バン・バン (シェールの曲)

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バン・バン
シェールシングル
初出アルバム『The Sonny Side of Chér
B面 ピンと針 / 燃える初恋
リリース
規格 7" シングル
録音 1966年
ジャンル ポップ・ロック
時間
レーベル インペリアル・レコード (米国)
作詞・作曲 ソニー・ボノ
プロデュース ソニー・ボノ
チャート最高順位
シェール 年表
"Where Do You Go"
(1965)
"Bang Bang (My Baby Shot Me Down)"
(1966)
"Alfie"
(1966)
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バン・バン (Bang Bang (My Baby Shot Me Down))」は、歌手/女優であるシェールの、2枚目のスタジオ・アルバム『The Sonny Side of Chér』からの第2弾シングル。この曲は、彼女の当時の夫だったソニー・ボノ英語版の作であり、1966年にリリースされた。この曲は全英シングルチャートで第3位、Billboard Hot 100 では1週だけ第2位まで上昇したものの、ライチャス・ブラザーズの「ソウル・アンド・インスピレーション英語版」に阻まれて首位には立てなかったが、結果的にはシェールにとっての1960年代最大のヒット曲となった[1][2]

シェールによる歌唱[編集]

シェール盤は、世界中の数多くの国々のチャートでヒットし、彼女にとって初の百万枚以上を売り上げたシングルとなった。アメリカ合衆国においては、1960年代における、彼女の最大のソロ・ヒット曲となり、Billboard Hot 100 シングル・チャートで最高2位まで上昇した。また、イギリスでは3位となり、初のトップ3入りした曲になった。彼女の曲がイギリスのトップ3に入ることは、1991年に首位に達した「The Shoop-Shoop Song」まで、久しくなかった。シングルのB面には、ジャッキー・デシャノンのカバー「ピンと針(Needles and Pins)」とルビー&ザ・ロマンティックスのカバー「燃える恋(Our Day Will Come)」が収録された。

オールミュージック (AllMusic) のジョー・ヴィリオーネ (Joe Viglione) はこの曲について、「古い世界に関わるものを象徴するストリングスのミックスが、ポップの新しい世界と衝突するさまが、端正に編集されて3分以内に収められたヒット曲... 」と肯定的に評価している[3]。現代の批評家ティム・センドラ (Tim Sendra) は、アルバム『The Sonny Side of Chér』のレビューの中で、「アルバムの中で唯一本物の情熱を感じさせるトラックは、ボノが書いたノベルティ・ソング「バン・バン」だが、これは、シェールが眠っているうちにでもやっつけられそうな、一種のドラマ仕立ての歌詞による曲だが、本当の心はこもっていない[4]

1987年、シェールはプラチナディスクに認定されたカムバック・アルバム『Cher』に、この曲のロック・バージョンを収録した。この新たに録音されたロック・バージョンは、デズモンド・チャイルドジョン・ボン・ジョヴィリッチー・サンボラによってプロデュースされ、バッキング・ボーカルにはジョン・ボン・ジョヴィやマイケル・ボルトンらが参加した。1988年には、プロモーション用のシングル盤が制作された。シェールは、ツアー(Heart of Stone TourLiving Proof: The Farewell Tour)でこの曲を取り上げ、2014年Dressed to Kill Tour では、この曲のインストゥルメンタル・バージョンを使用した。

おもなカバー・バージョン[編集]

スティービー・ワンダー[編集]

スティービー・ワンダーが1966年にアルバム「太陽のあたる場所」(Down to earth)でカヴァーしている。

ナンシー・シナトラ[編集]

1966年には、ナンシー・シナトラも、この曲をアルバム『How Does That Grab You?』に収録した。彼女のバージョンは、ビリー・ストレンジ英語版トレモロ奏法のギターをフィーチャーしており[5]憂鬱気に歌われている。あまり知られていなかったこのバージョンは、2003年の映画キル・ビル Vol.1』の冒頭の場面で使用されて、広く知られるようになった。これを契機として、シナトラのバージョンは、オーディオ・ブリーズ英語版2005年にイギリスでヒットさせた「Shot You Down」にサンプリングされ、正式なクレジットも「Audio Bullys featuring Nancy Sinatra」とされた。カナダラッパーであるカーディナル・オフィシャルも、シングル「Bang Bang」でシナトラのバージョンをサンプリングし、2004年ミックステープKill Bloodclott Bill』に収録した。ラッパーのヤング・バックは、シナトラのバージョンを、アルバム『Straight Outta Cashville』に収録した「Bang Bang」でサンプリングした。

ヴァニラ・ファッジ[編集]

ヴァニラ・ファッジは、1967年のデビュー・アルバム『キープ・ミー・ハンギング・オン (Vanilla Fudge)』の4曲目(LPのA面の最後)に、この曲を収録した[6][7]

このバージョンは、デヴィッド・フィンチャー監督の2007年の映画ゾディアック』の中で使用された。また、このバージョンの一部は、ネットフリックスのオリジナル・テレビ・シリーズ『Lilyhammer』のシーズン2、第8話でも使用された。

ヴァニラ・ファッジは、ライブでフリー・ジャズのような即興演奏も交えながら、この曲をジャズ・ロックのスタイルで演奏していた[7]

本田美奈子[編集]

日本歌手であった本田美奈子は、1988年にMINAKO with WILD CATSというバンド名義での最初のアルバム『WILD CATS』の4曲目に、この曲を松本隆の訳詞による日本語の歌唱で吹き込んだ[8]。この曲は『本田美奈子BOX』(2004年)にも収録されている(DISC 5)[9]

脚注[編集]

  1. ^ Cher - Awards - AllMusic”. AllMusic. 2015年3月22日閲覧。
  2. ^ Music: Top 100 Songs - Billboard Hot 100 Chart”. Billboard. 2015年3月22日閲覧。
  3. ^ Song review by Allmusic's Joe Viglione, Retrieved 15 October 2013
  4. ^ The Sonny Side of Cher - Cher | Songs, Reviews, Credits, Awards | AllMusic
  5. ^ Guitarist Billy Strange Talks About Nancy Sinatra’s ‘Bang Bang’ « Lost & Sound”. Lostandsound.wordpress.com (2008年6月6日). 2012年1月4日閲覧。
  6. ^ Vanilla Fudge: VANILLA FUDGE / キープ・ミー・ハンギング・オン”. ワーナーミュージック. 2015年3月22日閲覧。
  7. ^ a b MacCutcheon, Douglas. “Song: Bang Bang by Vanilla Fudge, Place: Bremen, Germany”. songplaces.com. 2015年3月22日閲覧。
  8. ^ WILD CATS”. MusicBrainz. 2015年3月22日閲覧。
  9. ^ ミナコヴィッチ. “本田美奈子BOX(DISC 5)「We Are Wild Cats」他”. ミナコヴィッチ. 2015年3月22日閲覧。