湯屋番
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『湯屋番』(ゆやばん)は古典落語の演目。別題に『桜風呂』(さくらぶろ)[1]。タイトルの『湯屋番』は銭湯の番台を指し、遊び人の若旦那が番台に座ることになって起きる騒動を描く。
古くからある演目で、明治期の初代三遊亭圓遊(鼻の圓遊)が改作した演題が『桜風呂』である[1]。また、4代目柳家小さんは『帝国浴場』に改作した[1]。
あらすじ
[編集]主人公の若旦那は吉原通いに夢中になった挙句に勘当され、今は出入りの大工・熊五郎宅の二階に居候している。まったく働かずに遊んでばかりいる若旦那に困った棟梁がどこかへ奉公に行くことを薦めると、若旦那は湯屋で働きたいと言い出し、棟梁に紹介状を書いてもらって湯屋にやってくる。主人からは燃料となる木屑拾いや煙突掃除の仕事を勧められるがそれを断り、女湯見たさに番台の仕事をさせてもらう。しかし上がってみると女湯に客の姿はない。がっかりした若旦那だったが、女湯に来た客が自分に惚れるところを妄想してひとり芝居を始めてしまう。そのおかしな様子に気づいた男湯の客たちが集まってきて眺めているが若旦那の妄想はエスカレートするばかり。そこで一人の男が若旦那を怒鳴りつけ、帰るから下駄を出せと言うが下駄が見つからない。しかし若旦那は平気な顔で「そっちの高そうなのをお履きなさい」と答える。それでは他の客が困るだろうと男が言うと若旦那が「いいでんすよ。順ぐりに履かせて、一番おしまいは裸足で帰しますから」。
バリエーション
[編集]- 若旦那がごまかして隠した入湯料を湯屋の主人が見つけて「飲み食いする気だな」と聞くと「いいえお払いは先方の女がします」。
- 若旦那の妄想混じりの独り言を聞いた主人が「軽石で顔をこすってるんだ」。
また湯屋の号について、三遊派は「桜湯」、柳派は「奴湯」を用いる[1]。
4代目小さんの『帝国浴場』は、若旦那の妄想の中で「帝国浴場」と名付けた華族を対象にした高級浴場を営むという下りが登場する内容である[2][3]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e 東大落語会 1973, p. 449.
- ^ 昭和戦前傑作落語全集 1981, pp. 71–82, 四代目柳家小さん 「帝国浴場」.
- ^ 昭和戦前傑作落語全集 1981, p. 409, 矢野誠一「解説」.