インピーダンス
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電気 · 磁性
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インピーダンス(英語:impedance)は、圧と流れの比を表す単語である。圧と流れの積は仕事率である。英語の impedance という単語の意味は多岐にわたるが、en:Impedance を参照。
目次 |
[編集] 電気回路におけるインピーダンス
| インピーダンス impedance |
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|---|---|
| 量記号 | Z |
| 次元 | M L 2 T −3 I −2 |
| 種類 | スカラ |
| SI単位 | Ω |
電気回路におけるインピーダンス(electrical impedance)は、交流回路におけるフェーザ表示された電圧と電流の比である。 直流におけるオームの法則の電気抵抗(レジスタンス)の概念を複素数に拡張し、交流に適用したものであり、単位としてはオーム(表記は[Ω])が用いられる。 複素数であるインピーダンスにおいてその実部(Re)をレジスタンス(resistance)または抵抗成分、虚部(Im)をリアクタンス(reactance)という。またインピーダンスの逆数をアドミタンスという。
ある電気回路からの出力と、その次の電気回路の入力を接続する場合(伝送線路も回路の一種とする)、それぞれのインピーダンスを一致させるのが原則である(インピーダンス整合という)。前者と後者のインピーダンスが一致した場合に、最も効率よく信号のエネルギーを伝達できる。無線機とアンテナの場合など、整合が取れていない場合は、エネルギーが出力(この例の場合、電波)に効率良く変換されないわけであるが、そのような状態を、不整合により信号が反射されているなどと言う。オーディオ機器などで効率を問題としない接続の場合は、接続の簡便性を優先し、いわゆる「ロー出しハイ受け」(機器の出力インピーダンスはごく低く、入力インピーダンスは高めに)とし、信号をもっぱら電力ではなく電圧で伝達する。逆に電流で伝達するものがMIDIやテレタイプ端末で使われているカレントループで、回路構成は面倒になる。
以下では電気電子工学の慣例に従い、虚数単位として
を用い、
を交流の角周波数とする。
[編集] 抵抗器のインピーダンス
直流における電気抵抗が
であるとき、そのインピーダンスは単に
である。これはインピーダンスの実部がレジスタンスであることに他ならず、複素平面で右に向いたベクトルであることを示している。
[編集] インダクタのインピーダンス
インダクタ(コイル)によるインピーダンスを特に誘導リアクタンス
といい、インダクタンスが
であるとき次のように表される。

これは誘導リアクタンスが複素平面で上に向いたベクトルであることを示している。
[編集] キャパシタのインピーダンス
キャパシタ(コンデンサ)によるインピーダンスを特に容量リアクタンス
といい、キャパシタンスが
であるとき次のように表される。


これは容量リアクタンスが複素平面で下に向いたベクトルであることを示している。
[編集] RLC直列回路
RLC直列回路の合成インピーダンスを
、リアクタンス成分を
、加える電圧の複素数表示(フェーザ表示)を
、実効値を
、流れる電流の複素数表示を
、実効値を
とすると次のようになる。








また、電圧に対する電流の位相差
は次式で表される。

特に
のとき、すなわち
あるいは
のとき
でインピーダンス最小(共振)となる。
[編集] 分布定数線路の特性インピーダンス
上記の R, L, C 集中定数素子のインピーダンスに対して分布定数回路、特に分布定数線路にも電圧と電流の比としてのインピーダンスがある。これは特性インピーダンスと呼ばれ、交流、特に高周波の伝送に用いられる同軸ケーブルあるいは平行線路等において重要な特性値である。 単位長あたりのインダクタンスが
の導体、単位長あたりのキャパシタンスが
の絶縁体による損失のない均一な伝送路の特性インピーダンス
は次式で表される。

詳細は「特性インピーダンス」を参照
[編集] エネルギー変換を伴う素子のインピーダンス
電気回路内で閉じず、電気エネルギーから他のエネルギーへの変換を伴う素子・機器では特別な考察が必要である。
[編集] 熱エネルギーへの変換
工業製品としてニクロム線ヒーターなどがあるが、これは単にジュール熱を発生する電気抵抗として議論できる。 電気抵抗
[Ω] で
[W] の電力が
[秒]間消費されたときに発生する熱量、すなわちジュール熱の量
は、
[J]である。
[編集] 電磁波エネルギーへの変換
高周波電流を電磁波に変換する素子は空中線あるいはアンテナと呼ばれる。電気回路としてのアンテナは LC 直列回路であり、導線中に微量の抵抗成分 R がある。通常のアンテナは共振状態にあることを考慮すると、上記のRLC回路での議論に基づき、インピーダンスはその微量の抵抗成分 R のみとなってしまうがこれは誤りである。アンテナは高周波エネルギーの伝播媒体である同軸ケーブルあるいは平行線路と、電磁波の伝播媒体である空中(誘電体)のインピーダンス変換器である。同軸ケーブル等で伝送された高周波エネルギーが電磁波エネルギーに変換される際に、電気回路側ではそれが単にエネルギー消費されたと見える。この見かけのエネルギー消費に対応する実数成分としての電気抵抗
(放射抵抗または輻射抵抗という)を擬似的に考えるとアンテナのインピーダンスは
である。通常は
とみなせる。アンテナの代表的なインピーダンスは 50, 73Ω等である。アンテナのインピーダンスは周波数によって変化するものであるものの、アンテナは通常、共振周波数に十分近い周波数の範囲で使用されるため、インピーダンスは一定とみなすことができる。または、インピーダンスが一定とみなせる周波数の範囲が、アンテナが動作する周波数の範囲の定格として表示されているともいえる。
[編集] 音響エネルギーへの変換
ヘッドフォン、スピーカーなどは低周波の電気信号を空気振動に変換する素子である。電気回路としてのスピーカーなどはインダクタンス L からなる回路(電磁石を想像されたい)であり、導線中の微量の抵抗成分 R がある。上記のアンテナと同様、単なる RL 直列回路としての議論は間違いである。低周波電気エネルギーが「電磁石」によって空気振動すなわち音響エネルギーに変換され、ここで電気回路側としては単にエネルギー消費されたと見える。この見かけのエネルギー消費に対応する実数成分としての電気抵抗
を擬似的に考え、
がそこでのインピーダンスとなる。
通常は、スピーカーのインピーダンスは、単に電気回路として見た場合の代表値として8Ωないし4Ω~16Ωと表示され、アンプの設計などではその値の抵抗とみなすことが多い。実測値としては、周波数によってインピーダンスは上下し、スピーカーの筐体(スピーカーボックス)や設置の状況によっても変化する(ボイスコイルが動きやすければインピーダンスは高くなる)。
[編集] その他の分野におけるインピーダンス
交流電気回路における電圧と電流の比であるインピーダンス(明確な区別のため以下、電気インピーダンスという)は、圧力と流量の比という一般化により、交流電気回路に限らず電磁波、光、音響、震動、地震、津波など全ての波、波動現象に適用されうる。多くの分野で電気インピーダンスとアナロジが見いだせる。
- 電磁波のインピーダンス (characteristic impedance、特性インピーダンス)は、真空を含む誘電体(通常は大気等)における電磁波の伝播に関する概念である。電気回路における電圧と電流の比という電気インピーダンスの定義を電磁波に準用すれば、特性インピーダンスは電界
と磁界
の比である。詳細は「特性インピーダンス」を参照。 - 光学インピーダンス(optical impedance)は、光とその伝播媒体における伝播に関する概念である。光を電磁波の一部と捉えれば前項の電磁波の特性インピーダンスの議論と一致する。屈折、反射、回折など光学現象の多くでこの光学インピーダンスの概念が用いられる。
- 音響インピーダンス(Acoustic impedance)は、弾性体における弾性波の伝わりにくさのことである。また、流体における流れにくさを表す言葉として用いられることがある。
- 機械インピーダンス(Mechanical impedance)という言葉は、物体の質量/力/速度/動きやすさ等の関係を、インピーダンスの概念に当てはめたものである。
[編集] 直感的説明
(この節は、初学者のインピーダンスの概念への誤解を防止するために、正確な定量的議論をあえて避け多少の理論的矛盾は許容してインピーダンスの理解を助けるために設置されたものである)
本来の電気インピーダンスは電気回路の交流特性を示す尺度である。抵抗の電位差は電流と同相でありその比は一定であるのでスカラー量あるいは絶対値のみの単純な議論で足りる。それに対し、L, C を含む回路では電圧と電流に位相差が生じる。また、抵抗は電圧・電流の積に由来してエネルギー消費が生じるが、交流RLC回路では電圧・電流に位相差があるため、その積は一定ではない。このため各値を複素平面でベクトル表現することが便利なのである。
交流回路における電圧と電流の比という電気インピーダンスの定義は、波動の圧力と流量の比として一般の波動・振動現象に拡張することができる。この場合の振動は電気振動に限らず、電磁波、機械振動、音波、音響、光、地震、水面の波などの多くの波動・振動現象に適用できると考えられる。電気インピーダンスの概念は電気振動以外のこれらの波動・振動現象の説明にも便利なために今では様々な分野で流用されている。
例えば、音波は空気の振動であるが、木、コンクリート、金属では音の伝わり方が異なる。医学で用いられる超音波エコー装置は生体組織界面のインピーダンスの差による反射波を観測している。
しばしばあるインピーダンスへの誤解として「インピーダンス = 伝わりにくさの指標」というものがある。値が低いから波動が伝わりやすい、あるいは高いから伝わりにくい、ということはエネルギー消費を伴う抵抗(実数成分としてのレジスタンス)では正しくてもインピーダンスでは正しくない。高周波伝送に用いられる600Ω平行線路よりも52Ω同軸ケーブルが伝わりやすい、というのは全くの間違いである。例えば真空、純水、アクリル(ガラスよりはるかに透明度が高く沖縄美ら海水族館の大水槽で使用されている)は光の伝播において透明という点では同じであり、理想的には減衰はないがそれらの界面では反射・屈折が生じる。高校物理ではこれを屈折率の違いによるものと説明しているが、別の観点ではインピーダンスの相違による反射波と透過波と表現することができる。 海岸線付近での波の進行も同様である。津波の進行速度は水深が深いほど速く、浅いほど遅く、波は海岸線にほぼ平行に到達する。これもインピーダンスの概念で説明することができる。
[編集] 関連項目
- アドミタンス / ジーメンス : 交流における電気伝導
- リアクタンス
- 交流回路 / 力率 / 実効値 - 平均値
- 直流回路 / オームの法則
- 電気抵抗 / 電気伝導
- 電力 - 電圧 - 電流
- スミスチャート
- 入力インピーダンス
- 表皮効果
- 直列回路と並列回路
- en:Impedance
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と
の比である。詳細は「