伊予灘地震
| 伊予灘地震 | |
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地震の震央の位置を示した地図 | |
| 本震 | |
| 発生日 | 2014年3月14日 |
| 発生時刻 | 2時6分50秒 (JST)[1] |
| 震央 |
 日本 伊予灘北緯33度41.5分 東経131度53.4分 / 北緯33.6917度 東経131.8900度座標: 北緯33度41.5分 東経131度53.4分 / 北緯33.6917度 東経131.8900度 |
| 震源の深さ | 78 km |
| 規模 | マグニチュード (M)6.2 |
| 最大震度 | 震度5強：愛媛県西予市 |
| 津波 | なし |
| 地震の種類 | スラブ内地震 |
| 余震 | |
| 回数 | 1 |
| 最大余震 | 3月22日20時5分30秒、M4.2、最大震度3 |
| 被害 | |
| 死傷者数 |
重傷者 2人 軽傷者19人[2] |
| 被害地域 | 瀬戸内海沿岸地域 |
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出典：特に注記がない場合は気象庁による。 | |
| プロジェクト:地球科学 プロジェクト:災害 | |
伊予灘地震（いよなだじしん）とは、2014年（平成26年）3月14日2時6分50秒[1]に伊予灘を震源として発生した地震。
概要
震源の深さは78キロメートル (km)、地震の規模はマグニチュード6.2[1]、愛媛県西予市で最大震度5強を観測した。この地震により岡山県と山口県でそれぞれ重傷者1人を出すなど6県で21人の人的被害、そのほか建物被害や断水や落石などの被害も発生した[3]。
メカニズム
発震機構は東北東 - 西南西方向に張力軸を持つ型で、沈み込んだフィリピン海プレート内で発生した地震である。地震の規模は気象庁マグニチュードでMj6.2、モーメントマグニチュードでMw6.3と推定される[4][5]。
震央の位置は南海トラフで発生する海溝型地震の震源域の北に位置し、武蔵野学院大学特任の島村英紀教授は南海トラフ巨大地震を誘発する可能性を否定できないとしたが[6]、地震の発生場所は沈み込んだフィリピン海プレートの内部であることから気象庁や京都大学の岩田知孝教授は南海トラフ巨大地震とは直接結びつかないとした[7][8]。
被害
人的被害
消防庁によれば2014年3月14日時点での人的被害は以下の通り
| 都道府県 | 市区町村 | 人数 |
|---|---|---|
| 岡山県 | 倉敷市 | 重傷者1人 |
| 岡山市 | 軽傷者3人 | |
| 玉野市 | 軽傷者1人 | |
| 広島県 | 広島市 | 軽傷者5人 |
| 熊野町 | 軽傷者1人 | |
| 呉市 | 軽傷者1人 | |
| 安芸高田市 | 軽傷者1人 | |
| 大竹市 | 軽傷者1人 | |
| 山口県 | 防府市 | 重傷者1人、軽傷者1人 |
| 愛媛県 | 松山市 | 軽傷者1人 |
| 高知県 | 高知市 | 軽傷者1人 |
| 須崎市 | 軽傷者1人 | |
| 大分県 | 大分市 | 軽傷者1人 |
| 佐伯市 | 軽傷者1人 |
施設被害
住家一部破損の被害が大分県で14棟、広島県で10棟、山口県と愛媛県でそれぞれ1棟あった[2]。気象庁の現地調査の結果、震度5強を観測した西予市の三瓶町で道路に亀裂や民家の屋根破損、団地内駐車場陥没の被害があり、西予市明浜町で民家内灯篭の倒壊の被害があった[9]。また、震度5弱を観測した呉市では住家の外壁破損や軒下損壊の被害があった[10]。
周南市にある出光の徳山工場では地震発生後の4時57分ごろにエチレン装置から火災が発生し、5時11分に鎮火したがこの火災によりコンビナート配管によるエチレンやプロピレンの供給が停止した[11][12]。この影響で東ソー南陽事業所とトクヤマ徳山製造所の関連設備が停止する状態に陥った[13][14]。
日産自動車、三菱自動車は生産を一時停止した[15]。また、香川県土庄町の豊島では地震発生3日後の3月17日に地下水の送水管から汚染水が流出しているのが確認されたが、地震による想定以上の揺れが原因と考えられている[16]。
原子力発電所
伊方発電所[17]、島根原子力発電所および玄海原子力発電所は、いずれも被害は無かった[18]。
交通
山陽新幹線は始発から速度を落として運行するなどで遅れが発生し、直通運転を行っている九州新幹線にも遅れが出た。在来線にも運転の見合わせや遅れが発生した。大分県の高速道路は点検のため、一部で全面通行止めとなった[19]。
通信
KDDI株式会社の提供するインマルサットサービスにおいて、同社の国内唯一の地球局であるKDDI山口衛星通信センター（山口県山口市：震度4を観測）に設置された衛星アンテナに障害が発生し、地震後1時間弱にわたり太平洋・インド洋上空のインマルサット通信衛星を経由する衛星通信および衛星電話が利用できない状況となった[20][21]。
震度
| 震度 | 都道府県 | 観測点名 |
|---|---|---|
| 5強 | 愛媛県 | 西予市明浜町・西予市三瓶町 |
| 5弱 | 愛媛県 | 松山市中島大浦・久万高原町久万・宇和島市丸穂・八幡浜市五反田・八幡浜市保内町・伊方町湊浦・愛南町柏 |
| 広島県 | 安芸高田市向原町長田・安芸高田市向原町・呉市二河町・呉市広・呉市川尻町・呉市安浦町・大竹市小方・東広島市西条栄町 | |
| 高知県 | 宿毛市桜町 | |
| 山口県 | 柳井市南町・柳井市大畠・平生町平生・防府市西浦・下松市大手町 | |
| 大分県 | 姫島村役場・国東市鶴川・国東市田深・臼杵市臼杵・佐伯市鶴見 | |
| 4 | 愛媛県 | 今治市南宝来町二丁目・今治市玉川町・今治市波方町・今治市大西町・今治市菊間町・今治市吉海町・今治市宮窪町・今治市上浦町・今治市大三島町・今治市関前岡村・西条市丹原町鞍瀬・西条市周布・西条市丹原町池田・四国中央市金生町・上島町生名・上島町弓削・上島町岩城・松山市北持田町・松山市富久町・松山市北条辻・伊予市下吾川・伊予市中山町・愛媛松前町筒井・砥部町総津・砥部町宮内・久万高原町渋草・宇和島市住吉町・宇和島市吉田町・宇和島市三間町・宇和島市津島町・八幡浜市広瀬・大洲市豊茂・大洲市肱川町・大洲市長浜・大洲市大洲・大洲市河辺町・内子町内子・内子町平岡・内子町小田・伊方町三崎・伊方町三机・松野町松丸・西予市野村町・西予市城川町・西予市宇和町・愛南町船越・愛南町城辺・愛南町一本松・愛媛鬼北町下鍵山 |
| 広島県 | 広島三次市十日市中・広島三次市三次町・広島三次市吉舎町・安芸高田市高宮町・安芸高田市吉田町・安芸高田市美土里町・安芸高田市甲田町・安芸太田町中筒賀・安芸太田町戸河内・北広島町都志見・北広島町有田・北広島町豊平郵便局・三原市円一町・三原市本郷南・三原市久井町・尾道市因島土生町・尾道市向島町・尾道市久保・尾道市瀬戸田町・福山市松永町・福山市東桜町・福山市駅家町・福山市内海町・福山市新市町・福山市沼隈町・広島府中市上下町上下・世羅町東神崎・世羅町西上原・神石高原町油木・広島(中区上八丁堀・広島中区羽衣町・広島東区福田・広島南区宇品海岸・広島西区己斐・広島安佐南区祇園・広島安佐北区可部南・広島安芸区中野・広島佐伯区利松・呉市宝町・呉市倉橋町鳶ヶ巣・呉市郷原町・呉市下蒲刈町・呉市豊浜町・呉市焼山・呉市音戸町・呉市蒲刈町・呉市豊町・東広島市黒瀬町・東広島市安芸津町・東広島市福富町・東広島市豊栄町・東広島市河内町・廿日市市大野・廿日市市下平良・廿日市市津田・廿日市市宮島町・府中町大通り・海田町上市・熊野町役場・坂町役場・江田島市江田島町・江田島市能美町・江田島市沖美町・江田島市大柿町・竹原市中央・大崎上島町中野・大崎上島町木江・大崎上島町東野 | |
| 高知県 | 安芸市西浜・高知市高須東町・土佐町土居・佐川町役場・日高村本郷・いの町上八川・宿毛市片島・中土佐町久礼・四万十市西土佐江川崎・四万十町大正・黒潮町入野・黒潮町佐賀 | |
| 山口県 | 萩市土原・萩市江向・阿武町奈古・下関市竹崎・宇部市東須恵・宇部市常盤町・岩国市今津・岩国市横山・岩国市玖珂町阿山・岩国市美川町高ケ原・岩国市由宇町・岩国市周東町下久原・岩国市玖珂総合支所・岩国市錦町広瀬・光市中央・和木町和木・上関町長島・田布施町下田布施・周防大島町平野・周防大島町小松・周防大島町西安下庄・周防大島町東和総合支所・周防大島町久賀・山口市前町・山口市秋穂東・山口市小郡下郷・山口市亀山町・山口市徳地堀・山口市阿知須・山口市阿東徳佐・周南市桜馬場通り・周南市岐山通り・周南市熊毛中央町・周南市富田・下松市瀬戸 | |
| 大分県 | 中津市植野・豊後高田市真玉・豊後高田市香々地・宇佐市安心院町・国東市国見町西方寺・国東市国見町伊美・国東市武蔵町・国東市安岐町・大分市長浜・大分市碩田町・大分市佐賀関・大分市舞鶴町・大分市野津原・別府市天間・臼杵市乙見・臼杵市野津町・杵築市南杵築・杵築市杵築・杵築市山香町・日出町役場・由布市挾間町・津久見市立花町・津久見市宮本町・佐伯市蒲江蒲江浦・佐伯市春日町・佐伯市上浦・佐伯市米水津・豊後大野市三重町・豊後大野市清川町・ 豊後大野市大野町・豊後大野市千歳町・豊後大野市犬飼町犬飼・竹田市竹田小学校・竹田市久住町・竹田市直入町・竹田市会々・竹田市荻町 | |
| 鳥取県 | 湯梨浜町龍島・北栄町土下・米子市東町 | |
| 島根県 | 出雲市平田町・雲南市三刀屋町三刀屋・浜田市三隅町三隅・益田市常盤町・益田市美都町都茂・大田市仁摩町仁万・邑南町瑞穂支所・吉賀町六日市 | |
| 岡山県 | 新見市唐松・新見市哲西町矢田・岡山美咲町久木・真庭市下方・真庭市落合垂水・真庭市蒜山下福田・倉敷市新田・倉敷市下津井・倉敷市児島小川町・倉敷市水島北幸町・倉敷市玉島阿賀崎・倉敷市船穂町・玉野市宇野・笠岡市笠岡・高梁市原田南町・高梁市松原通・和気町尺所・和気町矢田・早島町前潟・里庄町里見・矢掛町矢掛・吉備中央町豊野・瀬戸内市長船町・赤磐市上市・浅口市天草公園・浅口市金光町・岡山北区新屋敷・岡山北区大供・岡山北区御津金川・岡山北区建部町・岡山東区瀬戸町・岡山東区西大寺上・岡山南区片岡・岡山南区浦安南町 | |
| 徳島県 | 徳島三好市池田総合体育館・美波町奥河内 | |
| 香川県 | 高松市扇町・高松市香川町・高松市国分寺町・土庄町甲・さぬき市寒川町・小豆島町安田・小豆島町池田・丸亀市新田町・丸亀市綾歌町・観音寺市坂本町・観音寺市瀬戸町・観音寺市豊浜町・多度津町家中・多度津町栄町・三豊市三野町・三豊市詫間町 | |
| 福岡県 | 水巻町頃末・遠賀町今古賀・みやこ町勝山上田 | |
| 佐賀県 | 白石町有明・みやき町北茂安・神埼市千代田 | |
| 熊本県 | 産山村山鹿・熊本高森町高森・阿蘇市波野・南阿蘇村吉田・熊本南区富合町 | |
| 宮崎県 | 西都市聖陵町・高千穂町三田井・高千穂町寺迫 |
緊急地震速報
気象庁は地震発生後の2時7分2秒に地震波を検知し、その3.2秒後に地震の規模をM4.5として緊急地震速報（予報）の第1報を大分県の北部に発表した。地震波検知の7.7秒後の予報第7報では規模をM6.2と計算し、緊急地震速報（警報）を山口県・大分県・愛媛県・広島県・高知県・福岡県の全域、熊本県の熊本地方と阿蘇地方、宮崎県の北部、島根県の東部、香川県の西部に発表した[22]。警報発表後の主要動到達までの猶予時間は震度5強を観測した愛媛県や震度5弱を観測した山口県、大分県で5秒程度、震度5弱を観測した広島県や高知県で10秒から15秒程度だったとされる[23]。
関連項目
脚注
- ^ a b c d e “気象庁地震別震度データ”. 気象庁. 2015年1月25日閲覧。
- ^ a b c 伊予灘を震源とする地震(第6報) 総務省消防庁 2014年3月14日17時00分
- ^ “伊予灘の地震、６県で１９人けが 愛媛や広島で断水”. 朝日新聞. オリジナルの2014年3月14日時点におけるアーカイブ。
- ^ “平成26年3月14日02時07分頃の伊予灘の地震について”. 気象庁. 2015年3月20日閲覧。
- ^ “2014年03月14日02時06分 伊予灘 M6.2”. 気象庁. 2015年3月20日閲覧。
- ^ “愛媛で震度5強、南海トラフとの関係は… 専門家「可能性否定できない」”. ZAKZAK. (2014年3月14日) 2014年3月20日閲覧。
- ^ “気象庁「1週間は余震に注意を」 愛媛で震度5強”. 朝日新聞. (2014年3月14日). オリジナルの2014年3月20日時点におけるアーカイブ。 2014年3月20日閲覧。
- ^ “「南海トラフと直接の関係ない」 伊予灘地震で京大教授”. 朝日新聞. (2014年3月14日). オリジナルの2014年3月20日時点におけるアーカイブ。 2014年3月20日閲覧。
- ^ 平成26年3月14日の伊予灘の地震に関する西予市の現地調査について (PDF) 松山地方気象台
- ^ 平成26年3月14日の伊予灘の地震に関する呉市の現地調査について (PDF) 広島地方気象台
- ^ “エチレン装置からの火災発生について(第3報)”. 出光. 2014年3月22日閲覧。
- ^ “本日未明の地震発生に伴う製品供給への影響および再稼働について”. 出光. 2014年3月22日閲覧。
- ^ 伊予灘地震の影響に関するお知らせ(第3報) (PDF) 東ソー 2014年3月22日閲覧
- ^ “伊予灘地震による影響について(第2報)”. トクヤマ. 2014年3月22日閲覧。
- ^ “日産自、三菱自も地震で工場一時停止 マツダはなお再開できず”. 日本経済新聞
- ^ “香川・豊島:地震で産廃汚染水が流出 送水管から50トン”. 毎日新聞. (2014年4月7日) 2014年4月10日閲覧。
- ^ “愛媛・西予市で震度５強 京都、兵庫でも震度３”. MSN産経west. (2014年3月14日). オリジナルの2014年3月13日時点におけるアーカイブ。 2022年10月12日閲覧。
- ^ 伊予灘を震源とする地震について（第5報） 内閣府
- ^ “山陽・九州新幹線などダイヤに乱れ 伊予灘地震”. 朝日新聞. オリジナルの2014年3月14日時点におけるアーカイブ。
- ^ インマルサットB/M/ミニM/M4/F、C疎通障害 復旧のご報告 KDDI
- ^ インマルサットCサービス疎通障害 復旧のご報告 KDDI
- ^ “緊急地震速報の内容”. 気象庁. 2015年3月19日閲覧。
- ^ “緊急地震速報提供から主要動到達までの時間”. 気象庁. 2015年3月19日閲覧。
外部リンク
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