アレックス・ゲレーロ

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アレックス・ゲレーロ
Alex Guerrero
読売ジャイアンツ時代
(2018年9月23日)
基本情報
国籍ハイチの旗 ハイチに亡命)
出身地  キューバ
ラス・トゥーナス州
生年月日 (1986-11-20) 1986年11月20日(37歳)
身長
体重
182 cm
99 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 外野手三塁手
プロ入り 2013年 アマチュア・フリーエージェントとしてロサンゼルス・ドジャースと契約
初出場 MLB / 2014年3月22日
NPB / 2017年3月31日
最終出場 NPB / 2019年10月23日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

アレクサンダー・ゲレーロ・ペレススペイン語: Alexander Guerrero Perez[注釈 1]1986年11月20日 - )は、キューバ共和国ラス・トゥーナス州出身の元プロ野球選手外野手内野手)。右投右打。

経歴[編集]

キューバ時代[編集]

2004年に17歳でセリエ・ナシオナル・デ・ベイスボルのラス・トゥーナスに入団[2]2011年第13回ワールドポート・トーナメントキューバ代表に選出された[3]2012年には第26回ハーレムベースボールウィークのキューバ代表に選出され、金メダルを獲得した[4]

ドジャース時代[編集]

ロサンゼルス・ドジャース時代
(2014年9月19日)

2013年ハイチへ亡命。9月9日に米国財務省外国資産管理局の入国許可を得て、ドミニカ共和国で練習を開始[5]。10月22日にロサンゼルス・ドジャースと4年総額2800万ドルで契約に合意した[6][7]。オフにドミニカン・ウィンターリーグに参加し、シバオ・ギガンテスに所属した[8]

2014年は開幕ロースター入りし、3月22日にオーストラリアシドニーシドニー・クリケット・グラウンドで行われたアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦でメジャーデビュー。9回表に代打として出場したが、ダイヤモンドバックスの投手が左腕のオリバー・ペレスから右腕のJ.J.プッツへ交代したため、打席に立つ前に左打ちのマイク・バクスターへ交代した[9]。3月25日にAAA級アルバカーキ・アイソトープスへ降格した。5月20日のソルトレイク・ビーズ戦ではミゲル・オリーボとグラウンド内で口論し、ダグアウトに戻った際にオリーボに殴られた後、耳を噛みちぎられ、試合途中でミゲル・ロハスと交代した[10]。同日に形成外科手術を行い、長期離脱することとなった[11]。7月10日にルーキー級アリゾナリーグ・ドジャースで復帰し、7試合に出場後、7月20日にA+級ランチョクカモンガ・クエークスへ昇格。A+級ランチョクカモンガでは5試合の出場で、打率.368を記録し、7月26日にAAA級アルバカーキへ昇格。AAA級アルバカーキでは32試合に出場し、打率.286・5本塁打・20打点・3盗塁だった。登録枠が拡大された9月1日にメジャーへ昇格。9月13日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦でエリック・コーディエからメジャー初安打を記録した[12]。この年は11試合に出場し、打率.077だった。

2015年は4月に代打起用ながら打率.423、5本塁打、13打点の活躍でルーキー・オブ・ザ・マンスに輝いた[13] が、7月以降失速。この年は106試合に出場し、打率.233・11本塁打・36打点・1盗塁の成績を残した。

2016年スプリングトレーニング中に膝を痛め、開幕から故障者リスト入りする[14]。5月31日にDFA[15]、6月8日に自由契約となった[16]

中日時代[編集]

2016年11月に中日ドラゴンズと契約する[17]。背番号は「42」、年俸は1億5000万円[18]

2017年シーズン序盤は苦戦したが徐々に日本の野球に適応していき、5月28日の対東京ヤクルトスワローズ戦から6月3日の対東北楽天ゴールデンイーグルス戦にかけて、球団新記録となる6試合連続本塁打を放つ。また、三塁手や左翼手などの守備をこなすなどとして[19]1年を通してチームの主力として貢献した。来日1年目で打率.279、35本塁打を記録し、本塁打王のタイトルを獲得した[20]。オフの残留交渉では、球団側は当初から「マネーゲームには応じない」姿勢を見せていた[21]。中日との残留交渉は決裂し、12月2日に球団から今季限りでの退団が発表され[22]自由契約公示された[23]

巨人時代[編集]

2017年12月15日、読売ジャイアンツと2年総額8億で契約合意した。背番号は5[24]

2018年は4月こそ打率.329、5本塁打と好スタートを切ったが、セ・パ交流戦前後から失速し、6月半ばにコンディション不良で二軍降格すると、首脳陣とのコミュニケーション不足が報道されるなど一軍復帰が8月26日までずれ込む。復帰直後こそ本塁打を量産したもののすぐに調子を落とし、終盤はスタメン落ちするようになり、15本塁打、40打点にとどまった。シーズン終了後には、中島宏之が入団したのに加え、成績不振で辞任した高橋由伸の後を受けて監督に就任した原辰徳の「背番号44は外国人大砲の番号だ」という意向も踏まえて、背番号が44に変更されることが発表された。

2019年は3月30日の広島東洋カープ戦で今季初スタメンで4打点を挙げたり[25]、4月2日の阪神タイガース戦では2試合連発の本塁打を放つ[26]など、幸先の良いスタートだったが、5月5日の時点で30試合に出場して打率.226 4本塁打、13打点と低迷し、5月6日に二軍に降格した[27]。一軍再昇格後は8月に本塁打を量産し、チームの再浮上に貢献した。最終的には本塁打は2年ぶりに20本、OPSは.850はクリアしたものの、一方で打率は9月に再び調子を落としたこともあり2割3分台にとどまり、不調の前年より更に下回った。9月15日の阪神戦では8回2死から2ランホームランを放ちチームを逆転勝利に導く活躍も見せたが、12月2日に自由契約となった[28]

巨人退団後[編集]

2021年5月、台湾プロ野球富邦ガーディアンズと契約するも、コロナ禍の影響により来台することができず9月26日に契約破棄となった[29]

選手としての特徴[編集]

内野・外野ならどこでも守れるユーティリティプレイヤーである[30]。 身長182cmとMLB選手の中では小柄ながら、2015年にMLBで11本のホームランを打つなど、長打力のあるバッターである[31]

一方で、チャンスには強くなく、本塁打もソロが多く、本塁打王だった2017年は35号中ソロ22本(約63パーセント)、2ラン8本、3ラン5本、得点圏打率.258、2018年は全15号中ソロ11本(約73パーセント)、2ラン4本であるため、ネット上では名前をもじって「ソローロ」とも呼ばれた。[32][33]

人物[編集]

同じキューバから亡命したヤディル・ドレイクと親交があり、ドレイクの日本球界行きにはゲレーロの助言があった[34]

詳細情報[編集]

年度別打撃成績[編集]

















































O
P
S
2014 LAD 11 13 13 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 6 0 .077 .077 .077 .154
2015 106 230 219 25 51 9 1 11 95 36 1 0 0 2 7 0 2 57 7 .233 .261 .434 .695
2017 中日 130 510 469 67 131 22 3 35 264 86 1 0 0 2 24 0 15 98 13 .279 .333 .563 .896
2018 巨人 82 323 287 34 70 17 0 15 132 40 2 3 0 1 29 0 6 62 8 .244 .325 .460 .785
2019 101 333 287 33 68 16 2 21 151 54 1 0 1 1 40 2 4 59 5 .237 .337 .526 .863
MLB:2年 117 243 232 25 52 9 1 11 96 36 1 0 0 2 7 0 2 63 7 .224 .251 .414 .665
NPB:3年 313 1166 1043 134 269 55 5 71 547 180 4 3 1 4 93 2 25 219 26 .258 .332 .524 .856
  • 2020年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

年度別守備成績[編集]



三塁(3B) 左翼(LF) 外野




































2014 LAD - 3 2 0 0 0 1.000 -
2015 22 10 34 1 3 .978 29 29 1 2 0 .938 -
2017 中日 32 20 53 3 3 .961 - 89 146 7 1 1 .994
2018 巨人 - - 76 103 2 3 0 .972
2019 - - 89 105 3 1 0 .991
MLB 22 10 34 1 3 .978 32 31 1 2 0 .941 -
NPB 32 20 53 3 3 .961 - 254 354 12 5 1 .987
  • 2020年度シーズン終了時

タイトル[編集]

NPB

表彰[編集]

記録[編集]

NPB初記録
NPBその他の記録

背番号[編集]

  • 7 (2014年 - 2015年)
  • 42 (2017年)
  • 5 (2018年)
  • 44 (2019年)

登場曲[編集]

  • 「Pa' La Camara」Chacal(2017年)
  • 「Superbien」El Taiger(2018年-2019年6月)
  • 「Caro」Bad Bunny(2019年7月 - 同年終了)

代表歴[編集]

  • 2011 ワールド・ポート・トーナメント キューバ代表
  • 2012 ハーレム・ベースボール・ウィーク キューバ代表

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ スペイン語の発音記号変換ツール”. easypronunciation.com. 2021年6月5日閲覧。
  2. ^ Mike Rosenbaum (2013年7月24日). “Complete Scouting Profile on Cuban Middle Infielder Alexander Guerrero” (英語). bleacher report. 2013年12月29日閲覧。
  3. ^ Cuba announces 22-Man Roster for World Port Tournament” (英語). Mister Baseball (2011年5月28日). 2013年12月29日閲覧。
  4. ^ 2012 Haarlem Baseball Week” (英語). Baseball Reference. 2013年12月29日閲覧。
  5. ^ Alexander Guerrero Cleared To Sign With MLB Teams”. MLB Trade Rumors (2013年9月9日). 2013年12月29日閲覧。
  6. ^ "Dodgers sign Alexander Guerrero" (Press release) (英語). MLB.com (Los Angeles Dodgers). 22 October 2013. 2013年12月29日閲覧
  7. ^ Mike Axisa (2013年10月21日). “Dodgers agree to sign Cuban IF Alex Guerrero for $28 million”. CBS Sports. 2013年12月29日閲覧。
  8. ^ Alexander Guerrero debuta el jueves con Gigantes”. Gigantes del Cibao. 2013年12月29日閲覧。
  9. ^ Scores for Mar 22, 2014”. ESPN MLB (2014年3月22日). 2014年3月23日閲覧。
  10. ^ MAY 20, 2014”. MiLB.com (2014年5月20日). 2014年5月22日閲覧。
  11. ^ Ken Gurnick (2014年5月21日). “Olivo suspended for dugout fracas at Triple-A” (英語). MLB.com. 2016年12月20日閲覧。
  12. ^ Scores for Sep 13, 2014” (英語). ESPN MLB (2014年9月13日). 2015年1月9日閲覧。
  13. ^ Eric Stephen (2015年5月4日). “Alex Guerrero named April NL Rookie of the Month” (英語). SB Nation. 2016年6月3日閲覧。
  14. ^ J.P. Hoornstra (2016年3月31日). “Alex Guerrero lands on LA Dodgers’ expansive disabled list” (英語). LA Daily News. 2016年6月3日閲覧。
  15. ^ Eric Stephen (2016年5月31日). “Dodgers designate Alex Guerrero for assignment”. SB Nation. 2016年6月3日閲覧。
  16. ^ Bill Plunkett (2016年6月8日). “Dodgers lineups: Dodgers release Alex Guerrero” (英語). Orange County Register. 2016年8月8日閲覧。
  17. ^ 新外国人選手獲得のお知らせ 中日球団公式サイト 2016年11月26日配信。[リンク切れ]
  18. ^ 中日、ゲレーロ獲得発表 メジャー経験持つ右打者 年俸1・5億 スポニチWeb 2016年11月26日 19:34掲載
  19. ^ 【中日】ゲレーロが球団新の6試合連続本塁打…9回2死から左中間席へ16号ソロ スポーツ報知 2017年6月3日。これまでの球団記録は、大島康徳(1979年)、ケン・モッカ(1984年)、落合博満(1989年)、大豊泰昭(1996年)、福留孝介(2003年)、タイロン・ウッズ(2005年)の6人による5試合連続だった。
  20. ^ [1] 日本野球機構公式サイト
  21. ^ 中日ゲレーロ去就は早期決着 球団マネーゲーム否定 日刊スポーツ 2017年9月26日 10:13掲載
  22. ^ 中日、ゲレーロの退団発表  西山球団代表「誠に残念」 スポニチWeb 2017年12月2日 9:19掲載
  23. ^ 2017年度 自由契約選手 日本野球機構オフィシャルサイト 2017年12月4日閲覧。
  24. ^ 【巨人】前中日ゲレーロ獲得発表 背番号「5」に決定「リーグ優勝へ全力を尽くします」”. スポーツ報知 (2017年12月15日). 2017年12月15日閲覧。
  25. ^ 丸3四球、ゲレーロ4打点、巨人が広島に勝利/詳細 日刊スポーツ(2019年3月30日)
  26. ^ 巨人ゲレーロ2戦連発3ラン「バモス」ガルシア撃ち 日刊スポーツ(2019年4月2日)
  27. ^ 【巨人】異例の助っ人4人同時入れ替え…アダメス、マル昇格でゲレ、ビヤ2軍 スポーツ報知(2019年5月6日)
  28. ^ 自由契約選手”. npb.jp. NPB. 2020年3月2日閲覧。
  29. ^ https://www.cna.com.tw/news/aspt/202109260125.aspx
  30. ^ 中日 ゲレーロ獲得 森監督「もちろんクリーンアップ」 スポニチWeb 2016年11月27日 05:30 掲載
  31. ^ 中日、ゲレーロ獲得発表 メジャー経験持つ右打者 年俸1・5億 スポニチWeb 2016年11月26日 19:34 掲載
  32. ^ 5年連続Bクラス中日の外国人査定 退団ゲレーロは35発も…得点圏打率.258 Full-count 2017年12月3日
  33. ^ ソローロ”巨人・ゲレーロ “看板”返上2号3ラン&猛打賞で打率・583 デイリースポーツ 2019年4月2日
  34. ^ 日本ハム、プレミア12メキシコ代表の新助っ人を獲得! 「北海道の人々の温かさをたくさん聞いた」 ベースボールチャンネル (2017年6月29日) 2017年8月3日閲覧

関連項目[編集]

外部リンク[編集]