恐怖症
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恐怖症(きょうふしょう)とは特定のある一つのものに対して、他人には不可解な理由から、心理学的、および生理学的に異常な反応を起こす症状で、精神疾患の一種である。恐怖神経症とも言われる。英語ではフォビア (phobia) と呼ばれ、古代ギリシア語の恐怖(ポボス、φόβος, phobos)がその語源である。接尾辞としての -phobia の前にはギリシャ語が用いられる。
近年はフォビアを社会的な嫌悪や忌避の意味で使うことがある(例:ホモフォビア、ゼノフォビア)。
概要
恐怖症は国際疾患分類によると、不安障害に分類され以下の種類に細分される[1]。
このうち特定の個別的恐怖(症)は、雷などの自然災害や犬、ハチなど特定の一種類のものに対しての恐怖を感じるものである。
恐怖症患者は、日常生活において恐怖の対象を避ける工夫をしてすごしている。恐怖の対象に遭遇したとき、恐怖心や不安感の程度によって、不快感やめまい、吐き気といった症状を催すが、極端な場合にはパニック発作をきたすこともありうる[2]。
これらの恐怖症は、子供の頃の無知から感じる恐怖や、偶然に経験した恐怖体験がきっかけとなって出現する。生活において、大きな障害とならない限りは個人の個性として尊重すべき弱点であり、放置しておくうちに次第に軽減したり、克服経験によって解消されることが多い[3]。
生活の支障となり、本人が治療を所望する場合は行動療法が用いられる[4]。
単一恐怖のうち、恐怖の対象を容易に作り出せるもの(高所、暗所などの場所由来のものや特定の動植物など)については、患者をその状況の中に長時間おいて恐怖に慣れさせることによってある程度改善可能とされる[5]。
恐怖症は、不安障害のもっとも代表的な形式である。アメリカの国立精神保健研究所 (National Institute of Mental Health) が行ったある調査では、アメリカ人の 5.1% から 21.5% が何らかの恐怖症を抱えていることが明らかになった[要出典]。
年代および性別で分類すると、恐怖症はすべての年代の女性において最も見られる精神疾患であり、25 歳以上の男性においては、2 番目に多く見られる精神疾患である[要出典]。
また、我が国においてはほとんどみられないが[要出典]、米国やイスラエルなどにおいては、特に米国同時多発テロ後においてイスラム教やイスラム教徒であるというだけで恐怖や不安や嫌悪などの情動が発生してしまうイスラモフォビアが発生し蔓延している。確かに、イスラム教やイスラム教徒を外集団として認知せざるを得ない米国人やユダヤ系イスラエル人においては、イスラム教やイスラム教徒というだけでテロや戦争やそれによって発生する被害を連想するのかもしれない。しかしながら、イスラム教を信仰しているイスラム教徒にとっては、すべてのイスラム教徒がテロを行ったりテロを支持しているわけではなく、また本来のイスラム教の教義において殺人や自殺を禁じているという事実が理解されていないことによって生じる、イスラム教やイスラム教徒に対するネガティヴなステレオタイプが発生し、イスラム教という特定の宗教に対する差別が発生していることが問題である。
主な恐怖症の分類
下記に国際疾病分類第10版による主な恐怖症の分類を示す。分類番号があるものは付記しておく。
広場恐怖症
- 広場恐怖症(ひろば-)F40.0-1
- 過去に外出恐怖症(がいしゅつ-)あるいは空間恐怖症(くうかん-)とされていたものを含む。
社会恐怖症
下記は特定的な対人恐怖症として扱われる。
特定の個別的恐怖症
- 高所恐怖症(こうしょ-)F40.2-1
- 歯科治療恐怖症 (しかちりょう-) F40.2-2
- 先端恐怖症(せんたん-)F40.2-3
- 単一恐怖症 (たんいつ-) F40.2-4
- 単純恐怖症 (たんじゅん-) F40.2-5
- 動物恐怖症 (どうぶつ-) F40.2-6
- 閉所恐怖症(へいしょ-)F40.2-7
- 暗所恐怖症(あんしょ-)
- 植物恐怖症(しょくぶつ-)
- 飛行機恐怖症(ひこうき-)
- 赤面恐怖症 (せきめん-)
- らい恐怖症:日本のハンセン病問題の中参照
- 効果音恐怖症(こうかおん-):風船などの破裂音や金属音などによる恐怖症。近年ではこれらによる恐怖症が増加傾向にある。
その他の恐怖症性不安障害
脚注
- ^ ICD10 国際疾病分類第10版(2003年改訂)第5章 精神及び行動の障害 F40 恐怖症性不安障害 http://www.dis.h.u-tokyo.ac.jp/byomei/icd10/F00-F99.html
- ^ 山下格 著「新版 精神医学ハンドブック」p.27 1999年2月20日
- ^ 山下格 著「新版 精神医学ハンドブック」p.27 1999年2月20日
- ^ 山下格 著「新版 精神医学ハンドブック」p.27 1999年2月20日
- ^ ためしてガッテン:誰も教えてくれなかった!高所恐怖症のナゾ