外国語学部

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外国語学部(がいこくごがくぶ)は、大学学部のひとつである。卒業して取得できる学位は「外国研究学士」や「言語・文化」の学士などである。本項では実質的に同様の教育内容を持つ外国語大学にも言及する。

概要[編集]

外国語学部は、「読む・書く・聞く・話す」の実用的な外国語能力を身につけると共に、諸学問分野の教養や研究方法を学ぶ学部である。[1]
高度な外国語運用能力を有し、多様性を理解し、様々な背景を持つ人々と協調し、複雑化した課題に取り組める人材」や[2]「高度な外国語運用能力を駆使した言語地域に関する研究者[3]の養成を目的としている。

教育・研究[編集]

  • 実用的な外国語能力[4]
 まず、大きな目標として、読解作文議論発表などが出来る、実用的かつ高度な外国語能力を身につけることがある。いわゆる「ツールとしての言語」を徹底的に鍛える実践的なプログラムが用意されている。
 ただし、特に英語専攻の場合、主に教授に対象されるのは「高度な知的作業・思考」を伴うCALP (Cognitive/Academic Language Proficiency) である。普段の生活シーンで用いるBICS (Basic Interpersonal Communication Skills) は教授の対象をされないケースが多い。[5]総合的な語学力を目指す場合、授業と平行して、独自に日常会話の口頭演習を行うか、もしくは大学入学前にマスターしておくことが望ましい。
 近年、AIの発達により機械翻訳の実用化が話題になっているが、それにより外国語学習の必要が減じることはないとされている。[6]AIが発達しても、人間の通訳を置き換えることは出来ず、むしろ人間が行わなかった翻訳・通訳の新しいユースケースを開拓していく」としている。[7]
 専攻語として代表的なものでは英語(英米語)、フランス語スペイン語(イスパニア語)、ドイツ語中国語などの学科・専攻・コースがある。また、日本語教育を目的とする日本語学科を設置している大学もある。国立大学では、大阪外国語大学を前身とする大阪大学外国語学部において、25言語もの専攻語数を擁している。また、私立大学では京都外国語大学が最多で、20言語(専攻8言語、第2外国語限定4言語、第3外国語限定8言語)に対応した履修システムを設けている。今のところヘブライ語学科やアラム語学科を設置している大学はなく、またギリシア語学科やラテン語学科もあまり存在していない。
 「専攻語 + 英語」もしくは「英語 + 第2外国語」の形で複数言語の運用能力・世界観を身に付けることを重視している大学[8]がある一方で、英語偏重の教育を行う大学もある。[9]
  • 諸学問分野の教養・研究方法[10]
 獲得した語学力を、より効果的に活かす為に、諸学問分野の教養や研究方法も学ぶ。主に言語学/地域研究/国際関係論など、文学部 (思想歴史言語文化行動科学) や国際関係学部 (政治経済国際関係論) と類似した領域を対象としているが、後述の通り、本学部は実用語学を主としている点などで、その本質は異なる。 他にも異文化コミュニケーションツーリズムなどを扱う大学も増えてきており、取り扱う学問領域は幅広くなってきている。
 本学部では上記領域を、地域研究などの観点から、学際的・横断的に扱うケースが多いが、東京外国語大学は、入学の段階で、言語文化学部 (言語・情報/グローバルコミュニケーション/総合文化) 、国際社会学部 (地域社会/現代世界/国際関係論) と専門領域を分けている。他にも学部内に「国際関係学科」を設置しているケースが見られる。[11]
 本学部の 学際的性質から、語学地域に関する教育は、各語学科・専攻 (英語学科、ドイツ語学科...など) で独自に行われる反面、言語学/文化/国際社会などは、学科の枠を越え、横断的に行われたり、他学部と連携した教育を行うケースも多い。[12]

他学部との関係[編集]

外国語学部は、その学際的性質から他学部と、その意義や目的を混同されやすい。[13]しかし、その目的や教育内容には本質的に異なる。
文学部外国文学系 (英文学科フランス文学科など)、言語学系の専攻、もしくは国際関係学部とは対象領域が類似している為、混同されがちだが、これらの学科とは根本的な目的が異なると言ってもよい。[14]外国語学部が「豊かな教養に裏打ちされた語学力」[15]実用語学のエキスパートとしての教養・専門性として各領域を学ぶのに対し、他学部は「実用語学は、あくまで専門分野をより深く理解するための1要素」[16]と位置付けている。[17]また外国語学部が「的確な言語運用能力を学びの土台」としているのに対し、他学部は「諸理論や研究方法に重点を置いている」という見方もある。[18]
外国語学部の英語学科・専攻は、英語のみで教育を行う国際教養学部[19]と混同されやすい。
もともと英語のみで教育を行う高等教育機関は、上智大学国際部 (現・国際教養学部) が、米国の外交官や軍関係者の子女など、日本在住の英語母語話者に対して、英語による高等教育の機会を提供したのが始まりだった。[20]しかし2000年代半ば以降、国際教養大学を始め、多くの大学が一般の学生を対象に、英語のみのリベラル・アーツ教育を行う学部を乱立させている。
対して、外国語学部では、実用語学のエキスパートとして、「豊かな教養・深い思考力」を身に付けることも目的としており[21]、日本語での教育・日本語能力 (母語) の養成も重視されている。 [22][23]
言語処理と思考は互いに干渉しあい、習熟レベルが十分でない外国語を使う際は、認知能力が低下する。 (外国語副作用)[24]その為、英語が学習言語 (CALP) として習熟していなければ、英語で学んでも効率的な知識の習得や、思考力の強化は期待できない。
一方、母語で学んだ思考概念を外国語に転移することは可能である。[25]また、それにより、成人でも母語で培った言語力を土台にして、自由に外国語を運用する能力を獲得することも可能である。[26]
外国語学部では、「外国語運用能力を養成する科目」「日本語 (母語) で専門科目を学ぶ科目」「外国語で専門科目を学ぶ科目」を組み合わせることでカリキュラムを編成している。
主に、1~2年次は「語学の基礎を学ぶ科目」「日本語で専門分野の基礎を学習していく科目」を中心に履修し、3~4年次では「さらに高度な語学力を取得する為の科目」「日本語、および外国語で専門分野を学ぶ科目」で構成される。[27]

外国語学部をもつ日本の大学[編集]

国立大学[編集]

なお、東京外国語大学では、外国語学部を、言語文化学部と国際社会学部に改組したため(教育内容・特色は本項の内容を受け継いでいる部分が大きい)、国立大学で外国語学部を有するのは、大阪大学のみである。

公立大学[編集]

私立大学[編集]

大学に準ずる教育機関[編集]

外国語学部で専攻語として教授されている主な言語[編集]

( )内は副専攻など。

あ行[編集]

  1. アラビア語 - 東京外国語大学、大阪大学、(獨協大学、 神田外語大学、京都外国語大学)
  2. イタリア語 - 大阪大学、東京外国語大学、京都外国語大学、京都産業大学、(獨協大学、 神田外語大学、麗澤大学)
  3. インドネシア語 - 東京外国語大学、神田外語大学、南山大学、京都産業大学、摂南大学、大阪大学、(京都外国語大学)
  4. ウルドゥー語 - 東京外国語大学、大阪大学
  5. 英語 - 東京外国語大学、愛知県立大学、神戸市外国語大学、北九州市立大学、札幌大学、北海道文教大学、大東文化大学、獨協大学、目白大学、神奈川大学、明海大学、神田外語大学、麗澤大学、南山大学、上智大学、拓殖大学、帝京大学、京都外国語大学、京都産業大学、関西外国語大学、関西大学、摂南大学、長崎外国語大学、朝鮮大学校、名城大学、大阪大学
  6. オランダ語 - 長崎大学多文化社会学部オランダ特別コース、(京都外国語大学)

か行[編集]

  1. カンボジア語 - 東京外国語大学
  2. ギリシア語 - (大阪大学、獨協大学、 京都外国語大学、京都産業大学)

さ行[編集]

  1. スペイン語(イスパニア語) - 東京外国語大学、愛知県立大学、神戸市外国語大学、神田外語大学、上智大学、拓殖大学、帝京大学、神奈川大学、南山大学、京都外国語大学、京都産業大学、関西外国語大学、摂南大学、麗澤大学、大阪大学、(獨協大学、長崎外国語大学)
  2. スウェーデン語 - 大阪大学
  3. スワヒリ語 - 大阪大学、(京都外国語大学)

た行[編集]

  1. タイ語 - 東京外国語大学、神田外語大学、麗澤大学、大阪大学(獨協大学、 京都外国語大学)
  2. チェコ語 - 東京外国語大学
  3. 中国語 - 東京外国語大学、愛知県立大学、神戸市外国語大学、北九州市立大学、北海道文教大学、大東文化大学、目白大学、神奈川大学、明海大学、神田外語大学、麗澤大学、拓殖大学、帝京大学、南山大学、京都外国語大学、京都産業大学、関西大学、摂南大学、長崎外国語大学、大阪大学、(獨協大学、関西外国語大学)
  4. 朝鮮語(韓国語) - 東京外国語大学、目白大学、神田外語大学、帝京大学、京都産業大学、大阪大学、(獨協大学、京都外国語大学、麗澤大学)
  5. デンマーク語 - 大阪大学
  6. ドイツ語 - 東京外国語大学、愛知県立大学、獨協大学、麗澤大学、上智大学、帝京大学、京都外国語大学、京都産業大学、南山大学、長崎外国語大学、大阪大学、(神田外語大学、関西外国語大学)
  7. トルコ語 - 東京外国語大学、大阪大学(獨協大学、 京都外国語大学)

な行[編集]

  1. 日本語 - 東京外国語大学、北海道文教大学、大東文化大学、目白大学、明海大学、麗澤大学、京都外国語大学、京都産業大学、長崎外国語大学、朝鮮大学校、大阪大学、(獨協大学)

は行[編集]

  1. ハンガリー語 - 大阪大学
  2. ビルマ語(ミャンマー語) - 東京外国語大学、大阪大学
  3. ヒンディー語 - 東京外国語大学、大阪大学、(京都外国語大学)
  4. フィリピン語(タガログ語) - 東京外国語大学、大阪大学
  5. フランス語 - 東京外国語大学、愛知県立大学、獨協大学、上智大学、帝京大学、名古屋外国語大学、南山大学、京都外国語大学、京都産業大学、長崎外国語大学、大阪大学、(神田外語大学、関西大学、麗澤大学)
  6. ベトナム語 - 東京外国語大学、神田外語大学、大阪大学、(京都外国語大学、京都産業大学)
  7. ヘブライ語 - (獨協大学)
  8. ベンガル語 - 東京外国語大学
  9. ペルシア語 - 東京外国語大学、大阪大学
  10. ポーランド語 - 東京外国語大学、(京都産業大学)
  11. ポルトガル語 - 東京外国語大学、神田外語大学、上智大学、京都外国語大学、大阪大学(獨協大学、 京都産業大学)

ま行[編集]

  1. マレーシア語 - 東京外国語大学、摂南大学
  2. モンゴル語 - 大阪大学、東京外国語大学

ら行[編集]

  1. ラオス語 - 東京外国語大学
  2. ラテン語 - (大阪大学、獨協大学、 京都外国語大学、京都産業大学)
  3. ロシア語 - 東京外国語大学、神戸市外国語大学、札幌大学、上智大学、京都産業大学、大阪大学、(獨協大学、 神田外語大学、京都外国語大学、関西外国語大学)

脚注[編集]

  1. ^ 東京外国語大学、および大阪大学獨協大学上智大学外国語学部の学位授与方針より
  2. ^ 東京外国語大学、および大阪大学、獨協大学、上智大学外国語学部の学位授与方針・教育目標
  3. ^ 大阪大学外国語学部カリキュラムポリシー、アドミッションポリシー
  4. ^ 東京外国語大学、および大阪大学、獨協大学、上智大学外国語学部の学位授与方針のトップ項目として挙げられている
  5. ^ ただし、授業外の自習設備などでサポートされているケースは有り。 獨協大学ICZなど
  6. ^ 獨協大学 入学案内パンフ2018
  7. ^ engadget 2017.4.15「人を越えた機械翻訳は通訳の仕事を奪うのか」microsoft社 オリヴィエ氏による
  8. ^ 東京外国語大学および、大阪大学、上智大学、獨協大学外国語学部 各カリキュラムより
  9. ^ 神田外語大学関西外国語大学など 英語専攻の場合 第2外国語の必修単位数が非常に少ない。もしくは無し
  10. ^ 東京外国語大学、および大阪大学、獨協大学、上智大学外国語学部の学位授与方針の中に「専門知識を有していること」が含まれている
  11. ^ 愛知県立大学北九州市立大学神戸市外国語大学など
  12. ^ 東京外国語大学の6コース制、獨協大学外国語学部の全学共通カリキュラム・外国語学部共通科目・交流文化論、上智大学外国語学部の研究コース「各大学のホームページ情報、およびカリキュラム表より」
  13. ^ 進路ナビ「外国語学部と文学部の違いって?」
  14. ^ 学部・学科選びトラの巻 (東進)
  15. ^ 獨協大学ホームページ「英語学科紹介」
  16. ^ 慶應義塾大学ホームページ「英米文学科紹介」
  17. ^ 早くから外国語学部を擁していた上智大学獨協大学は「文学部では目的を達成するに不十分」として、別個に設置している。また、大阪大学も2007年10月の大阪外国語大学との統合以降は特に目立った統廃合を行うことなく既存の文学部と外国語学部を別々に設置している。(ただし大阪大学は大学院大学であるため、外国語学部教員の所属組織については異動や新設などがなされた。)
  18. ^ 上智大学ホームページ 学部Q&A「総合グローバル学部は、外国語学部とどのような違いがあるのですか?」
  19. ^ 国際教養大学 (秋田) ホームページ
  20. ^ 上智大学ホームページ FLA紹介
  21. ^ 東京外国語大学アドミッションポリシー、および大阪大学外国語学部カリキュラムポリシー
  22. ^ 「高レベルの英語のみならず、国語も」獨協大学ホームページ「英語学科 求める学生像」より
  23. ^ 上智大学外国語学部Q&A「母語である日本語能力を磨くこと」、およびカリキュラム・ポリシー「日本語、および外国語の高度な運用能力」
  24. ^ 2014日本認知科学会 高野陽太郎 (東京大学)
  25. ^ 「相互依存仮説」(日本語教師のページ ARC Academyより)
  26. ^ 「早期教育の光と影」より 今井むつみ (慶應義塾大学)
  27. ^ 東京外国語大学、および大阪大学、獨協大学、上智大学外国語学部のカリキュラム・ポリシー、およびカリキュラム表

関連項目[編集]