親子酒
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『親子酒』(おやこざけ)は、古典落語の演目。
酒に酔った父子の口喧嘩が主な内容である。
原話は上方の初代露の五郎兵衛が宝永4年(1707年)に出版した笑話本『露休置土産』第2巻所収の「親子共に上戸」[1][2]。寛延4年(1751年)の漢文体笑話本『開口新話』や安永2年(1773年)の江戸小咄本『坐笑産(ざしょうみやげ)』の「親子生酔」にも同じ題材が見え、喜久亭寿暁の演目集『滑稽集』には「(おやじむ)すこ生酔 廻ル家ヲ何ニする者」との演題がある[1]。
もともと短い噺なので、かつては一席噺として演じられることは少なく、酒の噺のマクラや、オムニバスの一編として使われていた。上方落語の演出では息子が酔っ払ってうどん屋などに絡んだ挙句、帰宅して父親のやり取りになる(前半部は『うどん屋』で演じる)。[要出典]
あらすじ
[編集]ある商家に、ともに酒好きな大旦那と若旦那の親子がいた。父親である大旦那は息子の酒癖が悪いことを心配し、二人で禁酒をしようと持ちかけ、息子も承知する。しかし、他に楽しみのない大旦那は酒が恋しくて仕方がなくなる。
息子が出かけていたある晩、父親は女房に頼み込んで酒を出させ、したたかに酔ってしまう。そこに息子が帰ってくるが息子も同様に酔っていた。父親が「なぜ酔っているんだ」と問うと、出入り先の旦那に相手をさせられたと言い、「酒は止められませんね」などと言う。
怒った父親が女房に向かって「こいつの顔はさっきからいくつにも見える。こんな化け物に身代は渡せない」と言うと息子が「俺だってこんなぐるぐる回る家は要りません」。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 前田勇『上方落語の歴史 改訂増補版』杉本書店、1966年。
- 武藤禎夫『定本 落語三百題』岩波書店、2007年6月28日。ISBN 978-4-00-002423-5。