山口二郎

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山口二郎
人物情報
生誕 (1958-07-13) 1958年7月13日(59歳)
国籍 日本の旗 日本
出身校 東京大学法学部卒業
学問
研究分野 行政学、現代日本政治論
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山口 二郎(やまぐち じろう、1958年昭和33年)7月13日 - )は、日本政治学者政治活動家法政大学法学部教授。北海道大学名誉教授。専門は行政学、現代日本政治論。

岡山県岡山市出身。東京大学法学部卒業。

略歴[編集]

研究・言論活動[編集]

民主党のブレーンとして[編集]

1998年に民主党のブレーンになると、同じ野党である日本社会党の憲法九条に拠る護憲平和主義は時代遅れとして批判し、「現実的な安保外交政策」を持つ民主党による政権交代こそが日本の閉塞感を打破すると主張を続けた[1]

第45回衆議院議員総選挙では、民主党のマニフェストに対する「財源の裏付けのない、まやかし政策」という批判に対して、「政権を目指す政党に最も重要なことはこぢんまりした整合性ではなく、現状を批判することと、よりよい社会を提示する構想力である」と反論した[2]。政権交代が実現すると「今回の政権交代によって、ようやく本物の民主主義が日本に現れたということができる。いわば、政権交代によって市民革命が成就したのである」と絶賛した[3]

政権交代後は、菅直人総理大臣と民主党政権が進める政治主導システムの確立について意見交換を行うなど、民主党政権のブレーンとして政権を支えたが[4][5]、山口自身は自分は民主党政権にはあまり関わっていないと主張している[6]。民主党政権の失政に対する批判に対しては「(政権交代を支援してきた自分は)リフォーム詐欺の片棒を担いだ詐欺師の気分で身の置所がない」と発言しているが[7]自民党への政権交代の後は「改革創生会議」の議長代行として報告書策定の中心的な役割を担った。党の勉強会などでも講師として呼ばれることが多い[8][9]

政治家に対する批評[編集]

山口は、現在の政治家に対して「自分が正しいと信じ、殻に閉じこもって、他人を説得したり、関係を調整したりすることができない」と評しており[10]、特に自民党の政治家に批判的である。

2006年に小泉純一郎について「『心の問題』を持ち出して靖国参拝を正当化したが、これは攻撃的引きこもりともいうべき状態である。ネット右翼たちは、これを見習って、蛸壺に閉じこもりつつ、気にくわない言説への攻撃に精を出す。政治家の跳ね上がりにお株を奪われた右翼は、より過激な闘いを求めて放火事件を起こす」と、小泉純一郎と「ネット右翼」を関係付けて批判したが[11]、小泉純一郎が自民党を離脱して、安倍晋三が総理大臣になると「権力を求めて解散を断行した中曽根、小泉といった政治家の指導者らしさとは雲泥の差である。」「ネトウヨ言説に代表される精神と知性の劣化という時代風潮を、安倍首相こそ象徴している」と批判している[12]

橋下徹への批判[編集]

橋下徹大阪府知事に就任すると橋下の政治手法が独善的であると批判を始め、2011年大阪市長選挙に橋下が出馬すると、橋下の政治手法を「ファシズム」と断じる『橋下主義(ハシズム)を許すな!』を出版した。橋下の対立候補である平松邦夫の応援演説で「チンピラにいちゃんの野望打ち砕け」「(橋下の政治手法は)上から枠をはめないといけないという貧困な人間観しかない」などと批判した[13]

2012年1月15日テレビ朝日報道ステーション SUNDAYで橋下徹大阪市長と直接討論した際、「愛知県犬山市のように立派な人を教育長に選んで、改革のプランを作らせ予算をつけるのが首長の仕事」と持論をぶつけた。橋下は「1700の自治体の一例に過ぎない。しかも犬山市は(後で選挙で方針が変えられ)上手くいっていない」「中身の問題ではなく仕組みの問題。現場でやったことがない学者の意見」と指摘した。これに対し、山口は「学者として観察すれば大体の事は分かる」と反論した。また、橋下が教育最大の問題と定義している調書人事の仕組みを「知らない」と答えた。ほかにも「大阪府は私学助成を切った」と指摘するも「再建の為に一回切って、拡充しました。大阪府が今一番拡充してるんですよ。」と橋下に切り返された[14]

山口の橋下批判について、ニューヨーク州立大学助教授の入山章栄は、山口が政治学者と認識されると、「他のマジメに研究をしている政治学者が甚だ迷惑」と評している[15]。また、東浩紀は「橋下氏との討議の流れで戦略を変えられず、硬直した原理論しか展開できなかった山口二郎氏は力がない」と評している[15]

政治活動[編集]

国立大学の独立法人化に伴い教員が公務員でなくなったため、選挙では応援演説を積極的に行っている。佐藤優とともに、北海道に根を下ろした活動という点で鈴木宗男の「新党大地」を応援している。2005年の総選挙では、辻元清美などの応援演説を行った。また、普天間基地移設問題では和田春樹らと共に、アメリカ海兵隊が日本から全面撤収するよう求める声明を発表した[16]

主張[編集]

歴史的に見てリベラルは不満を糾合しブームを起こすところまでは行くけれど、統治の論理を持っていない。時間軸で見ると政治は多くの時間保守(自民党)が担当して、たまにリベラル(社会党民主党)が担当する。リベラルの天下は長くは続かないので、その短い期間にどれだけ物事を変えられるかが重要だ[17]


著作[編集]

単著[編集]

  • 『大蔵官僚支配の終焉』(1987年岩波書店
  • 『一党支配体制の崩壊』(1989年、岩波書店)
  • 『政治改革』(1993年岩波新書
  • 『日本政治の同時代的読み方』(1995年朝日新聞社
  • 『日本政治の課題   新・政治改革論』(1997年、岩波新書)
  • 『イギリスの政治 日本の政治』(1998年ちくま新書
  • 『危機の日本政治』(1999年、岩波書店)
  • 『地域民主主義の活性化と自治体改革』(2001年、公人の友社)
  • 『地方政治の活性化と地域政策』 (2004年、公人の友社)
  • 『戦後政治の崩壊 - デモクラシーはどこへゆくか』(2004年、岩波新書)
  • 『ブレア時代のイギリス』(2005年、岩波新書)
  • 『内閣制度』(2007年東京大学出版会
  • 『ポスト戦後政治への対抗軸』(2007年、岩波書店)
  • 『若者のための政治マニュアル』(2008年講談社現代新書
  • 『政権交代論』(2009年、岩波新書)
  • 『政治のしくみがわかる本』 (2009年、岩波ジュニア新書)
  • 『ポピュリズムへの反撃 -現代民主主義復活の条件- 』(2010年、角川oneテーマ21)
  • 『政権交代とは何だったのか 』(2012年、岩波新書)

共著[編集]

編著[編集]

  • 『現代日本の政治変動』(1999年、放送大学教育振興会)
  • 『北海道大学法学部ライブラリー (5) 自治と政策』 (2000年、北海道大学図書刊行会)
  • 『日本政治再生の条件』 (2001年、岩波新書)
  • 『「強者の政治」に対抗する!』(2006年、岩波書店)
  • 『政治を語る言葉』(2008年、七つ森書館
  • 『ポスト新自由主義 民主主義の地平を広げる』(2009年、七つ森書館)
  • 『民主政治のはじまり―政権交代を起点に世界を視る― 』(2010年、七つ森書館)
  • 『民主党政権は何をなすべきか――政治学からの提言』(2010年、岩波書店)

共編著[編集]

  • 『現代日本の政治と政策』(1995年、放送大学教育振興会)共編:新藤宗幸
  • 『連立政治同時代の検証』(1997年、朝日新聞社)編著:生活経済政策研究所
  • 『グローバル化する戦後補償裁判』(2002年信山社)共編:奥田安弘
  • 『首相公選を考える - その可能性と問題点』 (2002年、中公新書
  • 『東アジアで生きよう! - 経済構想・共生社会・歴史認識』(2003年、岩波書店)共編:金子勝・藤原帰一
  • 『日本社会党 - 戦後革新の思想と行動』(2003年、日本経済評論社)共編:石川真澄
  • 『グローバル化時代の地方ガバナンス』(2003年、岩波書店)共編:山崎幹根・遠藤乾
  • 『ポスト福祉国家とソーシャル・ガヴァナンス』(2005年、ミネルヴァ書房)共編:宮本太郎坪郷實
  • 『市民社会民主主義への挑戦 - ポスト「第三の道」のヨーロッパ政治』(2005年、日本経済評論社)共編:宮本太郎・小川有美

訳書[編集]

  • ジェリー・ストーカー『政治をあきらめない理由』(2013年、岩波書店)

脚注[編集]

  1. ^ 戦後政治の崩壊―デモクラシーはどこへゆくか (岩波新書)  2004年6月18日
  2. ^ 東京新聞社説:週のはじめに考える 歴史的体験を共に 2009年8月23日
  3. ^ 政権交代という革命の成就”. 魚の目 (2009年9月4日). 2009年9月4日閲覧。
  4. ^ 産経新聞 2011年3月27日13:14 [1]
  5. ^ “「自滅の道は避けて」、民主や首相のブレーン 山口北大教授”. 神奈川新聞. (2011年6月2日). http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1106020008/ 2011年6月2日閲覧。 
  6. ^ 法政大学×読売新聞 政治や社会へのグローバルな関心を持つ学生を育てたい”. 読売新聞 (2014年8月1日). 2014年8月1日閲覧。
  7. ^ 東京新聞2010年11月21日
  8. ^ “総選挙敗因、全国回り聴取へ 民主、党改革へ初会合”. 朝日新聞. (2013年1月30日). http://www.asahi.com/politics/update/0130/TKY201301290507.html 2013年1月30日閲覧。 
  9. ^ “政府に言論弾圧要請? 民主ブレーン山口教授「公式見解に反したら処断を」”. 産経新聞. (2015年12月29日). http://www.sankei.com/politics/news/151229/plt1512290028-n1.html 2015年12月31日閲覧。 
  10. ^ 引用エラー: 無効な <ref> タグです。 「:0」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません
  11. ^ 06年9月:言論の終焉2006年10月4日
  12. ^ 東京新聞 本音のコラム 東京新聞 2014年11月23日
  13. ^ 「反橋下知事」攻勢アピール 大阪ダブル選控え市民集会 大阪市長も聞き入る 2011.9.18 10:27 [2]
  14. ^ 橋下市長と山口教授がテレビ直接対決 山口氏は終始劣勢 2012.1.16 19:18 [3]
  15. ^ a b 橋下徹に惨敗!北大教授・山口二郎に批判殺到でブログ炎上 [4]
  16. ^ 2010/04/24 10:59 【琉球新報】「海兵隊 全面撤収」求める ネットで賛同募る [5]
  17. ^ http://www.huffingtonpost.jp/2016/10/07/daisuke-tsuda-interview_n_12383414.html

関連項目[編集]

外部リンク[編集]