笠碁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

笠碁(かさご)は、古典落語の演題の一つ。 上方落語であったが、東京に移植された。 囲碁をテーマにした人情噺で、原作は、初代露の五郎兵衛

名人といわれた3代目柳家小さんが大阪から持ち帰ったネタで現在所演されているものは殆ど3代目の型をマネたものといわれる[誰?]

あらすじ[編集]

碁の好きな二人、「碁敵は憎さも憎し懐かしし」の言葉通り、毎日、のべつあれやこれや言いあって碁を打っている。

一人の男が相手の家にやってくる。さっき根岸の友人宅で負けてきたのだが、敗因は「待った」をするからと指摘されたという。そうなると、二人で勝負せざるを得なくなる。

「今日は一つ待ったなしで一番。」「それはよろしゅうございます。さ、おいでくださいまし。」と早速打ち始める。「では、一つ、ここへ。」「…こりゃあ、まずいねえ。この石どけてください。」「待ったですか。」「そうじゃございませんが、…どけてもらいませんか。」「だめです。」「そういうけど、以前お金をお返ししましたが、一度も貸すのを待ったって言いましたか。」「それはお世話になりました。ですから期日までに返したじゃありませんか。」「返さなきゃあ詐欺ですよ。」とだんだん二人は興奮してお互いに「へぼだ!」と言いあう。そして、「帰れ!」「何でエ。ここの内に何度大掃除に来たと思っていやがるんでえ。蕎麦も一杯も出しやがらねえで。しみったれ野郎。」「何言ってやんでえ。来るな!」「来るもんけえ。」と喧嘩別れ。

数日たった雨の午後、片方は暇を持て余している。「よく降るねえ。どうも…新聞も見あきたし、こんなときにあいつが来てくれたらねえ。」と今になって「待ったって言うんじゃなかった…」後悔する。かといって呼びに行くのも気が悪い。他の相手じゃ駄目だ。でもそろそろ来そうだからと、男は店先に碁盤を置いて、喧嘩別れした相手を待っている有様である。

相手も、家でごろごろしてもどうしようもないから、女房に勧められて古笠をかぶってやってくる。

「おや、来やがった。…あれ、向こうを向いて歩いてやがる。おっそろしく汚ねえ笠被ってやがる。…こっちを見やがれ、こっちを。碁盤が目に入るのに。おい、茶と羊羹出しとくれ。…あ、向こう行きやがった。素直に来ればいいのに、…あ、又来やがった。…けつまづきやがった。…何だい。」と待ちに待った碁敵が来たのはいいが、入りづらいので我慢できず、「やい!へぼ!」と呼びかける。

相手もきっかけが欲しかったので、「へぼって何でエ。こっちが待ったをするなと言うのに、待ったを掛けやがって。へぼはどっちだ。」「言いやがったな。じゃあ、どっちがへぼか。勝負だ。」と碁盤を差し出したから、「やらなくってこっちだって勝負だ。」と入り込んでくる。「ようし、やろうじぇねえか。待ったなして言ったのは、お前さんじゃねえか。…うん、碁盤が濡れているよ。恐ろしく雨が漏るなあ。」

よく見ると「お前さん、笠被りっぱなしだ。」

主な演者・概説[編集]

柳派でよく演じられていた。地味だが、喧嘩しながらも離れられない人情の機微が鮮やかに描き出されている。 近年では五代目小さんの緻密な芸と、八代目可楽の渋味溢れる芸が双璧と謳われた。

古今亭志ん生 (5代目)は碁を将棋に変え、題名も「雨の将棋」と変更し演じていた。 話のあらすじはほぼ同じだが、最後に二人が将棋を指す場面で紛失した王将の駒の変わりに座敷に入り込んできたアブラムシを使用したり、盤上からいなくなったアブラムシが股の間から出てきて「王様勝てないと思って金の後ろに隠れやがった」とサゲるなど笑いの色が強くなっている。

関連項目[編集]