未知との遭遇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
未知との遭遇
Close Encounters of the Third Kind
監督 スティーヴン・スピルバーグ
脚本 スティーヴン・スピルバーグ
製作 ジュリア・フィリップス
マイケル・フィリップス
出演者 リチャード・ドレイファス
フランソワ・トリュフォー
音楽 ジョン・ウィリアムズ
撮影 ヴィルモス・ジグモンド
ラズロ・コヴァックス
編集 マイケル・カーン
配給 コロンビア映画
公開 アメリカ合衆国の旗 1977年11月16日
日本の旗 1978年2月25日
上映時間 135分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $20,000,000[1]
興行収入 $303,788,635[1]
テンプレートを表示

未知との遭遇』(みちとのそうぐう、Close Encounters of the Third Kind)は、1977年に公開されたアメリカ映画である。世界各地で発生するUFO遭遇事件と、最後に果たされる人類と宇宙人のコンタクトを描いた。

概要[編集]

オリジナル版の上映時間は135分(『特別編』は132分、『ファイナル・カット版』は137分)。1977年11月16日公開。日本での公開は1978年2月25日。言語は英語。製作費2,000万ドル。コロムビア映画提供。

オリジナル版の他に、マザーシップ内を公開した1980年の『特別編』、さらに再編集や修正がされた2002年の『ファイナル・カット版』がある。また、アメリカABCテレビで143分の版が放映されたことがある。

アカデミー賞撮影賞特別業績賞(音響効果編集)の2部門で受賞したほか、英国アカデミー賞のプロダクションデザイン賞も受賞した。

劇場公開版[編集]

本作が初めて世に公開されたもの。このバージョンにのみ、ロイが発電所で働いているシーンが存在し、彼の本職が明確に描かれている。また、細かい部分では宇宙船が初めて現れたシーンで一般人が「月ロケットよりハイウェイの方が進んでいる」と皮肉を言うシーンや、封鎖された街の兵士にロイが「スミス」と名乗って適当な言い訳をするシーンがあったりするのもこのバージョンだけである。また、中盤の山場でもあるヘリコプターからの逃避行はこのバージョンが一番長い。135分。AUEにて初ソフト化。

特別篇[編集]

初公開の3年後、1980年に初公開時に盛り込めなかった場面を追加撮影し「マザーシップ内部の描写」を条件に再編集されたもの。最も大きな追加シーンとしては、このバージョン以降に盛り込まれることになる砂漠で幽霊船が発見されるシーンのほか、前述の通りマザーシップの内部が新たなシークエンスとして追加された。スピルバーグ自身はマザーシップ内部の描写には反対だったため、このシーンはこのバージョンのみで見られる。エンド・クレジットの後半に使われたのはディズニー映画『ピノキオ』の主題歌「星に願いを」である。主人公が家族に『ピノキオ』を観に行こうと話している場面では、妻・ロニーは主人公を「ジミニー・クリケット」(『ピノキオ』に登場するコオロギのキャラクター)と呼んでいる。小型の円盤のアイディアを練る段階で、ファストフード・チェーンマクドナルドのm字シンボルそっくりの円盤が考案され、小型円盤がマクドナルドの看板の前で自分の仲間を眺めるかの如く小停止し、ハンバーガーの画が映る(バリーが「アイスクリーム!」と叫んだ後)。また、全体的なシーンの推敲もやり直され、冒頭のロイ一家の導入シーンが新たに撮影され、細かい部分が多くカットされたことで全体的な長さはすべてのバージョンで最も短い132分となっている。AUEにて初のデジタルソフト化となった。

77年公開版[編集]

VHSLDで発売された際にメディア上の制約で編集されたバージョン。劇場公開版を元にロイのファーストコンタクトが差し替えられ、ロイたちがデビルズタワー麓へ連行後のヘリから脱出するシーンがカットされているほか、ロイが家族とマッシュポテトを食べるシーンの前半部分がカットされている。

ファイナル・カット[編集]

1999年に公開20周年を記念して特別篇から再編集されたバージョン。特別篇をベースにロイが狂ったようにデビルズタワーの模型を作るシーンをはじめとしたカットされたいくつかのシーンを復活させたほか、マザーシップ内部描写の削除、フイルムのデジタルリマスター等を行った。この結果、137分と一般上映されたものとしては最も長いバージョンとなった。AUEにはさらにリマスター収録されている。この映画では唯一DVDが単品販売されており、レンタル用もこのバージョンが提供されている。

ABCテレビ版[編集]

現在確認されているものの中で最長のバージョン。劇場公開版に特別篇の追加シーンを盛り込んだもので、143分ある。

完全版(非公式)[編集]

ファンの手によって作られている非公式版。全てのシーンをつなぎ合わせているもので、合計145分になるといわれる。

あらすじ[編集]

バミューダトライアングルで行方不明になった戦闘機群や巨大な貨物船が、砂漠に失踪当時の姿のまま忽然と姿を現した。謎の発光体が米国内外で目撃され、原因不明の大規模停電が発生。発電所に勤めるロイ・ニアリーも停電の復旧作業に向かう途中、不可思議な機械の誤作動を起こす飛行物体と遭遇。それが放つ閃光を浴びて以後理由も判らないまま、憑かれたようにUFOの目撃情報を集め出し、枕やシェービング・クリームに漠然と山のような形を見出すようになる。インディアナ州に住む少年バリー・ガイラーは家の台所に入り込み冷蔵庫を漁っていた「何者か」と鉢合わせするが、恐れる様子も無く後を追い掛け、その母のジリアンも深夜外に出て行った息子を連れ帰ろうとする途中で飛行物体の編隊と遭遇し閃光を浴び、ロイ同様に山の姿を描くようになる。

飛行物体の群れにバリー少年が連れ去られる(アブダクション)など謎の現象が続く中、フランス人UFO学者のクロード・ラコームは異星人からの接触を確信し、「彼ら」と直接面会する地球側の「第三種接近遭遇」プロジェクトをスタートさせる。「彼ら」からのデータ送信をキャッチしそれが地上の座標を示す信号で、ワイオミング州にあるデヴィルズ・タワー(悪魔の塔)という山を指し示していた。軍も出動し有毒ガス漏洩を偽装して住民が退避させられるがニュースで報じられた事によってロイとジリアンは探し求めていた奇妙な形の山がデヴィルズ・タワーである事を確信。州境を越えデヴィルズ・タワーを目指す。

デヴィルズ・タワーに陣取ったラコームらプロジェクトチームの目前に飛行物体の編隊が現れ、チームが送った信号に反応を示して飛び去った。関係者達は歓声を上げるが、直後山の背後から「彼ら」の母船とみられる巨大な円盤が重低音を響かせながら出現する。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語版1 日本語版2 日本語版3
ロイ・ニアリー リチャード・ドレイファス 樋浦勉 山寺宏一 入江崇史
クロード・ラコーム フランソワ・トリュフォー 金内吉男 松橋登 井上倫宏
ロニー・ニアリー テリー・ガー 藤田淑子 百々麻子
ジリアン・ガイラー メリンダ・ディロン 小原乃梨子 弘中くみ子 八十川真由野
デヴィッド・ロフリン ボブ・バラバン 仲村秀生 仲野裕 星野充昭
バリー・ガイラー ケイリー・ガフィー 川田妙子 金田朋子
ロバート ランス・ヘンリクセン 宗矢樹頼
ブラッド・ニアリー ショーン・ビショップ 高森奈緒
トビー・ニアリー ジャスティン・ドレイファス 後藤邑子
チームリーダー メリル・コナリー 有本欽隆
プロジェクトリーダー J・パトリック・マクナマラ 山野史人 横堀悦夫
ワイルドビル ウォーレン・J・ケマーリング 銀河万丈 廣田行生
ベンチリー ジョージ・ディセンツォ 加藤亮夫
ハリス夫人 メアリー・ギャフリー 中澤やよい
農夫 ロバーツ・ブロッサム 清川元夢

演出:佐藤敏夫、翻訳:木原たけし、選曲:赤塚不二夫、効果:PAG、調整:前田仁信、製作:東北新社

  • 日本語版2:初放送1999年11月14日テレビ朝日日曜洋画劇場

演出:福永莞爾、翻訳:平田勝茂、効果:リレーション、調整:飯塚秀保、製作:東北新社

  • 日本語版3:DVD・ブルーレイ用新録版

演出:福永莞爾、翻訳:平田勝茂、製作:東北新社

スタッフ[編集]

第50回アカデミー賞受賞/ノミネート[編集]

受賞 人物
撮影賞 ヴィルモス・ジグモンド
特別業績賞 フランク・F・ワーナー
ノミネート
監督賞 スティーヴン・スピルバーグ
助演女優賞 メリンダ・ディロン
編集賞 マイケル・カーン
美術賞 ジョー・アルヴス
ダン・ロミノ
フィル・アブラムソン
作曲賞 ジョン・ウィリアムズ
録音賞 ロバート・J・グラス
ドン・マクドゥーガル
ジーン・キャンタメッサ
ロバート・ニュードソン
視覚効果賞 ロイ・アーボギャスト
ダグラス・トランブル
マシュー・ユリチック
リチャード・ユリチック
グレゴリー・ジェイン
  • 音響効果編集に対して、フランク・F・ワーナーに特別業績賞が授与された。
  • ジョン・ウィリアムズは本作と同年に公開された『スター・ウォーズ』でも作曲賞にノミネートされており、同作で受賞している。

バージョン[編集]

  • オリジナル劇場版(1978年、135分)
  • 「特別編」(1980年、132分)
    '77年の公開後、スピルバーグは初公開版で映像化しきれなかったシーンを盛り込むリニューアルをコロムビア映画側に申し出た。「マザーシップ内を見せること」を条件に追加撮影の予算が計上され、実写/視覚効果の追加撮影と再編集、台詞の再録音を経て'80年に発表された「特別編」は実質「ディレクターズ・カット」であるが、スピルバーグ自身には初めからマザーシップ内部は見せたくないという意向(特別編公開以降の発言)は損なわれた。マザーシップが星空に消えてゆくエンド・クレジット(後にILMの視覚効果監督となるデニス・ミューレンが撮影)の後半部分に、スピルバーグはディズニーアニメ『ピノキオ』(ロイが家族と観に行きたかった映画)の主題歌「星に願いを」を流すことを考えていたが、試写の批評が芳しくなくカットされた。これが「特別編」で復活された。旋律だけでなく歌も流そうとスピルバーグは考えたが、リアリティを損なうと他のスタッフから反対された。
  • 「ファイナル・カット版」(2002年、138分)
    製作20年を記念して発表された再々編集版。ゴビ砂漠など「特別編」で追加されたシーンは残されているが、マザーシップ内部の描写、「星に願いを」のメロディーは再び削除されている。
  • アメリカABCテレビ放映版(143分)

コレクター向けのソフト化はスタッフのインタビューを含む大量の資料/特典とともに'77年版と「特別編」の両方をプログラム再生という形で選択、鑑賞可能にしたレーザーディスクがあり、製作30周年を記念して発売された「アルティメット・エディション」のセット(ブルーレイは2枚組、DVDは3枚組)では、'77年版+「特別編」+「ファイナル・カット」の3種類が同梱されている。

補足[編集]

  • スーパーバイザーを務めたのは、元アメリカ空軍UFO 研究部顧問のアレン・ハイネック英語版で、劇中でもエキストラで登場している。原題の「Close Encounters of the Third Kind(第三種接近遭遇の意)」は、ハイネックの著書で提唱された用語である。
  • 本作のストーリーは『十戒』を基にしている。劇中でも「山」に向かうことになる主人公の家族が家のテレビで『十戒』を観ている。
  • スタートレック』に登場する宇宙船エンタープライズの模型が一瞬登場する。ダグラス・トランブル率いる視覚効果スタッフは、本作の後、『劇場版スタートレック』に参加する。また「特別編」で描写されたマザーシップの内部のシーンで花のめしべおしべのような閉じていく構築物は、同じくトランブルのスタジオで製作された『ブレードランナー』に警察庁舎の外観として再利用された。
  • ワイオミング州に実在するデビルスタワーは、アメリカ最初のナショナル・モニュメントである。SFXや演出効果のため、ミニチュアのデビルズタワーは実際より短く造られた。
  • 宇宙人との音声によるコンタクトを試みるシーンで、制御用のコンソールに設置されていたのは、アープシンセサイザーであるアープ・2500である。
  • クライマックスのマザーシップがデビルズタワーの背後から現れるシーンに(ごく小さな逆光の影ではあるが)『スター・ウォーズ』のR2-D2が登場している(上部壁面に逆さに貼り付けられている)。
  • 撮影はまずは人間ドラマを収録し、UFOのシーンは後回しにされた。UFOデザインはなかなか決まらず、当初はあのようなきらびやかなものではなかった。「宇宙人が地球人を安心させるため、地球上の様々なものに似たデザインにするのではないか」という観点で、ネオンっぽいものなども日常で見かける物に似せたアイデアが出た。中にはハンバーガーの看板「M」にそっくりのデザインもあり、却下されたものの赤い光球状のUFOが道端に立てられたハンバーガーの看板の前で小休止する「特別編」以降の追加シーンにその名残を見ることができる。
  • フランスの映画監督フランソワ・トリュフォーが出演しているが、トリュフォーは自作の映画にしか出演せず、またSF嫌いで「宇宙だのロボットだのは生理的に嫌悪感がする」とまで公言していたため、本作への出演は驚かれた[2]。アメリカに行くたびにパーティなどで『野性の少年や『アメリカの夜』を見ていたスピルバーグと会い、出演を打診した。コロンビア映画リノ・ヴァンチュラジャン=ルイ・トランティニャンを起用する予定だったが、スピルバーグがトリュフォーに出演を懇願し続けて実現した。

参考文献[編集]

  1. ^ a b Close Encounters of the Third Kind (1978)” (英語). Box Office Mojo. Amazon.com. 2010年4月10日閲覧。
  2. ^ 山田宏一蓮實重彦『トリュフォー 最後のインタビュー』p484-486、平凡社2014年

関連項目[編集]

外部リンク[編集]