日本ファンタジーノベル大賞

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日本ファンタジーノベル大賞(にほんファンタジーノベルたいしょう)とは、読売新聞東京本社清水建設(第10回までは三井不動産販売)が主催し、新潮社が後援していた文学賞1989年創設。

未発表の創作ファンタジー小説を公募。プロ・アマを問わない。大賞賞金は500万円で、受賞作品は新潮社から刊行される。候補作には挙がったものの、入賞していない作品でも優れていれば刊行された(恩田陸小野不由美など)。かつては大賞受賞作品が『小説新潮』に全文掲載されていたこともある。

第25回(2013年度)を機に「創設から四半世紀の節目を迎え、一定の役割を終えた」として賞を休止することが、2013年12月3日付で発表された[1][2][3]

その後「日本ファンタジーノベル大賞2017」として再スタートすることが決定した。公募は2017年6月1日から30日までで賞金は300万円。読売新聞後援、新潮文芸振興会主催。審査員は恩田陸萩尾望都森見登美彦[4]

創設の経緯[編集]

1989年読売新聞東京本社三井不動産販売が、三井不動産販売の創業20周年を迎えた記念事業として始めた文学賞で、三井不動産販売は1998年まで主催した。バブル経済の好景気の末期でもあり、三井不動産販売が広告代理店各社に企画案を提出させ、その中から読売広告社のファンタジーをテーマにした文学賞という案が採用。文学賞のノウハウを持ち、受賞作の出版を行える出版社ということで、新潮社が後援として参加した(創設時の担当編集者には、大森望木村由花がいた)。

三井不動産販売は10年で降板。有望な新人が発掘される成果があったため、このまま終わらせるのは惜しいと清水建設が主催を引き継ぐことになった。

受賞作のアニメ化[編集]

最初の2年は、日本テレビが協賛となり、三井不動産販売が番組スポンサーとなって受賞作をアニメ化。酒見賢一の『後宮小説』が1990年3月21日に『雲のように風のように』、鈴木光司の『楽園』が1991年6月16日に『満ちてくる時のむこうに』のタイトルで日本テレビ系で放送された。アニメの制作は、スタジオぴえろが行っている。

歴代選考委員[編集]

当初手塚治虫を含め6人の審査員で行われる予定であったが、手塚が死去したため、5人で審査する形になった。

第1回 - 第7回
第8回 - 第10回
  • 荒俣宏、安野光雄、井上ひさし、椎名誠、矢川澄子
第11回 - 第13回
  • 荒俣宏、井上ひさし、椎名誠、鈴木光司、矢川澄子
第14回 - 第22回
  • 荒俣宏、井上ひさし、小谷真理、椎名誠、鈴木光司
第23回 - 第25回
  • 荒俣宏、小谷真理、椎名誠、鈴木光司、萩尾望都

受賞作一覧[編集]

特記がなければ、初刊は新潮社、文庫は新潮文庫刊。

回(年) 応募総数 受賞・候補作 著者 初刊 文庫化
第1回(1989年) 835編 大賞 後宮小説 酒見賢一 1989年12月 1993年4月
優秀賞 「宇宙のみなもとの滝」 山口泉 1989年12月
候補 「月のしずく100%ジュース」 岡崎弘明 1990年7月
「星虫 COSMIC BEETLE」 岩本隆雄 1990年7月
「三日月銀次郎が行く
イーハトーボの冒険編」
武良竜彦 1990年7月[注 1]
第2回(1990年) 275編 大賞 該当作なし
優秀賞 楽園 鈴木光司 1990年12月 1996年1月
「英雄ラファシ伝」 岡崎弘明 1990年12月
候補 「ラスト・マジック」 村上哲哉 1990年12月
「日輪王伝説」 原あやめ
「念術小僧」 加藤正和 1990年12月[注 2]
第3回(1991年) 428編 大賞 「バルタザールの遍歴」 佐藤亜紀 1991年12月 1994年12月
優秀賞 「なんか島開拓誌」 原岳人 1991年12月
候補 「リフレイン」 沢村凛 1992年2月 2012年7月[注 3]
「天明童女」 河合泰子 2008年9月[注 4]
六番目の小夜子 恩田陸 1998年8月 1992年7月
第4回(1992年) 385編 大賞 該当作なし
優秀賞 「昔、火星のあった場所」 北野勇作 1992年12月 2001年5月[注 5]
候補 「蒼いエリルの花」 宇津木智
「夜叉が池伝説異聞」 こもりてん
「ガーダの星」 立樹知子
「ファンタジア」 藤原京
第5回(1993年) 574編 大賞 「イラハイ」 佐藤哲也 1993年12月 1996年10月
優秀賞 「酒仙」 南條竹則 1993年12月 1996年10月
候補 東亰異聞 小野不由美 1994年4月 1999年5月
「球形の季節」 恩田陸 1994年4月 1999年2月
第6回(1994年) 494編 大賞 バガージマヌパナス 池上永一 1994年12月 1998年12月[注 6]
鉄塔 武蔵野線 銀林みのる 1994年12月 1997年6月
候補 「ムジカ・マキーナ」 高野史緒 1995年7月 2002年5月[注 7]
「世界の果てに生まれて」 沢村凛
「飛び地のジム」 石立ミン
第7回(1995年) 531編 大賞 該当作なし
優秀賞 「糞袋」 藤田雅矢 1995年12月
「バスストップの消息」 嶋本達嗣 1995年12月
候補 「ようそろう・一九六三」 上野哲也
「餓鬼道双六蕎麦糸引」 桐原昇
第8回(1996年) 510編 大賞 該当作なし
優秀賞 「アイランド」 葉月堅 1996年12月
「青猫屋」 城戸光子 1996年12月
候補 「ダブ(エ)ストン街道」 浅暮三文 1998年8月[注 8]
「回遊オペラ船からの脱出」 橋本舜一
「宇宙防衛軍」 八本正幸
第9回(1997年) 460編 大賞 「燃えるがままにせよ」[注 9] 井村恭一 1997年12月
優秀賞 「競漕海域」 佐藤茂 1997年12月
候補 「五人家族」 沢村凛
「巡回の旋律」 横山陵司
「年代記
「アネクメーネ・マーキュリー」」
萩原史子
第10回(1998年) 431編 大賞 「オルガニスト」 山之口洋 1998年12月 2001年9月
優秀賞 「ヤンのいた島」 沢村凛 1998年12月 2013年2月[注 10]
青猫の街 涼元悠一 1998年12月
候補 「偽造手記」 国分寺公彦[注 11] 1999年2月 2001年9月[注 12] [注 13]
第11回(1999年) 478編 大賞 「信長 あるいは
戴冠せるアンドロギュヌス」
宇月原晴明 1999年12月 2002年10月
優秀賞 BH85 森青花 1999年12月 2008年8月[注 14]
候補 「クリスタル・メモリー」 西荻知道
「ヤコブの梯子を降り来るもの」 人見葵
第12回(2000年) 422編 大賞 該当作なし
優秀賞 「仮想の騎士」 斉藤直子 2000年12月
候補 「涙姫」 奥野道々
「こいわらい」 松宮宏[注 15] 2006年10月[注 16] 2013年1月[注 17]
「場違いな工芸品」 大濱真対
第13回(2001年) 412編 大賞 「太陽と死者の記録」[注 18] 粕谷知世 2001年12月
優秀賞 しゃばけ 畠中恵 2001年12月 2004年4月
候補 「アンデッド・リタナーズ」 佐藤仁
「アパートと鬼と着せ替え人形」 越谷オサム
第14回(2002年) 418編 大賞 「ショート・ストーリーズ」[注 19] 西崎憲 2002年12月 2013年4月[注 20]
優秀賞 「戒」 小山歩 2002年12月
候補 「喜劇のなかの喜劇
南の国のシェイクスピア」
泉慶一
「天受売の憂欝」 中島文華
第15回(2003年) 484編 大賞 太陽の塔/ピレネーの城[注 21] 森見登美彦 2003年12月 2006年6月
優秀賞 「象の棲む街」 渡辺球 2003年12月
候補 「ラビット審判」 彼岡淳
「影舞」 小田雅久仁[注 22]
第16回(2004年) 480編 大賞 「ラス・マンチャス通信」 平山瑞穂 2004年12月 2008年8月[注 23]
優秀賞 「ボーナス・トラック」 越谷オサム 2004年12月 2010年7月[注 24]
候補 「池尻ウォーターコート」 堀井美千子
「この晴れた日に、ひとりで」 原田勝弘
第17回(2005年) 488編 大賞 「金春屋ゴメス」 西條奈加 2005年12月 2008年10月
優秀賞
辞退
「愛をめぐる奇妙な
告白のためのフーガ」
琴音 2005年12月[注 25]
候補 「天上の庭 光の時刻」 水町夏生
「琥珀ワッチ」 斎木香津
第18回(2006年) 379編 大賞 僕僕先生 仁木英之 2006年11月 2009年4月
優秀賞 「闇鏡」 堀川アサコ 2006年11月
候補 「カッパドキア・ワイン」 薗田嘉寛[注 26] 2008年3月[注 27]
「夜のユニコーン」 松田哲也
第19回(2007年) 456編 大賞 「厭犬伝」 弘也英明 2007年11月
優秀賞 「ブラック・ジャック・キッド」 久保寺健彦 2011年6月
候補 「カラクリ猫と時間旅行代理店」 和田吉里
「菊香忌」 藤田真幸
第20回(2008年) 646編 大賞 「天界の都
ある建築家をめぐる物語」[注 28]
中村弦 2008年11月 2011年6月
優秀賞 「彼女の知らない彼女」 里見蘭 2008年11月
候補 「龍守の末裔」 真山遥
「イデアル」 松崎祐
第21回(2009年) 652編 大賞 「月桃夜」 遠田潤子 2009年11月
「増大派に告ぐ」 小田雅久仁 2009年11月
候補 「鯨が飛ぶ夜」 山田港
「私小説」 佐藤千
「化鳥繚乱」 塵野烏炉
第22回(2010年) 670編 大賞 わだつみの鎮魂歌[注 29] 紫野貴李 2010年11月
優秀賞 「しずかの海」[注 30] 石野晶 2010年11月
候補 「外法居士KA・SIN」 神護かずみ
「ホール・ショベル
ある穴掘りの物語」
浅利進
第23回(2011年) 695編 大賞 さざなみの国 勝山海百合 2011年11月
優秀賞 「吉田キグルマレナイト☆」 日野俊太郎 2011年11月
候補 「残像の扉」 青水洸
「逃げ街フェヌセ」 高野丹生
第24回(2012年) 713編 大賞 該当作なし
優秀賞 「朝の容花」[注 31] 三國青葉 2012年11月 2014年10月[注 32] [注 33]
「ワーカー」[注 34] 関俊介 2012年11月
候補 「恐竜ギフト」 井上綾子 2015年3月[注 35]
「遠国」 張間ミカ
第25回(2013年) 644編 大賞 「今年の贈り物」 古谷田奈月 2013年11月[注 36]
優秀賞 「きのこ村の女英雄」 冴崎伸[注 37] 2013年11月[注 38]
候補 「アカシック・ミュージアム」 天原聖海
「悪党華伝」 坂本葵 2014年2月[注 39]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 刊行時『三日月銀次郎が行く』に改題
  2. ^ 刊行時『念術小僧 大江戸サイキック・ボーイ』に改題
  3. ^ 角川文庫
  4. ^ 文房夢類刊
  5. ^ 徳間デュアル文庫刊
  6. ^ 文春文庫
  7. ^ ハヤカワ文庫JA
  8. ^ 講談社
  9. ^ 「ベイスボイル・ブック」に改題
  10. ^ 角川文庫刊
  11. ^ 「桑原敏郎」より改名
  12. ^ 「盗み耳」に改題
  13. ^ 角川ホラー文庫
  14. ^ 徳間デュアル文庫刊
  15. ^ 「松之宮ゆい」より改名
  16. ^ マガジンハウス刊
  17. ^ 講談社文庫刊
  18. ^ 「クロニカ 太陽と死者の記録」に改題
  19. ^ 「世界の果ての庭 ショート・ストーリーズ」に改題
  20. ^ 創元SF文庫
  21. ^ 「太陽の塔」に改題
  22. ^ 「小田紀章」より改名
  23. ^ 角川文庫刊
  24. ^ 創元推理文庫
  25. ^ ライブドアパブリッシング刊
  26. ^ 「大原一穂」より改名
  27. ^ 彩流社刊
  28. ^ 『天使の歩廊 ある建築家をめぐる物語』に改題
  29. ^ 『前夜の航跡』に改題
  30. ^ 『月のさなぎ』に改題
  31. ^ 『かおばな憑依帖』に改題
  32. ^ 「かおばな剣士妖夏伝 人の恋路を邪魔する怨霊」に改題
  33. ^ 新潮文庫nex
  34. ^ 『絶対服従者』に改題
  35. ^ 牧野出版刊
  36. ^ 『星の民のクリスマス』に改題
  37. ^ 「鈴木伸」より改名
  38. ^ 『忘れ村のイェンと深海の犬』に改題
  39. ^ 刊行時『吉祥寺の百日恋』に改題

出典[編集]

参考文献[編集]

  • 佐藤亜紀「ファンタジーノベル大賞とはなんだったのか」、『ユリイカ』第36巻第8号(通巻495号)、2004年8月。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]