無名祭祀書

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無名祭祀書(むめいさいししょ、独:Unaussprechlichen Kulten、英:Nameless Cults)は、クトゥルフ神話作品に登場する架空の書籍。著者はフリードリヒ・ウィルヘルム・フォン・ユンツト(Friedrich Wilhelm von Junzt, 1795年1840年)。時折「無銘祭祀書」とも記される。

この魔道書はロバート・E・ハワードが創造したものであり、「暗黒の民」を初出とする。当初はNameless Cultsという英題しか存在しなかったが、ドイツ語の原題をつけることを思い立ったハワード・フィリップス・ラヴクラフトオーガスト・ダーレスの助言を得てUnaussprechlichen Kultenと命名した。Nameless Cultsの直訳としてはUnnennbaren Kultenのほうが妥当であるという意見がE・ホフマン・プライスから出されたが、ラヴクラフトは語感を優先してダーレスの案を採用した。なお、いずれも3格であるため書物の題名としては不適であり、1格のUnaussprechliche Kulteを用いるのが正しい。

概要[編集]

著者であるフォン・ユンツトが世界中を回って見聞した、クトゥルフヨグ=ソトースツァトゥグァガタノトーアシュブ=ニグラスイグといった恐るべき神々にまつわる古代信仰、秘密の宗派、さまざまな伝承、忘れられた言語などについて記されている。

本書には三つの版が存在するとされる。

ドイツ語の初版(無削除版)は、『黒の書』とも呼ばれ、1839年デュッセルドルフで刊行されたクォート判(四つ折り版)の本である。これは鉄の留め金のついた革製の装丁がなされており、発行部数が少なかったことと所有者たちが焚書にしたことにより、現在、ヨーロッパとアメリカの図書館に全部で6部しか残存していない稀覯書となっている。出版後、ただちに発禁処分とされた。

第二の版は、1845年ロンドンのブライドウェル社から出版された英訳の海賊版である。翻訳者不明だが誤訳が多いとされ、多くのグロテスクな木版画が収められている。公的、あるいは私的なコレクションに少なくとも20部が現存していることがわかっている。初版と同じく、出版されてすぐに発禁処分となっている。

第三の版は、1909年ニューヨークのゴールデン・ゴブリン・プレス社から出版された英訳の削除版である。これにも誤訳、誤植などの間違いが多数存在するが、廉価な八つ折り判であったこともあり、比較的多く現存すると考えられる。

フォン・ユンツトは本書が出版された翌年(1840年)に、施錠され、閂で閉めきられた部屋の中で、ひき裂かれた未発表草稿とともに、喉にかぎ爪の跡が残った絞殺死体となって発見された。

またその後、彼の友人アレクシス・ラドーによってこの破られた草稿が復元されたが、ラドーは草稿を読み終えた後、即これを焼却し、自らの喉をカミソリでかき切って自殺した。

脚注[編集]

参考文献[編集]