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'''{{lang|en|AMBAC}}'''(アンバック、{{lang-en-short|active mass balance auto control}}。能動的質量移動による自動姿勢制御)とは、[[アニメ]]『[[ガンダムシリーズ一覧|ガンダムシリーズ]]』において登場する作品中の[[架空]]の技術の名称。 |
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AMBACは、[[宇宙空間]]において可動肢の一部分を高速で動かすことで発生する[[運動の第3法則|反作用]]を、[[モビルスーツ]]や[[モビルアーマー]]の機体全体の[[姿勢制御]]に利用するものである。[[バーニヤ|バーニア]]や[[スラスター]]のように[[ロケットエンジンの推進剤|推進剤]]の消費がないことから、宇宙空間ではデッドウェイトになると考えられていたモビルスーツの可動肢(腕部や脚部)が、有用な[[姿勢制御システム]]として働くことになった。 |
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[[一年戦争]]終結後、四肢とは別に可動肢を設け、テールスタビレーターやフレキシブルバインダーとして、積極的に機体の姿勢制御を行う形に発展した。 |
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しかし、実際のガンダムシリーズの劇中では[[動画 (アニメーション)|作画]]が複雑になりすぎるためほとんど描写されておらず、ほぼすべての作品でモビルスーツやモビルアーマーはバーニア噴射によって(時にそれさえなしで)空間機動や飛行を行なっている。例外として、短編[[コンピュータグラフィックス]]作品『[[GUNDAM EVOLVE|{{lang|en|GUNDAM EVOLVE II RX-178 GUNDAM Mk-II}}]]』にて、[[ガンダムMk-II]]の空間戦闘シーンにおいて |
しかし、実際のガンダムシリーズの劇中では[[動画 (アニメーション)|作画]]が複雑になりすぎるためほとんど描写されておらず、ほぼすべての作品でモビルスーツやモビルアーマーはバーニア噴射によって(時にそれさえなしで)空間機動や飛行を行なっている。例外として、短編[[コンピュータグラフィックス]]作品『[[GUNDAM EVOLVE|{{lang|en|GUNDAM EVOLVE II RX-178 GUNDAM Mk-II}}]]』にて、[[ガンダムMk-II]]の空間戦闘シーンにおいてAMBACによる姿勢制御の表現が行われている。 |
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『[[ガンダムSEED MSV]]』では、[[M1アストレイ#M1Aアストレイ|M1Aアストレイ]]など宇宙戦用のモビルスーツで、機能がAMBACに特化した可動肢が使用されている。『[[機動戦士ガンダムAGE]]』では、[[小太刀右京]]によるノベライズ版に{{lang|en|AMBAC}}への言及がある。 |
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===現実世界での経緯=== |
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この技術は、日本でのテレビ放送終了後の1981年、[[みのり書房]]の[[ムック (出版)|ムック]]『[[ガンダムセンチュリー|宇宙翔ける戦士達 GUNDAM CENTURY]]』の記事内で発表された。当時のアニメの制作スタッフとは無関係に、宇宙空間における人型兵器の存在を合理化できる作品世界に存在する技術として、(後にガンダムシリーズの設定考証を担当することとなる)[[森田繁]]が学生時代に考案した(本来は)非公式の設定である。この記事では[[宇宙世紀の企業#ジオニック|ジオニック]]社による発明とされ、[[核融合炉]]と四肢を稼働させる流体パルスシステムの組み合わせにより巨大な機体の姿勢制御が可能、腕部を先端の加速100[[重力加速度|G]]以上で振ることで、180度旋回に3秒と要しない、とされている。 |
この技術は、日本でのテレビ放送終了後の[[1981年]]、[[みのり書房]]の[[ムック (出版)|ムック]]『[[ガンダムセンチュリー|宇宙翔ける戦士達 GUNDAM CENTURY]]』の記事内で発表された。当時のアニメの制作スタッフとは無関係に、宇宙空間における人型兵器の存在を合理化できる作品世界に存在する技術として、(後にガンダムシリーズの設定考証を担当することとなる)[[森田繁]]が学生時代に考案した(本来は)非公式の設定である。この記事では[[宇宙世紀の企業#ジオニック|ジオニック]]社による発明とされ、[[核融合炉]]と四肢を稼働させる流体パルスシステムの組み合わせにより巨大な機体の姿勢制御が可能、腕部を先端の加速100[[重力加速度|G]]以上で振ることで、180度旋回に3秒と要しない、とされている。 |
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<!--*実際の姿勢制御では、腕のように稼動範囲が限定されていない、何らかの物体を動かした方が有効である。--> |
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*実際の[[宇宙機]]などでも、姿勢制御にスラスターを使うことには複数の問題があるので(推進剤を消費する、噴射機構は比較的複雑でありトラブルの可能性が高い、姿勢だけでなく軌道に影響する)、[[モーメンタムホイール]]等と呼ばれる角運動量を保存させる一種のフライホイールを併用して姿勢制御を行っている。 |
* 実際の[[宇宙機]]などでも、姿勢制御にスラスターを使うことには複数の問題があるので(推進剤を消費する、噴射機構は比較的複雑でありトラブルの可能性が高い、姿勢だけでなく軌道に影響する)、[[モーメンタムホイール]]等と呼ばれる角運動量を保存させる一種のフライホイールを併用して姿勢制御を行っている。 |
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*さらに複雑な形状(たとえば、ヒト型)における、手脚を用いた姿勢制御自体は、現実に[[宇宙飛行士]]が[[宇宙遊泳|船外活動]]においてよく使っている操作手法であるが、「 |
* さらに複雑な形状(たとえば、ヒト型)における、手脚を用いた姿勢制御自体は、現実に[[宇宙飛行士]]が[[宇宙遊泳|船外活動]]においてよく使っている操作手法であるが、「AMBAC」はあくまで架空の呼称であり、現実のそれを指して(専門用語として)使われることは通常はない。 |
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* なお、AMBACについて、力学的な、さらに実際の技術にもとづき検討や考察を行った例はあり、[[計測自動制御学会]]の学会誌『計測と制御』43巻1号8 - 9頁に紹介されている。 |
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==参考文献== |
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*みのり書房「[[月刊OUT|月刊{{lang|en|OUT}}]]」別冊『[[ガンダムセンチュリー|宇宙翔ける戦士達 {{lang|en|GUNDAM CENTURY]}}]』(1981年発行。2000年、樹想社より再版)ISBN 4-87777-028-3 |
* みのり書房「[[月刊OUT|月刊{{lang|en|OUT}}]]」別冊『[[ガンダムセンチュリー|宇宙翔ける戦士達 {{lang|en|GUNDAM CENTURY]}}]』(1981年発行。2000年、樹想社より再版)ISBN 4-87777-028-3 |
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==関連項目== |
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*[[慣性モーメント]] |
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*[[リアクションホイール]] —{{lang|en|AMBAC}}に代わり現実に用いられている技術 |
* [[リアクションホイール]] —{{lang|en|AMBAC}}に代わり現実に用いられている技術 |
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==外部リンク== |
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*[http://www.aist.go.jp/RRPDB/system/Koukai.detail?comUketsuke=2003017833 産業技術総合研究所のデータベースに見える紹介] |
* [http://www.aist.go.jp/RRPDB/system/Koukai.detail?comUketsuke=2003017833 産業技術総合研究所のデータベースに見える紹介] |
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*[http://www.robonable.jp/ 日刊工業新聞社 {{lang|en|Robonable}}] |
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*[http://robonable.typepad.jp/roboist/2009/02/1-ambac-1d2e.html 第1回「モビルスーツの力学と制御 -AMBACシステム、ガンダムハンマーの制御を分析-(前編)」] |
* [http://robonable.typepad.jp/roboist/2009/02/1-ambac-1d2e.html 第1回「モビルスーツの力学と制御 -AMBACシステム、ガンダムハンマーの制御を分析-(前編)」] |
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*[http://robonable.typepad.jp/roboist/2009/02/2-ambac-aef6.html 第2回「モビルスーツの力学と制御 -AMBACシステム、ガンダムハンマーの制御を分析-(後編)」] |
* [http://robonable.typepad.jp/roboist/2009/02/2-ambac-aef6.html 第2回「モビルスーツの力学と制御 -AMBACシステム、ガンダムハンマーの制御を分析-(後編)」] |
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[[en:Universal Century technology#AMBAC]] |
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2018年4月24日 (火) 15:58時点における版
AMBAC(アンバック、英: active mass balance auto control。能動的質量移動による自動姿勢制御)とは、アニメ『ガンダムシリーズ』において登場する作品中の架空の技術の名称。
概要
作品世界での経緯
AMBACは、宇宙空間において可動肢の一部分を高速で動かすことで発生する反作用を、モビルスーツやモビルアーマーの機体全体の姿勢制御に利用するものである。バーニアやスラスターのように推進剤の消費がないことから、宇宙空間ではデッドウェイトになると考えられていたモビルスーツの可動肢(腕部や脚部)が、有用な姿勢制御システムとして働くことになった。
一年戦争終結後、四肢とは別に可動肢を設け、テールスタビレーターやフレキシブルバインダーとして、積極的に機体の姿勢制御を行う形に発展した。
しかし、実際のガンダムシリーズの劇中では作画が複雑になりすぎるためほとんど描写されておらず、ほぼすべての作品でモビルスーツやモビルアーマーはバーニア噴射によって(時にそれさえなしで)空間機動や飛行を行なっている。例外として、短編コンピュータグラフィックス作品『GUNDAM EVOLVE II RX-178 GUNDAM Mk-II』にて、ガンダムMk-IIの空間戦闘シーンにおいてAMBACによる姿勢制御の表現が行われている。
『ガンダムSEED MSV』では、M1Aアストレイなど宇宙戦用のモビルスーツで、機能がAMBACに特化した可動肢が使用されている。『機動戦士ガンダムAGE』では、小太刀右京によるノベライズ版にAMBACへの言及がある。
現実世界での経緯
この技術は、日本でのテレビ放送終了後の1981年、みのり書房のムック『宇宙翔ける戦士達 GUNDAM CENTURY』の記事内で発表された。当時のアニメの制作スタッフとは無関係に、宇宙空間における人型兵器の存在を合理化できる作品世界に存在する技術として、(後にガンダムシリーズの設定考証を担当することとなる)森田繁が学生時代に考案した(本来は)非公式の設定である。この記事ではジオニック社による発明とされ、核融合炉と四肢を稼働させる流体パルスシステムの組み合わせにより巨大な機体の姿勢制御が可能、腕部を先端の加速100G以上で振ることで、180度旋回に3秒と要しない、とされている。
備考
- 実際の宇宙機などでも、姿勢制御にスラスターを使うことには複数の問題があるので(推進剤を消費する、噴射機構は比較的複雑でありトラブルの可能性が高い、姿勢だけでなく軌道に影響する)、モーメンタムホイール等と呼ばれる角運動量を保存させる一種のフライホイールを併用して姿勢制御を行っている。
- さらに複雑な形状(たとえば、ヒト型)における、手脚を用いた姿勢制御自体は、現実に宇宙飛行士が船外活動においてよく使っている操作手法であるが、「AMBAC」はあくまで架空の呼称であり、現実のそれを指して(専門用語として)使われることは通常はない。
- なお、AMBACについて、力学的な、さらに実際の技術にもとづき検討や考察を行った例はあり、計測自動制御学会の学会誌『計測と制御』43巻1号8 - 9頁に紹介されている。
参考文献
- みのり書房「月刊OUT」別冊『[[ガンダムセンチュリー|宇宙翔ける戦士達 GUNDAM CENTURY]]』(1981年発行。2000年、樹想社より再版)ISBN 4-87777-028-3
関連項目
- 慣性モーメント
- リアクションホイール —AMBACに代わり現実に用いられている技術