村上ソングズ
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村上ソングズ | ||
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著者 |
村上春樹 和田誠 | |
訳者 | 同上 | |
イラスト | 和田誠 | |
発行日 | 2007年12月10日 | |
発行元 | 中央公論新社 | |
ジャンル | 詩集、エッセイ | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語、英語 | |
形態 | 並製本 | |
ページ数 | 182 | |
コード | ISBN 978-4-12-003896-9 | |
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『村上ソングズ』(むらかみソングズ)は、村上春樹と和田誠の翻訳書、エッセイ集。
2007年12月10日、中央公論新社より刊行された。表紙の絵と挿絵は和田誠。『エスクァイア日本版』(2004年9月号から2005年8月号まで)に連載されたものが元である。
単行本化に際し、大幅に加筆がなされ、和田のエッセイと翻訳も付け加えられた。訳された歌詞の数は29[注 1]。2010年11月10日、同社の「村上春樹翻訳ライブラリー」シリーズの一冊として新書化された[2]。
村上春樹が翻訳した歌詞
[編集]タイトル | 作者 | 歌手・演奏者 | 備考 |
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God Only Knows (神のみぞ知る) |
ブライアン・ウィルソン、トニー・アッシャー | ザ・ビーチ・ボーイズ | 村上は、ウィルソンとアッシャーが書いてビーチ・ボーイズが歌った曲をほかにも訳している。「キャロライン・ノー」を写真集『波の絵、波の話』(文藝春秋、1984年3月)の中で訳した。 |
Happiness Is a Thing Called Joe | ハロルド・アーレン、エドガー・イップ・ハーバーグ | ナンシー・ウィルソン | |
Imitation of Live | マイケル・スタイプ、マイク・ミルズ、ピーター・バック | R.E.M.[注 2] | |
Autumn in New York (ニューヨークの秋) |
ヴァーノン・デューク | テッド・ストレーター | 村上は、エッセイ集『走ることについて語るときに僕の語ること』(文藝春秋、2007年10月)の中でもこの曲の一部を訳している。 |
Moonlight Drive | ジョン・デンスモア、ロビー・クリーガー、レイ・マンザレク、ジム・モリソン | ザ・ドアーズ | 村上は、上記の『波の絵、波の話』の中でこの曲を一度訳している。 |
Born to Be Blue | ロバート・ウェルズ、メル・トーメ | ヘレン・メリル | |
Jean | ロッド・マッケン | ロッド・マッケン | 1969年公開の映画『ミス・ブロディの青春』の挿入歌。 |
On a Slow Boat to China (中国行きのスロウ・ボート) |
フランク・レッサー | ビング・クロスビー & ローズマリー・クルーニー | |
Ingrid Bergman | ウディ・ガスリー(詞)、ビリー・ブラッグ(曲) | ビリー・ブラッグ & ウィルコ | ウディ・ガスリーの未録音の詩にビリー・ブラッグが曲をつけた。 |
Blue Monk (Monkery's the Blues) | セロニアス・モンク(曲)、アビー・リンカーン(詞) | アビー・リンカーン | |
This House Is Empty Now | バート・バカラック、エルヴィス・コステロ | アンネ・ソフィ・フォン・オッター | |
Patches (パッチズ) |
ロナルド・ダンバー、ジェネラル・ジョンソン | クラレンス・カーター | 柴田元幸のエッセイ集『愛の見切り発車』(1997年7月、新潮社)に収められた「特別付録 私のロックンロール・オールタイム・トップテン」において、村上はクラレンス・カーターの「パッチズ」を10曲のうちの1曲に選んでいる。 |
A Sleepin' Bee | ハロルド・アーレン、トルーマン・カポーティ | トニー・ベネット | |
Going Back to Okinawa | ライ・クーダー | ライ・クーダー | |
God Bless the Child | ビリー・ホリデイ、アーサー・ハーツォグ・ジュニア | ビリー・ホリデイ | |
Ev'rytime We Say Goodbye | コール・ポーター | ジューン・クリスティ(歌) & スタン・ケントン(ピアノ) | |
Galveston (ガルヴェストン) |
ジム・ウェッブ | グレン・キャンベル | 村上は、ジム・ウェッブが書いてグレン・キャンベルが歌った曲をほかにも訳している。「恋はフェニックス(By the Time I Get to Phoenix)」を上記の『波の絵、波の話』の中で訳した。 |
Suicide Is Painless (もしも、あの世にゆけたら) |
ジョニー・マンデル、マイク・アルトマン | ザ・マッシュ[4] | 1970年公開の映画『M★A★S★H マッシュ』の主題歌。 |
Loneliness Is a Well | アイリーン・オーバニー、ジョー・オーバニー | アニタ・オデイ | 村上は『ポートレイト・イン・ジャズ2』(新潮社、2001年4月)でもアニタ・オデイが歌ったこの曲に触れている[注 3]。 |
All I Wanna Do (オール・アイ・ワナ・ドゥ) |
デヴィッド・ベアウォルド、ビル・ボットレル、ウィン・クーパー、シェリル・クロウ、ケヴィン・ギルバート | シェリル・クロウ | 村上はエッセイ集『うずまき猫のみつけかた』の中でも、「オール・アイ・ワナ・ドゥ」の歌詞が生まれたいきさつを紹介している[6]。 この曲を収録したアルバム『チューズデイ・ナイト・ミュージック・クラブ』が長編『騎士団長殺し』に登場する[7]。 |
Miss Otis Regrets | コール・ポーター | エラ・フィッツジェラルド | |
Days of Wine and Roses (酒とバラの日々) |
ジョニー・マーサー、ヘンリー・マンシーニ | アニタ・カー・カルテット | |
Mr. Sheep | ランディ・ニューマン | ランディ・ニューマン | 村上はこの作品以外にもランディ・ニューマンの歌を訳したことがある。"Better Off Dead" を「村上朝日堂」ホームページの中で訳した[8]。 |
Disney Girls (ディズニー・ガールズ (1957)) |
ブルース・ジョンストン | ブルース・ジョンストン | この曲が最初に収録されたのはビーチ・ボーイズのアルバム『サーフズ・アップ』(1971年)。 |
Five O'clock Whistle | キム・ギャノン、ジョゼフ・ジョー・マイロウ | アイヴィ・アンダーソン | |
Don't Go to Strangers | レッド・エヴァンズ、アーサー・ケント、デイヴ・マン | ジョニ・ミッチェル | |
State Trooper | ブルース・スプリングスティーン | ブルース・スプリングスティーン | 中央公論新社の担当編集者から「何かブルース・スプリングスティーンのものを」というリクエストがあり、訳したという[9]。 |
和田誠が翻訳した歌詞
[編集]タイトル | 作者 | 歌手・演奏者 | 備考 |
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Bang Bang (バン・バン) |
ソニー・ボノ | フランク・シナトラ | |
They Can't Take That Away from Me (誰にも奪えぬこの想い) |
ジョージ・ガーシュウィン、アイラ・ガーシュウィン | フレッド・アステア | 和田が訳したこの曲は、村上も上記の『波の絵、波の話』の中で訳している。 |
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ まえがきで、村上はビートルズの曲の翻訳が掲載できなかったことが心残りだと述べている。「Nowhere Man」(邦題「ひとりぼっちのあいつ」)を訳し、解説文も書いたあとでレノン=マッカートニーの楽曲歌詞の翻訳が管理者によって許可されていないことを知ったという[1]。解説文はその後、『村上春樹 雑文集』(新潮社、2011年1月)に収録された。
- ^ 村上は自身のホームページで次のように述べている。「僕に最初にR.E.M.を紹介してくれたのは、うちのハウスシッターをしてくれたアメリカ人の青年で、その頃は彼らもまだデビューして間もなく、小さなインディーズ・レーベルからレコードを出していました。それを聴いて『うん、これはいいな』と思い、それ以来だいたいずっとリアルタイムで聴き続けてきました」[3]
- ^ 『ポートレイト・イン・ジャズ2』の記述は以下のとおり。「僕がいちばん好きなトラックは、小さなシカゴのジャズ・クラブで、ピアノ・トリオをバックに録音されたジョー・アルバニーの知られざる歌曲『孤独は井戸(Loneliness Is a Well)』。これを聴くたびに胸がじんとする」[5]
出典
[編集]- ^ 本書、8頁。
- ^ 村上ソングズ|単行本|中央公論新社
- ^ R.E.M.解散について語る5500通目 (2015年2月14日) - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト
- ^ 45cat - The Mash - Suicide Is Painless Song From M*A*S*H / The M*A*S*H March - Columbia - USA - 4S-45130
- ^ 村上春樹・和田誠『ポートレイト・イン・ジャズ』新潮文庫、184頁。
- ^ 『うずまき猫のみつけかた』新潮文庫、181-182頁。
- ^ 『騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編』 新潮社、2017年2月24日、36頁。
- ^ 村上春樹・安西水丸『スメルジャコフ対織田信長家臣団』朝日新聞社、2001年4月、村上ラヂオ39。
- ^ 本書、9頁。