ユンカース・カム・ヒア

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ユンカース・カム・ヒア
ジャンル ファンタジー
小説:ユンカース・カム・ヒア
著者 木根尚登
出版社 CBSソニー出版
その他の出版社
角川書店
刊行期間 1990年1月25日 - 1990年11月22日
巻数 全2巻
ラジオドラマ:ユンカース・カム・ヒア
原作 木根尚登
脚本 成田勝也(脚色)
演出 千葉守
放送局 NHK-FM放送
発表期間 1991年4月1日 - 1991年4月12日
ラジオドラマ:ユンカース・カム・ヒア Pt.2
原作 木根尚登
脚本 成田勝也(脚色)
演出 千葉守
放送局 NHK-FM放送
発表期間 1991年8月12日 - 1991年8月23日
OVA:ユンカース・カム・ヒア メモリーズ・オブ・ユー
原作 木根尚登
監督 中村隆太郎(演出)
キャラクターデザイン 前田実
音楽 KENJIRO
アニメーション制作 トライアングルスタッフ
製作 テレビ朝日木下プロダクションバンダイビジュアル
発売日 1994年7月20日
漫画:ユンカース・カム・ヒア
作者 木根尚登(原作)
森永あい(漫画)
出版社 角川書店
レーベル あすかコミックス
発表期間 1994年9月7日 - 1995年9月13日
巻数 全4巻
映画:劇場版 ユンカース・カム・ヒア
原作 木根尚登
監督 佐藤順一
脚本 布施博一
キャラクターデザイン 小松原一男
音楽 木根尚登
制作 トライアングルスタッフ
製作 バンダイビジュアル・角川書店
配給 ギャガ・コミュニケーションズ
封切日 1995年3月18日
上映時間 100分
朗読劇:ユンカース・カム・ヒア 〜しゃべる犬と小さなキセキの物語〜

2012年7月3日 - 7月8日公演、ル テアトル銀座

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プロジェクト 漫画アニメ
ポータル 文学漫画アニメ

ユンカース・カム・ヒア』(Junkers Come Here)は、1990年CBSソニー出版より発行された木根尚登TM NETWORK)の小説

または、それをもとに公開されたアニメ映画ラジオドラマ等のメディアミックス作品。

概要[編集]

本作は木根尚登が、同じTM NETWORKのメンバーだった小室哲哉が飼っていたミニチュア・シュナウザー犬を主人公に描いたファンタジー小説である[1]。木根にとって処女作『CAROL』に続く小説第二弾で、1990年1月に発表された[1]。同年11月、続編となる『ユンカース・カム・ヒアⅡ』を出版。累計発行部数は50万部を記録[2]。その後、コミック、ラジオドラマ、朗読劇、OVAや映画など、様々なメディアミックス展開がなされた。全国小・中・高認定図書にも選ばれた。

ストーリー中に出てくるミニチュア・シュナウザーの「ユンカース」は、小室哲哉がイギリスロンドン滞在時にペットショップで購入し飼っていた同名の犬がモデル。このペットショップは、イギリスのバンドペットショップボーイズの名前の由来となったメンバーの友人が働いてた店であった。躾は全て英語で行われていたため、小室がユンカースに対し「Junkers, come here(ユンカース、おいで)」と呼びかけるのを、木根が何度か耳にしていたことがタイトルの由来となった[3]。その後、モデルのユンカースは小室の元妻である大谷香奈子の元で、2005年6月6日に亡くなるまで育てられた[4]

1995年には『美少女戦士セーラームーン』『おジャ魔女どれみ』などのヒット作を多く手がけた佐藤順一の監督により劇場アニメが制作され<ref">佐藤順一監督:アニメで子供に伝えたい「気付き」 世界は「思っていたよりすてきかもしれない」”. MANTANWEB(まんたんウェブ). 株式会社MANTAN (2020年6月28日). 2022年1月17日閲覧。</ref>、木根は映画の音楽を制作したほか、声優も担当した。公開年の毎日映画コンクールアニメーション映画賞を受賞するが、公開当時はあまり評判にならなかった[5]。上映館数も少なく、興行的に成功しなかったため、映像作品の発売は行われず、"幻の作品"になってしまった[5]。その後、『ユンカース・カム・ヒア』を観る会の結成、映画の舞台になっている東急世田谷線沿線の下高井戸シネマでの上映会、主人公の通う学校のモデルになった世田谷区立赤堤小学校での上映など、作品に感動した熱心なファンが地道な上映活動を続けたおかげで、本作の名は徐々に知られるようになって行った[5]。そしてBSCSなどの放送を経て、2001年にようやくDVDが発売された[5]

2018年2月24日、新文芸坐が行っているオールナイトのアニメ上映イベント「新文芸坐×アニメスタイル セレクション」が100回を迎えたことを記念して、これまでのプログラムから選りすぐった作品をラインナップして上映する「新文芸坐×アニメスタイル セレクション vol.100 100回記念シリーズ Best of Best」を開催。その第一回の4作品中の1本に本作品が選出された。上映日には佐藤順一監督も登壇してトークショーを行う[6]

あらすじ[編集]

ユンカース・カム・ヒア[編集]

十六歳の麻生瞳は、ある日、ロンドンペットショップで一匹のシュナウツァー犬、ユンカースに出会った。それは言葉を喋れる不思議な力を持った犬だった。

ユンカース・カム・ヒアⅡ[編集]

三つの奇跡を残して姿を消したユンカース。瞳と両親はありとあらゆる手を尽くしてユンカースを探したが、その行方はわからないままだった。二年の月日が過ぎて高校を卒業した瞳は、わずかな望みをかけて、ユンカースと初めて出会ったロンドンへと向かう決意をする。

登場人物[編集]

ユンカース
主人公。ミニチュア・シュナウザー犬。人間の言葉をしゃべり、不思議な力を持つ。名前の由来はドイツの航空機ユンカース
麻生瞳(あそう ひとみ)
ヒロイン。16歳の女子高生。代官山のマンションに住む。
麻生秀一郎(あそう しゅういちろう)
瞳の父。貿易会社の社長で麻生グループの会長。
麻生久美子(あそう くみこ)
瞳の母で夫とは離婚している。ジャズシンガー。
田代順(たしろ じゅん)
瞳の叔父(久美子の弟)。レコード会社に勤め、世界を股にかけて仕事をしている。

書籍情報[編集]

  • 『ユンカース・カム・ヒア』単行本(CBS・ソニー出版、1990年1月25日) ISBN 978-4789705110
  • 『ユンカース・カム・ヒアⅡ』単行本(CBS・ソニー出版、1990年11月22日) ISBN 978-4789705745
  • 『ユンカース・カム・ヒア』文庫本(角川文庫、1993年3月25日) ISBN 978-4041794029
  • 『ユンカース・カム・ヒア2』文庫本(角川文庫、1995年2月25日) ISBN 978-4041794043

ラジオドラマ[編集]

ラジオドラマ化され、NHK-FM放送ラジオドラマ番組「サウンド夢工房」で放送された。

  • 『ユンカース・カム・ヒア』(全10回、初放送:1991年4月1日 - 4月12日、再放送:1991年7月29日 - 8月9日)
  • 『ユンカース・カム・ヒア Pt.2』(全10回、初放送:1991年8月12日 - 8月23日)

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

  • 原作:木根尚登
  • 脚色:成田勝也
  • 演出:千葉守
  • イメージソング 谷村有美『愛は元気です。』(作詞 - 戸沢暢美 / 作曲 - 谷村有美 / 編曲 - 西脇辰弥

OVA[編集]

ユンカース・カム・ヒア メモリーズ・オブ・ユー』のタイトルでOVA化され、1994年7月20日にバンダイビジュアルよりVHSビデオが発売された。キャラクターとストーリーはアニメオリジナルのものになっている。また翌年に公開された劇場アニメは、本作とは別物である。当初、テレビ朝日のテレビドラマ『クニさんちの魔女たち』(1994年4月11日-6月27日)の劇中アニメとして放映された。主役の4姉妹の声優は、ドラマに出演していた主人公の岡村4姉妹の女優それぞれが担当している。

あらすじ[編集]

言葉を操り三つの「奇跡」を起こすことのできる不思議な犬ユンカースが暮らすことになった有村家は、30歳の長女から小学生の四女までの四姉妹だけで生活していた。母親は10年前パリで行方不明となり、その心労から父親もすでに亡くなっていた。ある日、テレビでパリ在住の新進デザイナーとして紹介された日本女性を見て四姉妹は呆然とする。あまりに行方不明の母親にそっくりだったからである。四姉妹は、ユンカースと共にパリへと旅立った。

登場人物[編集]

スタッフ[編集]

漫画[編集]

森永あいによる漫画[7]。キャラクターや基本設定は原作のものを使用しているものの、内容は原作とはかなり異なる漫画オリジナルとなっている。

アニメ映画[編集]

劇場版 ユンカース・カム・ヒア
監督 佐藤順一
脚本 布施博一(脚色)
原作 木根尚登
製作 渡辺繁(企画)
高梨実(プロデューサー)
横山和夫(プロデューサー)
浅利義美(プロデューサー)
出演者 押谷芽衣
古本新之輔
峰野勝成
玉川紗己子
木根尚登
紺野美沙子
音楽 木根尚登
主題歌 木根尚登『ホントの君 ウソの君』
撮影 玉川芳行
編集 瀬山武司
制作会社 トライアングルスタッフ
製作会社 バンダイビュジュアル・角川書店
配給 ギャガ・コミュニケーションズ
公開 日本の旗 1995年3月18日
上映時間 100分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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劇場版 ユンカース・カム・ヒア』として1995年3月18日に公開された[5]。1995年の毎日映画コンクールアニメーション映画賞受賞作品。

本作でアニメ版のスタッフは、「人の言葉を話す犬ユンカース」と「3つの願い」という部分のみを生かして、まったく新しい物語を作り出している[5]。アニメ的な誇張を排したキャラクターによるどちらかといえば地味なアニメであり、デフォルメやギャグも控えめで、大きな事件も起こらない[5]。小学6年生の少女の年上の家庭教師への憧れや留守がちな両親への複雑な想いを描きながら、淡々と物語は進むという、少女の心情を丹念に描いた誠実な作品である[5]アニメーション監督細田守は本作について、「アニメという手段でひとりの女の子の"実在感"を実写作品以上に強く浮き上がらせた」と絶賛している[8]

あらすじ[編集]

共働きで忙しい両親を持つ小学6年生の女の子、ひろみ。それでも彼女が元気でいられるのには理由があった。それは、1匹のシュナウツァー犬がずっとそばにいてくれたからだ。人間の言葉を話す不思議な犬、ユンカースが彼女を励ましてくれたおかげで彼女は寂しい思いをせずに済んでいた。ところがある日、ひろみは両親が離婚について話すのを立ち聞きしてしまう。思わぬことに動揺する彼女。しかし、両親の気持ちを何とか理解しようとする彼女は、「寂しい」という一言をどうしても言い出せなかった。そんな時、ユンカースが「君が願えば、ぼくは3つだけ奇跡を起こすことができるんだ」と告げる。

登場人物[編集]

野沢ひろみ(のざわ ひろみ)
声 - 押谷芽衣
ヒロイン。小学校6年生で、野沢家の一人娘。
ユンカース
声 - 古本新乃輔
野沢家に飼われているミニチュア・シュナウザー犬。ある日突然人と会話できるようになるが、そのことはひろみしか知らない。自称「3つだけ奇跡を起こすことができる」。テレビの時代劇を見るのが趣味。
野沢新太郎(のざわ しんたろう)
声 - 木根尚登
ひろみの父親。コマーシャルフィルムの監督をしており、ロケ等で家を空けがち。
野沢鈴子(のざわ すずこ)
声 - 紺野美沙子
ひろみの母親で、キャリアウーマン。家庭観・仕事観のことで夫と対立している。
木村圭介(きむら けいすけ)
声 - 峰野勝成
ひろみの家庭教師で大学4年生。ひろみの憧れの人。
井上洋子(いのうえ ようこ)
声 - 玉川紗己子
圭介の婚約者。人形劇団に所属している。
森田文江(もりた ふみえ)
声 - 中島啓江
野沢家の家政婦。お茶目な性格で、秘かに圭介のことが好きだった。

スタッフ[編集]

サウンドトラック[編集]

劇場映画「ユンカース・カム・ヒア」オリジナル・サウンドトラック(1995年4月21日、アポロン)。

ドラマアルバム[編集]

ドラマアルバム『ユンカース・カム・ヒア』(1995年11月21日、アポロン)。劇場版にオリジナル部分を加えたドラマCD

朗読劇[編集]

朗読劇『ユンカース・カム・ヒア 〜しゃべる犬と小さなキセキの物語〜』として2012年7月3日から7月8日までル テアトル銀座にて上演された[9]

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

  • 原作:木根尚登
  • 脚本:小林弘利
  • 演出:滝井サトル
  • 音楽:山本姫子
  • プロデュース:村上明子、上野真香人

YouTube「ユンカースチャンネル」[編集]

2020年、小説『ユンカース・カム・ヒア』の出版30周年を記念して、YouTubeに「ユンカースチャンネル」が開設された[10]。トーク番組やリーディングドラマ(朗読劇)の配信を行う[10]

出典[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b “しゃべる犬”のファンタジー。木根尚登原作の朗読劇『ユンカース・カム・ヒア』が開幕”. ORICON NEWS. オリコン (2012年7月4日). 2022年1月17日閲覧。
  2. ^ 米澤賢一の影の仕掛人 第5回 design f デザイン-エフ 代表 大谷香奈子さん、マルチメディアブロードキャスティング(JCC株式会社)(2016/11/9閲覧)
  3. ^ 日本衛星放送『TMN EXPO』第2回、1991年11月17日放送。
  4. ^ design f HISTORY
  5. ^ a b c d e f g h サントラ千夜一夜 第123回 奇跡の思い出 〜ユンカース・カム・ヒア〜”. WEBアニメスタイル. 株式会社スタイル (2018年1月9日). 2022年1月17日閲覧。
  6. ^ 「ユンカース・カム・ヒア」「アリーテ姫」など4作がイベント上映、監督トークも”. コミックナタリー (2018年2月2日). 2018年2月6日閲覧。
  7. ^ のとほのか (2019年8月9日). “『山田太郎ものがたり』作者・森永あいさん、8月2日に逝去 悲しみの声広がる「どの作品も大好きだった」”. ねとらぼ. アイティメディア. 2022年1月17日閲覧。
  8. ^ ヒナタカ (2017年8月18日). “『サマーウォーズ』の素晴らしさ徹底解説!ポイントは“責任”と“肯定””. cinemas PLUS. フォンテーン、ギークピクチュアズ. 2022年1月17日閲覧。
  9. ^ 朗読劇『ユンカース・カム・ヒア』オフィシャルサイト 公演日程・チケット情報.2012年5月11日閲覧。[リンク切れ]
  10. ^ a b 木根尚登『ユンカース・カム・ヒア』出版30周年記念 トーク番組や朗読劇をYouTube配信 新曲書き下ろし”. amass.jp (2020年7月17日). 2022年1月17日閲覧。

外部リンク[編集]