永住権

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永住権(えいじゅうけん)は、外国人がその国の国籍を所持せずとも永住することができる許可を指す。多くの国では、この許可は恩典であり権利ではない。永住権を持つ人を永住者と呼ぶ。

永住者が享受できる権利は、その国の国民における権利とは全く同じにはならず、ある程度制限されたものになる。制限される内容は、選挙権被選挙権、国防軍など公的機関への就職、土地の所有、パスポートの取得などにおいて一定の制限を受けるといったものである。他に、一定期間を超えてその国から離れると、永住権が剥奪あるいは消滅する事になっている国も存在する。

日本[編集]

通例として永住権という言葉が良く使われるが正確では無い。法律上、権利ではないと位置づけられているため永住権という用語は用いられていない。入管法第七条第一項第二号による別表第二の「永住者」、入管特例法第三条、第四条、第五条に定められた「特別永住者」がこれに該当する。入管特例法上の永住者はかつての日本国領土住民(朝鮮・台湾)およびその子孫で日本国内で出生したものに与えられる。(→特別永住者

  • 入管法別表第二の永住者
    • 在留期間は無制限
    • 入管法の定める職業に就く限り制限無し

などの権利を与えられ、在留資格更新の手続きなどが不要となる。

  • 永住者資格を与えられる要件
    • 10年以上在留(日本への貢献が認められれば5年以上)
    • 独立した生計を営むに足る資産または技能を有すること
    • その者の永住が日本国の利益に合致すること

などがあり、申請者は入管法第二十二条および二十二条の二に基づき申請手続きを行い、法務大臣によって許可される。

定住者は永住者とは異なり、特別な理由のある場合、法務大臣が個別に判断して許可するもので、永住者と同じく職業に関する制限がなくなるが、在留資格の更新は3年または1年間隔で行う必要がある。永住者の近親者を日本に呼び寄せる場合などに利用されることが多い。

審査基準 (1) 素行が善良であること (2) 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること (3) その者の永住が日本国の利益に合すると認められること (注)日本人,永住者又は特別永住者の配偶者又は子の場合は,(1)及び(2)に適合することを要しない。 一度、永住権を取得するまで、上記の基準があるが、取得すると税金を滞納し些細な罪を犯しても 剥奪されることはないのが問題点である。

アメリカ合衆国[編集]

米国の永住権及びその資格証明書(永住者カードPermanent Resident Card、過去には Alien Registration Card または Alien Registration Receipt Card、Form I-551)は、初代の証明書が緑色だったことから「グリーンカード」の俗称がある。永住者カード(グリーンカード)の更新は10年毎に行われる(永住資格について再審査があるわけではない)。永住権取得5年後(米国市民と結婚している場合は3年後、アメリカ軍に志願・入営した場合は2年後)から帰化(市民権取得)申請が可能となる。デザインは定期的に変わり、2010年の登録証は名前通りの緑色になった。写真は英語版:Permanent residence (United States)を参照。

グリーンカードの主な取得手段として以下5つが挙げられる[1]

  1. 家族によるもの
    1. 米国市民の最近親者: 米国市民の配偶者・子供(未成年未婚)、米国市民(成人)の親、米国市民の寡婦
    2. 米国市民や米国永住者の家族: 米国市民の子供(未婚成人)、米国市民の兄弟・姉妹とその配偶者・子供(未成年未婚)、米国永住者の配偶者・子供(未成年未婚)、米国市民の子供(既婚成人)とその配偶者・子供(未成年未婚)
  2. 雇用によるもの
    1. 米国雇用主によるスポンサー
    2. 卓越技能労働者(EB1-EA: ノーベル賞受賞者、国際的なスポーツ選手など)、米国に貢献し得る知的労働者(EB2-NIW: 研究者など)については、米国雇用主によるスポンサーは不要。
    3. 投資によるもの: EB-5 immigrant investment visa(投資永住権ビザ)。投資による米国人雇用創出を目的とした投資移民プログラム。申請期間は約1年と比較的短いのが特徴。通常規定は100万USドル以上であり直接雇用が要件とされる。一方、時限立法(パイロットプログラム)の特別規定においては、特定の地域センター(Regional Center)内であれば、最低投資額が50万USドル以上になっている。また、間接雇用も認められている。パイロットプログラムの有効期限は2012年10月とされている。
  3. 抽選によるもの(DV-2014:Diversity Immigrant Visa:(多様性移住査証。通称グリーンカードくじ)。年1回の抽選に当選すれば比較的早く永住権が発行されるもの。当選確率は地域ごとに差があり、数百~数千分の1である。過去5年間で合衆国に5万人を超える移住者を送り込んでいる以下の国(地域・50音順)インド、韓国、中国本土、バングラデシュ、パキスタン、フィリピン、ベトナム(以下アジア)、エルサルバドル、カナダ、ジャマイカ、ドミニカ共和国、ハイチ、メキシコ(以下北中米)、エクアドル、コロンビア、ブラジル、ペルー(以下南米)、北アイルランドを除くイギリスとその領土(以下ヨーロッパ)、ナイジェリア(以下アフリカ)が出生国の者は応募できない(DV2016より)。
  4. 政治亡命
  5. 難民

申請から取得までに要する時間は、申請資格(取得手段)・出身国により数ヶ月〜十数年。

永住権と市民権の違いは次のものが挙げられる。

  • 次の理由により永住権を失うことがある(市民権は、虚偽申告・不利益な事実の隠匿により帰化した場合を除き剥奪されることはない)。
    • 特別な理由(政府・米国企業からの海外駐在など)なく長期間(再入国許可なく1年以上)米国を離れ米国居住の実態がないと判断された場合
    • 所得税申告を怠った場合
    • 重罪を犯して有罪判決を受けた場合
  • 公務員およびセキュリティクリアランスを要する職への就労には制限がある。
  • 連邦、州、郡、市町村、いずれのレベルにおいても参政権(選挙権・被選挙権)はない。なお、極一部の市町村においては選挙権を、一部の学区においては子どものいる外国人に教育委員選挙の選挙権・被選挙権を認めている。
  • 陪審員になることは出来ない。
  • 長期滞在資格を持つ全ての在米外国人は住所変更を市民移民局(USCIS)に届けなければならない。
  • 配偶者間の贈与税および遺産税の取り扱いについて違いがある(両者が米国市民の場合は非課税)。
  • 兵役(現在は停止中)を拒否出来るがこの場合市民権取得の受審は出来ない。

韓国[編集]

韓国の永住資格(F-5)取得には次のいずれかの条件を満たすことが必要[2]

  1. 韓国人の1人当たり国民所得の4倍以上の収入があること、あるいは7年以上滞在して居住資格(F-2)を獲得した後、さらに5年滞在し、かつ韓国人の1人当り国民所得以上の収入がある外国人[3][4]。3000万ウォン以上の財産関係立証書類も要求され、それが提出できる外国人。ただし大韓民国政府樹立以前に入国した在韓華僑とその直系卑属、及び2002年4月18日以前に居住資格を取得した韓国人の日本人妻は、身元保証及び財産関係立証書類の提出が免除される[5]
  2. 200万ドル以上を投資した外国人投資家として、韓国国民を5人以上雇った外国人。
  3. 50万ドル以上を投資した外国人で、企業投資(D-8)の資格で、3年以上韓国国内に継続して滞在しながら、韓国国民を3人以上を雇った外国人。
  4. 法務部長官が定める先端技術分野の博士学位証明書を所持する者で、永住(F-5)の資格申請時に韓国内企業に雇用され、法務部長官が定める金額(韓国の国民一人当たりGNIの4倍)以上の賃金を受ける外国人。
  5. 法務部長官が定める先端技術分野の学士号以上の学位証明書、または法務部長官が定める先端技術資格を所持する者であって、韓国滞在期間が3年以上で、永住(F-5)の資格申請時に韓国国内企業に雇用され、法務部長官が定める金額(韓国の国民一人当たりGNIの4倍)以上の賃金を受ける外国人。
  6. 科学分野で、一定の論文引用頻度や受賞歴があり、科学技術部長官の推薦を受けた外国人。
  7. 経営分野で、常時勤労者数300人以上、及び資本金80億ウォンを超過する内外企業の常勤理事や相談職を務めている者で、大韓商工会議所長、大韓貿易投資振興公社長または全国経済人連合会長の推薦を受けた外国人。または、世界有数の経済誌(FORTUNE等)が選定した最近3年以内の世界トップ500企業で、店長や経営幹部として1年以上勤務した経歴を持っている者のうち、韓国国内の支社などで役員として勤務している外国人。
  8. 教育分野で、論文の引用程度、又は研究実績によって、教育部長官の推薦を受けた外国人。
  9. 文化芸術分野で、国際的に名声のある芸術家、監督、声楽家等として、文化体育観光部長官の推薦を受けた者 。
  10. 体育分野で、オリンピック、世界選手権大会、アジア競技大会、またはこれと同等な水準の大会で、銅メダル以上の賞を受賞した選手と、その指導者の外国人、ワールドカップサッカー大会で16位以上の成績をおさめた選手と、その指導者のうち、文化観光部長官の推薦を受けた外国人。
  11. 勲章などを受けた韓国の独立や発展に特別に功労があった者で、法務部長官が認める外国人。
  12. 聖職者でとして社会福祉活動に顕著に貢献し、韓国に特別な貢献があると法務部長官が認める外国人。
  13. 韓国国外からの年金を受ける60歳以上の者であって、年間の年金額が法務部長官が定める金額(韓国の国民一人当たりGNIの2倍)を超える外国人。
  14. 韓国民法によって成人で、本人または同伴の家族が生活を維持する能力があり、素行に問題がなく、韓国に継続居住するのに必要な基本的な素養を備えるなど、法務部長官が定める条件を満たした者で、駐在(D-7)、企業投資(D-8)、貿易経営(D-9)、教授(E-1)、会話指導(E-2)、研究(E-3)、技術指導(E-4)、専門職業(E-5)、特定活動(E-7)、居住(F-2)の資格で、5年以上韓国に滞在している外国人。
  15. 永住(F-5)の資格を持つ者の配偶者や未成年の子供として、韓国に2年以上滞在している者であって、韓国に必要があると認められる外国人。

永住権を付与している国家・地域[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Green Card (Permanent Residence) USCIS
  2. ^ (朝鮮語) 永住(F-5), 韓国法務部出入国管理局. 日本語版(査証(VISA)/一般長期査証/永住(F-5)), HiKorea, 2009.04.06)や英語版では1,10-14に関する記述は見られない(2010年3月13日閲覧)。
  3. ^ (朝鮮語) 지방선거…외국인 투표는 '화교'만 해라?(訳;地方選挙…外国人投票は '華僑'ばかりやりなさい?), PRESSian, 2006-05-19.
  4. ^ 6月の韓国統一地方選、外国人1万1680人が投票 統一日報, 2010年03月10日
  5. ^ (朝鮮語) 영주(F-5) — 국민 또는 영주(F-5)자격을 가진 자의 배우자 등, 韓国法務部出入国管理局, 2007.02.22.

関連項目[編集]