1941 (映画)

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1941
1941
監督 スティーヴン・スピルバーグ
脚本 ロバート・ゼメキス
ボブ・ゲイル
原案 ロバート・ゼメキス
ボブ・ゲイル
ジョン・ミリアス
製作 バズ・フェイトシャンズ
製作総指揮 ジョン・ミリアス
出演者 ジョン・ベルーシ
ネッド・ビーティ
ダン・エイクロイド
三船敏郎
音楽 ジョン・ウィリアムズ
撮影 ウィリアム・A・フレイカー
編集 マイケル・カーン
配給 アメリカ合衆国の旗 ユニバーサル映画
日本の旗 コロンビア映画
公開 アメリカ合衆国の旗 1979年12月13日
日本の旗 1980年3月29日
上映時間 118分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
日本語
ドイツ語
製作費 $35,000,000[1] (概算)
興行収入 $31,755,742[1] アメリカ合衆国の旗カナダの旗
$92,455,742[1] 世界の旗
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1941』(邦題としてはいちきゅうよんいちと読ませる)は、1979年に公開されたアメリカ映画ユニバーサル映画コロンビア映画の共同製作。スティーヴン・スピルバーグ監督、ロバート・ゼメキスボブ・ゲイルが脚本。

概要[編集]

ジョーズ』、『未知との遭遇』とヒット作を飛ばしてきたスティーヴン・スピルバーグが『未知との遭遇』に続いて監督した作品。

冒頭から『ジョーズ』のオープニングのパロディを用いたり、『サタデー・ナイト・ライブ』のキャストらを使った贅沢な映画だが、興行的に失敗。本作以降、コメディ関係は若手などに監督を任せ、スピルバーグは製作という立場をとることになる。2008年8月にユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン(現:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントジャパン)からDVDが発売された。

本作のモチーフとなったのは、イ17によるカリフォルニア州サンタバーバラのエルウッド石油製油所攻撃や、イ26によるカナダバンクーバー島攻撃など、太平洋戦争中に遂行された日本海軍潜水艦による一連のアメリカ本土砲撃、そして日本軍の攻撃に対するアメリカ人の恐怖が引き起こしたロサンゼルスの戦いである。また1943年ズートスーツ暴動英語版もモチーフの1つとされる。

ストーリー[編集]

日本海軍による真珠湾攻撃から6日後の1941年12月13日西海岸の住民は、次は自分たちだという見えない恐怖に包まれていた。やがて南カリフォルニア防衛の任を負う第3軍団[2]司令官にジョセフ・スティルウェル中将が着任し陸軍海兵隊に動員命令が下される。同時に市民防衛作戦が発令されて、アメリカ国民は南北戦争以来の、母国の"守り"に付くこととなる。

そんな中、アメリカ本土攻撃を目論む日本海軍のイ19潜水艦[3]カリフォルニア州沿岸に進出。艦長のミタムラ中佐[4]は「軍事的価値は薄いものの、ハリウッドを攻撃すればアメリカ人の戦闘意欲を喪失させる効果はある」とハリウッド攻撃を計画する。しかし、イ19に同乗するドイツ海軍観戦武官、フォン・クラインシュミット大佐[5]はミタムラの作戦に懐疑的だ。

迎え撃つは、「真珠湾の次はロサンゼルスが標的にされる」と信じて疑わないトマホークの飛行士、沿岸の住宅地に高射砲を据える軍曹、それを見て愛国心を燃やす老人、貧相な民間防衛組織、ダンスと女の子に夢中の青年、爆撃機を見ると欲情する女秘書官、芋畑に敵の秘密飛行場があると確信している大佐、慰問局の開いたダンスパーティにはしゃぐ兵士達、そして『ダンボ』に涙しつつ「この街の住人は変な人ばかり」と嘆く司令官。

一方、ハリウッドを目指すイ19艦内では羅針盤が壊れてしまう。位置を見失ったミタムラは忍者の子孫である水兵たちを上陸させ、名前がハリウッドに似たホリー・ウッドという名前の木こりを拉致する。彼の荷物からおもちゃの小さなコンパスを見つけた日本兵は歓喜するが、ホリーはそれを強引に飲み込んでしまう。

やがて、空襲警報が鳴り響くロサンゼルス上空に未確認機が襲来し、沿岸ではイ19が浮上する。遂にサンタモニカに広がる遊園地をハリウッドの一部と誤認した日本軍の攻撃が発動された。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹替
フランク・トゥリー軍曹 ダン・エイクロイド 内海賢二
ウォード・ダグラス ネッド・ビーティ 大平透
ワイルド・ビル・ケルソー大尉 ジョン・ベルーシ 熊倉一雄
アキロー・ミタムラ中佐 三船敏郎 原語音声
ウォルフガング・フォン・クラインシュミット大佐 クリストファー・リー 千葉耕市
チャック・ストレッチ・シタースキー トリート・ウィリアムズ 羽佐間道夫
ドナ・ストラットン ナンシー・アレン 沢田和子
ジョセフ・W・スティルウェル中将 ロバート・スタック 久松保夫
ルーミス・バークヘッド大尉 ティム・マシスン 石丸博也
マッドマン・マドックス大佐 ウォーレン・オーツ 納谷悟朗
ウォーリー・スティーヴンス ボビー・ディ・シッコ英語版 水島裕
クロード・クラム マーレイ・ハミルトン英語版
ジョーン・ダグラス ロレイン・ゲイリー英語版 桜京美
ベティ・ダグラス ダイアン・ケイ英語版 麻上洋子
ハービー・カズルミンスキー エディ・ディーゼン英語版 清川元夢
ホリー・ウッド スリム・ピケンズ 納谷悟朗
アンジェロ・シオリ ライオネル・スタンダー英語版 熊倉一雄
デニス・デソト ペリー・ラング英語版 沢木郁也
フォーリー ジョン・キャンディ 西尾徳
ミラー ディック・ミラー
デュボイス J・パトリック・マクナマラ
セールスマン シドニー・ラシック
ウィリー マイケル・マッキーン
リース ミッキー・ローク
迎撃機司令官 サミュエル・フラー
航海長イトウ中尉 清水宏
副官アシモト大尉 アキオ・ミタムラ
埃まみれのサイドカー伝令兵 ジョン・ランディスカメオ出演[6]
その他の日本語吹き替え:市川千恵子塚田恵美子岡和男広瀬正志西村知道鈴置洋孝
演出:春日正伸、翻訳:飯嶋永昭、調整:丹波晴道、効果:PAG

撮影エピソード[編集]

  • 冒頭の『ジョーズ』のパロディシーンを演じたスーザン・バックリーニ英語版は、実際に『ジョーズ』の冒頭で鮫に捕食された役も演じている[7]
  • 本作を制作していた頃、スピルバーグは「自ら何でもやらなければならない」という考えを持っていたため、誰かに仕事を振るということをほとんどしなかったという。スピルバーグ自身、「あの頃の自分は驕っていた。観客にも批評家にも酷評されたことが自分にとって1番いい出来事だった。以降は謙虚になったよ」と語っている[8]
  • 本作は破壊のシーンが多かったため、公開時は観客は耳を抑えていることが多かったという[9]
  • ドキュメンタリー映画「Stanley Kubrick: A Life in Pictures」に出演したスピルバーグによれば、スタンリー・キューブリックは1941をコメディではなくドラマとして製作する必要があると示唆したという[7]
  • 1941は世界的にも著名な日本人俳優である三船敏郎が出演したアメリカ映画の一つとしても注目される。また、三船が英語と日本語の台詞を吹き替え無しの肉声で録音した唯一のアメリカ映画である。他の映画では、しばしばポール・フリーズによって吹き替えされた[7]
  • 当初、カメオ出演の一環として、ジョン・ウェインチャールトン・ヘストンにスティルウェル将軍役を依頼していた。ところが台本を読んだ彼らは、病気を理由にこの依頼を断っただけではなく、スピルバーグに製作そのものの中止を促した。ウェインもヘストンもタカ派俳優として知られており、彼らはこの映画が非愛国的なものであると考えたのである。スピルバーグは次のように回想している。

彼(ウェイン)が本当に興味を持ったようなので台本を送ったところ、次の日に呼び出され、彼は1941が極めて非アメリカ的な映画であると述べ、そんなものの為に時間を無駄にしたくないと言った。さらに彼は『君も知っているだろうが、あの戦争は極めて重要なものだった。君はパールハーバーで失われた生命の何千倍ものコストをかけて面白おかしい戦争を作ろうとしている。第二次世界大戦を冗談にしないでくれ』と語ったのだ。[10]

スティーブン・スピルバーグ

  • ウェインから撮影への反対があったにも係わらず、1941ではウェインの主演した『静かなる男』のオマージュとして、ウェインとヴィクター・マクラグレンが殴り合いの喧嘩をするシーンで使用されたものと同じアイルランドフォーク『The Rakes of Mallow』が暴動のシーンで使用された。またホリー・ウッドの尋問シーンでは「ジョン・ウェインに怒られる」という台詞がある。
  • マッドマン・マドックス大佐の滑走路からワイルド・ビル・ケルソー大尉が飛び立つ直前、誤って翼から滑り落ちる場面は予定されたギャグではなく本当のハプニングであったが、ケルソーのエキセントリックなキャラクターに合せて残された。
  • ジョン・ベルーシは軍服を盗まれた憲兵が放り込まれるレストランでスパゲッティを食べる客も演じている。これはサタデー・ナイト・ライブのコントにてベルーシが演じていた、『ゴッドファーザー』のマーロン・ブランドをパロディ化したキャラクターである。ベルーシはしばしばユーモラスなアイデアをスピルバーグへと提供した[7]
  • 暴動のシーンでは、水兵に扮したエキストラの一人にジェームズ・カーンが紛れ込んでいる。
  • ストーリーの中程で大砲がドアをぶち抜く場面があるが、前と後で穴の箇所が違う。
  • ダンスパーティーの会場の床に書かれていたのは東條英機アドルフ・ヒトラー
  • P-40がハイオクを貰っていた場所は『激突!』でも使用されたガソリンスタンド。
  • サイドカーから側車が外れた場面をよく見ると側車の部分に撮影用に追加されたとされる車輪が確認できる。
  • 潜水艦が浮上して洋上に点在する場面はプールに実物大のセットを構築して再現している。
  • トゥリーの部下であるリース一等兵を演じたミッキー・ロークのデビュー作としても知られる。
  • 本作に登場するM3中戦車の名前「ルル・ベル」号は競走馬の名に由来し、ハンフリー・ボガートが主演した1943年の映画『サハラ戦車隊』へのオマージュである。また本作の「ルル・ベル」号はM4中戦車に改造を施したものだが、サハラ戦車隊の「ルル・ベル」号には本物のM3中戦車が使用されていた[11]
  • 本作に携わった模型技師グレッグ・ジェインは、後に『新スタートレック』の製作に参加し、宇宙船USSボーズマン(U.S.S.Bozeman)の船体番号を本作にちなんだ「NCC-1941」とした[12]
  • 1941は急逝したユニバーサル・スタジオの脚本家シャーロット・ブライアントに捧げられたものだという。彼女はジョーズや未知との遭遇の脚本に参加しており、本来ならば本作の脚本も手がけることになっていた[13]
  • 打ち合わせの為に撮影現場を訪れた三船敏郎は、軍艦旗や艦型など日本海軍への誤解に基づく誤りをいくつか見つけた。三船はスピルバーグやミリアスに訂正を申し入れた上で一旦日本へ帰国し、戦時中に潜水隊司令を歴任した今和泉喜次郎元海軍大佐や海上自衛隊幹部から提供されたイ19の設計図など旧海軍の資料を撮影現場へ持ち帰り、訂正を行った。また日系三世や四世の「アメリカンボーイ」に対する「帝国海軍乗員」たる訓練にも大きく時間を割いたという[14]。こうした三船の努力もあり、ハリウッド映画特有の「変な日本の描写」は比較的少ない。
  • 三船敏郎は本作以前にもジョージ・ルーカスから『スター・ウォーズ』のオビ=ワン・ケノービ(もしくはダース・ベイダー)役を依頼されたが、よく知らない監督であったため断った。『スター・ウォーズ』がヒットしたので、今度はルーカスの友人のスピルバーグの依頼で本作に出演することになったという。

脚注[編集]

  1. ^ a b c 1941 (1979)” (英語). Box Office Mojo. 2010年4月8日閲覧。
  2. ^ 原語表記は"III Corps"。「第3軍」は誤訳。
  3. ^ 劇中ではドイツ製の潜水艦とされているが、実際のイ19は伊一五型潜水艦の3号艦である。また、この時期には楢原省吾中佐を艦長として西海岸における通商破壊作戦に参加していた。
  4. ^ 原語表記は海軍中佐を意味する"Commander"。「司令官」は誤訳。
  5. ^ 原語表記は海軍大佐を意味する"Captain"。「艦長」は誤訳。
  6. ^ サイドカー伝令兵役を演じた、ジョン・ランディスは自身が監督をした映画『ブルースブラザーズ』で、お返しにとスティーヴン・スピルバーグを納税課職員役でカメオ出演させた。
  7. ^ a b c d The Making of 1941, Universal home video DVD
  8. ^ 「映像の魔術師 スピルバーグ自作を語る」
  9. ^ 「映像の魔術師 スピルバーグ自作を語る」
  10. ^ "John Wayne - John Wayne Urged Steven Spielberg Not To Make War Comedy." contactmusic.com. 2 December 2011. Retrieved: December 2, 2011.
  11. ^ Nelson, Erik. "The Perfect Double Bill:'The Hurt Locker' and Bogart’s 1943 'Sahara'." Salon, January 12, 2010.
  12. ^ "First Person: Greg Jein." CBS Entertainment. Retrieved: October 19, 2011.
  13. ^ "Review of 1941 (1979)." Time Out, New York.
  14. ^ "パンフレットより「撮影余話 三船敏郎」"

関連項目[編集]

外部リンク[編集]