外国人参政権

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外国人参政権(がいこくじんさんせいけん)とは、その国の国籍を有しない外国人に付与される参政権をさす。

目次

[編集] 各国における外国人参政権

[編集] 各国政府の選挙権と被選挙権

外国人に参政権を付与している国は、38ヶ国ほどである[1]EU加盟国英連邦諸国、近隣国同士などで、相互に付与し合う状況が見られる。また、対象者の国籍を限定せず付与する国もある(下記参照)。

  • 国政レベルの選挙権は、特定の国籍に限って付与する国が5ヶ国ほどある。さらに、国籍を限定せず付与する国が4ヶ国ある。
  • 国政レベルの被選挙権は、イギリス英連邦諸国およびアイルランド国籍者に限って付与している。国籍を限定せず付与する国はない。
  • 地方レベルの選挙権は、特定の国籍に限って付与する国が12ヶ国ほどある。さらに、国籍を限定せず付与する国が24ヶ国ほどある。
  • 地方レベルの被選挙権は、特定の国籍に限って付与する国が11ヶ国ほどある。さらに、国籍を限定せず付与する国が12ヶ国ほどある。

付与には、一定期間の居住または永住権が、条件となっていることが多い。国籍を限定せず付与する場合でも、国籍によって条件に差を設けていることがある。 世界で外国人参政権が政治問題化している事例は、しばしば地方レベルの付与をめぐってである。

[編集] 法体系や地政学的リスクの違いに起因する外国人参政権付与制度の違い

地方参政権付与の仕方の違いにおいて、安全保障の面から[2]大陸法系と英米法系の法制思想の違いや地政学思想を重視する見解が世界的には一般的になってきている。

本邦大学(防衛大を除く)一般教養課程での特殊性

法制史での特殊性
日本は英米法憲法であるにもかかわらず、戦後、マルクス、レーニン主義思想が強い大学が多い時代が長かったので、本邦法学界では「大陸法系か英米法系か」という観点でなく、「社会主義法系か資本主義法系か」という分類が標準化され、その因習で今でも本邦法学界では「大陸法系か英米法系か」かという観点は抑圧され、世界でも例をみないような標準化が学会などで強制されている、という指摘もある。
安全保障学での特殊性
国連での第二次世界大戦についての検証が不十分なとき、つまり破綻したパリ不戦条約に対する国際社会での反省での合意が全くされない時点で、かの理想主義を踏襲した現憲法が制定され、それ以来この平和思想が各界で偏重され続けてきた面があり、本邦大学では「軍事アレルギー」ともいうべきものが蔓延し、一般教養課程において地政学安全保障学軍事学といったような一般教養科目が教えられないという、世界でも異例な一般教養課程となってきた。
英米系・海洋国家地政学(現代の地政学)
「…日本では戦後地政学がタブー視されていたため、また研究の歴史も浅いために、研究の成果は限定的であるが、…」というような現状になってる。

すなわち、現実に各国の参政権付与の状況(下記参照)は、上記見解に沿うようになっている。つまり大陸法系では、安全保障上の担保のされ方は、憲法及び国防軍関連の法権限(など安全保障に関する法律)で為され、これに対し、英米法では憲法と国籍関連法(帰化関連法)で担保されるという違いになっていて、この現象は下記のように欧米諸国の現状で歴然としているが、歴史背景もあり日本での外国人参政権運動は特殊な理屈でされている。

[編集] 国政参政権

大陸法系にしろ英米法系にしろ、安全保障など国益の観点からの国籍取得の審査基準をパスしないと与えられないうのが普通である(「自決の原則」)。

つまり、大陸法系にしろ、英米法系にしろ、国連憲章1条2項の「自決の原則」に代表されるような経験則を踏まえ、安全保障政策を担保するための参政権付与の仕方は、外国(籍)人にとって排他的制度になっている。

[編集] 地方参政権

大陸法系と英米法系で、その法制史(法体系思想)に起因する法体系(法制)構造の違いによって外国(籍)人に対する参政権付与の仕方に違いが出ている、ということである。

[編集] 大陸法系(日、EU等)

憲法以下の法構造が、地方自治権限を制限できる強い権限構造になっている。そのため、国の安全保障政策における国防軍関連での法権限が、日常の有事以前の基地政策等でも地方自治体から干渉を受ける等、影響されることが少ない。そこで、条件付にしろ、外国人に対する地方参政権付与について、地方自治体に付与することが比較的容易である。実際にも大陸法系(EU等)では与えている国は多く見られる。

[編集] 英米法系(英、米等)

憲法以下の法構造が、マグナカルタや英国の市民革命で代表されるように、コモンロー的性格が強く法制史上の特徴として裁判などでは、その法解釈が根本的に地方自治権(地域の伝統、慣習の)尊重から考察が始まり、尚且つ自然法尊重という傾向が強い。そのため地方自治権は可変的で、国の安全保障政策における国防軍関連での行政権限が、有事以前の基地政策等においても日常的に地方自治体から強く干渉等を受けやすい。そこで、外国人に対する地方参政権付与について、安全保障上できるだけ危険を避けた消極的な方法にならざるを得ず、実際に、英米法系(英、米等)では、帰化(国籍取得)しないと地方参政権は与えられないという国が、以下、暗示されるように多くある。

このような、大陸法、英米法という切り口だけではニュージーランド等では説明つかないが、マッキンダー理論やニコラス・スパイクマンリムランド理論で代表されるような、地政学的なアプローチから、自然法として醸成されてきた各基本的人権の中でも最も基本的な人権構造体である安全保障思想という厳然たる現実を踏まえ、この法制史原因説を多次元的に補強する説も見られるようになってきている。

[編集] 外国人に参政権を付与している国

[編集] 国籍を限定せず外国人に選挙権を付与している国

アメリカ合衆国は、ごく一部の自治体で地方レベル参政権を付与している。なお、一時的な滞在で付与されるのはアイルランドのみで、他の国は長い一定期間の居住または永住権が条件となっている[1]。 これらの国に居住して条件を満たせば、日本国籍の人でも選挙権を付与されうると考えられる。

[編集] 欧州連合における外国人参政権

1992年マーストリヒト条約は、欧州連合加盟国に対して、地方参政権に関して互恵的に課している。これは既に現在、一部の国において実現されている。ヨーロッパの国々が外国人地方参政権の付与に積極的に見えるのは、欧州連合という枠組みにおいて、国家間の政策や協力により一致結束して実行する、という目的が背景にある。事実、付与対象者の国籍をEU加盟国に限るとしている国も多い。これは、欧州連合加盟国の国民に対してのみ追加的に権利を付与するものであり、欧州連合の市民と呼ばれる概念で説明される。よって欧州連合のような地域間での強力な協力体制がない国々に対して、欧州連合での事例を直接当てはめることはできない[1]

[編集] イギリス連邦における外国人参政権

イギリス連邦は、イギリスとその植民地であった50以上の独立した主権国家からなる、緩やかな連合(集合体・組織体)である。イギリスは加盟国国民に国政および地方選挙における選挙権および被選挙権を認めている。これらの特典は連邦市民権 (Commonwealth Citizenship) と称される。ただし連邦市民権は互恵的なものではなく、加盟国国民に対する待遇は加盟国によってまちまちである。

[編集] 韓国・北朝鮮の外国人参政権

[編集] 韓国における外国人参政権

永住資格取得後3年以上が経過した人に、地方レベル選挙権が付与される。ただし、永住資格取得者自体が多くない。永住資格の申請が可能になるのは、長期居住、定められた以上の年収、韓国における50万ドル以上の投資などによってである。 2006年5月に行われた統一地方選挙では、韓国に居住する約20万人の外国人のうち、6726人に選挙権が与えられた。内訳は大陸系の華人が5人、台湾系の華人が6511人、日本人が51人、米国人が8人などだった。 韓国では、2005年の7月の済州道での住民投票が、永住権者の参政権を認める初の例となった。

[編集] 北朝鮮における外国人参政権

現在のところ、外国人参政権について議論は起こっていない。 そもそも事実上の秘密投票が守られない北朝鮮においては自由投票を為しえず、外国人参政権以前に民主的な選挙ではないため、議論の前提がないといえる(詳しくは朝鮮民主主義人民共和国#公職選挙を参照)。

[編集] 在日韓国人・在日朝鮮人の本国政府に対する参政権

(各国政府にとっての)在外韓国人・在外朝鮮人である「在日韓国・朝鮮人」の持つ本国政府への参政権について述べる(この節は外国人参政権ではないが、比較のために重要な情報なので同時に述べる)。

[編集] 在日韓国人の韓国国政への参政権

詳細は「在日韓国・朝鮮人#在日韓国人の本国参政権」を参照

2012年より、在日韓国人には日本国内でも韓国国政選挙(大統領選挙)の選挙権を与えられることになっている[3]

将来的に、在日韓国人が日本で地方参政権を得た場合、いわゆる「二重参政権」の問題が発生する。すなわち、在日韓国人は2012年より本籍地である韓国においては国籍保有者を対象とした国政参政権をもち、居住地である日本においては居住者を対象とした地方参政権を得ることになり、2カ国における選挙権を同時に持つことになる。こうした問題に加え、日本に40万人の特別永住者が存在する韓国人・朝鮮人は、世界の中でも特殊な状況にあり、その非対称生から、在日韓国人の地方参政権は個別に状況を見極める必要がある。

[編集] 在日朝鮮人の北朝鮮国政への参政権

詳細は「在日韓国・朝鮮人#朝鮮籍および、北朝鮮籍朝鮮人の本国参政権」を参照

朝鮮国籍を持つ17歳以上の在日朝鮮人は北朝鮮国政への選挙権、被選挙権ともに有している[4]2009年現在では、在日朝鮮人からの代議員(北朝鮮国会議員)は徐萬述朝鮮総連中央議長)、許宗萬(朝鮮総連中央責任副議長)、梁守政(総連中央副議長)、姜秋蓮(女性同盟中央委員長)、張炳泰朝鮮大学校学長)、朴喜徳(朝鮮総連中央経済委員会副委員長)が選出されており、北朝鮮国政に積極的に参加している[5]。 在日朝鮮人に参政権を付与すると北朝鮮の国会議員が日本の選挙に参加できることになる。

[編集] 日本における外国人参政権をめぐる動き

[編集] 基本的な知識

  • 1977年から始まった在日本大韓民国民団の「差別撤廃・権益擁護運動」で在日韓国人による「参政権」の要求が始まり、当時の在日本大韓民国民団は「日本語を使い、日本の風習に従う社会同化は義務」としていた[6]
  • 日本において、日本国籍を持つ者(日本人)は、参政権(被選挙権・選挙権)を持つ。この権利は、外国人が日本国籍に帰化した場合(日本国籍取得者)も同様に保障されている。
  • 日本人と結婚した外国人の場合、特別帰化(簡易帰化)が認められており、帰化した場合には日本国籍取得者として扱われ、上述の日本人と同様の参政権を得ることができる(特別帰化を参照)。
  • ここで、日本における外国人参政権で論ずるべき人々は、(1)日本国籍に帰化していない外国籍の者であって、(2)日本に定住している者である。彼らも、帰化を申請すれば上述と同様の扱いを受け、参政権を得ることができる。しかし、個々の事情から帰化をあえて選ばず、外国籍で居続けているため、参政権を得られていない。そこで彼らは、外国籍を維持しつつ参政権(主に地方選挙権)を得られるように、要望している。

[編集] 対象となる外国人

詳細は「日本の外国人」を参照

2007年末現在の日本における外国人の在留資格
在留の資格 人数 構成比
特別永住者 430,229 20.0%
永住者 439,757 20.4%
定住者 268,604 12.5%
日本人の配偶者等 256,980 11.9%
留学 132,460 6.2%
その他 624,943 29.0%
合計 2,152,973 100%

永住の在留資格等を持ち日本に定着居住している外国人を「在日外国人」(英:resident aliens)と言う。(1)日本国籍に帰化していない外国籍の者であって、(2)日本に定住している者には、以下の在留資格が該当する。

  • 永住者とは、外国人のうち法務大臣が永住を許可した者をいう。(在留期間に制限がない)
  • 特別永住者とは、韓国籍・朝鮮籍・台湾国籍の外国人である。(在留期間に制限がない)
  • 定住者とは、外国人のうち法務大臣が特別の理由を考慮して永住を許可した者をいう。(在留期間が1年か3年。)[7]

永住者の数は年々増加しており、43万9757人である。特別永住者の数は43万0229人であり、およそ半数を占めるが、年々減少している。

外国人参政権付与は、特別永住者(特に韓国籍の外国人)から積極的に要望されており、韓国民団が後押ししている。

[編集] 最高裁第三小法廷判決(平成7年2月28日)

[編集] 事の始まり

1990年、永住資格をもつ在日韓国人(特別永住者)が、大阪市の各選挙管理委員会に対して、彼らを選挙名簿に登録することを求めて公職選挙法24条に基づき、異議の申出をしたことに始まる。異議を選挙管理委員会により却下されたため、在日韓国人らが却下決定取消しを求めて訴えを提起した。

[編集] 大阪地裁の「判決」

大阪地裁は、 (1) 憲法15条の「国民」とは「日本国籍を有する者」に限られ、定住外国人には公務員の選定・罷免権は認められない、 (2) 憲法93条2項の「住民」は「日本の国民であること」が前提となっている、 (3) よって日本国籍を有しない定住外国人には参政権を憲法が保障していると認めることはできないとして、請求を棄却した[8]。 これを不服とした原告は、公職選挙法25条3項に基づき最高裁に上告した。

[編集] 大阪地裁の「傍論」

地裁は、比較的詳しくこの裁判の争点に対する判断を説示した[8][9][10][11]

[編集] 最高裁判所の「判決」

平成7年(1995年)2月28日、最高裁第三小法廷は上告を棄却した[12]棄却の理由はこちら)。原告敗訴の1審大阪地裁判決が確定した。担当裁判官は、可部恒雄(裁判長)、園部逸夫大野正男千種秀夫尾崎行信の5名である。

[編集] 最高裁判所の「傍論」

[編集] 園部逸夫最高裁判事の述懐

最高裁は、外国人の地方参政権を憲法は「保障」したものとはいえないが、「禁止」もしていないと判示した(許容説)。 しかし、上告棄却という主文の理由としては「保障したものとはいえない」で足りる。「憲法上禁止されているものではない」は、この主文に影響しないから[10]、もう書かなくてもいいんじゃないかとも考えられたが、園部逸夫裁判官は在日の人たちの境遇に思いを馳せ、あえて書くことを主張して裁判官全員が一致した[13]。 後年、園部は次のように述懐している。

  1. 「在日の人たちの中には、戦争中に強制連行され、帰りたくても祖国に帰れない人が大勢いる[14][15]。帰化すればいいという人もいるが、無理やり日本に連れてこられた人たちには厳しい言葉である。私は判決の結論には賛成であったが、自らの体験から身につまされるものがあり、一言書かざるをえなかった・・・・・」(朝日新聞平成11年6月24日付。「自らの体験」とは、園部自身が戦前日本統治下の朝鮮半島に生まれ育ったことを意味している)
  2. 「この傍論を重視するのは、法の世界から離れた俗論である」(『自治体法務研究』第9号[16]、2007年。この寄稿において園部は、「選挙権を日本国民たる住民に限る」とした地方自治法および公職選挙法の各規定は違憲ではない、という部分が判例であると述べる。「保障したものとはいえない」も「憲法上禁止されているものではない」も先例法理[17]ではないという[18]。そして、「憲法上禁止されているものではない」という傍論を重視したりするのは主観的な批評に過ぎず、判例の評価という点では、法の世界から離れた俗論であると述べている)

いずれにせよ、この最高裁判決はその後の下級審に、傍論込みで影響力を及ぼしているのが事実である。

[編集] 「傍論」に対する日本国民の判断の違い

(園部述懐での、「強制連行」の語義の曖昧さや「大勢いる」等の合理性なき観念的表現等、情緒的な認識に対する姿勢の違いについて)

参政権付与の賛否の根拠となる歴史観では、
  • 当時の国家総動員法(国民徴用令)の体制であったという史実を無視するか否か
  • 国家総動員法(国民徴用令)体制でなされた「徴用」を「強制連行」と言い換え、また現在の「永住外国人」(特に在日韓国・朝鮮人」)の全てが「強制連行」されてきたかのような表現を適切とするか否か
  • 国家総動員法(国民徴用令)体制では朝鮮人だけでなく、本土国民や台湾人も「徴兵」や「徴用」されたことを無視するか否か
  • 徴用された「国民」が工場、鉱山などで働くべき場所は朝鮮半島には少なかったことを無視するか否か
  • 園部逸夫等を除き、当時、「徴用」された日本人も台湾人も多くは「徴用」を「強制連行」と言い換えるレトリックを使うようなことはしていないという事実を無視するか否か
  • 特別永住者である在日韓国・朝鮮人の中で国民徴用令によって日本に連れて来られた者は適切に表現すれば[19][20]「徴用労務者」であって、1959年の日本政府による調査結果では日本に残留しているものは245人であり、特別永住者以外も含む、当時約61万人だった在日韓国・朝鮮人の殆どは、犯罪者を除き自由意志で残留していることが明らかにされている、[21]という史実を無視するか否か
  • 戦後の1959年の日本政府の調査発表時点でさえ在住しているものが245人でも一般通念としては「大勢いる」と断言できると判断するか否か[22]
  • 戦前に朝鮮半島で犯罪を犯して「強制連行」されてきたのか、「徴用」されてきたのか、あるいは終戦後、自らの意思で日本に来たのか、その理由の如何にかかわらず、とにかく戦後、自らの意思で永住権取得し日本に在住したものは、朝鮮戦争での兵役や戦火を逃れるために日本で永住権を取得したものもいて、それは日本政府の「強制連行」とは全く関係なく朝鮮半島の戦後の事情によるもの、停戦状態になっても帰国しなかった本人らの恣意的な事情であることを無視するか否か
という歴史事実での認定問題が挙げられる。
傍論の法的拘束力について上記2. の純粋の法理の面だけでなく、道義的問題として上記1. であらわされたような「戦争中に強制連行され、帰りたくても祖国に帰れない人が大勢いる・・・」で考察されるべき面はあると言える。
しかしながら、上記列挙される事実や、戦後のGHQ(マッカーサー司令部)指令[23]の事実や、各調査機関や各大手マスコミの調査結果からも、かの園部逸夫元裁判官の「強制連行」や「大勢いる」の認識が史実(真相)とは異なることが総じて異句同音に明らかにされている。
よって「強制連行されてきて、帰りたくても帰れない(在日南北朝鮮人等の外国)人が大勢いる」という歴史観は、その具体的で合理的で計数的な根拠が全く明らかにされていない以上、その信憑性において国民多数から大きな疑念をもたれる結果になっていることも事実なのだが、それでも、この表現に対して表面的な意味のまま尚、執着するか、あるいは、しないかの姿勢の違いによって、傍論の意義に対する姿勢も、地方参政権問題での結論も異なるものになってきている面が強い。

[編集] 平成7年2月28日判決以後の動き

[編集] 日本人の反応

[編集] 付与賛成派の意見

地方レベルでの外国人の選挙権を認める説の論拠としては、次のようなものがある[24]

  • 憲法は、選挙権の主体について15条1項では「国民」とし、93条では「住民」としている。学説は「住民」について、「その地域内に住所を有する者をいう」としており、国籍要件をとくに付加していないのが通例である[25]。93条における「住民」は、外国人を含むという保障はないにしても、必ずしも外国人を排除するものではない[26]
  • 「二重の正当化」論。すなわち、地方自治は、地域的正当性と国家的正当性の両方によって支えられていると説く。地域的正当性とは、国家意思と区別される「住民」意思によるものである。国家的正当性についてはその淵源が「国民」にあるが、外国人に地方選挙権を認めても、この正当性は切断されずに保たれる。なぜなら、地方自治体の高権行為は、法律に基づき法律の枠内で行われる(条例も法律の範囲内で制定される)からである。つまり、93条の「住民」に外国人を含める解釈は、国民主権原理と矛盾しない。
  • 15条1項が国民主権原理(1条)から派生するものであるとすれば、93条2項は直接的には地方自治の原則(92条)から派生する。住民である外国人の選挙権を排除することは「地方自治の本旨」に反する。

国政かつ地方レベルで外国人の選挙権・被選挙権を認める説の論拠としては、次のようなものがある[24]

  • 憲法は、30条で納税の義務を「国民」の義務としているが、実際には居住地主義などによっている。憲法でも法律でも、「国民と書いてあるから日本国籍を有する者のことであって外国人を含まない」と簡単に言ってしまうわけにはいかない。
  • 政治理念としての民主主義は、人民の自己統治であり、自己の政治決定に自己が従うということである。したがって、政治的決定に従う者は、当然、その決定に参加できる者でなければならない。「国民主権」の主権者は、民主主義の観点から言って、その政治社会における政治的決定に従わざるをえないすべての者である。日本における政治的決定に従わざるをえない生活実態にある外国人には、参政権を保障すべきである。
  • 国・自治体は、税金を元に、国防・治安・災害対策・教育・福祉・交通関連その他の公共サービスなどを提供している。外国人もまた、これらを享受しているのであり、「納税の義務から当然に参政権が生ずる」とまでは言えない。しかし一方、税の使い道の決定に外国人が関与できないなら、「国・自治体は、外国人も享受できるように取り計らってくれるはず」というお取り計らい頼みになってしまう[27]

[編集] 付与反対派の意見

日本人の反対派からは次のような意見が多い。

  • 日本国籍を取得した外国人(日本国籍取得者)には、当然参政権が保障される。外国人が日本における参政権を要求する場合には、帰化によって日本国籍を取得すべきだとする意見。
  • 日本国籍を持たない外国人に参政権を与えた場合、その者は「国籍を持つ国」と「日本」の二カ国にまたがる参政権を持つことになり、「二重参政権」の問題が発生する。これは避けるべきだとする意見。
  • 安全保障上の理由から外国人参政権に反対する意見がある。
    • 背景として、在日韓国人の中に「在日韓国人に帰化した在日朝鮮人(北朝鮮人)」が多く含まれることが挙げられる。現在でも北朝鮮は日本を敵対国家とみなしている。そのため、例えば、日本の国防に関わる問題を抱えた自治体において、在日韓国人の人口が何らかの理由で瞬時に激増し、「在日韓国人に帰化した在日朝鮮人」の人口が多数派となった場合に、安全保障の観点から非常に危惧すべき事態となる。
    • 在日朝鮮人は北朝鮮国政への選挙権、被選挙権をともに有しており、北朝鮮最高人民会議の代議員(国会議員)に6名選出されている。在日朝鮮人に参政権を付与すると北朝鮮の国会議員が日本の選挙に参加できることになる
  • 「納税をしている」という付与賛成派の意見への反論としての意見。
    • 納税は公共サービスを享受するための対価であり、参政権とは無関係。仮に関係があるとすれば、消費税を納める未成年者にまで参政権を認めることになり不当である。さらに、在日韓国人自身が韓国政府に納税を行っていないのに韓国国政への参政権を行使できることも、納税と参政権が無関係である根拠である。
    • 納税につき、在日韓国人には在日特権として減免税特権を与える自治体が存在することが明らかになっている(在日特権#減免税特権を参照)。
  • 「自同性」なる、自然法から導かれたものとはいえない理念上の権利主張に対する反論
    • 賛成派の特徴は、憲法で保障明示されてない基本的人権を主張するときは基本的人権を自然法による権利として主張するにもかかわらず、この件に関しては自然法としての権利を全く無視し、自然法上の権利とはいえない「自同性」という理念にもとづいて参政権を主張していることである。
    • つまり、国家の基本条件は本質的に他国民に対して排他的存在であること(つまり国民の「固有の権利」とは他国民の参政権二重取得に対する排他権であって、それは自然法で発生した基本的人権であること)や、自然そのものである地理的条件から導かれた地政学上の自然法としての権利である安全保障制度について、国連憲章1条2項の「人民の同権」、「自決の原則」を全く無視し、他国籍人に二重の参政権を与えるという「反同権」、「反自決」の立場からの主張を展開している。

[編集] 各政党の反応

各党に、賛成派議員・反対派議員が存在する。 特に民主党公明党が「法案を提出している点(いずれも廃案)」「党政策として掲げている点」で積極的である。1998年10月に国会に付与参政法案を初めて提出したのは、民主党と公明党であるが、後述の通り民主党内の意見は一枚岩ではない。

[編集] 自民党
  • 自民党はこの件に関する党内合意が得られていないため、党としての公式見解を表明していない。ただし、平成7年判決の傍論が出て以降、野党(民主党公明党)から複数回提出されている付与法案には全て同調しておらず、自民党には付与反対派が多数であることが伺える。また付与法案を提出した事が一度もなく、消極的である。

[編集] 主な賛成派議員
  • 少数派だが、付与に積極的な連立与党公明党と同調して容認する動きを見せる議員も存在する。

[編集] 主な反対派議員
  • 反対派議員の代表的なものを記載する。
    • 稲田朋美(国会対策委員)は、2009年5月11日放送の『ビートたけしのTVタックル』のインタビューに対し、「例えばある市とかある町に集中して、ある特定の国の人たちが集まって参政権を行使したら、その村とかその町とかその市は、その特定の国のために行政をすることになる」「安易に、地方参政権だからいいじゃないか、とはできない」「民主党政権になったら、外国人参政権の問題もそうだし人権擁護(法案)の問題もそうだし、実は自民党の中で何とか食い止めているような法案が通ってしまうんじゃないかと思ってます」と反対の立場から意見を述べている。
    • 河野太郎「今帰化すれば、日本人になれば、それこそ被選挙権までちゃんと持てるわけだし、地方選挙だけじゃなくて国政選挙まで選挙権・被選挙権ちゃんと持てるわけだから、もし日本で政治に参加したいのであれば、どうぞ帰化してください」「特別永住者というものを、いったいいつまで引っ張るんですか、と。22世紀まで特別永住者を残すんですか。30世紀にも特別永住者を残すんですか。昔の話です、といってそれを何代繰り返すんですか。」「日本に60年も住んでいて、日本で教育を受けて、日本語で生活をしているのならば、日本の国籍をとってください、というのが筋なんですよ」と述べ、選挙権が欲しい外国人は日本に帰化するべきだとする意見を表明している。

[編集] 公明党

[編集] 民主党

[編集] 主な賛成派議員
  • 代表経験者鳩山由紀夫岡田克也以外にも付与に積極的な議員が存在する。
    • 鳩山由紀夫(現代表)
      • 2009年4月(当時民主党幹事長)のニコニコ動画におけるインタビューにおいて、在日外国人地方参政権について語り、「参政権くらい付与されるべきだ」「日本列島は日本人だけの所有物じゃない」と発言してしまい、インターネット上では非難が殺到した[38]
      • 2009年5月(代表就任後)にソウルを訪れ李明博韓国大統領と会談した際には、側近議員から地方参政権付与問題について「次期衆院選で保守層が逃げるので触れないでほしい」とクギを刺された。李明博が「鳩山代表は日韓関係や在日韓国人問題で進んだ認識を持っている」と褒めると、鳩山は「おかげで多くの民団の方々の支持をいただいている」と答え、政策に対する在日韓国人からの支持を認めた[39]
    • 小沢一郎(代表代行・前代表)
      • 自身のホームページにおいて、外国人参政権付与を訴えている[40]
      • 2008年1月22日(当時民主党代表)の会見で「(外国人の地方)参政権につきましては、これは私はずっと以前からそれは認めるべきであるというふうに主張しておりました」と述べた。
      • 2008年2月21日(当時民主党代表)に李明博韓国大統領と会談した際には、付与に向けた党内調整を急ぐことを名言した。これを受けて、2008年5月党内に「永住外国人地方参政権検討委員会」を設置した[36]
    • 円より子(民主党副代表)と白真勲は、2009年5月31日国会開会中にもかかわらず「永住外国人に地方参政権を!5・31集会」に参加し、在日韓国人と一緒に外国人参政権付与を訴えた[33]
    • 白眞勲(韓国から2003年に帰化)とツルネン・マルテイ(フィンランドから1979年に帰化)は、2007年12月6日中野サンプラザで行われた在日韓国人青年会主催の公開講座において「日本の内なる国際化のためには定住外国人に地方参政権を与えるべきだ」との認識を表明しており、かねてより外国人参政権付与を訴えている[41]
    • 小川敏夫(東京都総支部連合会幹事長)は、2009年5月11日放送の『ビートたけしのTVタックル』のインタビューに対し、付与賛成派の立場から「一緒にね、生活して、一緒に地域を作って、そして納税という義務も果たしているわけですから、ですからその、地域の在り方について、積極的に参加していただきたい」と述べている。

[編集] 主な反対派議員
  • 党内には慎重な姿勢を見せる議員も存在する。
    • 長島昭久は、現在の「在日」の中には、朝鮮半島から強制連行されてきた人たちおよびその子孫はほとんどいなく、過度の贖罪意識から情緒的に参政権の話を進めて、「特別永住者」という特殊な集団を固定化するような安易な参政権付与には慎重であるべきであり、どうしても参政権を行使したいというのであれば、国籍を取得していただくほかないと述べている[42]
    • 渡辺周(党静岡県総支部連合会長)は、2009年5月11日放送の『ビートたけしのTVタックル』において付与に反対する立場から「韓国は2012年から大統領選挙と国会議員の選挙は、永住外国人(在日韓国人)に対しても付与される。おかしいじゃないですか。国政選挙は韓国の選挙に参加して、地方選挙は日本の選挙に参加して、それはおかしいです。」「EUは統合しようということを前提に、外国人参政権を認めてきた。北欧は元々、移民を受け入れるために参政権を与えてきた。ですから、(EUを)例に出されるのは無理がある。」と延べた。平成10年の法案提出の際に、渡辺周は付与法案の提案者に名を連ねていたが、周辺国の日本に対する「色々な工作の歴史をみてこれは大変だ」と実感し、意見を変えたと明かした。

[編集] 日本共産党
  • 日本共産党も党として地方参政権付与を推進している[43]2009年1月には志位委員長が在日本大韓民国民団中央本部主催の新年会において、「日本共産党は永住外国人に選挙権だけでなく、被選挙権も付与する立場でがんばっています。」と党の方針を述べ、永住外国人に対する被選挙権を与えると表明した[44]

[編集] 新党日本
  • 新党日本では付与に積極的である。
    • 2007年11月7日田中康夫(新党日本代表)が日比谷野外音楽堂で行われた在日韓国人の集会「永住外国人に地方参政権を!11・7全国決起大会」に参加。「地域のことは住民が決めるのが民主主義の鉄則」と発言し、外国人参政権付与を訴えた[45]
    • 2009年5月31日有田芳生(新党日本副代表)は在日韓国人の集会「永住外国人に地方参政権を!5・31集会」に参加。外国人参政権付与を訴えている[33]

[編集] これまでの国会の動き

日本国内の特別永住者(ほとんどが韓国籍または朝鮮籍)に対する地方参政権付与は、韓国における永住外国人の地方参政権付与を前提にした互恵的制度として日韓間で法案準備がされてきた[要出典]。その後韓国内で一度廃案が決まった経緯から、日本の自民党では、「すでに一度終わった話」とする意見が多かった。

その後、韓国内で永住外国人に地方参政権を与える法律が成立した。これに対し日本の自民党や民主党の保守派議員からは「韓国に永住する在韓日本人は二桁であり、日本に永住する在日韓国人が50万人以上(但し特別永住者は2007年の実数で約43万人)というオーダーである事などから互恵的とは言えない」という反対意見や、「そもそも地方参政権といえども国民固有の権利であり憲法違反であるとして、外国人には与えるべきではない」という反対意見が出ている。

[編集] 提出され廃案となった法案
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(注:提出者が同名義のものは、会期を跨いでの継続審議の場合がある。)

[編集] 韓国人・朝鮮人の反応

在日コリアン団体の反応では賛否が分れている。

[編集] 韓国民団
  • 韓国民団は地方参政権を得るべきであると主張しており、参政権付与に積極的な民主党と公明党の支援を表明している[46]。そもそも、この平成7年裁判を起こしたのも在日韓国人であることから考えれば当然ではある。
  • 2008年ソウルでの在日韓国民団「全国幹部研修会」で、鄭進中央本部団長は、総選挙を念頭に地方参政権の早期獲得に向け万全の態勢で臨むことを表明している[47]。また、民団では「政権選択選挙」とされる今度の総選挙を「天王山」としており、永住外国人の地方参政権付与に賛同する候補者を中央・地方・支部が連携して積極的に最大限の支援を行い、選挙後に召集される国会での地方参政権法案の早期提出・成立をめざすとしている[47]

[編集] 朝鮮総連

かたや、朝鮮総連は「在日同胞は共和国公民である」という立場から「日本国への政治参加が在日同胞の民族意識を稀薄化させることにつながる」として反対を表明している。その他、「参政権は日本の政治地図を在日コリアンに反映させることになり、さらなる党派分裂もたらす」と危惧する声(金敬得など)もあり、それらが結論においてのみ朝鮮総連と一致するという現象もみられる。

[編集] 在日韓国人の意見

2001年在日本大韓民国民団は、在日韓国人の多くが国政選挙権・地方選挙権が日常生活に必要なものとしているとの調査結果を発表する[48]。調査の内訳によると在日韓国人の44%が国政選挙権を、58%が地方選挙権を必要としていると考えていることを明らかにした[48]。(ただし、国政選挙権は憲法上得ることができない権利である)

  • 韓昌祐(マルハン会長。2002年に帰化した元在日韓国人で日本国籍取得者)は、在日韓国・朝鮮人に対し、「民族と国籍は別問題であり、その国の国籍をとって政治に参加することはどの国も当然のことで、いつまでも帰化も帰国もせずにいる在日は世界で最も立ち遅れた民族である」と批判している[49]

[編集] 韓国大統領の見解
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  • 盧武鉉(第16代大韓民国大統領)は、訪日中の2003年6月8日に放送されたTBSの特別番組「韓国・盧武鉉大統領 本音で直接対話」において在日韓国人男性からの質問に対し、「世界が一つに統合していく過程の中で、必ずしもその国籍を守るということが称賛をするようなこと、称えることだけだと思いません。どのような国の人でも自分の国の文化の誇りを捨てないにしても、現地の文化そして体制に適応して、またそこでその社会の一員として定着して、その社会に寄与することは非常に重要なことであります。」[50]と語り、韓国人の海外における韓国籍保持に否定的な見解を示している。1946年生まれであり、日本統治時代を経験していない世代である。
  • 李明博(第17代大韓民国大統領)は、在日韓国人に対する日本の外国人参政権付与に賛同姿勢を見せている[46]李明博自身、日本生まれ(大阪府中河内郡加美村)で幼少期を日本で過ごしており、終戦後から数ヶ月間(1945年8月15日1945年10月)日本に留まっていた経歴をもつことから、在日朝鮮人(当時は1950年朝鮮戦争勃発前)であったといえる。日本での通名は月山明博(つきやま・あきひろ)[51]であった。

[編集] 台湾人の反応

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傍論における永住外国人は、特別永住者が多く含まれているが、特別永住者は朝鮮民族だけでなく、在日台湾人も含まれている。ただ、裁判の経過からも明らかであるが、外国人参政権付与を要望しているのは、主に在日朝鮮民族であり、台湾人からそのような主張が目立って為されることはない。

[編集] 金美齢の意見

日本で活動する在日台湾人の評論家、金美齢は月刊誌WiLL (雑誌)(2008年2月号)にて「反日外国人に参政権を与える必要はありません」との意見を表明して在日外国人であり、本来ならば反対する利益のない立場でありながら日本のことを考えて、参政権付与に反対している。以下のように述べている。

  • 本国に加えて日本での参政権を付与することになる「二重参政権」の問題の指摘。
  • たとえ地方政府の参政権といえど、地方政府と中央政府はつながっており、反日的な思想をもった人間に参政権を与えるべきではないという指摘。
  • 税金を納めていることと、参政権の問題は全く無関係であることの指摘。金美齢自身が日本に在住しており、台湾で納税をしていないが台湾の参政権を取り上げられないことを例に出した。


[編集] その他の外国人・帰化人からの意見

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[編集] 法的解釈

参政権は基本的人権の一つであるが、人として存在するだけで当然に発生するという意味での権利(前国家的権利)ではない。国家の存在を前提として成立する権利(後国家的権利)である。ただし、後国家的権利であることは、いかなる外国人にも参政権を認めないとする理由になるわけではない[53]

憲法は15条1項で「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」としている。ここで「固有」とは「のみ」という意味ではない[54][55][56]。この「国民固有」とは、「国民から奪ってはならない」という意味であり、自然法思想に由来している。国民から奪うのでなければ、外国人に参政権を認めても15条に反しない[53][57][58]。 外国人への参政権付与と憲法との関係については、次の3つの学説がある。

禁止説
憲法上禁止されており、外国人への参政権の付与は違憲
要請説
憲法上要請されており、外国人を選挙から排除することは違憲
許容説
憲法はこの問題についての判断を立法府に委ねており、法律によって外国人を排除しても、また外国人に参政権を付与しても合憲

かつては国政・地方ともに禁止説が大勢とされていたが、現在では国政については禁止説、地方については許容説が多数説となっている[1]

外国人の人権あるいは政治活動の自由については、マクリーン事件最高裁判決により、

「憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきであり、政治活動の自由についても、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶものと解するのが、相当である。」 と判断されている[59]

定住外国人の地方参政権が問題となった事件で,最高裁判所は1995年(平成7年)2月28日付けの判決[12]において、「公務員を選定罷免する権利を保障した憲法15条1項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である」「憲法93条2項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない」として、地方参政権を求めた原告の訴えを棄却した。

ただし、その際、憲法は定住外国人に対し地方参政権を禁止はしていないので立法的施策が可能である、と次の通り判示した。

「・・・このように、憲法93条2項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第8章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である」[60]

この判決によって、最高裁は国政レベルでは許容説または禁止説、地方レベルでは許容説に立つことが窺われる[55]。 この最高裁判決を傍論まで含めて踏襲する判決が、下級審で相次いで出ている[53]。在日コリアン118名が集団提訴した「洪仁成地方選挙権・被選挙権訴訟」の大阪地裁判決[61]、福井市在住の在日コリアンを原告らとする「李鎮哲地方選挙件訴訟」の名古屋高裁金沢支部判決[62]などがある。

[編集] 在日永住外国人の参政権問題の背景

詳細は「特別永住者」を参照

日本で生活する外国人のうち、永住資格を持つ外国人の人口は、2007年末時点で約87万人である。このうち朝鮮半島や台湾から戦前に移住してきた人々やその子孫で、現在も日本国籍を取得していない、いわゆる特別永住者の人口は、約43万人である。(「平成19年末現在における外国人登録者統計について」参照)。

日本における永住外国人参政権問題については、出身国に関係なく付与すべきという意見もあるが、旧植民地を出身とする特別永住者に対してどのように考えるかということが最も意見の分かれるところである。さらに、本来の特別永住者たる資格要件(戦前から日本に居住していた外国人)を満たさない、不正資格者(密入国者)の存在が、論議を難しくしている。

[編集] 戦前~戦時下

[編集] 植民地の統治

1895年に日清戦争で勝利した日本は、下関条約によって初めての植民地である台湾を清から割譲された。その後1905年に日露戦争後のポーツマス条約でロシアから樺太の南半分を獲得し、その5年後の1910年には日韓併合条約を締結して、先の二つの戦争のそもそもの原因であった朝鮮半島の併合を成し遂げた。これらの地域は外地とも呼ばれ、日本の領土、すなわち大日本帝国憲法の効力が及ぶ範囲として、太平洋戦争で日本が敗北する1945年まで統治された。日本はこれらの地域に住む多様な民族を包含する多民族国家となった。

これらの植民地に元から住んでいた住民は、大日本帝国の臣民すなわち日本国民であるとされて日本の国籍を持った。但し戸籍については日本人と区別され、植民地ごとに別の戸籍が作られて戸籍法の適用を受けなかった。外地出身の家系であれば内地で生まれても、婚姻等でもない限り内地へ転籍できず外地の戸籍に入籍した。住民には帝国臣民として日本民族に同化させる政策がとられた。その後日中戦争が勃発し、戦時体制が固められていく中で、創氏改名や日本語教育、神社参拝などの皇民化政策が推し進められ、同化(日本人化)政策は強化されていった。植民地では経済的な困窮が続き、内地(日本本土沖縄)や南樺太などへ出稼ぎとして移住する者も多かった。

[編集] 植民地[要出典]の参政権

これら植民地[要出典]では、内地の法律を勅令によって適用させることができるとした。

また台湾と朝鮮については、それぞれ固有の民族や文化に適応した統治を行うために、政府は台湾総督府、朝鮮総督府の各総督に対して立法権を委任した。総督は日本の陸海軍大将などが天皇から任命されて就任した。台湾と朝鮮の総督が制定する法律に替わる命令は帝国議会の協賛を要するとされた。

樺太については、内地からの移住者が多かったため原則的には独自に法律を作ることはなく、内地の法律が適用された(実際に1943年には内地に編入されている)。

李氏朝鮮清朝の統治時代にはこれらの地域には国政・地方参政権ともに存在しなかった。これらの外地の住民は、立法権を持つ帝国議会議員や総督の選定に容喙できず、衆議院議員選挙の選挙区が設置されなかったが、道会、州会等の地方議会選挙を通じて民意を表明することが可能であった。これらはこの地域に住む日本人も同様であった。なお選挙を要しない貴族院では、朝鮮人、台湾人も議員に任命されていた。

ただし台湾人、朝鮮人であっても、内地に移住した場合は当然に衆議院議員や内地の地方議会選挙で選挙権を行使できた。

被選挙権については、選挙区への居住が条件づけられていないため、内地の選挙区を選んで出馬することは出来た。ただし外地に居住する台湾人、朝鮮人で実際に出馬した例はなかった。

[編集] 内地の参政権

内地では1912年に沖縄県が選挙区に加わり、小笠原諸島や千島列島を除くほぼ全土にわたって帝国議会の議席が与えられた。1925年に施行された普通選挙法によって、25歳以上の男子で内地に居住する帝国臣民は納税額に関わらず参政権が認められた。ただし貧困により扶助を受けている者や、六ヶ月以上一定の市町村に居住していない者には認められなかった。日本の有権者は1240万人へと増加した。居住条件が台湾人や朝鮮人には不利であったが、内地への移住者が増加するに伴って有権者の数も増加した。

1932年には朝鮮人の朴春琴が衆議院議員選挙で東京4区から出馬して当選を果たした。朴春琴は在日朝鮮人労働者の相互扶助団体「相愛会」を設立(会長:李起東)し、自らは副会長に就任していた。1928年には理事長に朝鮮総督府警務部長、警視庁特高課長を務めた丸山鶴吉を迎え、親日融和を標榜する政府御用団体として成長した。東京4区は戦前に在日朝鮮人が多く住んでいたが、有権者としてははるかに多数派であった日本人の支持を得るため日本の大陸進出を推し進める政策を主張した。朝鮮統治にとって好ましい候補者であったため朝鮮総督府や軍から支持された。外地出身者で立候補した者は他にもいたが衆議院で議員になったのは朴春琴だけである。朴春琴は1937年に再選したが以後は落選した。

このほか地方議会でも1932年に朝鮮人の朴柄仁が尼崎市会議員選挙で当選するなど外地出身者で当選を果たした者もいた。1940年に創氏改名令が施行されたが選挙は戸籍名で行われ、候補者はたとえば朝鮮人であれば朝鮮名を名乗って出馬した。1930年からはハングルでの投票も有効とされた[2][3]。候補者はポスターにハングルを記載した(2008年センター試験日本史A 第3問, 問4)[4]

[編集] 戦時中

1938年に国家総動員法が制定され、政府は内地外地ともに労働力や物資を統制下に置き、動員や調達が出来るようになった。内地ではさらに徴兵令から改定された兵役法や国民徴用令が発動されていたが、戦況の悪化とともに日本人だけでは兵員や労働者が不足するようになり、それぞれ外地でも適用されるようになった。兵役法は戸籍法の適用を受ける日本国民男性を徴集の対象としていたため、戸籍法の適用を受けない植民地住民は対象となっていなかった。1943年に政府は兵役法を改定し「戸籍法の適用を受ける者」の部分を削除し、植民地住民の徴兵を可能とした。

台湾では徴兵制は1945年から、国民徴用令は日本と同じく1939年から適用された[要出典]。朝鮮では徴兵制は1944年から[要出典]、国民徴用令は1944年9月から適用された[15]。これにより動員された朝鮮人は、日本内地や戦地[要出典]へも赴任した。

徴兵や徴用の見返りに、1945年4月1日に改正された衆議院議員選挙法によって台湾と朝鮮にも帝国議会の議席が与えられ、選挙によって衆議院に議員を送ることが出来るようになった。但し有権者は1年以上直接国税15円以上の納税という制限が課されており普通選挙ではなかった。また議席数は、衆議院の定数466に対し台湾5名、朝鮮22名とされた。また1943年に内地に編入された樺太でも同時に3名の議席が認められた。しかし敗戦のため実施されずに終わった。また貴族院でも台湾と朝鮮から勅撰議員を選出することが決められ台湾、朝鮮から合わせて10名の議員が選出された。

[編集] 戦後

  • 1945年 日本において男女20歳以上の者に選挙権を与える規定に基づき婦人参政権が成立した。

[編集] 連合軍占領期

戦後すぐに多くの旧植民地人は帰国して行ったが、既に日本での生活に慣れ親しんだ一部の人々は、帰国することを望まなかった。また帰国したくても渡航費用が無かったり、帰国後の生活基盤が無い上に持ち出し制限が課されて帰国を諦めた人もいた。また一度は帰国したものの、その後の朝鮮戦争などの混乱のために、日本に残った親類などを頼って日本に戻る人も見られた。日本に残り定住を決めた旧植民地人の多くは、戦前に自らの意思で移住してきた人々であって、徴用などで連行されてきた人々の大半は帰国した。

彼らの地位や権利をめぐっては不確定な時期が続いた。連合軍の占領下にあった日本政府は、戦争終結の平和条約を締結するまではこれらの人々について日本国籍を保持するとした。連合軍総司令部もそれを支持し、さらに旧植民地に正式に承認された国家が成立するまでは日本国籍を持つものとするとの考えを示した。1945年10月23日に政府は、内地在住の台湾人と朝鮮人の参政権保持を認めることを閣議決定した。しかし同年12月17日に改定された衆議院議員選挙法の付則では「戸籍法の適用を受けない者」の参政権を当分の間停止すると定め、旧植民地人の参政権を停止した。1947年5月には外国人登録令によって外国人としての登録を義務づけた。1948年8月に大韓民国、9月に朝鮮民主主義人民共和国が成立して朝鮮半島が南北に分裂、また1949年10月の中華人民共和国成立を受けて12月に中華民国国民政府が首都を台北に移転した。

1951年9月8日、日本はサンフランシスコ講和会議に全権を派遣して平和条約に調印、同条約は4月28日に発効し、日本が連合軍の占領から解かれ、また正式に台湾や朝鮮などの植民地と、千島列島や南樺太など内地の一部に関する権利を放棄することが決定した。この発効の直前、1952年4月19日に法務府民事局長が通達を出し、「平和条約の発効に伴う朝鮮人台湾人等に関する国籍及び戸籍事務の処理について」によって在日台湾人及び朝鮮人は一律に日本国籍を喪失することとなった。平和条約には旧植民地人の国籍に関する明文はなかったが、政府は戸籍法を基準として、内地に戸籍の無い住民は全て日本国籍を喪失するとした。また特に台湾については、1952年4月28日に日本が中華民国国民政府と調印し、8月5日に発効した日華平和条約をもって台湾人は日本国籍を喪失したとされた。

これら決定に至る過程で、日本政府内には当初旧植民地人に対して国籍選択権を与える考えがあったことも指摘されている。また一方で、たとえば当時の韓国政府は韓国併合以前の条約は全て無効であるとの立場をとっており、日本に在住する韓国人(朝鮮人)については、そもそも日本国民ではなく、大韓民国樹立によって日本国籍とされていたものから離脱し韓国国籍を回復した、とする「在日韓国人の法的地位に関する見解」を連合軍総司令部に伝えていた。平和条約発効の同日、外国人登録法が制定された。日本政府は在日台湾人、朝鮮人に対して国籍選択権を与えないことを決め、彼らは日本国籍を失い、外国人として日本で暮らすことになった。

[編集] 平和条約締結後

日本国籍を喪失した旧植民地人は、参政権をはじめ国民年金国民健康保険などの日本で生活する社会的権利が与えられなかった。彼らにとって、日本国民として日本人とほぼ同等であった戦前とは逆に、戦後は徹底して排除される政策となった。その後徐々に改善され、1960年代の後半から国民健康保険制度が、1980年代には国民年金制度が適用されるようになった。

外国籍でありながらこれらの社会保障制度が認められているため、日本国民の中には旧植民地人には権利は充分に与えられており、それ以上は必要ないと考える人もいる。逆に日本で永住する旧植民地人の中には、一度奪われたものを長年の努力で徐々に回復してきたという意識もあって、その延長線上に参政権がある、と考える人もいる。彼らは日本人と同様に税金は納めているが、現代の日本のみならず世界中のほとんどの国は、いわゆる普通選挙制度を採っており、納税を参政権要求の根拠にするのは今の時代にはふさわしくない、という指摘がなされている。 彼らが日本国籍を取得すればこれらの問題は全て解決するが、戦後かなり長い間、旧植民地人であるなしに関わらず、外国人が帰化することは容易なことではなかった。また彼らの中に帰化することへの心理的な抵抗を抱いている人が少なからずいたということも指摘しておかねばならない。

1991年に、出入国管理及び難民認定法(入管法)の特例として施行された法律で、戦前から定住する旧植民地人(いわゆる平和条約国籍離脱者)とその子孫は特別永住者となった。これらの人々には、日本国民と同等の社会的権利の多くが認められるようになったが、参政権については国政選挙、地方選挙に関わらず認められていない。特別永住者や日本国民の中には、特別永住者に対して外国人という立場のまま地方参政権を付与するべきという意見もある。一方で、90%以上が日本で生まれたという特別永住者に対して、選挙権を与えるのではなく、帰化手続きを簡易にし、日本国籍を取得を促せば良いという意見もある。あるいはいくつかの国が取っているように、日本で生まれた者は自動的に日本国民となる生地主義を導入するべきだという意見もある。2003年から帰化の動機書が不要になるなど、特別永住者の帰化申請手続きは年々容易になりつつある。

[編集] 参考文献

  • 田久保忠衛編著『「国家」を見失った日本人』(小学館文庫)
  • 百地章『憲法の常識 常識の憲法』(文春文庫)
  • 長尾一紘『外国人の参政権』(世界思想社)
  • 甲斐素直「定住外国人の参政権-あるいは国籍法の改正について-」『日本法学』66巻2号,2000.9
  • 百地章「憲法と永住外国人の地方参政権-反対の立場から」『都市問題』92巻4号,2001.4

[編集] 脚注

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  1. ^ a b c d 佐藤令 「外国人参政権をめぐる論点」 国立国会図書館調査資料 総合調査「人口減少社会の外国人問題」外国人の諸権利 2、2008年。
  2. ^ 安全保障での「地政学」参照、 地政学での「英米系地政学の歴史」および「英米系・海洋国家地政学(現代の地政学)」参照, 安全保障学軍事学、服部実『防衛学概論』(原書房、1980年),栗栖弘臣『安全保障概論』(ブックビジネスアソシエイツ社、1997年),『文化と国防、戦後日本の警察と軍隊』(日本経済評論社、PeterJ.カッツェンスタイン著/有賀誠訳),日本の警察
  3. ^ 在外韓国人にも選挙権…2012年総選挙から 中央日報 2009.01.23
  4. ^ 〈最高人民会議代議員選挙〉解説 朝鮮の選挙 立候補から当選まで 朝鮮新報 2009.3.13
  5. ^ 在日同胞6人も選出 朝鮮新報 2009.3.11
  6. ^ 「参政権」は必要か(上)/背景に不純な動機 朝鮮新報
  7. ^ 特別の理由については、法務省の定住者告示を参照
  8. ^ a b 選挙人名簿不登録処分に対する異議の申出却下決定取消(大阪地方裁判所、平成2(行ウ)69ないし79、平成5年6月29日)。
    傍論の一部は次の通り。

    確かに、日本国民と同じようにその地域社会の重要な構成員として、これを維持発展させるのに大きな貢献をしてきたと自負している定住外国人にとって、国益を巡って諸外国と利害が対立する場合に、日本の国家意思を確定し、これに基づき諸外国との外交を直接担当しなければならない国政、すなわち政府レベルの政治への参加はともかくとして、その行政機能の内容も地域住民生活の福祉を図ることを直接の目的とするものが多く、また、国政のそれと比べると政治的色彩も薄い地方公共団体の政治・行政についてさえ、これに参加する機会が与えられていない現実は不当にすぎるとの意見が出てくるのも一面もっともなことと考えられないではない。しかし、すでに説示してきたとおり、少なくとも憲法上は右のような外国人に対しても右参政権は保障されていないといわざるを得ないし、また、仮に右の者に参政権を付与することが憲法に違反しないとの立場を採り得るとしても、これを付与するか否かは立法政策の問題にすぎないというべきである。

  9. ^ 日本は民事・行政訴訟で弁護士強制主義を採用しておらず、建前は本人訴訟である。したがって、基本的には法律の非専門家である当事者でも(控訴するか否かなどを)判断できる程度に、判決理由は分かりやすく説示することが大切とされる。
  10. ^ a b 判決の理由欄に示された裁判所の判断のうち、判決の結論(主文)に直接関係のないものを傍論という。
  11. ^ 現役の裁判官だった井上薫は、傍論は判決の蛇足だ、傍論は書くなと主張した。『司法のしゃべりすぎ』(新潮新書)などの著書がある。しかし、井上に対しては「判決理由が短すぎる」などの批判が強く、再任拒否されそうになって2006年に退官した。
  12. ^ a b 選挙人名簿不登録処分に対する異議の申出却下決定取消(最高裁判所、平成5(行ツ)163、平成7年02月28日)
  13. ^ この判決は傍論部分も含めて裁判官全員一致、少数意見なしである。
  14. ^ 例文「日本人の中には、北朝鮮に拉致された人が大勢いる」。この例文は正しいが、この「大勢いる」が「大部分を占める」の意味でないことはもちろんである。園部の「大勢いる」についても同様である。
  15. ^ a b 朝日新聞 昭和34年(1959年)7月13日2面

    「大半、自由意思で居住 外務省、在日朝鮮人で発表 戦時徴用は245人」
    本文: 「在日朝鮮人の北朝鮮帰還をめぐって韓国側などで「在日朝鮮人の大半は戦時中に日本政府が強制労働をさせるためにつれてきたもので、いまでは不要になったため送還するのだ」との趣旨の中傷を行っているのに対し、外務省はこのほど「在日朝鮮人の引揚に関するいきさつ」について発表した。これによれば在日朝鮮人の総数は約六十一万人だが、このうち戦時中に徴用労務者として日本に来た者は二百四十五人にすぎないとされている。主な内容は次の通り。一、戦前(昭和十四年)に日本内地に住んでいた朝鮮人は約百万人で、終戦直前(昭和二十年)には約二百万人となった。増加した百万人のうち、七十万人は自分から進んで内地に職を求めてきた個別渡航者と、その間の出生によるものである。残りの三十万人は大部分、工鉱業、土木事業の募集に応じてきた者で、戦時中の国民徴用令による徴用労務者はごく少数である。また、国民徴用令は日本内地では昭和十四年七月に実施されたが、朝鮮への適用はさしひかえ昭和十九年九月に実施されており、朝鮮人徴用労務者が導入されたのは、翌年三月の下関-釜山間の運航が止まるまでのわずか七ヵ月間であった。一、終戦後、昭和二十年八月から翌年三月まで、希望者が政府の配船、個別引揚げで合計百四十万人が帰還したほか、北朝鮮へは昭和二十一年三月、連合国の指令に基く北朝鮮引揚計画で三百五十人が帰還するなど、終戦時までに在日していた者のうち七五%が帰還している。戦時中に来日した労務者、復員軍人、軍属などは日本内地になじみが薄いため終戦後、残留した者はごく少数である。現在、登録されている在日朝鮮人は総計六十一万人で、関係各省で来日の事情を調査した結果、戦時中に徴用労務者としてきた者は二百四十五人にすぎず、現在、日本に居住している者は犯罪者を除き、自由意思によって残留したものである。」

  16. ^ 自治体法務研究第9号 2007年夏号「私が最高裁判所で出合った事件」
  17. ^ 先例法理とは、裁判所がある判決で採用した法準則を将来の同種事件でも原則として踏襲するように命じる法理である。
  18. ^ 判例法を認める国(英米法系)では、真の判決理由 ratio decidendi のみが後訴の裁判所を拘束し、傍論 Obiter dictum はこれを拘束しないので、両者の区別が重要となる。しかし、判例法主義をとらない日本ではこの区別はさほど重要ではなく、法制度として両者は峻別されていない。この判決では「保障したものとはいえない」が真の判決理由(の一部)、「憲法上禁止されているものではない」が傍論にあたるが、園部は両方とも先例法理ではないと言う。一般に、判決理由のどの部分が判例かについては学説上争いがある。「傍論を重視したりするのは」「法の世界から離れた俗論である」と園部が言ったのは、判例の範囲を狭く捉えた上での考え方として理解する必要がある。
  19. ^ 「連行」というのは通常「犯罪者」が逮捕され身体が拘束されてる状態を言うから「強制連行」は不適切である
  20. ^ 尚、その際「徴用」されてきたものは優先的に帰還させらている。
  21. ^ 北朝鮮へは昭和21年3月、連合国の指令に基づく北朝鮮引き上げ計画で350人が帰還するなど。
  22. ^ 子孫の数、その後、帰化したもの等について、の実態数字や、また何故、帰化しないのかの理由について再調査もされなかったり、ある程度の調査がされていたと仮定しても、その調査結果が国民に公開されていない現状である
  23. ^ (「強制連行」されたり「徴用」されて日本に来た者に対しては、帰還事業において優先権が与えられた。
  24. ^ a b 後藤光男 「外国人の地方選挙権」『ソシオサイエンス』vol.7、早稲田大学大学院社会科学研究科、2001年。
  25. ^ 現行法における「住民」の定義を見ると、地方自治法では市町村の「区域内に住所を有する者」(10条1項)と述べ、外国人も含めている。国籍要件を付加する場合は「日本国民たる」を冠していることが、同法11条以下から分かる。一方、公職選挙法の地方選挙権に関する条文(9条2項)も、「……区域内に住所を有する者」に「日本国民たる」を冠している。つまり、「住民」自体は必ずしも「国民限定」ではないと考えられる。
  26. ^ これに対して最高裁の判断は、93条における「住民」はその区域に住む国民を意味する、というものであった。これは、93条だけでなく国民主権原理(前文および1条)、15条1項、その他も併せ考えたうえでの判断である。そして、93条2項の権利は外国人に保障されないとした。一方、憲法8章の趣旨から判断して、93条2項の権利は外国人に禁止されていないとした。結局、外国人には保障されないが禁止もされていないという。
  27. ^ 地方自治法10条2項
    • 住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。
    しかし、外国人の間からは「(日本国民と)ひとしく負担しているのに、ひとしくサービスの提供を受けられない」という声も聞かれる。また、それらの声を選挙で反映させることができないため、公共サービスの享受の権利も、通り一遍のものになっていたりした(京大ユニセフクラブ研究発表「国籍って何だろう」、1996年11月)。
  28. ^ 永住外国人の地方参政権 日本各界に聞く<3> 衆議院議員・河村建夫さん(自民) 民団新聞1998年9月9日
  29. ^ 「議案本文情報一覧」『衆法 第163回国会 14 永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権の付与に関する法律案衆議院
  30. ^ 「議案審議経過情報」『衆法 第163回国会 14 永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権の付与に関する法律案』衆議院。
  31. ^ 「議案審議経過情報」『衆法 第163回国会 14 永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権の付与に関する法律案』衆議院。
  32. ^ <11・7決起大会特集>各激励辞 「参政権」付与は当然 民団新聞2007年11月14日
  33. ^ a b c d 「上程11年、もう待てぬ」 参政権促求集会 民団新聞より
  34. ^ 民主党の掲げる基本政策の選挙制度に関する部分では「定住外国人の地方参政権などを早期に実現する」としている。
  35. ^ 2007政策リスト300の3ページ
  36. ^ a b 「永住外国人地方参政権検討委員会」の設置と民主党環境シンポジウムの開催を決定
  37. ^ 定住外国人・地方参政権付与、民主がマニフェスト記載見送りへ 産経新聞
  38. ^ 「安っぽい同情論」「民主応援できない」鳩山発言でネット騒然2009.4.21 産経新聞
  39. ^ 鳩山氏 外交デビュー 危うさも
  40. ^ 永住外国人の地方参政権について
  41. ^ 「地方参政権法案提出へ 民主党議員公開講座」2007-12-21付民団新聞より
  42. ^ 外国人参政権について考える 長島昭久 WeBLOG 『翔ぶが如く』 2008年01月28日
  43. ^ 永住外国人の地方参政権/法案要綱 永住外国人に地方参政権を保障するための日本共産党の提案(1998年11月17日)
  44. ^ 民団の新年会に志位委員長が出席 しんぶん赤旗2009年1月10日
  45. ^ <11・7決起大会>早期立法化へ5000人結集 民団新聞より 保存された記事
  46. ^ a b 民団、民主・公明支援へ 次期衆院選 選挙権付与めざす2008年12月12日 朝日新聞
  47. ^ a b <民団>参政権実現へ賛同候補を全面支援 民団新聞 2008.11.26
  48. ^ a b 在日韓国人、「本名」は1割、3割が使い分け 民団調査 朝日新聞 2001/03/23
  49. ^ 2005年5月18日テレビ朝日『ワイド!スクランブル
  50. ^ 韓国・盧武鉉大統領 本音で直接対話「日韓の明るい未来」より
  51. ^ (韓国語)『李明博先親の姓は「ツキヤマ(月山)」だった』、韓国日報、2007年1月9日
  52. ^ 10年以上住む外国人に地方選挙権をあげます
  53. ^ a b c 日本弁護士連合会第47回人権擁護大会シンポジウム第1分科会基調報告書 「多民族・多文化の共生する社会をめざして ―外国人の人権基本法を制定しよう―」、2004年10月7日。
  54. ^ 最高裁判決は「日本国民のみ」と述べている。しかし、それは「15条1項に『国民固有』と書いてあるから」ではない。国民主権原理(前文および1条)に照らし、「公務員を選定罷免する」という「権利の性質」から考えて、「日本国民のみ」とするのである。
  55. ^ a b 最高裁判決は「権利を保障した憲法一五条一項の規定は」「日本国民のみをその対象とし、」「権利の保障は」「外国人には及ばない」と述べる。つまり、外国人には保障されないと言っているのであり、外国人には禁止されるとは言っていない。しかしまた、禁止されないとも述べていないので、許容説または禁止説ということになる。地方については「禁止されているものではない」と述べているので、許容説である。
  56. ^ 最高裁判決は、権利保障の対象は国民のみと述べているのであって、「国民のみの権利」とは述べていないことに留意されたい。もし、「国民のみの権利」であるなら、外国人に付与してはならない。しかし、判決の意味するところは「外国人には保障されない」であって、「外国人に付与してはならない」ではなかった。この食い違いの原因は、「国民固有の権利」が「国民のみの権利」という意味ではないからである。
  57. ^ 外国人参政権反対派に答える
  58. ^ もっとも、15条は外国人に参政権を保障はしていない(最高裁判例)。
  59. ^ 在留期間更新不許可処分取消 (最高裁大法廷、昭和50(行ツ)120、昭和53年10月04日)
  60. ^ 「しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。」と但し書きが付いている。
  61. ^ 大阪地裁判決1997(平成9)年5月28日(判例タイムズ918号169頁)は、「地方参政権、すなわち地方公共団体の長及び議会の議員の選挙権及び被選挙権」は、在留外国人には保障されていないとしたが、「旧植民地出身者及びその子孫についての在留原因の特殊性と歴史的経緯」を考慮して「特別永住者等に地方参政権を付与する立法措置を講ずるか否かについても、結局のところ立法機関の広範な裁量に委ねられた高度の政策的判断に属する事柄である」と判示し、請求を棄却した。
  62. ^ 控訴審において、名古屋高裁金沢支部判決1996(平成8)年6月26日(判例時報1582号30頁)は、「地方参政権」を被選挙権を含むものとして用いて、「我が国に在留する外国人に対して、地方参政権を保障したものということはできない」とはいえ、「永住者等」に「法律をもって、地方参政権を付与することは憲法上禁止されているものではない」との判断を示している。

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