南條竹則

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南條 竹則(なんじょう たけのり、1958年11月11日 - )は、日本の作家翻訳家英文学者東京都出身。

人物・来歴[編集]

中央区日本橋本石町生まれで、原宿・浅草千束で育つ[1]。曾祖父は辰野安五郎という千葉県会議員で、裕福な家で女中に育てられた[2][要ページ番号]開成中学校・高等学校を経て[1]東京大学文学部西洋史学科卒、同大学院英語英文学修士課程修了。

早稲田大学に在学中だった東雅夫石堂藍らが創刊した「幻想文学会」や雑誌「季刊 幻想文学」に、南條も在学中から参加、英国小説の翻訳や並木二郎の名で評論を行い、倉阪鬼一郎らとも知り合う。

1993年、『酒仙』で第5回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞[3]。以後、中国文学に取材した作品も含め幻想小説を多数発表している。温泉逗留、海外旅行を趣味としており、特に中国の食文化への関心が深い[4]電気通信大学助教授だったが、作家、評論、翻訳に専念するため退職。

著書[編集]

翻訳[編集]

  • マリオ・プラーツ『肉体と死と悪魔 ロマンティック・アゴニー』国書刊行会 1986年、新版2000。訳者の一人
  • 『泰西少年愛読本』須永朝彦編、新書館 1989。作品の共訳
  • アーサー・マッケン『輝く金字塔』国書刊行会・バベルの図書館 1990
  • H.R.ウェイクフィールド他『怪談の悦び』創元推理文庫 1992
  • ブライアン・オールディス他『妖魔の宴 フランケンシュタイン編 1』竹書房文庫 1992
  • J.A.ブルックス『倫敦幽霊紳士録』松村伸一共訳 リブロポート 1993
  • ジョーゼフ・カーマン『ドラマとしてのオペラ 名作オペラを検証する』音楽之友社 1994
  • アン・リー『飲食男女』監訳 新潮社 1995
  • メアリー・ウェズレー『怪しげな遺産』集英社 1995
  • リチャード・ミドルトン『幽霊船』国書刊行会 1997
  • リック・ムーディ『アイス・ストーム』坂本あおい共訳 新潮文庫 1998
  • シンシア・アスキス他『淑やかな悪夢 英米女流怪談集』倉阪鬼一郎西崎憲共編訳 東京創元社 2000、創元推理文庫 2006
  • ジャネット・グリーソン『マイセン 秘法に憑かれた男たち』集英社 2000
  • ヒュー・ロフティングガブガブの本 『ドリトル先生』番外篇』国書刊行会 2002
  • ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転 心霊小説傑作選』坂本あおい共訳 創元推理文庫 2005
  • 『イギリス恐怖小説傑作選』ちくま文庫 2005 編訳
  • マイケル・カニンガム『星々の生まれるところ』集英社 2006
  • 『アーネスト・ダウスン作品集』岩波文庫 2007
  • スティーヴンスン新アラビア夜話』坂本あおい共訳 光文社古典新訳文庫 2007
  • 『地獄 英国怪談中篇傑作集』坂本あおい共訳 メディアファクトリー 2008
    ウォルター・デ・ラ・メーア、メイ・シンクレア、アルジャノン・ブラックウッド
  • G・K・チェスタトン木曜日だった男 一つの悪夢』光文社古典新訳文庫 2008
  • ヒュー・ロフティング『ドリトル先生アフリカへいく』集英社 2008
  • アーサー・マッケン『白魔』光文社古典新訳文庫 2009
  • A・E・コッパード『天使の美酒・消えちゃった』光文社古典新訳文庫 2009 
  • ウェルズ『盗まれた細菌・初めての飛行機』光文社古典新訳文庫 2010
  • ヒュー・ロフティング『タブスおばあさんと三匹のおはなし』集英社 2010
  • ヒュー・ロフティング『トミーとティリーとタブスおばあさん』集英社 2012
  • カーター・ディクスン『黒死荘の殺人』高沢治共訳 創元推理文庫 2012
  • アルジャーノン・ブラックウッド『秘書綺譚 ブラックウッド幻想怪奇傑作選』光文社古典新訳文庫 2012
  • G・K・チェスタトン『ブラウン神父の無心』坂本あおい共訳、ちくま文庫 2012
  • アルジャーノン・ブラックウッド『人間和声』光文社古典新訳文庫 2013
  • 『屋根の上の魚 リチャード・ミドルトン作品集』盛林堂ミステリアス文庫 2013
  • フラン・オブライエン『不思議屋/ダイヤモンドのレンズ』光文社古典新訳文庫 2014
  • 南方熊楠英文論考 〈ノーツアンドクエリーズ〉誌篇』 集英社 2014。訳者で参加
    飯倉照平監修 松居竜五・田村義也・志村真幸・中西須美・前島志保共訳
  • メイ・シンクレア『胸の火は消えず』編訳 共訳 創元推理文庫 2014
  • チャールズ・ラム『完訳 エリア随筆』(全4巻)藤巻明註釈、国書刊行会 2014-2017
    • 『エリア随筆抄』編訳、岩波文庫 2022.10
  • D・G・ロセッティ作品集』松村伸一共編訳、岩波文庫 2015
  • オスカー・ワイルド『カンタヴィルの幽霊/スフィンクス』光文社古典新訳文庫 2015
  • G・K・チェスタトン『ブラウン神父の知恵』坂本あおい共訳、ちくま文庫 2016.1
  • G・K・チェスタトン『詩人と狂人たち ガブリエル・ゲイルの生涯の逸話』創元推理文庫 2016.11
  • チャールズ・チャップリン『小説ライムライト チャップリンの映画世界』
    デイヴィッド・ロビンソン解説、上岡伸雄共訳、集英社 2017.1
  • J・M・バリー『ケンジントン公園のピーター・パン』光文社古典新訳文庫 2017.5
  • G・K・チェスタトン『ポンド氏の逆説 新訳版』創元推理文庫 2017.10
  • ラフカディオ・ハーン怪談』光文社古典新訳文庫 2018.7
  • 『英国怪談珠玉集』編訳 国書刊行会 2018.7
  • G・K・チェスタトン『奇商クラブ 新訳版』創元推理文庫 2018.11
  • M・P・シール『紫の雲』アトリエサード<ナイトランド叢書> 2018.12
  • H・P・ラヴクラフト『インスマスの影 クトゥルー神話傑作選』新潮文庫 2019.7
  • G・K・チェスタトン『知りすぎた男』創元推理文庫 2020.5
  • M・R・ジェイムズ『消えた心臓/マグヌス伯爵 好古家の怪談集』光文社古典新訳文庫 2020.6
  • ラヴクラフト『狂気の山脈にて クトゥルー神話傑作選』新潮文庫 2020.12
  • R・L・スティーヴンソン/ファニー・スティーヴンソン『爆弾魔 新アラビア夜話 続』国書刊行会 2021.4
  • G・K・チェスタトン『裏切りの塔』創元推理文庫 2021.5
  • オリヴァー・オニオンズ『手招く美女 怪奇小説集』高沢治・館野浩美共訳 国書刊行会 2022.2
  • スティーヴンスン『臨海楼綺譚 新アラビア夜話 第2部』光文社古典新訳文庫 2022.4
  • ラヴクラフト『アウトサイダー クトゥルー神話傑作選』新潮文庫 2022.7
  • G・K・チェスタトン『マンアライヴ』創元推理文庫 2023.1

脚注[編集]

  1. ^ a b ACCほっとタウン2015年8月号 (PDF)
  2. ^ 『花ちゃんのサラダ』
  3. ^ 南條竹則 | 著者プロフィール | 新潮社(2020年8月21日閲覧)
  4. ^ 編著で『珍饌会 露伴の食』がある。講談社文芸文庫、2019

外部リンク[編集]