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2010年9月7日 (火) 21:39時点における版

クローンゲームとは、主に既存のゲームのコンセプトやルール、および画像や音楽を流用して新たに作られたゲームの総称である。

概要

クローンゲームは、大きく以下の二つに分類される。どちらも、著作権特許権など知的財産権(法的な権利面)の観点から見れば、違法または「グレーゾーン」に近いものである。

  • 既存のゲームのルールやアイディアをそのままに近い形で流用し、新たに作られたゲーム。「クローンゲーム」という言葉が指すものとしては、こちらが世界的に一般的である。
  • 既存のゲームの画像や音楽、キャラクターをそのまま流用し、新たに作られたゲーム。

なお、クローンゲームとは殆どの場合、元となったゲームの権利者(制作会社など)から許可を得ずに作成したものを指す。なかには権利者の許可を得たうえで、さらにキャラクターや音楽を別物に差し替える形で作成されたもの(『高橋名人の冒険島』など)も少なからず存在するが、これらがクローンゲームと呼ばれることはほとんどない。

名称は生物におけるクローンに基づき、同じ顔の別個体が作られるというイメージからつけられている。

ゲームのルールやアイディアを流用したもの

この分野の歴史は非常に古く、1980年頃、『パックマン』や『スペースインベーダー』、『ギャラクシアン』などの当時の人気アーケードゲームが当時のマイコンパソコンの当時の一般的な呼称)向けに移植されたり、別のタイトルを付けて無許可で販売されていたりなどとといったことが一般的に行われていた。この当時はクローンゲームという呼称はまだ存在しないが、性質的には非常に近いものといえる。また、移植元タイトルの開発元から許可を得る前に制作が行われ、それが完成してから持ち込みで許可を得たうえで、そのタイトルを冠して公認の移植版として発売されるケースも少なからず存在した。

クローンゲームが現在のようにフリーソフトとして頒布されるのではなく商品として販売されるケースが多かったのは、この当時、自作のソフトウェアを配布する手段が、店頭での販売、もしくは雑誌へのプログラムソースコードの掲載程度しかなかったためである。

テトリス』や『コラムス』などの有名なパズルゲームが登場して以降は、これらのクローンゲームが非常に多く見られる。日本国内では、個人が趣味で作成したフリーソフトウェアが多いが、海外では企業が開発したものや、有料で販売されているものも多く、『Zuma』(原作は『パズループ』)のようにクローンゲームのほうが有名になってしまった例もある(金銭を徴収するとより悪質とされ、告訴される恐れが高いため、フリーソフトウェアとして公開することが多い)。

かつて日本国内でコナミ(現コナミデジタルエンタテインメント)の『BEMANIシリーズ』を中心とした音楽ゲームが一大ブームを築いていた頃(1998年2001年前後)は、『beatmania』や『ダンスダンスレボリューション』などのクローンが多く作られた。これらは、原作のゲームとは違い、ユーザーが自由に曲データを作成できるのが大きな特徴である(主な音楽ゲームのクローンに関してはBMS (音楽ゲーム)の項を参照)。

漫画などの既存のキャラクターとゲームシステムを組み合わせたクローンゲームも存在する。近年では、『ジョジョの奇妙な冒険』に登場するキャラクターであるディアボロを主人公に据え、『不思議のダンジョンシリーズ』のゲームシステムを模した『ディアボロの大冒険』が一部のファンから高い人気を得た。

画像や音楽、キャラクターをそのまま流用したもの

ドラゴンクエストシリーズ』や『ファイナルファンタジーシリーズ』を元ネタにしたものなどのRPG(主にフリーソフトとして公開)や、ゲーム(ジャンルは問わない)などのキャラクターを元にしたアドベンチャーゲーム(主に同人ソフトとして公開)に多い。前者は「クローンゲーム」、後者は「二次創作ゲーム」と呼称されるのが一般的である。この項では、RPGのクローンゲームについて述べる。

これらはRPGツクールで作成されていることが大半であり、このようなハードルが低いツールが存在する影響を受けて活発となっている分野である。

一部で有名となった作品の多くは、複数の原作のキャラクターを競演(クロスオーバー)させた、いわば「お祭ゲーム」の様相を呈している。

これらにはストーリー性の強いものは少なく、元ネタとなったゲームから様々な街やダンジョンなどのマップ、イベントを繋げて作られており、元のゲームの内容を知っている者を楽しませる組み合わせもある。その一方で、『T DRAGON QUEST』シリーズなど、世界観のみを間借りした以外はほぼオリジナルに近い作品も僅かながら存在する。

素材を自作する必要がないため、RPGツクールの初心者にも取っ付きやすい分野ではあるが、故に駄作が多いのも特徴である。その反面、RPGツクールに標準で搭載されている戦闘などのシステムに一切頼らず、工夫を凝らして自力で戦闘やシステムを作ってしまった作品も少なからず存在し、中でも『DRAGON FANTASY II』、『FINAL FANTAZY II』の二作品は非常に高い評価を受けていると言われている。

これらの作品は著作権法の観点から考えればアウトであるが、その殆どは趣味(一種のお遊び)で作成され、小規模で配布されるフリーソフトであるため、元のゲームの権利者からクレームを受け、公開停止などに至った例はあまり見られない(公開停止となった例は後述)。

ただし、オリジナルの楽曲(BGMなど)そのままの使用は製作者側も避ける傾向にあり、第三者により作られたMIDIデータを用いることが殆どである。

有名となったクローンゲーム

ゲームのルールやアイディアを流用したもの

画像や音楽、キャラクターを流用したもの

両方を含むもの

Category:RPGツクール製のフリーRPGも参照のこと。

公開停止となったクローンゲーム

メーカーの警告によって公開を停止するケースと、自主的に公開を自粛するケースとがある。

  • クロノ・リザレクション
    厳密な意味でのクローンゲームではないが、ファンによって海外で製作が進められていた『クロノトリガー』の非公式リメイク版。スクウェア・エニックスの警告によって開発中止に追い込まれた。これは近い将来同社が『クロノトリガー』のリメイク版を作る際に、間接的に商業上の障害となり、利益が侵害されるのを恐れたからとも言われる。
  • Final Fantasy AA
    Clairvoyanceにて公開されていた、2ちゃんねるで使われているAAキャラクターを登場人物にしたAdobe Flashによるゲーム。『ファイナルファンタジー』シリーズのシナリオ・世界観と、アクティブタイムバトルシステムを模倣した戦闘ゲームであった。作者によれば[2]スクウェア・エニックスからの警告はなかったが、自主的に公開を中止した。
    なお、続編ではないが類似の世界観をもち、『ファイナルファンタジー』シリーズから引用したと思しきシーンのある映像作品(Nightmare Cityシリーズ)が後に発表されている。
  • BM98
    上記BMSプレーヤーの元祖であったが、『beatmania』の開発元であるコナミと名乗る者(おそらく開発元とは無関係の人物)から、作者の会社宛にクレームの手紙が届き[3]、作者は自主的に公開停止を行った。

注釈

  1. ^ ただし版権元であるコナミデジタルエンタテインメントから使用停止の要求があったため、画像の変更を進めている。
  2. ^ ホームページにおける作者発表(Wayback Machineによる記録)。
  3. ^ [1]

関連項目