大山詣り

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大山詣り(おおやままいり)は古典落語の演目。原話は、狂言の演目の一つである「六人僧」。

主な演者は、五代目古今亭志ん生六代目三遊亭圓生八代目春風亭柳枝三代目古今亭志ん朝など。

あらすじ[編集]

歌川国芳「大山石尊良辧瀧之図」大山石尊の滝に参拝する男達。

相模国(現在の神奈川県)にある『大山石尊大権現』は博打と商売にご利益があるため、江戸時代には大勢の江戸っ子たちが参詣に押しかけていた。

とある長屋でも例年通り一同がお参りに行くことになり、大家さんに先達(案内役)を頼もうとするが、参加者の一人である酒乱の熊五郎が毎年酔っては大騒ぎを起こすから嫌だと断られてしまう。

それを何とか拝み倒して一同お参りに出立する。喧嘩をしたら髪を剃って坊主にするという掟を定めたせいか、行きは何事もなくすんだがその帰り道、神奈川宿の宿屋に泊まったところで、が大酒を食らった挙句、風呂場で大立ち回りをやらかす。一同は眠り込んでしまった熊の頭を約束通り丸坊主にし、彼を置いて翌朝神奈川宿を発つ。

やがて目を覚ました熊は自分が坊主頭にされたことに気づくと三枚駕籠を仕立ててそれへ乗り込み、先に出立した長屋の連中を追い抜いて一路江戸に帰る。

長屋に戻った熊はかみさん連中を集めると、「自分以外の者は帰路の金沢八景見物で乗った船が嵐にあって難破し、皆死んだ。お前たちは尼になって菩提を弔え」と勧める。

はじめのうちは信じなかったかみさん連中も、熊が手ぬぐいを取って坊主頭を披露すると一転して熊の言葉を信じ込み、熊の手で一人残らず坊主頭にされてしまう。

そうとは知らない長屋の一行が帰ってみると、長屋中に「忌中」の札が張られ、念仏が聞こえてくる。自分たちの妻が皆坊主頭になっているのを見て熊の意趣返しだと気づき、怒り心頭に発した一同を先達が「これはめでたい事だ」と宥める。

「あんたのかみさんも坊主なんだぞ? どこがめでたいんだ?」

「お山は晴天、家へ帰ればみんなが坊主、お毛が(怪我)なくっておめでたい」

上方版[編集]

歌川広重「伊勢参宮・宮川の渡し」

舞台は大阪近郊の農村で、お参りに行く先は現在の三重県にある伊勢神宮

誰を連れて行っても、毎年どこかで大騒ぎが起きるので嫌になったという先達に「騒ぎが起きたら村一同、二分ずつの詫び料をだして、騒いだ当事者は阿呆払いにする」という規約を定めたと報告してやっと連れて行ってもらえたという設定。

途中、三十石船の中で鱶(ふか)の源太という奴が騒ぎを起こしかけるが、騒いだ当人が規約を盾にとって脅しをかけてきたためその場は強引に納められてしまう。

その夜、源太の被害者一同が協議して、眠り込んでいる源太を身だしなみを整えるために持っていた剃刀で坊主頭にしてしまった。

翌朝、船頭に指摘されて自分が坊主にされてしまった事に気付いた源公。「坊主頭は伊勢神宮と相性が悪いから」と言って一人だけ帰ってくると、伊勢参りに行った連中のおかみさんたちをお寺の本堂に集めるとものすごい事を語りだした。

竹生島宝厳寺を参詣することになってな、当日腹を壊して寝ていた俺を除いた一同が乗った船が沈没したんや」

一人だけ生き残ったわが身を恥ずかしみ、出家するために頭を丸めたという源太の言葉を信じ込んだ一人のかみさんが「自分も出家したい」と言い出したので、うまく丸め込んでとうとう女どもを一人残らず丸坊主にしてしまう。

そうとは知らない一行。帰ってみると、長屋中「忌中」の札が張ってあるし、何やらに念仏まで聞こえてくる。

かみさんたちと会えば「幽霊だ!」と騒ぎ出すし、よく見たら全員坊主頭で冬瓜畑に迷い込んだよう…。

源太のものすごい仕返しに一同は激怒するが、「お毛が(怪我)のうておめでたい」と冗談交じりになだめる先達の言葉に全員勢いを失ってしまう。

>落ち着いたところで、史上初めて丸坊主となったおかみさんたちの頭を眺めていると、その形の面白いのなんの…。

つい笑い出してしまった自分の亭主にキレたかみさんが、仕返しとばかりに亭主も丸坊主にしてしまう。

それが切っ掛けとなり、何故か剃刀の連鎖が起きてついには村人全員が丸坊主になってしまった。

村中坊主頭になったある日の事、何故かちょん髷を結った奴が村に現れたので、誰だろうと見てみたらもともと坊主頭にしていた村の和尚さんだった。

概要[編集]

元々は「百人坊主」という上方落語の演目とされるが、滝亭鯉丈の作品で文政4年(西暦1821年頃)に出版された「大山道中栗毛俊足」に似たパターンの噺があり、これを指摘した六代目三遊亭圓生は東西で別々に発展したものではないか?と述べている[1]

脚注[編集]

  1. ^ テイチク 六代目 三遊亭圓生 花形落語特撰 大山詣/人形買い 解説より