ポートレイト・イン・ジャズ (書籍)

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ポートレイト・イン・ジャズ
Portrait in Jazz
著者 村上春樹
イラスト 和田誠
発行日 1997年12月18日
発行元 新潮社
ジャンル エッセイ画集
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 上製本
ページ数 112
コード ISBN 978-4-10-353407-5
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ポートレイト・イン・ジャズ』は、村上春樹文、和田誠画のエッセイ集および画集。

概要[編集]

1992年、和田が20人のジャズ・ミュージシャンの絵を描き、「JAZZ」という個展に出品したのがことの始まりである。そのときの絵が村上の目にとまり、それぞれの作品(人物)に合わせたエッセイを付けることになった[1][注 1]。『芸術新潮』に二人のエッセイと絵が連載される(1996年6月号~1997年5月号)。1997年、和田は「SING」という展覧会で再度ジャズ・ミュージシャンたちの絵を描き、描き下ろしも加え、同年12月18日、本書が新潮社より刊行された[3]

2004年2月1日、本書と続編の『ポートレイト・イン・ジャズ2』を合わせて一冊にし、書き下ろし3編(アート・ペッパーフランク・シナトラギル・エヴァンズ)を加えたものが、同じタイトルで新潮文庫として刊行された[4]

1998年、『ポートレイト・イン・ジャズ 和田誠・村上春樹セレクション』と題したCDがポリドールソニーの2社からそれぞれ発売される。村上はポリドールから発売されたCDにライナーノーツ「煙が目にしみたりして」を寄稿。「煙が目にしみたりして」はのちに『村上春樹 雑文集』(新潮社、2011年1月)に収録された。

収録アーティスト[編集]

チェット・ベイカー
『CHET BAKER QUARTET』
ベニー・グッドマン
『BENNY GOODMAN PRESENTS EDDIE SAUTER ARRANGEMENTS』
チャーリー・パーカー
『BIRD AND DIZ』
ファッツ・ウォーラー
『FIRE IN THE WEST』(Herb Geller)
アート・ブレイキー
『LES LIAISONS DANGEREUSES』
スタン・ゲッツ[注 2]
『AT STORYVILLE VOL.1』[注 3]
ビリー・ホリデイ[注 4]
『THE GOLDEN YEARS』
キャブ・キャロウェイ
『CHU』(Chu Berry and His Stompy Stevedores with the Cab Calloway Orchestra)
チャールズ・ミンガス
PITHECANTHROPUS ERECTUS
ジャック・ティーガーデン
『COAST CONCERT』(Bobby Hackett and His Jazz Band)
ビル・エヴァンズ
WALTZ FOR DEBBY
ビックス・バイダーベック
『BIX BEIDERBECKE 1927-1929』
ジュリアン・キャノンボール・アダレイ
『CANNONBALL ADDERLEY LIVE!』
デューク・エリントン
『IN A MELLOTONE』
エラ・フィッツジェラルド
『ELLA AND LOUIS AGAIN VOL.2』
マイルズ・デイヴィス
『'FOUR' & MORE』
チャーリー・クリスチャン
『CHARLIE CHRISTIAN MEMORIAL ALBUM』
エリック・ドルフィー
『OUT THERE』
カウント・ベイシー
『BASIE IN LONDON』
ジェリー・マリガン
『WHAT IS THERE TO SAY?』
ナット・キング・コール[注 5]
『AFTER MIDNIGHT』
ディジー・ガレスピー
『AT NEWPORT』
デクスター・ゴードン
『HOMECOMING』
ルイ・アームストロング
『A PORTRAIT OF LOUIS ARMSTRONG 1928』
セロニアス・モンク[注 6]
5 BY MONK BY 5
レスター・ヤング
『PRES AND TEDDY』

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ミュージシャンの人選は和田誠。村上春樹はのちに「あの本はまず和田誠さんが絵を描かれて、それに僕が文章をつけました。まず絵があったわけです。ということは、人選をしたのは和田さんなのです。僕ではありません」と述べている[2]
  2. ^ 音楽評論集『意味がなければスイングはない』(文藝春秋、2005年11月)において、村上はスタン・ゲッツにまるまる一章を割いている。
  3. ^ アル・ヘイグ、ジミー・レイニー、テディー・コティック、タイニー・カーンのリズム・セクションは息を呑むほど完璧である」と村上は本書で述べているが、このスタン・ゲッツのバンドは長編小説『1973年のピンボール』の中で2回言及されている。
    「カセット・テープで古いスタン・ゲッツを聴きながら昼まで働いた。スタン・ゲッツ、アル・ヘイグ、ジミー・レイニー、テディ・コティック、タイニー・カーン、最高のバンドだ。『ジャンピング・ウィズ・シンフォニー・シッド』のゲッツのソロをテープにあわせて全部口笛で吹いてしまうと気分はずっと良くなった」[5]
    「僕は腰を下ろしたまま『ジャンピング・ウィズ・シンフォニイ・シッド』のはじめの四小節を口笛で吹いてみた。スタン・ゲッツとヘッド・シェイキング・アンド・フット・タッピング・リズム・セクション……。遮るものひとつないガランとした冷凍倉庫に、口笛は素晴しく綺麗に鳴り響いた」[6]
  4. ^ 村上はビリー・ホリデイをテーマにしたエッセイをほかにも多く書いている。『村上朝日堂はいほー!』(文化出版局)に収められた「LEFT ALONE (ビリー・ホリデイに捧げる)」、『村上春樹 雑文集』(新潮社)に収められた「ビリー・ホリデイの話」、『村上ソングズ』(中央公論新社)に収められた「自活する子供を神は祝福する」("God Bless the Child" の訳詞とエッセイ)など。また、「言い出しかねて」というエッセイ(『アルネ』3号、2003年3月)では、ビリー・ホリデイがカウント・ベイシー楽団とともに吹き込んだ "I Can't Get Started" についてその魅力を詳細に語っている。
  5. ^ 「『国境の南(South of the Border)』も彼の歌で聴いた覚えがあって、その記憶をもとに『国境の南、太陽の西』という小説を書いたのだけれど、あとになってナット・キング・コールは『国境の南』を歌っていない(少なくともレコード録音はしていない)という指摘を受けた。」と村上は書いている。
    なお、『羊をめぐる冒険』にもナット・キング・コールが歌う「国境の南」は登場する。「僕は真空管のアンプのパワー・スイッチを入れ、でたらめにレコードを選んで針を置いてみた。ナット・キング・コールが『国境の南』を唄っていた」[7]
  6. ^ アンソロジーセロニアス・モンクのいた風景』(新潮社、2014年9月)に再録される際、大幅に加筆された。

出典[編集]

関連項目[編集]