北京オリンピック

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北京オリンピック
第29回オリンピック競技大会
Games of the XXIX Olympiad
National museum of china02.jpg
開催都市 中華人民共和国の旗 中国 北京
参加国・地域数 204
参加人数 11,193人
競技種目数 28競技302種目
開会式 2008年8月8日開会式詳細
閉会式 2008年8月24日閉会式詳細
開会宣言 胡錦濤国家主席
選手宣誓 張怡寧
審判宣誓 黄力平
最終聖火ランナー 李寧聖火リレー詳細
主競技場 北京国家体育場
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中国国家博物館前にあるカウントダウン時計台

北京オリンピック(ペキンオリンピック)は、2008年8月8日[1]から8月24日までの期間、中華人民共和国首都北京を主な会場として開催された第29回夏季オリンピック。世界の204のと地域[2] 、約11,000人のアスリートが参加、28競技302種目が行われた。

アジアで夏季オリンピックが開催されるのは、1988年に開催した韓国のソウル大会以来、20年ぶり(5大会ぶり)3回目、中国では初開催となった。一部の競技は近郊および沿岸部の都市(青島など)で開催された。また、馬術競技は香港で開催された。

大会開催までの経緯[編集]

詳細は2008年夏季オリンピックの開催地選考を参照。

2008年夏季オリンピック開催地投票
都市 1回目 2回目
北京 中華人民共和国の旗 中国 44 56
トロント カナダの旗 カナダ 20 22
パリ フランスの旗 フランス 15 18
イスタンブル トルコの旗 トルコ 17 9
大阪 日本の旗 日本 6 -

2001年7月13日モスクワで開かれた第112次IOC総会で開催地を決める投票が行われ、立候補していたイスタンブル、大阪、パリ、トロントの4都市を破り、開催地に決定した。大会開催地には、当初ほかに5都市(バンコクカイロハバナクアラルンプールセビリア)も立候補していたが、1次選考で落選し、最終候補には残れなかった。

1回目の投票ではどの都市も過半数に届かなかったため、最も票の少なかった大阪市が落選。続いて行われた2回目の投票で圧倒的過半数を得た北京が開催権を勝ち取った。北京は2000年夏季オリンピックにも立候補していたが、1993年に行われた投票でシドニーに2票差で敗れていた。

聖火リレー[編集]

開会式[編集]

開会式は中国標準時2008年8月8日午後8時から開始された。これは、中国において数字の8が「お金持ち」を意味する「发财發財)」の「)」と発音が同じであり、縁起の良い数とされているからである。

閉会式[編集]

開会式と同じく、張芸謀演出[3]

  • 8月24日午後7時59分31秒(CST)、閉会式開始へのカウントダウンは29から始まり、10から1まではアラビア数字の花火が上がった。
  • 円形の太鼓の音で始まり、頭と手に鈴を付けた踊り子2008人が取り囲み、中華人民共和国の旗 中国の少数民族に伝わる打楽器をモチーフとした打楽器8台や、雲南民族舞踊をモチーフとした男性の足をくくりつけた長い棒が登場。踊り子たちが道になると、円形の自転車が登場し、踊り子たちの間道を駆け抜けた。
  • 中国国旗掲揚。
  • 各国旗手入場。204の国や地域が漢字で書いたときの画数が少ない国から4方向から入場。閉会式の日本の旗 日本の旗手は北島康介
  • 男子マラソン表彰式。
  • ギリシャの旗 ギリシャ国旗掲揚。
  • ジャック・ロゲIOC会長による閉会宣言「北京オリンピックは本当に比類なきオリンピックだ」
  • IOC選手委員の文大成韓国の旗 韓国)、アレクサンドル・ポポフロシアの旗 ロシア)、クラウディア・ボーケルドイツの旗 ドイツ)の3人(キューバの旗 キューバユミルカ・ルイスルアセス選手は欠席)からボランティアへ感謝の花束贈呈
  • イギリスの旗 イギリス国旗掲揚。
  • オリンピック旗返還。中国の少年少女合唱団によるオリンピック賛歌斉唱と同時に旗は降ろされた。
  • 北京の郭金龍市長からロゲ会長経由で、ロンドンのボリス・ジョンソン市長へ、オリンピック旗が手渡された。この模様はロンドン・トラファルガー広場でも生中継された。
  • ロンドンをPRする映像にも会場にも、行き先がLEDで「London 2012」と表示された2階建車両ルートマスター(2階部分のボディペイントは白文字でLondon-Beijing-London)が登場。
    • バス停でルートマスターの2階部分が変形して開き緑色のステージとなり、レオナ・ルイスがルートマスターの1階部分から競り上がり、ジミー・ペイジのギター伴奏で、レッド・ツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」をカバー。ルイスはジミー・ペイジの乗ったステージに2番のサビを歌いながら飛び乗った[4]
    • さらにルートマスターの変形したもう1つのステージにはデイビッド・ベッカムが現れ、ロンドン在住の少女から受け取ったサッカーボールを選手団目がけて蹴り上げ、キックオフした。
  • メインモニターに飛行機の時刻表が映し出されると、飛行場のタラップに紙の巻物を持った黒人男性選手と帰国の途に着く白人男女選手が乗り、タラップの先には二人の全身灰色の男性二人が乗った鉄塔『記憶の塔』がせり上がり、黒人男性選手が巻物を広げると、会場壁面スクリーンに16日間の大会ハイライトが1日ずつ映し出された。楊沛宜歌唱祖国のBGMを聞いた黒人男性選手が巻物を閉じていくと、巻物が完全に閉じると同時に聖火は消火された。

聖火消火後[編集]

実施競技[編集]

競技スケジュール[編集]

2008年8月6日 - 24日, 数字は金メダル確定数, Rは予備, Gはエキシビション

日 付 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
開会式・閉会式
陸上競技 2 4 6 6 5 3 6 7 7 1 47
ボート R 7 7 14
バドミントン 1 2 2 5
野球 R R 1 1
バスケットボール 1 1 2
ボクシング 5 6 11
カヌーフラットウォーターレーシング 6 6 12
カヌー (スラローム 2 2 4
自転車競技トラックレース 1 3 1 2 3 10
自転車競技 (ロードレース 1 1 2 4
自転車競技 (マウンテンバイク 1 1 2
自転車競技 (BMX 2 2
日付 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
馬術障害飛越競技 1 R 1 R R R 2
馬術 (馬場馬術 1 R 1 R 2
馬術 (総合馬術 2 2
フェンシング 1 1 1 1 2 1 1 1 1 10
サッカー 1 1 2
体操 (体操) 1 1 1 1 4 3 3 G 14
体操 (トランポリン 1 1 2
体操 (新体操 1 1 2
ウエイトリフティング 1 2 2 2 2 2 1 1 1 1 15
ハンドボール 1 1 2
ホッケー 1 1 2
柔道 2 2 2 2 2 2 2 14
レスリング (グレコローマン) 2 2 3 7
レスリング (フリースタイル) 2 2 2 2 3 11
日付 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
水泳 (競泳) 4 4 4 4 4 4 4 4 1 1 34
水泳 (シンクロナイズドスイミング) 1 1 2
水泳 (飛込み) 1 1 1 1 1 1 1 1 8
水泳 (水球) 1 1 2
近代五種 1 1 2
ソフトボール R 1 1
テコンドー 2 2 2 2 8
テニス 2 2 4
卓球 1 1 1 1 4
射撃 2 2 2 2 1 2 1 2 1 15
アーチェリー 1 1 1 1 4
トライアスロン 1 1 2
セーリング 2 1 2 2 2 2 R R R 11
バレーボール 1 1 2
ビーチバレー 1 1 2
7 14 13 19 17 17 16 30 34 18 20 11 23 20 31 12 302

※スケジュールは公式サイトから。競技名の日本語表記は JOC 発表スケジュール表より。

午前に行われる決勝[編集]

本来のオリンピックなどの大きな国際大会ならば、決勝は午後に行われ、選手達もそれに備えて午前に準備をする。しかし北京オリンピックでは、競泳全種目、体操の団体総合・個人総合の決勝が、午前中に行われた。

  • その背景には、アメリカのテレビ局の強い要求がある。アメリカ国内における北京オリンピックの放映権NBCが獲得したが、同局が支払うテレビ放送権料は北京オリンピック運営費全体の半分近くを占めているため、同局がその費用を支払わなければ、開催出来ないとも言われる。アメリカでは競泳・体操の人気が高く、高い視聴率を見込めるため、NBC側はIOCに対し、アメリカで夜の時間帯に生中継できるように、決勝を北京の午前時間に実施することを要求した。同じく東アジアで開催された20年前のソウルオリンピックでも、当時人気の高かった陸上競技で同様の措置が取られた。
  • IOC側は「(アメリカ国内の)多くの人に喜んで貰えるプランになった」とコメントした。
  • しかし一方では、アメリカの傲慢な姿勢に対する批判も根強く、ヨーロッパにおける中継の窓口である欧州放送連合が決定に抗議したほか、各国の競技団体の中にも「選手の体調に悪影響を与えるおそれがある」とする意見があった[要出典]

国・地域別メダル獲得数[編集]

国・地域
1 中国 中国(開催国) 51 21 28 100
2 アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 36 38 36 110
3 ロシア ロシア 23 21 28 72
4 イギリス イギリス 19 13 15 47
5 ドイツ ドイツ 16 10 15 41
6 オーストラリア オーストラリア 14 15 17 46
7 韓国 韓国 13 10 8 31
8 日本 日本 9 6 10 25
9 イタリア イタリア 8 10 10 28
10 フランス フランス 7 16 17 40

日本人メダリスト[編集]

メダル数: 1位 2位 3位計25個(男子13個、女子12個)

11位 金メダル:男子4個、女子5個

22位 銀メダル:男子4個、女子2個

33位 銅メダル:男子5個、女子5個

  • 1位
    • 内柴正人(柔道男子66Kg級)
    • 北島康介(競泳男子100M平泳ぎ、200M平泳ぎ)
    • 谷本歩実(柔道女子63Kg級)
    • 上野雅恵(柔道女子70Kg級)
    • 石井慧(柔道男子100Kg級)
    • 吉田沙保里(レスリング女子フリースタイル55kg級)
    • 伊調馨(レスリング女子フリースタイル63kg級)
    • ソフトボール日本代表
  • 22位 銀メダル
    • 体操男子団体総合
    • 太田雄貴(フェンシング男子フルーレ個人)
    • 内村航平(体操男子個人総合)
    • 塚田真希(柔道女子78Kg級)
    • 伊調千春(レスリング女子フリースタイル48kg級)
    • 松永共広(レスリング男子フリースタイル55kg級)
  • 33位 銅メダル
    • 谷亮子(柔道女子48Kg級)
    • 中村美里(柔道女子52Kg級)
    • 松田丈志(競泳男子200mバタフライ)
    • 永井清史(自転車男子ケイリン)
    • 中村礼子(競泳女子200m背泳ぎ)
    • 浜口京子(レスリング女子フリースタイル72kg級)
    • 宮下純一、北島康介、藤井拓郎、佐藤久佳(競泳男子400mメドレーリレー)
    • 湯元健一(レスリング男子フリースタイル60Kg級)
    • 鈴木絵美子、原田早穂(シンクロナイズドスイミングデュエット)
    • 塚原直貴、末続慎吾、高平慎士、朝原宣治(陸上男子400mリレー)

競技会場[編集]

競技会場の地図

以下の会場で実施された。うち北京市内に37会場が設置され、そのうち新設は22会場である。全体の44%の施設が市北部に建設されるオリンピック公園に集中する。

馬術競技は香港で実施された。これは検疫が大陸本土よりはるかに容易であるためである。オリンピックの一部競技が異なる国内オリンピック委員会の領域で実施されたのは1956年メルボルンオリンピック以来13大会52年ぶりである。このときも検疫の問題から馬術競技がストックホルムで実施された。

オリンピック公園(オリンピック・グリーン)[編集]

北京国家体育場(通称・「鳥巣」)
北京国家水泳センター(通称・「水立方」、左端に見えるのが通称「鳥の巣」である国家体育場)

西地区[編集]

北地区[編集]

大学地区[編集]

その他(北京市内)[編集]

  • 北京工業大学体育館(7500人収容):バドミントン、体操(新体操)
  • 工人体育場(6万4000人収容):サッカー
  • 工人体育館(1万3000人収容):ボクシング
  • 朝陽公園ビーチバレーボール場(1万4000人収容):バレーボール(ビーチバレー)

その他(共同開催都市)[編集]

北京オリンピックでは、下記の北京以外の都市で一部の競技が開催された。

大会マスコット[編集]

福娃

今大会のマスコットとして「福娃」がいる。この福娃は、“幸福をもたらす5人の童子”という設定。

大会スローガン[編集]

北京五輪組織委員会は大会のスローガンとして、「One World, One Dream同一个世界 同一个梦想)(ひとつの世界、ひとつの夢)」を選んだ。

テレビ放送[編集]

  • 映像は北京オリンピック放送 (IOCの下部機関と北京組織委員会合弁の放送機関) が担当する。
  • 今大会より国際映像は全競技・全種目が画角16:9のHDTVハイビジョン)で制作された。テロップはアナログテレビ放送をおこなっている国・地域の事情をかんがえ、4:3画面にあわせた位置となっていた。
  • 中国の国営放送局であるCCTVが、スポーツチャンネルを2008年1月から、北京オリンピック閉幕までの期間限定で奥运频道(オリンピックチャンネル)と名前を変え、競技の模様や、過去のオリンピックの映像などオリンピック関連の特別番組を中心とした番組編成になった。
  • 開催前の試算では全世界の視聴者は40億人。

インターネットによる配信[編集]

開催決定後の動向[編集]

普段から中国との関係が良好でない一部の国や団体では開催反対・参加ボイコットを主張する動きがあった。アメリカの俳優リチャード・ギアは、新作映画の記者会見で北京五輪のボイコットを訴えた[5]

IOCのジャック・ロゲ会長は、大会最終日の記者会見で、大会運営そのものについては中国に謝意を示したものの、大会期間中取材を行った各国メディアに対する報道規制の解除が不十分であったこと、中国政府が場所を指定してデモ活動を許可するとしていながらデモが1件も許可されなかったことを挙げ、疑問を呈した[6]

環境問題[編集]

大気汚染や食品の安全性[7]への懸念からか、合宿地として、主に欧米勢を中心に約25ヵ国が日本での最終調整を決定した[8]

大気汚染についてはIOCの医事委員長が「選手や北京を訪れる人たちの健康に深刻な問題を引き起こすことはない」と報告している。IOCは1時間ごとに大気のデータを測定していたが、「現時点ではすべての項目でWHOの基準値を下回っている」と説明した[9]。また、中国の『人民網』は「一部の出場選手は確かに環境に敏感。北京の空気はきれいだと思う」「今は毎日とてもきれいな青空が見られる」など、欧米から来た五輪メディア運営ボランティアが大気汚染問題を否定する発言を紹介した[10]

出典・脚注[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]