中島岳志

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
中島なかじま 岳志たけし
人物情報
全名 中島なかじま 岳志たけし
生誕 (1975-02-16) 1975年2月16日(49歳)
日本の旗 日本大阪府
出身校 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了
大阪外国語大学外国語学部地域文化学科ヒンディー語専攻卒業
清風高等学校卒業
学問
研究分野 南アジア地域研究
近代政治思想史
研究機関 東京工業大学
学位 博士(地域研究)
テンプレートを表示

中島 岳志(なかじま たけし、1975年2月16日 - )は、日本政治学者歴史学者[1]博士(地域研究)京都大学)。専門は南アジア地域研究、日本思想史[2]東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授[3][4]テレビ朝日報道ステーション』元レギュラーコメンテーター。

来歴[編集]

思想・主張[編集]

  • 自身の信仰について、「私は特定の教団に属してはいないが、仏教徒を自認している」と述べている[14]
  • 日本による対韓輸出優遇撤廃に反対する、<声明>「韓国は「敵」なのか」呼びかけ人の1人[15]

凡庸な悪について[編集]

中島はハンナ・アーレントの「凡庸な悪」が日本に蔓延していると主張している。その根拠は従軍慰安婦問題に対して疑念を持つことや植村隆による従軍慰安婦問題の誤報に対する不寛容さを示すことであり、日本人は正義と良心によって自己を問い直すべきであると主張している[16]

著書『パール判事』論争[編集]

2007年7月、中島は東京裁判のインド代表判事であったラダ・ビノード・パールについて『パール判事 東京裁判批判と絶対平和主義』(白水社)を出版し、「パール判決書は日本無罪論ではない」と主張し、またパールは日本の再軍備に反対し、非武装中立世界連邦の樹立を目指していたと主張した。

加藤陽子御厨貴[17]井上章一原武史山内昌之長崎暢子永江朗などが各誌の書評で一定の評価をみせたが、中里成章小谷野敦京都大学山本博之等から批判的な論評をされ、西部邁牛村圭も参加した小林よしのりとの論争(パール判決論争)が長期間続いた[18]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『ヒンドゥー・ナショナリズム―印パ緊張の背景』(2002年中公新書ラクレ
  • 『中村屋のボース―インド独立運動と近代日本のアジア主義』(2005年白水社白水Uブックス
  • 『ナショナリズムと宗教―現代インドのヒンドゥー・ナショナリズム運動』(2005年、春風社→文藝春秋ライブラリー)
  • 『インドの時代―豊かさと苦悩の幕開け』(2006年新潮社新潮文庫
  • 『パール判事 東京裁判批判と絶対平和主義』(2007年、白水社→白水Uブックス)
  • 朝日平吾の鬱屈』(2009年筑摩書房 双書zero→「テロルの原点」新潮文庫)
  • 『ガンディーからの<問い>-君は欲望を捨てられるか』(2009年、NHK出版→「ガンディーに訊け」朝日文庫)
  • 『保守のヒント』(2010年、春風社→中公文庫
  • 『秋葉原事件 加藤智大の軌跡』(2011年、朝日新聞出版朝日文庫
  • 『「リベラル保守」宣言』(2013年、新潮社→新潮文庫)
  • 血盟団事件』(2013年、文藝春秋文春文庫
  • 岩波茂雄 リベラル・ナショナリストの肖像』(2013年、岩波書店
  • 『アジア主義 その先の近代へ』(2014年、潮出版社→潮文庫)
  • 下中彌三郎 アジア主義から世界連邦運動へ』 (2015年、平凡社
  • 親鸞と日本主義』(2017年、新潮選書
  • 『保守と大東亜戦争』(2018年、集英社新書
  • 超国家主義 煩悶する青年とナショナリズム』(2018年、筑摩書房)、頭山ゆう紀写真
  • 『保守と立憲』(2018年、スタンドブックス)
  • 『自民党 価値とリスクのマトリクス』(2019年、スタンドブックス)
  • 『石原慎太郎-作家はなぜ政治家になったか』(2019年、NHK出版)
  • 『自分ごとの政治学 学びのきほん』(2020年、NHK出版)
  • 『思いがけず利他』(2021年、ミシマ社)
  • 『オルテガ 大衆の反逆 真のリベラルを取り戻せ』(2022年、NHK出版「100分de名著」ブックス)

共編著[編集]

共著
  • 『政治学のエッセンシャルズ―視点と争点』(2008年、北海道大学図書刊行会) - 共著:松浦正孝山口二郎吉田徹宮脇淳ほか
  • 『保守問答』(2008年、講談社)- 対談:西部邁
  • 『政治を語る言葉』(2008年、七つ森書館) - 共著:山口二郎、辛淑玉香山リカ佐藤優
  • 『日本 根拠地からの問い』(2008年、毎日新聞社→河出文庫) - 共著:姜尚中
  • 『パール判決を問い直す「日本無罪論」の真相』(2008年、講談社現代新書) - 対談:西部邁
  • 『脱「貧困」への政治』(2009年、岩波書店) - 共著:雨宮処凛宮本太郎、山口二郎、湯浅誠
  • 『中島岳志的アジア対談』(2009年、毎日新聞社
  • 『日本思想という病』(2010年、光文社) - 共著:芹沢一也荻上チキ片山杜秀高田里惠子植村和秀田中秀臣
  • 『国家論』(2010年、中公新書ラクレ) - 対談:田原総一朗、姜尚中
  • 『世はいかにして昭和から平成になりしか』(2010年、白水社) - 共著: 雨宮処凛、能町みね子清岡智比古ほか
  • 『日本断層論―社会の矛盾を生きるために』(2011年、NHK出版新書) - 共著:森崎和江
  • 『世界が決壊するまえに言葉を紡ぐ 中島岳志対談集』若松英輔編(2011年、金曜日)- 共著:星野智幸大澤信亮重松清開沼博
  • 『帝都の事件を歩く』(2012年、亜紀書房)- 共著:森まゆみ 
  • 『比較で読み解く 中国人とインド人』(2012年、講談社)- 共著:富坂聰
  • 『現代の超克 本当の「読む」を取り戻す』(2014年、ミシマ社) ‐共著:若松英輔
  • 『愛国と信仰の構造 全体主義はよみがえるのか』(2016年、集英社新書)‐共著:島薗進
  • 平成論 「生きづらさ」の30年を考える』(2018年、NHK出版新書)‐共著:池上彰上田紀行・弓山達也
  • 『支配の構造 国家とメディア-世論はいかに操られるか』(2019年、SB新書)- 共著:堤未果大澤真幸高橋源一郎
  • 『料理と利他』(2020年、ミシマ社)- 共著:土井善晴
  • 『こんな政権なら乗れる』(2021年、朝日新書)- 共著:保坂展人
  • 『いのちの政治学』(2021年、集英社クリエイティブ)- 共著:若松英輔
編著
  • 頭山満と近代日本』(大川周明著、2007年、春風社)
  • 『父ボース―追憶のなかのアジアと日本』(樋口哲子著、2008年、白水社→白水Uブックス、2012年)
  • 『インドのことはインド人に聞け』(2009年、講談社
  • 『じゃあ、北大の先生に聞いてみよう―カフェで語る日本の未来』(2010年、北海道新聞社)
  • 『やっぱり、北大の先生に聞いてみよう』(2011年、北海道新聞社)
  • 橋川文三セレクション』(2012年、岩波現代文庫)

連載[編集]

  • 「風速計」(『週刊金曜日』金曜日)
  • 「龍と象の比較学」(『クーリエジャポン』講談社)
  • 「親鸞と日本主義」(『考える人』新潮社)
  • 「アジア主義を考える」(『潮』潮出版)
  • 「私の保守思想」(『表現者』ジョルダン)
  • 「思想の場所」(『春風新聞』春風社)
  • 「論壇書評」(『kotoba』集英社)
  • 「希望は商店街」(『マガジン9』インターネット)
  • 「論考2011」(共同通信配信)

出演[編集]

テレビ番組[編集]

ウェブ番組[編集]

ラジオ[編集]

大竹まことのゴールデンラジオ

ドキュメンタリー[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b 出演者”. 報道ステーション. テレビ朝日. 2015年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月5日閲覧。
  2. ^ 「立憲主義と保守」『朝日新聞』朝刊、朝日新聞大阪本社、2016年4月13日、13面
  3. ^ 東京工業大学 大学研究者検索
  4. ^ 東京工業大学 大学マネジメントセンター|メンバー”. 東京工業大学 大学マネジメントセンター. 2016年4月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月5日閲覧。
  5. ^ 「中島岳志氏 受賞論文要旨」 アジア太平洋フォーラム・淡路会議
  6. ^ a b 「現代インドにおけるヒンドゥー・ナショナリズム運動」 CiNii
  7. ^ a b 「中村屋ボースの生涯と昭和」 日本記者クラブ会見レポート 2005年8月8日
  8. ^ 「研究室便り」 京都大学人文科学研究所 田中雅一教授のホームページ
  9. ^ 「第3回井植記念「アジア太平洋文化賞」「アジア太平洋研究賞」授賞式の概要」 - アジア太平洋フォーラム・淡路会議
  10. ^ 「研究室便り」 京都大学人文科学研究所田中雅一教授のホームページ
  11. ^ 中島 岳志 (公共政策学連携研究部 公共政策学部門 公共政策学分野)”. 北海道大学. 2016年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月5日閲覧。
  12. ^ 「北大の中島岳志・准教授、東工大に移籍へ」 北海道新聞2015年7月23日
  13. ^ 「既刊情報『愛国と信仰の構造 全体主義はよみがえるのか』」 集英社
  14. ^ 「ガンディー主義と2008年のこの世界」『第三文明』2008年3月号
  15. ^ 韓国は「敵」なのか 呼びかけ人
  16. ^ 『矢内原事件と「凡庸な悪」 北星学園大学に求められているもの』 週刊金曜日 2014年11月14日(1016)号。
  17. ^ 読売新聞2007年10月14日
  18. ^ 2008年『ゴー宣SPECIAL「パール真論」』
  19. ^ https://twitter.com/nakajima1975/status/121964419893829632”. Twitter. 2022年12月26日閲覧。
  20. ^ "銃撃事件と日本社会". NHK. 2022年9月17日. 2022年9月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月11日閲覧

外部リンク[編集]