改造空母

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
しまね丸

改造空母(かいぞうくうぼ)とは、他艦種や商船等を航空母艦(空母)に改造した艦船の総称である。

概要[編集]

航空母艦という艦種が出現する以前、第一次世界大戦においては既存の軍艦や商船を小改造して水上機を運用することが行われ、航空母艦の開発自体も他艦種の改造から始まった。 ワシントン海軍軍縮条約の結果、巡洋戦艦や大型軽巡洋艦の空母への転用が認められているが、いずれも排水量に基づく容積と本来の艦種における高速力が艦上機の発着に有利であったためである。これらは海軍の主戦力と認められ、機動力に優れることから当初から空母として建造されたものとあわせて艦隊空母とも呼ばれる。

日本海軍においては他艦種の軍艦から改造したものを改造空母、商船を改造したものを特設空母、当初から空母として完成させたものは正規空母と呼称した。これは軍縮条約における空母の保有制限に端を発する。ワシントン軍縮条約においては制限外とされた排水量1万トン以下の空母を増勢する目論見(龍驤の建造)は、ロンドン条約において制限の対象となったことから、開戦後に短期間で空母に改造できる艦を事前に建造するというアイデアへ転換した。言い換えれば平時から条約制限内の空母として公表できるものが「正規空母」であり、戦時における空母の増勢を図ることを秘匿しつつ平時から条約制限外の「改造元」として予め軍艦あるいは商船を建造し、かつそれを空母へ改造したものが日本海軍における「正規空母以外」となる。これらは艦の出自を区別するものではあるが、日本海軍の公式な艦種においては航空母艦しかないため、就役後は当初から空母として建造されたものも商船を改造したものも軍艦籍においては同一の航空母艦であった(商船→特設空母→航空母艦の変更には改名のタイミングや特設空母を経ずに航空母艦となるなど一定ではなかった)。

第二次世界大戦の直前から戦時中にかけて、航空戦力不足を補うため、あるいは短期間で空母を取得することを意図して他艦種や商船等を航空母艦に改造することは各国で行われた。 第二次世界大戦の開戦後にアメリカ海軍イギリス海軍では多数の護衛空母が就役した。これらは商船を改造あるいは商船の線図を流用したことで知られるが、実際に完成している商船から改造工事を行ったものは一部で、ほとんどの艦は建造途中で護衛空母に切り替えられるか、新規の護衛空母として建造された。護衛空母は高速力の発揮はできなかったが、カタパルトを装備することによって大型機の運用にも耐え、また低速であるがゆえに高価で製造に手間のかかる大出力が不要であることも大量建造に有利に働き、戦争に勝利する原動力とも評された。

一方大日本帝国海軍では建造に際して補助金を交付した商船からの改造艦で劣勢な空母戦力を補うことを意図したが、カタパルトの開発に失敗したことも相まって商船としては高速であっても大型化する艦上機を運用するには速度が不十分であることから期待した戦力とするには足らず、実際には航空機輸送などに用いられることとなった。飛鷹型2隻は橿原丸級貨客船を出自とするが、艦隊型軽空母として建造されたコロッサス級よりも大型、高速であり、当初から空母として建造された正規空母に伍して戦果を挙げた。

艦種を変えず艦体の一部を改造して航空機運用能力を付けたものは別の通称があり、航空戦艦伊勢型)、航空巡洋艦最上など)と呼ばれる。

各国の改造空母[編集]

大日本帝国の旗 大日本帝国

戦艦・巡洋戦艦・巡洋艦からの改造
潜水母艦または給油艦からの改造
水上機母艦からの改造
商船からの改造

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

巡洋戦艦・巡洋艦からの改造
給炭艦からの改造
商船からの改造
油槽船からの改造
外輪客船からの改造

イギリスの旗 イギリス

戦艦・巡洋戦艦・巡洋艦からの改造
商船からの改造
商船からの改造(アメリカよりレンドリース


フランスの旗 フランス

戦艦からの改造

ナチス・ドイツの旗 ドイツ国

巡洋艦からの改造

イタリア王国の旗 イタリア王国

商船からの改造


関連項目[編集]