ボイスドラマ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

ボイスドラマ (Voice Drama) とは、音声や音だけで物語等を表現したものである。

同種の表現形態として先に挙げた朗読劇、ラジオドラマなどがあるが、「ボイスドラマ」といった場合、同人活動やネット声優に関連して製作されるメディアを指すことが多い。

概要[編集]

ボイスドラマは、アニメ、特に声優に対する関心と密接に関連している。

1980年代以降アニメ人気が高まり、声優にあこがれるオタク層の間で「アフレコサークル」と呼ばれるサークル活動が広まっていた。彼らは仲間内のみで集まり、自作の台本、自作の録音機材でアニメ作品のドラマCDなどを模したボイスドラマ作品を製作していた。

1990年代の第3次声優ブームで声優人気はさらに高まり、インターネットという媒体が普及したため、きわめて手軽かつ自由にキャストを集め作品を製作できるようになり、「声優ごっこ」を楽しめるボイスドラマ活動は声優にあこがれるオタク層に急速に広がった。

製作される作品のジャンルは様々であるが、活動者は圧倒的に女性が多く、自然ボーイズラブなど女性向の作品が多い。

ボイスドラマの大きな特徴として、製作者とキャスト、聞き手の区別がほとんどないことが挙げられる。ボイスドラマを聞く人間はほとんど全てがネット声優であり、ボイスドラマ企画の製作者となる人間もほとんど全てネット声優である。そのためボイスドラマには他のジャンルにはない「内輪の親近感」のごときものがあり、即売会等においても売り手と買い手が親密に交流する独特の光景がある。

近年はiTunesPodcast内での配信を行っているサークルも多い。

製作形態[編集]

まず、企画者が作品の企画を立ち上げる。企画によって多少の差はあれど、だいたいの企画はまず以下のような手順を踏み、作品公開にいたる。

企画立ち上げ
まず、企画者が作品の大まかなイメージや、どういった作品にするかといった企画を立てる。それを元に役者、スタッフの人数、発表形態、作品の規模などといったことを決定する。
スタッフ募集
ほとんどがネットの募集サイトにてスタッフ募集が行われ、いわゆるリアルにおいて、公民館等で張り紙等を通してスタッフ募集を行うといったことは全く行われない。まず先に脚本、音楽、イラスト、編集担当といったスタッフを募集し、そのあとで役者の募集をかけるのが一般的である。
製作
複数人の役者が実際に顔を合わせ、レコーディングスタジオのブースに入って一緒に収録を行うようなアフレコ形式の収録よりも、セリフ毎に収録したWAVデータを各役者が自分で製作し、それを編集者に渡し、編集者がそのバラバラのセリフや音楽、効果音をつなげ合わせ、ひとつの作品に仕上げる、という形式で製作されることが多い。
発表
発表形態は即売会においてカセットテープ、CDに焼いて発表するのが主ではあるが、最近は自分のウェブサイトやブログ等で公開している作品が多い。

製作における主な役割[編集]

企画者
作品全体のまとめ役である。各担当のスケジュール管理も企画者の仕事である。プロジェクトの質や、作品の出来栄えを左右する重要な役職である。
脚本
脚本自体は演劇やアニメ、ドラマの台本と大差ないが、映像が使えないという点を考慮して書かなくてはいけない。企画者が掛け持ちをすることが多い。
編集
普通、ボイスドラマでは音声の収録を参加者がスタジオに集まって行なうものと、それぞれが個別に自宅等で収録してそれをWAVデータに書き出して編集者に渡す形態の二つがある。
前者の場合、音響的に有利だがスタジオ代や現地までの交通費等の費用がかかる。またスタジオによって機材が異なるのでそれらの違いを超えて操作出来る技術力が必要とされる。
後者の場合、自宅等で収録される為費用はあまりかからないが、音質という点ではほとんどまともなものは望めないことが多い。またより高音質な収録をするためには、それなりの技術と機材も必要であり、そこのこだわりで販売に値する品質の作品になるかどうかが決まると言っていい。遊びで声優気分を味わいたいだけの企画の場合こちらのパターンが非常に多い。
そうやって収録したバラバラのデータをつなぎ合わせ、音楽や効果音を加えて様々な編集・加工し音の調整を行なうのが編集者の仕事である。いずれも企画者が掛け持ちをすることが多い。
こういった作業は映像分野でもMAと呼ばれるものがある。
音楽
たいていの場合、音楽を担当するスタッフは作品のBGMを主に製作する。企画者によってはフリー素材サイトなどからフリーのBGMを拾って、それを使うこともある。また、企画によっては主題歌を収録する企画もあり、その場合、BGM作曲担当と主題歌作曲担当は別々に募集する場合が多い。
イラスト
CDのジャケット、告知サイトのトップイラストやキャラクターデザインなどを手がける。タイトルロゴはスタッフを別々に募集する場合が多い。
役者
他のスタッフと比べ、圧倒的に役者の人口は多く、企画や役柄によっては募集時の倍率が10 - 20倍近くになることも少なくない。また、男性役者は需要は非常に高いものの、女性の役者と比べると数が少なく、そのため、ボーイッシュな声の女性役者が男性役を演じるということもよくある。

問題点[編集]

途中で企画が進まなくなる事は別の創作企画でもあることだが、ボイスドラマにおいての問題の一つは「音質」である。

イベント等で販売を目的としながらも、ノイズがひどかったり、近所の騒音が混じっていたりと販売に値しないひどい品質のものがまかり通るという点がある。これは参加する声優がろくな収録機材無しで自宅で収録していることに起因することが原因である。こういったノイズは喋りにかぶさっている場合は完全に取り除く事は不可能であり、作品の音質を著しく下げる原因となる。また「部屋の響き」が異なる事から場合によっては同じ部屋に居るはずの設定なのに片方だけが妙に響く部屋に居る様に感じられてしまうという事も起こりうる。

従って販売出来る音質を求めるならばそれなりの費用をもってスタジオ等を借りてしっかりとした技術を持つ編集者の協力を得る事が肝要である。

関連項目[編集]