妖蛆の秘密

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妖蛆の秘密(ようしゅのひみつ、ようそのひみつ、英:Mysteries of the Worm、羅:De Vermis Mysteriis)は、クトゥルフ神話作品に登場する架空の書籍。

概要[編集]

初出は、『ウィアード・テイルズ』1935年9月号に掲載されたロバート・ブロックの小説『The Shambler from the Stars』(邦題が複数あり、そのうちの一つが意訳で『妖蛆の秘密』とされ、書物と同名になっている)。当作品はロバート・ブロックと、クトゥルフ神話の創生者であるハワード・フィリップス・ラヴクラフトとの交流から生まれた。

ラヴクラフトの『ネクロノミコン』に相当する、ブロックが創造した魔導書。主に創造者であるブロックの作品に登場し、加えて他作家の作品でも使用される。

内容・来歴[編集]

著者はルートヴィヒ・プリン(Ludwig Prinn、ルドウィク等の表記もある)。原題は『デ・ウェルミス・ミステリイス』(De Vermis Mysteriis)。

著者のプリンはフランドル出身の錬金術師、降霊術師、魔術師で、第九回十字軍の唯一の生き残りを自称していた。十字軍参加時に、捕虜として拘留されていたシリアで魔術を学び、異端審問によりブリュッセルで焚刑に処せられる直前に、獄中で本書のラテン語原本を執筆した。

プリンの死の翌年、1542年にケルンで出版された初版本は、鉄製の表紙をした黒く分厚い本。出版直後に教会から出版禁止処分を受け、後に内容を大幅に減らした検閲済削除版が出版される。市場に出回ったのは無害な検閲済版であり、危険な初版本は入手難となった。ブライアン・ラムレイ著『妖蛆の王』によると、1820年にチャールズ・レゲットによる英語版が刊行されたが、これは初版本を翻訳したものだという。

特に、「サラセン人の儀式」という章にて古代エジプトの(異端的)信仰が詳しく解説されており、創造者ブロックのエジプト作品にて頻出する。『The Shambler from the Stars』では表題の生物=星の精の召喚方法が書かれていた。

エジプトの神や蛇神(Worm=蛆/爬虫類)にも詳しい。例:父なるイグ(蛇神)、暗きハン(蛇神)、蛇の髪持つバイアティスエジプト神話でよく知られている鰐神セベク、猫神ブバスティス(エジプト神話のバステト)、アヌビスなどについても描かれるが、異端の邪神としての側面が大きい。エジプト史から抹消されたナイアーラトテップ信仰や暗黒のファラオたるネフレン=カ王についても書かれている。

数少ない初版本のうち、1冊がミスカトニック大学付属図書館に所蔵されている。

スティーブン・キングの短編集『ナイトシフト』収録の「呪われた村」(Jerusalem's Lot)において、物語のキーアイテムとして登場する。

関連項目[編集]