ダイハツ・グランマックス

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グランマックスGran Max)は、ダイハツ工業トヨタ自動車共同開発し、ダイハツ工業が製造・販売している小型商用車である(2024年時点で後述の理由により販売停止中)。

バンとトラックがあり、本車をはじめとする「グランマックス3兄弟」のトラックは日本国内で販売されている唯一の最大積載量1t未満の小型トラックである。

ダイハツ・グランマックス
S401RV/S402RV/S403V/S413V/
S401RP/S402RP/S403P/S413P
インドネシア仕様2008年販売型
PU(ピックアップ)
インドネシア仕様2008年販売型 1.3 Dグレード
MB(ミニバス)
概要
別名 トヨタ・タウンエース(4代目)
トヨタ・ライトエース(6代目、2020年6月で販売終了)
マツダ・ボンゴ(5代目)
ダイハツ・ルクシオ
製造国 インドネシアの旗 インドネシア
販売期間 2007年 -
(日本〈トラック〉:2020年9月4日 - 2023年12月20日以降販売停止中〈2024年1月16日型式取消〉)
(日本〈バン〉:2020年9月4日 - 2023年12月20日以降販売停止中)
ボディ
乗車定員 2-5名(日本仕様)
2-9名(インドネシア仕様)
ボディタイプ 2ドアトラック
5ドアバン
駆動方式 後輪駆動/四輪駆動
パワートレイン
エンジン K3-DE型 1.3L 直列4気筒
(インドネシア仕様2008年販売型)
3SZ-VE型 1.5L 直列4気筒
(インドネシア仕様2008年販売型)
2NR-VE型 1.5L 直列4気筒
(日本仕様2020年販売型、およびインドネシア仕様2020年販売型)
変速機 5速MT
4速AT
前:マクファーソンストラット式
後:トレーリング式
前:マクファーソンストラット式
後:トレーリング式
車両寸法
ホイールベース 2,650 mm
全長 4,065 mm(カーゴ)
4,295 mm(トラック)
全幅 1,665 mm(カーゴ)
1,675 mm(トラック)
全高 1,930 mm(カーゴ)
1,920 mm(トラック)
車両重量 1,270 - 1,350 kg(カーゴ)
1,160 - 1,230 kg(トラック)
系譜
先代 ダイハツ・デルタ750
(日本)
ダイハツ・ゼブラ
(日本以外)
ダイハツ・ハイゼットグランカーゴ
(日本)
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概要

それまでアジア向けに販売されていたゼブラの実質的後継モデルであり、インドネシアの生産拠点であるアストラ・ダイハツ・モーターにて生産され、アストラ・インターナショナルを通じて販売されている[1]。型式に関しては2007年販売型1.3LモデルがS401RP/401RV、2007年販売型1.5LモデルがS402RP/402RV、2020年販売型1.5モデルがS403P/403Vとなる。

企画・設計・開発はトヨタ自動車と共同で行われているほか、トヨタ自動車向けには日本仕様の「タウンエース」および「ライトエース」(後者は2020年6月で販売終了)として販売された。

セミキャブオーバースタイルとなったことで、クラストップのロングホイールベースを得た。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアは5リンクリジッド(ただしトラックのみリーフリジッド)、ステアリングギアボックスはラック・アンド・ピニオンである。

エンジンは K3-DE型(1.3L DOHC)と、新開発(登場当時)の3SZ-VE型(1.5L DOHC VVT-i)で、雨季には日常的に道路冠水が起こる土地柄ゆえ、どちらも吸気口を高くし、水を吸い込みにくい構造となっている。駆動方式は後輪駆動(FR)である。5速MT、4速ATともにインパネシフトを採用する。

バン型の「MB(ミニバス)」には、9人乗りの貨客兼用とブラインドバン(1.3Lのみ)の2種類があり、クラス唯一の両側スライドドアとなっている。トラックの「PU(ピックアップ)」は3人乗りで、荷台は一方開き、三方開きともに高床フラットのみとなっている。

2009年平成21年)3月からグランマックスをベースにした8人乗りのミニバン、「ルクシオ」(LUXIO)がインドネシア国内で販売開始された。

2023年令和5年)12月20日、同社の不正問題の調査で対象がこれまで判明していた6車種から当車種を含めたほぼ全ての車種に拡大することが明らかとなり、国内外の全ての車種の出荷を停止する方向で調整することとなった[2]が、その後の衝突安全試験の再試験の結果、2024年(令和6年)1月16日、国土交通省は当車種および同車種をベースにOEM供給しているトヨタ自動車「タウンエース」、マツダ「ボンゴ」(いずれもトラック)の型式指定を取り消す方針を固めた。これ以降は再取得するまでは事実上、生産できなくなる[3]。一方、バンタイプは形式認定取り消しの対象から外れており、1月19日、国土交通省が当車種およびトヨタ自動車「タウンエース」、マツダ「ボンゴ」のバンタイプの出荷停止の指示を解除した[4]

日本への輸出

2008年平成20年)1月9日に日本国内にてフルモデルチェンジされた(発売は同年2月25日から)トヨタ・タウンエース/ライトエースは、このグランマックスを日本向けとしたモデルである。日本向けはバン、トラック共に3SZ-VE型1.5L DOHC VVT-i エンジンのみの設定で、駆動方式も当初は本国と同様のFRのみであったが、2010年7月にセンターデフ式(ロック機構付)のフルタイム4WD仕様が追加された。

バンのバックドアは、アジア市場では跳ね上げ用のガスストラットが不要な横開き式を採用する車種が多く、このグランマックスも右ヒンジとなっているが、日本市場への導入にあたり、使い勝手を考慮してダンパーを装着した跳ね上げ式に変更されている。これに伴い、ガススプリング、ドアキャッチ、ドアロック、鍵穴は新設されたが、これらはいずれも既存のアウターパネルを加工したものであるため、もともとアウタードアハンドルがあった場所(左側)には蓋を用いた封印がされ、ダイハツブランド以外ではその上に車名のロゴ[注 1]が付けられている。

日本国内においては当初はトヨタブランドのみで、ダイハツブランドでの販売はなかったが、2020年令和2年)6月22日にトヨタブランドのタウンエースのマイナーチェンジと同時に「グランマックス カーゴ」、「グランマックス トラック」として日本での販売を公式発表(9月4日発売)[5]。日本で発売するダイハツ車で初の海外生産(逆輸入)車種となり、ハイゼットグランカーゴの販売終了以来、約15年半ぶり(トラックは積系が異なるものであればデルタ以来約17年ぶり、積系が同クラスのものであればデルタ750以来38年ぶり)に日本でのダイハツブランドの小型商用車の取扱が再開された[注 2]。日本仕様ではエンジンに2020年販売型インドネシア仕様と同様、2NR-VE型Dual DVVTエンジンが搭載され、アイドリングストップ機能も搭載。2代目タフトと同じステレオカメラ方式を採用した予防安全機能「スマートアシスト」をはじめ、VSC&TRCLEDヘッドランプ、LEDテールランプ、エマージェンシーストップランプなどの安全機能も装備。グレードはカーゴ・トラック共に上級仕様の「GL」のみ(トラック「GL」はタウンエーストラック「DX“Xエディション”」相当)のモノグレード体系となり、タウンエースに設定されている「DX」に相当するグレードは設定されない。

尚、東京都以外の地域での全車種併売化や「タウンエース」のマイナーチェンジにより「ライトエース」は2020年(令和2年)6月をもって販売を終了し、「タウンエース」へ一本化された。

2020年(令和2年)7月17日には5代目ボンゴとしてマツダへもOEM供給を開始する[注 3]ことを発表。グランマックスやタウンエースよりも1週間遅い9月11日に発売された。これにより、本モデルは日本国内においては3兄弟(発売時点で販売がすでに終了されたライトエースを含めれば実質4兄弟)となった。5代目ボンゴでは、タウンエースに設定されている「DX」に相当するグレードは「STD」として設定される。 なお、ダイハツがマツダへOEM供給するのはこれが初めてである[注 4]

先述の通り2024年1月16日、トラックはOEMのタウンエースとボンゴを含め、全て型式が取り消された。

インドネシア仕様
2008年販売型(ミニバン)

名前の由来

壮大を意味する「Grand」と最大を意味する「Maximum」を組み合わせた造語。顧客に最大のベネフィットをもたらす大容量のクルマという意味をこめている。

関連項目

脚注

注釈

  1. ^ TOWN ACELITE ACEBONGOの3種。Gran Maxのロゴは蓋とは反対側の位置(右側)に付いている。
  2. ^ この時期は同業他社が最大積載量1t未満のライトトラックの販売から撤退するようになり、ダイハツと取り引きのある業者においては買い替え需要が見込めると判断された。
  3. ^ ダイハツとマツダは1960年代にオート三輪において熾烈な販売合戦を繰り広げていた。
  4. ^ 2018年6月から販売されている10代目ファミリアバンの製造はダイハツ工業の京都工場ではあるが、実際はOEM元のトヨタ自動車からの受託生産の形である。

出典

外部リンク