenom II X4 980 Black Edition 3.70 512 x 4 6.0 AM3 C3 125 2000 MHz
(4000 MT/s)
2011年5月[8]
Phenom II X4 975 Black Edition 3.60 512 x 4 6.0 AM3 C3 125 2000 MHz
(4000 MT/s)
2011年5月
Phenom II X4 970 Black Edition 3.50 512 x 4 6.0 AM3 C3 125 2000 MHz
(4000 MT/s)
2010年9月
Phenom II X4 965 Black Edition 3.40 512 x 4 6.0 AM3 C2 140 2000 MHz
(4000 MT/s)
2009年8月
C3 125 2009年11月
Phenom II X4 955 Black Edition 3.20 512 x 4 6.0 AM3 C2 125 2000 MHz
(4000 MT/s)
2009年4月
C3 2009年11月
Phenom II X4 955 3.20 512 x 4 6.0 AM3 C3 95 2000 MHz
(4000 MT/s)
2010年9月
Phenom II X4 945 3.00 512 x 4 6.0 AM3 C2 125/95 2000 MHz
(4000 MT/s)
2009年4月/6月
C3 95 2009年11月
Phenom II X4 940 Black Edition 3.00 512 x 4 6.0 AM2+ C2 125 1800 MHz
(3600 MT/s)
2009年1月
Phenom II X4 925 2.80 512 x 4 6.0 AM3 C2 95 2000 MHz
(4000 MT/s)
2009年2月
Phenom II X4 920 2.80 512 x 4 6.0 AM2+ C2 125 1800 MHz
(3600 MT/s)
2009年1月
Phenom II X4 910 2.60 512 x 4 6.0 AM3 C2 95 2000 MHz
(4000 MT/s)
2009年2月
Phenom II X4 910e 2.60 512 x 4 6.0 AM3 C3 65 2000 MHz
(4000 MT/s)
2010年2月
Phenom II X4 905e 2.50 512 x 4 6.0 AM3 C2 65 2000 MHz
(4000 MT/s)
2009年6月
Phenom II X4 900e 2.40 512 x 4 6.0 AM3 C2 65 2000 MHz
(4000 MT/s)
2009年6月
Phenom II X4 900 シリーズ (Zosma)
Phenom II X4 960T Black Edition 3.00
(TC 3.40)
512 x 4 6.0 AM3 E0 95 2000 MHz
(4000 MT/s)
2011年6月
Phenom II X4 800 シリーズ (Deneb)
Phenom II X4 810 2.60 512 x 4 4.0 AM3 C2 95 2000 MHz
(4000 MT/s)
2009年2月
Phenom II X4 805 2.50 512 x 4 4.0 AM3 C2 95 2000 MHz
(4000 MT/s)
2009年2月
Phenom II X3 700 シリーズ (Heka)
Phenom II X3 720 Black Edition 2.80 512 x 3 6.0 AM3 C2 95 2000 MHz
(4000 MT/s)
2009年2月
Phenom II X3 710 2.60 512 x 3 6.0 AM3 C2 95 2000 MHz
(4000 MT/s)
2009年2月
Phenom II X3 705e 2.50 512 x 3 6.0 AM3 C2 65 2000 MHz
(4000 MT/s)
2009年6月
Phenom II X3 700e 2.40 512 x 3 6.0 AM3 C2 65 2000 MHz
(4000 MT/s)
2009年6月
Phenom II X2 500 シリーズ (Callisto)
Phenom II X2 565 Black Edition 3.40 512 x 2 6.0 AM3 C3 80 2000 MHz
(4000 MT/s)
2010年12月
Phenom II X2 560 Black Edition 3.30 512 x 2 6.0 AM3 C3 80 2000 MHz
(4000 MT/s)
2010年9月
Phenom II X2 555 Black Edition 3.20 512 x 2 6.0 AM3 C3 80 2000 MHz
(4000 MT/s)
2010年2月
Phenom II X2 550 Black Edition 3.10 512 x 2 6.0 AM3 C2 80 2000 MHz
(4000 MT/s)
2009年6月
Phenom II X2 545 3.00 512 x 2 6.0 AM3 C2 80 2000 MHz
(4000 MT/s)
2009年6月

脚注[編集]

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  1. ^ ペノム【ぺのむ】 古田雄介&ITmedia アキバ取材班
  2. ^ サーバ向け製品の Opteron では、2008 年 11 月にコードネーム 「Shanghai」 で、45 nm へ移行済み。
  3. ^ AMD Turbo CORE Technologyとは、全コアの半数以下で事足りる処理(スレッド)の場合、遊休コアの周波数をアイドル付近まで下げ、最大3コアまでの周波数をTDPの枠内で上げる仕組み。
  4. ^ Phenom II 対応マザーボードランキング”. Venture Republic Inc. 2008年2月6日閲覧。 (メーカー告知のリンクから各社の発表を参照できる。)
  5. ^ 多和田新也のニューアイテム診断室”. Venture Republic Inc. 2008年2月20日閲覧。 (SocketAM2+及びAM3のソケットとCPU双方の比較画像がある。)
  6. ^ これに限らず、上位CPUのL2キャッシュの1/2 - 3/4を無効化し、歩留まりを確保する手法は、Pentium IIIPentium 4に対するCeleronや、Athlonに対するDuronなどでも行われている。
  7. ^ 表中動作周波数の(TC)は、AMD Turbo CORE Technology 機能時の最大値。
  8. ^ AMD Intros Phenom II X4 980 Black Edition Quad-Core Processor” (2011年5月3日). 2011年5月4日閲覧。

外部リンク[編集]