江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間
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『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』(えどがわらんぽぜんしゅう きょうふきけいにんげん)は、1969年10月31日、東映配給網により“異常性愛路線”の1作として劇場公開された怪奇色の強いミステリ映画。監督石井輝男、主演吉田輝雄。カラー99分。製作東映(京都)。江戸川乱歩の諸作品をミックスした脚本で、大筋は『孤島の鬼』。中盤の展開に『パノラマ島奇談』を援用し、『屋根裏の散歩者』『人間椅子』を断片的に挿入してある。地上波では未放送で日本ではソフト化されていないが、根強いファンを持つカルト映画である。
1999年に閉館した東京の伝説の名画座「大井武蔵野館」での「定番作品」として繰り返し上映され、カルト映画として注目された結果、石井輝男の再評価及び復活の起爆剤となった。“江戸川乱歩全集”とはいうものの、全ての乱歩作品が登場するわけではなく、乱歩世界のエッセンスを映像化した形となっている。当時の同時上映作品は『(秘)劇画 浮世絵千一夜』(長編アニメーション映画)。
日本でのソフト化は困難とされ、各地の名画座やミニ・シアターの特集上映等でしか鑑賞はできなかったが、2007年、Synapse FilmsによりDVDが全米発売され、日本国内でも販売された。
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[編集] あらすじ
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過去の記憶がない主人公の人見広介。医学生だった彼は精神病院に閉じ込められているのだがその理由も分からない。サーカスの少女、初代が歌う子守唄から記憶を取り戻しかけたが、目の前で少女が殺されその犯人にされてしまう。逃亡者となった彼は北陸へ向かう列車の中で自身と瓜二つの菰田源三郎の死亡記事を目にする。広介は埋葬された源三郎が生き返ったように見せかけて源三郎に成りすます。こうして広介は奇妙な生活を送る羽目になる。源三郎の父、丈五郎は生まれながらの奇形で、執事の蛭川に家を任せ、沖にある無人島で島を改造しているという。まもなく、菰田家で源三郎の妻の千代子が殺された。広介は執事の蛭川、遠縁にあたる娘の静子、下男を連れ、島に渡る。
丈五郎は奇形人間を作り島に自らの理想郷を作ろうとしていた。そこでは初代そっくりの秀子という娘が男と人工的なシャム双生児にされていた。広介は源三郎の弟であり、広介が医大に通っていたのは丈五郎が奇形人間の製造を任せるためだったのだ。広介は自らが源三郎ではなく広介だと丈五郎に打ち明け、愛しあうようになった秀子に外科手術を施し、もとの体にしてやる。ところが、秀子には出生の秘密があった。
秀子は丈五郎が浮気を憎んだ妻、ときをせむし男に犯させて生ませた子で、広介と秀子は兄妹だったのだ。丈五郎はピストルを出し、広介に奇形人間製造の協力を求めるが、下男の正体は明智小五郎であり、ピストルの弾はすでに抜かれていた。明智は執事の蛭川が静子と愛人関係にあるうえに丈五郎を裏切り、源三郎を殺そうとして間違って千代子を殺してしまったことなどを暴く。計画の不可能を悟った丈五郎は自殺し、愛し合うようになった秀子と広介は心中、花火となって空中に四散した。
以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。
[編集] キャスト
- 人見広介/菰田源三郎 - 吉田輝雄
- 秀子/初代 - 由美てる子
- 菰田丈五郎 - 土方巽
- 菰田とき - 葵三津子
- 菰田千代子 - 小畑通子
- 静子- 賀川雪絵
- 蛭川 - 小池朝雄
- 猛 - 近藤正臣
- 女患者A - 片山由美子
- 明智小五郎 - 大木実
- 林田 - 笈田敏夫
- 監守 - 高英男
- 坊主A - 由利徹
- 坊主B - 大泉滉
- 医者 - 上田吉二郎
- 看護婦 - 桜京美
- 宮城幸生
- 福本清三
- 土方巽暗黒舞踏塾
[編集] スタッフ
- 監督:石井輝男
- 脚本:掛札昌裕、石井輝男
- 撮影:赤塚 滋
- 美術:吉村 晟
- 編集:神田忠男
- 音楽:鏑木 創
- 助監督:依田智臣
- 装置:温井弘司
- 装飾:宮川俊夫
- 録音:野津裕男
- 照明:増田悦章
- 編集:神田忠男
- 記録:塚越恵江
- 美粧:鳥居清一
- 結髪:白鳥里子
- 協力:木下サーカス
[編集] 豆知識
- 異色さ・チープさ等の人気から現在も名画座の特別プログラム等でリバイバル上映される人気作である。
- 内容の過激さから、セックスシーンや流血シーンは少ないにもかかわらず、公開当時は成人映画に指定された。これもテレビ(地上波)放映されない原因のひとつである。ちなみに、1993年に発売中止になったビデオにも成人指定の注意書きが収録されていた。現在名画座等で上映される場合も以前の成人映画に相当する「R-18」指定になることが多い。ただし、この時期の東映には、この手の非ポルノ的な成人映画が非常に多い。
- 能登ロケは、源平合戦で破れ配流された平時忠(清盛の義兄)の子孫と伝えられる邸を借り切って行われた。そのため、菰田屋敷はセットでは出せない古色をたたえている。
- 随所に、モノクロ(単色)になるシーンがあり、一種のパートカラーとなっている。これは予算の都合、また作品の雰囲気作りに加え、撮り貯め、もしくは他の作品等から流用したフィルムがモノクロであったからだと思われる。
- 比較的地味な脇役俳優としても知られる小池朝雄が、石井輝男映画における「常連怪演俳優」として、女装をし、また“人間椅子”の中に入って恍惚となるなど、まさに「怪演中の怪演」をみせている。また小池は、テレビ朝日系で1982年に放送された江戸川乱歩の美女シリーズにて、本作と原作が同じ『天国と地獄の美女 江戸川乱歩の「パノラマ島奇談」』に出演している。
- テレビ『柔道一直線』でブレイクする直前の近藤正臣が、(人工的に造られた)シャム双生児の片割れの役で出演している。
- 「葦原将軍」として知られる葦原金次郎がモデルと思われる患者が、精神病院のシーンで登場する。
[編集] ソフト化について
本作品は、1993年3月にビデオ化の告知がなされたものの、直前になって諸事情により発売中止となり、それ以降いまだに国内でのビデオやDVD化は行われていない。 なお、ビデオ化の際に少量のサンプル版が作られて配布されたことが知られており、下記の海外盤DVD発売前にオークションなどに出回っていた本作のビデオやDVDは、このサンプル版、及びその海賊版であると思われる。
2006年9月に、アメリカのメーカーがDVD発売を予告[1]。告知から1年近くが経過した2007年8月に、ようやく、Horrors of Malformed Men のタイトルで全米発売され、オンラインDVD販売サイト等で売り上げランキング1位を記録。日本でも逆輸入品として一部の店舗で販売された。当初発売されたものが、リージョンオールの(日本仕様のDVDプレイヤーでも再生できる)ソフトだったこともあってか、日本映画の海外盤DVDとしては珍しく、HMVやAmazon.co.jpなどの国内通販サイト、および大手ショップの店頭でも取り扱われていた(なお、後に再プレスされたものの中には、北米向けのリージョン1となっているものもある)。

