ヨグ=ソトース

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ヨグ=ソトース

ヨグ=ソトース(Yog-Sothoth)は、クトゥルフ神話に登場する架空の神性。

概要[編集]

ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの小説『チャールズ・ウォードの奇怪な事件(1927年)』において初めて名前が言及された。他に『ダニッチの怪(1929年)』、『銀の鍵の門を越えて(1933年)』などに登場する[1]

オーガスト・ダーレスによって体系化されたクトゥルフ神話において人間に害をなすと位置付けられた旧支配者外なる神の一柱である。ヨグ=ソトースは、時空連続体の外側、全てに隣接するがどこにも行けない場所に追いやられている。また外世界にいるものは、『銀の鍵』を使ってヨグ=ソトースを通過せねばならないとされている。

解説[編集]

『銀の鍵の門を越えて』では、主人公ランドルフ・カーターが出会った際、次のように描写されている。

それこそ果てのない存在自己の<にして>、<全にして一>の状態にほかならなかった。単に一つの時空連続体に属するものではなく、存在の全的な無限領域制限をもたず空想数学もともに凌駕する最果の絶対領域―その窮極的な生気汪溢する本質に結びつくものだった。おそらく地球のある種の秘密教団ヨグ=ソトースと囁いていたものがそれだろう。これは他の名前を数多くもつ神性であり、ユゴス星の甲殻種族が<彼方なるもの>として崇拝し、渦状銀河の薄めいた頭脳が表現しようのないでもって知っている神性である―しかしカーターは瞬時のうちに、こうした考えがいかに浅薄皮相なものであるかを悟った。

— (『ラヴクラフト全集 6』、134頁より)

ヨグ=ソトースは、時空制限を一切受けない最強神性にして「外なる神」の副王とされる。時間空間法則を超越しており、全てのと共に存在し、あらゆる空間に接しているという。「ひとつにして全てのもの」「全てにしてひとつのもの」ともいう。過去現在未来は、ヨグ=ソトースの中で一つであり、存在(「外なる神」や旧支配者すらも)がヨグ=ソトースに含まれている。ヨグ=ソトースこそが全情報を最大漏らさず記録している「アカシャ年代記」ともいわれる。この神は、一つの概念であると同時に、手で触れられない「ヨグ=ソトースという現象」でもある[2]

名前[編集]

旧支配者の名前を正しく発声すると危険が迫る、または、人間ではない彼らの名前は、正確に発音できないとされる。そのため幾つかの呼び名がある。

  • ヨグ=ソトホート
  • ヨグ・ソトト
  • ヨグ・ソトホース

また別名とされる称号も数多く冠している。

  • 門にして鍵(The Key and the Gate)
  • 全にして一、一にして全なる者(The All-in-One, The One-in-All)
  • 彼方の者(The Beyond One)
  • Opener of the Way
  • 外なる神
  • 混沌の媒介
  • 原初の言葉の外的表れ
  • 虚空の門
  • 「漆黒の闇に永遠に幽閉されるものの外的な知性」など

外見[編集]

顕現の際、その姿は絶えず形や大きさを変える無定形の怪物とされる。時空間の底の底、混沌の只中で永遠に泡立ち続けており触覚があるが、その泡一つ一つが虹色に輝く太陽のように強烈なを放つ玉虫色球体の集積物であるという。この球体に触れると火脹れ、組織の乾燥、骨の露出を起こす。

ヨグ=ソトースの化身は、ウムル・アト=タウィルといいヴェールをまとう人間の姿をしており、銀の鍵の持ち主を窮極のへ案内する。この化身は、「案内者」「窮極の門の守護者」「生命長き者」「最古なる者」とも呼ばれる[2]。 銀の鍵が開いた「窮極の門」を超えた場所に座すというヨグ=ソトースは、実体を備えた神性であり、ジョン・ディーや初代ランドルフ・カーターといったエリザベス朝の魔術師達は、ヨグ=ソトースを手に入れることで神の座に到達できるとすら考えていたとされる[2]

他の神との関係[編集]

ヨグ=ソトースをはじめ神々の系譜については、ラブクラフトが友人に宛てた手紙で冗談めかして語っている。それによるとアザトースの生み出した「無名の霧(Nameless Mist)」からヨグ=ソトースは、生まれたとされる。リン・カーターによればクトゥルー、ハスターヴルトゥームは、ヨグ=ソトースの息子とされる。またシュブ=ニグラスの夫とされ、ナグ(Nug)とイェブ(Yeb)を儲けたともされている。さらに『ダンウィッチの怪』では、ラヴィニア・ウェイトリーとの間にウィルバーと名もない弟の双子の混血児を作っている。他にツァトゥグアが孫にあたるとするものもある。

関連する呪文[編集]

ネクロノミコン(死霊秘法)』では、「外なる神」が住まう外宇宙への門こそヨグ=ソトースであるが、門のにして守護者であり、宇宙の秘密そのものともされている。この門を開くための呪文は『ネクロノミコン』に記されているが、17世紀刊行のラテン語版以外の版では肝心の部分が抜け落ちてしまっているという。「ユゴスよりのもの」はヨグ=ソトースを「彼方のもの」と呼んで崇拝している。

『チャールズ・ウォードの奇怪な事件』に登場したプロヴィデンスの黒魔術師ジョゼフ・カーウィンは、ヨグ=ソトース召喚の呪文を編み出し、これを唱えて彼の者の顔を見たとされる[2]。また死者を復活させる呪文が登場した。

Y'AI'NG'NGAH
YOG-SOTHOTH
H'EE-L'GEB
F'AI THRODOG
UAAAHH

これに対応するのが死者を元の塩に戻す呪文である。

OGTHROD AI'F
GEB'L-EE'H
YOG-SOTHOTH
'NGAH'NG AI'Y
ZHRO

ヨグ=ソトースへ至る順序[編集]

以下は、ヨグ=ソトースへ至る順序の要約[3]。ヨグ=ソトースを目指す者はウムル・アト=タウィルに案内を受けつつ、「第一の門」から「窮極の門」へ向かうとされている。

  1. 「第一の門」にて、「窮極の門」へ行く意思確認が行われる。
  2. 異形のものが六角形台座で低い音を発し、輝く球体により体を揺らしリズムを取っている。
  3. 眠りに落ちる異形のものの夢により、「窮極の門」が物質的に顕在化する。
  4. 計り知れない深みに投げ入れられ、「窮極の門」へ至る障害である、バラの香りのするに漂う。
  5. 海の先に「窮極の門」の巨大な石組のアーチが見える。
  6. 儀式に従って「銀の鍵」を動かし、呪文を詠唱して前方へと漂い続ける。
  7. 「窮極の門」を抜ける。

出典[編集]

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参考文献[編集]

その他の参考文献[編集]

関連項目[編集]