パラオ語

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パラオ語
ベラウ語
Palauan (Belauan)
話される国 パラオの旗 パラオ
地域 西部太平洋
話者数 1万5,000人
言語系統
表記体系 ラテン文字
公的地位
公用語 パラオの旗 パラオ
言語コード
ISO 639-1 なし
ISO 639-2 pau
ISO 639-3 pau
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パラオ語ベラウ語とも)はパラオ共和国の現地人の母語で同国の公用語である。オーストロネシア語族マレー・ポリネシア語派の西語群に属し、チャモロ語と並びミクロネシアの2言語のうちの1つと考えられている。話者は、パラオ国内を中心に約1万5,000人いると推定されている[1]

基本会話[編集]

パラオ語 読み方 意味
Alii! アリー こんにちは/やあ
Ungil tutau. ウンギル ツ(トゥ)タウ おはようございます
Ungil sueleb. ウンギル スウェルブ こんにちは
Ungil kebesengei. ウンギル カブスイゲイ こんばんは
Choi, o'oi. オ オイ はい/いいえ
Ng diak. ディアック いいえ/はい
Me sulang. メ スーラン ありがとう
Mechikung. メイクン さようなら

数詞[編集]

  • 1. Tang
  • 2. Cherung
  • 3. Chedei
  • 4. Cheuang
  • 5. Cheiim
  • 6. Chelolm
  • 7. Cheuid
  • 8. Cheiai
  • 9. Chetiu
  • 10. Machod

パラオ語では数える対象によって異なる数詞セットを用いる。例えば人数を数えるときはtang(1人)、terung(2人)、tedei(3人)……、バナナの房はteliud(1房)、ereiud(2房)、edeiud(3房)……、長さのある物はteluo(1本)、eruo(2本)、edeuo(3本)……のように表現する。「どのような事物の数量であるか」を表す点は日本語等における助数詞と同じだが、接尾辞でなく単語自体が独立している点は特徴的である。

外来語[編集]

パラオは19世紀から20世紀にかけてスペインドイツ日本アメリカによって統治されたため、パラオ語の単語には数多くの外来語がある。本項ではその一部を下の表にまとめる[2]

スペイン語[編集]

スペイン語からは、主にキリスト教関連の語彙が定着した。

パラオ語 意味 元となったスペイン語
Baskua イースター Pascua
Changhel 天使 Angel
Ikerasia 教会 Iglesia
Kusarang スプーン Cuchara
Mais トウモロコシ Maíz
Papa 教皇 Papa
Rosario ロザリオ Rosario
Soldau 軍人 Soldado

ドイツ語[編集]

ドイツ語からは日用品語彙の借用が多い。

パラオ語 意味 ドイツ語 備考
Babier Papier
Benster Fenster
Chausbengdik 覚える Auswendig (-lernen)
Hall! 止まれ! Halt! 現在では英語由来のStob(Stop)の方がよく使われている。
Rrat 自転車 Rad
Slibs ネクタイ Schlips
Taber 黒板 Tafel 日本語由来のKokubangも使われる。

日本語[編集]

反対票を訴える立て看板。文中の「SENKYO」は、日本語の「選挙」に由来を発するパラオ語である。

歴史的経緯から、パラオ語における日本語からの借用語は非常に多い。パラオ語の単語の約25%が日本統治時代日本語が由来の単語であるとされ[要出典]政治用語・学術用語から日常表現まで幅広く用いられる。さらに単語にとどまらず、例えば聖歌隊の練習中に「Ichirets ni narande! (一列に並んで!)」「Genki dasite! (元気出して=もっと元気良く!)」と言い合う[3]など、フレーズとして日本語が定着している。日本語教育を受けていない若い世代や子どもたちも「それが日本語由来であると意識せずに」用いており、定着につながっている[4]。日本語由来の語を人名に用いることもあり、「タロウ」「クニオ」「ヨシコ」などの他、「ジンジャ(神社)」「クルマ」など日本では人名に用いない語を用いる例もある。

パラオ語 意味 元の日本語及び備考
Bengngos 弁護士
Bento 弁当
Bungsu 分数
Chambang あんパン
Chabulabang あんドーナツ 」「パン
Chabunai 危ない
Chameiu 飴湯
Daiziob 大丈夫
Chazi daiziob おいしい 「味」「大丈夫」
Dengki 電気
Dengkibasira 電信柱 「電気柱」
Dosei どうせ
Haibio 結核 「肺病」
Iorosku よろしく
Katsudo 映画 活動写真
Keizai 経済
Kets けち
Kigatsku 気が付く
Kigatskani 気が付かない
Kimots 気持ち
Komeng ごめんなさい、すみません 「ごめん」
Sarumata 下着 猿股
Seizi 政治
Senkyo/Senkio 選挙
Sensei 先生
Simpai 心配
Sirangkao 知らん顔
Skoki 飛行機
Skozio 空港 「飛行場」
Sodang 相談
Tabi 前ゴムシューズ 足袋
Taiheio 太平洋
Tokuni 特に
Toseng 渡船 Uatasibune(渡し船)とも。
Tsitsibando ブラジャー 「乳バンド」
Tsios 調子
Zeitak/Seitak 贅沢
Ziangkempo ジャンケンポン
Chaikodetsiu 「あいこでしょ」
Zibiki/Ziteng 辞書 「字引き」「辞典」
Tskarenaos ビールを飲む 「疲れ」「治す」
Daitorio 大統領
Sapporo Ichibang インスタントラーメン(総称)
Basio 場所
Emonkake ハンガー 衣紋掛け
Tobo 逃げる 「逃亡」
Siotots 乾杯(掛け声) 「衝突」。戦前の日本語俗語。
Denwa 電話
Sempuki 扇風機

英語[編集]

英語の単語は戦後になってから入った単語もあるが、日本統治時代に日本語を経由して入った単語や和製英語もある。

パラオ語 日本語 英語 備考
Chaiskeeki アイスケーキ Ice cake 日本語経由(和製英語)。アイスキャンディーのこと。
Chambelangs 救急車 Ambulance
Kare カレー Curry 日本語経由
Kasorin ガソリン Gasoline 日本語経由。現在ではアメリカ英語由来のKas(Gas)の方がよく使われている。
Keik ケーキ Cake
Miuzium 博物館 Museum
Ranningngu ランニング(シャツ) Running (-shirt) 日本語経由(和製英語)
Razio ラジオ Radio 日本語経由
Tibi テレビ Television
Tsuingam チューイングガム Chewing gum

脚注[編集]

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  1. ^ Ethnologue report for language code: PAU
  2. ^ Japanese and Other Loanwords in Palauan(ラナイ本願寺のホームページ 英語)
  3. ^ 森岡純子「パラオにおける戦前日本語教育とその影響」第3章「戦前日本語教育の影響」、『山口幸二先生退職記念集』pp.371、立命館大学法学部、2006年
  4. ^ 森岡、同

外部リンク[編集]