平成狸合戦ぽんぽこ

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平成狸合戦ぽんぽこ
監督 高畑勲
脚本 高畑勲
製作 鈴木敏夫
出演者 野々村真
石田ゆり子
清川虹子
泉谷しげる
音楽 紅龍
上々颱風ほか
制作会社 スタジオジブリ
製作会社 徳間書店
日本テレビ放送網
博報堂
配給 東宝
公開 日本の旗 1994年7月16日
上映時間 119分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 44.7億円[1]
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平成狸合戦ぽんぽこ』(へいせいたぬきがっせんぽんぽこ、英題: Pom Poko)は、1994年7月16日公開のスタジオジブリ制作の劇場アニメ作品。原作・監督・脚本は高畑勲

開発が進む多摩ニュータウン多摩市)を舞台に、その一帯のが化学(ばけがく)を駆使して人間に対し抵抗を試みる様子を描く作品。数年に1度、日本テレビ金曜ロードSHOW!』枠で放送されている。スタジオ内の初のCG使用作品でもある。

1994年の邦画・配給収入トップ26億円を記録した[2]日本で「ジブリがいっぱいCOLLECTION」シリーズとして発売されたセルビデオは、40万本を出荷した[3]

あらすじ[編集]

昭和40年代、多摩丘陵では多くの狸たちが楽しく暮らしていたが、ニュータウン建設による野山の破壊が迫っていた。餌の不足から縄張り争いまで起こったある日、多摩中の狸たちは結集し、総会を開いて長老の鶴亀和尚を議長に据え、開発阻止を決議する。伝統的変化術である化学(ばけがく)の復興と、四国佐渡の化け狸に助力を乞うことが決定される。

年が明けると、古狸の火の玉おろくから化学を教わった狸たちは、建設工事への抵抗を始める。開発業者のトラックを事故に追い込む過激派もいれば、地蔵稲荷神社の狐に化けて住民の信仰心に訴えるものもあった。古典的なお化けにばけて人間を驚かすゲリラ作戦も展開された。

二年目になると、長老狸に助力を要請するため玉三郎文太がそれぞれ四国と佐渡に派遣される。狸たちの抵抗運動は、一部の地権者や作業員に工事を思い止まらせたり、工事設備を破壊したりと部分的には成果を出し、「ニュータウンの怪」としてマスコミを賑わせるが、全体としては開発を阻止できない。

抵抗運動がはじまって三年目、減っていく森に狸たちはいよいよ困窮していた。早期決戦を主張する強硬派の権太と慎重派の正吉たちが対立しているところに、四国から三長老の太三朗禿狸隠神刑部六代目金長を伴って玉三郎が帰郷する。三長老の指導のもと、狸への畏怖心を呼び覚ますために「妖怪大作戦」が発動される。狸たちが総力を挙げて具現化した百鬼夜行がニュータウンを襲い、作戦のさなか隠神刑部は精根尽きはて落命する。しかし、ニュータウン住民には拍手喝采のイリュージョンにしか映らず、あげくにレジャーランドの宣伝に利用されてしまう。

大作戦が失敗に終わると、狸たちは意気消沈し結束が乱れてゆく。レジャーランドの社長を抱き込んだ多摩の化け狐が金長に接触し、化学を駆使して人間社会で生きる方がよいと唆すが、金長と婿の玉三郎は社長から一億円を巻き上げる。太三朗禿狸は変化できない狸たちを巻き込んで踊念仏をはじめ、ついには宝船に変化して多摩川に繰り出し、浮かれ騒ぎながら死出の旅に出る(補陀落渡海)。鶴亀和尚はテレビ局に妖怪大作戦の犯行声明を送り付け、カメラの前で訴えようとするが、取材に訪れたのは興味本位のワイドショーだった。権太たち強硬派は姿を表して工事現場に座り込み、導入された警視庁機動隊と戦うが、敗北の末にトラックに轢かれて命を落としてしまう。

四年目、佐渡から文太が帰還する。佐渡の団三郎狸は半世紀前に死んでいたことがやっと分かったのだった。文太は故郷の変わりように愕然とし、まるで人間に化かされているようだと慟哭する。正吉の提案で、残った化け狸たちは力を結集し、かつての美しい多摩丘陵の幻を人間たちに見せつける。これが多摩の狸たちの抵抗の最後になった。

その後、狸たちはちりぢりになり、化学を使える狸は人間として生きる道を選び、変身できない狸たちはニュータウンの片隅でひっそり暮らすようになる。正吉はストレスに耐えながら会社員として暮らしていた。ある晩、仕事帰りの正吉は、ぽん吉らかつての仲間が宴会を開いて騒いでいるのを見つける。正吉は狸の姿になってぽん吉の元へ駆けつけ、再会を喜びあう。

キャッチコピー[編集]

  • 「タヌキだってがんばってるんだよォ」(糸井重里

キャラクター[編集]

語り
終盤で、正吉が回想して語っていることが判明する。
正吉
本名影森の正吉。冷静な性格で思考が人間臭い。狸たちの実質的なリーダー的存在。終盤では人間のサラリーマンとして生活している。
おキヨ
本名縁切り寺のキヨ。正吉のとなり、4匹の子狸を授かる。終盤ではスナックで働いている。なお、正吉とおキヨが演じた「双子の星作戦」の名称とその時の台詞は、宮沢賢治の童話「双子の星」からとったものである。
鶴亀和尚
ぼたもち山万福寺に住み着く狸。年齢は105歳。僧侶らしく、術による作戦で人間の命を奪った形となった際は手厚く供養をしている。終盤では人間の世界で和尚として活動している。
おろく婆
本名火の玉のおろく。若手狸の変化の講師を担当する。終盤では「多摩の母」として占い師をしている。
権太
本名鷹ヶ森の権太。過激派の狸たちのリーダー格。血の気が多く、故郷の森を奪った人間を激しく憎み、人間達を永久追放と抹殺しようとする。ニュータウン開発の妨害行為から凱旋後、不慮の事故で全治1カ年の大怪我を負う。その後、戦いに参加できない事を後悔し、仲間達の生温いやり方を非難した。最期は機動隊を相手に奮戦するも敗北。その後、頭に化け、デコトラに轢かれて死亡した。
青左衛門
鈴ヶ森の長老。権太とはライバル関係にあるが、森の危機から共に手を携える。終盤では不動産業で成功を収めていることが正吉によって語られている。
ぽん吉
正吉の幼馴染。変化できない普通の狸。怠け者だが、温厚で狸らしい性格の持ち主。
文太
本名水呑み沢の文太二つ岩団三郎狸をたずねて佐渡へ旅立った。終盤で多摩に帰還した際には森の変貌ぶりに落胆していた。その後は人間として生活している。
玉三郎
本名鬼ヶ森の玉三郎。四国に旅立ち、後に小春の夫となり金長の跡目を継いだ。男前な狸。
佐助
眼鏡をかけたインテリ風の変化狸。頭脳明晰。
六代目金長
徳島県小松島市にある金長大明神(金長神社)の主。小春の父親。
太三朗禿狸
屋島に住む狸。年齢は999歳という最高齢で、屋島の戦い那須与一を見物していたという。妖怪大作戦後は変化できない狸を集めて踊念仏教祖となる。
隠神刑部
愛媛県松山市の狸で、八百八狸を統率している。江戸時代には松山藩御家騒動に関与した。妖怪大作戦に尽力した結果、命を落とす。
二つ岩団三郎狸
佐渡に住む高名な変化狸。劇中では名前のみの登場で直接登場していない。六代目金長も一目置くほどの存在であるが、文太が佐渡を訪れる45年前の戦後の食糧難の際に猟師に撃たれ落命していた。
お玉
権太の妻。
小春
六代目金長の一人娘。玉三郎との間に3匹の子狸を儲ける。
花子
ポン吉のガールフレンド。
お福
正吉達の仲間の雌狸。
熊太郎
馬の背山の稲荷神社に住む狸。正一位のお使い狐に化けて人間たちを化かした。
神奈川県藤野町(現: 相模原市)に住む狸。自分たちの森に運ばれてくる土がどこから運ばれてくるかを調べるために多摩にやってくる。「藤野町」を「ふじのちょう」と言っているが、現実には「ふじのまち」と読む。なお、相模原市が政令指定都市に移行するまでは相模原市藤野町(ふじのちょう)となっていたが、政令指定都市移行に伴い藤野町表記は消滅している(現在は「緑区」)。
竜太郎
多摩堀之内の変化狐。狸同様土地開発で住処を失い、人間として生活している。金長に接触し狸たちに人間として化け社会に出るように勧める。
水木先生
狸たちが行った化かしを超常現象として扱っているテレビ番組に出演したコメンテーター漫画家水木しげるをモチーフにしたと思われる。なお、水木は井上ひさしらとともにこの映画の構成に協力しておりエンドロールの「協力」に名前がクレジットされている。

化け学[編集]

化け学[注釈 1]は人を脅かし、あるいは見誤らせる技術全般を指す。「身体の全組織組み替えの驚異」[4]であり、擬態と比べてより高度なものであるという。

作中ではタヌキ以外に化け学を身に付けているのは狐と一部の猫のみとされる。また、同じタヌキであっても化け学の修得状況には個人差や地域差が大きく、舞台となる多摩丘陵においては変化本能を維持してきた変化ダヌキは少なく、変化本能をほとんど失った並ダヌキが大半となっている[4]。一方で阿波讃岐伊予佐渡のように変化の伝統を守り続けてきた地域も存在し[4]、作中では多摩丘陵のタヌキたちが化け学指南役として四国と佐渡から有名な変化ダヌキの長老たちを招聘している。

タヌキが得意とするものは変身術(特にお化け妖怪への変身)と幻影や幻覚を与える能力であり、それ以外にも、物体を他のより高価なものに化かすことや、人間への憑依も可能である[4]。映画中で演じられる様々な化かし方は、その大部分がきわめて伝統に則ったものである。また、雄のタヌキは陰嚢を広げ、これを様々に変形させて非常に効果的に使用する[注釈 2]を乗せることで変身するとの伝承があるが、これは精神集中のための手段の一つでしかなく、これにこだわる必要はない[4][注釈 3]

衣装や小道具を持った人間に化ける場合のように、極めて精巧な変化を行う場合は体力の消耗が激しく、長時間の変化では疲労素が目のまわりに溜まることによって『タヌキ隈』と呼ばれるが生じることが多い。タヌキ隈が現れた場合は元の狸に戻ってしまいやすいため、変化を持続させなければならない場合には、漢方薬栄養ドリンクを用いて体力回復を図る必要がある[4]。また、大掛かりな幻術を仕掛ける場合には多大なエネルギーを必要とし、強力なタヌキ集団が団結しても、しばしば力を使い果たして失神したり、果ては妖怪大作戦中の隠神刑部のように絶命することも珍しくない[4]

声の出演[編集]

他のジブリ作品と同様、俳優が多く起用されている。また、落語家やベテラン俳優が数多く出演している。なお高畑は日本のアニメでは珍しいプレスコを用いることが多い。

キャラクター 日本語版 英語版
語り[5] 3代目古今亭志ん朝 モーリス・ラマーシュ
正吉 野々村真 ジョナサン・テイラー・トーマス
おキヨ 石田ゆり子 トレス・マクニール
鶴亀和尚 5代目柳家小さん アンドレ・ストウカ
おろく婆 清川虹子 トレス・マクニール
権太 泉谷しげる クランシー・ブラウン
青左衛門 三木のり平 J・K・シモンズ
ぽん吉 林家こぶ平(現: 林家正蔵 (9代目) デヴィッド・オリヴァー・コーエン
文太 村田雄浩 ケビン・マイケル・リチャードソン
玉三郎 神谷明 ウォレス・カース
佐助 林原めぐみ マーク・ドナート
六代目金長 3代目桂米朝
太三朗禿狸 5代目桂文枝 ブライアン・ジョージ
隠神刑部 芦屋雁之助 ジェス・ハーネル
お玉 山下容莉枝 ルシー・テイラー
小春 黒田由美 オリヴィア・ダボ
花子 永衣志帆
お福 水原リン
加藤治 ブライン・ポゼーン
竜太郎 福澤朗 ジョン・ディマジオ
水木先生 藤本譲
地元の人 北村弘一
正吉とおキヨが化けた子供 稲葉祐貴
江碕玲菜
屋台の客 矢田稔
中庸助
警官 森川智之
岸野一彦
狸を見た兄妹 林勇
児玉英子
機動隊員 藤巻直哉
キャスター 阿川佐和子
井口成人
マーク・モーズリー
アナウンサー 石川牧子
岩隈政信
芦沢俊美
永井美奈子
保坂昌宏
舛方勝宏
マーク・モーズリー
その他の狸 佐久間レイ
鈴木弘子
菅原淳一
石川ひろあき
坂東尚樹
関智一
西村智博
峰あつ子
高山みなみ

音楽[編集]

テーマ曲[編集]

ぽんぽこ愛のテーマ『アジアのこの街で』
歌 - 上々颱風 / 作曲 - 猪野陽子 / 編曲 - 上々颱風、古澤良治郎 / 作詞 - 紅龍
エンディング『いつでも誰かが』
歌 - 上々颱風 / 作曲 - 紅龍 / 編曲 - 上々颱風 / 作詞 - 紅龍
本作公開の前年に、映画『夜逃げ屋本舗2』の主題歌に起用されていた。

スタッフ[編集]

関連商品[編集]

作品本編に関するもの[編集]

映像ソフト
出版
  • シナリオ 平成狸合戦ぽんぽこ(スタジオジブリ・徳間書店、1994年6月30日)ISBN 4-19-860115-1
  • 菩提餅山万福寺本堂羽目板之悪戯―総天然色漫画映画「平成狸合戦ぽんぽこ」イメージ・ボード集(スタジオジブリ・徳間書店、1994年7月31日)ISBN 4-19-860144-5
  • 平成狸合戦ぽんぽこ(ジス・イズ・アニメーション)(小学館、1994年9月1日)ISBN 4-09-101540-9
  • 平成狸合戦ぽんぽこ(徳間アニメ絵本)(徳間書店、1994年9月30日)ISBN 4-19-860170-4
  • 平成狸合戦ぽんぽこ―フィルムコミック (1) (徳間書店〈アニメージュコミックス〉、1994年10月30日)ISBN 4-19-770017-2
    • 平成狸合戦ぽんぽこ―フィルムコミック (2) (1994年10月30日)ISBN 4-19-770018-0
    • 平成狸合戦ぽんぽこ―フィルムコミック (3) (1994年11月30日)ISBN 4-19-770023-7
    • 平成狸合戦ぽんぽこ―フィルムコミック (4) (1994年11月30日)ISBN 4-19-770024-5
  • スタジオジブリ作品関連資料集Ⅴ(スタジオジブリ・徳間書店、1997年2月28日)ISBN 4-19-860660-9
  • 平成狸合戦ぽんぽこ(スタジオジブリ絵コンテ全集9)(スタジオジブリ・徳間書店、2001年11月30日)ISBN 4-19-861451-2
  • 平成狸合戦ぽんぽこ(シネマ・コミック8) (文藝春秋文春ジブリ文庫〉、2015年1月)ISBN 4-16-812107-0
  • 平成狸合戦ぽんぽこ(ジブリの教科書8) (スタジオジブリ編・文藝春秋〈文春ジブリ文庫〉、2015年1月)ISBN 4-16-812007-4
音楽
  • 平成狸合戦ぽんぽこ イメージアルバム 徳間ジャパンコミュニケーションズ((再発版CD / 1997年4月21日)TKCA-71140(オリジナル盤 / 1994年6月25日))
  • 平成狸合戦ぽんぽこ サウンドトラック 徳間ジャパンコミュニケーションズ((再発版CD / 1997年4月21日)TKCA-71140(オリジナル盤 / 1994年7月16日))
  • 平成狸合戦ぽんぽこ ドラマ編 徳間ジャパンコミュニケーションズ(1994年9月25日)TKCA-71140

受賞歴[編集]

テレビ放送の視聴率[編集]

回数 放送日 視聴率
1 1995年10月06日(金) 19.2%
2 1998年03月13日(金) 17.8%
3 2000年02月25日(金) 17.5%
4 2002年10月18日(金) 14.4%
5 2004年08月27日(金) 13.0%
6 2006年11月10日(金) 11.4%
7 2013年07月12日(金) 13.2%
8 2015年08月28日(金) 07.3%

関連項目[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 高畑勲による書籍版においては化け学と表記しているが、映画では鶴亀和尚が『化学復興・人間研究』と記すシーンがあり、科学の分野の一つである化学(かがく)と同じ表記となっている。なお、この場合の化学も、同音の科学との区別のためにばけがくと読まれる場合がある(「ばけ‐がく【化学】 の意味とは」 - Yahoo!辞書)。ここでは書籍版における表記を採用する。
  2. ^ 作中では、鶴亀和尚が雄狸を対象とした特別講義として陰嚢を百畳の緋毛氈に化かしている他、太三朗禿狸が大金玉を伸ばして宝船を作っている。
  3. ^ おろくはぽん吉からの質問に対し、「それは初心者のやることじゃ」と返答している。
  4. ^ 協力にクレジットされている「遅筆堂文庫」は井上ひさしがその蔵書を山形県川西町に寄贈して開設された文庫である。

出典[編集]

  1. ^ 映画ランキングドットコム
  2. ^ 日本映画製作者連盟1994統計
  3. ^ 日経BP社技術研究部『進化するアニメ・ビジネス―世界に羽ばたく日本のアニメとキャラクター』日経BP社、2000年、47頁。ISBN 4822225542
  4. ^ a b c d e f g 高畑勲『平成狸合戦ぽんぽこ』徳間書店、1994年。ISBN 4198601151
  5. ^ 語りをしているのは年老いた正吉である。

外部リンク[編集]