英雄伝説 軌跡シリーズの登場人物

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英雄伝説 軌跡シリーズの登場人物では日本ファルコムコンピュータRPGシリーズである〈英雄伝説 軌跡シリーズ〉に登場する人物解説をまとめる。

  • 凡例
    • 作中で主に活動している地域・所属している組織を元に分類。
    • 登場作:そのキャラクターが登場する作品と、及びその作中でプレイヤーキャラクターとして加入するかどうかを略号で示す。
    • 「声」はゲーム内の戦闘ボイス及びドラマCD・OVAでの担当声優。
    • 特記のない限り、年齢・階級・職業など初登場時のもの。

リベール王国

大陸南西部に位置する王国で、北をエレボニア・東をカルバードと隣接する。『空』の舞台。

ブライト家

エステル・ブライト
登場作:『空』P・「零」P・「碧」
声:神田朱未
「FC」・「SC」の主人公。「the 3rd」・「零」終盤でもパーティーキャラクターとして加入する。
七耀暦1186年8月7日生まれで、年齢は「FC」時に16歳、「the 3rd」時に17歳、「零」時で18歳。「FC」冒頭において準遊撃士となり、後に正遊撃士へと昇格する。父カシウスより学んだ棒術を操る。外見は長い栗色の髪をツインテールにしており、色気はないが素材は良しと評されている。人々に親しみを与える天真爛漫な性格で、持ち前の明るさと前向きさで出逢った多くの人々に影響を与えるが、本人は自分の良さには無頓着。純粋な人柄からくる言動に、周囲の人間が(敵対している人物も含めて)毒気を抜かれるというシーンがしばしばある。彼女がいるだけで周りの雰囲気が明るくなるなどの事柄から、作中「太陽の娘」と称されているシーンもある。「the 3rd」では主人公ではないものの「肝心なヤツがいない」「みんなお待ちかねの大本命」と作中人物に言われ、前作を思わせる強い存在感が示された。趣味はストレガー社製のスニーカー集めと釣り。口癖は「あんですって〜! 」と「〜ですけど」、「モチのロンよ!」など。
準遊撃士時代 (FC) の時は赤を基調としたボーイッシュな服装(ズボンにスパッツ等)を着用しており、下着が見えてしまうことを懸念してスカートは敬遠していた。正遊撃士となった後 (SC・the 3rd) は、姉貴分のシェラザードから正遊撃士昇格祝いとして買ってもらった、白を基調とした以前よりも女性らしさが強調された服装(スカート)を着用している。
恋愛面には非常に疎く、鈍感。ヨシュアからの好意にも長らく気づく気配もなく、シェラザードや幼馴染の友人たちからもあきれられていたが、正遊撃士になる旅の中で、今まで弟のようにしか見ていなかったヨシュアを異性として意識し好意を抱くようになる。リシャールによるクーデター事件後にヨシュアが自分の下を去ったときは、彼を追いかけるだけの力を身に付けるために、国外にあるギルドの訓練施設「ル=ロックル」で修業する。その後、《結社》の最高幹部ゲオルグ・ワイスマンの謀略にかかわることになり、リベール全土を巻き込んだ陰謀に立ち向かうことになる。事件後は晴れてヨシュアと恋人同士になった。《結社》の幹部の一人であるレンと出会い、当初は一般人を装っていた彼女に騙されはしたが「全ては嘘ではないはず」と言い、彼女を《結社》から脱退させるべく説得することを考えるようになる。奇しくもそれは父カシウスがヨシュアを《結社》から離脱させたのと同じことだった。
「SC」エンディングでは、ヨシュアの贖罪につきあい2人で旅に出る(「the 3rd」ではレンの行方を捜している)。
「SC」では全てのクエストをクリア+一定のBPボーナスを得ればA級に昇格できる。
「百日戦役」で母のレナを亡くしている。モルガンによればエステルの容姿は母譲りで髪と眼の色は、父と同じとのこと。
釣りが趣味で、釣公師団では「特級釣師」、「爆釣王」と呼ばれている。
「the 3rd」の事件後、パートナーであるヨシュアと共に遊撃士協会クロスベル支部に所属して、さまざまな事件を解決してまわっている。
「零」の主人公ロイド達とは、とある魔獣事件で知り合うようになり共にライバル視するようになる。さらにレンに関係する事件を通して知り合ったことで和解し、親交を深めることになった。「零」における黒幕との最終決戦においてもヨシュアとともに駆けつけ力を貸した。ここでのみ唯一パーティメンバーになる。性格はあまり変わっておらず今でも前向きだが、「レーヴェなどの出会いで強くなった」と自負している。事件解決後はついにレンの説得に成功し、彼女を連れて3人でリベールへと帰国していった。
「碧」では終盤にてクロイス家からクロスベル市を奪還するための作戦に参加。ヨシュア、レン、そしてパテル・マテルとともに《結社》の巨大人型兵器「蒼のアイオーン」と交戦する。劣勢に追い込まれはしたがパテル・マテルの自爆攻撃により辛くも勝利する。だが戦いで追った負傷が激しくヨシュアとともに休養を取っており、クロイス家との決着はロイドたちにゆだねられることになった。
ゲーム上の性能
武器は棒術具。オーブメントはシリーズ全体で属性の制約がなく(「FC」と「SC」では唯一属性の制約のないオーブメントを持つプレイヤーキャラでもある)、4・4 (「FC」では3) の2本のラインを持つ。攻撃にも補助にも力を発揮できるバランスの良い中距離型キャラ。
「零」ではクラフトに父カシウスの技「百烈撃」が追加、Sクラフトが「鳳凰烈波」(攻撃範囲は中円)に変更され、旧来のSクラフトは削除された。彼女としては初めて、単体攻撃ではないSクラフトでもある。また、他のゲストメンバーとは異なり、ヨシュアとのコンビクラフトを持つ。
ヨシュア・ブライト
登場作:『空』P・「零」P・「碧」
声:斎賀みつき
「FC」・「SC」の主役の1人。「the 3rd」・「零」終盤でもパーティーキャラクターとして加入する。
七耀暦1185年12月20日生まれで、年齢は「FC」時に16歳、「the 3rd」時に17歳、「零」時で18歳。「FC」時点より5年前にブライト家の養子となったエステルの義弟。「FC」冒頭において準遊撃士となり、後に正遊撃士へと昇格する。冷静な性格で、エステルのフォローに回ることが多い。エステルがヨシュアに対する思いを意識し始める前より以前、幼少の頃から好意を寄せていた。そしてこちらも自分に対する好意には非常に疎く、逆にエステルからの好意に気づかないという立場の逆転をさせてしまうことも。
普段は穏やかな性格だが、エステルに害をなす人間には殺意をむき出しにする。端正な顔立にリベールでは珍しい漆黒の黒髪と琥珀色の瞳をもった美少年であり女性からもて、また女装が非常に似合う。
旧称はヨシュア・アストレイといい、帝国南部にあったハーメル村の出身であったが、ハーメルの悲劇によって壊れた心をワイスマンによって組み替えられて彼の操り人形とされ、《執行者》No.XIII《漆黒の牙》として暗殺を繰り返していた。執行者としての能力は特に隠形に優れ、隠密活動や対集団戦に特化されている。《執行者》として任務で襲撃した《楽園》にて発見・保護したレンを《結社》で引き取ることにしたのも彼の頼みからであり、血こそつながってないもののレーヴェと共にレンとは兄妹のような関係だった。11歳の時にカシウスの暗殺に失敗し、逆に組織から狙われる立場になった際にカシウスに保護され、後にブライト家の養子となる。
追っ手が途切れたことから組織に見捨てられたと判断していたが、実際にはワイスマンの暗示によって無意識下でカシウスの動向を組織に報告するスパイとして、ブライト家に潜り込まされていただけであった。この事実を知ったヨシュアは自己嫌悪に陥り、自分の過去が危険を与えると判断して、エステルの前から姿を消す。そして密かにワイスマンを殺すための策をめぐらせ、カプア一家と手を組み別の視点から《結社》を追う中でエステルと再会。彼女とカシウスに説得され終盤にてついにパーティーに復帰する。改めてエステルを守ることを誓い、共にリベール全土を巻き込んだ事件の解決に尽力する。
「SC」における最終決戦の場「リベル・アーク」の中核塔にてついにレーヴェと対峙。一騎討ちの末、一瞬の隙を突いて全力を込めた連続攻撃を行い、彼の剣を弾き落とし勝利した。戦闘技術こそはワイスマンに教え込まれたものだが、相手を倒すためではなく命を奪わず無力化させるというカシウスから学んだ戦い方であった。
「FC」・「SC」の事件解決の後、《執行者》として犯した過去の罪の贖罪のために大陸各地を旅して回ることを決意し、「the 3rd」の時点ではクロスベル自治州に滞在している。
カリンという名の実姉がいたが、ハーメルの悲劇の際に死亡している。彼女を襲った猟兵を手にかけたのが最初の殺しだったという。レオンハルトも同じ村の出身であり実の兄のように慕っていた。
ゲーム上の性能
武器は双剣で、常人離れしたスピードを駆使した攻撃を得意とする(能力値でも『空』全プレイヤーキャラクターの中で最速。戦闘でも分身・瞬間移動と見紛う動作を見せる)。オーブメントの属性は「時」。元《執行者》であるためレーヴェ同様分身を生み出して攻撃するSクラフトを持つ。
「零」ではクラフトに義父カシウスの技「雷光撃」が追加されている。またSクラフトは「the 3rd」と同じ「真・幻影奇襲」だが、台詞とモーションも若干変更されている(他のSクラフトは削除されている)。エステルとのコンビクラフトを持つ。
カシウス・ブライト
登場作:『空』
声:岸野幸正
45歳。エステルの実父。気さくな性格の持ち主だが、実は大陸全土に4人しかいないS級遊撃士の1人。かつてリベール王国軍において大佐の階級で働いていたこともある。《剣聖》と呼ばれるほどの八葉一刀流の剣の使い手だったが、遊撃士になった折に剣を捨て、棒術を扱うようになった(こちらも達人クラス)。自らの武の型を「無にして螺旋」と称し、それを示すように回転の力を駆使した攻撃を繰り出す(父より武術を学んだ娘エステルにもその影響が見られる)。「無にして螺旋」とは東方武術における武の理の1つと言われ、その域に至ったとされる彼の実力は凄まじく、放つ一撃一撃が大地をも震撼させるほどであり、大抵の者は手加減された状態でも全く彼にかなわない。事実剣の腕では若手随一と言われるユリアが軽くあしらわれているシーンがある。
また知略においても、先を遠く見通すほどに大変優れ、百日戦役では軍事戦略上革命的な反攻作戦を立案・指揮して王国の危機を救った実績がある。名実共にリベールにおける最強の代名詞たる人物で、娘のエステルを始め、彼を尊敬し目指す者は多い。また劇中ではリベールにおける「最後の守護神」と評されており、リベール王家・王国軍・遊撃士協会など多方面からカシウスに寄せられる信頼には絶大なものがある。逆にリベール王国の仮想敵国エレボニア帝国からは重大な安全保障上の脅威として認識されており、政府関係者ではない遊撃士(百日戦役における功績や元軍人という関係上、全くの非政府関係者とはいえない)でありながら最上級の次に高い警戒対象として情報機関からマークされていたが、《帝国遊撃士協会支部連続襲撃事件》での活躍によって最上級の警戒対象者に引き上げられている。
「FC」で起こった事件の後、王国軍を立て直すべく准将・王国軍総責任者として軍に復帰し、事実上王国軍のトップとして軍務に当たっている。しかし当の本人は早く後を任せられる人物に全て任せて引退したいと思っている。その最たる候補としてシードリシャールの2人に全てを押し付けたいと考えていたが、リシャールが軍を退役してしまったために当てが外れ、未だ軍を辞められない状態にある。
「the 3rd」にてとある事情から主人公達の前に敵として現れ、「FC」「SC」では謎だった、伝説ともうたわれるその圧倒的な実力を見せることになる。さらに太陽の扉のミニゲーム「裏武術大会」のナイトメアモード決勝では、本編よりもパラメーターがアップした上に、レオンハルトとタッグを組んで戦いを挑んでくる。『空』三部作通してレオンハルトと並んで最強を誇る人物の1人。
レナ・ブライト
登場作:『空』
声:板東愛(OVA)
カシウスの妻でエステルの母親。優しくも強い女性で、カシウスですら彼女には頭が上がらない。百日戦役の折、ロレントの街のシンボルである時計塔の崩壊から娘を守った末に亡くなっている。

遊撃士協会(リベール)

遊撃士

シェラザード・ハーヴェイ
登場作:『空』P・『暁』
声:塩山由佳
七耀暦1179年5月14日生まれ。23歳(「FC」・「SC」)→24歳(「the 3rd」)。「《銀閃ぎんせん》のシェラザード」の異名を持つランクC(「SC」ではランクBに昇格)の女遊撃士。の使い手だが併行してアーツも駆使する攻撃を得意とするタイプ。オーブメントの属性は「風」。エステルとの付き合いはヨシュアよりも長く、シェラ姉と呼ばれ頼れる姉貴分として慕われている。
幼少期をスラム街で過ごしており、生き延びるためにスリ、置き引き、かっぱらいといった軽犯罪を繰り返すなど荒んだ生活を送っていたが、後に旅芸人集団「ハーヴェイ一座」の座長に拾われ、一座のメンバーになる。この一座時代に巡業で訪れたロレントでエステルをきっかけとして、ブライト家と親しくなり、以降巡業でロレントを訪れる度に家に遊びに行く関係となる。その後、ある事件で一座が解散したときに唯一頼れる大人としてカシウスを頼り、遊撃士になった。その経緯からカシウスを「先生」と呼び慕っている。的中率の高い占いが得意。
幼少時から酒を嗜んでおり非常に強いが酒癖の悪さは折り紙付きで、同席する機会が多いオリビエから恐れられている。
「the 3rd」では、グランセルでの遊撃士の修行をしており、その詳細と、後にロレント支部の受付となるアイナとの出会いが描かれる。
「SC」の事件後は髪をショートヘアにし、衣装もより大胆なものに変わる。
アガット・クロスナー
登場作:『空』P・『暁』
声:近藤孝行
24歳(「FC」・「SC」)→25歳(「the 3rd」)。「《重剣じゅうけん》のアガット」の異名を持つランクC(「SC」ではBに昇格)遊撃士。二つ名の示す通り巨大な重剣を武器としており、直接攻撃を中心としながらアーツは補助に使うという戦闘スタイル。巨大な剣を操り、それを振り回す膂力と驚異的なスタミナを持つ。能力値でも全プレイヤーキャラクターの中で最高の攻撃力を誇る。オーブメントの属性は「火」。全キャラクター中、唯一自分自身のHPを削ることによってCPを上げることが出来、なおかつ直線、小円などの多彩な能力のクラフトを持つ。厳しい性格の持ち主で、遊撃士の仕事に人一倍責任感とプライドを持っており、新米遊撃士のころのエステル達に対しても甘えを許さなかった。かつてルーアン市で「レイヴン」という不良集団のリーダーを務めていたことがある。10年前の百日戦役で妹を亡くしている。
ある出来事からティータに対しては頭が上がらなくなってしまい、それ以降もティータとの関わりが深くなっていき、メンバーからは「年の差カップル」と揶揄されるようになった。本人はそれを肯定していないが、「the 3rd」ではティータと約束した食事のために、わざわざ飛行船に乗ってツァイスに来るエピソードも描かれている。しかし同時に、ティータとの仲を知ったエリカから目の敵にされてしまい、散々な目に遭わされることになる。
クルツ・ナルダン
登場作:「FC」・「SC」S・「the 3rd」
声:金子英彦
槍と東方由来の「方術」を操るリベールNo.2の実力を持つ遊撃士であり、後輩の育成にも積極的に取り組んでいる。「FC」では近々A級に昇格予定、「SC」ではA級に昇格している。実力は確かなのだが、劇中では桁違いの実力を持つ敵と相手をしているために不覚を取るシーンが目立つ。また「the 3rd」でシェラザードの過去が語られるエピソードの時代では、王都グランセル支部の受付も兼業していた。「SC」でスポット加入する他、「the 3rd」ではとある事情から主人公達の前に敵として現れる。
アネラス・エルフィード
登場作:「FC」・「SC」S・「the 3rd」P・『暁』
声:大河内雅子
18歳(「FC」・「SC」)→19歳(「the 3rd」)。「FC」では新米の正遊撃士で、「SC」ではランクFに昇格している。ボース出身で、活動拠点もボース市である。大きなリボンが特徴でかわいいものに目がない。「FC」登場時はただのサブキャラクターだったが一部で高い人気があったため、「SC」ではスポット加入を果たし、「the 3rd」でプレイヤーキャラクターに昇格してエステルらと共に行動するようになった。後輩であるエステルの活躍に刺激され、よりいっそう修行に励んでいる。武器は刀。
彼女の剣技は「八葉一刀流」と呼ばれ、祖父から学んだものである。その祖父ユン・カーファイカシウスの剣の師匠にあたる人物であり、アネラスにとってカシウスは兄弟子にあたる。「the 3rd」では、これに関連したエピソードが存在する。そのエピソードで一定条件を達成すると得られるアイテムによって、ゲーム終盤に近づくまでパーティメンバーの要となりうる直接攻撃力を得る。オーブメントの属性は「風」。
カルナ
登場作:『空』
声:柚木涼香
主にルーアン地方を拠点に活動する女遊撃士。導力銃とオーバルアーツを得物とする後方支援型で、姉御肌。
「FC」「SC」ではクルツ、アネラス、グラッツとのチームで活躍することが多い。「the 3rd」ではとある事情から主人公達の前に敵として現れる。
グラッツ
登場作:『空』
声:野島健児
大剣を得意とする遊撃士。必殺技は「グラッツスペシャル」等、必ず自分の名前が頭についている。
「FC」「SC」ではクルツ、アネラス、カルナとのチームで活躍することが多い。「the 3rd」ではとある事情から主人公達の前に敵として現れる他、あるエピソードでは普段の仕事風景も見られる。

受付

アイナ・ホールデン
登場作:『空』
声:鹿野優以
ロレント支部の受付。シェラザードをも超える酒豪でいくら酒を飲んでも顔色一つ変えない。そのせいで何も知らず飲みに付き合ったオリビエは悪夢を見ることになり、それがトラウマと化している。「SC」では彼女に一目惚れした青年が、絶対に酔わない薬を使って飲み比べ勝負を挑んできたが、用法を誤ったために酔いつぶされている。
実はホールデン飛行公社という会社を経営する富豪の家の出で、アイナが祖父サウル・ジョン・ホールデンの遺産を相続することになったことを発端とする遺産相続問題の時に当時準遊撃士のシェラザードに助けてもらっており、彼女とはその頃からの付き合いである。なお遺産はアイナに相続完了された直後、彼女の意思でリベール国の福祉政策に全額寄付された。
ルグラン
登場作:『空』
声:平井啓二
ボース支部で受付を務める好々爺。かつてリベールには王都のみにしか支部がなかった頃から受付を務める大ベテラン。皆からは「ルグラン爺さん」と呼ばれている。以前は王都グランセル支部で受付を務めており、エレボニアとの戦争後にボースへ赴任した。
ジャン
登場作:『空』
声:石川英郎
ルーアン支部の受付。人当たりが良く優秀なのだが、好奇心が強く不要なことにも首を突っ込みたがるのが玉にキズ。
キリカ・ロウラン
ツァイス支部の受付。
エルナン
登場作:『空』
声:岸尾だいすけ
グランセル支部の受付。物腰が柔らかく、礼儀正しい青年。「the 3rd」でシェラザードが準遊撃士だった頃の話(「FC」の話より5年前)では登場していないことから、受付を務めるようになってから5年も経っていないということになる。情報収集・分析能力に優れているだけでなく、作戦立案など用兵にも通じていて、「FC」では軍の1個中隊と特殊部隊が守るエルベ離宮解放作戦を立案し、精鋭とは言え10数人程度の兵力での制圧を成功させている。

王族とその関係者

クローディア・フォン・アウスレーゼ(クローゼ・リンツ)
登場作:『空』P・「碧」
声:皆口裕子
10月11日生まれの16歳(「FC」・「SC」)→17歳(「the 3rd」)。アリシアII世女王の孫で、「SC」において王太女となった次期女王。「FC」・「SC」では身分を隠して愛称からとった偽名クローゼ・リンツを名乗り、ジェニス王立学園に通う女学生として登場した。細身の剣(レイピア)による剣技とアーツが得意。オーブメントの属性が「水」であることとラインが一直線であることから回復系のアーツが組み易い。
基本的には控えめで優しい性格の持ち主だが、時に大胆な行動を取り周りを驚かせることもある。女王候補として普段から国政などにも深い関心を示し、優れた洞察力を持っている。また友達であるシロハヤブサのジーク(ペットではないと言明しており、実際に本来の主はユリアである)などの動物と話が出来る。
百日戦役の混乱によって幼少の身で保護者と離ればなれになり、ルーアンで孤児院を営む夫妻にしばらく世話になった。ジェニス学園に在籍した際に、その縁で孤児院の世話を手伝うようになり、子供達からは大変好かれている。
エステルたちと行動を共にするうちにヨシュアに好意を寄せるようになるが、エステルとヨシュアの互いの気持ちを知っているため、自らは一歩引いてエステルを応援する立場をとっている。「the 3rd」ではリベールの異変後にヨシュアに気持ちを打ち明けるエピソードが描かれている。
デュナンと並ぶ王位継承順第1位でありながら自分が次期国王として相応しくないのではないかと思い悩み続けるが、エステル達との交流の中で決意を固め、「SC」において略式ながら立太女の儀を経て王太女となる。「the 3rd」ではレクターとの再会を果たす。
「SC」の終盤から服装グラフィックが変わり、ステータス欄の名前も本名に変化する。
「碧」では祖母アリシアの名代として「西ゼムリア通商会議」に出席するためにユリアと共にクロスベルを訪れる。
アリシア・フォン・アウスレーゼ(アリシアII世)
登場作:『空』
声:笹木綾子(ドラマCD)、勝生真沙子(空Evo)
60歳。リベール王国第26代女王。巨大な軍事力を誇る帝国と大量の人口を持つ共和国に挟まれながらも、したたかな外交力で互角以上の政治力を発揮する女傑であり、慈愛をもって国政に励む姿から国民に慕われている。寛大な計らいによりクーデター、強盗と脱獄を犯した者たちに、国に貢献したという理由で恩赦を与えている。
デュナン・フォン・アウスレーゼ
登場作:『空』
声:阪口大助
35歳。公爵。アリシア女王の甥であり、クローディアと並んで王位継承順第1位に位置する次期国王候補の一人。劇画雑誌が趣味でドーナツが好物。放蕩癖があり、わがままで思慮の足りない性格ゆえ、いつも執事のフィリップを困らせており、『スペシャルファンブック』のキャラクター紹介では「物語一の愚者」と書かれている。酒癖が悪く、酔った時にメイドに扮したエステルと出会い「夜伽」を命じたりしていた。「FC」ではリシャールにそそのかされ、次期国王の座を餌に反乱の片棒を担ぐことになる。
「SC」では反乱の片棒を担いだ罰として謹慎の身だったが、人目を忍んで抜け出したところをカノーネらに捕らわれ、人質同然の状態でリシャール救出作戦に同行させられた。デュナンとしてはもう懲りており、国王の座を約束されても情報部に協力するのは嫌がっていた。クローディアとエステルに叱咤され、次第に感化されていき、救出されてからはは真面目に政務をするようになる。終盤、結社による王都襲撃の際には自ら兵を指揮して女王の楯となり、王族の意地を見せて男を上げた。この際、ブルブランルシオラから「噂ほど放蕩者ではない」と賞される。執行者に挑むフィリップから、自分が倒されたら迷わず逃げるよう言われたにもかかわらず、執行者が立ち去った後はフィリップの隣で気絶している。この位置関係から、最後まで執行者に立ちはだかったことがうかがえる(当初、デュナンは2階から指揮をしていたため、逃げようと思えば逃げられる場所にいた)。
国王の座をチラつかされ情報部に利用されたものの、アリシアのことは尊敬している。
フィリップ・ルナール
登場作:『空』
声:麻生智久
デュナン公爵の教育係にして公爵の執事。公爵のわがままに振りまわされながらもその身を気遣い続ける苦労人。主人とは対照に礼儀正しく、庶民に対しても腰の低い態度を見せる。
かつては「鬼の大隊長」と呼ばれた元王室親衛隊の大隊長であり、5つの神技を操る《剣狐》とも呼ばれるレイピアの達人。老いてもなお実力は健在であり、実際の戦闘シーンはないものの、「SC」においてはグランセル城を襲撃してきた4人の《執行者》を相手に大立ち回りを演じた。数の差で敗北したものの、ヴァルターから「あのジジイ以外、手ごたえのある奴がいなかった」と評されている。
「the 3rd」にて、とある事情から主人公達に立ちはだかる敵として戦いを挑んでくる。秘技「エスメラスハーツ」の演出は普段の穏やかな性格とは想像もつかないほどに派手で、高威力を誇る。
ヒルダ夫人
登場作:『空』
声:大越多佳子
アリシア女王の信任厚いグランセル城の女官長。デュナン公爵の執事フィリップとは幼馴染みの間柄。「FC」でエステル達を女王と引き合わせる仲立ちを行う。

王国軍

掲載順番は階級順。

モルガン
登場作:『空』
声:小原雅人
王国軍のトップに位置する人物で、階級は将軍。「FC」でエレボニアとの国境に位置する要塞ハーケン門の守将として登場する。非常に頑固かつ短気な性格で、怒鳴り声のすさまじさは有名で、怒鳴られた新兵が泣くこともある。また極度の遊撃士嫌いでもある(これは、過去に自身の有能な部下であったカシウス・ブライトが軍を辞め、遊撃士としての道を歩んだことに起因する)。孫には弱い。
軍の機甲化以前は斧槍(ハルバード)を得物とした苛烈な戦いぶりで数多の敵を屠り、《武神》と称された豪傑で、前線に立たなくなった今でも毎年のように「武術大会」に出場している。「the 3rd」にてフィリップ同様、とある事情から主人公達に立ちはだかる敵として戦いを挑んでくる。
カシウス・ブライト
百日戦役時は大佐として反攻作戦を立案・指揮。その後退役して遊撃士となるが、「FC」のクーデーター事件後に准将として軍に復帰。名目上軍のトップはモルガンのままだが、モルガンの意向により多くの権限を持っており、事実上はカシウスが軍のトップとなっている[1]
アラン・リシャール
登場作:「FC」B・「SC」・「the 3rd」P
声:三浦祥朗
34歳(「FC」・「SC」)→35歳(「the 3rd」)。王国軍情報部の責任者を務める大変な切れ者。かつてのカシウスの部下であり、カシウスより剣術の指南を受けた居合いの達人で、アネラスと同じく八葉一刀流の使い手(正確には八葉一刀流・伍の型「残月」に、リシャールが自分に合わせたアレンジを加えたもの)。その居合いから放たれる必殺の斬撃は、刀を鞘に納めるまで敵に斬られたことを気付かせないほど高速で鋭い。《剣聖の後継者》と目されている人物でもある。
カシウスからの信頼度も篤く、彼が百日戦役後に軍を退役したのも「おまえ(リシャール)がいたからこそ安心して辞めることが出来た」と後に語っている。
《結社》の影はあるものの、「FC」の事件全般の黒幕に当たる。アルバ教授を名乗っていたゲオルグ・ワイスマンの記憶操作能力によって《輝く環》の存在だけを記憶に残され、「王宮の地下に至宝が封印されている」という偽りの記憶を植えつけられ利用されてしまう。だが動機自体は愛国心から来るものであり、その思いの強さ故にリベールの将来に不安を覚え、その心の隙を《結社》につかれてクーデター事件を引き起こし、最終的にエステル達によって阻止される。そして自らの手で復活させてしまった《環の守護者》トロイメライと戦いエステルたちを援護するが反撃され窮地に陥る。そこを駆けつけたカシウスによって救われ、叱咤されたことで過ちを受け入れ改心、捕縛された。
「SC」では国事犯として収監されており、未だに自分を崇拝し救い出そうとする余り半ば暴走していたカノーネを説得。情報部の解散を告げ、彼女を縛り付けていたものから解放させた。終盤では軍に復帰したカシウスの計略により《執行者》による王宮襲撃をシード中佐と共に阻止し、その功績として恩赦を受け釈放された。だがそれさえも教授の思惑であり、リシャールというカードを切らせるための謀略であった。
「the 3rd」ではプレイヤーキャラクターのひとりに抜擢。オーブメントの属性は「火」で、Sクラフト「桜花残月」は単体技ではありながら全キャラ中最高の威力を誇る。軍を退役し、カノーネらかつての部下と共に民間の調査会社「R&Aリサーチ」を立ち上げ所長に就任。退役後も多くの者から「大佐」と呼ばれ、その度にもう大佐ではないと釈明している(「碧」にも名前のみだが、ここでも「大佐」と呼ばれている)。
「碧」では名前のみだが、終章のクロスベル市解放作戦前のある人物から、カルバート共和国のアルタイル市に出向いてきていたことが確認できる。
《環の守護者》トロイメライ
「FC」におけるラストボス。グランセル城の地下「封印区画」に封印(実際は放置)されていた巨大な機械人形(オーバーマペット)。リシャールの手によって復活した。凄まじい戦闘能力を有する。だがデザインはエステル曰く「ブサイク」。当初は頭部に砲門が設置されている形態だったが、二戦目には「MODE:完全殲滅<ジェノサイド>」へと移行し、ドラゴンの頭部を模した戦闘形態へ移行。アポストールアルファ&アポストールベータという支援兵器を無尽蔵に生み出すほか、ダメージを与え過ぎると「デスレイジ」という強力な必殺技で反撃を行う。かなりの耐久力を持っておりリシャールの剣を以ってしてもダメージを与えることができず、逆に反撃され窮地に陥る。しかし駆けつけたカシウスの猛攻により半壊し、最期はエステルたちの総攻撃によって今度こそ完全破壊された(場合によってはそのままカシウスが倒してしまう)。
その正体は「SC」において明かされる。古代ゼムリア文明の遺物であり、自我を持った《輝く環》によって生み出された戦闘兵器。製造目的は《輝く環》を封印するために人類が作り出した「封印区画」を破壊するためだったが、先に《輝く環》が封印されたため区画内で機能停止していた。リシャールが封印の一部を解いたことで再起動し、結果として復活してしまった。後に《結社》がトロイメライを基にした兵器を製造し、「SC」終盤においてエステルたちの前に立ち塞がる。
マクシミリアン・シード
登場作:『空』
声:高塚正也(ドラマCD)、石川英郎(空Evo)
レイストン要塞の守備隊長で階級は少佐。既婚者。「FC」ではリシャールたちに家族を人質に取られているため、服従している振りをしながらエステルたちを手助けする。
戦闘ではリシャールに匹敵すると言われ、カシウス仕込みの剣技に加え、高度なアーツも駆使する。遠距離・近距離と距離を選ばない戦い方を得意とする。守備を要とする作戦で特に力を発揮するため、防衛作戦の際に指揮を執っている描写が多い。カノーネからは「ただの昼行灯」と見られていたが、彼女の計画を見越してユリアを派遣。侮ったため計画の破綻を招くことになるなど、カノーネの王城襲撃の阻止に貢献した。
「SC」では中佐に昇進。リシャールが投獄されたことで昇進したも同然のため、カノーネの取調べの際には彼女からそのことを責められて気まずそうにしている。リシャールのことは「さん」付けで呼んでいる。ストーリー終盤にて執行者たちに王都を襲撃された際は、リシャールとともにエステルたちに加勢し執行者たちを退かせる(イベントのみで戦闘にはならない)。
「the 3rd」ではモルガンやフィリップ同様、とある事情から主人公達に敵として立ち塞がる。また「SC」においてもイベントで戦うことになる。
カノーネ・アマルティア
登場作:『空』B
声:甲斐田ゆき
王国軍情報部に所属する27歳の女性士官で、階級は大尉。リシャールに付き従い、彼を盲信している。士官学校では「文のカノーネ」と呼ばれていた通り、知略を得意とする。戦闘では導力銃による状態異常攻撃や、地雷などを用いる後方支援型。その一方で、「SC」では銃とナイフを使った強力な近接用の新必殺技「ダンシングガンナー」を披露する。どんなに距離が離れていても放ってくる上、攻撃後にはまたもとの位置に戻るため「遠距離の間合い」を常に保ついやらしい技。
士官学校の同期であり同じく「武のユリア」と並び称されていたユリアに対して強いライバル心を向けている。しかし互いに相手の気に入らない部分を意識しながらも当人を嫌ってはいなかった。「SC」中盤においてユリアとついに決着をつけることとなる。
「FC」ではクーデター事件の中核に関わっており、エステルたちに倒されるもその後の混乱に乗じて逃亡している。「SC」では収監されているリシャールを救うべく、元情報部の残党を集めて再起を図ったが、エステル達に阻止され、収監された。リシャールを助けられなくなったことで自暴自棄となり、早く殺せとユリアやシードに当り散らす。しかし、カシウスに連れられてきたリシャールによって説得を受け、情報部解散を告げられたことで使命感から解放され泣き崩れる。
「SC」後半では《執行者》による王宮襲撃の際に元情報部を指揮して王都を守り、恩赦を受けるがリシャールを追って軍を退役。リシャールと共に民間の調査会社「R&Aリサーチ」を立ち上げ、秘書として補佐している。
オルグイユ
登場作:「SC」
王国軍情報部が密かに製造していた導力戦車。最新鋭の技術が盛り込まれており、エレボニア帝国の戦車の二倍の火力に値するという。欠点としてはそれだけの兵器を動かすためのエンジンが手に入らないこと。そのため完成の一歩手前で保管されていたが、新型エンジンが手に入ったことでカノーネら情報部の残党によって完成。彼女たちの切り札となり、王城を襲撃して女王アリシアを拉致し、リシャール救出の材料にしようと画策していた。内部にはカノーネが入り込んで操縦する。圧倒的な火力と装甲によって他を寄せ付けない強さを披露するが、ケビンが手にしていたアーティファクトをぶつけられたことで大破。カノーネとの直接対決となり、決着をつけることとなる。
ユリア・シュバルツ
登場作:「FC」・「SC」S・「the 3rd」P・「碧」
声:小松由佳
27歳(「FC」・「SC」)→28歳(「the 3rd」)。王室親衛隊の女中隊長で階級は中尉。レイピアを用いた剣技を得意とする。今の王国親衛隊には大隊長がいないため、実質的な親衛隊長であり、親衛隊所属艦アルセイユ号の指揮を任されている。また、クローディア姫の護衛兼養育係も兼務しており、クローゼがレイピアを使うのもそのため。生真面目な性格で、姫の護衛兼養育係としての職に誇りと愛着を持っている。
士官学校時代にはカシウスから剣を学んでおり、実力は軍の若手で随一とされる。後一歩でシードやリシャールに迫ると評された腕前。また、カノーネとは、士官学校時代からのライバル。互いに反発しあってはいたが、どちらも相手の信念は認め合っていた。「SC」では大尉に昇格し、その後親衛隊大隊長となり名実共に同隊の責任者となる。
Win版「SC」ではスポット加入のみのキャラクターであったが「the 3rd」でプレイヤーキャラクターに昇格。またPSP版の「SC」ではプレイヤーキャラクターに加わった(ただし加入するのは終章のラストダンジョン後半から)。オーブメントの属性は「空」。
凛々しい立ち居振る舞いからか士官学校時代から女性ファンが多く、「the 3rd」ではリベール通信で特集記事が組まれたために、グランセル城に大勢の女性が押し掛ける騒ぎになったエピソードが語られている。
「碧」では准佐に昇進。引き続きアルセイユの艦長とクローディアの護衛を兼任しており、彼女と共にクロスベルにやってくる。
ロランス・ベルガー
情報部特務部隊隊長で階級は少尉。元は傭兵だったが、リシャールによって引き抜かれたという経歴を持つ。その実力は底知れず、リシャールよりも強いとされている。実際は《結社》のエージェントの一人であり、リシャールを監視していた。

各市長とその関係者

クラウス
登場作:『空』
声:増谷康紀
ロレント市長。温厚かつ気さくな性格で市民からも支持されているが、やや警戒心に乏しい一面も持つ。
メイベル
登場作:『空』
声:木戸衣吹
ボース市長。前市長であった父の死後に市長職を継いでいる。商家の出であり、年は若いが並外れた経営手腕を以って商業都市を支えている。特に自らがオーナーを務めているボースマーケットにかける情熱は並ならぬものがある。ただし教会のお祈りはサボる癖があり、シスターやメイドのリラを困らせている。
リラ
登場作:『空』
声:山崎エリイ
メイベル市長のメイド。口数が少なく職務に忠実ではあるが、自らの体調も顧みず仕事に没頭するメイベルを心配している。本名は「レーニ」といい、出身はリベール国外のレマン自治州。百日戦役の頃、親子でボース市を訪れていた折に戦災で両親を亡くし、メイベルの父に引き取られて育つ。
モーリス・ダルモア
登場作:「FC」・「SC」
声:平野正人
ルーアン市長。元貴族の家柄で、代々治めていたルーアンの代表となっている。個人的な借金から1億ミラにも及ぶ莫大な公費を横領し、孤児院への放火事件などを起こして逮捕される。このとき、家宝でもあったアーティファクト「封じの宝杖」も没収されている。「SC」では保釈中の身ではあるが、王都でセピス屋を営んでいる。
ギルバート・スタイン
ジェニス王立学園OBで、ダルモアの秘書。
ノーマン
登場作:『空』
声:山本圭一郎
選挙で選ばれたダルモアの後任市長。ホテルの経営者であり観光業推進派だが、古くからルーアンの経済を担ってきた港湾の産業の重要性にも理解を示している。
マードック
登場作:『空』
声:幸野善之
ツァイス中央工房の工房長で、ツァイス市長としての役割も担っている。仕事だけでも多忙な上にラッセル父娘のトラブルの対応などもあり、心労が絶えない。

ラッセル家

ティータ・ラッセル
声:今野宏美
登場作:『空』P
12歳(「FC」・「SC」)→13歳(「the 3rd」)。世界的に有名な導力学者アルバート・ラッセル博士の孫娘であり、ツァイス中央工房の見習い技師。健気な性格で、周囲の誰からも可愛がられている。両親は技術者で、国外へのオーブメント技術指導のためにほとんど家にはいない。博士の影響か、機械をいじり始めると周囲が見えなくなるほど没頭してしまうこともしばしば。親交を深めてからは、エステルヨシュアを「お姉ちゃん」「お兄ちゃん」と呼び、兄姉のように慕っている。また、アガットの不器用な優しさを身を持って知り、彼を「大切な人」と呼び好意を寄せている。そのことを知った母エリカが娘かわいさにアガットを目の敵にするが、当のティータ本人は原因が自分であることと判らず戸惑っている。大型の導力砲とラッセル博士秘蔵の火薬式ガトリング銃を操る。
「FC」と「SC」当初はHPなどを初めとする各ステータスの低さからパーティー中最弱キャラクターという扱いだったが、通常攻撃が範囲攻撃という特異性を持っているため、オーブメントに「即死」や「石化」等の状態異常系のクォーツをはめ込むことでその戦闘能力は飛躍的に上昇する。「SC」では専用の強力な防具、更には追加のSクラフトを獲得し、戦力としても使用に耐えるキャラクターに育っていった。さらに「the 3rd」では「オーバルギア」というクラフトを獲得し、それを駆使した場合は直接攻撃/防御がキャラクター中最強クラスとなる。オーブメントの属性は「空」。
アルバート・ラッセル
声:青野武(ドラマCD)、龍田直樹(OVA、空Evo)
登場作:『空』
68歳。ティータの祖父で、導力器を発明したエプスタイン博士の直弟子の1人。中央工房の設立者であり初代工場長。導力器の普及はリベールに中央工房(当初は技術工房)を設立したラッセルの功績による部分が大きく、「導力革命の父」と呼ばれる偉人。現在においても新型導力器発明の第一人者であり、さまざまな製品を世に送り出している。研究のためには周囲を顧みない悪癖を持っており、マードックの胃痛の元となっている。
ただしティータにとってはただの優しいお爺ちゃん。
エリカ・ラッセル
声:雪野五月
登場作:「the 3rd」
33歳。ティータの母親で、アルバートの娘。基礎理論こそ父親に譲るものの、他の追随を許さぬ応用性をもって、演算オーブメント《カペル》やアルセイユの基盤を作り上げた才女。しかし父親以上に強引かつパワフルな性格で、たびたび周囲を振り回す。《輝く環》事件の後にリベールに帰国。《身喰らう蛇》の暗躍を知り、「オーバルギア」の開発や浮遊都市の残骸のサルベージなどを行う。可愛い物好きのようで、ユリアリース、果ては娘のティータにすら尋常ならぬ執着を見せる。特にティータに対しては執着心が強く、「娘に近寄る悪い虫」としてアガットを目の敵にしており、自宅に通じる道筋にさまざまなトラップを仕掛けてアガットを追い返そうとする。
ダン・ラッセル
声:草尾毅
登場作:「the 3rd」
36歳。ティータの父親で、温和で物静かな性格。「SC」までは妻と共にエンジニアとしてリベール国外へオーブメントの技術指導に出向いていた。10年ほど前までは棒術を得意とした凄腕の遊撃士だったが、怪我を理由に一線を退き技師に転向。過去には剣を捨てたカシウスに棒術の基礎を教授したこともあり、「the 3rd」エピソード内ではその腕前が見られる場面もある。
アガットについては妻エリカほど極端ではないが、彼の影響を娘のティータが受けていることには将来の不安を覚えている。

リベール通信社

社名を冠したニュース雑誌『リベール通信』などを発行している出版社。本社は王都グランセル。

ナイアル・バーンズ
登場作:『空』
声:藤原啓治
29歳(「FC」・「SC」)→30歳(「the 3rd」)。リベール通信社の男性記者。特ダネを求めて、いつも全国を飛び回っている。ドロシーとコンビを組まされたことに対して、よくグチをこぼしているが2人で取材した記事(主にエステルヨシュアが関わっていることが多い)はよく売れている。ただし、ゴシップ関係の取材だけは全くダメで、ことごとく失敗している。ドロシーが壊した時計の修理費を自腹でだすなど面倒見はいい。軍の知り合いに部外秘の書類を持ってきてもらうなど、記者だけあって顔は結構利く様子。「ペンが剣に屈するのを見てられるか」と危険承知でエステル達に情報を提供するなど、ジャーナリスト精神に富んでいる。ヘビースモーカーだが、酒には弱い。
「碧」では「リベールの異変」の報道が評価され、ドロシーと共に「フューリッツァ賞」(ジャーナリストに与えられる最高位の称号)を受賞したことが語られている。
ドロシー・ハイアット
登場作:『空』
声:新井里美
20歳。リベール通信社の女性新米カメラマン。天然ボケな性格が災いして、ことあるごとに失敗を繰り返す。魔物に絡まれることもしばしば。ただしオーバルカメラの扱いは天才的で、その撮影の腕はナイアルを唸らせるほど。建物を撮影するときも相手が人であるかのように話しかけながら写真を撮る。本人曰く、「表情が見える」とのこと。フルーツ牛乳が大好物。
「the 3rd」では、若き日のシェラザードがグランセルで正遊撃士を目指しているサイド・ストーリーでナイアルとの出会いが描かれている。
「碧」ではナイアルと共にフューリッツァ賞を受賞したことが語られる。

ジェニス王立学園

クローゼ・リンツ
クローディア姫が王立学園に在籍にあたり、身分を隠すために使用した偽名。
ジル・リードナー
登場作:『空』
声:広橋涼
「FC」の時点での生徒会長で、クローゼのルームメイト。成績優秀にして明るくさばけた性格の持ち主だが、悪乗りしやすく軽口が過ぎる傾向がある。クローゼの事情を知っている。
ハンス
登場作:『空』
声:私市淳
「FC」の時点での生徒会副会長。「FC」でエステル、ヨシュアが学園祭の手伝いのため滞在したときは、ヨシュアのルームメイトにもなる。人当たりがよくヨシュアともすぐ打ち解けた仲になり、「SC」でヨシュアが失踪した後もその態度は変わらなかった。「the 3rd」ではルーシーに憧れていたことが判明する。クローゼの事情を知っている。
レクター・アランドール
クローゼが学園に通い始めた当時の生徒会長。
ルーシー・セイランド
登場作:「the 3rd」
声:古川愛李
レクターと同学年で彼が生徒会長を務めていたときの生徒会副会長。レミフェリア公国からの留学生。同級生や後輩達から憧れの目で見られているような美人だが、性格は攻撃的で、サボリぐせのあるレクターを容赦なく殴り倒して生徒会や勉学の場に連れ戻していた。レクターが退学届けを出して姿を消した時「レクターらしい」と苦笑しながら泣きそうな顔をしていた。
「碧」でのクローゼとレクターの会話の中で、偶然レミフェリア公国でレクターと再会したことが語られている。聖ウルスラ医科大学に新たに赴任したセイランド教授は叔母にあたる[2]
レオ・E・ローレンツ
登場作:「the 3rd」
声:岡本寛志
レクターと同学年で彼が生徒会長を務めていた時の生徒会書記(会計を兼務)。だらしないレクターに代わって実質上生徒会を取り仕切っており、生徒の中でも彼が会長だと思っていた者もいたほど。言葉は鋭く端的だが、冗談も真顔で言うのでわかりづらいと評されている。だが、レクターが退学届けを出して姿を消したときには、冷静な彼からは信じられないくらいの怒鳴り声を上げている。
コリンズ
登場作:『空』
声:麻生智久
王立学園の学園長を務めるリベールきっての賢人であり、市長達と共に王国会議のメンバーとしての職責を担う。また市長不在時にはルーアン地方の代表も務める。王立学園内でクローゼの事情を知っている数少ない人物の1人。

マーシア孤児院

現在の院長テレサとその亡夫ジョセフによって開設されたルーアン地方にある孤児院

テレサ
登場作:『空』
声:柿沼紫乃
マーシア孤児院の院長で、優しさと包容力を持った女性。幼少時のクローゼを一時期保護していた。「FC」で発生した放火事件を乗り越え、建物を再建して引き続き孤児達の面倒を看ている。
クラム
登場作:『空』
声:安西英美
マーシア孤児院にいる少年。イタズラ好きで反抗期らしい性格だが、放火事件の際には単身レイヴンの溜まり場に乗り込む正義漢ぶりを発揮する。テレサ院長に泣かれると弱い。
マリィ
登場作:『空』
声:藤本有美(ドラマCD)、照井春佳(空Evo)
マーシア孤児院にいる少女。しっかりした性格で、孤児達の中ではリーダー的存在。「the 3rd」ではあるエピソードで主役として活躍する。
ポーリィ
登場作:『空』
声:松下唯(ドラマCD)、三上枝織(空Evo)
マーシア孤児院にいる少女。言動はゆっくりしているが独特のカンを有しており、「FC」の学園祭や「SC」の幽霊騒動では執行者を目撃する。
ダニエル
登場作:『空』
声:河本啓佑(ドラマCD)、日比愛子(空Evo)
マーシア孤児院にいる少年。やや気が弱くおっとりしている。クラムの子分的な存在。

レイヴン

港湾都市ルーアンの倉庫外を溜まり場にする不良集団。名称は「ワタリガラス」の意。「the 3rd」では、3人ともある特定のイベントで、一時的にプレイヤーキャラクターとして操作をすることになる。

ロッコ
登場作:『空』
声:赤羽根健治
レイヴン幹部の1人で、実質的なリーダー格。短気でキレやすい性格の持ち主で「ニトロッコ」という異名を持つ。「FC」で初登場したときはただのチンピラだったが、孤児院の放火を発端とする一連の事件に巻き込まれたことで己の無力さを痛感したことや、エステルに「遊撃士になってはどうか?」と勧められたことから成長を見せ、「SC」終盤で導力停止現象が起きたときは率先して街の力になるまでに至る。「the 3rd」ではディン、レイスとともに遊撃士を目指す姿が描かれており、3人の中では一番戦闘能力が高い。
ディン
登場作:『空』
声:松本大督
レイヴン幹部の1人。緑色の髪をしており「地獄のほうれん草」という異名を持つ。ルーアンの北街区にあるカジノバーのマスター・プレミオとは兄弟。元リーダーであるアガットからは「洞察力はあるが臆病」と評されている。
レイス
登場作:『空』
声:阿座上洋平
レイヴン幹部の1人。見た目も乗りも軽い性格。エステルのことを気に入ったのか「SC」以降はちゃん付けで呼んでいる。アガットからは「直感に優れているが行動が軽率」と、ディンとは対照的な評価をされている。

その他リベールの住人

グスタフ
登場作:『空』
声:平井啓二
工房都市ツァイスにて、飛行船の整備をしている技師長。職人気質で仕事には厳しいが人当たりがよく、エステル達に色々と手を貸す。ツァイスのためなら軍人も帝国も怖くない、といった強気な性格。
マオ
登場作:『空』
声:中友子
エルモ村で温泉宿を経営する肝っ玉婆さん。皆からは「マオ婆さん」と呼ばれている。若い頃にカルバード共和国からやってきた。ティータのお婆ちゃん的存在でもあり、孫のように思っている。ラッセル博士の昔馴染み。
ミーシャ・クロスナー
登場作:『空』
アガットの妹。百日戦役で被害にあったラヴェンヌ村の6人の戦没者のうちの1人。兄の誕生日にプレゼントするはずだったアクセサリーを家に取りに戻り、爆弾で負傷し死亡。12歳没。
レグナート
登場作:「SC」B
声:平井啓二
1200年前のゼムリア文明崩壊より生き続ける竜。眠りについていたところを、ワイスマンにより《ゴスペル》の実験台にされ操られる。20年前に眠りに就く直前に、当時剣の道を極めんとしていたカシウスに戦いを挑まれたことがあり、彼とはその頃からの「友人」である。「the 3rd」では幼体のような姿をした「ちびレグナート」が登場する。
彼とカシウスによって、「FC」「SC」で起きた事件を受け、各地で新たに世界を揺れ動かす事態が起こることが予見されており、そして同時にそれに立ち向かう新たな者達が現れるであろうことも示唆される。
「碧」でツァイトの話から、《七の至宝》の行く末を見守ることを使命とする女神が遣わした聖獣のような存在の1体であることが明らかとなる。「SC」にて監視対象であった《空の至宝》がなくなり(実際にはカンパネルラによって回収され《身喰らう蛇》の盟主に献上された)、使命から解放された後は行方知れずとなっているらしい。
ハーバート・フィッシャー
登場作:『空』・「碧」
王都グランセルに本部を構える釣公師団の代表者。元は貴族の出で、通称《釣り男爵》。名前の通りの釣り好きで、それが高じて愛好者たちの交流の場として釣公師団を立ち上げるに至った。
「零」ではその名を冠した釣り大会がクロスベルで行われ、「碧」では《釣皇倶楽部》に対する「最終兵器」としてクロスベルを訪れる。
ロイド
登場作:『空』・「零」
リベール王国の釣公師団に所属する特級釣師。エステルと釣り勝負を行ったことがある。「零」では同じ名前のロイド・バニングスに釣りのコツを教えた。
アントン&リックス
登場作:『空』・「零」・『閃』
声:アントン - 菅沼久義(零EvoドラマCD)
「FC」から登場している2人組の青年モブキャラクター。アントンは「SC」でアイナに飲み比べ勝負を挑んで逆に酔いつぶされ、「零」では新しい出会いを求めてクロスベルを訪れている。しかし、異性に消極的な態度のために出会いはなく、仕方なしに路上ポエマー(正しくは「ポエット(poet)」)と名乗り、街角でポエムを披露するが、内容がシュール過ぎたため誰にも相手にされなかった。リックスはアントンの友人で、彼の失敗を生暖かく眺めている。
『閃』ではエレボニア帝国の各地に登場する他、会話時にCGイメージが表示され、モブキャラクターの中でも少し上の扱いを受けている。しかし、帝国の内戦が始まった時にリックスは帝都に赴いており、戦闘に巻き込まれて行方不明となってしまう。また、再会できたのもつかの間リックスが記憶喪失になってしまっていたという災難に見舞われる。
アルム&エアリー
登場作:『空』・「碧」
「FC」ではリベール各地を旅行しているモブキャラクターのカップル。「SC」で結婚して一子を授かる。「碧」ではアルムの父親に会うためにクロスベルを訪れる。他人との会話中でも自分たちの世界に入ってしまうほどの熱々ぶり。

クロスベル自治州

大陸西部に位置し、西のエレボニアと東のカルバードに挟まれている。『VII』の舞台。

クロスベル警察

特務支援課

「零」「碧」における主人公たち。

ロイド・バニングス
登場作:『VII』P・「閃II」S→P
声:柿原徹也
『VII』の主人公。18歳。武器はトンファー。警察学校で学んだ制圧用の逮捕術を用いる。
クロスベル警察の特務支援課に所属する捜査官。殉職した兄ガイの意思を継いで捜査官になった。まじめな常識人で不正や暴力に敢然と立ち向かう熱血さを持つ。物心がつく前に飛行船の墜落で両親を失い、更には15歳の時に兄を失った過去がある。
メンバーの中で捜査官の資格があるのは彼だけだったため、暫定的なリーダーとなるが、物語の中で不可解な事件の多くを地道な捜査と推理力により解決、仲間に素直な本心をぶつけて得た信頼、そして兄から受け継いだ困難に直面しても諦めない心を発揮することにより、名実ともにリーダーとなっていく。状況によってはライバルや敵対者であろうと協力を求める姿勢は時に仲間を呆れさせることもある。武術に関しては最初は「優秀な新人」の域を越えるものではなく、しばし助けられる機会があったが、密度の高い日々によりその才を開花させていく。
当初から兄の影を追いつつも優れた兄の存在にコンプレックスを抱いていたが、「零」の中盤でキーアを助け出し、引き取ってから過ごす内に何のために自分は捜査官になったのかの自覚を持ち始める。また「碧」の終盤ではアリオスの裏切りとクロイス家の悪事が露見し、刃向かった末に敗北。ノエルは少尉として敵側に下り、他の仲間たちは別々に監禁され、ロイド自身も拘置所に閉じ込められてしまった。しかしそこで居合わせたガルシアからガイの本質である「絶対に諦めない」ことを語られることにより、絶望的な状況を前にして自分に何ができるのかを見出した。その結果、強大な敵や理不尽な因果にも屈することなく、仲間と共に突き進む決心をすることとなる。
年上の女性に好かれるタイプらしく、セシルイリアに立て続けに抱擁されるなどしたために、他の3人からやっかみと嫉妬の視線を向けられたこともある。ティオには呆れ顔で「想像以上に甘々」と言われ、ランディからは「弟貴族」「弟ブルジョワジー」などと責められた。エリィは「天然というか、すごく女たらしなところがある」と評している。引き籠っているヨナに対して「引き籠ってないでデートでもしてきたらどうだ」という言葉が自然に出たため、「弟系草食男子を装った喰いまくりのリア充野郎」と罵られる。さらに将来の結婚相手を占ってもらうと「候補となる女性が複数存在して、一人に絞り込めない」と言われてしまい、セシルも呆れていた。恋愛に関しては、かつて兄の鈍さに嘆息したこともあるが、自分が同じように鈍いことに自覚がないようであり、周りをやきもきさせることも。
「碧」の終盤において「零の世界」でガイと再会を果たし、桁違いに成長した自分への労いと激励の言葉を受ける。ガイの存命中にはロイドの一人称は「僕」であり、ガイのことも「兄貴」ではなく、「兄ちゃん」と呼んでいた[注 1]
「閃II」では、帝国軍のクロスベル占領に抵抗するレジスタンス活動を展開。ツァオからの依頼であるジオフロント内部にある導力ネット端末のデータのバックアップと初期化をリーシャと共に遂行するが、その中でリィンアルティナの襲撃を受けて対峙する。結果として端末自体の初期化の時間稼ぎには成功したものの、直後にリィンの駆るヴァリマールに端末を破壊されてしまう。それでもバックアップしたデータの回収は成功し、結果として双方痛み分けに終わる。一方で、リィンに対しては敵意を向けながらもその腕前を評しており、去り際には自己紹介も兼ねて彼の名前を尋ねた。
「閃II」では、リーシャと同じく、外伝のみでしか操作できなかったものの、2014年11月28日配信の修正パッチ1.03でリーシャ同様、後日譚におけるラストダンジョンで参戦するプレイヤーキャラクターに、ラストダンジョンでしか効果がない特定のアクセサリを装備することにより、正式にプレイヤーキャラクターとなった。
『空』主人公のエステルと同様にオーブメントの属性制約はなく、ラインの本数も同じ。武器の性質上、通常攻撃のリーチは短いが、直線攻撃のクラフトやクオーツで移動力を上げるなど、ある程度フォロー可能。
Sクラフト「タイガーチャージ」は、『イースvs空の軌跡』でもEXスキルとして搭載された。最終Sクラフト「メテオブレイカー」は、遊撃士リンの教えを受けてかエステル同様「回転」を用いた攻撃となっている。「閃II」では「ライジングサンII」に差し替えられている。
エリィ・マクダエル
登場作:『VII』P
声:遠藤綾
18歳。武器は導力銃。
クロスベル自治州のマクダエル市長の孫娘。元々政治家を志望していたが、留学を終えて帰郷した後、とある理由で警察官を志すことになった。警察学校の出ではないが、採用試験においては筆記と射撃で満点を獲得し警察入りを果たす。留学の際に学んだ政治や国際情勢の知識は豊富。才色兼備のしっかり者。支援課の周囲にグラマーな女性が多いため物語が進むにつれて目立たなくなるがシャーリィから「おっきい」と言われるバストの持ち主でもある。普段は温厚で包容力があり、子どもとすぐに打ち解けられる人当たりのいい性格だが、怒ると非常に怖く、怒鳴るよりも笑顔で怒るタイプで主にランディの悪ふざけに対してそういった面がみられる。一方で幽霊が大の苦手で、幽霊やお化けに似た魔獣に悲鳴を上げることもある。
ロイドとは違った形ながらも、芯の通った強い意志を持ち、交渉術や豊富な知識を使ってメンバーの力となる特務支援課の参謀役。市長の孫娘ということもあり、多方面の権力者と面識がある。
IBC総裁の娘であるマリアベルとは幼馴染。マリアベルもエリィを大変気に入っており、セクハラ紛いのスキンシップにメンバーが引いてしまう場面も。
幼い頃、議員であった父がクロスベルの政治改革に乗り出したが、政争に敗れ失意のうちに両親は離婚、家族は離散してしまった。いずれ父の志を継ぐ心づもりであるが、警察官となった彼女が否応なく目にするクロスベルの暗部は、責任感の強い彼女の両肩に重荷となってのしかかる。一時は周囲から警察を辞めるのではないかと心配されるほど落ち込むこともあったが、ロイドの前向きな正義感が光明となる。
以後はロイドのことは同僚として尊敬するのみならず異性として意識することがあり、彼が他の女性と親しげにしているのは内心面白くないようである。ジト目を向けてロイドを困らせたり、幼少の頃に知り合っていればもっと距離が縮まっていたのではないかと述べている(出会いはしなかったが同じ時期に日曜学校へ通っていたため)。
後にディーターとマリアベルの悪事を知り心が折れかけるが、それでも仲間の支えによって屈すことなく「尊敬する人間」と「親友」を止めるために戦うことを決意する。
「碧」では(プレイヤー次第になるが)終盤に起こせる絆イベントで、晴れてロイドと恋人同士になることもできる(ちなみに、公式の展開ではっきりと恋愛関係に発展するのはエリィのみである)。終盤のイベントでは自分の気持ちに気づいているであろうロイドに告白して欲しい旨を告げ、きっぱりと好きと告白される。その際に「本当の意味で綺麗な女性だと思ったから、いいところを見せようとして背伸びをしていた」ことをロイドから打ち明けられた。
オーブメントの属性は「風」でラインのタイプや行動順を早くするクラフトなど、シェラザードと類似しているように見えるが、仲間のHPとCPを回復させるクラフトも習得している。
Sクラフト「オーラレイン」は、『イースvs空の軌跡』でもサポートスキルとして搭載された。
ティオ・プラトー
登場作:『VII』P
声:水橋かおり
エプスタイン財団から出向してきた少女。14歳。武器は魔導杖(オーバルスタッフ)。常に感情に希薄で敬語で話す。
新型の魔導器「魔導杖」のテストのために特務支援課にやってきた。外界の事象に関して人間の数倍の感応力を持ち、人の気付かない音や導力波の流れ、属性の気配、人の感情や心の揺らぎを感じ取れる。ツァイトとも心を通わせている。冷静で素っ気無い態度を取ることが多く、ツッコミも手厳しいが、特に人嫌いというわけではない。言動から特務支援課のメンバーのことはとても大切に思っていることがうかがえる。キーアのことも「出かける前になでなでさせて下さい」と言うほどに気に入っている。
自らを評して「物にはあまり執着する性質ではない」と言っているが、マスコットの「みっしぃ」に限っては完全に例外。自室のインテリアやオーブメントのストラップ、果てはパジャマやスリッパ、下着までもみっしぃで統一されており、みっしぃのぬいぐるみを得るためには博打をも辞さず、創立記念祭にあったみっしぃのイベントを見逃したときはショックを受けていた。「碧」では「カゲマル」という黒猫のマスコットも気に入っていることが判明し、みっしぃとカゲマルのどちらが好きなのか、彼女なりに悩んでいるようである。
魔導杖の機能を応用した超高速演算を得意としており、その技術を使ってヨナの居場所を特定した。趣味はTVゲームで、休暇の日は落ちゲーのネット対戦でヨナを一方的に打ち負かしている。
レミフェリア公国出身で、5歳の時に《D∴G教団》に誘拐され、教団が管理するロッジで人体実験の被験者となっていた。9歳の時にガイによって救出されて半年間の入院生活の後に彼に送られて実家に戻るが、教団の実験により向上した知能や知覚などで家族や周囲の人々との間に軋轢が生じ、11歳のときに家出。ガイを頼ってクロスベルを訪れるが、すでに彼は殉職したあとであった。行くあてもなく途方に暮れていたところ、エプスタイン財団の者と知り合い、常人を遥かに上回る感応力を見込まれてスカウトされ、財団に身を置くこととなった。みっしいのストラップは実家に戻る時にガイから渡されたもので、彼女のお守りとなっている。
ロイドがガイの弟であることは知っており、それゆえ気になる存在だったのか、割と序盤からロイドの女性問題に対して白い目を向けている(見方によってはヤキモチにも見える)。
彼女が特務支援課に身を置いた理由について、セルゲイは「ガイの意志が残る場所にいたかった」と述べている。
「零」のラストバトル直前、ヨアヒムとの会話では教団の悪事と彼の本性を目の当たりにし、敬語も忘れて「貴方だけには絶対に負けない」と怒りを見せている。
「碧」の終盤の絆イベントでは封鎖されたクロスベルの現状を心配して両親から手紙が送られてきたことをロイドに話す。今まで何のために生きているのかわからないと考えていた彼女だが、事件が一段落したらロイドを両親に合わせて「大切な人の側で生きたいからクロスベルから離れない」ことを説明したいと述べ、互いに思いを通わせて抱きしめあった。
オーブメントの属性は「水」でラインは1本なので、クローゼに近いが属性制限のスロット数は2つとなっている(「零」の場合。「碧」では1つ)。基本的にアーツ特化のサポートタイプ。『VII』のキャラクターで唯一のライン一直線。クラフトは回復・補助が多く、攻撃スキルは通常攻撃含めてほとんどアーツ属性となっているため、物理攻撃を反射する魔獣の影響を受けない。
ランディ・オルランド
登場作:『VII』P
声:三木眞一郎
元警備隊員の青年。21歳。武器はスタンハルバード。
警備隊をクビになりかけたところをソーニャがセルゲイに紹介し、特務支援課に配属された。当初は女性関係のトラブルが原因と述べていたが、クビの本当の理由はライフルを使うことを拒んだため(警備隊ではライフルとスタンハルバードの両方使用が必須)。警備隊のメンバーの態度を見る限り、かなり友好的な人物が多い。ノエルが言うには女性関係の浮いた話は特になかったとのこと。
普段は軟派で楽天家な言動も多く一見適当な、だらしのない人物のように思われるが、一方で特務支援課の仕事に関しては誠実であり、時には年長者としてメンバーのフォローを的確に行うこともできる頼れる大人の男性である。ロイドとは軽口を言い合いながらも互いを信頼し合う相棒のような関係で、また兄貴分として彼の成長を見守っている。元の職業柄か、長時間の徒歩をものともしないスタミナを持ち、魔獣に関する知識も豊富。好みの女性はセシルらしく、彼女と親しくなるために「ロイドと付き合っても構わない」と冗談めいたことをさらっと言いのけるが、そのことに関しては当然ロイドは非常に嫌がっている。ナンパ関係のネタでティオに突っ込まれたり、エリィに怖い笑顔を向けられたりと支援課のムードメーカでもある。しかし実力は非常に高くまた気遣いもできるので次第に兄貴分として頼りにされていく。ロイドとのイベントでは「兄貴(ガイ)に似ている」「いつかランディを越える」など打ち明けられ、ロイドを弟分として意識し始める。
エリィのことを「お嬢」、ティオのことを「ティオすけ」、キーアを「キー坊」、シュリを「シュリぞう」と独特の符丁で呼んでいる。
本名は「ランドルフ・オルランド」。大陸西部最強の猟兵団のひとつ、《赤い星座》の団長の息子で、《闘神の息子》《赤い死神》と呼ばれて4歳の頃から父と叔父に戦闘の技術を仕込まれ、9歳の時に初実戦、その後も子供の身でありながら大部隊を率いて先陣を切っていた。また《西風の旅団》の大部隊を殲滅するために、以前から補給に立ち寄っていた村を囮に使い、誤って親友を死なせたことがある(村に迷惑をかけるつもりはなく、親友が死んだのも仕掛けた爆弾の位置が指定の場所ではなかったため)。親友の夢であった「いつか自分の店を持ちたい」というのを奪い、ランディは次期団長と叔父に認められる結果になってしまった。そのことも含め当時の自分に対し並々ならぬ憎しみとトラウマを抱いている。19歳の頃に部隊から逃げだし、クロスベルへと流れカジノに入り浸っていたという。特務支援課の仲間やロイド達と親交を深めているうちに、過去にさまざまな人間を手にかけた自分を「頼りになる兄貴分」として見ている仲間達の視線に耐えかね、「碧」の終盤では1人先走り《赤い星座》とのけじめを付けるために戦場に戻り、本来の力を引き出して猟兵たちを蹴散らすも、ブランクがたたりシャーリィに追いつめられ、《テスタロッサ》の威力によって猟兵時代に使っていたブレードライフル《ベルゼルガー》を壊されてしまう。直後駆けつけたロイド達と協力してからくもシャーリィを撃退、自分を追いかけるという指示を出して支援課のメンバーを危険にさらしたロイドに対して怒りを爆発させるが逆に胸倉を掴まれて叱咤されてしまう。そしてランディは、自分がいかに醜い人間かということ、そして今でも昔の自分が許せないことをロイド達に吐露する。それを聞いたロイドから逆に励まされ、真に特務支援課のメンバーとなる。
終盤で離脱から再加入する際は修理した《ベルゼルガー》を手にしており、先の戦いのように動力部が壊れることを警戒しここぞという時にしか使わないようにした。また、ダグラス直伝のスタンハルバードを腐らせたくないという理由もある。迷いを振り切ってからはガレスから成長を認められ、そしてザックスからは猟兵時代よりも強くなっていると評価される。最終的に叔父シグムントを乗り越えることでけじめをつけ、「仲間たちと共に修羅であった自分と決別する」ことを誓い、人間を超えた強さを誇る叔父を打ち破る。
猟兵時代はブレードライフル《ベルゼルガー》を得物としており、先述の警備隊でのライフル使用拒否はこの時の自分への嫌悪感から来るものと思われる。Sクラフト「デススコルピオン」や、ブレードライフルを振り回して敵を滅多切りにする「ベルゼルガー」では日頃見せる陽気な面とは大きく異なる、猟兵としての片鱗を見ることができる。
また、同じく猟兵団上がりであるガルシアとは、本編中でライバル的な関係となっており、敵同士ながらもお互いを認め合うような場面も見受けられる。
「碧」の終盤の絆イベントでは、上述のように自分の過去の行いをロイドに打ち明ける。そして過去の自分にけじめをつけるべく、叔父を越えることを誓った。
オーブメントの属性は「火」。ラインの本数が多いためアーツの扱いは苦手だが、前衛向きのパラメータが非常に高く、またHPを削ってCPを増やす「ウォークライ」をはじめ非常に優秀なクラフトがそろっており、直接攻撃を用いて大いに活躍することができる。4人で唯一、クラフト習得時のボイスにパターンが用意されている。
セルゲイ・ロウ
登場作:『VII』
声:石塚運昇
特務支援課の課長で、ロイド達の上司。38歳。
優秀な捜査官だが、アクが強すぎるので上層部から煙たがられており、左遷同然に特務支援課の課長職に就かされた。基本的に放任主義(と言うより、不真面目)で、ロイド達にも最低限の助言しか与えないが、「零」終盤では熱い性格であることが分かり、ランディからは「隠れ熱血オヤジ」と言われる。イベントではショットガンを使用して敵と交戦する。ダドリーと共に警備隊の面々を蹴散らしたり、「碧」の終盤でもロイドたちの援護に回って戦い抜くなどなかなかの力量がうかがえる。
ロイドの兄ガイと警察官時代のアリオスの上司だったこともあり、その当時は3人だけで捜査一課以上の実績を上げていた。ダドリーも「セルゲイさん」「伝説の班長」と呼んでおり、頭が上がらない他、現場捜査官だった頃はさまざまな手段を用いて事件を解決したことから「搦め手からめてのセルゲイ」と呼ばれていた。また、《教団》殲滅作戦ではガイとアリオスと共に捜査一課に代わって参加しカルバード共和国最東端のアルタイル市郊外にあるロッジ制圧を担当した。アリオスが警察を辞めてチームが解散すると、警察学校に異動した。警察学校では車両運転の教官も兼任していた。
キーア
登場作:『VII』
声:釘宮理恵
黒の競売会シュバルツ・オークション」にてロイドたちに保護された、記憶喪失の少女。推定年齢9歳。
人懐っこく、天真爛漫な性格であっという間にロイド達に懐き、ロイド達も彼女に並々ならない愛情を注ぎ、支援課の精神的支柱となっている。どこか遠慮しがちなシズクもキーアと打ち解けて友達になったほどだが、率直過ぎる言動は時折ロイドたちの肝を冷やす。「碧」のあるイベントでは、ペンギンの着ぐるみを身に付けた姿(通称キーアペンギン)のかわいらしさに女性陣が暴走する騒ぎになる。料理をやらせたら、何か目覚めたかのように上手に作っている。
《D∴G教団》の幹部司祭ヨアヒムから御子と崇められているが、「零」の本編終了段階では詳細は不明であった。オークション会場にいた理由はレンですら、推測できなかった。ヨアヒムが言うには、「《太陽の砦》最深部の球体で500年以上眠り続けていた」らしく、実年齢は500歳以上と思われる。「ワタシヲミツケテ…」と何度も呟くが、なぜロイドにしか聞こえていなかったのかは不明。
その正体は1200年前に存在した錬金術師(クロイス家の祖先)たちによって生み出された《人造生命(ホムンクルス)》。錬金術師たちは女神によって《七の至宝セプト・テリオン》のひとつである「幻の至宝デミウルゴス」を与えられた。そして彼等は、人々を導くための存在として幻の至宝に高度な人格を形成する。しかし人を導くということはそれ自体が人という存在に近くもあり、人に近い故に重圧に耐え切れず、精神が壊れて暴走する前に自壊してしまった。これによって1200年前に幻の至宝は失われてしまい、当時の錬金術師たちは自壊の理由も考えず、取り付かれたように至宝の再現に取り組んだ。そして500年前に《核》となる人造生命を生み出し、《グノーシス》を投与して行われた儀式の被害者たちの情報を《核》に送信。そうしてより高度な人格が形成され、現代にてキーアが誕生したのであった。教団が行った儀式とは文字通りキーアを目覚めさせるためのものであり、グノーシスという秘薬はキーアの精神と被験者の精神を繋げるための鎖であった。
プレロマ草は幻の至宝の端末のようなものであり、七耀脈を通じて咲き乱れ、付近にあるものの存在を感知することができる。ただし「歪んだ場」を形成するため幻獣なるものが出現してしまう。
また周囲からの好意はキーアの能力が無意識に発動したもの。魔獣やヨアヒムでさえも懐柔する力だが、偽りの生命と記憶、更には向けられる好意まで偽りであることはキーアの重みとなっている。
マリアベルによってキーアは導かれ、ミシュラムワンダーランドの鏡の城の最上階にて覚醒を果たす。クロイス家が張り巡らせた魔導科学による「式」である導力ネットとアーティファクトである「大鐘」により、変換した七耀脈のエネルギーをキーアに注入し、幻の至宝を超えた「ゼロの至宝」として生まれ変わる。
因果律を操作して過去未来の出来事を書き換える能力を持つ(最初の幻の至宝もこれによって自壊した)。このことから「零」の序盤でロイドが見た夢がただの夢ではなく、暴走したヨアヒムに殺されたロイドたちを助けるためにキーアによって取り消された歴史であったことが判明する。また、アリオスとマリアベルの手で《太陽の砦》の地下からいち早く開放され、オークション会場に運ばれていた。理由としては「特異な状況下で目覚めさせることで潜在能力を判定する」ため。しかしロイドたちと出会ったことで目覚めたことはマリアベルの計算外であり、あのまま問題なくオークションで姿を見せた場合、マリアベルが保護という名目で引き取るつもりだったという。
《零の至宝》に目覚めて以降は、髪の毛がティオやヨアヒムと同じ水色に変貌し、若干大人びた容姿となり声にもエコーがかかっている。
理不尽な今の世界を創りかえるため《零の至宝》としての力を行使しようとするが、ロイドの説得により考え直す。しかしマリアベルによって「周囲から向けられる好意は、能力によるもの」であることをロイドたちにばらされ、最も知られたくないことを知られたことで暴走状態となってしまう。その結果として《碧のデミウルゴス》(後述)を生み出すが、これを打ち破ったロイドによって暴走した精神は救われ、《零の至宝》としての能力は消失し、元の姿に戻り普通の女の子として生きられるようになる。
「零」でのスポット加入は第3章終盤、インターミッション、最終章中盤で、いずれもサポートキャラ。効果は「相手の攻撃力を下げる」「パーティ(または単独)の攻撃力と速度を上げる」「ツァイト召喚(全体攻撃)」。
インターミッションで料理や釣りをすると、彼女のエールを聞くことが出来る。
碧(あお)のデミウルゴス
「碧」におけるラストボス。マリアベルによって暴走させられたキーアが形成した巨大な「碧の神」。錬金術師たちの妄執の果てに生み出された碧き存在。
キーアを体内に取り込んで活動し、《零の至宝》としての力を行使する。始めは誕生したばかりのためか不完全な形態だが、戦闘中に完全体へと移行する。非常に厄介な特性を多々持っており、キーア同様上位三属性を統べる。特にSクラフト「時空大崩壊」は非常に凶悪。一度発動されたらどのような手段を用いても絶対に防げず、「全てを零に」帰され強制的にゲームオーバーとなる。しかし1200年に及ぶ妄執も特務支援課の絆の前に敗れ去った。
ツァイト
登場作:「零」・「碧」P/S
声:滝下毅平川大輔(ドラマCD)、龍谷修武(「碧Evo」)
クロスベルの伝説で《神狼》として伝えられる巨大な狼。各地で起こった謎の生物による襲撃事件をきっかけにロイドたちの協力者となり、警察犬という名目で特務支援課に住み着く。普段は分室ビルの屋上など、日あたりのいい場所で日向ぼっこしている。なお甘いものは嫌いのようだ。
市民からの人気(特に子供)も高く、また本編内でもロイドたちのピンチに駆けつけたりと、何かと頼りになる。
その正体は、《七の至宝》の行く末を見守ることを使命とする女神が遣わした聖獣のような存在の1体であり、レグナートの同胞である。監視対象は《幻の至宝》で、本来なら契約により人間たちを見守ることしかできないのだが、既にその至宝が消滅しているので契約は完了している。このためある程度ならロイドたちに助力が可能となっている。キーアの正体に当初から気付いており、ヨルグとも古くからの知り合いである。
「碧」終盤では国防軍に追い詰められたロイドを助けるため、本来の巨大な狼としての姿で現れ正体を明かす。同時にクロイス家の歴史や《幻の至宝》に関する情報や、ワジたちとのコンタクトを取るなど大いに活躍した。ただし仲間たちがある程度揃うと助力は十分とみなしパーティーから外れてしまう。
「零」第2章からティオのクラフト「ツァイト召喚」やキーアのサポートスキルで呼び出すことが可能だが、一部の状況では使用不可能で攻撃タイミングはランダム。効果は遅延、全体攻撃、防御力低下。「碧」では終盤で一時的にパーティーメンバーに加わり、その時は正体を明かした後のためもあってか普通に話すようになり、エニグマ無しでも一部の高位アーツを使用し、狼の肉体を駆使したクラフトも使用する。

捜査一課

優秀だが杓子定規な考え方をしており、また縄張り意識も強く他者の介入を快く思わない面を持つ。しかしいずれも正義感は強く、警察官としての誇りと意識は強い。

アレックス・ダドリー
登場作:「零」S・「碧」P
声:中井和哉
クロスベル警察の捜査一課に所属する捜査官。28歳。武器は軍用の大型導力銃。エースとして名高く、現場では彼が指揮を担当することも多い。
眼鏡をかけたインテリ風の容貌とは裏腹に身体を鍛えており、軍用の大型導力銃やショットガンを使いこなす。またSクラフトと一部のクラフトは徒手空拳による攻撃となっている。
エリート意識が強く遊撃士協会やロイドたち特務支援課を快く思っていないが、必要であれば支援課と協力し、闇ブローカーのアシュリーと情報交換する柔軟性はあり、堅い性格だが分別は持ち合わせている。警察としての使命感と正義感は本物であり(セルゲイも正義感の強さは認めている)、それゆえに上層部の圧力で満足に捜査できない状況に苛立っている。また、目上の人間以外には苗字のほうで名前を呼ぶ(バニングス、オルランドなど)。
次第に特務支援課を認め始め、厳しい態度を取りながらも彼等を叱咤したり、自分から同行を強く申し出たり、時には微笑を浮かべてロイドたちを肯定したりなどの一面を見せていく。
あまり素直になれない様子をティオから「一種の照れ隠し」と突っ込まれ、セルゲイやイメルダなどの年配者には頭が上がらない模様。キーアに対して唯一厳しく、しつけがなっていないと注意したこともある。その際に「おじさん」と呼ばれ怒っている。
ガイ・バニングスの死については重く受け止めており、一課を総動員してまで調査したが真相にたどり着けなかったことを悔やんでいる。セルゲイから「碧」における黒幕(フィクサー)がクロイス家の裏にいることを聞かされた時は、ダドリーだけがイアン・グリムウッドを疑っている。それは事実となり、足繁く事務所に通っておきながら気づけなかったことを恥じる。なお、戒の領域でのアリオス戦のパーティーに加えて行くとガイの死についてのやり取りが見られる。
「零」においては公式を含めて「アレックス」というファーストネームは出てきておらず、作中でも「ダドリー」もしくは「ダドリー捜査官」と呼ばれている。「碧」においては、ジオフロントB地区のイベントで《銀》と顔を合わせた際に「クロスベル警察、捜査一課、アレックス・ダドリーだ。」と名乗っている。
「零」でのスポット加入は第4章終盤。前衛、サポート共にこなせる万能型。Sクラフト「ジャスティスハンマー」は右手に巨大なオーラをまとった鉄拳制裁となっている。もう一つのSクラフトは「ジャスティスマグナム」。「ジャスティスハンマー」の改良版とも言うべき技で、巨大なオーラをまとった拳を地面に打ちつけ衝撃波として発射。最後に猛烈なアッパーカットで(ゴルディアス級《神機》であろうとも)虚空の彼方へ吹き飛ばす。どちらも発動の際に上着と拳銃を投げ捨てているのが特徴。しかしなぜかSクラフト以外では徒手空拳による攻撃を行わない。
オーブメントの属性は「時」。ラインの本数と形はヨシュアとほぼ同じで、クラフトはCP回復、遅延、防御力低下、ステータス上昇、100%即死技と種類は豊富。
Sクラフトは色々な意味で他のキャラクターとは一線を画しており、悪を許さぬ正義の怒りを爆発させるというもの。警察官としての彼の本心を表しているとも言える。
ガイ・バニングス
登場作:『VII』
声 - 小西克幸
ロイドの兄であり、セシルの婚約者。「零」の3年前に殉職した捜査一課の捜査官。享年25。
両親を早くに亡くして以降、男手ひとつでロイドを育てた。ダドリーなどによれば型破りな性格であるものの、捜査手腕は非常に高く、誰もが認めていたほど。警察官時代のアリオスとはコンビを組んでおり、「若手最強のコンビ」と呼ばれていた。
特務支援課設立の背景は彼の言葉が大きい。生前はロイドと同じくトンファーの使い手であり、詳しいことは語られていないが当時のアリオスと互角に戦うなど武術にも非常に優れていたことがうかがえる。また本来ならば敵であるはずのガルシアや、離反したアリオスを飲みに誘うなど極度のお人よし。だがガルシアは彼の本質を見抜いており、「絶対に諦めない」ことがガイ・バニングスという人間をすごい男に見せていると語る。この「絶対に諦めない」思いはロイドにもしっかりと受け継がれている。
彼を殺害した組織は結局分からずじまいだったが、ヨアヒムの証言から少なくともルバーチェとヨアヒム達ではないことは判明。さらに「碧」の終盤で当時クロイス家の悪事に荷担しようとしていたアリオスを説得するため彼と死闘を繰り広げていた最中、背後からイアンの放った銃弾によって命を落としたことが発覚する。死の寸前にはロイドとセシルに別れを告げられないことを悔やんでいる。
「碧」の最終決戦後、キーアが生み出した《零の世界》にてロイドと再会する。キーアは歴史を改変することでガイが存在する世界を作り出そうとしており、そのこともあってかロイドたちのこれまでの事情を全て知っている様子である。キーアを捜し求めて迷うロイドに助言し、励まし、兄として導く。
課長
捜査一課の課長でダドリーの上司。本編では名前・姿共に明かされなかった。ダドリーの態度から捜査の打ち切りを告げざるを得ないことに無念であった模様。

その他警察関係者

フラン・シーカー
登場作:『VII』
声:有島モユ
警察本部のオペレーターでノエルの妹。17歳。
特務支援課のバックアップも担当しており、各種連絡や報告書の処理などを行う。お姉ちゃんっ子で、ノエルに甘えることが多い。アントンとのイベントで「好きな人はお姉ちゃん」と語っていることからもうかがえる。
「碧」でも引き続き支援課のバックアップを行っていたが、警察署を襲撃してきた《赤い星座》の攻撃で、一時昏睡状態になるほどの重傷を負う。しかし捜査二課のドノバンが身を挺してかばったことで後遺症もなく復帰。ディーター大統領に対して反旗を翻したロイドたちに味方し、ヨナと共にバックアップに回る。
ピエール
登場作:『VII』
声:織田優成
クロスベル警察の副局長。
典型的な小役人タイプの人間で、上司にはこびへつらい、目下の者には尊大に振舞う。特務支援課の存在を疎ましく感じており、ことあるごとにロイド達にネチネチと小言を言ってくる。一方で重度の恐妻家であり、結婚指輪をなくしたときにはパニック状態になっている。また、酒に酔うと妻のことで愚痴る姿が方々で見られる。
「碧」では自分の後輩が局長になってしまったことに落ち込んだ他、あるイベントでは妻から離婚届を突き付けられそうになり、ロイドから同情される。最終的に離婚の危機は回避されるも、妻にはますます頭が上がらなくなる(ちなみに、結婚指輪をなくした一件もバレていた)。
よくある現場に口を出す無能な上司というわけではなく、ダドリーの実力は認めており、オルキスタワーの警護の指揮を彼が執っていた際には自分の出る幕はないと余計な口出しはしていない。
終盤では市内に混乱を広めたディーターを問い質しにオルキスタワーに乗り込んだり、ロイドたちを心配したりと意外な一面を見せる。妻に対して立ち上がらないといけない時があると語るが、似合わないことをしたせいで結果的にタワー内に監禁されてしまったことを指摘されている。
局長
登場作:「零」
警察の局長だが、名前・姿共に本編で明かされなかった。ルバーチェから賄賂を受け取って捜査を妨害したため、エンディングで警備隊の司令官共々、解任されたことが語られる。

クロスベル警備隊/国防軍

クロスベルにおいて軍隊に相当する組織であり、国境の警備などを行っている。主に登場するのはベルガード門とタングラム門の警備を担当する隊員たち。新人あっても警備隊に所属するものはエリートであり、ロイドたちも手加減無用と判じやりあったほど。ディーターが大統領になってクロスベル独立を宣言した後に「国防軍」と名を改めた。

ノエル・シーカー
登場作:「零」S・「碧」P
声:浅野真澄
クロスベル警備隊に所属する少女でフランの姉。18歳。同い年以上の人間には常に敬語で接するが、年下のティオやフラン、素行不良のワジなどには本来の口調で接する。根が生真面目なのでワジと接するときは普段の彼女とは違う一面が見られる。一人称は「あたし」。
若輩ながら曹長の階級に就いておりソーニャの片腕として行動する。戦闘ではサブマシンガンを2丁同時に使用するなど高い戦闘力を持つ他、戦闘車輌の操縦にも長ける。他にもさまざまな武装を所持している。警備隊ではライフルとスタンハルバードの習得が必須なのでその実力も相当だと思われ、事実「碧」では一部のクラフトでスタンハルバードによる攻撃を行う。
妹に負けず劣らず姉妹愛が強い。フランが交際を迫られるイベントでは、気が気ではないといった様子で、終始落ち着きを失っている。普段は冷静だが、妹のことだけに限らず、恋愛ごととなると弱いらしい。クロスベル創立記念祭ではフランと共に私服で登場するシーンもあり、セシルと別行動を取ることになったロイドを「振られた」と2人して勘違いするなど、顔だけではなくややドジなところもそっくりである。これが災いとなって「デートしていた」とティオに勘違いされている。母クラリスは東通りのアカシア荘に在住。続編に当たる「碧」では周囲からロイドとの関係を疑われたり、彼から告白にも近い台詞を(天然で)何度も言われたことで次第に異性として意識し始める。
「零」でのスポット加入は第2章終盤、第4章序盤。特に第4章では装甲車を運転して各地に案内してくれる。これまで登場した銃を扱うキャラクターとしては珍しくアーツは不得手だが、通常攻撃の範囲はティータのように広い。また軍人ということもあり、クラフトはグレネードや電磁ネットなど小範囲攻撃が多く、ほとんどがなにかしらの状態異常を発生させるもの。その分攻撃能力自体はやや低め。
「碧」では特務支援課に出向し、ロイド達と行動を共にする。支援課に導入された導力車の運転手を務める他、カーマニアの一面があることが判明する。クロスベルを守りたいという強い一心のもと職務に励んでいるが、その背景には10年前に父オズマを亡くした「事故」に対する思い入れがある。
生真面目な性格から国防軍結成後は信念に反して支援課と対立するが、ロイドの「お前をもらう」発言やソーニャの計らいで支援課と行動を共にする決意をする。
「碧」の終盤の絆イベントでは、ディーターの行いを間違いとわかっていながらも従うしかなかった自分を情けないと思っていたことをロイドに告げる。しかし彼はまったく気にしておらず、逆に励まされてしまう。そこで警備隊時代に持っていたタグをロイドに「ゲン担ぎ」と称して事件が収まるまで預かってもらいたいと述べる。これをロイドから「まるで恋人同士の習慣みたいだ」と言われ、ノエルの反応を見て「そういうつもりだったこと」に気づいたロイドは返事として自分の警察官タグをノエルに手渡し、返事は後日自分のほうからさせてもらうと告げられたのだった。
オーブメントの属性は「地」、ラインの本数、攻撃範囲など、ティータやジンに似ているがHPはティータよりも圧倒的に多い。Sクラフトはロイドの「タイガーチャージ」同様、ヒット数が多いのでセピス稼ぎに有効。
ソーニャ・ベルツ
登場作:『VII』
声:進藤尚美
警備隊副司令の女性で階級は二佐(中佐相当)。タングラム門の責任者。36歳。
優秀だけでなく、警察などに情報提供する柔軟性と思い切りの良さを備えている。セルゲイとはかつて夫婦だったが5年前に離婚している。原因はソーニャの昇進とセルゲイの左遷など仕事上の理由が重なったためで不仲によるものではないようだ。実際に司令と対立してクビになりかけたランディを紹介した他、創立記念祭の初日では酒場でセルゲイと2人っきりで過ごしているなど、夫婦仲は悪くなかったことをうかがわせる。読書家。
「碧」では警備隊司令に昇進し、「零」の事件でダメージを負った警備隊の建て直しに奔走する。
ミレイユ
登場作:『VII』
声:中原麻衣
警備隊准尉の女性。ベルガード門に勤務している。22歳。
ランディのかつての同僚で、彼が警備隊に所属していたときは曹長だった。「零」では司令が事あるごとに外出して不在のため、彼女がベルガード門の事実上の責任者となっている。指揮能力もさることながら、実力もベルガード門部隊の中で男性陣を押さえて1・2位を争うほどの力量を誇る[3]。実はランディが特務支援課に配属されるきっかけを作った人物で、彼がライフルの不使用により司令からクビを言い渡された際、この処分の取り消しを求める嘆願書を各方面の副司令クラスの人間に送った内の1通がソーニャの手元に届き、それを見た彼女がランディに特務支援課を紹介した[3]
司令の性格上、何かあれば彼女に責任転嫁されかねないとランディは心配している。終盤では《グノーシス》を「栄養剤」と偽られて投与されたことでヨアヒムに洗脳され、IBCに立て篭もる特務支援課と戦闘になる(第4章の終盤で会話をすると、栄養剤をもらったという会話が聞ける)。
「碧」では顔グラフィックが追加され、ソーニャと共に警備隊の建て直しに奔走している。また、物語中盤で三尉に昇進する。クロスベルの強引な独立宣言と国防軍への再編が発表されたときにはそれを容認できず、部下を伴ってマインツ方面に潜伏し、レジスタンスとして《赤い星座》や国防軍に対する抵抗活動を行う。また、ランディの発言や行動に一喜一憂する場面が随所で見られ、彼に対し好意を持っているような様子がうかがえる。
ダグラス
登場作:「碧」
昇進したソーニャの後任として警備隊副司令となった人物。前司令によって閑職に追いやられ、以前は警察学校でロイドの訓練教官をしていたこともあり、普段は気さくだが訓練が厳しいために「鬼のダグラス」と呼ばれている。警備隊にいたランディにスタンハルバードを仕込んだ人物でもある。警備隊NO.1の実力者であり、支援要請でロイドたちと戦って負けた場合でも、まったくダメージを受けた様子が見られないほど。
特定のタイミングで話しかけると「迅雷のダグラス」とも呼ばれていたことが判明する。これはガガーブトリロジーの『朱紅い雫』に登場するダグラスの通り名であり、キャラチップも似通っている。
司令
登場作:「零」
警備隊の司令官だが、本編では登場せず名前すら不明。ちなみに議会の帝国派に属する人間。終盤でマルコーニと接触し、それを利用されて大惨事を引き起こしてしまう。
ランディからは「阿呆司令」、ノエルからは「あんな司令」と散々な評価をされている。接待ばかりしていて世間体を気にするタイプで司令官としての能力も人望も無く、それが災いとなってストーリーの終盤で《グノーシス》を「栄養剤」とだまされて警備隊員に投与してしまい、警備隊に限らず、クロスベルを混乱させてしまったため、エンディングで司令官職を解任されたことが語られる。

遊撃士協会(クロスベル)

アリオス・マクレイン
登場作:「零」・「碧」S→B
声:森川智之
遊撃士協会クロスベル支部に所属するA級遊撃士。30歳。武器は太刀
「八葉一刀流・弐の型『疾風』」の免許皆伝の腕前を持つ。月に100件以上の依頼をこなすなど精力的に活動しており、クロスベル市民からは絶大な支持を受けて《風の剣聖》と呼ばれている。《理》にすら至ったその卓越した能力により、遊撃士協会本部からはS級への昇格をも打診されているが、自分には身に余る称号と断り続けている。
妻サヤは故人、シズクという娘がいる。かつては警察官で、セルゲイの下でロイドの兄ガイとコンビを組んでいたが、5年前にクロスベルで起きた導力車の爆発事故によって妻の命と娘の視力を奪われたことを機に遊撃士に転職、その出来事を脳裏から消し去ろうとするように遊撃士としての仕事に没頭した。その後、イアンから事件の真相と共に持ちかけられた「零の至宝」の計画に妻と娘とクロスベルの未来を取り戻すために協力するが、それを嗅ぎつけ自分を止めようとしたガイと死闘を繰り広げる。ガイの必死の説得で一度は刀を納めようとするが、背後からの銃弾でガイが命を落としてしまったことにより、後戻りはできないと決心する。非常に義理堅く責任感の強い性格で、アリオスがクロイス家の悪事に加担していたことが発覚した際、ロイドから兄を殺したのかと問われた自分が殺したと嘘をついている。その後も「兄の仇」を演じ、ロイドに自分との決着を迫る。イアンが殺したということについては一言も述べていなかったが、ロイドは消去法で彼が犯人だとアリオスに指摘する。最終決戦の際、支援課が真実にたどり着き、自分を越えた時に一抹の満足を得て倒れる。その後はロイドたちと共にクロスベルの困難に立ち向かう様子がエンディングで描かれている。
支援課にとってアリオスは敵ではなく「越えるべき壁」と見られており、敵対した後でも彼の人柄を非難するものは誰もいなかった。
使用するSクラフトは奥義「風神烈破」。大気の刃を刀身にまとわせ切り付ける。最終決戦では奥義を越える絶技「終の太刀・黒皇」(ボイスでは黒皇剣と呼ぶ)を使用する。遥か上空から落下の勢いを上乗せした斬撃を見舞う。ロイドが用いる最終Sクラフト「メテオブレイカー」と酷似した要素を持つ。
ミシェル
登場作:『VII』
声:高戸靖広
クロスベル支部の受付。おネエ言葉を話す男性。32歳。
ロイド達に対して厳しくもあるが、大事に首を突っ込む彼らに気をつけるように声をかけている。キリカのように戦う描写こそないが、グノーシスを投与された警備隊の襲撃を免れている。
スコット
登場作:『VII』・『暁』
声:岡島俊治(零Evo)、荒井聡太(碧Evo)
銃を使う遊撃士。
危険な魔獣が生息する古戦場に入り込んでしまった観光客の捜索をする際に、ロイド達と協力する。百貨店《タイムズ》で受付嬢をしているパールという名の婚約者がいる。
ヴェンツェル
声:上倉紀行(零Evo)、酒井凜太朗(碧Evo)
登場作:『VII』・『暁』
エレボニア帝国出身の遊撃士。スコットと共に行動することが多い。ティオは内心「偉そう」と呟く。
「零」以前に起きた「帝国ギルド連続襲撃事件」では解決作戦に参加していた。
エオリア
登場作:『VII』・『暁』
声:水谷美月(零Evo)、金香里(碧Evo)
レミフェリア公国出身の女性遊撃士。同じく遊撃士のリンとともに行動することが多く、2人一緒ならアリオスにも匹敵するという。
物への執着心が薄いらしく、高価な物でも他人にあっさりとあげようとする。可愛いもの好きで、ティオを抱っこしたがったりする一面も。医師免許を持っており、戦闘では手術用のメスを投げナイフ代わりに使用する他、さまざまな薬品を使った状態異常クラフトを得意とする。
「碧」では、あるイベントでロイド達と戦う。
リン
登場作:『VII』・『暁』
声:小寺可南子(零Evo)、前田綾香(碧Evo)
エオリアと共に行動することが多い女性遊撃士。男っぽい言葉遣いをする。「泰斗流」の免許皆伝でジンやキリカの後輩に当たる。
「碧」では、エオリアと共にあるイベントでロイド達と戦う。近接戦闘では即死攻撃や威力の高い一撃を放ち、遠距離では気の砲弾を用いる。また、気功によって能力を大幅に上げてくる。
戦闘後、勝敗に関わらずロイドの素質に注目して戦闘後に武術の型を指南する。

政財界

クロスベル市の有権者たち。

ヘンリー・マクダエル
登場作:『VII』
声:増谷康紀
エリィの祖父で「零」の時点でのクロスベル市長。中立派で市民からの支持は高い。
警察官としての道を歩むエリィのことを見守り、《グノーシス》を服用した警備隊相手でも動じない強さを持つ。娘夫婦が離婚して1人になってしまったエリィを引き取ることになったが、離婚を止められなかったことを後悔している。にがトマトが好物で、行政区に出店しているジューススタンドの裏メニュー「にがトマトのシェイク」がお気に入り。一連の事件後、市長を続投せずに州議会選挙に出馬する。
ハルトマンによる改革案の阻止、娘夫婦の離婚、アーネストに裏切られた上に暗殺されかけたり、クロイス家による策略によってエリィと一緒に監禁されたりと、苦労の絶えない人物。出番自体は少なめ。
ディーターに裏切られる形でエリィとともに監禁されるが、後にロイドたちに救出され一行に合流。議長としてクロスベル市民に演説を行い、ディーターの不当性を皆に問う。これによって《国防軍》の一部は「大統領に対する不審」という名目で動きを止め、戦力を削ることとなる。
ハルトマン
登場作:『VII』
声:竹本英史
クロスベル自治州議会の議長で、マクダエル市長と並ぶ自治州代表(共同代表)。自治州代表だが、帝国派である。
ルバーチェとつながりがあり、パーティキャラクターたちからの評価は低い。マクダエル市長の改革案が却下される原因となっている人物。帝国貴族に連なる名家の出身で、ミシュラムに巨大な邸宅を有する。去年の春に帝国宰相ギリアス・オズボーンと非公式で対談した(「the 3rd」のオリビエのエピソードでも、オズボーンがクロスベルへ向かうことは語られている)。
《楽園》に誘い込まれたことでヨアヒムに弱みを握られ、裏で彼に協力させられていた。一連の事件後に失脚し、さらに数々の不正行為が発覚したことで逮捕される。
「碧」ではアーネストと共に拘置所から脱走してアルタイル市の教団ロッジまで同行するも、彼の狂気に着いていけなくなり、半ば狂乱状態でロイド達に投降しようとした。また、《楽園》では薬を飲まされて正常な判断力を奪われていたことも判明する。それもあってアーネストに自分は被害者だと抗議するが、彼が教団と接触したのは事実であり、世間はその言い分を聞かないと非難される。魔人化したアーネストを恐れて逃走を計るも光弾をぶつけられて気絶してしまい、そのままロイドたちに再逮捕された。以後は築き上げた富と地位を失ったことですっかり臆病な人間に成り果ててしまう。
アーネスト・ライズ
登場作:『VII』B
声:高橋裕吾
マクダエル市長の第一秘書。29歳。エリィの幼少時の家庭教師でかつては「アーネスト先生」と呼ばれていたが、エリィが留学してからは疎遠となっていた。
警察官の道を歩むエリィが迷っているさまを見て、政治の道に戻ってくるよう説得するが、後日、迷いが消えたエリィを見て最終的には彼女のことを見守ることにする。
中立派の政治家を目指していたが、中立派という立場の困難さと無力さゆえにその志が歪み、事務所の資金を長年に渡って横領し、帝国派の議員とつながりを持つための資金源にしていた。ヨアヒムが提供した《グノーシス》がきっかけで暴走し、劇場でマクダエル市長の暗殺を実行に移すも、ロイドたちに阻まれて逮捕される。しかしヨアヒムが処方した《グノーシス》によって「魔人」の力を得て脱獄。不気味な魔剣を片手にヨアヒムの手下として再びロイドたちの前に立ち塞がる。《グノーシス》服用後は、薬の影響で瞳の色が真紅に変わってしまう。
太陽の砦の中層にてロイドたちと交戦。新型《グノーシス》を服用したことで魔人へと変貌するも激戦の末に敗北。堕ちるところまで堕ちたことにより、エリィからは完全に「さよなら」を告げられる。
「碧」の序盤ではヨアヒム騒動のゴタゴタに紛れて逃亡していたことが明かされ、その後ハルトマン元議長を脱獄させる。彼を政財界に返り咲かせ、自らの後ろ盾としクロスベルの市長になるための手段として、カルバード共和国アルタイル市のロッジの最奥へ向かう。祭壇で《グノーシス》「紅の叡智」を服用して巨大な魔人となるも、ヨアヒムのように「全てを視る」ことはできず、ロイド達に敗北する。その後はヨアヒムと同じ末路をたどりかけるが、ロイドの必死の呼びかけとケビンの法術で一命を取り留めて再々逮捕される。その後は拘置所に収容され、断章で扉越しの再会を果たしたが、その時点では《グノーシス》の効力が切れ、出所したらエリィたちに謝りたいと語るまでに精神が回復している。
「碧」ではエリィに対する執着が強く表現されており、市長になったら特務支援課を解体させ彼女を自分の秘書にすると述べたり、ロイドに対してエリィとは釣り合わないなど卑下したりしている。なお、「零」ではボイス付きではあったが「碧」では採用されていない(「碧Evo」ではイベントシーンのみボイスがある)。
後にエリィの独白で「いつか罪を償って許されるはず」と帰ってくることを願われている。
文武両道で実力は本物であり、エステルからは「同じ秘書でも(恐らくギルバートとは)えらい違い」と言われた。
使用するSクラフトは「闇神楽」。魔剣を大地に突き立て、邪悪な魔法陣に踏み入った対象者から生命力を奪い取る。この技は魔人化後も使用する。
魔人アーネスト(小型)
グノーシスを服用したことでデモナイズを行い変異したアーネストの姿。魔剣を片手に武器として扱い、魔人としての力と剣技を披露する。この形態では二度にわたってロイドたちと戦っており、最初の一回目は「零」のラストダンジョンにて対決。その際は倒されたが、「碧」にて今度はロイドとノエルの二人と交戦。今度はアーネストが優位に立ち、二人の攻撃を受けてもまったく揺るがず劣勢に追い込んだ。
魔人アーネスト(大型)
「碧」にて更に変異したアーネストの形態。魔人ヨアヒムと酷似した巨人になり、更には巨大な片手剣を武器に扱う。
ディーター・クロイス
登場作:『VII』
声:竹本英史
IBCグループ総裁で、世界一の資産家。45歳。
マリアベルの父。マクダエル市長の長年の友人であり、娘・マリアベルの幼馴染かつ親友であるエリィに対しては、「身内も同然」とさまざまな協力をしてくれる。ウィットに富んだ性格をしているが、クロスベルにおける「正義」が形骸化していることを嘆いている。物語終盤では物資補給・防弾仕様のリムジンを提供するなどロイドたちのサポートを行う。一連の事件が終わった後、市長選挙に出馬する。
「碧」では歪んだ「正義」を現し始め、《赤い星座》に依頼してクロスベル市を襲撃させ、市民たちの帝国への反感を煽る。そして市長としてクロスベルの国家としての独立を宣言及び国家独立を果たして初代大統領となり、クロスベルを中心とする独裁を企む。手始めに軍事力を高めるべく警備隊を「国防軍」へと再構築し、娘の手によってキーアを《零の至宝》へと覚醒させ、歯向かったロイドたちを捕縛する。シグムントからは特務支援課が障害になることを見越して始末したほうがいいと進言されたが、ディーターに彼等を殺す気はなく、いずれは仲間に向かえ「戦争のない平和な世界」の実現に協力させようとする。大統領の地位にもさほど興味はなく、目的のための過程に過ぎなかった模様。オルキスタワーに突入したロイドたちを待ち受け、《結社》から買い取った純白の神機(アイオーン)に搭乗し戦いを挑む。最終的に敗北し、真の黒幕であるイアンとその協力者であるマリアベルから見捨てられてしまう。実の娘にすら見捨てられ、呆然とした状態となり戦意喪失し、拘束される。その後、自分の過ちを認めロイドたちと和解する。
キリカたちによれば「企業家としては偉大だが、政治家の器ではない」。またイアンからは「夢想家すぎる」と評されている。
エンディングでは再逮捕され、連行されるシーンが描かれている。なお、ロイドの指名手配はディーターが拘束された時点で不当性が認められ取り消しとなっている。
アイオーンTYPE-α
ディーターが《結社》から買い取った《ゴルディアス最終型》《神機》の内の1機。純白の装甲と決戦兵器並みの重兵装が施されている。製作者はF・ノバルティス博士。
ディーターの錬金術としての能力によって同化され、己の《正義》を知らしめるための力として操作される。ただし動力源はキーアから受ける《零の至宝》としての力であり、それが途切れると操作不能になるという弱点がある。ただし力を受けている間は無制限に近い再生能力を誇っており、決定的な破壊がされない限りは何度でも自己再生を行い決して倒れることがない。
ロイドたちを追い詰めるも時間をかけすぎたことが仇となり、マリアベルたちの計画を優先したキーアから力の供給が受けられなくなったことで機能停止。機体は《結社》によって回収される。
このほかにも2機の《神機》が存在するが、どちらもケビンとエステルたちによって完全破壊される。しかしほぼ相打ちに近く、戦闘に参加した一行はしばらく戦えないほどのダメージを負っている。
マリアベル・クロイス
登場作:「零」・「碧」B
声:田中理恵
ディーターの娘で、IBCグループの運営に携わる才女。19歳。「〜ですわ」というお嬢様口調で話す。
エリィの幼馴染かつ親友であり愛称は「ベル」。髪型は縦ロール状のツインテール。美貌とグラマラスなスタイルとは裏腹に、非常に自分の欲望に忠実で我の強い性格をしている。
本人曰くエリィのことは「愛していると言っても過言ではない」らしく、そばに近づく男性に対する風当たりは厳しい。ロイドとランディにも、初対面で服装などを非難した。その際、見た目よりも腕力が強いらしく、ロイドの襟首をつかんで軽々と持ち上げていた。ロイドとエリィが怪しい関係にあると見て、その後もロイドを目の敵にしている。サブイベントのある事件では、犯人が化けた姿ではないかとロイドに疑われた時は笑顔で胸倉を掴みあげるなど、エリィと似た怖さを持つ。
若輩ながら、ミシュラムの開発とテーマパークの運営や導力ネットワークの管理を一手に任されており、ディーターが不在の時は総裁代行を務めるなど、既に一流のビジネスマンの風格を有する。かつてエプスタイン財団で学んでいた経歴を持つ。
しかし、その正体は空の女神から《幻の至宝》を授かった錬金術師たちの一族の末裔。失われた至宝を取り戻すという歪んだ妄執は彼女にも受け継がれており、影で《D∴G教団》やヴァルドたちを操り、更には《身喰らう蛇》と手を組んで《幻の至宝》を超えた《零(ゼロ)の至宝》を完成させる。補佐としてイアン・グリムウッドを迎えているが、ロイドの説得により離反した彼を「用済みの道具」と称し処断する。どこまでも自分の欲望に忠実で、そのためには手段を選ばず、例え孤独になろうともやり遂げようとするほど意志が強い。そのためならばエリィと戦うことも厭わない。親友であるエリィからはその意志の強さをマリアベルの魅力として受け取られ、ヴァルドからも嫌われてはいない。本性と目的を明かした後は前述のようなコメディリリーフの要素はなくなり、目的のためには手段を選ばない冷酷さを垣間見せるようになる。エリィと会うたびに友として呼びかけられたが、いずれも返答すら返さず無視している。
父ディーターを表舞台に出し、その裏ではイアンと組み《結社》の協力の下《碧き零の計画》(零の至宝による世界改変)を進めていた。しかし《結社》はクロスベルから去り、ディーターはロイドたちに破れ、最終的に《赤い星座》を雇ったマリアベルたちと、《教会》の助力を得た特務支援課との対決となる。
最終局面では、ロイドの説得により計画の取りやめを進言したイアンを粛清し、離反したキーアの自我を奪って操り人形にすることで最後まで計画を進めようとする。そして自ら形成した霊的な位相空間にてロイドたちと戦うが敗北。キーアの精神を暴走させることで出現した「碧き虚ろなる神(デミウルゴス)」を切り札にするが、これも破られ、キーアからは至宝としての力が消失してしまう。
計画は失敗に終わったものの、恨み言を残すことなくエリィに別れを告げ、ロイドたちを気遣う言葉を発し、またイアンも急所は外してあるので命に別状はないと告げる。《身喰らう蛇》の盟主から、死亡したワイスマンに代わる新しい使徒の1人にスカウトされており、最後にそのことをロイド達に告げて転移術で立ち去る。立ち去る際、父にして自分が見捨てたディーターの処遇に対して「極刑だけは勘弁してあげて、クロスベルの建て直しに役立つはずだから」と言い残す。
敵に回ったもののどこまでも自分を貫く姿勢は「最後までマリアベルだった」とロイドたちに評され、不思議と憎しみは湧かなかったという(ただしキーアの自我を奪おうとした際は、ロイドも激しい怒りを見せている)。
使用するSクラフトは「クリムゾンザンバー」。堕天使の双翼によって飛翔した後、二股の魔導杖から禍々しい光の刃を形成。滑空し擦れ違い様に斬撃を見舞う。もう一つは「メリーメリーキャッスル」。対象を柩の中に封印した後、自ら生み出した位相空間に放逐。ギロチン、火炎放射、凶悪なみっしぃーによる攻撃を見舞うがどれも当たらず失敗に終わる。――と思わせて最後に仕掛けた巨大な人面によるトラップで柩ごと噛み砕く。焦らしてから最後に仕掛けた罠でいたぶるというサディスティックさが現れている。

マフィア

マルコーニ
登場作:『VII』
声:川津泰彦
表向きは「ルバーチェ商会」を名乗るが、その実態はマフィア組織である。5代目会長。56歳。
成金趣味丸出しの小柄で小太りな男で、服装のセンスはイマイチ。しかし、マフィアのボスに相応しい貫禄を持ち、逆らうものには情け容赦しない冷酷さを持つ。帝国系移民の出身で、8年前にガルシアら《西風の旅団》を雇って先代の会長を追い落とし、現在の地位に就いた。帝国寄りの姿勢だが、共和国にもコネクションを持つしたたかさを持つ。そのほか警備隊の司令、終盤では警察局長とのつながりまで持ち、圧力をかけさせて警察の捜査を妨害する。
多くの犯罪容疑で警察から目の仇にされているが、ハルトマン議長の庇護があるため有罪に持ち込めずにいる。クロスベルが抱える《闇》の象徴の一つ。
暴力的な手段で上流階級のトラブルを解決したりなどして謝礼を受け取ったりしている。そのほか密貿易などもかなりの規模を誇る。
数年前からヨアヒムをかくまっており、彼の身辺をかぎまわるガイ・バニングスの暗殺依頼を受けていたが、先に何者かによって殺害されてしまう。自分の手柄にするべく部下に命令してガイの警察バッジを持ち去り、密かに保管している(ヨアヒムには気づかれている)。
「黒月」の猛攻と《黒の競売会シュバルツ・オークション》をロイド達につぶされた焦りからヨアヒムの手を借り、《グノーシス》を部下達に投与するも、そのことで部下が暴走するようになり、かえって商会の命運を縮めてしまう。終盤には組織を完全にヨアヒムに乗っ取られ、《太陽の砦》の地下牢に部下たちと共に幽閉される。救出された後、ロイドに一にらみされただけで怯えるなど、すっかり落ちぶれてしまう。事件後に数多くの犯罪容疑で逮捕され、ヨアヒムの件もあって最早味方する議員などおらず、今度こそ塀の向こうへ放り込まれることとなる。なし崩し的にルバーチェ商会も崩壊する。
続編に当たる「碧」においても登場するが、拘置所の扉の向こうから声のみしか出てこない。ガルシアに気づくと自分を助けるようにあわふためくが、彼からは冷静にしばらく待つように返される。
ガルシア・ロッシ
登場作:「零」B・「碧」S
声:江川央生
「ルバーチェ商会」の若頭(本部長)で、マルコーニの側近。42歳。
大陸西部最強の猟兵団のひとつ、《西風の旅団》の元部隊長で、軍隊式格闘術で敵を瞬時に屠ったことから「キリングベア」と呼ばれている。商会の武闘派の筆頭であり、組織の武力強化に余念がない。「零」の第3章終盤でランディの素性を思い出し、本気の彼と戦うことに興味を持つ。部下の面倒見が良く、醜態を晒したとしても責めはするが罰は与えず、反省を促している。
無愛想な一方で「狩り」がしたいと身体をうずかせることもあるが、接客の姿勢は礼儀正しく、無意味な戦いを仕掛けることもない。8年前、《西風の旅団》が雇われたときにマルコーニに引き抜かれる形で、ルバーチェに所属するようになる。その人柄は古巣(西風)の人物たちも評価しており、彼の離脱を惜しむ者も多かったらしい。
かねてからヨアヒムのことを疑っており、《グノーシス》の使用には終始一貫反対していたが、ヨアヒムによって注射で直接投与されてしまう。「零」の終盤、太陽の砦にて黒幕を遮る最期の壁として立ちはだかり、ロイドたちと決着をつけることとなる。魔人化に抵抗する強靭な精神力を持っており、ランディの叱責によって自ら《グノーシス》の呪縛を破る。
事件後は警察学校に併設されている拘置所に収監されていたが、同じ部屋に収監されることとなったロイドを激励して脱獄のために一時共闘することとなる。しかし、ルバーチェ商会に対する忠誠は変わっておらず、脱獄に成功した後にマルコーニや部下を見捨てるわけにはいかないと単身で拘置所に戻る。それは口実でもあり、ロイドを追跡する国防軍を足止めするために素手で立ち向かっていく。ロイドはこのことに気づいており、後述の面会では礼を述べていた。
終盤でロイドと面会した時は大怪我をしていたものの命に別状はなく、逆に彼等を叱咤するなど意外な一面を見せる(ティオはロイドの影響だと述べている)。
ガイとは幾度も出会っており、ルバーチェを嗅ぎ回っているかと思えば平気で飲みに誘ってきたりとつかみどころがなく煩わしく思っていたが、彼の本質である「絶対に諦めない」という部分を見抜いており、死ぬとは思えなかったと述べている。この話を聞いて決起したロイドを見て「兄と同じかそれ以上のバカヤロウだ」とロイドを評価した。
マルコーニについては、居心地のいい場所を提供してくれた恩人とロイドに語っている。そのためか組織が崩壊した今でも彼に対しては「会長」として敬語で接していた。
使用するSクラフトは「キリングドライバー」。タックルで相手を捉えた後中空に放り、両足を捉え逆さ吊りにした常態で大地に叩きつける。
ツァオ・リー
登場作:『VII』・「閃II」
声:平川大輔
カルバード共和国の犯罪組織「黒月ヘイユエ」の幹部で、「黒月貿易公司」のクロスベル支社長。25歳。「ヘイユエ」とは作中における異文化言語であり「東方読み」と呼ばれている。
クロスベルの裏社会の覇権をルバーチェ商会から奪うために派遣されてきた。目的のためには手段を選ばず、時にはロイド達を利用することもある。頭脳派ではあるが、武術も非常に優れている(《銀》ほどではないと述べている)。
個人的にロイド達を気に入っており、時折手助けをしたりしている。
「碧」の終盤ではロイドたちと共闘し、《赤い星座》の連隊長ガレスの部隊と一戦を交える。
《銀》の正体に前々から気づいており、最終的にロイドたちに鎌をかけることで確信。《赤い星座》に復讐するために近づいてきたリーシャと再契約を交わすが、前述の共闘の条件ということで彼女の身柄をロイドたちに引き取られてしまう。内心では腸が煮えくり返っていると語りながらも、ロイドを組織に勧誘するなどどこまで本気なのか不明。ただしリーシャのことは自分がのし上がるために、そして組織のためにも必要だと考えており「今回は」引き下がる。
「閃II」ではジオフロント内部の導力ネット端末のデータのバックアップと初期化をロイド達に依頼する。ちなみにキャストの紹介文は無いが「碧Evo」から引き続き平川が演じている。
ラウ
登場作:『VII』
声:赤羽根健治
ツァオの側近で、常に共に行動をしている。礼儀正しく必要なこと以外はあまりしゃべらないが、ランディからはその実力の高さを見抜かれていた。「碧」の終盤ではツァオと共にロイドたちの助けに回る。彼を含めて部下たちは素手で《赤い星座》と渡り合えるほどの実力者である。
イン
東方の裏社会で伝説とまで言われる暗殺者で、ルバーチェ商会の牙城を切り崩すためツァオに雇われている。

聖ウルスラ医科大学

クロスベルにおける病院に当たる施設。医師(教授・准教授)の中には教会からスカウトされた神父も存在する。最新鋭の技術を使い、患者の世話をしている。最近ではメスを身体に入れる「手術」なども行われるようになったが、一般には受け入れられていない模様。

セシル・ノイエス
登場作:『VII』
声:大原さやか
ロイドの兄ガイの婚約者で、姉代わりの存在の女性。23歳。美人でグラマラスのため、エリィやティオを驚愕させ、ランディの視線を釘付けにした。
聖ウルスラ医科大学の看護師のまとめ役。父マイルズは図書館の館長で、母レイテは専業主婦。働き者で穏やかな女性だが、ロイドと一緒にいる人は誰でも付き合っていると思ってしまうほどの天然ボケ(男性のランディも対象なのでロイドは非常に困っている)。さらにキーアを連れてきたロイドを見て、「結婚していたなんて…」ととんでもない発言をする。劇団アルカンシエルの花形女優イリア・プラティエとは日曜学校以来の親友である。
その見た目は特務支援課のメンバー全員が口を揃えて美人と評価し、ランディは自分好み、ティオは「ぐらまー」と語っている。
今でもガイ・バニングスを愛しておりその死を悲しんでいる。なぜ殺されたのか、誰の仕業だったのかと原因がわかれば「前に進める」ということをロイドに告げている。
「碧」の終盤では、聖ウルスラ医科大学の名前の由来でもある伝説の聖女「ウルスラ」の末裔らしいことがツァイトによって示唆されている。
シズク・マクレイン
登場作:『VII』
声:井上富美子
アリオスの娘。9歳。5年前に起こったある事故で失明してしまい(この時に母サヤは死亡、アリオスはサヤの死を切っ掛けに警察を辞めてしまう)、聖ウルスラ医科大学で療養生活を送っている。遠慮しがちな性格でキーアと出会うまで友達を作れずにいたため、周囲からは心配されている。
「碧」の終盤で《零の至宝》として目覚めたキーアの力により視力が回復する。が、その後父のアリオスがクロイス家の陰謀に加担していること、さらに自分の父がガイの死に関わっていることを知ってしまい、涙を流しながらロイドに謝罪する。しかしロイドは悪態をつくことなく逆に慰め、必ずアリオスとキーアを連れ戻すことを約束する。
ヨアヒム・ギュンター
登場作:「零」B
声:金子英彦
聖ウルスラ医科大学准教授で年齢は30代半ば。眼鏡をかけた優男的な人物だが、どこかひょうひょうとしていてつかみどころがない。レミフェリア公国出身。
薬学に詳しく優秀なのだが、仕事を研修医のリットンに押し付けてはどこかへ行ってしまうのでたびたび周囲を困らせている。なお、アーネストの主治医でもある。仕事をサボって釣りのイベントに参加していたところをロイドたちに連れ戻される。
趣味は釣りで釣公師団の一員。自称「M」らしいが、妙な会話を周囲からとがめられている。なお周囲の評価は「S」とのこと。
実は空の女神《エイドス》の存在を否定する《D∴G教団》の幹部司祭で「零」での黒幕的存在。かつては拉致した子供たちを人体実験にかけ、ほとんどを殺害した(厳密に言えば殺すこと自体が目的のための手段であった)。本性を現すと尊大な口調で他者を見下す言動を取り、狂気的な哄笑も響かせる。《グノーシス》を服用したものを洗脳することが可能で、更に自分の意識を乗り移らせることもできる。
当初は灰色であった髪の色は、《グノーシス》を服用し続けた影響で水色になってしまう。また睡眠を全く摂らなくても活動できる身体になってしまい、そのおかげで医者の業務と併行して《グノーシス》の研究を行うことが出来た。終盤ではアーネストの主治医であったことが発覚し、またアーネストの市長という地位への異常な執着振りと身体能力の特徴が《グノーシス》とよく似ていたことから黒幕であることを疑われる。それは事実となり、実は数年前から各組織に追われていたところをルバーチェ商会に匿われていたことやキーアを手中に収めようとロイドたちを騙していたことが明らかになる。マルコーニが警備隊の指令と繋がりがあるのを利用して《グノーシス》を「栄養剤」と称して彼らに飲ませ、自身の支配下に置くことで数千にも及ぶ手勢を獲得。クロスベル市を襲撃して占拠し、ロイドたちを捕らえ《グノーシス》によって操り、キーアを説得させ自分のもとへこさせようとしていた。しかし仲間たちの活躍によって包囲網を突破され本拠地としていた「太陽の砦」に突入され、エステルとヨシュアと合流したロイドたちと最期の戦いを繰り広げる。
ランディとエリィからは「(赤い星座以上の)外道」「人でなし」と言われ、エステルとヨシュアからは「ワイスマンよりマシかと思ったがワイスマンの方がまだマシ」「ワイスマンはあそこまで狂気じゃなかった」という評価をくだされる。
戦闘では本来の髪色に戻り、最新型の魔導杖と上位三属性のアーツを用いて戦う。グノーシスの力によってエステルたちの記憶からワイスマンの「魔眼」を真似るが、精度は低く、ロイドの推理に事件の秘された部分を暴かれ、精神が弱ったところを彼の気合によって無効化される。追い詰められたことで上述の《紅の叡智》を服用することで巨大な魔人へと変貌。戦闘の最中、暴走を引き起こし地面から伸ばす腕の攻撃により一行を捉え優位に立つが、レンとパテル=マテルの援護により好機をつかんだロイドたちに倒され、意味深な言葉を遺して消滅する。最期の最期に人の心を取り戻し、それに関しては素直に礼を述べている。
かつての友人であるセイランドからは、有能で熱意もあったが天才というほどズバ抜けた発想の持ち主ではなかったと評されており、《グノーシス》の全貌までは掴んでいなかったと述べている。
釣公師団のクロスベル支部長セルダンは、ヨアヒムの心の奥底に秘めた狂気を見抜けなかったことを重く受け止め、しばらく釣りをやめるように団員たちに手配している。
フラグメントで解析した情報によると、彼がキーアを崇拝するのは《教団》の伝承だけではなく、太陽の砦で実際に彼女の存在を目の当たりにしたからでもある。《儀式》とはグノーシスを服用したものの持つ知識(死んだ場合は魂も)をキーアに送り、やがて人格を成して目覚めさせるための手段であった。ただしヨアヒムはキーアの素性や儀式の全貌は知らず、キーアに情報を送りいずれ目覚めさせることだけを考えていた。なお、改良型である《紅の叡智》の詳細については不明だが、隠しダンジョンにて原料と思しき紅い花を見ることができる。《儀式》での犠牲者たちについては些事としか思っておらず、教団を弾圧した者たちや勝手に私利私欲に走った団員を嘆いていた。
使用するSクラフトは「カラミティスフィア」。上空に魔法陣を形成した後、球体状の怪物を呼び出し、狂気の哄笑と共に刃のように鋭い光線を放ち複数の対象を貫く。
魔人ヨアヒム
「零」におけるラストボス。ロイドたちに追い詰められたことで切り札である《紅のグノーシス》を大量に服用したことで変異した形態。鎧のような皮膚を持つ見上げるほどの巨人。巨体を生かした攻撃と上位アーツを用いる。その強さはヨシュア曰く「アンヘルワイスマン以上」とのこと。ある程度ダメージを与えると皮膚が剥がれ落ち第二形態へと変化する。しかし戦闘の最中、暴走を引き起こし正気を失ったばかりか肉体が崩壊を始め、最終的にロイドたちの総攻撃によって倒されることで人としての心を取り戻し、狂気の果てに死亡した。上述のようにキーアと接続したことで「全てを視る」ことができたため、事件の全貌を知った様子である。
彼を救えなかったことはロイドに少なからず傷を残している。
使用するSクラフトは「超功刃魔道剣」。額の角から落雷を放った後、右手を禍々しい刃に変化させ一気に振り下ろす。第二形態では「罵斗流怒愚魔」というSクラフトを用いる。掌底、膝蹴りと巨体から攻撃を繰り出した後、上空へ飛び上がり右手に炎・左手に氷のアーツを集中させ結合し、闇色の光線として射出する。更には「司空三獣唱」というアーツによる連続攻撃まで使用する。「カラミティクロウ」により移動能力を奪い、「ガリオンタワー」を呼び出し塔から無数の光弾を降り注がせ、最後に「ラストディザスター」によって大地を崩壊させ消滅させる。
セイランド教授
登場作:「碧」
声:大越多佳子
レミフェリア公国の医療機器メーカーであるセイランド社社長の親戚筋の女医。ヨアヒムの後任として赴任してきた。時間にうるさく、会うたびに予想していた時間より何分オーバーしていると口にする。
ヨアヒムとはレミフェリアの医科大学時代の同期であり、卒業してからは会っていなかったがたまに手紙のやり取りを行っていた。彼が医の技術を悪用し自滅したことを悔いている様子。

アルカンシェル

クロスベルの歓楽街に居を構える一大劇団。チケットはすぐに売り切れるほど入手困難であるが、マクダエル市長は古くからのファンのため懇意にしている。団長から団員まで誰もが「劇」という魔物に取り付かれた役者であるため、劇に対する思いはとても強い。

リーシャ・マオ(銀〈イン〉)
登場作:「零」B→S・「碧」P・「閃II」S→P
声:佐藤利奈
入団したばかりの新米団員。17歳。元々は諸国を放浪する旅人だったが、とある切っ掛けでイリアに才能を見出され、強制的に入団させられた挙句に新作の準主役に抜擢されてしまう。気立ての良い頑張り屋で、イリアの猛特訓にも文句一つ言わずに付いて行っている。胸が大きいためか、イリアにたびたび揉まれている他、特務支援課と初対面の際にティオから「とらんじすたぐらまー」と言われている。また、その胸は普段着を購入する際の悩みの種ともなっている。
その正体は東方の裏社会で伝説とまで言われる暗殺者で、身の丈ほどもある大剣を片手で軽々と扱う他、複数の暗器と符術・気功術を使いこなす。《銀》になるときは仮面と黒衣に身を包んで正体を隠すが、ツァオには半ば見抜かれていた模様であり、セシルも見覚えがあるような反応をしている。ツァオに雇われて、ルバーチェ商会の牙城を切り崩している。過去に《痩せ狼》ヴァルターと戦うも、決着がつかずに取り逃がしたことがあると述べている。そのことを聞いたレンからは、実力的に申し分ないはずなのに《結社》の誘いがなかったのを不思議がっている。イリアの元に自分の名をかたる脅迫状が届くと、ロイド達の能力を試すために戦いを挑んでくる。
「碧」の遊撃士救出作戦で《銀》としてロイドたちと行動を共にしていたところ、《身喰らう蛇》の第七柱・《鋼の聖女》アリアンロードと対峙、一行の中でただ1人彼女の神速の突きをさばききるが、ロイドたちの目の前で仮面を砕かれ正体をさらしてしまうことになる。リーシャの父もアリアンロードと対決したことがあり、その兜を砕いた数少ない達人だったという。
ロイドたちの前から気まずそうに立ち去り、その後も正体を隠してイリアと共にアルカンシェルの舞台に立ちつつクロスベルから去ることを考える(この時点で黒月と手を切っていた模様)。しかし公演の最中、シャーリィの襲撃によって再起不能と言われるほどの重傷を負ったイリアを目の当たりにし、殺意をむき出しにする。事件の後はアルカンシェルを去り、《赤い星座》に復讐するため再び黒月と手を組む。だがディーター達によって閉ざされたクロスベルの開放に動き出したロイド達と再会し、イリアの伝言を伝えられると、アーティストとしてのアルカンシェルへの想いをさらけ出す。それを機に黒月を離れ、ロイド達に本格的に協力することになる。
最終局面にて《碧の大樹》で再び対峙したシャーリィに、イリアのことで復讐するつもりはないと述べた上で「血と硝煙の世界に生きるシャーリィでは今の私に勝てない」と告げ、激戦の末に勝利。過去の自分と完全に決別する。《銀》に変装している時の性格はあくまで正体を隠すためであり、素は前述の通り控えめで優しい少女である。
《銀》として変装して行動するときは、気功術で体型や気配を操作して本来の性別や前述にもある胸の大きさを隠しているが、この状態では普段とは異なる筋肉の使い方をしているために本来の力を発揮できていない。
「零」・「碧」共に加入は終章の序盤。
「碧」の終盤の絆イベントでは、ついに自分の素性についてロイドに告白する。幼少から先代《銀》(父)によって母から遠ざけられ、各地を転々と師ながら暗殺器や符術の戦い方を教え込まれた。また日曜学校に通っては人と接する術を学ばされた。《銀》という存在は時代を通して全て同じ必要があるため、どのような状況でどうするのかなど《銀》の行動・思考を完璧に教え込まされていた。特に父親は歴代の《銀》の中でも卓越力を持っており、リーシャは「自分では父の腕には及ばない」と評している。しかし才能も病魔には勝てず死を待つだけの身となってしまい、父親は娘に「自分を殺して《銀》を継げ」と命じる。だがその命令を実行することができず、懊悩する娘を見て父親は苦笑しながら「それもまたお前だ。お前の《銀》はお前が決めろ」と言い残し、この世を去った。そして父の言葉の意味もわからないまま流されるように仕事やコネクションを引き継ぎ、二年後、黒月と長期契約を結びクロスベルへと訪れた。そこで戦場となる市街地の下見をしていた際、イリアに目をつけられ強引に入団させられた。そのことを聞いたロイドは「《銀》という道を捨ててもお父さんは気にせず受け入れ、娘をきちんと愛していた」ことを見抜く。父の愛を知りリーシャもまた涙し、ロイドは彼女がどういう「道」を歩むのか見守らせてもらうと述べ抱きしめたのだった。
オーブメントの属性は「幻」、90%の確率で即死させたり、範囲内の敵に連続攻撃が出来たりとクラフト技に長けるが、ランディやノエルと同じくアーツは不得手。唯一、素で回避能力を持つ。
使用するSクラフトは「幻月の舞」及び「真・幻月の舞」。鉤爪を取り付けた縛鎖を一斉に放ち、拘束した後に刃による一閃で全ての対象を切り裂く。
イリア・プラティエ
登場作:『VII』
声:浅川悠
劇団「アルカンシェル」のトップスター。22歳。
情熱的なダンスと神がかり的な演技力で観客を魅了することから「炎の舞姫」と呼ばれている。豪快でパワフルな性格をしており、舞台以外の細かいことを気にせず、行きずりの旅人であったリーシャを強引に劇団に引きずり込み、自分をストーキングをしていたシュリに対しても、やはり強引にアルカンシェルの下働きにさせると決めるほど。ストーカーや脅迫状はおろか、マフィアのボスすら物怖じしないため、周囲はハラハラしている。リーシャに対してセクハラまがいのスキンシップを図るなど、普段の言動はさながら中年男性。
私生活はかなりだらしなく、部屋は散らかり放題になっており、寝るときはベッドの上で大の字になってイビキをかいてる有様である。また酒豪でもあり、一度にボトル数本を空けるほど飲んでいる。
セシルとは日曜学校以来の親友。アーネストの謀略により脅迫状が送られたが、劇の邪魔になると警察の介入を拒否。しかしセシルとの繋がりからロイドのこと知っており、彼らならばと護衛を受け入れたことで特務支援課と繋がりを持つに至った。ロイドを「弟君」と呼んでいるが、若干からかっている節もある。婚約者であるガイを失って本当に吹っ切れているのかとセシルのことを心配している。
「碧」では、公演中に襲撃してきたシャーリィの攻撃からシュリをかばって一時は意識不明になるほどの重傷を負い、再起不能とまで言われる。だが、リーシャの正体を知ってもなおその身を案じ、ロイドを通してメッセージを送る。必ず舞台に復帰してみせる、と。
エンディングの一枚絵においては、リーシャやシュリと共に舞台で踊っている様が描かれている。
シュリ・アトレイド
登場作:『VII』
声:小林ゆう
ノーザンブリア自治州のスラム街からクロスベルに流れて来た子供。外見や言葉遣いは少年のようだが、れっきとした女の子。13歳。一人称は「オレ」。
「零」では自分の貧しい境遇に対してイリアの光り輝くような人生を垣間見て理不尽な怒りに駆られ、彼女のストーカーとなり不法侵入などの嫌がらせを行っていた。しかしロイドたちに捕まり、イリアに素質を見込まれて自分にも同様にチャンスがあると説得される[注 2]。以後はアルカンシェルで働くようになる。イリアを「さん」づけで呼ぶようになり、リーシャを「リーシャ姉」と呼び慕っている。ただし御用になった際に男だと思って抑えこんできたロイドには、色々なところを触られたのでその後も怨んでいる。
「碧」では特訓の末に舞台デビューを果たす。また、フルネームがあきらかになり、顔グラフィックも追加されている。エンディングの一枚絵では、より女の子らしく成長した姿が描かれ、イリアに抱きつかれている。

クロスベル通信社

グレイス・リン
登場作:『VII』・「閃II」
声:生天目仁美
『クロスベルタイムズ』の女性記者。25歳。
強引かつ体当たりの取材が得意で、性格はかなり図々しい。ある出来事を目撃したときから、特務支援課の活動に興味を持つ。特務支援課のことを皮肉った記事を書いていたが(これにはアリオスも注意している)、段々と変化している。本人曰く、皮肉った記事は「成長を見守る愛」らしい。ガイとは駆け出しの頃に知り合っているため、「ガイの遺志を継いだ人がいるのは嬉しい」と語っている。
マクダエルのことは個人的に応援している。特務支援課のことも応援するようになり「零」の終盤では序盤の皮肉った態度は完全になくなり、過酷な戦いに赴くロイドたちを見て「支援課の活躍をしっかり記事にする」ことを独白した。
レインズ
登場作:『VII』・「閃II」
『クロスベルタイムズ』の新米記者。グレイスと一緒に行動しカメラマンを担当していることが多い。グレイスには同僚以上の感情を持っていることをうかがわせるシーンがある。
双子の兄がいて、オレド自治州で農業をしているとの話だが、兄弟とも実はリベール王国のルーアン市に本社がある、アラン・リシャール退役大佐が起業した「R&Aリサーチ」の諜報員。「the 3rd」にて、名前だけが登場している。
マルセル・ニールセン
登場作:「the 3rd」・「碧」
ゼムリア大陸中を駆け回る、世界的な盲目のフリージャーナリスト。元クロスベルタイムズの記者で、エレボニア帝国がリベール王国に侵攻した「百日戦役」の取材・報道で、七耀暦1192年11月に「フューリッツァ賞」を受賞。その取材中に目の光を失う。
ガイとは旧知、存命時代にはしばしば事件についての情報交換を行っていたようだ。ガイの殺害事件から「碧」までに発生した事件まで、かなりの核心まで行き着いている、恐ろしいまでの情報収集力と推理力を持つ。「碧」では隠しクエスト内で、たびたびロイドの推理を手助けする働きを見せる。
実は「the 3rd」でも登場しており、序盤のルシタニア号ととある扉クエスト中で見ることができる。モブキャラクターの1人として登場しているせいか、グラフィックが「碧」とは異なる。

その他クロスベルの住人

ヴァルド・ヴァレス
登場作:「零」・「碧」B
声:滝下毅龍谷修武(「碧Evo」)
旧市街を根城にする武闘派の不良チーム「サーベルバイパー」のリーダー。20歳。
「テスタメンツ」とは対立しており、幾度も抗争を行ってきた。武闘派らしく高い腕力と凶暴な性格の持ち主だが、見た目に寄らず面倒見も良いので大勢の手下に慕われている。ランディに匹敵する屈強な巨体と鎖付きの改造木刀を得物としている。「零」の序盤ではロイドたちと敵対していたが、終盤ではワジたちと共闘し洗脳された警備隊と互角の戦いを繰り広げ援護に回る。
「碧」ではテスタメンツを去ったワジの下に現れ、去り行く彼に納得できず一騎打ちを挑む。しかし本気を出した彼には歯が立たず、今まで手加減されていたことを知り屈辱を味わい、以後は酒に浸る日々を過ごしていた。そこへマリアベルからスカウトされ、被検体として「青い」グノーシスを授かり、「相性がいい」ことによって暴走せず魔人化(デモナイズ)が可能となった。絶大な《チカラ》を手にした後は特務支援課をおびき出し、圧勝。クロスベル襲撃時は巨大な鬼のような怪物として旧市街を破壊し、マリアベルのアドバイスにより「弱さの象徴」であるかつての同胞たちを手にかけることでより強くなろうとする。しかしアッバスたちに阻まれたため、サーベルバイパーの面々は始末できず時間切れにより撤退した。
ワジとの関係にこだわっており、本当は気の合う友という感じで認識しているようである。《碧の大樹》にて大幅に強くなったロイドたちと戦い、今度は逆に追い詰められることに。体力が尽きても気力だけで立ち向かい、最後は聖痕を発動させたワジと一騎打ちを繰り広げ、連続攻撃によって敗北する。グノーシスに頼らずとも強くなれる資質があることをワジに告げられ、今度はより強くなって雪辱することを誓う。敗北したもののそこに憎悪の色はなく、キーアを気遣い支援課を激励した後に気絶する。
マリアベルたちに協力していたものの、基本的にはやりたいように動くスタンスであり、自分がグノーシスの実験台にされていることは自覚していた模様。同時に彼女の性格は気に入っており、嫌いではなかったと述べている。
その後のエンディングではグノーシスの後遺症の治療のため、ワジたちと共にアルテリア法国へ去り、エンディングではワジと色違いのコートを着た姿が見られる。
幼少の頃は飲んだくれの父親と暮らしていたようだが、父の亡き後は孤独のまま旧市街へ移り住み、サーベルバイパーという「聖地」を築き上げたと語っている。その当時から「力」に固執してとのこと。
魔人ヴァルド
蒼のグノーシスを服用したことで魔人化状態になった姿。その姿は見る者に「鬼」を意識させる。体躯はヨアヒムに劣るものの特務支援課との初対決では圧倒し、作中では走行中の列車を横転させるパワーを見せた。手にした改造木刀は巨大な刃へと変貌しており、Sクラフトにてその破壊力を披露する。
使用するSクラフトは「ファイナルマッドクラッシュ」。踵落としから廻し蹴りに繋げ、蹴り上げを行った後、哄笑と共に手にした刃で幾度も切り刻み、最後に切り下ろしを見舞う。
ヨナ・セイクリッド
登場作:『VII』
声:浜本しおり[4]
元エプスタイン財団所属の少年。13歳。
悪戯が過ぎてトラブルを起こして財団を出奔(家出)し、得意のハッキングでさまざまなデータを盗んで「情報屋」紛いのことを行っている。《銀》はお得意様。ジオフロントの端末室を不法占拠して滞在していたが、ティオに居場所を特定されてしまう。態度が悪く、ジオフロント不法占拠を反省する素振りを全く見せないが、負けたことを含め基本的にティオに対して全く頭が上がらず、言葉遣いが敬語になる。また、《仔猫》ことレンにもハッキング勝負で負けている(このことに関しては、ティオから専門分野ではないので仕方ないと慰められている)。「碧」ではエプスタイン財団に戻るが、財団ではハッキングができないことで不満を持っている。終盤ではロイドたちに協力し、共にメルカバに搭乗した。特務支援課については悪い感情を抱いていないらしく、彼等を心配する。
好物はピザとスナック菓子。引きこもりがちでロイドからも心配されていたが、段々と素直な態度も見せるようになりたまには外に出ることを約束する。
ハロルド・ヘイワース
登場作:『VII』
声:山本圭一郎
アルモリカ村で特務支援課と知り合うことになる、貿易商を営む商人。住宅街地区に自宅がある。しかし2年前までは無茶な商売をしていたため莫大な借金を背負っていたが、イアン弁護士の協力によって借金の返済を完遂。以後は堅実な商売を心がけている。
堅実な商売を信条とし、妻ソフィア(声 - 大越多佳子)や息子コリン(声 - 鎌田梢)にも優しい好人物。アルモリカやマインツの人々からも信頼は厚く、周囲の評価は高い。かつて危険な相場に手をつけて多大な負債を抱えるも、あらゆるコネクションやつてを使い、イアンの助言で1年で全て返済している。ロイド達を特務支援課前まで車で送り、クロスベルの地図を無償で提供したりしているので、気前も良いようである。
レンの実の父親であり、「SC」ではレンが母ソフィアとともに人形のモデルにしていた。レンのスミレ色の髪はハロルド譲りとなっている。
レンは「捨てられた」と思っていたが、本当は借金を返済する間、友人に預けただけであり、借金を全て返済してからレンのことを迎えに行くはずだった。しかし、その前に《教団》による大規模な誘拐計画の巻き添えによって友人の家は火事で全焼、友人一家も全員死亡してしまった。レンの生死すら分からないほどに火災現場の遺体の損傷が酷く、その後も死に物狂いでレンを探したが、結局見つからなかった。妻のソフィアと共に「貧しくても一緒に暮らせばよかった」「娘は自分達が殺したも同然だ」と深く後悔している。
イアン・グリムウッド
登場作:『VII』
声:藤本たかひろ
クロスベル市の西通りで「グリムウッド法律事務所」を営んでいる弁護士。孤児であるピートの後見人となっており、彼を助手にしている。
気さくで人当たりがよく「熊ヒゲ先生」の愛称で親しまれている。市民、商人の他に警察とも懇意であり、生前のガイダドリーセルゲイとはたびたび情報交換を行ってきた間柄である。見た目とは裏腹に優しく、依頼人が貧乏で生活に苦しんでいることを知ると勝手に減額するため、助手のピートに怒られることもある。
実は「碧」における真の黒幕(フィクサー)であり、ディーターを言葉巧みに操り、マリアベルと共に「碧き零の計画」を発動。《零の至宝》によって因果律を組み替え、平和な世界を実現しようとする。表舞台に出るつもりはなかったがディーターが逮捕されたため自ら指揮を取ることになる。
15年前に帝国と共和国の防諜戦の結果飛行機事故により妻子を失っている。同じ日にバニングス家の両親も死んだことからガイと知り合い、以後は親しく付き合っていった。しかしガイにクロイス家の悪事や計画の進行をかぎつけられ、彼がアリオスと戦い、手を休めたところを銃撃し殺害した。イアンこそがガイ・バニングス殺害の真犯人であった。
しかしロイドの説得により、「人の死すらなかったことにするのはそれを乗り越えた人間から成長を奪い、尊厳を傷つける行為」と納得し、計画から手を引こうとする。直後、マリアベルから「用済みの道具」として見捨てられ、彼女の攻撃によって串刺しにされてしまう。急所は外されていたため命に別状はなく、ロイドたちに救出された後逮捕された模様。そのためイアンとは戦わず、ロイドもまた兄の死について恨み言などは一言も述べていない。
助手であるピートのことは実の息子同然に思っており、家族を失った悲しみから徐々に癒され、彼のために計画を取りやめることも考えたが親しかったガイの殺害などで後には引けず、置手紙を残して立ち去ってしまう。
ロバーツ
登場作:『VII』
声:大川透
エプスタイン財団所属の導力ネットワークの専門家。現在はクロスベルにある財団支部の責任者をしている。
一応はティオの上司だが、魔導杖開発チームの直属ではない。ティオのことを実の娘のように心配しており、依頼を通じてロイドを試したり、ティオのご機嫌を取ろうとしたりしている。しかし行き過ぎた心配のためにうっとうしがられている(ただし理解はされており、優秀であるとティオに言われている)。またヨナのことも心配しており、彼がチームに戻った時は喜びながらも勝手ができないように個室を与えるなど配慮もしている。
「碧」の終盤、クロスベル解放作戦ではオルキスタワーにハッキングすることでロイドたちを援護する。
ウェンディ
登場作:『VII』
ロイドの幼馴染で、オーバルストア「ゲンテン」の技術士。
鉄道技士である父フェイの影響を受け、導力技師になることに夢を持っていた。クロスベル市内のオーバル技術工房「ゲンテン工房」の技術職人見習いとして、ギヨームの下で修行中、店長の営業方針の趣旨替えの際に技術士として残留した。性格は職人気質なところがあり、客相手に怒ってスパナで殴らないかと、ロイドや共通の友人であるオスカーは心配している。
オスカー
登場作:『VII』
ロイドの幼馴染で、ベーカリーカフェ「モルジュ」のパン職人。また、ロイド曰く「ハンサムで昔からモテていた」らしい。
大雑把な性格。パン職人として弟子入りしてからパン作りの腕を上げているらしく、『クロスベルタイムズ』にて紹介されるほど。モルジュの娘であるベネットからはライバル視されているが、本人にその自覚はない模様。
イメルダ
登場作:『VII』
クロスベル市の裏通りでアンティークショップを営む老婆。多数の私有地をクロスベルに有する富豪で、所有する土地の経営管理が本業であり、アンティークショップは半ば道楽で行っている。裏社会の事情にも通じており、過激な発言でロイド達に冷や汗をかかせることも多い。キーアの率直な言い草を全く気にしないどころか、気に入ってしまう。
ヨルグのこともあり、レンと面識がある。レンも時折、イメルダのアンティークショップに顔を出す。
アシュリー
登場作:『VII』
声:佐藤智恵
旧市街で闇商店「ナインヴァリ」を営む女主人。違法な武器類の販売や他では手に入らない道具類を扱っている他、裏社会のさまざまな情報に通じており、ガイやダドリー、ランディとも顔見知りである。シグムントのことも知っている。裏社会を生きてきただけあって武器の扱いにも長けており、魔人化したヴァルドが旧市街を襲撃してきたときは大型の導力砲で応戦している。
ジンゴ
登場作:『VII』
アシュリーの娘で普段は「ナインヴァリ」の店番をしている。幼いながらもイメルダに負けず劣らず過激な発言が多く、ロイド達を呆れさせることが多い他、屋根の上でリュートをかき鳴らしていたオリビエを突き落とすなど、かなり乱暴な性格をしている。一方で旧市街が襲撃を受けた際、落ち着いた対応をするなどメンタル面が強く、街で見かけたリースレクターの本質を一目で見抜くなど、しっかりした観察眼を持っている。
ガンツ
登場作:『VII』
声:松本大督
マインツで鉱員として働く男。ギャンブル依存症であり、働いてはギャンブルに通うのが日課であるが、勝ち運には恵まれていない。
「碧」ではある程度改心し、ギャンブル依存からは脱出しつつある。
ギヨーム
登場作:『VII』
声:田中大文
旧市街で「ギヨーム工房」というジャンク屋を経営している大柄な男。
以前はオーバルストア「ゲンテン」でウェンディの上司として働いていたが、紆余曲折の末、現在に至る。元エプスタイン財団の技師であり、ロバーツとの面識がある。

エレボニア帝国

大陸西部に位置する巨大軍事国家。『閃』の舞台であり、さまざまな伝承が残っている。隣接するノルド高原の領有権争いなど、隣国のカルバード共和国とは犬猿の仲にある。

トールズ士官学院

帝国の中興の祖、ドライケルス大帝が開いた歴史ある士官学校。開校時に大帝が残した言葉「世の礎となれ」をモットーとしている。皇族の男子が通うことでも知られるが、近年は革新派と貴族派の対立の影響を受けており、校内で平民生徒と貴族生徒とのいさかいが起こることも多い。

暗黒時代の遺跡だと思われるヴァリマールの封印されていた《旧校舎》が存在する場所でもある。

特科クラス VII組

オリヴァルト皇子の発案で誕生した新しいクラス。表向きは新型オーブメント「ARCUS」の運用テストを行うためとしているが、実際にはさまざまな状況に対応できる人材を育成するのが目的となっており、『閃の軌跡』における主人公たちとなる。

リィン・シュバルツァー
登場作:「閃I」P・「閃II」P/B
声:内山昂輝
『閃』の主人公。帝国北部、温泉郷ユミルを治めるシュバルツァー男爵家の養子。17歳。
芯のあるまっすぐな性格で、誰とでも打ち解けられる人の良さを備えるが、養子であることに引け目を感じており、自分が家督を継ぐべきではないと考えている。その為にどこか影を落とすような謙虚さも備えている。7年前に剣客ユン・カーファイと出会い、弟子として「八葉一刀流」の指南を受けてきたが、ある事件で「本気を出せない」性格になったために剣の道に限界を感じており、老師から修行を打ち切られる形で「初伝」を授かるに留まっている(「閃I」終章直前に「中伝」に昇格した[5]。貴族の養子であるため正当な貴族ではなく、だが平民のように有権者に対して謙ったり嫉妬したりもせず、利害関係なく他者を守るために行動できる人物である。そういった重複的な身の上のためサラからは「VII組の重心(決して中心ではない)」と位置付けられていたが、その意図と本人の資質もあり、次第に仲間たちから認められ始め、また彼らの架け橋となったことで個性豊かなVII組のリーダーとなっていく(本人は否定しているが、外部の人間であるクレアも同じ見解を持つ)。一方で、アリサ等女性メンバーの好意には非常に鈍感であったり(「閃II」での絆イベントを終章まで進めると一部を除いて恋仲になるが)、年下であるアルティナの頭を(本人に悪意が無いとは言え)無作為に撫でたりしたりする等異性に対する関心性が薄い(アルティナ曰く「不埒な人」)。また義理の妹のエリゼに対しては、女学院入学を期に少しよそよそしくなったことを寂しく思っているが、誤解が解けてからは過保護なシスコン的一面を見せるようになる(パトリック曰く「妹のことになると問答無用」)。
シュバルツァー男爵が雪の日に拾った浮浪児であり、名前以外何一つ覚えていないなど、その出生には謎が多い。胸にはいつからあるか分からない謎のがあり、時折うずくことがある。また、自身の内に秘められた「力」を恐れており、その事が原因で「本気を出せない」性格になってしまう。学園の旧校舎でエリゼが危機に陥った時に秘められた「力」を解放した時は、髪が白く瞳は真紅となり、普段とは比較にならない圧倒的な力と獣のような荒々しい戦いぶりを見せる。
VII組メンバーの中で唯一部活に所属していない。代わりに入学して間もなくサラの差し金が発端となって、学内やトリスタの街から寄せられた生徒会への依頼事の一部を毎月処理する仕事をすることになる(いわゆるクエスト・依頼)。
「閃I」の最終盤に巨大な人型兵器《灰の騎神》ヴァリマールの「起動者ライザー」として覚醒し、その力でトリスタの街に襲撃してきた帝国解放戦線の機甲兵を圧倒する。しかし直後に現れた《C》の操る人型兵器《蒼の騎神》オルディーネに敗れ、守るべきクラスメイト達に逆に守られる形でヴァリマールの緊急装置により無念の撤退を強いられてしまう。
「閃II」ではオルディーネとの戦闘後(「閃I」の戦闘終了から約1カ月後)にアイゼンガルド連峰にて目が覚め、初期はセリーヌと行動を共にすることとなる。仲間との再会や支えを受け、そしてアルフィンによってエリゼの真意を伝えられたことで精神的成長を遂げ、物語中盤にて自身の秘められた力を完全に自分のものとする。そして《灰の騎神》ヴァリマールの「起動者」として学院生たちの中心に立ち、カレイジャスに乗って内戦の終結に尽力する。
終章、煌魔城の決戦ではクロウと一騎打ちを行い見事勝利、復活した《緋き終焉の魔王》エンド・オブ・ヴァーミリオンを退けることに成功するが、「クロウを連れて帰る」という先輩たちとの約束は果たせなかった。淡々と後処理を指揮するオズボーンに掴みかかるが、ルーファスに諭された際にオズボーンこそが自分の本当の父親であると思い出す。
「閃II」終章の後、内乱を終結させた功績から《灰色の騎士》として英雄視される。ヴァリマールと共にクロスベル平定にも協力した。VII組解散後は学院に残るという選択をした。
武器は太刀。八葉一刀流による強力な遅延技と範囲攻撃を持つ。「閃II」からは中盤に取得するクラフト、「神気合一」を使うことで一時的に能力とクラフト大幅に強化できる。オーブメントの属性は時と火。同じく八葉一刀流の剣士アリオス・マクレインが用いる技の一部を使用できる。
使用するSクラフトは「焔の太刀」及び「蒼焔の太刀」。焔をまとった太刀による居合い切りを披露する。最終Sクラフトは「終の太刀・暁」。閃光の如き超スピードで連続斬撃を見舞い、「閃の軌跡」が夜明けの陽光のように輝き斬断する。
アリサ・ラインフォルト
登場作:『閃』P
声:堀江由衣
帝国最大の重工業メーカー、ラインフォルトグループの令嬢。17歳。長い金髪と羽を模した髪飾りを付け、お嬢様風の容姿をしている。
はっきりとした物言いで一見きつい印象だが人のことを気にかけることができ、たとえ怒っていても相手のことを思いやらずにいられない、いわゆるツンデレな性格。家族のことを顧みず仕事に打ち込む冷徹な母親イリーナへの反発から士官学校入りを決めた。近代兵器の製造を生業とする実家へのあてつけの意味も込めて武術でも伝統的な弓術を選択。しかし母親が理事をしている士官学院に入学してしまった上、学費も母親が払っているなど完全に親離れできていない。
入学式後のクラスオリエンテーションで起きたとあるアクシデントからリィンを一方的に敵視してしまう。本人に悪気がなかったことは理解しており、授業中に教官から質問されたリィンをアシストするなどどうにか仲直りをしようとタイミングをうかがうも、なかなか素直になれない意地っ張りなところもある。入学後はラクロス部に所属。
母親譲りの商才と父親譲りの技師としての才能を持つ。導力分野については士官学院入学前から独学で勉強していたとのこと。
ラインフォルト家に仕えるメイドのシャロンとは、過保護で有能な彼女に対し恥ずかしさから反発することはあるものの、実の姉妹のように仲がいい。
母と祖父の対立に苦悩しており、かつてのような仲の良い家族に戻ってほしいと願っているが、何でも抱え込んでしまう性格から他人にそのことを相談できずに1人で悩み続ける。しかし特別実習を通じてリィンに初めてそのことを相談し、励まされる言葉をかけられ、その後も共に過ごしていく中で徐々にリィンに恋愛感情を抱くようになる。「閃II」ではそれが顕著に現れており再会した折から彼に抱きついたり、絆イベントではリィンとヴァリマールの内部に乗る、終章ではリィンと恋仲になった際に彼に口づけする等「閃」におけるヒロイン的な扱いが強い。一方でリィンの女性絡みの話題になると あからさまに不機嫌になるような嫉妬深い一面もある。彼の義妹エリゼも同じ思いを持ち、その鈍感さに頭を悩ませていることから「本当に(自分と)意見が合いそう」と親近感を持っている。
「閃II」では当初ガイウス、ミリアムと共にノルド高原に潜伏していた。VII組解散後はラインフォルトグループに戻り、母と祖父のもとで後継者としての勉強に努める。
武器は導力式の弓。幼少期にシャロンより学んだ弓術による攻撃を繰り出し、優秀なサポートクラフトを持つ。オーブメントの属性は火と空。
エリオット・クレイグ
登場作:『閃』P
声:白石涼子
帝都出身の音楽好きの少年。16歳。
父は軍人ながら、姉のフィオナと共にピアノ教師である母の薫陶を強く受けた音楽一家であり、自身も将来は音楽家を志望していた。しかし父オーラフから音楽院への入学を許されなかったため、部活で音楽を続けることができ、卒業生の半分は任官していないトールズ士官学院に進学した。士官学院入学まで武術の経験は皆無に等しく、「適性があるらしい」という理由で魔導杖のテスト要員に参加したとのこと。
楽器の演奏に関しては妥協を許さないために、あるイベントでVII組メンバーに音楽を教えることとなった時は人が変わったようなスパルタぶりや有無を言わさない圧力を見せ、他のVII組メンバー全員を閉口させる。実家の自室もあらゆる種類の楽器や大量の楽譜が揃えられており、趣味の範疇を超えているとまで言われる。年上の女性受けする容姿のため、帝都にいた頃はちょっとした怪我で近所のお姉さん達が大騒ぎすることもあったらしい。入学後は吹奏楽部に所属し、ヴァイオリンを担当する。
「閃II」では当初マキアス、フィーと共にケルディック方面に潜伏していた。VII組解散後は帝都の音楽院に編入する。
武器は魔導杖(男女兼用と男性用)。音楽に乗せて放たれるクラフトを使用。そのためクラフトでは様々な楽器を使用する。特に回復効果の高いサポートクラフトを持つ。オーブメントの属性は水と空。
ラウラ・S・アルゼイド
登場作:『閃』P
声:伊瀬茉莉也
レグラム地方を治めるアルゼイド子爵家の息女。17歳。青髪の長髪を持つ長身の女性。
帝国内でも高名な剣術流派「アルゼイド流」を修めており、その流派の継承者で《光の剣匠》とうたわれる帝国最強の剣士の1人ヴィクター・S・アルゼイド子爵を父に持ち、その実力は新入生最強と言われる。貴族ではあるが身分の貴賎を問わずに誰でも平等に接する。普段から凛々しい立ち居振る舞いをしているため、一部の女子には「お姉さま」と呼ばれて熱烈に慕われている。入学後は水泳部に所属する。
寝る前には素振りを欠かさないようにしたり、リィンにも手合わせを願おうとするなど自らを高めることに余念がない。男手一つで育てられて男勝りの実力者に成長したため、父親のヴィクターからは学内での交友関係を心配されている。また彼から見てリィンに対しては(VII組で共に時を過ごす内に)友人以上の想いを抱くようになっていると見られている。正道から外れたものを認められない性格から戦い方に大きな違いのある猟兵のことを認められず、元猟兵のフィーと一時険悪になるが、後に帝都での特別実習中に私闘を行い、折り合いをつけて和解する。パワータイプのラウラとスピードタイプのフィーとは本来相性の良い組み合わせのため、リィンは2人のコンビを「最強」と評する。
分け隔てなく接する優しい性格のため、領民から家臣まで慕われておりレグラムではかなりの人気者。特に女性人気は高く一緒に男性がいると嫉妬されて関係を疑われるほど。祖先はリアンヌ・サンドロットの腹心であり副隊長を務めていたという。そのため聖女はラウラにとって憧れの存在であり、いつかは彼女のようになりたいと考えている。
「閃II」では当初ユーシス、エマと共にレグラム方面に潜伏していた。来訪してきたオーレリア将軍やウォレス准将と対面するなど、不在のヴィクターに代わり領主の仕事も行っている。また、アルゼイド家に含みのあるデュバリィに対しても、真摯に接するなど器の大きさを見せた。VII組解散後はヴィクターのもとで剣の修行に打ち込んでいる。アリアンロードの弟子である剛毅のアイネスと同じ技を使用できる。
武器は身の丈ほどの大きさを誇る両手剣で、戦闘では敵に剣の重量も活かした強烈な攻撃を放つ。オーブメントの属性は水と火。
マキアス・レーグニッツ
登場作:『閃』P
声:佐藤拓也
帝都知事カール・レーグニッツの息子。17歳。平民出身。
入試の成績は第2位で、座学は学年でもトップクラスの成績。入学後はVII組の副委員長となる。大変な努力家で、勉学では入試首席のエマに負けまいと普段から努力を続けている。帝国の貴族制を公然と批判するなど、クラス内でも極めて貴族に対して嫌悪感を表している。特にユーシスとは非常にそりが悪く、当初は互いに毛嫌いし協調性など皆無であり、それが「VII組」が行った特別実習の評価を下げるほどにまで至っていた(落第してもおかしくないという)。また「男爵の養子」であることを隠していたリィンに対しても「嘘をつく人間は信用できない」と侮蔑も露わにしている。しかしリィンやユーシスの人間性・境遇を知り、ほだされ、次第に考えを改めていく。入学後は父に仕込まれたこともあったことからチェス部に所属する。
貴族への憎しみは、近所に住んでいた従姉――9歳年上の「姉さん」が裏切りを受けたことから端を発している。マキアスが幼少の頃から従姉はよく遊びに着ており、早くから母を亡くしたレーグニッツ親子にとって家族同然であったという。マキアスも好意を抱いていたが、後に父の部下に当たる青年(伯爵家の嫡子)と従姉が恋仲になり、嫉妬しながらも彼女の幸せのためにと自分の気持ちを押さえ込んでいた。相手の男も貴族らしい傲慢さはなく父カールが仲人に立つ形で二人は婚約。しかし青年の実家である伯爵家が二人の仲を引き裂こうと脅迫を始めてきた。脅迫の理由は四大名門の一つカイエン公爵家と縁談が持ち上がったため。カールが都庁の幹部だったため狙いは従姉に向けられ、彼女は嫌がらせを受けながらもレーグニッツ親子を心配させまいと耐え続け、やがて青年から「愛妾として大事にするから我慢してほしい」と裏切られたことで自害。自ら命を絶ちこの世を去った。やり場のない怒りに刈られたマキアスは、婚約者を、伯爵家を、そしてカイエン公爵家を「敵」と考え、やがてその憎悪は全ての貴族とその文化にまで向けられていった。彼らと戦えるだけの力を求め始め現在に至る。しかしリィンとラウラという強く誠実な貴族の存在に触れ、仲間たちに自分の過去と心境を打ち明ける。善人や悪人に貴族も平民も関係なく、身分が違っても尊敬できる人間はいると。そのため全ての貴族を憎んでいるというわけではなく、物語が進むにつれ貴族の子弟とも人間関係は醸成されていく(ただしユーシスとは「喧嘩をするほど仲がいい」という具合)。リィンに対するわだかまりは完全に解け、ユーシスに対しても必要以上に攻撃的ではなくなった。
「閃II」では当初エリオット、フィーと共にケルディック方面に潜伏していた。VII組解散後は帝都の政治学院に編入する。
武器は導力式のショットガン。装填する弾丸によって回復や状態異常の効果を相手に与えるクラフトを持つ。オーブメントの属性は地と幻。
ユーシス・アルバレア
登場作:『閃』P
声:立花慎之介
四大名門の一つアルバレア公爵家の次男。17歳。
普段から偉そうな言動をしているが決して悪気があるわけではなく、基本的には人情のある人物で必要以上にへりくだられることを嫌う。自身の家名のためにこびを売ってくる生徒にはうんざりしており、学内にある貴族専用サロンには行こうとしない。マキアスとは彼の貴族嫌いの言動に対して火に油を注ぐような言動を返すために入学後から険悪な関係が続いていたが、実家のあるバリアハートでの特別実習を通してそれは大幅に改善される。もともと馬好きであったことから入学後は馬術部に所属する。
兄のルーファスを慕っており、剣術や作法は全て彼から教わった。実はの子であり、父であるアルバレア公には関心を向けられていない。そうした生い立ちのためか平民の子供達には意外に心優しく、彼らから慕われている。ミリアムがVII組に編入してからは彼女に妙に懐かれてしまい、奔放な性格に振り回されている。
「閃II」では当初ラウラ、エマと共にレグラム方面に潜伏していたが、単独でバリアハート方面へ移動する。その後しばらくは本意でないながらも領邦軍の指揮などを行っていたが、リィン達が各地で活動を始めたことを察知するとサラ教官に連絡を取るなどして準備をし実家と決別しVII組に合流する。父ヘルムートがケルディック焼き討ちを行った際は、自らの手で父を拘束した。VII組解散後はバリアハートに戻り領主代行として職務をこなしている。
武器は騎士剣。左手を腰に添えた独特の構えから、兄より学んだ伝統的な宮廷剣術による攻撃を繰り出す。オーブメントの属性は風と空。
エマ・ミルスティン
登場作:『閃』P
声:早見沙織
辺境出身の奨学生。17歳。三つ編みと眼鏡が特徴のおっとりした性格の女子。かなりの巨乳
性格はおしとやかでかつ控え目。他人を思いやる優しさを持っており、癖の強いVII組の中で一番の常識人。VII組の女子の中で一番スタイルが良く、さらに眼鏡を外して髪をほどくとVII組メンバー全員が感嘆しアリサが「(隠すのが)もったいない」と評するほどの美少女で、高い歌唱力も持つ。
平民出身で実家も裕福ではなかったが、高等教育に興味があったため、奨学金制度が充実していた士官学院に入学する。入学後はVII組の委員長となり、仲間内からは主に「委員長」と呼ばれ、面倒見のいい委員長として身分に関係なくクラス全員から信頼されている。入試を首席で通過するほど成績優秀で、その後も学年トップの成績を誇るために入試2位のマキアスからはライバル視されている。祖母から教わったハーブの知識が豊富で伝承やおまじないなども詳しい。武術面ではエリオットと同様、適性を見込まれて魔導杖のテスト要員となる。入学後は文芸部に入部するが、その部長がいわゆる腐女子のために事あるごとにその道に引きずり込まれようとしていて困っている。
具体的な出身地が不明、怪我の急速な治癒や開錠などオーブメントに由来しない魔法のような力が使えるなど、VII組初期メンバーではもっとも謎が多かった。その正体は帝国の歴史の裏で暗躍してきた《魔女の眷属ヘクセンブリード》の末裔。騎神と起動者を導くという魔女としての使命のため、《灰の騎神》ヴァリマールの封印されているトールズ士官学院に入学した。先述した魔法以外にも限定的な記憶操作や空間転移といった魔法を使うことができる。「外の理」についても何か知っているようだが、マクバーンに「それ以上は止めときな」と遮られたため不明。
猫のセリーヌはお目付け役であり、姉妹のような関係でもある。ヴィータのことを「姉さん」と呼び慕っており、里を抜けた彼女のことを気にかけている。
「閃II」では当初ラウラ、ユーシスと共にレグラム方面に潜伏していた。再会したリィンに対しずっと秘密を隠してきた自分は組のメンバーでいる資格はないと言うが、彼からは改めて仲間として受け入れられる。VII組解散後はセリーヌと共に消息不明となったヴィータを探している。
武器は魔導杖(男女兼用と女性用)。同じ武器を使うエリオットに比べるとアーツ面での攻撃能力が高い。オーブメントの属性は火と幻。
フィー・クラウゼル
登場作:『閃』P
声:金元寿子
ショートの銀髪をラフに切りそろえた少女。15歳。
若干面倒くさがりでネコのようにどこでも寝る癖がある。生い立ちや周囲より年齢が若いことから勉強は苦手なようで、課目によっては日曜学校で習っているはずの内容をエマやアリサから教わることもある。試験の成績はクラス内最下位だったものの99人中72位と健闘した。アリサからはもっと上を狙えるとも評されている。小柄な体格ながらも、校舎の2階から飛び降りて平然としていたり、高所へ壁伝いに簡単に飛び上るなどの驚異的な身体能力を持つ。また、戦場で培われたことから戦術眼・状況判断力・分析力・察知能力等に非常に長けており、緊急時や戦闘ではその力を遺憾なく発揮している。
人付き合いは悪くなく、真顔で辛辣な冗談を飛ばすこともあるが、自分の出身や過去については積極的に語ろうとしない。
元は幼少時に大陸最強の猟兵団《西風の旅団》に拾われた孤児。戦闘技術を団員達に教わり、10歳頃から各地を転戦してやがて《西風の妖精シルフィード》とあだ名された凄腕の猟兵にまで成長した。しかし団長の「猟兵王」が赤い星座の「闘神」と一騎討ちの末に相討ちとなった後、団長を失った西風の旅団は解散状態になる。他の団員が自分を残して去っていき途方に暮れていたところをサラに半ば強引に連れてこられる形で士官学院に入学した(サラとは「猟兵と遊撃士」として交戦経験があったようである)。ラウラにもその素性が知れた後は猟兵嫌いの彼女との間に一時不穏な空気を漂わせていたが、帝都での特別実習を通して和解し、以後は強力なコンビを組むようになる。自身と同様、本当の両親の顔を知らないという共通点からリィンに対して親近感を持っている。また一緒にいると「居心地が良い」「安心する」といった具合にかなり懐いている様子である。
入学後は園芸部に所属し、旅団所属時に仲間から手に入れた植物の種を育て始める。
「閃II」では当初エリオット、マキアスと共にケルディック方面に潜伏していた。合流後、かつての仲間であるゼノレオニダスと敵として再会する。煌魔城の戦いでは士官学院に入学してから培ってきた思いを打ち明け彼らに成長を認められ、フィーは団長の意向で猟兵の世界から足を洗うよう仕向けられたこと、団のメンバーは壮健であることを伝えられた。VII組解散後は西風の旅団の目的と行動を探るべく活動している。
武器は拳銃と短剣が一体化した「銃剣(ガンソード)」の二刀流「双銃剣(ダブルガンソード)」。普段腰に身につけているウェストポーチには閃光手榴弾(フラッシュグレネード)や破壊工作用の可塑性の高性能爆薬が入っている。また、寮の部屋には弾薬を備蓄している。
『閃』のプレイヤーキャラクター中最速のスピードを誇り、戦闘では主に斬撃での攻撃を行いクラフトで銃撃も繰り出す他、上述の閃光手榴弾による爆撃を行うクラフトも持つ。フィールドアクションでは間合いに応じて斬撃と銃撃を使い分ける特殊な攻撃を行う。オーブメントの属性は風と時。
ガイウス・ウォーゼル
登場作:『閃』P
声:細谷佳正
帝国・共和国の国境に面するノルド高原で生活する遊牧民の少年。17歳。
褐色の肌に長身の偉丈夫。4人兄弟の長男で、弟と2人の妹には「あんちゃん」と呼ばれ慕われている。辺境の地でも巡回神父による日曜学校の授業を真面目に受けており、またその際ノルド高原を取り巻く領有権問題等の政情についても教わった。そのため、「外の世界」の論理で故郷が戦火に巻き込まれかねないということに危機感を覚えている。
ゼクス中将がゼンダー門に着任したころ、魔獣の群れの襲撃を受けていたところを助太刀したことで、士官学校への入学を勧められ、「故郷を守るため、敢えて故郷を取り巻く外の世界に飛びこむ」ことを即決した。帝国の文化や制度には疎いためリィンやエリオットに教わっているが、それ故に先入観にとらわれない本質を突いた疑問を発することもある。絵を描くのが趣味で、故郷にいたころは我流でノルドの風景を描いていた。入学後は絵の専門的な技術を学べるということから美術部に所属する。
「閃II」では当初aアリサ、ミリアムと共にノルド高原に潜伏していた。VII組解散後は故郷に帰還する。
武器は身の丈を超える長さの十字槍。幼少より狼相手に磨かれた故郷に伝わる伝統の騎馬槍術による攻撃を繰り出す。オーブメントの属性は風と地。
ミリアム・オライオン
登場作:『閃』P
声:小岩井ことり
水色の短髪を持つ謎の少女。13歳。謎の巨大傀儡くぐつ「アガートラム」を連れており、帝国各地を飛び回っている。非常に呑気かつ無邪気で人懐っこい性格をしている。
その正体は帝国軍情報局に所属する軍人で、コードネームは《白兎ホワイトラビット》。レクタークレアと同じオズボーン子飼いの《鉄血の子供たちアイアンブリード》の一員で、オズボーンの指示を受けてさまざまな任務に就いている。そのためか基本的には無邪気だが、状況によっては軍人としての一面も見せる。当初からARCUSも持っており、VII組メンバーとも戦術リンクを結んでの攻撃を行うことができる。
リィン達とは出会った直後、その時の自分の任務に利用できるかどうか実力を試すために襲いかかってくるが、その実力を認めた後は自ら同行を申し出る。任務が終わった後は彼らと別れたが、「閃I」の物語後半である任務を帯びてVII組に編入し、リィン達の仲間となる。任務で編入した学院ではあるが、本人はとても軍人とは思えないほどに学生生活を満喫している。VII組のことは気に入っており、『閃』の物語の最後まで彼らに協力し続ける。
編入後の実習中はたびたび機密情報としか思えない情報や知人の個人情報を気軽に話したり(ただし本当に最重要なものは必要な時が来るか重要性が失われる時まで話そうとはしない)、事あるごとにアガートラムを呼び出して強引に力任せに解決しようとするため、VII組メンバーからその度に呆れられている。編入後は調理部に入部する。オバケや幽霊の類を大の苦手とする。
「閃II」では当初アリサ、ガイウスと共にノルド高原に潜伏していた。度々敵として現れるアルティナを気にかけている。後日談で、アルティナと共に「黒の工房」でアガートラムやクラウ・ソラスのような巨大傀儡とリンクできるように調整された「“お母さん”から生まれたのとは違う“造られた子供”」であることが明かされる(製造No.はミリアムの方が1つ上らしい)。黒の工房の場所や自分たちの事についての情報は“出荷”の際に抹消されているそうで、本人としてのちゃんとした記憶があるのはオズボーンのところで目を醒ました5年くらい前からだという。レクターやクレアとはその際に知り合った模様。VII組解散後は情報局に復帰した。
武器は上述の傀儡「アガートラム」で、ミリアムがこれを操って殴打させるのが通常攻撃。そのため、得物を持たない変わり者。自身はアーツによる攻撃を行う。オーブメントの属性は地と幻。
アガートラム
ミリアムが連れている銀色の浮遊する謎の巨大傀儡。金属とも陶器とも言えない不思議な物質で出来ており、彼女からは「ガーちゃん」と呼ばれている。外見は胴体と巨大な腕だけで足がなく、普段は地面の上を浮遊しているが、片腕にミリアムを乗せて高度の空を飛ぶこともできる。自律式AIを組み込まれているのかミリアムとの意思疎通も行え、彼女の発言に謎の機械言語による返答を返す。詳細な機能は不明だが、普段は姿を消してミリアムに付いて行っており、彼女の指示によって姿を見せてさまざまな行動を行う。
戦闘面ではミリアムの指示に従って剛腕による殴打を繰り出す他、ビームの照射やバリアの展開も行える。また自在に形状を変えることもでき、ミリアムの一部のクラフトやSクラフトでは、巨大な球体やハンマーに変形して強烈な攻撃を行うものとなっている。

教職員

サラ・バレスタイン
登場作:「閃」S、「閃II」P
声:豊口めぐみ
VII組の担任であり、武術・実践技術担当。25歳。巨乳
美人だが、好みのタイプが中年の渋いオジサマだったり、昼間からビールを飲むなどだらしない私生活を過ごしており、同僚のナイトハルトやハインリッヒ教頭からは快く思われていない。普段の生活態度がVII組メンバーにもよく知られているために、彼らに時々真面目な顔で感動的な言葉をかけてもギャップがあり過ぎて笑いを買ってしまう。「女は二十代後半からが本番」と述べているが実際は嫁き遅れによる負け惜しみであり、年上が趣味と言うのもそこから来るものらしい。
以前は最年少でA級遊撃士となり《紫電エクレール》もしくは「《紫電しでん》のバレスタイン」の異名で知られた凄腕の遊撃士で、かつては帝国内のギルド支部で忙しくも充実した日々を過ごしていた。しかしカシウスの介入により解決した「帝国遊撃ギルド連続襲撃事件」以後オズボーンからの圧力によって支部の規模が大幅に縮小されてしまい、後に復興した際の集結を仲間と約束してギルドを離れざるをえなくなってしまう。その後オリヴァルトの意を受けてVII組設立のための人材を求めていたヴァンダイクにより拾われ、士官学院の教官として再就職して今に至っている。その経緯のためオズボーンに対しては良い印象を持っておらず、内心怒り心頭の思いを抱いている。また宰相子飼いの《鉄血の子供たち》に対してもいい感情は見せない。シャロン・クルーガーとは過去対決した事があり、一方的に嫌っている。更には教官のナイトハルトとも仲がよくないなど、反りの合わない相手が多い(ただし殆どサラのほうから一方的に皮肉ることが多い)。
ナイトハルトとは普段はそりが合わないが、いざ戦闘になると(本人達は頑として否定しているが)息のあったコンビネーションを見せる。
武器は赤黒い装飾の片手剣と導力銃をそれぞれ右手と左手に持つ二刀流。2種の武器を自在に使いこなし、異名通りの紫色の電流をまとった苛烈な攻撃を繰り出す。オーブメントの属性は風と火。
ノーザンブリア自治州出身で、遊撃士になる前は「北の猟兵」に所属していたことが「閃II」で判明する。
ナイトハルト
登場作:『閃』
声:松原大典
軍事学を担当する教官として帝国軍から出向している現役の軍人で、階級は少佐。帝国軍第四機甲師団に所属しており、その中でも実力はエース級で「《剛撃》のナイトハルト」の異名を持つ。学生時代から同期のミュラーとほぼ互角の実力を持っており、帝国軍の若手の双璧と並び称されている。上司である師団長がエリオットの父親のため、彼とは入学以前から面識があった。生真面目な性格のためサラとよく対立するが、酔いつぶれたサラを学生寮まで送り届けるなど律儀なところもある。
武器は剣を使用し、貴族連合から鹵獲した機甲兵シュピーゲルも乗りこなす卓越した戦闘技術を誇る。
ヴァンダイク
登場作:『閃』
声:堀井真吾
士官学院の学院長。学院運営に直接口出しできる立場ではないが、理事会における舵取りを行い、教え子であるオリヴァルト皇子をサポートする。帝国正規軍の名誉元帥で退役した今もなお威厳を放っており、現役時代はオズボーンの上司だった。その実力は装甲車を斬馬刀で両断するほど。
内戦が始まりトリスタが貴族連合に占拠されてから、トールズ士官学院に長らく軟禁されていたが、貴族連合から学院の管理を委託されたパトリックの率いる騎士団によって軟禁は解かれており、リィンとパトリックの決着を見届けた。旧知の仲であるオットー元締めの死に対して何もできなかったと後悔するが、この内戦に一石を投じるのは自分の役目ではないとリィンたち若人の健闘を祈った。
ハインリッヒ
登場作:『閃』
士官学院の教頭であり政治経済を担当。男爵位をもっており規律に厳しく神経質。生徒や他の教官への小言が多いが、ベアトリクス教官には頭が上がらない。その小言の多さから生徒たちに煙たがられているが、学院生の将来を第一に考えており、入学当初に比べるとリィンたちへの態度も幾分か柔らかくなっている。
周囲には隠し通しているが、リーシャの大ファンでもあり、今後のクロスベルの動向が心配で、オズボーンの要請でクロスベルに滞在していたリィンにはたびたびアルカンシェルの話題を聞き出そうとしている。
トマス・ライサンダー
登場作:『閃』
声:松本考平
帝国史・文学を担当する教官。のほほんとした性格だが各地の伝承に造詣が深く、興奮するとつい話が長くなってしまう。そのためサラやナイトハルトから避けられているが本人は気づいていない。
中世の魔法使いに憧れていたという理由で汎用魔導杖が扱え、高位アーツを使用できるほどの技量を持つ。
内戦が始まって以降、学院長の命を受け各地に散らばった生徒たちの安全を確保するために士官学院から抜け出して、フードを被って素性を隠し生徒たちに陰ながら協力していた。そのつかみどころのない立ち振る舞いや卓越したアーツの技術、不可思議な知識などリィンたちから訝しがられる程の謎の多い人物だが、その正体は別項参照。
マカロフ
登場作:『閃』
導力技術・自然科学を担当する教官。仕事はそつなくこなすがいつも気だるそうな雰囲気で、屋上でサボっていたり校内で喫煙したりして教頭に叱られている。かつてはルーレ工科大学を首席で卒業し、帝国科学院に就職していた。機械工学の権威でありエプスタイン博士の三高弟の1人であるG・シュミット博士を師に持つが、自身の確かな実力やシュミット博士の弟子という肩書がどこに行ってもついて回るため、そのしがらみに疲れ果てて士官学院に流れて就いたという。内戦が始まって以降学院長らと共に軟禁されていたが、士官学院の解放によって師であるシュミット博士と再会し、ヴァリマールの武器となるゼムリアストーン製の太刀の総仕上げに助力する。
1年III組のミントは姪にあたり、彼女や彼女の母であり自身の姉に当たるバニラによく振り回されている。メアリーに対しては姪の早とちりで迷惑をかけていないかと申し訳ない気持ちを持っていたが、彼女が実家のアルトハイム家から結婚の話が出ていると聞いた際には学院に残ってほしいと思っているなど、彼女の事を憎からず想っているようである。
トマス同様に汎用魔導杖が扱え、高位アーツを使用できるほどの技量を持つ。またその頭脳を活かして特殊防御効果を戦闘中に解析・無効化させることもできる。トマスとの2度の共闘によって薄々トマスの正体を察している。
ベアトリクス
登場作:『閃』
士官学院の保険医で授業では医学を担当。心優しく、柔らかい物腰と深い懐で保健室に来る生徒たちを迎える。学院に来る前は軍の大佐で《死人返しリヴァイバー》とうたわれた敵味方区別なく救った名軍医だったらしく、当時は激戦地に現れて抵抗する重傷者は実力で抑えつけてから治療を施していたという話があることからその力量がうかがえる。そのためか時折サラやハインリッヒ教頭がかしこまるほどの謎の威圧感を垣間見せる。ヴァンダイクからも次期学院長にと推すほどの人格者である。
いざ戦闘になるとライフルによる精密射撃を繰り出すなどその実力は健在だが、十数年前に起こった《百日戦争》において自分の目の前で多くの命が失われていくのを前に自身の無力さを思い知り、それが軍を退役する契機となったのだという。
メアリー・アルトハイム
登場作:『閃』
音楽・芸術・調理技術を担当する新任教官。サザーランド州の名門、アルトハイム伯爵家の令嬢だが仕事を第一に考え、生徒たちへの慈愛にあふれている。いつもマカロフとミントのやり取りを微笑ましく眺めており、マカロフにはほのかに好意のようなものを抱いている。
内戦が始まった際に生徒たちと共に学院から避難しておりルーレへと潜伏する。そこでミントの母であるバニラに「弟の婚約者」と勘違いされ彼女の家に住まわされることに。マカロフをあくまで上司として最も信頼できる人だと言っているが、ミントによってマカロフと再会の場を用意された時は満更でもない様子を見せている。

他クラスの生徒

トワ・ハーシェル
登場作:「閃I」・「閃II」P
声:野中藍
2年IV組に所属する学院の生徒会長。見た目は幼いが、優秀でがんばり屋な性格から貴族生徒も毒気を抜かれ、彼女に信頼を寄せ集まっている。アンゼリカ、クロウ、ジョルジュとはVII組発足のためにARCUSの試験運用を行うテスターとして集められた間柄で、今でもクラスはバラバラだが非常に仲が良い。非常に優秀・有能な人物ではあるが膨大な仕事を1人で処理しているため、アンゼリカやリィンからは心配されている。後に帝都での活躍が評され、西ゼムリア通商会議の随行団の一員に抜擢され、卒業後の進路も各所から誘われている。
「閃II」では、帝国西部の平定に向かうヴィクターから巡洋艦《カレイジャス》の艦長代理に任ぜられ、内戦終結まで艦の指揮を執る。
その優秀さから様々な組織・機関からスカウトを受けていたが、卒業後は非政府組織を巡って経験を積む道を選択した。
リィンには自分の仕事を手伝ってもらっていることからも信頼しており、彼の前では普段皆には見せないような無防備な姿をさらしてしまうこともある。
武器はオリヴァルトが持ってきたツァイス中央工房が試作した魔導銃。オーブメントの属性は水と地。
アンゼリカ・ログナー
登場作:「閃I」B→S・「閃II」P
声:進藤尚美
2年I組に所属する四大名門のひとつ、ログナー侯爵家の息女。導力バイクをこよなく愛し、常にライダースーツを着用している。可愛い女の子が大好きで、学院内外にハーレムを形成している。同じルーレ出身のアリサとは昔から交友があり、四大名門であるユーシスパトリック、他にもラウラとも面識がある。同性に対して熱烈な感情を持つが男嫌いというわけではなく、リィンたちの良き先輩、クロウの悪友としてVII組をサポートする。また、ジョルジュとは導力バイクの縁で強い絆を持っている。「閃I」後半で父の怒りを買って実家に呼び戻されてしまうが、学園祭の時にはドレス姿で学院にやってくる。
「閃II」では貴族連合として活動する父ログナー候に反旗を翻し、志を同じくしたルーレ市民や一部の領邦軍と活動していた。ルーレに潜入してきたVII組に協力し、《C》と戦った。
卒業後は各国を巡る旅に出る。
武器はナックル。旅をしていたとある女性から泰斗流を学んだことがあり、戦闘では「氣」を用いた格闘術で敵を圧倒する。長らく戦っていなかったためブランクがあり、リィンを手合わせの相手に指名して戦ったこともある。オーブメントの属性は空と時。
使用するSクラフトは「ドラグナーハザード」。上空から竜の顎をかたどった「氣」をまとい、強烈な襲撃を見舞う。
クロウ・アームブラスト
登場作:「閃I」S・「閃II」B→P
声:櫻井孝宏
2年生の先輩で、遊び好きだが面倒見がよくて頼りになる兄貴分。「ブレード」というカードゲームにハマっており、トリスタにブレードを普及させた張本人。ギャンブル好きのお調子者で、特に競馬が好きなようだが戦績は芳しくない。1年生のときにトワ達と共にARCUSの試験運用に参加した経緯から、戦闘技能は卓越しており、また初登場の際はリィンたちを後輩と呼んでいた。特に部活動には所属していないが、社交的な性格で学院内やトリスタの街に知り合いは多い。
1年の頃に授業をサボり過ぎたせいで単位不足に陥り、このままでは卒業出来ないとサラに泣きついた結果3か月の間VII組に編入することになった。VII組メンバーより年上だが、本人と性格とそのチャランポランぶりで同時期に編入したミリアムと共に驚くほどすんなりとクラスに馴染んでいった。学院祭でVII組メンバーの出し物をプロデュースする、旧校舎の異変に共に立ち向かうなど、VII組にとっても頼れる先輩であると同時に大事な悪友のような存在であった。しかし「閃I」の終盤にて仲間達に伏せていたその正体を現す。彼こそ帝国解放戦線のリーダー《C》であり、テロリストの首魁と学院の生徒と言う二つの立場を上手く使い分けていた。そしてオズボーンへの制裁と復讐を行うべく彼を狙撃。致命傷を負わせ逃亡し、遭遇したリィンと騎神による一騎打ちを繰り広げる。一度は劣勢になるも「奥の手」を使い勝利。敗北したリィンは仲間たちに守られる形で強制的に撤退させられ、クロウの勝利と言う形で「閃I」は幕を閉じた。
旧ジュライ市国の出身であり、ジュライ市国最後の市長の孫。祖父以外に身寄りはなく、祖父がオズボーンに出し抜かれ失意の中病没した後は、ジュライを去り各地を転々としていた。そんな中、カイエン公と出会い彼の助力を得て帝国解放戦線を結成。カイエン公のもとに出入りしていたクロチルダの導きで、《蒼の騎神》オルディーネの起動者となる。
「閃II」では貴族連合の一員、《蒼の騎士》としてオルディーネと共に各地を転戦している。リィン達とも度々敵として対峙するが、何かと彼らを気にかけている。特にリィンに対しては、パンタグリュエルにて自分の過去を語ったり、武器にアドバイスを送るなど特に気にかけていた。
終章、煌魔城の玉座の間にてVII組と対決後、リィンと騎神同士による一騎打ちを行い、敗北する。その後復活した《緋き終焉の魔王》をリィン達との共闘で打ち倒すことに成功するも、《緋き終焉の魔王》の攻撃で致命傷を負ってしまう。戦闘後、その場にいたVII組メンバーとクロチルダに感謝や励ましの言葉をおくり、後に待ち受ける残酷な真実を知らぬまま死亡した。
「閃I」における武器は二丁拳銃であり、万能タイプのステータスで、高威力のSクラフトを持つ。オーブメントの属性は水と時。
使用するSクラフトは「閃I」にて味方だった時は二丁拳銃を用いる「クロスレイヴン」。銃弾を乱射した後、六発の弾丸から更に光線を放つ。敵として登場した際はダブルセイバーによるSクラフト「デッドリークロス」を用いる。駆け抜け様に切りつけた後、ダブルセイバーの刃からエネルギー状の巨大な刃を放ち交差させ攻撃する。
C(シー)
帝国解放戦線のリーダーとして名乗っていたクロウ・アームブラストのコードネーム。リィン、ラウラ、フィーの三人を同時に相手しても寄せ付けぬ実力を持ち合わせており、その力量はサラ教官やナイトハルト教官に匹敵するという。
ジョルジュ・ノーム
登場作:『閃』
声:森岳志
2年III組に所属する気のいい先輩で大の甘い物好き。優秀な技術者で、1人で学院の技術館を任されており導力器いじりもお手の物。学院内やトリスタ市内において壊れた導力器の修理を引き受けており、仕事が早いと好評されている。既にルーレ工科大学から誘いを受けており、工科大学で触れた導力バイクが縁でアンゼリカと知り合い、導力バイクの研究に没入する。以後、定期的に工科大学と連絡を取り合い、導力バイクのレポートなどを送っている。
卒業後は各国の導力器メーカーを巡る武者修行の旅に出る。
パトリック・T・ハイアームズ
登場作:『閃』
声:三宅淳一
1年I組に所属する傲岸不遜な貴族生徒。フェンシング部所属。四大名門の一つであるハイアームズ侯爵家の三男で、平民に対する尊大な態度や学院内での派閥形成など典型的な貴族気質な少年。しかし決して口先だけでなく、剣術にはかなりの心得があり取り巻きの少年達共々、ユーシスからもその腕前を評価されている。自分たちより目立っているVII組を「寄せ集め」と蔑視して激しい対抗意識を燃やしている。一方で自分の口走った暴言を後悔したり、執事セレスタンに隠し事をされて傷付いたり、特別実習や旧校舎へ向かうリィンを気遣うなど根は悪くなくナイーブであり、時にはリィンと協力することもある。また、リィンの妹であるエリゼに惚れているなどリィンとは特に因縁が深い。執事であるセレスタンを兄のように思っており、あれこれ口出しして自分のことを正そうとする彼を疎むことなく信頼している。クラスメイトでアリサの好敵手であるフェリスとは行動を共にすることが多い。
サブイベントではフェンシング部の同級生を徹底的に打ちのめし敗北を味わわせたり、先輩に刃向かって勝負し引き分けるなど部内でも好き放題している。実技テストの際は取り巻きを連れて自ら場に乗り込み、リィンたちと対決。「寄せ集め」に敗北したことで激しい敗北感を味わい、取り巻きたちですら制止をかけるほどの酷い暴言と醜態を晒してしまう。後に上述のように自分の言動を後悔していた。
やがて内戦が始まり、貴族連合に士官学院が占拠された際に学院に残る生徒の中で最も格の高いハイアームズ家の人間だったこともあり学院を管理する《騎士団》を主導することとなる。そして学院にたどり着いたリィンたちを前に、強い決意を持った彼らと剣を交えれば自分たちの為すべき意志を見出せるかもしれないと、貴族連合の手先ではなくトールズ士官学院の生徒として、帝国貴族の誇りを賭してフロラルド兄妹らとともに勝負を挑む。そして決着がついた後、騎士団の解散、学院の解放、カレイジャスへの参加と学院生全員の協力を宣言し、かつて実技テストの時に払いのけてしまったリィンの手を今度は掴むことができ、お互いに好敵手と認め合う。
ケネス・レイクロード
登場作:『閃』
士官学院の部活「釣皇倶楽部」の1年生部長。帝国最大の釣り具メーカー「レイクロード社」社長の次男であり、「碧」に登場したレイクロードIII世の弟にあたる。兄とは対照的に気さくな性格で、初対面のリィンにも釣竿を進呈するなどのんびりと釣りの普及を行っている。
内戦が始まってからも各地でのんびりと釣りをしながら旅をするなど兄に似て大物な気風を垣間見せる。兄の婚約者のアナベルとは釣り仲間であり、彼女が婚約を破談にしたいと真剣に思い悩む姿を見せ、彼女に協力する。そしてリィンと共に兄のレイクロードIII世と水狂ナルセスに釣り対決を挑み勝利し、兄に婚約の破談を了承させることに成功する。その雄姿に兄には自分よりも彼女に相応しいと見込まれ、アナベルからも今までの経緯から想いが芽生えていたようだが、当の本人は全く気づいていないようでリィンにすら鈍感だと思われてしまう。

その他学院関係者

シャロン・クルーガー
VII組の学生たちが暮らす第三学生寮の管理人。アリサの実家ラインフォルト家のメイドで、アリサの母イリーナの指示で派遣されてきて管理人に就任した。常に笑みを絶やさず、食事の用意など第三学生寮に住む者達に対してあらゆる面で完璧なサポートを行う。その傍らでイリーナに頼まれた仕事も完璧にこなし、その凄まじいまでの優秀さからスーパーメイドと称されている。イタズラ好きな性格を持ち、たびたびVII組メンバーの行動の先回りをしては(特にアリサを)驚かせている。その素性は別項を参照。
セリーヌ
登場作:『閃』
声:相沢舞
エマになついている猫。
実は人語を解ししゃべることもでき、エマと共にある目的のためトリスタの街にやってくる。
『閃II』にて、その正体がエマの飼い猫ではなく、エマの「お目付け役」である使い魔であると判明し、リィン達の水先案内人となる。厳格な性格かつキツめな口調で「魔女」としての使命の重さを度々エマに言及したり、リィンに振り回される度に何かと指摘はするが、素直ではないだけで、根本的には優しい性格。ヴィータの事は毛嫌いしている。

皇族

オリヴァルト・ライゼ・アルノール(オリビエ・レンハイム)
登場作:『空』P・「碧」・『閃』
声:子安武人
七耀暦1177年4月1日生まれで、「FC」・「SC」時に25歳、「the 3rd」時に26歳、『閃』シリーズ時に27歳。
エレボニア帝国の皇子。ただし庶子のため皇位継承権からは離れている。「FC」でリシャールが画策していたクローゼの政略結婚の相手でもある。ミュラーとは長い付き合いで、「親友」と呼んでいるが自身の扱い方を把握されている彼にはどうしても頭が上がらない。
自国の宰相オズボーンに不穏なものを感じ、「FC」ではカシウスと接触するために自称詩人・音楽家のオリビエ・レンハイムとしてリベールを訪れる。そして「FC」・「SC」の事件を通じ、オズボーンが《身喰らう蛇》と通じているということを確信し、事件後に「彼のやり方が美しくないから」と宣戦布告。公務や社交界などさまざまな場所に顔を出して己の足場を固めて宰相に対抗する力を得ようとし、「エレボニアの新たなる寵児」とささやかれている。また、「the 3rd」のエンディングでシェラザードに意味深な台詞を残している。
得意攻撃は導力銃とアーツなので、攻撃力自体は低いものの、射程にとらわれない戦い方が可能。オーブメントの属性は「幻」。オーブメントのラインが一直線で属性限定のスロットが一つしかないため、強力なアーツを組みやすい。
「SC」終盤で素性が明らかになるが、衣装が変わるのは「the 3rd」からであり、ステータス欄の名前は変化しない。
「愛を求める旅の演奏家」を自称するだけのことはあり、リュートやピアノなどさまざまな楽器を使いこなしている。ひょうひょうとした性格とつかみどころのない言動でたびたび周囲を戸惑わせるも、時折鋭い洞察力を見せている(「SC」の白い影の調査など)。また大変な美食家でもあり、「FC」では50万ミラもするワインをタダ飲みして牢屋に入れられたが、赦されたという逸話がある。
「FC」ではリシャールを、「SC」ではブルブランのことを「僕のライバル」と言っている。
「碧」ではオズボーンと共に「西ゼムリア通商会議」に出席するためにクロスベルを訪れるが、ここでも奔放な性格を発揮して市中を散策し、ロイド達を呆れさせた挙句、最後は捕獲を依頼していたミュラーに引きずられて強制連行された。
「閃I」では国内で通称《放蕩皇子》と呼ばれながらもあちこちの社交界に出て顔を広げていっている。トールズ士官学校の理事長も兼務しており、自身は「お飾り」と言いながら、特科クラス「VII組」を発案し、設立に尽力した。次第に成長し、目覚しい活躍を見せ始めるリィンたちを高く評価しており、常任理事や学院長を集めた会議の際に彼らの可能性を信じることを強く説いた。また貴族派と革新派の対立の泥沼化を回避すべく、中立的な第三の勢力の結集を模索している。
「閃II」では、アルゼイド子爵らと共にカレイシャスで帝国各地を移動したり、貴族連合に囚われの身になったリィンとアルフィンを救うためにVII組や協力者たちと一緒に助けに来たりと活躍をした後、アルゼイド子爵やクレアらと共に帝国西部へと趣き「第三の勢力」として西部を駆け巡る。そしてトヴァルと一緒に、煌魔城でブルブランとデュバリィの猛反撃にピンチに陥ったリィンたちの前に現れて、彼らを先に行かせるためにしんがりを務める。
内戦終結後は、アルフィンの話では《緋き終焉の魔王》復活の件から“アルノールの血”について調査をしているという(当然、オズボーンに挑む気力はある模様)。後日談では自分の立場について葛藤するリィンに対し激励の手紙をアルフィンを通じて渡した。
ユーゲント・ライゼ・アルノール3世
登場作:『閃』
エレボニア帝国の現皇帝であり、オリヴァルト達兄弟の父親。
プリシラ・ライゼ・アルノール
登場作:『閃』
エレボニア帝国の皇妃。アルフィンとセドリックの実母。
アルフィン・ライゼ・アルノール
登場作:「閃I」・「閃II」P
声:佐藤聡美
オリヴァルトの異母妹である皇女。15歳。
双子の弟のセドリック皇子とともに「帝国の至宝」と呼ばれ、帝国臣民からの人気は絶大。帝都にある聖アストライア女学院に通っており、同級生のエリゼとは身分を超えた親友である。イタズラ好きな性格で、たびたびリィン絡みでよくエリゼをからかうなどして彼女の機嫌を損ねているが、基本的に関係は良好。腹違いの兄であるオリヴァルトととも性格が似ているためか仲が良く、息の合った掛け合いをみせる。
頻繁にエリゼから彼女の兄リィンの話を聞かされていたことから彼に強い興味を持つようになり、VII組が実習で首都を訪れていた時にある理由から対面する機会を得た後は、リィンが自分のイメージした通りの人物であったことからさらに関心を持つようになる。さらには帝国解放戦線に拉致された際に救出されたことから、完全にリィンに対する好意を見せ始め、パーティーでのダンスの相手に誘おうとするなどの行動を見せるようになる。
「閃II」では内乱勃発直後、トヴァルの手引きによってエリゼと共にユミルへと身を隠していたことでリィンと再会する。しかし間を置かずしてユミル急襲と同時に現れたアルティナによってエリゼと共に連れ去られ、1人パンタグリュエルへと乗艦させられていた。リィン招待の折に共に脱出に成功し、以後《カレイジャス》運用の後ろ盾としてVII組をサポートしていくこととなる。
武器はオリヴァルトが持ってきた試作型の魔導杖(後日談のみ)。オーブメントの属性は火と幻。
セドリック・ライゼ・アルノール
登場作:『閃』
声:相沢舞
アルフィンの双子の弟である皇子。15歳。
次期皇位継承者であるおとなしい性格の少年。次期皇帝としての自分の実力不足を痛感しており、オリヴァルトからさまざまな話を教わっている。オズボーンに対してはその力強さに憧憬の念を持っている。
貴族連合の起こした内戦によって帝都が制圧されて以降、保護という名目で帝都郊外にあるカレル離宮に両親である皇帝夫妻やレーグニッツ知事らと共に軟禁されていたが、「閃II」の終盤にカイエン公に連れ出され、バルフレイム宮の地下に封印されていた皇族アルノール家の血筋を持つ者のみが動かすことが出来るという《緋の騎神》テスタ=ロッサの「起動者(ライザー)」に選ばれてしまう。しかしこのアルノールの血と緋の騎神の二つが合わさったことで250年前にエレボニア帝国を襲った災厄《緋き終焉の魔王》エンド・オブ・ヴァーミリオンが復活してしまうこととなる。
エンド・オブ・ヴァーミリオン
『閃Ⅱ』における終章のラストボス。通称《緋き終焉の魔王》。
ドライケルス・ライゼ・アルノール
登場作:「閃」(名前のみ)・「閃II」
今の世にも《獅子心皇帝》の異名で讃えられている250年前に起こった内乱《獅子戦役》を平定した帝国中興の祖であり、トールズ士官学院の創設者。
皇帝ヴァリウスV世の第三皇子だが、庶出の皇子だったため兄弟たちから疎まれ放蕩に身をやつしていた。各地を転々とした末にたどり着いたノルド高原で暢気に暮らしていたが、放浪の中亡くなった母の「貴方の血は、帝国の不幸を決して見逃さない」という言葉が胸に深く刻まれており、内戦の報せを受けて、ノルドの地で親友として共に過ごしたノルドの戦士達と挙兵を決意する。その時の手勢はたったの17人、そして戦いの最中に悪友であり幼馴染の青年騎士ロランを失うも、《槍の聖女》リアンヌ=サンドロットや《善き魔女》との出会いによって《灰の騎神》ヴァリマールの起動者となり弟オルトロスを撃破し内戦を終結させる。
かつての起動者として彼を知るヴァリマールによると豪放磊落で泰然自若、茫洋としていながらも大胆不敵。どこまでも懐の深い人物だったらしく、時折子供のように目を輝かせることもあったという。
オルトロス・ライゼ・アルノール
登場作:「閃II」(名前のみ)
後の世に《偽帝》と呼ばれている皇帝ヴァリウスV世の第四皇子。
父が逝去した後、正妃の息子である皇太子マンフレートを暗殺し武力をもって帝都を制圧、反対勢力を徹底的に粛清し、皇帝に即位を宣言。これが《獅子戦役》と呼ばれる帝国史上最大規模の内戦の幕開けとなる。そして他の勢力との拮抗を崩すために帝都の地下に封印されていた《緋の騎神》テスタ=ロッサを復活させ起動者となり他の勢力を圧倒する。しかし、《暗黒竜》から帝都を救った英雄としてではなく《千の武器を持つ魔人》としての力を求めたために《緋き終焉の魔王》の力を呼び覚ましてしまう。そのまま力に飲まれ帝都を破壊し尽すが、《灰の騎神》の起動者となったドライケルスによって打ち倒され、内戦は終結する。その後は血縁者もろとも処断されたものと表の歴史では伝わっているが、密かにその血筋はカイエン公爵家に受け継がれ、その野望と恨みも『閃』の時代まで受け継がれていくこととなる。
ルキウス・ライゼ・アルノール
登場作:「閃II」(名前のみ)
獅子戦役で皇位継承に名乗りを上げた皇帝ヴァリウスV世の第六皇子。
オルトロスの軍勢に対抗するために何らかの手段を用いて《紫紺の騎神》の起動者となる。オルトロスの軍勢に対抗できる力を持ったことで自らが覇権を得ようと他の勢力を圧倒するがドライケルスと出会い心を動かされる。しかし、その内戦終結に一歩踏み出せたという時にオルトロスが《緋き終焉の魔王》の力を呼び覚ましたことで《紫紺の騎神》を破壊されてしまう。その後ドライケルスが《灰の騎神》の起動者となったことを知り、彼をオルトロスの下にたどり着かせるために残りの軍勢を用いて《鉄騎隊》やノルドの戦士団と協力して帝都への血路を開いた。
グンナル・ライゼ・アルノール
登場作:「閃II」(名前のみ)
獅子戦役で皇位継承に名乗りを上げた皇帝ヴァリウスV世の第五皇子。
剛力無双とうたわれており、通常の戦闘力では最も有利だったのだが、《緋の騎神》を手に入れたオルトロスに敗れ勢力を縮小する。しかし敗北を受け入れたわけではなく、体勢を立て直しアルベルトと共同戦線を張ってオルトロス、ルキウスの両陣営に対峙するが、《緋き終焉の魔王》の出現により手勢が一挙に消滅させられてしまった。
アルベルト・ライゼ・アルノール
登場作:「閃II」(名前のみ)
獅子戦役で皇位継承に名乗りを上げた皇帝ヴァリウスV世の第二皇子。
策謀家として知られ、《紫紺の騎神》を手に入れたルキウスの軍勢に敗れた後も機をうかがっており、同じくオルトロスに敗れたグンナルと協力する。その後何らかの手段を用いて《魔煌兵》を操る術を手に入れ両陣営と拮抗できるまで勢力を盛り返したが、《緋き終焉の魔王》の出現によりルキウスの軍勢もろともオルトロスに一掃されてしまう。

帝国正規軍

ミュラー・ヴァンダール
登場作:「FC」・「SC」・「the 3rd」P・「碧」・『閃』
声:磯部弘
28歳(「FC」・「SC」)→29歳(「the 3rd」)。エレボニア帝国における武の名門・ヴァンダール家の出身。帝国軍第七機甲師団に所属する軍人で階級は少佐。オリビエとは幼馴染みであり、昔から彼の奇行に頭を痛めているが、同時に扱い方も心得ており、時折強引な手段を用いることもある。しかし彼の影の努力を誰よりも知っており、また数少ない心許せる「親友」である。『空』ではオリビエをサポートするため大使館駐在武官としてリベールを訪れる。
剣技の腕は達人クラスで、漆黒の大剣を片手で自在に振り回し、敵に対して強烈な攻撃を浴びせる。軍人らしく武人肌な性格で、ユリアとは似たもの同士的な気持ちがあるのか気が合う様子。「the 3rd」ではユリアのエピソードにも登場し、手合わせしたり、お互いのことを語り合うシーンを見ることが出来る。同郷で元貴族の空賊団カプアー家のことはあまり快く思っていないようで、それ故にジョゼットに対してはやや厳しい態度で接するため相性が悪く、ジョゼット本人からは「軍人バカ」と呼ばれている。当初はノンプレイヤーキャラクターだったが、「the 3rd」、PSP・PS3版「SC」(終盤)ではプレイヤーキャラクターに昇格した。オーブメントの属性は「水」。
「碧」では、オリヴァルト皇子の護衛のためにクロスベルに来訪。皇子がオリビエとして奔放な性格を発揮して市中を散策しているのを連れ戻すため、黒い上下のスーツにサングラスをかけた「音楽家のマネージャー」として特務支援課に捜索(捕獲?)を依頼をしてくる。
「閃I」でもオリヴァルトの護衛としてわずかながら登場している。
「閃II」では西部にて第七機甲師団とともに転戦していた。終盤、オリヴァルトらと共に煌魔城にかけつけナイトハルトと共に魔煌兵と戦う。
ナイトハルト
ゼクス・ヴァンダール
登場作:「SC」・『閃』
声:平井啓二、島田敏(「閃II」)
帝国軍中将にして第三機甲師団を率いる師団長。ミュラーの叔父で、オリビエに武術と兵法を教えていた軍人。「《隻眼》のゼクス」と呼ばれる帝国でも5本の指に入る名将で、ヴァンダール流剣術を使用する帝国屈指の剣士でもある。軍内では中立の立場にあり、どちらかと言うと王国受けするタイプ。
「閃I」では、「SC」で起こったリベールの異変でリベールに侵攻した際にオリヴァルトの願いを受けて独断で進軍を停止させたことがオズボーンの怒りに触れたらしく、その件の責で師団ごとノルド高原を挟んでカルバード共和国との国境に位置するゼンダー門に左遷されたことが明らかとなる。ノルドの民とは友好関係を築いており、ガイウスに帝国への留学を薦めた人物でもある。
「閃II」ではノルド高原にて猟兵団やラマール領邦軍を相手に第三機甲師団を率いて戦う。終盤、ログナー候が中立に転じたのちノルティア州を通過して第四機甲師団と連携して帝都近郊まで進軍。自らの剣術の弟子であるオーレリア将軍率いるラマール領邦軍と激突した。
なお「SC」と『閃』で眼帯が左右逆になっている。
オーラフ・クレイグ
登場作:『閃』
声:磯部弘
クロスベル自治州との境界に位置するガレリア要塞に駐留する帝国軍中将にして帝国軍「最強」と呼ばれ屈指の攻撃力を誇る第四機甲師団を率いる師団長。エリオットの父親で、ナイトハルトの上官でもある。
《紅毛》のクレイグ」の名で知られ、機甲戦車のボンネットに直立して出撃するほどの猛将であるが、家庭では子供たちを溺愛しており、ガレリア要塞では人目もはばからず息子を抱きしめるほどの親バカぶりを見せる。軍人の息子としてたくましく育ってほしいという気持ちもあるが「天使のようなエリオットにはそのままでいてほしい」という気持ちもあり、板ばさみとなっている。
ただし、部下を死地に送り出す自身の立場を慮ってか、エリオットが音楽の道に進むことだけは頑として許さず、間接的にエリオットがトールズ士官学院に入学するきっかけを作る。
帝国解放戦線が最新鋭の動力戦車「アハツェン」を遠隔操作した際はいち早く迎撃に向かい、ガレリア要塞近郊にてアハツェンの群れを撃破した。
「閃II」では西部の機甲師団が貴族連合軍にあらかた敗北したあとも、対機甲兵の戦術を編み出しガレリア要塞跡地を拠点に善戦をつづけていた。中盤以降はカレイジャスや鉄道憲兵隊と連携を取り、双龍橋、ケルディック、バリアハートを制圧する。終盤は第三機甲師団と連携して帝都近郊まで進軍、ウォレス准将率いるサザーラント領邦軍と激突する。煌魔城が顕現した後は事態の異常さからウォレス准将と一時休戦し、ナイトハルトをカレイジャスの救援に差し向けた。

鉄血の子供たち(アイアンブリード)

レクター・アランドール
登場作:「the 3rd」・『VII』・『閃』
声:森田成一
かかし男スケアクロウ》の異名をもつ帝国軍情報局の大尉。帝国大使館の二等書記官の肩書も持つ。22歳(「碧」、「閃I」)[注 3]
かつてはリベール王国のジェニス王立学園に通っており、クローゼが学園に通い始めた当時は生徒会長を務めていた。基本的に奔放でだらしがないが、物事の本質的部分をとらえているため、不思議と人望がある。
理由不明のまま学園を突然退学し、行方が分からなくなっていたが、後にリベール王国でのエレボニア帝国大使館に帝国の書記官として現れ、オズボーン宰相の手の者であること、そしてジェニス王立学園へも宰相の指示で入学していたことが判明する。オズボーンと2人きりの時は対等に近い口ぶりで会話をしていることから、単なる部下ではないことが示されており、「the 3rd」の段階では正体不明だったが、「碧」ではオズボーンの子飼いの《鉄血の子供たちアイアンブリード》の一員と明かされる。身体能力はかなり高いらしく、学園のクラブハウスの屋根の上から一瞬で消え去ったことがあり、彼の姿を見たシェラザードカシウスリーシャからは「隙の無い身のこなし」と評される。
「零」では派手なシャツ姿で登場し、船上でウクレレを弾きながら歌を披露したり、議長邸宅内や住宅街の川で釣りをするなど、やりたい放題の性格はほとんど変わっていない。また、ディーターと意気投合したらしく、親しげに語り合う姿を見せる。
IBC防衛戦時には、IBCの正門前で進攻する警備隊との激戦を展開する特務支援課を観察し、一連の騒動にオズボーンの関与を疑わせる言動を見せる。
「碧」では《赤い星座》によるクロスベル進出に一役買い、通商会議ではオズボーンの護衛をしつつも秘密裏に依頼もしていた。シグムント曰く「黒月のメガネとはいい勝負」で、性格はともかく能力は確かである。第4章終盤で、キリカと共に秘密裏にクロスベルに再来訪、終章のクロスベル市解放作戦開始まで何かを探りながら滞在もしていた。そして、キリカやセルゲイら反乱軍と共にクロスベル市解放作戦に参加し、わずかばかりながらも、明かされなかった身体能力と戦闘能力を披露する。
「閃I」では、テロリストの工作により共和国軍との間で一触即発の状態となったノルド高原に現れ、巧みな交渉により事態を収束させる。
「閃II」では、クロスベルの戦いを終えた後の12月30日にカレイシャスの通信で登場。煌魔城での戦いが終わった後の緋の玉座にクレア達と一緒に現れるが、さすがの本人も「鉄血の子供達」の筆頭がルーファスであった事実にはたまげたと感想を漏らす。その後、占領下においたクロスベルにオズボーン宰相と共にルーファス総督就任に赴いた上、リィンにロイドたちの作戦の阻止と阻止失敗後の策を講じたりする。
クレア・リーヴェルト
登場作:「閃I」・「閃II」P
声:松来未祐
氷の乙女アイスメイデン》の異名もつ鉄道憲兵隊所属の憲兵大尉。24歳。
どんな状況でも冷静に対処でき、優れた先読み能力と用兵術を持つことか帝国正規軍はもちろん、貴族直属の領邦軍にもその名を知られている(ただし鉄道憲兵隊は沿線で事件が起きれば、「輸送の安全確保」の名目で貴族の領地にも介入できるため、貴族および領邦軍からは疎まれている)。
戦闘では導力銃を得物とし、その腕前は神技とも称されている。
レクターやミリアムと共にオズボーン宰相子飼いの《鉄血の子供たちアイアンブリード》の一員で、トールズ士官学院の卒業生(リィン達の5期上)でもある。
「閃II」では、当初鉄道憲兵隊から離れ単独行動を取っており、VII組に協力し行動を共にする。VII組と別れたあとも、鉄道憲兵隊を率いて共同で作戦を行うなど継続して協力を行った。内戦終結後は真実を知ったリィンと関係がぎこちなくなっているが、レクターからアドバイスを受けて思いを素直に伝え和解した。
「閃I」発売前は「クレア憲兵大尉」と紹介され、苗字は伏せられていた。帝国には大手楽器メーカーの「リーヴェルト社」(ヨシュアのハーモニカやエリィのオルゴールの製造元)が存在するが、関連は不明。
武器は軍用の大型導力銃。オーブメントの属性は水と空。
ミリアム・オライオン
白兎ホワイトラビット》の異名を持つ帝国軍情報局のエージェント。
ルーファス・アルバレア
翡翠の城将ルーク・オブ・ジェイド》の異名を持つ《鉄血の子供たちアイアンブリード》の筆頭。

政府

ギリアス・オズボーン
登場作:「the 3rd」・「碧」・『閃』
声:中田譲治
帝国各地の武力制圧を指揮している宰相。元軍部出身で、《鉄血宰相》の異名を持つ。54歳(「碧」)。元々は平民だったが「閃I」から11年前に皇帝陛下より「伯爵」の位を授かった。
帝国のみならず大陸にまたがる鉄道網を建設するなど、大胆かつ革新的な改革を次々と実行し、帝国皇帝すら信を置くほどの権力を持つ。レクターによると「化けモンのオッサン」らしく、実際の政治的手腕はかなりのものである。領土拡張にも積極的で、小国や自治州などを卑劣な手段を用いて併合し続けている。その被害者となった先住民や既得権益を奪われた貴族達から激しい反発と憎悪を向けられているが、一般市民からは圧倒的な支持を受けている。オリビエとの会話から、腐敗した貴族体制に一種の憎悪を持っているようである(しかし、オリビエに対して、手を組むことを提案したり、自分のところまで来るのを期待したりなどしていることから、貴族自体になんらかの感情を向けているわけではない模様)。実際ヴィクターにすら「時代が生んだ傑物」だと言わしめるほどである。初登場時から多くの謎を秘め、その内には計り知れない野望を持っている軌跡シリーズの最重要人物の一人。
「碧」では通商会議に参加するために、レクターと共にクロスベルに来訪。ロイドたちに興味を示した様子で、会議の合間の対談では圧倒的な怪物ぶりを特務支援課の面々に認識させる。その後、ディーター達のクロスベル独立を認めさせるための軍侵攻などの一連の活動が起因となり、帝国内で貴族派による内乱が勃発。クロスベルに対する反攻作戦を行うことを宣言する演説の最中に凶弾に倒れ生死不明となる。しかしレクターから見れば、自分が凶弾に倒れることすら「計算内」であり、事実死亡したと思われていたが生存していた。
「閃II」終盤にて自らの生存を明らかにし、自分の死をきっかけに帝国で内戦を誘発させ、裏では内戦の初期から最後までを緻密にコントロールしていたことを暴露し、カイエン公を絶望のどん底に叩き落とす。また、秘密裏に《十三工房》の一つ《黒の工房》を完全に取り込んでおり、ヴィータに向かって結社の《幻焔計画》を乗っ取ることを宣言する。
『閃』の主人公リィン・シュバルツァーの実父であることが「閃II」の終盤で明らかとなる。内戦の終結後はリィンを英雄として祭り上げ、その影響力を最大限に利用する。しかしリィンの記憶に残る彼は息子が健やかに育つことを願う1人の父親であり、現在の苛烈な性格とは異なっている。また、後日譚でもリィンの情報は僅かな開示のみとされており、影響力を利用しながらも自らが父親であることを明らかにしていない。
カール・レーグニッツ
登場作:『閃』
声:馬場圭介
帝都知事・帝都庁行政長官で、マキアスの父。帝都の旧市街に住んでいた平民出身でありながら、役人として実績を積み上げて知事にまで出世した。オズボーンの盟友としても名を知られている。また、トールズ士官学院の3名の理事の1人でもある。清廉潔白・実直で、士官学院理事長も「あなたについては信頼できる」と評する一方、息子のマキアス達に対してはお茶目な一面を見せることもある。マキアス曰く、忙しさの合間を縫って旧市街の実家で大好きなコーヒーで一息入れるのが「ちょっとした贅沢」とのこと。
ダヴィル・クライナッハ
登場作:「SC」
帝国の駐在リベール大使。体面にこだわる性質で、性格は尊大かつ頑固。オリビエについてはその奇行に頭を痛めていたが、皇子であるという事実は知らなかったようで「the 3rd」ではそれを知り恐縮する姿も見られる。リベール王国勤務が長いせいか大分王国の気質に感化されているようで、オリビエとの会話から、オズボーンに対しては一種の恐怖を抱いていることを示唆されている。

四大名門

エレボニア帝国でも絶大な権力を持つ貴族たち。

カイエン公爵家

カイエン公爵
登場作:『閃』
声:島田敏
エレボニア帝国西部にあるラマール州を治める大貴族にして《四大名門》及び貴族派(貴族連合)のトップを務める人物。初登場は「閃I」の五章から。
見た目は金髪の優男であり、ひょうひょうとしたつかみどころのない人物ではあるが、近隣諸国を遥かに凌ぐ財力と兵力を持ち、また、それに見合っただけのカリスマ性を持ち合わせ、自分の利になる者には敵対関係にある者も引き込もうとするほどの豪胆さも持ち合わせている。
実はカイエン公爵家には獅子戦役でドライケルス帝に敗れ、後世に《偽帝》として伝わるオルトロス・ライゼ・アルノールの血が流れており、真の目的は皇族への復讐と自身がエレボニア帝国の支配者になることであった。
終盤に野望の全てをリィン達に打ち砕かれてもなお、セドリックを人質にとるなど抵抗するものの最後はアルティナによって拘束され、正体を現したルーファスと生存していたオズボ―ンから、自分が2人の手の平で最初から最後まで踊らされていた事実を突きつけられ絶望の底に落とされる末路を迎える。

アルバレア公爵家

ヘルムート・アルバレア
登場作:『閃』
エレボニア帝国東部にあるクロイツェン州を治めるカイエン公爵家と対をなす大貴族の当代。
2人いる息子のうち次男で愛妾の子であるユーシスには冷ややかかつ高圧的な態度で接し、長男のルーファスには貴族派で活躍していることからよくできた息子と評価する一方で、自分の暴走行為をとがめられ釘を刺されていることから内心は彼の存在を疎ましく思っている。
当の本人は息子たちから権力の亡者と呼ばれるほどに利己的な性格であり、また、領民からも軍事費目的で理不尽な増税を行っており、税の引き下げを領民達が要請した際には領邦軍に犯罪行為で強引に引き下げさせようとしているため、評価は低い。
貴族派(貴族連合)ではカイエン公と共に中核の双璧を担っているが、主導権を常にカイエン公に握られ後れを取っている現状に苛立っており、主導権を握る為に「北の猟兵」を雇ってユミルを襲撃させるなど数々の悪事に手に染めていく。遂には正規軍が駐留していたケルディックを焼き討ちした事でカイエン公及びルーファスに完全に切られる事となり、オーロックス砦でカイエン公の要請を受けたデュバリィにその事実を知らされて愕然とした後に息子のユーシスに逮捕・拘束された。
ルーファス・アルバレア
登場作:『閃』
声:平川大輔
ユーシスの兄で、アルバレア公爵家の次期後継者。襟度の広い貴公子であり、社交界ではオリヴァルト皇子と人気を二分している。トールズ士官学校の理事の1人でもあり、VII組メンバーが窮地に陥った時に助け船を出したこともある。
貴族連合が結成されて以後、総参謀として正規軍やVII組のメンバーを幾度となく苦しめるが、時には貴族連合の思惑とは異なる方向にリィンたちを誘導したりと不自然な行動がたびたび見られる。実は隠された存在である、《鉄血の子供たちアイアンブリード》の筆頭《翡翠の城将ルーク・オブ・ジェイド》であり、穏便かつ角を立てず、しかし確実に貴族勢力の力を削ぐというオズボーンの計画通りに事が進むよう、貴族連合やVII組、果ては結社までをも利用する。
内乱終結後は正規・領邦の混成軍を率いてクロスベルを無血占領、そしてカルバートの主力部隊を重戦車と機甲兵を組み合わせた新戦術で圧倒し、クロスベル州初代総督に任命される。
ユーシス・アルバレア

ログナー侯爵家 

ゲルハルト・ログナー
登場作:『閃』
エレボニア帝国北部にあるノルティア州を治める大貴族で、貴族連合の中でも最たる強硬派。
非常にプライドの高い性格で、有事の際には自ら先頭に立って指揮をするなど貴族派きっての武闘派であり、州都であるルーレのラインフォルト社やルーレ工科大学から得た最新鋭の兵器を精力的に導入している。娘のアンゼリカの奔放な生き方には手を焼いており、VII組の特別実習先であるルーレで帝国解放戦線との動乱に彼女が介入したことに怒り、彼女をトールズ士官学院から強制的に退学させて実家に連れ戻している。ただ、お見合いを条件に学院祭に行く事を許すなど、基本的には娘に甘い親バカである。
貴族派(貴族連合)では中核を担っているが、アルバレア公ほどその地位に執着しておらず、オズボーンら革新派に対する敵対心はともかく、皇族に対する忠誠心は決して低くないため、内戦時にユーゲント皇帝らを軟禁したことに後ろめたさを感じている。
「閃II」では中盤にアンゼリカと機甲兵を使っての壮絶な親子喧嘩の末に敗北、和解した事で貴族連合を離脱し、どちらにも属さない中立を宣言した。戦後はカイエン公とアルバレア公に対する査問をルーファスやハイアームズ侯爵と共に行っている。
アンゼリカ・ログナー
ハイデル・ログナー
登場作:「閃II」
ゲルハルトの弟で、アンゼリカの叔父にあたるラインフォルトグループの取締役の1人。
四大名門の貴族としての自分より身分や権威が下の者に対しては高圧かつ傲慢な態度で接する一方で、権威が上の者には頭が上がらずこびへつらうなど根は卑屈な小心者。
実兄のゲルハルトと姪のアンゼリカとは折り合いが悪く、2人の事を揃って「無意味なプライドで自分を縛っている」と見下してる。
貴族連合が発足し、ルーレが貴族派によって制圧されて以後、会長であるイリーナを病気という名目で軟禁して実質的にラインフォルト社を乗っ取り、ラインフォルト家の居住区画にまで上がり込んで社で好き放題していたが、リィンやアリサ、アンゼリカ達の活躍によりイリーナが解放され、本社に乗り込まれて追い詰められると、《風の剣聖》のデータをインプットした人形兵器《レジェネンコフ零式》を繰り出すも撃破され敗北。場に現れたイリーナに貴族連合に全ての責任を転嫁し言い逃れしようとするものの、居住区画で好き勝手していたことで彼女から制裁を受けて拘束される。

ハイアームズ侯爵家

ハイアームズ侯爵
登場作:『閃』
エレボニア帝国南部にあるサザーランド州を治める大貴族。穏健派で、彼の統治には民からの不満も少ないという。
本編では直接は登場しないが、回想やリィンとパトリックの会話で話題に上がり、四大名門の他の3人より癖がなさそうで穏やかな物腰の気さくな人柄だが、柔軟な発想を持つ分底の知れない人物だとリィンは評している。また執事セレスタンからは「筋をしっかり通せばわかってくれる方」と尊敬されている。
内戦が始まってからも、戦火を逃れた難民たちを手厚く保護するなど抜け目ない立ち回りを披露しており、家名を傷つけることなく終戦を迎える。その後、ルーファスやログナー侯爵らと共にカイエン公爵とアルバレア公爵に対する査問を開始したことが『帝国時報』により伝えられている。
パトリック・T・ハイアームズ
セレスタン
登場作:「閃I」
ハイアームズ家に仕えるメガネをかけた男性執事。現在はパトリックの専属となっている。すべてを完璧にこなす万能執事であり、パトリックに至らない点があれば見咎めたり注意したりなどしている。だがパトリックから疎まれることはなく、むしろ兄のように慕われている。ハイアームズ公爵から急な呼び出しを受けてしまい、まだパトリックの側から離れたくないという思いから解決方法を探っていたが、事情をリィンに話したことで吹っ切れ、自分の気持ちを真っ直ぐに公爵に伝えることを決意する。

その他の貴族とその関係者

エリゼ・シュバルツァー
登場作:「閃I」・「閃II」P
声:後藤沙緒里
リィンの義妹。リィンとは違いシュバルツァー男爵の実子。普段は貴族の淑女としてふるまっているが、本来は甘えん坊な性格。
聖アストライア女学院に在学しており、皇女のアルフィンと親交を深めている。女学院に入学した頃から(とリィンは思っているが、実際はリィンが養子だと告げられた時から)リィンによそよそしい態度を取り続けているが、本人にはその気がなく言われるまで気づいていなかった。実際はリィンへ兄妹以上の好意を向けているが、全く気付かれていない。
武器はレイピア。オーブメントの属性は水と時。
テオ・シュバルツァー
登場作:『閃』
声:遠藤守哉
リィンの養父。帝国辺境の地ユミルの領主で、男爵位ではあるが、ドライケルス大帝に連なる名門の血筋である。吹雪の日に当時5歳のリィンを発見して保護し、養子として育てた。「閃II」終章のとあるイベントでの発言からして、息子の出自については気付いている模様。
先述のとおりの家柄であり嫡男がいないにもかかわらず、出自のわからない男子を養子にとったことで、一部の貴族からバッシングを受け、それを疎んじて社交界にほとんど顔を出さなくなった。
「領主は民に寄り添うべし」を信条としており、貴族らしからぬ質素な暮らしぶりのようである。趣味は狩りで、仕留めた獲物を来客に振る舞うこともある。また酒豪でもあり、リィンの剣の師ユン・カーファイとは朝まで飲み明かすほど。
ルシア・シュバルツァー
登場作:『閃』
声:大越多佳子
リィンの養母。
ヴィクター・S・アルゼイド
登場作:『閃』
声:安元洋貴
ラウラの父にして、レグラム領を治める領主である子爵。帝国で高名な剣術流派「アルゼイド流」の筆頭伝承者でもあり《光の剣匠》とあだ名される帝国最強の剣士の1人。帝国貴族にありがちな傲慢な性格は微塵もなく、自由闊達で民衆たちからも慕われている。遊撃士を大変気に入っておりできることならばそちらに就職したいとまで言うほど。その繋がりから遊撃士トヴァルとは友人の間柄。
戦闘ではアルゼイド家に代々伝わる、鉄騎隊の副長を務めた祖先が使っていたという大剣「宝剣《ガランシャール》」を片手で振い、凄まじいまでの実力を見せる。その実力は《剣仙》ユン・カーファイと互角の勝負を繰り広げたこともあるというほど。初対面の際、リィンから手合わせを申し込まれ受け入れる。実力の差は歴然であり、「本気」を出したリィンでも歯が立たなかった上に手加減までされていた。口ぶりからリィンの境遇を知っているようであり、「本気」を出させ「力は力に過ぎない」という現実をリィンに突きつけ、「力に対する畏れ」を克服させようとしていた。
口調はラウラと似通っており一本気で生真面目だが、実際はかなりの親バカである。娘を男らしく育てすぎてしまい、周囲とは上手くやれていないのではないかと心配して会うたびにリィンにラウラのことを尋ねていた。また娘がリィンにだけは特別な感情を持っていることを見抜き、「私の目の黒い内は~」とお決まりの台詞をリィンに言ったが意味が通じなかったため困惑された。
高速巡洋艦「カレイジャス」が就航すると、同艦の艦長に就任する。飽くまで皇族専用の艦であるため軍属ではなく、また彼も軍人になったわけではない。そして、内戦勃発と同時に勃発したトールズ攻防戦の最中で逃がしたリィンとセリーヌが操縦するヴァリマールを追わせまいと、死を覚悟でクロウが操縦する《蒼の騎神オルディーネ》に挑もうとしたVII組メンバーの前に上空越しで出現し、自らを囮にしてVII組メンバーを逃がすことに成功する。
「閃II」では、高速巡洋艦「カレイジャス」で帝国内を移動しながら機をうかがったりするなど動き回り、リィンたちVII組メンバーが再び集結しリィンとアルフィンを助け出した後は、トワを艦長代理に任命しリィンたちに艦を預けてオリヴァルト皇子たちと共に帝国西部へと旅立つ。そして、煌魔城出現の第三層最深部にてリィンたちを圧倒させるほどの《火焔魔人》としての本性を露わにした劫炎のマクバーンとの対決の場に駆けつけ、周りの柱や舞台が破壊の限りを尽くされるほどの大決戦を演じる。内戦終了後から数カ月後、トールズ士官学院を1年早く卒業したラウラを正式な「アルゼイド流」の伝承者にするために、かなり厳しい場所へとつきっきりで修行の相手を行っている。
使用するSクラフトは「絶技・洸凰剣」。光をまとった《ガランシャール》で無慈悲な一閃を見舞う。ラウラの師であるため彼女のSクラフト「洸刃乱舞」と非常に似通っているが威力は数段上を行く。
クラウス
登場作:『閃』
アルゼイド家に仕える老執事。アルゼイド流の師範代を任されており、ラウラにとってヴィクターに並ぶもう一人の師である。礼儀正しく控え目な反面、実力は非常に高くラウラも幼少から一度も勝てたことがないという。
リィンたちが特別実習でレグラムを訪れた際に、門下生たちの手合わせを依頼する。そこでミリアムが使う傀儡の力も見て見たいと、その力量につり合う相手として自ら手合わせを申し出た。戦いはリィンたちの勝利に終わったが、片膝を突かせただけでありまだまだ余力を残していた(ミリアムによれば「全然平気そう」とのこと)。ラウラが言うには手を抜いていたという。
オーレリア・ルグィン
登場作:「閃II」
ラマール州領邦軍総司令を務める銀髪の女性。伯爵位を持ちながらも武人然とした凛々しい性格で、アルゼイド流とヴァンダール流という帝国きっての二大剣術流派を極めている。その実力は貴族連合最強ともうたわれており《黄金の羅刹》の異名を持つ。
その性格から、貴族連合の所業に異を唱えるはずではとゼクス中将から指摘されるが、《槍の聖女》リアンヌ・サンドロットを超越する武勲を挙げる野望を持っており、今回の内戦をその足がかりとして利用していたことを師であるゼクスに打ち明ける。
「閃II」では直接戦闘することはないが、自身の異名と同じ黄金のシュピーゲルに搭乗し、二大流派を修めたという凄絶な剣技で第三機甲師団を圧倒する。
ウォレス・バルディアス
登場作:「閃II」
サザーランド州領邦軍総司令を務める褐色肌で高身長の男性。男爵位を持ち、かつての獅子戦役でドライケルス帝と共に挙兵したノルドの民の末裔であり、《黒旋風》の異名を持った槍術使いの若き豪傑。階級は准将で、オーレリア将軍と行動を共にし、主に帝国西部で第七機甲師団を始めとする帝国正規軍を相手に猛威をふるう。
オーレリア将軍と同じく直接戦闘する機会はないが、ガイウスと同じ十字槍を得物にしたヘクトルに搭乗し第四機甲師団と激突する。また、帝都で《緋き終焉の魔王》が復活する以前から不穏な「風」を感じ取っている。
アナベル
登場作:『閃』
帝国各地を旅して回っている貴族の女性。実家が決めた婚約を嫌って家出しており、執事が探し回っている。当初は豊富なミラに物を言わせた豪華な旅を続けていたが、「閃I」の序盤で財布をなくしてしまう。財布はリィンたちに届けられたものの旅費がなくなったことで考えが一変。後半で釣りの魅力にハマってからは釣った魚を調理しようとするなど急速にサバイバル能力が高くなり、終盤の学院祭では物々交換で買い物をしている。その後、婚約相手が釣具メーカーで名高いレイクロード家の長男だと知ってからは、婚約に前向きとなる。
「閃II」ではユミルでリィンに釣具と釣り手帳を渡す。

帝国解放戦線

ギリアス・オズボーンに鉄槌を下すことを目的として活動しているテロリスト集団。利害が一致することから貴族派に協力することも多い。特に幹部たちはオズボーン宰相への復讐心を持つため結束が強い。

ミヒャエル・ギデオン
登場作:「碧」・「閃I」B
声:松本考平
帝国解放戦線の幹部の1人で、コードネームは「G」。アーティファクトのひとつである「降魔の笛」と呼ばれる魔物を操る笛を有する。劇中でリィン達が初めて相対するメンバーでもある。
ノルド高原にて、カルバード共和国軍と帝国軍への工作を指揮し、両軍の軍事衝突を引き起こそうとするが、トールズ士官学院VII組によって阻止される。帝都ヘイムダルで行われた夏至祭においては、帝都知事カール・レーグニッツの殺害および皇女アルフィンの誘拐を試み、その際に「降魔の笛」を用いて帝都地下道に潜む魔獣たちを操り、カール・レーグニッツらを急襲。皇女の誘拐に成功し、側にいたエリゼ・シュバルツァーも巻き添えにする形で拉致した。そこへまたしてもVII組によって妨害される。そこで切り札として、かつて帝都を死の都と化し、当時の皇帝ヘクトル1世の命を奪い《緋の騎神》テスタ=ロッサを呪われた存在にした元凶である《暗黒竜》ゾロ=アグルーガの死骸を「笛」の力によって操る。圧倒的な脅威の前に竦み上がるVII組だったが、リィンの掛け声によって恐怖を克服しこれを打ち滅ぼされた。その際にリィンの襲撃に行って笛を失い、追い詰められたところを《C》ら幹部の面々に救われ共に撤退。以後は自分が戦力にならないと判断し、自らを捨石にして実働部隊を指揮し、オルキスタワーにて行われた西ゼムリア大陸通商会議にてオズボーンの命を狙うが失敗。彼に雇われていた猟兵団「赤い星座」によって作戦に参加したメンバー共々抹殺される。「碧」では名前こそ出なかったが「閃I」において作戦に参加していたことが明かされた。
元々は帝国で教鞭をふるう助教授だったが、オズボーンの行き過ぎた政策を批判したことで教壇を追われた。ただし追放された原因は批判の手段がビラを撒くなど行き過ぎたものであったため。その後も譲れない思想の対立から帝国解放戦線のサブリーダーとして自らの信じた正義のため闘争に殉じ、「誰かがオズボーンに鉄槌を下せれば我々の勝利だ」と言い残し自ら捨て駒となって死亡した。
雇った猟兵崩れを利用するだけ利用して価値がなくなれば平然と見捨てるなど冷酷な面を持つが、どれだけ追い詰められても部下を見捨てようとしないなど志を共にする者には優しい一面を見せている。戦闘能力こそ他の幹部には劣るものの助教授であった経歴を活かし、理論武装で組織を固める役割を果たしていた。
降魔の笛
ギデオンが持つアーティファクトの一つ。魔物を意のままに操る能力を持つ。「閃I」の序盤では密かにルナリア自然公園の主グルノージャを操ってリィンたちにけしかけさせた。また三章ではノルドの民に「悪しき精霊(ジン)」と呼ばれる凶悪な魔物ギノシャ・ザナクを操り窮地を逃れる。四章では切り札として《暗黒竜》ゾロ・アグルーガの死骸まで操った。だが笛の能力に目をつけていたリィンによって笛は破壊されてしまった。
ヴァルカン
登場作:「閃I」B・「閃II」
声:藤本たかひろ
帝国解放戦線の幹部の1人である巨漢の男で、コードネームは「V」。
かつて猟兵団「アルンガルム」の団長だった経歴を持つ。団長だった当時、オズボーンを脅すという依頼を受け実行に移すが返り討ちに遭い、猟兵団はヴァルカンを除いて全滅。以来オズボーンに対し、深い恨みを持つようになる。元々自分たちが先にオズボーンに絡んだことから本人はそれをただの逆恨みだとは理解しているが、しかしそれを凌駕する恨みの焔を抱えて行動を続けている。
「閃II」の時点ではオズボーンの殺害が成功したことで自身の目的を果たしてしまったためか、「憎しみの焔が燃え尽きて以前より覇気が無かった」とリィンに評される。リィンとアルフィンがパンタグリュエルから脱走してからはログナー侯爵の指揮下に入り黒竜門の守備に就いていたが、アンゼリカとログナー侯爵の和解の後、死に場所を求めるかのごとく機甲兵ゴライアスを駆りリィンに襲い掛かる。リィンに敗北し、クロウやスカーレットにも満足して逝ける死に場所を作ってほしいとリィンに頼みながら、超重量で駆動部に過大な負荷のかかっていたゴライアスの大爆発に巻き込まれ死亡する。
武器は巨大なガトリングガン。それを片手で振りまわし弾を周囲にまき散らして敵対者を殲滅する。
スカーレット
登場作:「閃I」B・「閃II」
声:西川宏美
帝国解放戦線の幹部の1人で、コードネームは「S」。眼帯で片目を隠し、オレンジの長髪をした妙齢の美女。かなりの巨乳
元々は農家の生まれでそれなりに裕福で不自由のない生活をしており、信仰心の強さからアルテリア法国に渡り七耀教会の封聖省に入り、従騎士にまでなっていた。しかしオズボーンの政策によって鉄道網が拡張された際に実家の土地を行政執行によって全て買い上げられたことを知り、自身の夢をあきらめ急遽故郷へ帰省するが時すでに遅く、土地に見合うだけの金銭はもらえても、元の土地と同じように農業の営める条件のそろった土地など見つかるわけがなく、父は酒に溺れ家族も散り散りになってしまった経緯から、オズボーンに対して深い憎しみを抱いている。
「閃II」ではヴァルカンと同じく、生きる目標を失ったことで性格も幾分か穏やかになっている。リィンとアルフィンがパンタグリュエルを脱走してからはオーロックス砦に配属され、アルバレア公爵の暴走を機に機甲兵ケストレルを駆りリィンと対峙する。リィンに敗北し、超高速の負荷で融解の始まっていたケストレルと共に死に逝こうとしていたが、リィンによって助け出され重傷を負うものの一命はとりとめる。そして、アルバレア公爵と共にアルバレア公爵邸に軟禁され自分の犯した罪は死んで償うのではなく生きて償ってほしいと諭され呆れるものの、クロウの事をリィンたちに託し昏倒する。最終的にリーダーであったクロウが死亡した為に、帝国解放戦線唯一の生き残りとなった。
武器は法剣(テンプルソード)。主に剣に炎をまとわせて敵を斬り裂く攻撃を放つ。更には炎をまとうほか伸縮自在であり、また分解してビットのように飛ばすことも可能。
Sクラフトは「ブラッディーストーム」。分解したガリアンソードを高速で飛ばし真紅の刃を嵐のように操作して切り刻む。
C(シー)
帝国解放戦線のリーダー。黒い仮面とマントで身を包み、オズボーンの計画を完膚なきまでに潰すことを信念としている。
その実力は高く、VII組メンバーの前に初めて姿を見せた時はVII組屈指の使い手達であるリィン、ラウラ、フィーの3人をまとめて相手にしながらも容易くあしらってみせる。
正体はトールズ士官学院のクロウ。演説中のオズボーンを銃撃して内戦の火蓋を切り、同時にその正体をVII組メンバーにさらした。また巨大人型兵器《蒼の騎神》オルディーネの「起動者ライザー」で、3年以上前からそれを乗りこなしており、起動者として覚醒したてのリィンに対して一度は追い詰められる(手を抜いていたが)も「奥の手」を使って格の違いを見せつけ、勝利した。
武器は暗黒時代の得物「双刃剣ダブルセイバー」。

その他エレボニアの住人

トヴァル・ランドナー
登場作:「零」・「閃I」・「閃II」P
声:杉田智和
遊撃士協会エレボニア支部に所属する正遊撃士。
「零」の前日譚『英雄伝説 零の軌跡 プレストーリー -審判の指環-』で初登場(姓は「閃I」で初出)。エステルたちの兄貴分で、スタンロッドと自らの手で改造した導力器を操る。
武術の腕はそれなりだが、戦術オーブメントの裏技的なカスタマイズに長けており、凄まじいスピードで数々のアーツを繰り出す使い手として知られている。
「閃I」ではサラからの依頼を受けて、VII組の特別実習を陰ながらサポートする。
作中に登場する娯楽小説『カーネリア』の主人公のモデルであり、当時の彼を知るものからは「トビー」の愛称で呼ばれる。また、同小説のヒロインとしても登場する「カーネリア」とは深い関係にあるらしいがモデルとなった本人かどうかは明言されていない。
カリン・アストレイ
登場作:「SC」・「the 3rd」
声:小寺可南子
ヨシュアの実姉で、ハーメルの悲劇時に猟兵の最期の凶刃からヨシュアをかばって命を落とす。レオンハルトとは恋人の関係にあった。
ヨシュアが持っている銀色のハーモニカは彼女の形見で、エレボニアの往年の流行歌「星の在り処」(「FC」のエンディングテーマでもある)を得意な曲としていた。「the 3rd」では狭間での戦闘の後に黒騎士が消滅する際、ほんのわずかな瞬間のみ黒騎士に寄り添う姿が見受けられる。
イリーナ・ラインフォルト
登場作:『閃』
声:住友優子
アリサの母。帝国の大企業ラインフォルト社の会長を務める。父のグエンからも仕事中毒と言われるほどの働きぶりで各地を忙しく飛び回っており、企業を際限なく拡大し続けている。その働きぶりはアリサが実家にいた頃も親子で食事できる機会も3か月に1回あるかないかというほど。
昔は厳しくもユーモアがあるキャリアウーマンであり、アリサとも親子で出かけることもあって仲も良かった。しかし後に技術者の夫を病気で亡くしてからは仕事に没頭するようになって娘とも疎遠になっていった。実はクロスベル全土を射程に捉えているガレリア要塞の《列車砲》の受注と納品を行った張本人。父グエンはこれを作ってから納品するかずっと悩んでいたが、イリーナは大株主全員を味方につけて彼から会長の座を奪って納品を強行した。
トールズ士官学院の理事の1人でもあり、アリサの事は逐一把握していた。外回りに没頭しすぎて社内の貴族派と革新派の対立を抑えられておらず、自社の兵器を帝国解放戦線に利用されてしまう。
グエン・ラインフォルト
登場作:『閃』
アリサの祖父でありイリーナの父である、ラインフォルト社の元会長。帝国でも名の知られた大物の技術者で、さまざまな乗り物や兵器を作った。重役らしからぬ親しみやすさもあって彼を知る者からは今も慕われているが、性格は基本的にスケベ。
今まで技術者として自分が作ったものに後悔はなかったが、《列車砲》の製造だけは後悔しており当時は納品をずっと迷っていたが、しかし娘イリーナに会長の座を強引に奪われて企業を去ることになってしまい、《列車砲》も彼女によってガレリア要塞に納品されてしまう。以降は外からラインフォルト社を見守ることにしてノルド高原のラクリマ湖のほとりに移住し、釣りなどをしながら悠々自適に暮らしている(しかし1年の半分くらいは帝都側の知り合いのところに顔を出している)。そのためガイウスとは面識があり、彼からは「ご隠居」と呼ばれている。
ミヒュト
登場作:『閃』
近郊都市トリスタで交換屋を営む男性。しかし裏の顔は情報屋であり、サラやトヴァル達遊撃士もよく利用している模様。
『空』に登場した娯楽小説『カーネリア』に同名の人物が登場するが、実は彼自身が作者であり、物語の内容は事実に基づいた脚色であったことが「閃I」のあるイベントで判明する。
ヴィータ・クロチルダ(ミスティ)
帝国歌劇場(ヘイルダムオペラハウス)で「蒼の歌姫(ディーヴァ)」と讃えられるトップスター。その素性は別項を参照。

カルバード共和国

大陸西部、エレボニアとリベールの東に位置する民主国家。

ジン・ヴァセック
登場作:『空』P
声:稲田徹
「《不動》のジン」の異名を持つA級正遊撃士(本人曰く「実力的には(A級の中でも)下の方」)。リベールの東にあるカルバード共和国出身。30歳(「FC」・「SC」)→31歳(「the 3rd」)。その巨漢と気さくな性格から、エステル達からは頼れる兄貴分といった存在。活人拳「泰斗流」という流派の武術家であり、東方の神秘「氣」を自在に操り、己の肉体を武器と化す。素質は相当なものであるが遠慮深い性格のため自分の実力を軽んじる傾向にあるのも事実。
全プレイヤーキャラクターの中でも最高の防御力でHPも高い反面、アーツは不得手。アガット同様、直接攻撃が主体。属性は「地」。「the 3rd」最終ボスの最強攻撃(約3万を越えるダメージを受ける。その時点でのほかのキャラクターのHPは大体2万8千程度)を生身で耐えきることができる。加えて、自己能力上昇のクラフトを使用した場合、単独で最終ボスと渡り合えるほどになる。
カシウスシェラザードとは旧知の仲で、特にカシウスには恩義があることをエステル達に話している。
ツァイス支部の受付のキリカや《身喰らう蛇》のヴァルターとは浅からぬ因縁があり、「SC」では三者を絡めた過去の出来事が描かれる。彼とは「泰斗流」の同門であり弟弟子でもあった。しかし兄弟子ヴァルターが師父リュウガを殺害したことで決別。後にキリカから真実の一端を聞かされ、そしてヴァルターからもなぜ師父と殺し合ったのかを聞かされた。師父はより強いほうを伝承者にと考え、ジンのほうが素質を持っているとヴァルターに告げた。ジンは、本来は力がありながら、ヴァルターに、武術でも、女性にも(キリカと思われる)、無意識に遠慮しているのだと。正式に勝負で継承者を決めたいと申し出たヴァルターに対し、師父はジンの代わりに自分が受けて立ち、そして敗れ去ったのだった。だが、師父の本当の思いはヴァルターとジンに「武道の光と闇」を示すことであった。既に師父は重病によって余命いくばくもなく、最後は一番弟子の手で武道家として最期を迎えたかったのだった。ヴァルターですらも知らなかった真実を語り、「不甲斐ない兄弟子に活を入れる」とジンは決着を申し出る。一騎打ちの末ヴァルターを破り、かつての兄弟子をついに乗り越えたのだった。
なお、作中には直接の登場はしないが「零」においてカシウス共々、《教団》殲滅作戦に参加していた描写がある。
キリカ・ロウラン
登場作:『空』・『VII』
声:米本千珠
カルバード共和国出身の東方系のクールな美女で、ジンとは昔からの知り合い。26歳(「FC」・「SC」)→28歳(『VII』)。ジンとヴァルターの師匠の娘で、泰斗流奥義皆伝の実力者。両手に持った偃月輪を自在に操り、得物を持たせれば泰斗流門下最強であったヴァルターすらしのぐ「飛燕紅児ひえんこうじ」と呼ばれる達人(ただし、執行者となったヴァルターとの力の差は不明)。ヴァルターとは恋人同士だったが、父との死合の後にヴァルターが泰斗流を去り、たもとを分かっている。その後キリカも共和国を離れ、流れ着いたリベール王国のツァイスで遊撃士協会の受付となる。
「FC」・「SC」ではツァイス支部の受付としてエステル達の仕事もサポートしている。
リベールの異変後、その洞察力と問題解決能力を買われてカルバード大統領直属の情報機関《ロックスミス機関》への誘いを受け、共和国へと帰国。同機関の室長となる。
「零」では芸能プロダクション社長の肩書きでクロスベルに来訪し、キーアを連れてミシュラムを脱出するロイドたちを間接的に助けつつも、共和国の代表として帝国代表のレクターと密談を行う。
「碧」ではロックスミス大統領の補佐官になっており、大統領と共にクロスベルを訪問する。その際、アリオスとは古い知り合いであることが判明する。第4章終盤にも、レクターと共にクロスベルに再来訪しそのまま滞在する(レクターと違って、何をしていたかは不明)。そして終章のクロスベル市解放作戦では、レクターやセルゲイたち反乱軍と共に参加し、クロスベルの遊撃士であるリンと一緒に泰斗流の腕前を再度披露する。
サミュエル・ロックスミス
登場作:「碧」
声:掛川裕彦
カルバード共和国の大統領。65歳。
庶民派大統領と呼ばれており、風車をお守りにするなど親しみやすい性格をしている。しかし、大国の代表だけあって相応の決断力を持っており、必要ならば軍事力を行使することも辞さない。
「西ゼムリア通商会議」では、オズボーンと共にクロスベル警備隊の解散と自国軍の駐留を要求し、更にはヨアヒム事件を解決したことで特務支援課に「宗主国として勲章を贈る」ことを告げ、クロスベル自治州の支配権を主張したためランディ達から「タヌキ」と評される。
エルザ・コクラン
登場作:「SC」
カルバード共和国の駐リベール大使を務める女性。エレボニア帝国を嫌っておりダヴィル大使とは口論が絶えないが、職務に私情を挟むことはない。本国のロックスミス大統領とは旧知の仲。
リュウガ・ロウラン
登場作:「SC」
故人。「泰斗流」の使い手にしてジンとヴァルターの師匠であり、そしてキリカの父親。かなりの使い手だったらしいが悪性の腫瘍によって蝕まれ、余命幾許もない状態となっていた。
一番弟子のヴァルターに「ジンのほうが才能に優れている」と告げ、彼を伝承者にしてキリカと婚姻させるつもりだと嘘を述べ、ヴァルターを挑発。ジンとの対決を望んだヴァルターとは自分が代わりに戦い、そして敗れ去った。だがこれこそがリュウガが望んだ武道家としての結末であった。最期は一番弟子の手で、と。
それだけではなく殺人拳を追及するヴァルターと活人拳を振るうジンの二人に「武術の光と闇」を示すことも目的だったという。その望みも叶い、ヴァルターはジンに破れたことで師父が言わんとしたことをようやく理解し、受け入れ一抹の満足を得て倒れたのだった。

カプア一家

元は帝国の貴族だったが、ドルンが悪徳商人にだまされて領地と財産を失う。その後わずかに残った家臣と共に、飛行艇「山猫号」を使った空賊団を結成する。「SC」の事件後は恩赦を得て空賊稼業から足を洗って「カプア運送会社」を立ち上げ、大陸を飛び回っている。

ジョゼット・カプア
登場作:「FC」B・「SC」P・「the 3rd」P・『暁』
声:庄司宇芽香
16歳(「FC」・「SC」)→17歳(「the 3rd」)。空賊団「カプア一家」の末妹。導力銃を扱う。一人称は「ボク」で、エステルからは「ボクっ子」などと呼ばれる。
勝ち気な性格で、特にエステルに対しては「ノーテンキ女」呼ばわりし(シリーズを通して作中でエステルのことを名前で呼んでいたのは「SC」の最終戦に彼女を連れていった場合の1度だけである)、性格的にもウマが合わないためか常に喧嘩腰になる。ただし女心に鈍感なヨシュアに対しては、エステルと共闘態勢を取る一面も見せたり、「the 3rd」では別れ際にいつもの如く張り合いつつも「楽しかったことだけは認めてあげる」などと発言していることから嫌ってはいない模様。「SC」ではとある事情で兄共々ヨシュアと行動を共にし、その過程で次第にヨシュアに惹かれていく。本来は仲間想いの心優しい性格の持ち主で、エステル達と行動を共にするようになったときには多くの仲間達から好意的に受け入れられるが、逆にミュラーとは同郷の軍人という人柄ゆえか相性が悪く、厳しい態度を取られて反発することもしばしば。また、エステル以外にもケビンに対しては「エセ神父」と呼んでたり、ミュラーに対しては「軍人バカ」と呼んでいたりするなど口はあまり良くない。
「SC」(終盤)、「the 3rd」ではプレイヤーキャラクターに昇格する。武器は導力銃で、オーブメントの属性は「地」。
キール・カプア
登場作:『空』・『暁』
声:藤本たかひろ
23歳。空賊団「カプア一家」の次兄。機械操縦の腕は相当なもの。頭の良さと冷静な性格から、作戦の立案を行う一方、暴走しがちなジョゼットをたしなめる役回りになることも多い。剣と手榴弾を扱う。
ドルン・カプア
登場作:『空』
声:銀河万丈[6]
30歳。空賊団「カプア一家」のリーダーで、長兄。豪快な性格で導力砲を扱う。
かつては男爵位を持つ帝国の貴族であったが、悪徳商人にだまされて領地と財産の大半を失う。唯一残された飛行艇「山猫号」と弟妹、わずかに残った家臣と共に空賊団を結成するが、お人好しな性格が災いしてあまり儲かっていなかった。
「FC」でワイスマンに操られて定期便「リンデ号」を襲ったことで王国軍に逮捕される。「SC」の事件後は恩赦を得て空賊稼業から足を洗って運送会社を立ち上げ、大陸全土を飛び回る生活を続けている。

身喰らう蛇(ウロボロス)

世界に暗躍する謎の組織で、単に《結社》とも呼ばれる。常人離れした戦闘力を持つエージェントと表世界のはるか上を行く技術力を持ち、作中で起きる多くの事件の影で暗躍している。

歴史の裏で七耀教会とは幾度も激突しており、宿敵のような間柄。またその活動内容から民間人の保護を理念とする遊撃士協会とも浅からぬ因縁がある。

軌跡シリーズにおける「敵」であり、黒幕として活動したり、あるいは黒幕の協力者となったりするなど、さまざまな形で主人公たちと激突する。

《盟主》(グランドマスター)
登場作:「the 3rd」
声:安田美和
《身喰らう蛇》を統べる最高権力者で、名前を含め全てが謎の人物。「the 3rd」で台詞のみ登場し、《星辰せいしんの間》と呼ばれる場所で《道化師》カンパネルラから《輝く環オーリ・オール》を宿した《杖》を献上される。
極めて責任感が強く部下想いであるため、レオンハルトら「福音計画」で倒れた部下たちの犠牲はおろか、ワイスマンの死すら自分の責任と断言して逆に《蛇の使徒》達を委縮させている。
蛇の使徒や執行者たちには何かしらの形で「力」を授けているという。レーヴェの「魔剣ケルンバイター」などがその一つである。

蛇の使徒(アンギス)

《結社》の最高幹部たち。第一柱から第七柱までの7人で構成されている。下記以外の人物については「the 3rd」もしくは「碧」、「閃」において台詞のみで登場し、名前も判明していない。《盟主》の『オルフェウス最終計画』のために様々な作戦の立案・指揮を行う。

第一柱
登場作:「the 3rd」・「碧」
声:不詳
正体については不明だが、「碧Evo」で声が付いたことから、丁寧で優しげな口調をした男性の模様である。
ヴィータ・クロチルダ
登場作:「the 3rd」・「閃I」・「閃II」B→P
声:田村ゆかり
蒼の深淵》の異名を持つ《蛇の使徒》の第二柱。《深淵》や《深淵の魔女》とも呼ばれる。
「the 3rd」と「碧」では台詞のみ登場し、姿を見せるのは「閃I」が最初。表向きは帝国歌劇場のトップスターとして活動しており、透き通った歌声と美貌で「蒼の歌姫(ディーヴァ)」と呼ばれている。素性を隠してトリスタ市のラジオ局「トリスタ放送」のパーソナリティ「ミスティ」としても活動するが、オズボーン狙撃事件を機にトールズ士官学院の学生達にのみ《蛇の使徒》としての正体を現す。
帝国の歴史の裏で暗躍してきた《魔女の眷属》の末裔であったが、8年前に禁を起こして里を抜けた。エマの姉弟子に当たることから「姉さん」と呼ばれており、「グリアノス」という瑠璃色の鳥を使い魔として使役している(なお、「閃I」2周目で、該当するキャラクターと終章の導力バイクで帝都へ向かうイベントを行った時に追加シーンが見られる)。
広範囲に渡り特定の相手に映像を見せつける「幻想の唄(ファンタズマゴリア)」、グリアノスにマナを注ぎ込み巨大化させる「魔徒の円舞(サヴァント・ヴァルス)」、煌魔城を顕現させる魔女最大の禁呪「魔王の凱歌(ルシフェンリート)」など様々な「唄」を使った魔女の秘術をもつ。作中では上記のもの以外にも集団催眠や転移、自らの映像をホログラムのように飛ばすといった術を披露した。
「閃II」では、「グリアノス」越しでリィンたちと会話をしたり、同じ魔女の一族であるエマですらはるかに凌駕する力を見せつけ、ついには魔王の凱歌を披露して帝都ヘイムダルに煌魔城を具現化させて、幻焔計画第二楽章の計画を進行する。そして、リィンの灰の騎神とクロウの蒼の騎神の激突を目論んだりするなど計画通りに進行できたところで、鉄血の子供達筆頭としての本性を露わにしたルーファスや復活したオズボーンの手によって、幻焔計画が乗っ取られてしまい敗走する。
後日譚ではトリスタのラジオ局からの依頼の際、いつの間にか「R.N.歌姫」と書かれた手紙をこっそり局に忍ばせている。手紙の内容からして、ラジオパーソナリティの生活は素で楽しんでいた模様。
使用するSクラフトは「深淵の蒼き唄」。荘厳のステージを構築し、対象の足元に魔法陣を形成。そこから無数の腕を召喚し「深淵」に引きずり込む。
ゲオルグ・ワイスマン
登場作:『空』B
声:田中秀幸
白面》の異名を持つ《蛇の使徒》の第三柱。37歳。仲間内からは《教授》とも呼ばれている。「FC」および「SC」における、ほぼ全ての事件の黒幕。「福音計画」遂行のために《執行者》を使いさまざまな実験を行う。
性格は極めて劣悪で嗜虐的。レーヴェからも性格の醜さを見抜かれており、「弱味を持つ人間の前に現れて、破滅へ誘う計画を囁き、自ら手を汚すことなく目的を達する」、そんなやり口をと呼んでいた。ヨシュアに対する執着は異常なほど強く、反旗を翻してからも精神を弄んでいる。記憶を操作する能力を持っており、姉を失って精神崩壊したヨシュアの心を元に戻し、《執行者》として《結社》に引き入れる。
《結社》内でもかなりの嫌われ者で、《執行者》を率いて活動するが、そんな彼等からは「教授への義理など毛頭ない」と口をそろえて言われており、あくまで加担する理由は各々の理由から来るものである。
当初は人のいい貧乏考古学者「アルバ教授」としてエステル達の前に現れ、護衛を受ける振りをしながらエステル達の様子を観察していた。またリベール王国軍大佐リシャールに《輝く環》の存在を教え、偽りの情報と記憶を植え付けることでクーデータを起こさせた。またレーヴェやヨシュアの故郷を滅ぼすように仕組んだ張本人でもある。当時の帝国主戦派は政争に敗れ多くが後がない者たちだったため、ワイスマンにつけ込まれ猟兵崩れを紹介され、そしてハーメルの名をささやかれたことで悲劇が始まり戦争へと発展したのだった。ワイスマンはこれを「実験結末」だったと述べていた。ハーメルだけではなくアガットの妹ミーシャが死ぬ原因にもなったため、最終決戦にアガットを連れて行くと彼に対する怒りを見せる。
「塩の杭」事件で孤児となり、七耀教会に引き取られた後は司教にまでなっていたが、盟主の誘いを受け《身喰らう蛇》に身を投じた。その経歴と本人の行った所業より、星杯騎士団からは「最悪の破戒僧」と呼ばれている。
武器は《盟主》より授かった杖で、戦闘では空間を操作した攻撃を行う。また、七耀教会時代の研究結果から、対象の記憶と認識を操作する異能の力も持つ。「FC」ではこれを駆使し暗躍し、最後にはヨシュアの前に現れ彼にかけた記憶操作を解き、自分を追わせる。
「SC」では執行者たちを率いて《リベル=アーク》を出現させ《福音計画》を実行に移す。目的は《輝く環》の入手及び「人類の進化」。《輝く環》の絶対的な力を知らしめることで、いかなる誘惑・逆境にも揺らぐことのない「絶対の理性」と、感情に捉われることなく答えを見出せる「究極の知性」を人類に植え付けさせ、自己進化を促すのを手段にするつもりであった。《輝く環》とは汎用端末《ゴスペル》を通じて「奇跡」を体現していた。それに頼った古代人たちは与えられる物質的快楽・精神的快楽に酔い痴れ麻薬のように依存してしまい、向上心や倫理を失くしてしまい異常犯罪・自殺などが蔓延するようになってしまった。《環》は封印されたがその結果、人類は地上で暮らすことを余儀なくされ度重なる戦争によって殺し合いを繰り広げ、そしてまた「オーブメント」という技術を手に入れ豊かな暮らしを取り戻しつつある。教授は「人類が向かう先は二つしかありえない」と延べ、欲望によって世界を巻き込み破滅の道連れにするか、古代人のようにシステムに管理され家畜のような生を享受するしかなく、その対策こそが人類の進化であり《使徒》である自分の役目だとエステルたちに語った。だがエステルには余計なお世話の一言で否定され、これ以上の論争は無駄だと聖痕によって洗脳したヨシュアをけしかけ彼女を殺させようとする。しかしそれを見越したヨシュアに対策されていたため聖痕は消滅。追い詰められたことで《輝く環》と融合することで絶対的な力を手にするが、それは過去滅亡した古代人たちと何も変わらないものであり、レーヴェとT・M・ドラギオンに反旗を翻された。
ラストバトルの後、満身創痍となり敗北するのは《盟主》の予言にはなかったと言い、自分も試されていたことに気づき問い質すべくリベル=アークから逃亡を図ったところを本性を現したケビンに「外法」として狩られてしまう。教会の呪具《塩の杭》を打ち込まれ、絶叫を上げながら全身を塩の塊にされ、その直後に現れたカンパネルラに粉々に破壊されて死亡した。なお、この時の塩の杭の行使は極秘事項とされ、アルテリア法国封聖省の資料ではワイスマンの名前が伏せられており、表向きはリベル=アーク崩壊以降は行方不明として扱われている(《結社》内では死亡したことが伝えられている)。
「the 3rd」では煉獄に迷い込んだケビンとリースの前に現れ、得意の舌先三寸で彼を唆そうとするが拒否され2対1の戦いとなり、今度こそ滅された。最期にケビンを無駄な努力と嘲り、哄笑を残して消え去った。
使用するSクラフトは「アナザーディメンション」。この世に煉獄を顕現し、地面から亡者の腕で対象を拘束した後、無数の槍を出現させ処断する。
アルバ教授
「FC」においてワイスマンが名乗っていた偽名。常に笑顔を絶やさず、貧乏な考古学者を名乗ってエステルたちの前にたびたび現れヨシュアを監視していた。その影では前述の記憶干渉能力によりカプア一家の長兄を操り、またクルツの記憶まで操作して記憶を封じた。この能力によって正体を隠しながらロランス(レーヴェ)とともに暗躍していた。「FC」のエンディングにてヨシュアの前に現れ、自分の正体と本性を明かし、彼にかけた記憶操作を解き自分を追わせた。
アンヘルワイスマン
ワイスマンが《空の至宝》と融合したことで「進化」した形態。「SC」におけるラストボス。見上げるほどの巨大な怪物と化し、強力なバリアーによってあらゆる攻撃をシャットアウトする能力を持つ。しかし、反旗を翻したレーヴェの一撃により絶対防御は無力化されてしまう。ワイスマンと渡り合うエステルたちに《輝く環》が一方的に力を授け、下半身をに酷似した怪物と結合した第二形態へと移行する。まさに《天使》に相応しい姿となってエステルたちと最後の戦いを繰り広げ、激戦の末に敗北。《環》の力を持ってしてもエステルたち「人間の力」には及ばず、自分が負けたことに驚愕しながらも撤退する。エステルからは「あんなやつどうだっていい」と関わることさえも避けられたが、上述のように追ってきたケビンによってとどめを刺され死亡した。
マリアベル・クロイス
ワイスマンに代わる、《蛇の使徒》の第三柱。サディスティックな一面を持つ我の強い女性で、お嬢様然とした口調で話す。錬金術師の一族で、霊的な位相空間を築いたり、魔獣や古代の機械人形を使役できる。
F(エフ)・ノバルティス
声:真殿光昭
登場作:「the 3rd」・「碧」
《蛇の使徒》の第六柱。《身喰らう蛇》の研究機関「十三工房」の長。「the 3rd」で台詞のみ登場する他、「SC」・「零」では彼についての言及が見られる。穏やかな口調だが、研究のためなら自身を含む全てを犠牲にしても構わないと公言するマッドサイエンティストで、師のヨルグから忌み嫌われている。戦闘能力は不明。
改良・改造にかけてはヨルグも認める天才的な才を持っており、《結社》で使われている兵器の数々は彼の手によって再構築されたもの。しかしヨルグの研究成果である「ゴルディアス級」の成果を奪い取ったため毛嫌いされている。
「碧」では「幻焔計画」遂行のためにアリアンロードとカンパネルラと共にクロスベルに来訪する。その後3機のゴルディアス級最終型《神機》アイオーンを作製、《零の至宝》として覚醒したキーアに献上した。物語終盤、マリアベル達にとって用済みとなったアイオーンTYPE-αと共にクロスベルから去る。
《星辰の(アストラル)コード》と呼ばれる、導力ネットワークのような強力なネットワークシステムを開発しており、カンパネルラがヨナの端末を、旧式にしては使いやすい端末と言わせるほど表の世界よりも技術は進んでいる。
レンが去ってからは後任を探すのに躍起になっているようで、特務支援課のメンバーを勧誘したりしたのでカンパネルラからは呆れられている。
アリアンロード
登場作:「the 3rd」・「碧」B・「閃I」
声:久川綾
《蛇の使徒》の第七柱で《鋼の聖女》もしくは《》の異名を持つ。あらゆる武術に精通[7]し、ワジをして「人間の身では勝てないことが決まっているような強さ」「《結社》最強の使い手」と言わしめるほどの圧倒的な武力を誇る、金色の長髪の女性。《盟主》の命令には忠実で何よりも優先されるが、融通の利かない女性というわけではない。
「the 3rd」では台詞のみ登場し、「碧」においてついにその姿を現す。非常に丁寧で穏やかな口調で話し、仁義にも厚いが敵対者には情け容赦しない。武器は騎兵槍(ランス)で、頭部も含めた全身を白色の甲冑で覆っている。彼女の兜を砕けるほどの戦士は世界でもほとんどおらず(リーシャの父がその1人に該当する)、彼女に膝をつかせることのできる者に至ってはさらに数えるほどしかいないらしい。
エリィの推測では250年前の人物、《獅子戦役》で《鉄騎隊》を率いて活躍した《槍の聖女》リアンヌ・サンドロットの可能性があるが、真偽のほどは不明(アリアンロード自身も着眼点を褒めるに留めている)。なお《鉄機隊》と呼ばれる独自の部隊を持っており、中には《戦乙女》と呼ばれる3人の直弟子がいる。いずれも戦闘能力では執行者に迫る。また最新鋭の自動人形も配備されている。
「碧」では幻焔計画のため執行者カンパネルラとF・ノバルティス博士と共にクロスベルへ姿を現す。クロイス家に協力し、クロスベル市を覆う結界を構成するアーティファクトの守護を担った。それを打ち破りに着たロイド達と《星見の塔》で戦闘になり、彼らにその驚異的な実力の一端を見せる。
戦闘で彼女の兜を脱がせた(砕いた)時にはさらなる実力を発揮し、その時の戦闘力は「碧」の最終ボス以上である(これでも全力を出していない。倒しても片膝をつかせるところまでしか追い込めない)。それ故か、彼女との戦闘では敗北してもストーリーを進めることが可能になっている(「FC」と「SC」の《剣帝》レーヴェ戦と同じ措置)。
勝てば上述のように彼女の正体についての一端が明かされるが、敗北した場合は彼女のほうから特務支援課の意志を認め引き下がる(ただし兜を砕くまでダメージを与えず負けた場合はゲームオーバーになる)。
「碧」の隠し支援要請にも登場し、医療機器を騙し取った詐欺師ミンネスの所業を「弱者から掠め取る何の覚悟もない行為」として見逃せず、ロイドたちに協力した。
「閃I」では《槍の聖女》ゆかりの地であるローエングリン城でトラップに掛かり窮地に陥ったリィンたちを救った。しかし自分は姿を見せることなく立ち去っている。このためラウラからは「サンドロットの霊が助けてくれた」と感謝されているが、セリーヌによってあの場にアリアンロードがいたことが示唆されている。
容姿に関してはランディ曰く「めちゃくちゃ好みの美人のお姉さま」とのこと。口説く暇もなかったことが悔やまれている。
Sクラフトは「聖技グランドクロス」。炎の竜巻で動きを封じた後、超高速の突進突きによる全体攻撃を行う。
リアンヌ・サンドロット
辺境の伯爵家に生を受けた乙女。通称《槍の聖女》。省略して《聖女》と呼ばれることが多い。《鉄騎隊》と呼ばれる騎士団を率いており、いずれも神速の機動力で戦場を駆ける一騎当千の実力者たちである。《槍の聖女》自身も常勝無敗を誇る槍の使い手。
約250年前、戦乱の中、辺境の地にてドライケルス大帝(当時は皇子)と出会い、互いに信頼に足る人物として認め合い、共闘することに。《槍の聖女》の加勢により、小規模だったドライケルス陣営は破竹の勢いで各地を解放していったという。そしてわずか1年で他の皇子たちを下し帝都ヘイムダルまでも解放する。
なお、アルゼイド家の祖先は《鉄騎隊》の副隊長を務めており、《槍の聖女》の右腕にして腹心だったという。
一般的には《槍の聖女》は死んだとされており、サンドロット家が断絶したことでアルゼイド家がローエングリン城の管理を行い、彼女の魂を毎年弔っている。

執行者(レギオン)

盟主によって見出された結社の最高位のエージェント。いずれも常人を上回る戦闘能力と機知を誇っており、それを裏付けるさまざまな過去を持つ。基本的に《蛇の使徒》の手足として動くことが多く、作戦を提案する立場にはいない。ただし行動の制限をされることなく自由に動き回ることができ、たとえオルフェウス最終計画の妨げになるような行動を起こしても組織としての制裁を受けることはない。 執行者に選ばれるには、戦闘能力はもちろんのこと心に何かしらの闇を抱えていることも条件だという。

カンパネルラ
登場作:「SC」・「the 3rd」・「碧」B
声:伊藤かな恵
道化師》の異名を持つ執行者No.0。炎を使った幻術を使う。姿や言葉遣いは少年のものだが、「SC」第6章では、ヨシュアが結社にいた頃と容貌が変わっていないことが指摘されており、外見と実年齢が一致していない。ヴァルターからは「ナンバーと同じくらいは信用している」と言われているが、つまりは信用ゼロである。「SC」では「福音計画」の見届け役として派遣される。「the 3rd」では、死亡したワイスマンに代わり《輝く環》を宿した《杖》を《盟主》に献上するというサイドストーリーが語られる他、あるミニゲームではさまざまな格好に着替えて司会役として進行を務めてもいる。
本人曰く「直接の戦闘は不得手」とのこと(ヨシュアは「戦闘能力は自分と同じ程度」と評している)。その為「SC」では唯一執行者の中ではイベントのみ登場で声優も登場していない。「碧」では主人公たちとの直接対決となり、相手の姿を変貌させる幻術や炎系のアーツの他、ランダムな位置に飛ばしてしまうアーツ、Sクラフトでは「偽・塩の杭」という「塩の杭」模倣した物体を撃ち込んだりなどさまざまな搦め手を使ってくる。
マクバーン
登場作:「閃II」B
声:諏訪部順一
劫炎》、または《火焔魔人》の異名を持つ執行者No.I。無造作に伸ばした長髪とメガネが特徴。常に気だるそうな態度で何もやる気を見せないが、その実力は執行者の中で最強クラスにして、使徒第七柱「鋼の聖女」アリアンロードに匹敵すると言われている。質問や説明を求められた場合は自分の応えられる範囲で回答し、力を開放する際に周囲の安全を考慮するなど執行者の中では比較的常識がある方だが、強い相手と本気で戦いたいという望みを持つようで、その際は見境がなくなる。外の理によって作られた魔剣のひとつにして、レーヴェの剣と対になる剣「アングバール」を持つ。普段は武器も持たずに後述の炎を操る力のみで戦うが、《火焔魔人》としての力を解放した際は次元を破るようにどこからともなく出現したアングバールによる剣技で戦う。その腕前はガランシャールを携えたヴィクターと互角以上に渡り合うほどである。
アーツのように駆動させる必要がなく、魔術・幻術のように詠唱する必要もない星杯騎士団の《聖痕》とも異なる炎のような特殊な力を使うことができる。この力は生まれながらに持つものでもも修練を積んで手に入れたものでもないらしく、何らかの形で外部から自分の中に入り込んだものであり、マクバーン自身はこの異能を「混じっている」と呼んでいる。また、リィンの持つ《鬼》の力も自分のものとは異なるものの同じように「混じっている」結果得た力だと説明している。リィンのそれは一部だと答えた際に、逆にマクバーン自身にはどれくらい異能の力が「混じっている」のか問われ、「全部」だと返答するが、終盤にその「全部」の異能を開放し、《火焔魔人》としての真の姿を現してヴィクターと激闘を繰り広げる。
使用するSクラフトは「ジリオンハザード」。三発の火炎弾を放った後、最後の一発に火炎弾を見舞う。この火炎弾は直撃する寸前に極大に膨れあがるという特徴を持っており、直撃すれば大爆発を発生させる。
レオンハルト(レーヴェ、ロランス・ベルガー)
登場作:『空』B
声:緑川光
剣帝》の異名を持つ執行者No.II。仲間からは「レーヴェ」の愛称で呼ばれている。その実力は執行者の中でも1、2を争うと言われ、特に剣技においては大陸でも彼にかなう人物はそうそういないとされるほどの《剣帝》の名に恥じない実力を持つ。アリアンロードの師事した経験があり、彼女と渡り合える数少ない実力者と言われている。盟主から外の理で作られた魔剣「ケルンバイター」を授かっており、戦闘では主にそれを用いる。また、強力なアーツも駆使する。『空』三部作を通して最強を誇る人物の1人。「SC」終盤、中核塔の決戦では5番手に登場する。
ヨシュアと同じハーメル村の出身であり、ヨシュアの姉カリンの恋人でもあった。かつては遊撃士を目指す正義感あふれる少年だったが、ハーメル村の惨劇が契機となって修羅の道に進み、《身喰らう蛇》に身を投じる。福音計画によって人々に人間という存在の脆弱さをつきつけることで、弱さゆえの欺瞞を失くし二度とハーメル村のような悲劇を繰り返させないことを目的とする。
冷静な性格であり、ゴスペルの実験の際も被害をできるだけ抑えようとするなど無駄な殺生は好まない。一方で自らを人の道を捨て修羅となった者とし、必要とあらば女子供でも容赦なく殺すと豪語する。
「FC」では福音計画の下準備のため「ロランス・ベルガー」を名乗り王国軍情報部に少尉として所属。リシャール大佐の指示の下、各地で特務兵を率いて暗躍していた。クーデター決行のさなか行方をくらます。
「SC」では執行者として福音計画に参加。計画に参加している執行者達の中心的役割を果たす。中盤はレグナートを用いた実験をボースで行い、終盤はT・M・ドラギオンを駆り単身リベルアークの制圧に赴き見事成功させた。さらにはアルセイユを斬り付け不時着させるという離れ業までやってのけた。
終章、中核塔アクシスピラーの頂上にてエステルたちと対峙。一行と戦った後、今度は全力を出すことを告げるがヨシュアのほうから一騎討ちを申し込まれる。
戦いの中、ヨシュアから目的を問われる。《結社》や《教授》に協力する理由は、恋人カリンの復讐のためではなく彼女のような犠牲を生み出さないことにあった。「真実から目を背け、都合のいい現実だけを受け入れる人の弱さ」をヨシュアに語った。目的のための手段として《輝く環》の力によって国家という後ろ盾を奪い、人々に己の「弱さ(欺瞞)」を突きつけ、自覚させようとしていた。しかし、ヨシュアからカリンという存在を見て「立ち向かう人の強さ」を知っていることを指摘され、その「真実」から目を逸らし人々を試そうとするレーヴェこそ「欺瞞」であることを突きつけられた。人の強さを信じるヨシュアと人の弱さを証明しようとするレーヴェとの戦いは、ヨシュアの勝利に終わる。
レーヴェは一瞬だけ見せた隙を突かれ、剣を落とすことに全力をかけた連撃を見舞われ剣を手放してしまう。相手を倒すためではなく傷つけず無力化するための戦い方を前にし、「剣帝が剣を落とされてはどんな言い訳も通用しない」と語り素直に敗北を認めた。また彼の成長と彼が出した人間の欺瞞に対する答えを受け入れ、結社との決別を宣言した。しかしそれを見咎めたワイスマンの不意打ちを受け、重傷を負い戦線離脱してしまう(「エステルたちの力を試す」のも目的だったため、レーヴェが協力すると台無しになるため)。
最終決戦の場となる根源区画の戦いでは、ワイスマンの無敵の障壁に苦しむエステルたちを救うため、T・M・ドラギオンを駆りケルンバイターを用いて特攻を仕掛ける。障壁を砕くことには成功するが致命傷を負ってしまう。そしてワイスマンの敗北後、エステルに「俺たちの弟を支えて欲しい」とヨシュアを託し、カリンの死に際の心境に思いをはせながら死亡した。その最期はヨシュアを守って死んだ恋人と同じものであった。
「SC」では敗北してもイベントでストーリーが進むようになっている。「FC」の終盤にもエステル、シェラザード、クローゼの3名で戦うことになり、勝てば賞賛され、負けると落胆されてしまう。ここでも勝敗にかかわらずストーリーは進む。
年齢は明らかではないが、エステルや孤児院のテレサには20代後半ぐらいではないかと見られている。
「FC」の中ではロランス・ベルガーとしてアガットと幾度も交戦するがいずれも引き分けに終わっている。しかし「SC」においては容易く彼をねじ伏せ、これまで手加減していたことが明かされた。このことがアガットを成長させる大きな要因となり、中核塔での戦いで彼がいた場合は大幅に成長したことを賞賛する。また自分と似たような境遇である彼には共感できる部分もあったらしく、彼の故郷に赴き、戦争で犠牲になった人たちの墓前に花を添えていた。
使用するSクラフトは「鬼炎斬」。自身を中心に剣による一閃――「剣帝の一撃」を放ち、円形の衝撃波によって広範囲にダメージを与える。
「SC」のWin初回版における最終決戦時のステータス及び使用するアーツは、FCのイベントバトル時に比べて低く設定ないし使用しないようにされているが、後に公式から強化パッチが配布され、以後の再版、PSP版にてステータスの大幅な見直しがされた。戦闘では「分け身」による分身を複数生み出し圧倒的な手数と攻撃力で攻め込んでくる。同じくアリアンロードの弟子である《神速》のデュバリィや執行者の一部も同様の技を使用する。
ロランス・ベルガー
「FC」においてレーヴェが名乗っていた偽名であり、王国軍情報部の少尉として名。情報部の工作員として動きながらも無益な殺生は好まず、焼き討ちされた孤児院からテレサと孤児たちを密かに救い出した。ロランスを名乗っている間は仮面をかぶることで素顔を隠しているが、仮面と素顔を巧みに使い分け正体を隠していた(「FC」においては素顔で現れても謎の男として見られ、ロランスの素顔であることは終盤まで隠されていた)。リベール王都の武術大会に部下を率いて出場し、準決勝でカプア一家を破り、決勝ではエステルたちと交戦。しかしリシャールから負けるように指示されていたため本気を出さず、エステルたちに花を持たせた。王城奪還戦ではエステルたちを待ち受け、仮面に隠された素顔を明かしエステル、シェラザード、クローゼの三人と交戦。上述のように勝敗によって結果が変わり、勝利した際はエステルの潜在能力を認め、敗北した場合は落胆されてしまう。どちらの結果もロランスから撤退する。
T・M・ドラギオン
《環の守護者》トロイメライのデータを基に《結社》が開発した新型の巨大機械人形。フルネームは《トロイメライ=ドラギオン》。外見はトロイメライとほぼ同じだがカラーリングや細部が異なる他、飛行能力まで有する。レーヴェはこれに乗ることで飛翔し、アルセイユをきりつけ不時着させた。「SC」ではレーヴェ専用の一機とワイスマンが操る三機(後に他の個体も現れたことが明かされた)が登場。後者の三機(と他の個体)はエステルたちによって撃破され、レーヴェの一機は彼と共にアンヘル・ワイスマンとの決戦に駆けつけ援護した後に大破した。「the3rd」では黒騎士と同時にボスとして登場する。
ルシオラ
登場作:「SC」B・「the 3rd」B・「碧」
声:西川宏美
幻惑の鈴》の異名を持つ執行者No.VI。扇を使って風を操り、宙を舞うように戦う。鈴の音を利用した幻術が得意。戦闘時には風と炎を伴う攻撃を主に使用し、さらには強力な式神まで召喚する。「SC」終盤、中核塔の決戦では3番手に登場する。
かつてシェラザードと同じ旅芸人一座におり、孤児だったところを座長に引き取られ親子のように育っていった。同じくスラム出身のシェラザードの姉貴分であり「姉さん」と呼ばれ、エステルとも顔見知りであった。座長が墜落事故によって死亡し、一座の解散後、行方が分からなかったが「SC」の事件で 《身喰らう蛇》の執行者となっていたことが判明する。シェラザードたちの前に現れ、久々の再会をしたその時、座長の事故の真相を語る。事故に見せかけて崖から突き落とし殺したこと、アリバイ作りに自分の姿を模した式神を使ったこと。そのことだけを告げて立ち去り、「SC」終盤の戦いにおいて更なる真相をシェラザードに告げる。
旅芸人一座とは儲かるような商売ではなく、汚い取引や女の芸人に客を取らせるような行為をしなければなり多々ない者だった。しかし座長はそんなことはせず、資材を投げ打ってまで一座の維持をしており、やがて莫大な借金を背負ってしまった。このままではシェラザードたちを不幸にしてしまうと知り合いの貴族に一座を譲り、自分がいては皆のためにならないと考え姿を消すつもりだったという。そのことを裏切りと受け取り、ルシオラは座長を殺したと妹分に語った。
だが自分を憎むことができないシェラザードを前にして、ルシオラは本当の真実を語る。座長から一座を解散させることを聞かされた際、親子ほども年の離れた座長に告白し自分の思いを告げたが、「一時の感情に流されず相応しい相手を見つけるといい」と諭された。だがルシオラは納得できず、自分が他の人間を好きになってしまえば本当の意味で座長は離れて行ってしまう。その前に、永遠に自分のものにするために、ルシオラは恋焦がれていた相手を殺したのだった。そして座長を殺したように自らも《中枢塔》から身を投じるが、シェラザードの鞭によって阻止される。その際、一座を離れてから妹分のことが気がかりだったが自分で自分の道を見つけて立派に成長していたのが嬉しかったこと、そして彼女の手で自分を裁いてほしかったことを告げ、自らの手で鞭を断ち切り空の中へ落ちて行った[注 4]
「碧」で彼女らしき東方風の凄腕女性占い師がミシュラムのテーマパークに登場している。夜のテーマパークでのイベント時に、カンパネルラに自らの式神を出して力を貸しながらも、結社には戻っていないという。
使用するSクラフトは「幻術・火炎地獄」。幻術によって描かれた巨大なルシオラの口腔から灼熱の火炎放射が放たれる。
ヴァルター
登場作:「SC」B・「the 3rd」B
声:吉水孝宏
痩せ狼》の異名を持つ執行者No.VIII。リベールでは見かけないサングラスが特徴。そのためかエステルからは「サングラス男」と呼ばれている。「功夫」の使い手で体術に長じており、「SC」では《四輪の塔》頂上から飛び降りたり、リベール王城正門を素手(秦斗流奥義「寸勁(すんけい)」)で破壊するなど常人離れした業を見せている。壊れた城門を見たエステルからは「強さの次元が違う」と呆れられた。また、単純な身体の力だけならレーヴェより上かもしれないと見られている。「SC」終盤、中核塔の決戦では2番手に登場する。
かつては「泰斗流」の使い手であるリュウガの一番弟子であり、そしてジンの兄弟子であり、キリカとは恋人の関係だった。しかし、武術に関して天賦の才能があったが故に、武術の暗黒面である「殺人拳」を追求するようになり、師父リュウガを殺めたことで「泰斗流」を離れることとなる。その後「SC」で《身喰らう蛇》の執行者となっていたことが判明する。ジンからも「天才」と言われるが、欠点としてその才能ゆえに積み重ねを怠り、愚直なまでの積み重ねによって養われる功夫の使い手としては中途半端であったことを指摘された。
「SC」の終盤、最終決戦の舞台となる中核塔にて一行を待ち受け交戦。その中でヴァルターは弟弟子に師父殺害の真実を語る。師父はジンのほうがヴァルターより優れていると述べ、兄弟子に遠慮して本来の実力が出せず、またキリカに対する恋心も抑えていると告げた。より優れたほうを後継者にするつもりであることまで話し、逆上したヴァルターはジンとの勝負で継承者を決めることを望んだが師父は上記の理由から拒絶し、代わりに自分が戦うことを申し出た。その結果、ヴァルターは師父を破り、殺害。後に結社に身を投じたのだった。だがそれは真実の一端でしかなく、ジンもまた彼の知らない事情をキリカから教えられていた。師父リュウガは既に重い病にかかっており、武術家として最期の生を一番弟子の手で止めてほしかったこと、そして自分が死ぬことで武術の光と闇(活人拳と殺人拳)を愛弟子たちに示すつもりだったのだとジンから語られた。
ジンから一騎討ちを申し込まれ、ヴァルターはかつての弟弟子の活人拳の前に敗北。ジンの成長を目の当たりにし、師父が伝えたかったことを悟り、一抹の満足を得て気絶した。ジンが勝てたのはヴァルターが用いたのが殺人拳だったからこそで、もし今でも彼が「泰斗流」を駆使していたのなら負けていたのは自分だったとジンは語っている[注 5]
「the 3rd」の星の扉14のイベントでは崩壊するリベル=アークをグロリアスからブルブランと一緒に眺める姿が見られる。
使用するSクラフトは「アルティメットブロー」。拳から二発の気功波を放った後、全力を込めた拳打を打ち込み衝撃波を発生させる。
シャロン・クルーガー
登場作:「閃I」・「閃II」P
声:ゆかな
死線》の異名を持つ執行者No.IX。笑顔を絶やさないおっとりとしたメイドだが、鋼のワイヤーを武器としており《死線》の異名はここから取られている。表向きはラインフォルト家のメイドであり、長い時間を共にしているアリサは実の姉のように慕っている。
アリサの父の死後にメイドとしてラインフォルト家に入り、ラインフォルト家の身の回りの世話やイリーナ会長の秘書業務を行う一方で、執行者としては2年前のギルド襲撃事件で当時遊撃士であったサラと争っている。そのためか彼女からはまったく信頼されておらず、飄々とした態度も崩してつっけんどんに扱われていた。アリサの士官学校入学から少し後にイリーナの意向によりトールズ士官学院第3学生寮の管理人となり、VII組の身の回りを世話する。「閃II」では主人公たちの仲間となり貴族派やそのウラに潜む《結社》と《帝国解放戦線》を相手に戦うこととなる。シリーズを通して執行者の中では初めて味方についた。
執行者やメイド以前の経歴は不明だが、「(ヨシュアやレンと違い)自分には帰る場所がない」という旨の発言をしている。
武器は鋼糸とダガー。オーブメントの属性は時と幻。使用するSクラフトは「秘技・死縛葬送」。鋼のワイヤーで縦横無尽に走らせ対象の周囲を包囲した後、ワイヤーを伝うように滑空し手にしたダガーで斬り刻む。
ブルブラン
登場作:『空』B・『VII』・「閃I」・「閃II」B
声:三浦祥朗
怪盗紳士》の異名を持つ執行者No.X。大陸に「怪盗B」の名で知れ渡っている怪盗でもある。自称・美の探究者。奇抜な格好をしており目元を隠すタイプの仮面を装着している。直接の登場は「SC」からで、クローゼに美を見出し、密かに狙っていた。王立学園地下遺跡での初対面時に、オリビエとは「美」についての論争を繰り広げ、以後は一方的にライバルと認定している(エステル曰く「ヘンタイ対決」)。「SC」終盤、中核塔の決戦では1番手に登場する。また「閃II」の煌魔城の戦いでは《神速》のデュバリィとコンビを組み、一番手となって立ち塞がる。
「SC」の最後の戦いで登場した際は、ヨシュアから「福音計画」に関わりが薄いことを理由に手を引くように言われるが、彼が戦う理由は「エステルたちの希望を盗む」という好奇心からくるものだった。しかし《怪盗紳士》であってもこればかりは盗むことができず、仮面を割られ敗北する。
ブルブランとして直接登場するのは「SC」「3rd」「閃I」「閃II」の4作のみだが、その他の作品においても「怪盗B」として各作品の主人公達に挑戦状を送りつけて盗品を探させており、間接的なものもあわせれば軌跡シリーズ全作に登場している。非常に回りくどいやり方で暗号を残し、主人公たちにあちこち探し回させる(オリビエですらも疲れて嫌がったほど)。変装の達人であり、「FC」や「零」でも事件の解決に乗り出したエステルロイド達を変装でだまして逃亡に成功している。ただし「閃I」ではその変装もリィンに見破られている。マリアベルが所持する人形まで盗み出すなど、相手が協力者であっても手を緩めることはない。
戦闘時にはマジック(手品)を駆使したトリッキーな攻撃を繰り出す。使用するSクラフトは「デスマジック」。対象一人を豪奢な柩の中に閉じ込め、手にしたロッドを長剣に変化させて投擲、貫く。
ヨシュア・アストレイ
漆黒の牙》の異名を持つ執行者No.XIII。隠密行動を得意とする。
レン
登場作:「SC」B・「the 3rd」P・『VII』
声:西原久美子
殲滅天使せんめつてんし》の異名を持つ執行者No.XV。11歳(「SC」)→12歳(「the 3rd」)。イタズラ好きでおしゃまでおませな少女。身の丈ほどもある巨大な鎌を振るい、容姿に似合わぬ強烈な一撃で敵対者を殲滅する。《十三工房》で開発された巨大戦闘人形《パテル=マテル》を操る。周囲の状況を瞬時に受け入れ、教えられた技能を瞬く間に自分のものにできる天才。化学数学情報理論博士号を習得しており、代理人を通じて定期的に論文も発表している。「SC」終盤、中核塔の決戦では4番手に登場する。
商人のヘイワース夫妻の間に長女として生まれるが、物心つく頃に両親が商売で失敗し、一時的に信頼できる友人へと預けられていた。しかしその友人宅が《D∴G教団》に襲われて拉致され、投薬実験によって前述の天才的な能力を得る。そして関連施設《楽園》で虐待を受け続けるが、結社の任務で《楽園》を壊滅させたレオンハルトヨシュアによって結社に引き取られて執行者候補となり、その後その才能を発揮し執行者となる。
「SC」において当初は正体を隠し、ヘイワース夫妻を模した人形と共に旅行者と偽ってエステル達の前に現われる。その後正体を現し、執行者としてエステル達の前に立ちふさがる。両親の事情を知らないために実の両親を偽物と呼び、常に自分のために行動する《パテル=マテル》を本当の両親と呼ぶレンを、エステルは自分を家族として迎えたいと申し出るが、レンはこれを受け止められず、リベールの異変収束後も結社に戻らず、自分を捜しているエステル達から逃げながら《パテル=マテル》と共にさまよっていた。そして「the 3rd」の影の国においてエステルに対する態度を少しずつ変えてゆく。
「零」においてはクロスベルを訪れ、導力ネットワークの扱いをすぐに覚えて《仔猫キティ》と名乗りハッキングを行い、ハッキングの天才を自称するヨナをも上回る腕前を見せている。またロイドの気遣いによって両親の真実を知ってわだかまりがなくなり、レンの過去を全て受け止めた上で家族として迎えたいというエステルとヨシュアにかたくなな心をようやく開き、一連の事件が終わった後リベールへと向かう。
「碧」においては、《パテル=マテル》を連れて、エステルとヨシュアと一緒にクロスベル市解放作戦に加勢するが、その戦いで家族同然の《パテル=マテル》は絶体絶命のレンを助けるべく《アイオーン》と共に上空で自爆し、レンに見守られながら別れの言葉を遺して機体としての死を迎えてしまう。
パテル=マテル
レンによって使役される《ゴルディアス級》の巨大戦闘人形。《十三工房》で開発された最新鋭の性能と能力を誇っており、高出力のレーザーから飛行能力まで有する。その戦闘能力は「トロイメライ」を超えるとまで言われている[8]
レンからなんでも言うことを聞いてくれる「パパとママ」として見られており、家族のように大事にされている。
「零」ではレンと共に最終決戦の場に駆けつけ、窮地に陥ったロイドたちを救う。
「碧」においては絶体絶命のレンを助け、相打ちになる形で《蒼のアイオーン》と共に上空で自爆。レンに見守られながら別れの言葉を遺して機体としての死を迎える。後にこの話を聞いたロイドたちは、ヨアヒムとの戦いで助けてもらったことを思い出し改めて感謝を示す。

十三工房の関連人物

《結社》の技術の中核となる下部組織。非常に高度な機械技術が盛り込まれており、動力ネットワークや機械人形などはここから精製されている。

ヨルグ・ローゼンベルク
登場作:『VII』
声:徳山靖彦
十三工房の1つ、ローゼンベルク工房の工房長。75歳。《結社》の兵器の基礎を創った人物でもある。表向きには高名な人形師であり、製作される人形は1体あたり数万ミラ以上の高値が付けられる。職人気質な老人で、自分が気に入らない仕事は請け負わない。イメルダいわく「偏屈ジジイ」。劇団アルカンシェルから依頼で舞台や照明などの調整を行っている。団員たちにはそっけない態度を取っているが実はファンの一人であり、先の態度は自分のような人間と深く関わってはならないという戒めから来るもの。
レンとは古い知り合いであり、彼女に頼まれて《パテル=マテル》の修理、調整を行っていた。とあるイベントでロイド達と出会い、彼らの能力を確かめるために導力人形で攻撃した他、結社に興味を持つなと警告する。
《十三工房》の長、ノバルティス博士とは師弟関係にあるが、現在は険悪の仲となっている。その理由はノバルティス博士が兵器の図面を横取りし、改良することで自分の手柄としたため。以上のことから弟子を非常に嫌っているが「改良」にかけては右に出るものはいないと評している。
フルネームは「碧」で判明する[9]。アルカンシェルの襲撃にクロイス家が絡んでいたことを知ると、マリアベルが自分の人形のコレクターであっても許しはしないと怒りを見せ、ロイドたちに協力する姿勢を見せた。
アルティナ・オライオン
登場作:「閃II」B→P
声:種田梨沙
十三工房の1つ、黒の工房に所属する少女、漆黒の傀儡「クラウ=ソラス」を操る。コードネームは《黒兎ブラックラビット》。
貴族連合に協力しており、リィン達の前に度々現れて対峙する。感情の起伏に乏しく、自身を「道具」と言い切るなど冷めた感情をしている。
「閃II」の外伝ではリィンとコンビを組んでクロスベルへ赴き、ロイドリーシャと対峙。その中で、リィンは、彼女とミリアムは「黒の工房」でアガートラムやクラウ・ソラスの様な巨大傀儡とリンクできる様に調整された『“お母さん”から生まれたのとは違う“造られた子供”』であると見抜いた。
「閃II」の後日譚で、2014年11月28日に配信が開始された修正パッチ1.03により、ラストダンジョンでしか使用できない特定アクセサリをほかのプレイヤーキャラクターに装備させることで、クロチルダ、クロウと共に、ラストダンジョンのみでプレイヤーキャラクターとして操作が可能となった(当初、外伝のみで操作することになったロイド、リーシャも含む)。
クラウ=ソラス
アルティナが連れている漆黒の傀儡。ミリアムの「アガートラム」とは兄弟機らしく、形状が似ている。
戦闘ではクラフトを反射するバリアーを張る他、剣状に変形して突撃する攻撃を繰り出す。

鉄機隊/戦乙女

蛇の使途アリアンロード直属の部隊。中世の騎士を思わせる格好をした女性と兵器の類で構成されている。中でも戦乙女と呼ばれる三人の女性はアリアンロードの直弟子であり、その実力は執行者に勝るとも劣らない。

アイネス
登場作:「碧」B
声:堂野真美
剛毅》の異名を持つ少女。ハルバードを使用し、3人の中では一番口数が少ない。《星見の塔》では最初に戦うことになる。
エンネア
登場作:「碧」B
声:金沢明奈
魔弓》の異名を持つ少女。弓による射撃を得意とし、ガレスに匹敵する狙撃術の他、機関銃並に矢を速射する範囲攻撃も使用する。性格はやや勝ち気で、ロイド達を挑発するような言動をとる。しかし機械人形が倒された際には高所という有利さを捨てて、自らロイドたちと交戦するなど誇り高い騎士道精神の持ち主であることがうかがえる。《星見の塔》では2番手になる。
デュバリィ
登場作:「碧」B・「閃II」B
声:大空直美
神速》の異名を持つ。3人の筆頭挌で剣と盾を装備したオーソドックスなスタイルで戦う。生真面目だがどこかエキセントリックな性格で、ロイド達の突っ込みに怒りを顕わにしたり、ラウラに対して大人気ない張り合いをしたりする場面もある。《剣帝》に迫るといわれる実力を自称しており、実際にレーヴェにも勝利したことがある。ただし本人曰く「100回に1回」とのこと。
「碧」・「閃II」では基本的にアリアンロードの名代としてエレボニアの幻焔計画に参加していたが、アリアンロードに従いクロスベルでの幻焔計画にも参加した。二国の行き来により疲労がたまっており、《星見の塔》で特務支援課と交戦したあと(「碧」終章)、十分な休息を取らずオーロックス砦で特科クラスVII組と交戦した際は本来の実力が発揮できなかった(「閃II」第二部)。「閃II」ではブルブランとコンビを組む形でリィンたちの前に立ち塞がる。煌魔城での戦いではブルブランと共に現われ、一番手となる。
アリアンロードへの忠誠心は非常に高く、リィンからも真っ直ぐな性格と評価されている。任務にも実直で、「閃II」では緊張感なく自由気ままな執行者たちに頭を痛めている場面などもあった。
使用するSクラフトは「プリズムキャリバー」。分け身によって3体に分裂した後、神速の突進から無数の斬撃を繰り出し、最後の一撃で周囲を薙ぎ払う。得物こそ違うものの師であるアリアンロードと酷似した特長を持つ。

その他《身喰らう蛇》の関連人物

ギルバート・スタイン
登場作:『空』
声:菅沼久義
ジェニス王立学園OB。「FC」ではリベール王国ルーアンの市長・ダルモアの秘書を務めていたが、諸々の事情を経て「SC」以降は 《身喰らう蛇》に所属している。学園の在学していた当初は正義感が強く、立派な政治家を志していたが、ダルモアの秘書となってからは現実を知り、彼と共に悪事に手を染め、他者を見下すナルシストへと変貌してしまう。当時を知るクローゼからは尊敬されていたようだが、悪事が露見した際には落胆される。「SC」の隠しイベントでは部隊を率いてジェニス王立学園を占拠。学園に王女が通っていることを付きとめ、人質とすることで手柄を立てようとしていたがエステルたち遊撃士によって計画は頓挫し、勝手に部隊を動かしたことでカンパネルラからきつくお仕置きされた。王女が通っていることまでは知っていてもその正体までわからず、エステルたちから聞かされてやっとクローゼの素性を知るなど、知性派を気取る割りに抜けているところがある。
外面だけは好青年を演じているが、内面は脆弱で、「SC」にて再登場してからは道化た一面が大きく目立つようになる。
本人は「文武両道」と自称しているが、猟兵(イェーガー)としての才能はからっきしで、機関銃を撃てばすべて外し、手榴弾を投げればピンを抜き忘れて不発を起こすなど、冗談としか思えないような馬鹿げた失敗攻撃を披露する。実際にヨシュアから「向いてないと思う」と指摘されている。戦闘時では子供っぽい台詞が目立ち、嘘の降伏をして隙をついて殴りつける技(?)も見せる。この技にはダメージがなく、あまりの馬鹿馬鹿しさに「やる気をそがれて」攻撃力が大幅にダウンする。
市長秘書としては有能であるが、突発的な事態に対処できない性格である。ピンチに陥ると迷わず土下座して命乞いをする。
秘書の地位を追われてからは結社に身を投じ、強化猟兵として所属し、中隊長を務める。結社こそが自分に相応しい舞台だと考え、のし上がっていくことを夢想している。そのため、さまざまな陰謀を画策するも結局空回りして道化を演じることが多く、そのためにカンパネルラからおもちゃ扱いされている節がある。
SCでは終盤に新型機械人形「ライアットアームズ」を率いてエステルたちと戦うが、新型を手にしたことで自分まで強くなっていると勘違いしていた事実を突きつけられ、敗北した。
「the 3rd」ではケビン達の巻き添えになる形で「影の国」に放り込まれ、ケビン達の行く先々でさまざまな災難に遭遇する。エンディングではケビンたちからねぎらいの言葉をかけられ、最後の最後に「次に会う時はもっと出世してパワーアップした姿を見せる」と意地とプライドを見せ立ち去っていった。
ライアットアームズ
《結社》が開発した新型機械人形。ライオンに酷似した造形の戦闘兵器であり、俊敏な動作による格闘戦を得意とする。「SC」の終盤にてギルバートとともにエステルたちと戦うが撃破され、ギルバートに厳しい現実を突きつけることとなった。

星杯騎士団

七耀教会が擁する騎士団。《結社》とは歴史の裏で幾度も争っており、互いに宿敵のような間柄となっている。各シリーズにおいて主人公たちと共闘・援護などを行っており、何かしらの形でストーリーにも関わってくる。

守護騎士

全12人で構成される騎士団生え抜きのエリート。抜擢されるためには聖痕(スティグマ)の顕現が必須となる。

アイン・セルナート
登場作:「the 3rd」「零」
声:中友子
紅耀石カーネリア》の異名を持つ星杯騎士団の《守護騎士ドミニオン》第一位にして総長。ケビンとリースを鍛えた師匠でもあり、リースの姉ルフィナとは友人関係にもあった。作中に登場する娯楽小説『カーネリア』のヒロインのモデルである。
「零」のプレストーリー『審判の指環』では自らアーティファクトの回収に赴き、エステル達にレンの潜伏先がクロスベルであることを示唆する。
鋼の聖女」に単独で対抗できそうな数少ない人物と目されている。
トマス・ライサンダー
登場作:『閃』
声:松本考平
《匣使い》の異名を持った守護騎士第二位にして副長。対象とそれ以外を時空間ごと断絶する《匣》の使い手。帝国内部の潜入調査とアーティファクト『黒の史書』の回収、解読のために教官としてトールズ士官学院に潜伏していた。士官学院で起こった旧校舎の異変や、騎神については本来管轄外と語るが、かつて帝国に存在した《2つの至宝》と、地精と魔女によって造られた《七の騎神》という仕組みの真相に迫るべく《巨イナルチカラ》の欠片を手に入れた《起動者》の1人であるリィンにその正体を明かした。
ケビン・グラハム
登場作:「SC」P・「the 3rd」P・「碧」
声:中尾良平
「SC」から登場するキャラクターで「the 3rd」では主人公となる。21歳(「SC」)→22歳(「the 3rd」)。関西弁を喋る。武器はボウガン。オーブメントの属性は「時」。クラフトは味方を援助するスキルが多い。七耀教会の巡回神父として登場するが、「SC」第3章で星杯騎士団に所属していることと《輝く環》の調査のためにリベールに来たことをエステル達に明かす。ただし本当はそれ以外に使命を帯びていることが後に判明する。
その正体は長らく空席であった星杯騎士団の守護騎士第五位。《外法狩り》の二つ名を持ち、その異名の通り教会より外法と認定された存在の抹殺を主な任務としている。深層意識に刻まれている《聖痕スティグマ》を解放することによって真の力を引き出すことが可能で、その力は人間のみならず悪魔をも圧倒する。しかしかつてこの能力が初めて発露した時、その力の暴走によって姉代わりだったルフィナを殺してしまった過去を持ち、その罪悪感が外法狩りを志した理由の一つになっている。その出来事の折、《聖痕》は槍のアーティファクト「魔槍ロア」の力を吸収しており、《聖痕》解放時は無数の力ある槍を戦場に雨あられと叩き込んで敵を殲滅する。また聖痕には光闇の二面性が存在し、これまでは闇の面しか発動できなかったが、あるイベントで光の面も発動できるようになる。その状態時には魔槍も「聖槍ウル」に変貌、放たれる一撃は高位悪魔にすら壊滅的なダメージを与えるほどの破壊力を有する。
「碧」においては二つ名が《千の護手せんのまもりて》になり、「the 3rd」の最終ボスが使用した聖痕砲メギルデス[注 6]も使えるようになる。
バルクホルン
登場作:「the 3rd」(名前のみ登場)・「閃II」(名前のみ登場)
《吼天獅子》の二つ名を持つ第八位の守護騎士。本名は「閃II」の終盤にあるクエストにおいて特定のメンバーをパーティーに入れると明かされる。
顎鬚を蓄えた老神父で、普段は巡回神父として各地を転々としており、ノルドで月に一度日曜学校を開いていた。その時の教え子であるガイウスには大きな影響を与えたという。
七耀暦1178年に発生した塩の杭事件の際、従騎士1名とともにノーザンブリア大公国に派遣されたが、到着時には既に公都ハリアスクの全域が塩化した後であった。塩化現象の収束後、その中心地で縮小した塩の杭を発見したが、縮小したとはいえ触れたものを塩化する性質が健在であったため、聖具《グレイプニル》を用いて直接触れることなく、これを回収している。
エレボニア帝国で起こった内戦の際は各地を転々としておりVII組のメンバーと直接出会うことはないが、帝国西部で内戦の収束に助力していたことがトマスによって明かされる。
ワジ・ヘミスフィア
登場作:「零」S・「碧」P
声:皆川純子
知性派を気取る不良チーム「テスタメンツ」のリーダー。17歳。
中性的な容貌を持つ皮肉屋だが高いカリスマ性を持ち、手下達からは神のように崇拝されている。見た目通りフットワークが軽く、空中戦を主体にした格闘術を得意とする。サーベルバイパーとテスタメンツのメンバーが襲撃される事件を境にさまざまな局面でロイドたちに協力している。知性派と名乗るだけあり、洞察力は非常に高い。ケビンにロイドのことが相当気に入ってることを指摘されると、「愛しているといっても過言じゃない」と言うなど彼のことをかなり買っているらしい。
謎の多いキャラであり、テスタメンツを率いている目的、素性、戦闘能力の高さなど、ワジに関しての詳細は「零」ではほとんど語られることはない。「零」の終盤ではヴァルドたちとともに洗脳された警備隊と戦い、ロイドたちを援護した。
「碧」でランディをはじめ、さまざまな人に性別を疑われるが、頑として語ろうとしない。「男が不器用」とか、自分がまるで男ではないような発言もすることもあり、実際のところはやはり謎である。特にランディは幾度もワジの性別を疑っており、尋ねてもはぐらかされ、確認しように肌を露出させないので謎のままであった。
「碧」では新市長に就任したばかりのディーターを介して特務支援課に所属、後半では12人の守護騎士の第九位で《蒼の聖典》の二つ名を持つことが明かされる。自らの「聖痕」にはトラウマを持っており、「この聖痕が現れたとき、家族も友人も自身の未来さえも失った」と語る。顕現した際に、生まれ故郷で神として奉られていたアーティファクトを破壊したことから両親にすら憎まれ、里を追われた模様。また守護騎士というだけあって教会に伝わる特殊な法術にも長けており、終盤ではその力を存分に振るってロイドを助ける。
「碧」の終盤の絆イベントでは、自分の素性についてロイドに語る。二年前からクロスベルに潜入していたこと、守護騎士になるための条件。そして七年前、聖痕が身体に現れたことを。故郷はゼムリア大陸のとある地域であり、外界との接触を禁じられた隠れ里であった。そこでは《神》として崇められる石版(古代遺物)が祭られており、ワジはその神からのお告げを伝える巫子だった。しかし神の正体が不思議な力を持った石版に過ぎないと知っていたため、それを崇める風習を馬鹿馬鹿しく想い、やがて里から出て自由を手に入れたいと願うようになった。いつしか《神》は暴走を起こし里人たちを昏睡状態に陥らせ、事件を解決すべくアッバスたち《教会》の人間が里を訪れた。神の正体が実は古代遺物であることを告げられるとワジは自由になりたい一心で石版を破壊しようとするが、抵抗に合い生命力を吸い取られてしまう。死にかけたその時、ワジの体に聖痕が刻まれ逆に神の力を奪い取り、ただの石版となった古代遺物はコナゴナに砕け散り、ワジは神を殺した大罪人として追放と言う形で自由を得たのだった。その後、騎士たちに誘われ守護騎士入りを果たした。アッバスとはその当時からの付き合いだと言う。故郷から追い出されたことや家族から憎まれていることについては自身への罰だと語っており受け入れている。里には教会の介入により歪んだ風習を正し始めていることからいずれは故郷に顔を出しに行くつもりだと述べている。
「碧」の最終局面では自らのケジメをつけるべく魔人と化したヴァルドと一騎打ちを行う。体力も尽き気力だけで立ち向かってきたヴァルドに連続攻撃を見舞い勝利。それは始めてヴァルドを破った時と同じ勝ち方であった。エンディングではヴァルドの薬物による後遺症を治すためともに法国に帰ったことが伝えられている。
オーブメントの属性は「空」、ラインはエリィと同じタイプ。1回の攻撃で数回攻撃するため、セピスを稼ぎやすい。

正騎士

ルフィナ・アルジェント
登場作:「the 3rd」
声:鶴ひろみ
リースの実の姉。星杯騎士団所属の正騎士で、ありとあらゆる手段を駆使してさまざまな問題を平和解決に導いた実力者。特に問題解決において数多の選択肢の中から最良の一手を選び出す能力に優れ、その手腕から《千の腕》と称されることもある。5年前、大陸西部・エメローゼ市の福音施設《紫苑の家》が猟兵に襲われた事件にて殉職した。実際には、ケビンが「聖痕」を初めて発動させた事件で、力の暴走から見境のなくなったケビンを身を挺して止め、その際に亡くなっている。
武術においても法剣(テンプルソード)とボウガンを状況に応じて使い分け、「決して負けない」戦い方を得意とした。かつてある件でレオンハルトと戦い、それをあしらい事件を解決したこともある。この件について本人は「弁えた人だったから落とし所に持っていけただけ」と語る。レオンハルト本人はその件について見事にしてやられたとも語っている。だが、「聖痕」が現れることはなかったため、《守護騎士》にはなれなかった。
彼女の流儀は遊撃士に近いところがあり、遊撃士協会も彼女をスカウトすべく動いていたという。
「碧」におけるケビンの二つ名《千の護手》は、彼女にあやかったものである。
アッバス
登場作:『VII』
声:石川佳典(零Evo)、藤本たかひろ(碧Evo)
「テスタメンツ」のナンバー2を務める、スキンヘッドの大男。普段はたまり場であるプールバー「トリニティ」でバーテンをしている。
大陸中東部の出身であるということ以外の経歴は不明で、彼に関する詳細はワジですら知らないという。だが、それは自身たちの正体を隠すための嘘であり、本来はワジの補佐を務める星杯騎士団の正騎士である。とにかく愛想が無いが、根は非常に真面目な良識派である。
なお、「テスタメンツ」というチーム名は「不謹慎さ」をかもし出すことで教会の人間とは縁遠く思わせるためだったと述べている。他にも聖職者らしい単語や台詞などが散見されており、これを聞いたロイドには苦笑されている。
実力は相当なものであるらしく、魔人化したヴァルドと対峙した際はアシュリーとともに戦い抜き無事生還した。

従騎士

リース・アルジェント
声:桑島法子
登場作:「the 3rd」P・「碧」
「the 3rd」から登場するキャラクターで同作ではヒロインとなる。ケビンの幼馴染。18歳。ルフィナという姉がいた。七耀教会のシスターでありながら、星杯騎士団の従騎士でもある。武器は伸縮自在の法剣(テンプルソード)。オーブメントの属性は「幻」で、また祈りを捧げることにより戦乙女を召喚する力を持つ。
エリカアネラスが絶賛するほどの可愛い容貌を有しているが、それとは裏腹にぶっきらぼうな物言いをする。
他者の行動原理を察する能力に富んでおり、「the 3rd」の冒頭部で初対面のギルバートの人となりを言い当てた。また終盤ではそれによって敵の虚言とケビンの考え違いを見抜くに至る。
趣味は聖典を読むことと食べること。特に食事に関してはいわゆる「やせの大食い」で、夜食として閉店近いパン屋の売れ残りを全て買い占め、そのほとんどを1人で平らげているほど。本人曰く「私ほどタイムセールスを愛している女はそういない」とのこと。エステル達とはすぐに打ち解けるもレンとは相性が悪く、たびたび衝突してはエステルやティータにたしなめられている。
「碧」ではケビンの代理でクロスベル入りし、アーティファクトの調査を行う。エリィとは顔見知りで、素性も明かしている。
ロジーヌ
登場作:『閃』
トールズ士官学院1年V組に所属する心身深く清らかな印象の少女。将来は立派なシスターになることを志しており、学院内の清掃やトリスタの礼拝堂の手伝いをしていた。帝国で内戦が始まってからはケルディックに避難し、そこの礼拝堂で調薬の勉強に勤しんでいる。
特別扱いされ周囲から嫉妬や奇異の目を向けられることの多かったVII組のメンバーに対しても入学当初から分け隔てなく接しており、リィンとは相合傘でいい雰囲気になったこともあったが、その正体は聖杯騎士団の従騎士見習いであり、士官学院に入学したのはトマスを補佐するためである。

猟兵団

赤い星座

ゼムリア大陸西部で活動する猟兵団のひとつ。後述する《西風の旅団》と並んで最強と呼ばれる武力集団。団長はバルデル・オルランド。元々は中世の暗黒時代から「狂戦士(ベルゼルガー)オルランド」の一族として名をはせており、やがて猟兵団を結成。一族の紋章を兵団の名前とした。

強襲揚陸艦《ベイオウルフ号》を所持しており、《結社》の技術によりレーダーに映らないため戦場からの離脱や空中戦に用いられる。これはランディが脱退した後に用いられるようになった。

資金回収用のダミー会社として《クリムゾン商会》を名乗り、高級クラブを運営したり、土地勘を学ぶ、食料の確保などその他基本を怠らない。また詐欺師ミンネスを資金調達に雇っている。後ろ盾にクロイス家が付いているため、《ベイオウルフ号》の資金も提供された模様。

シグムント・オルランド
登場作:「碧」B
声:稲田徹
《赤い星座》の副団長で、ガルシア以上に筋骨隆々とした隻眼の男性。43歳。ランディの叔父にあたる。また戦い方を教えた師でもある。異名は《赤の戦鬼オーガ・ロッソ》。省略して《戦鬼せんき》とも呼ばれる。武器は《双戦斧そうせんぶ》。
《闘神》《猟兵王》亡き後は最強の猟兵と言われ、アリアンロードからは「アリオス共々人の域を越えた強さ」とまで言われ、彼を知る者からは「人喰い虎」に喩えられている。娘共々戦闘狂だが、あくまで仕事と割り切った上で行動し、交渉などにも長け、甥の言葉に免じて標的の1人を見逃すなど、「冷静かつ合理的に、猛き衝動を飼い慣らす」人物である。
団長は《闘神》が継ぐものと考えており、自分やシャーリィは後を継ぐつもりがないため甥のランディ(ランドルフ)を団長にしようと考えている。
ランディからは「シャーリィ以上の化け物」と言われており、事実シグムントも自分と肩を並べるのは兄バルデルか西風の団長くらいだと述べている。
西ゼムリア通商会議の前に、オズボーン宰相からの報酬1億ミラ相当の依頼により、娘と部隊を率いてクロスベルに来訪する。その仕事が完了後は密かにディーター達によって雇われ、彼らの部隊は指示によってクロスベル市内の襲撃を始めとしてディーターの大統領就任後の反乱軍鎮圧や要所の警備などを担当することになる。
そして最終的には真の黒幕であるマリアベル達に雇われ、《零の至宝》となったキーアの元に向かうロイド達の前に立ちふさがる。
決意の揺れるランディのことは叔父としてそれなりに心配しており、会うたびに甥の不甲斐なさを責めていたが、決心を固めた後の彼の言葉は素直に褒めている。
ランディにとって「3年前のけじめをつける」ための目標であり、叔父を乗り越えることで過去と決別を考える。それは《碧の大樹》の戦いにて叶うこととなる。最終決戦では「ランドルフが団長になった後ならクロスベルに肩入れしてもいい」とまで言い、甥を引き入れようとしたが拒否されてしまう。「仲間たちと共に生き、修羅であった自分の過去と完全に決別する」というランディの決意を聞き、本気で彼を殺して自分が《闘神》を継ぐことで兄への手向けにすると述べ、特務支援課と最後の一戦を演じる。結果として敗れるものの、全力のロイド達でも気絶させるのが精一杯だった(リーシャをして「勝てたのが奇跡」と言わしめた)。
死闘後、ランディと特務支援課の底力を認め、微笑を浮かべながら気絶する。その後、ロイドたちが最後の領域に行ってる間に、外に待機していたガレスたちによって回収され、娘共々クロスベルから去る。
意外と親バカ(?)な一面もあり、クロスベル市でのシャーリィの自由行動を許したり、さすが俺の娘だと団員たちの前で誇ってたりしている。また、マリアベルから娘を引き抜かれそうになった時には苦い顔をしている。
使用するSクラフトは「クリムゾンフォール」。ランディの師でもあるためか炎を用いるなど似通った部分がある。
シャーリィ・オルランド
登場作:「碧」B
声:竹達彩奈
シグムントの娘でランディの従妹にあたる少女。口癖は「サクッと」「イッちゃえ〜!!(戦闘で興奮した時)」。わずか16歳で大隊長を勤める。いわゆる貧乳なのでエリィやリーシャの巨乳を羨ましがっている。ランディのことは「ランディ兄」と呼んでおり、彼が脱退する前は師事していた過去がある。使用するクラフトは彼と非常に似通っている。
平時は無邪気で天真爛漫な性格をしており、ロイド達との初対面の時に、いきなりロイドの耳たぶを噛んだり、エリィの胸を揉んだり、子猫探しを手伝ったりやりたい放題だが、本質は戦闘狂。交渉や説得など使用せず暴力で相手を屈服させようとしたり、戦うことと相手を殺すことの両方に享楽を覚える危険な性格。父と同様に「人喰い虎」に喩えられている。が、作中でのイメージは「猫」として描かれることが多く、高所に飛び乗って走り去る描写が多く、終盤ではランディ自身が「猫みたいだ」と呆れている。中盤でランディと対峙した際は、見せしめに片腕を切り落とそうとしたがロイドたちに阻まれ、時間稼ぎの後戦線離脱する。
血染めのブラッディシャーリィ》の異名を持ち、得物はチェーンソーライフルの《テスタ=ロッサ》。その威力は警備隊の装甲車を両断から爆砕し、ランディのベルゼルガーも容易く破砕してしまうほど。また火炎放射器まで内蔵されている。
父シグムントも認めるほどの鋭い観察眼を持っており、《銀》(=リーシャ)が身体操作法で体格を変えていたために全力を出せない状態にあることを初対面で見切る。その出会いから《銀》と戦うことに興味を抱き、正体が明かされた後はクロスベル襲撃の際にアルカンシェルを強襲。リーシャの本来の力を見たいがために舞台のシャンデリアを落としてイリアに瀕死の重傷を負わせ、さらに銃を客席に乱射した。激怒したリーシャと戦ったが決着はつかず引き分けになった模様。その後はシグムントと共に「面白そう」という理由でマリアベル側につき、《碧の大樹》にてリーシャと決着をつけることとなる。
敗北後は自分が殺されることまで楽しみの一つだったことを述べ、逆に殺されなかったことを残念そうにしている。そのまま気絶し、ロイドたちに応急手当を受けるが実は完全に落ちてはおらず、去り行く一行の不意をつくこともできたが手出しをせず見送っている。自分の甘さに苦笑し、これが後押しとなったらしく後述のように結社《身喰らう蛇》に身を投じた模様。ロイドたちが最後の領域に行ってる間に、外に待機していたガレスたちによって回収され、そのままクロスベルから去った。
その後は《身喰らう蛇》と行動を共にしているが、劇中でのマリアベルからのスカウトを受けたことによるものか、《身喰らう蛇》から直接スカウトされたのかは不明。
使用するSクラフトは「デスパレード」。テスタ=ロッサの持つ性能を完全発揮した後、高速で対象を切り刻み血飛沫を上げさせるなど、従兄ランディと非常に酷似している。
ガレス
登場作:「碧」B
声:織田優成
連隊長を務め、シャーリィのお守りも担当する猟兵。団を抜けたランディも含めて目上の者に対しては常に敬語でしゃべり、平時は礼儀正しい態度を崩さない。ランディのことは「若」と呼んでいる。平時の服装はオールバックにサングラスのスーツ姿。
《閃撃》の異名を持ち、ライフルによる狙撃を得意とする。「碧」終盤でロイドたちと戦い、高所からの狙撃とブレードクーガーの連携で苦しめるが、ランディの襲撃によって獲物を壊され、撤退。その際にランディの成長を認める言葉を残している。その後はクロスベル解放戦で強襲してきたツァオたちと戦う。
かつては《闘神》の部隊に所属し、その右腕として活躍していた経歴を持つ。ベルゼルガーなしならばランディに勝ち目はないと当然のように言い切っており、ライフル抜きでも相当な実力がうかがえる。
ザックス
登場作:「碧」B
声:金光祥浩
かつて猟兵時代のランディの部隊に所属し、彼の右腕として活躍していた猟兵。得物は大剣。現在は副部隊長の地位にいる。ガレスと違い、かつての上司であるランディにも対等の言葉遣いをする(ガレスに対しても)。なお、今でもランディのことを「隊長」と呼んでいる。
「碧」の終盤でランディに敗れた際は、猟兵時代よりも強くなっていることを認め気絶する。今でもランディを仲間と見ているようで、気絶の際には仕掛けられたトラップを告げようとするなど彼の身を案じている。その後はクロスベル解放戦において、ミレイユの率いる警備隊と神狼の連合軍と戦う。
ミンネス
登場作:「碧」
外国の製菓会社の役員を名乗る中年の男。アルモリカ村を訪れ、村長の息子デリックをパートナーに子会社として「アルモリカ・ハニー・カンパニー」の建設を目指している。
それは偽りの姿であり、その正体は巧みな手腕で土地を騙し取る詐欺師。数年前にも帝国のほうでとある男爵の土地を騙し取り、借金地獄に叩き落している。
結局計画はロイドたちによって阻まれてしまい、逃走の際にはブレードクーガーを放ったことから赤い星座と関わりがあると見られている(お抱え商人か、資金調達係か。いずれにしろ取引相手の1人でしかないため大した情報は持っていない)。
その後、指名手配されたためクロスベルから高飛びしようとするが、プライドが邪魔をして強引な詐欺を働いたことから足が付いてしまい、逃走中にアリアンロードに阻まれて今度こそロイドたちに逮捕される(ただし行動を誤ると逃亡されてしまう)。
バルデル・オルランド
登場作:「碧」「閃I」
故人。《赤い星座》の団長で《闘神》の異名を持つ男性。シグムントの兄であり、そしてランディの父であり師でもある。シグムントやランディの話で存在が語られるのみで、キャラクターとしての登場や台詞はない(後に「閃I」において顔グラフィックが明かされた)。
息子に跡目を継がせる決意が決まったらしく、物語が始まる前に宿敵である西風の旅団の団長と一騎打ちを行い、相打ちとなって死亡。
シグムントと並ぶ実力の持ち主で、彼からは「兄貴」と呼ばれている。厳しい人物だったようだが、ランディが脱退した後は言葉には出さなかったものの、「息子を心配していた」とシグムントの口から語られている。

西風の旅団

ゼムリア大陸西部で活動していた猟兵団のひとつ。その戦力は《赤い星座》と並んで最強と呼ばれていたが、旅団の団長が赤い星座の団長であったバルデル・オルランドと相討ちになったことにより、かつてのメンバーだったフィーを残してメンバーはバラバラに散っている。しかし解散したという訳ではなく、ゼノやレオニダスの話では「団長を取り戻す」ために活動しているとのこと。

「西風」の読みは初めて音読された「零Evo」では「せいふう」であったが、「閃I」以降に発売されたソフトでは「にしかぜ」となっている。

ルトガー・クラウゼル
登場作:「碧」・『閃』
《猟兵王》の異名を持つ西風の旅団の団長。《赤い星座》の団長バルデル・オルランドと三日三晩の死闘の末に相討ちとなり戦死した。
孤児だったフィーの育ての親となりクラウゼルの姓を与え、真っ当な生活をしてほしいとフィーが猟兵になることを最後まで反対していた。自分の死をきっかけに、フィーが猟兵を辞め遊撃士協会に保護されるよう仕組むため、団員にフィーを残して姿を消すよう言い含めていた。
ゼノ
登場作:「閃I」・「閃II」B
声:松本考平
西風の旅団の元メンバーで独特な方言が特徴的な長身の男。身の丈を超すほどの大型ブレードライフルを使用し、狙った獲物を確実に仕留めるほか、猟兵独自のトラップを駆使した戦術を得意とすることから「罠使い《トラップマスター》」の異名を持つ。
閃IIではレオニダスとともに《四大名門》の1人であるカイエン公に雇われ、帝国解放戦線と共に貴族連合の一員としてクーデターに参加する。
フィー(ならびにVII組)の前には幾度となく立ちはだかるがあくまでビジネスとしてであり、普段はフィーの現状や今後を気にかけている。リィンと会話した際には普段は見せない険しい表情でフィーに手を出していないかレオニダスと一緒にしつこく問い詰め、リィンに親バカっぷりを呆れられている。
レオニダス
登場作:「閃I」・「閃II」B
声:磯部弘
西風の旅団の元メンバーで眼前の敵を圧倒てしまう程の体躯を持つ大男。全長2アージュを超える巨大なマシンガントレットを武器に、圧倒的なパワーで戦場そのものを破壊し尽くしてしまうことから「破壊獣《ベヒモス》」の異名で猟兵から恐れられている。
閃IIではゼノとともに《四大名門》の1人であるカイエン公に雇われ、帝国解放戦線と共に貴族連合の一員としてクーデターに参加する。
ゼノ同様、フィーのことは常に気にかけている模様。

影の国

《輝く環》によって作り出された、人の想念に反応してその姿を変える世界。しかし人々の願望を取り込みすぎたことにより肥大しきり、現実世界への侵食を目論んでいる。

影の王(アニマ)
声:金光祥浩
登場作:「the 3rd」
飛行船ルシタニア号でケビンが出くわした謎の人物で、仮面を付けている。一人称は「我」。その正体は影の国にコピーされたケビンの《聖痕》である。リベル=アーク崩壊によって《輝く環》を失った影の国は崩壊を防ぐために新たな主を探し、《輝く環》の周囲にいた者たちからケビンを選んだ。結果《聖痕》はコピーされ影の国を維持するための核にして理となった。そしてその《聖痕》はオリジナルを取り込んで完全になるためにケビンを影の国に取り込んだ。そしてルフィナの姿をとって現れ、ケビンのトラウマを刺激して陥れようとするが、リースの行動により、逆にそのトラウマを乗り越えるきっかけを与えてしまう。最終決戦ではケビンにその正体まで見破られ「絶対に負けない」とまで告げられ、ケビンを成長させるきっかけとなってしまった。偽者が本物に勝てるわけがなくケビン一向に破れ消え去った。
アニマ=ムンディ
「the 3rd」におけるラストボス。正体を現した影の王こと《聖痕》のコピー(アニマ)の戦闘形態。生物にも機械にも似た姿の怪物。
使用するSクラフトは「聖痕砲メギデルス」。大気圏を突破し星の外まで移動した後、《聖痕》から裁きの光を照射。星そのものを塵も残らず破壊する。
黒騎士
登場作:「the 3rd」
異形の鎧をまとった騎士。ケビンたちの前に圧倒的な強さで立ちふさがる。その剣技はある人物を彷彿させる。その正体はリベル=アークで戦死したレーヴェが影の国でコピーされたもの。使用するクラフト、Sクラフトも本人と同様。
隠者の庭園の住人
登場作:「the 3rd」
方石を通じてケビン達の手助けをしてくれる謎の人物。最初は声だけだったが、ゲームの進行に連れておぼろげながらも姿を現すようになっていく。
その正体は《輝く環》を封じるために影の国に再現された、リベール王室の始祖であるセレスト・D・アウスレーゼの仮想人格。そのため、クローゼユリアは、その正体が判明する前から見知っているような感覚があることを口にしている。

その他の人物

ユン・カーファイ
70歳(「the 3rd」)。「八葉一刀流」の創設者で《剣仙》の異名を持つ剣豪。直接の登場はしないものの、シリーズ中に登場する数多くの剣士を弟子としている。ヴィクター・S・アルゼイドとも友人のような間柄であり、幾度も戦い気がつけば時間も忘れて没頭してしまうため引き分けに終わっているという。
「閃」では主人公リィンの回想に登場。横顔だけが写っており長いヒゲを蓄えた老人であった。
アルバート・フォン・バルトロメウス
声:不詳
登場作:「碧」
大陸北部に位置する医療先進国「レミフェリア公国」の国家元首。クロスベル自治州にある聖ウルスラ医科大学の設立にも協力している立場もあり、西ゼムリア通商会議にも出席する。

脚注

注釈

  1. ^ 「零の世界」のイベント以前に、「零」のロイドの夢の中でこの言葉づかいをしている様子が見られる。
  2. ^ このクエストを請け負うかはプレイヤー次第であるため、請け負わなかった場合は事件を経ずに特務支援課に紹介される。
  3. ^ 「碧の軌跡」初報時には、「23歳」と表記されていたが、後発の資料集『クロスベルアーカイブ』や続編「閃の軌跡」では「22歳」となっている。
  4. ^ このイベントは中枢塔での戦闘にシェラザードをパーティーに加えていないと発生しない。
  5. ^ このイベントは中枢塔での戦闘にジンをパーティーに加えていないと発生しない。
  6. ^ ケビンの聖痕の潜在能力をメルカバ伍号機を介して解放している[10]

出典

  1. ^ SCシナリオブック 2011, p. 40.
  2. ^ クロスベルアーカイブ 2012, p. 268.
  3. ^ a b 田沢大典、日本ファルコム(原作)「ランディの章」『英雄伝説 零の軌跡〜四つの運命〜』フィールドワイ〈ファルコムBOOKS〉、2012年。ISBN 9784896102154 
  4. ^ 「零の軌跡 Evolution」より。『ティオのファルコムラジオめんどくさいです…でもがんばります』第25回(2012年3月30日配信分)にて発表。
  5. ^ 昇格に至る経緯は「閃I」本編内では語られずに省略されており、詳細は同作限定ドラマCD版の同梱ドラマCD「帰郷〜迷いの果てに〜」にて語られる。その設定を受けて「閃II」公式サイトのキャラクター紹介内では最初から「中伝」の剣士となっている。
  6. ^ ラジオドラマ及びOVA版
  7. ^ 「電撃特報02 英雄伝説 碧の軌跡」『電撃PlayStation』第495号、アスキー・メディアワークス、2011年5月26日、25頁。 
  8. ^ SCシナリオブック 2011, p. 456.
  9. ^ 「碧」の作中に登場するとあるNPCが一度だけ呼んでいる。
  10. ^ クロスベルアーカイブ 2012, p. 122.

参考文献