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1988年ソウルオリンピック

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ソウルオリンピック
第24回オリンピック競技大会
Games of the XXIV Olympiad
開催都市 大韓民国の旗 韓国 ソウル
参加国・地域数 159
参加人数 8,465人(男子6,279人、女子2,186人)
競技種目数 23競技237種目
開会式 1988年9月17日
閉会式 1988年10月2日
開会宣言 盧泰愚
選手宣誓 許載孫米娜
審判宣誓 李学来
最終聖火ランナー 林春愛鄭善萬金元卓孫美廷孫基禎
主競技場 蚕室総合運動場
オリンピックの旗 Portal:オリンピック
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ソウルオリンピックは、1988年9月17日から10月2日にかけて、大韓民国ソウル特別市で行われた第24回夏季オリンピックである。

ソウルオリンピックは前回のロサンゼルスオリンピックでは東側諸国が、前々回のモスクワオリンピックでは西側諸国がボイコットしたので12年ぶりにアメリカソビエトの二大国が揃った白熱した試合となった[1]。1976年のモントリオールオリンピックでは、南アフリカの参加を巡って多くのアフリカ諸国が不参加となっていたため[2]、ほぼ全世界の国と地域が参加したオリンピックとしては、ミュンヘンオリンピック以来16年ぶりとなった。また、東京オリンピックに続き、アジアにおける2度目の夏季オリンピックである。

大会開催までの経緯

ソウルオリンピックの開催は1981年9月30日西ドイツバーデン・バーデンで開かれた第84回国際オリンピック委員会総会で決定された。日本の愛知県名古屋市も開催を求めて立候補し、当初は有利とされていたが、27対52の大差でソウルに敗れた。

1988年夏季オリンピック 開催地投票
都市 1回目
ソウル 大韓民国の旗 韓国 52
名古屋 日本の旗 日本 27

大会マスコット

ファイル:Seoulgamesmascot2005.JPG
大会マスコット
  • ホドリ(虎の子がモチ-フ:男の子)
  • ホスニ(同:女の子)

大会イメージソング

ハイライト

女子柔道野球テコンドーが公開競技としてオリンピックで開催された(女子柔道とテコンドーは初開催、野球はロサンゼルスオリンピックに続いて2度目の開催。また、女子柔道、野球はバルセロナオリンピック、テコンドーはシドニーオリンピックから正式種目となる)。

その後の東ヨーロッパにおける政治変動のため、ソビエト連邦、および東ドイツが参加した最後のオリンピックとなった[3]

また、ドーピング問題(下記項目参照)に本格的に注目の集まった初の大会ともいえる。

テレビ放映権の影響

本大会は、従来午後から夜間にかけて行われることが多かった、陸上競技の多くの決勝が午前中に実施された。これは、視聴率を見込めるアメリカ東部のプライムタイムに決勝を合わせるための措置で、アメリカのテレビ局が多額の放映権料を支払う見返りとしてなされたものであった。2008年の北京オリンピックでは、競泳体操競技で同様の事象が起きている。

名残

現在、ソウルメトロ4号線東大門歴史文化公園駅のプラットホームでは、当時の壁画を見ることが出来る。また、韓国語以外を母国語とする人のために、ソウルの地下鉄や駅には、当時から番号が付いている。

競技会場

実施競技

各国・地域の獲得メダル数

参加国一覧
国・地域
1 ソビエト連邦 ソビエト連邦 55 31 46 132
2 東ドイツ 東ドイツ 37 35 30 102
3 アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 36 31 27 94
4 韓国 韓国(開催国) 12 10 11 33
5 西ドイツ 西ドイツ 11 14 15 40
6 ハンガリー ハンガリー 11 6 6 23
7 ブルガリア ブルガリア 10 12 13 35
8 ルーマニア ルーマニア 7 11 6 24
9 フランス フランス 6 4 6 16
10 イタリア イタリア 6 4 4 14

主なメダリスト

ドーピング問題

陸上競技男子100mで、カナダベン・ジョンソンが、前年の世界陸上ローマ大会で自ら出した当時の世界最高記録9秒83を100分の4秒短縮する9秒79の新記録で、9秒92だった2位のカール・ルイスを数m引き離し優勝したが、レース後のドーピング検査でステロイド系の筋肉増強剤であるスタノゾロールの陽性反応により金メダルを剥奪され、カール・ルイスが金メダルを獲得した。

また、ジョンソンの記録については、この大会のもののみにとどまらず、前年記録した9秒83も1989年に取り消された。この大会で世界中が注目する一つでもあり、ジョンソンは世界ーの「最速男」から「最悪男」と呼ばれた。トップアスリートの薬物汚染というこの事件が、スポーツにおける本格的ドーピング取締強化のきっかけとなったと言っても過言ではない。

ボクシング問題

ボクシング競技ライトミドル級決勝でアメリカのロイ・ジョーンズ・ジュニアが地元・韓国の朴時憲から2度のダウンを奪うなど圧倒しながら、2-3の不可解な判定で敗れた。記者会見でロイ・ジョーンズ・ジュニアが「盗まれた金メダルを返してくれ」と涙ながらに訴えたことから「盗まれた金メダル事件」と言われ、オリンピック史上に残る事件として知られるようになった。後に調査によって審判員5人の内、朴の勝利とした3人が韓国側によって買収されていたことが判明したと国際アマチュアボクシング協会が発表、IOCの会長からジョーンズ・ジュニアには金メダルのレプリカが与えられた。なお、この事件はアマチュアボクシングの採点システムが変更されるきっかけとなった。

また、韓国の辺丁一ブルガリアのアレクサンダー・クリストフのバンタム級2回戦は4-1の判定でクリストフが勝利したが、この判定を不服とした韓国側が猛抗議を行い、コーチの一人がレフェリーに殴りかかる暴挙に出た。この行為に呼応してリング内になだれ込んだ他のコーチ達と審判員とが激しい揉み合いとなり、リングサイドからは椅子が投げ込まれるという大騒動となった。審判員達は警察官に保護されながら控え室に戻ったものの、気の納まらないコーチ陣はそこまで追いかけ、照明の消された真っ暗なリング上ではコーチの指示に従って辺が1時間以上にも渡る抗議の座り込みを行った。このため、当日のその他の試合は全て中止される事態となった。直後にはレフェリーの母国ニュージーランドの大使館に抗議の電話が殺到し、身の危険を感じたレフェリーは早々に帰国する羽目となっている。この様子は世界中のメディアに取り上げられ、オリンピック史に残る汚点として地元韓国マスコミでも酷評された。

北朝鮮問題

金賢姫らが大韓航空機を爆破した事件(大韓航空機爆破事件)があったが、これはソウルオリンピックを中止させる事を目的にした、という説がある。

北朝鮮はソウルオリンピックには地区予選から参加していない。また、そればかりでなく、一般の国民にはソウルオリンピックの存在自体を一切知らせなかったことが、後に明らかになっている。

北朝鮮側は当初共催を要求していた。韓国側は3種目までなら同意するとしていたが、北朝鮮側は全選手の1/3に当たる競技数を要求していたため成り立たず、実質交渉破綻による共催不成立だった。

脚注

  1. ^ モスクワ・ロサンゼルス両方をボイコットしたイランも12年ぶりに参加。
  2. ^ 1976年大会では、中華人民共和国台湾の参加を巡ってボイコットしている。
  3. ^ ソ連はアルベールビルオリンピックおよびバルセロナオリンピックでは、バルト三国を除く12国が独立国家共同体(CISもしくはEUN)として参加。

関連項目

外部リンク

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