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仙台市地下鉄南北線

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仙台市地下鉄 仙台市地下鉄南北線
八乙女-黒松間を走る1000系電車
八乙女-黒松間を走る1000系電車
八乙女-黒松間を走る1000系電車
路線総延長14.8 km
軌間1067 mm
電圧1500 V(直流
最高速度75 km/h
tKBHFa
0.0 泉中央駅
TUNNELe
WBRÜCKEa
七北田川
hBHF
1.2 八乙女駅
WBRÜCKEe
真美沢堤
BHF
2.5 黒松駅
TUNNELa
tBHF
3.3 旭ヶ丘駅
tBHF
4.3 台原駅
tWSTR
梅田川
tKRZ
JR東仙山線
HUB61
5.4 北仙台駅
tBHF
6.6 北四番丁駅
tBHF
7.3 勾当台公園駅
tBHF
7.9 広瀬通駅
tSTR ÜWo+l
↑JR東:東北新幹線
tSTR STR STRrg
↑JR東:東北本線・仙山線
tKRZt KRZt KRZt
←JR東:仙石線
HUB33 HUB34
あおば通駅 / 仙台駅→
HUB22 HUB62
HUB61 HUB24
8.5 仙台駅
HUB32 HUB21 HUB21 HUB31
tBHF LUECKE LUECKE
9.4 五橋駅
tBHF
10.0 愛宕橋駅
tBHF
10.9 河原町駅
tWSTR
広瀬川
tBHF LUECKE LUECKE
11.7 長町一丁目駅
12.4 長町駅
tSTR STR STR
↑JR東:東北本線・常磐線
tSTR STR STRlf
および仙台空港アクセス線
tSTR ÜWol
↑JR東:東北新幹線→
tBHF
13.3 長町南駅
TUNNELe-ELEV
hBHF
14.8 富沢駅
WBRÜCKEe
笊川
KDSTe
富沢車庫
全ての座標を示した地図 - OSM
全座標を出力 - KML

南北線(なんぼくせん)は宮城県仙台市泉区泉中央駅から太白区富沢駅を結ぶ仙台市交通局地下鉄路線。

正式名称は仙台市高速鉄道南北線(せんだいしこうそくてつどうなんぼくせん)。仙台に他の地下鉄路線がないことから(2011年12月時点)、一般的には単に「仙台市地下鉄」や「地下鉄」などと呼ばれている。黒松駅 - 旭ヶ丘駅間のトンネルは「旭ヶ丘隧道」の名称が付いている。

開業当初から全列車が4両編成で、ワンマン運転が行われている。他線と線路が繋がっていない独立した路線であり、直通運転はない。

路線データ

  • 路線距離(営業キロ):14.8km
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:17駅(起終点駅含む)
  • 複線区間:全線
  • 電化区間:全線(直流1500V・架空電車線方式
  • 地上区間:泉中央 - 黒松間・富沢駅付近

沿線風景

仙台市地下鉄南北線は、仙台市泉区の泉中央副都心にある泉中央駅から、北仙台仙台市都心部長町副都心を通って、仙台市太白区の富沢に至る路線である。路線の大部分は地下線だが、両端では高架線あるいは地上線となっている。地形との関係については仙台の地形の項目を参照。

泉中央 - 八乙女 - 黒松
泉中央と八乙女は泉中央副都心にある駅である。
泉中央駅は開業してから5年後の1992年に延伸開業して設けられた駅であり、地下に位置する。駅を出るとすぐに高架区間となり、ユアテックスタジアム仙台(仙台スタジアム)と七北田公園の間を走り抜ける。天候によっては遠くに泉ヶ岳の姿を望むこともできる。その後、七北田川を渡り終えると八乙女駅に到着する。この駅は高架駅で、かつての終点だった。
七北田川の南北両岸は、北から「将監団地がある富谷丘陵→泉中央がある七北田川北岸河岸段丘→七北田川→八乙女がある七北田川南岸河岸段丘→黒松がある七北田丘陵」というように「高・低・高」となるため、地下駅の泉中央を出ると地上に出て、七北田川を橋で渡河してそのまま八乙女が高架駅となり、同じ高さのまま丘陵地中腹にトンネルで入って黒松(くぼ地)で半地下駅となっていく。なお、七北田川北岸の泉中央と南岸の八乙女の両者は、一体的な都市機能を持っている。地下鉄開業前にほとんど開発されていなかったこの地区は、地下鉄の開業で業務・商業地区となり、かつマンションが林立する地区へと大きく変化した。
黒松 - 旭ヶ丘 - 台原 - 北仙台
黒松から台原までは七北田丘陵の住宅地となっている。八乙女駅を出ると短いトンネルがあり、それを抜けると森や沼、小規模な団地の風景を見ることができる。しばらく進むと黒松駅に到着する。この駅は半地下型の駅で、天気が良い日にはホームに薄く光が差し込む。黒松駅から先は地下区間となるが、旭ヶ丘では駅の構造上台原森林公園を文字通り垣間見ることができる。これは旭ヶ丘駅が七北田川の支流によって造られたV字谷の崖の一部を利用して建設されているためで、駅の西側にV字谷を作った小川と台原森林公園、駅のホーム上から東側が崖上の旭ヶ丘地区となっている。なお、このV字谷を通って仙台川沿いから八乙女駅方面に仙台鉄道が通っていた。旭ヶ丘駅を出ると完全な地下区間となり、終点の富沢駅付近までひたすら地下を走る。
北仙台 - 北四番丁
北仙台からは平地部分の地下となる。
北仙台地区仙台城下町の北端に当たる。奥州街道(後の国道4号)が通り、仙台鉄道と国鉄が駅を設置し、仙台鉄道廃止後は宮城交通バスターミナルともなって仙台の北の交通の要衝だった。現在、北の交通ターミナルの地位は泉中央に譲っている。
地下鉄開業前からマンションがいくつもあったが、地下鉄の開業で北仙台 - 北四番丁の地区はマンション林立地区に変化した。但し物販は最寄り品が中心で、買回品や専門品の商業の集積はあまりない。
北四番丁 - 勾当台公園 - 広瀬通 - 仙台 - 五橋
この区間は仙台市都心部にあたり、駅間距離も短い。「都心駅」とも呼ばれる。
北四番丁から勾当台公園までの区間は県庁・市役所の北側の業務地区「二日町」となっており、公共事業関連業種や自治体外郭団体事務所、及び指定金融機関などの集中地区となっている。
「都心駅」では、一番町中央通り仙台駅西口や業務地区を縫うように走る。歓楽街国分町は勾当台公園駅が最寄り駅である。
南北線仙台駅のホームは地下3階にある。その他の仙台駅地下構造については仙台トンネル参照。
五橋 - 愛宕橋 - 河原町 - 長町一丁目
この区間は広瀬川北岸の川沿い地下を走る。江戸時代から続く老舗の店や職人町がある下町地区であるが、最近は都心部に近いため、マンション建設も活発化している。
長町一丁目 - 長町 - 長町南
この3駅は長町副都心内にある。
長町一丁目から長町までは奥州街道の宿場町「長町宿」時代からの商店街の歴史がある。広瀬川左岸の「仙台城下町」地区に対し、広瀬川右岸の長町宿は江戸内藤新宿のような立場であったため、歓楽街的要素も残る。長町副都心は仙台の南の商業中心であり、現在、大規模開発が進んでいる。
長町南 - 富沢
黒松駅から地下区間が続いていたが、富沢駅に到着する直前に再び高架区間となる。この付近は以前一面の水田地帯で、仙台市体育館以外は目立ったものがなかったが、現在は新興住宅街が形成されている。なお、車両基地富沢車庫)は富沢の南方に位置し、それに隣接して仙台市電保存館がある。

建設の目的と効果

1960年代以降の高度経済成長で仙台市郊外も住宅建設が急増していった。隣接する泉市(現在の仙台市泉区)における宅地開発はより加速度を増しており、増え続ける住宅団地に交通網が追い付かない状況だった。特に県道仙台泉線の渋滞は酷く、自動車だけではなくバスも需要が逼迫しており、これらの緩和には地下鉄が必要との仙台市の審議会の勧告を受けて1981年に着工された。

都心流入のバスを減らすために、郊外の駅にバスターミナルを併設し、バス・地下鉄乗り継ぎを促すバス系統と運賃体系が整備・運用されている。しかし、乗継割引があったとしても、バス・地下鉄を乗り継ぐ場合の運賃はかなりの額になるため、ターミナルとして成功したのは都心から離れた泉中央駅八乙女駅の2つのターミナルくらいで、それ以外では地下鉄のみで都心に通勤・通学する人達の需要に応えた形で、沿線のマンション建設が活発化した。

開業時期は丁度バブル景気期であったため、都心の地価が高騰しており、地下鉄によって泉中央に業務機能が分散して地価上昇を抑える助けとなり、泉中央の都市化が進んだ。

開業前の仙台市による利用者数予測では、開業時点で一日当たり22.5万人、開業20年目の2007年には33万人となる計画だった。実際には、開業初年度は一日平均11万人で、その後は増加傾向で推移したものの、1995年の16.7万人をピークに微減傾向となった。現在の一日平均乗車人員は15万人(年間約5461万人。2004年度実績)となっている。

歴史

(左) 東北地方太平洋沖地震により八乙女駅は損傷を受け、駅舎の真下を通る市道[2](旧奥州街道)が通行禁止となった。
(右) 限定区間での運転再開により終着駅となった台原駅では、朝夕のラッシュ時にバスへの乗り換え客が長い列を作った。

今後の予定

エラー: {{予定}}は廃止されましたので使用しないでください。

運行形態

全列車が、泉中央駅 - 富沢駅間を通しで運転される。運転間隔は、日中が7分間隔、平日朝ラッシュ時が3-6分間隔、平日夕方ラッシュ時が5-6分間隔となっている。

なお終電は通常、下りが23:43泉中央発、上りが23:47分富沢発であるが、金曜日と金曜が祝日となる場合の木曜日に限り、下り23:55泉中央発、上り23:59富沢発が運転される。これは、その日には東京駅東北新幹線の臨時列車「やまびこ227号」(仙台駅23:59着)が運行されるため、これに連絡するためである[4](なお、通常の東北新幹線の下り最終列車「やまびこ223号」(仙台駅23:47着)には、通常の地下鉄線最終列車が連絡している)。

車両

1000系

駅一覧

全駅とも宮城県仙台市に所在。

駅名 駅間キロ 営業キロ 接続路線 所在地
位置 行政区
泉中央駅 - 0.0   北緯38度19分23.4秒 東経140度52分50.8秒 泉区
八乙女駅 1.2 1.2   北緯38度18分46.4秒 東経140度53分2.5秒
黒松駅 1.3 2.5   北緯38度18分11.4秒 東経140度53分11秒
旭ヶ丘駅 0.8 3.3   北緯38度17分44.1秒 東経140度53分1秒 青葉区
台原駅 1.0 4.3   北緯38度17分18.6秒 東経140度52分42.6秒
北仙台駅 1.1 5.4 東日本旅客鉄道仙山線 北緯38度16分56.1秒 東経140度52分6.6秒
北四番丁駅 1.2 6.6   北緯38度16分19.1秒 東経140度52分8.6秒
勾当台公園駅 0.7 7.3   北緯38度15分58.9秒 東経140度52分16.8秒
広瀬通駅 0.6 7.9   北緯38度15分46.4秒 東経140度52分32.1秒
仙台駅 0.6 8.5 東日本旅客鉄道:東北新幹線東北本線常磐線、仙山線、仙石線*
東日本旅客鉄道/仙台空港鉄道仙台空港アクセス線
北緯38度15分36.5秒 東経140度52分47秒
五橋駅 0.9 9.4   北緯38度15分6.7秒 東経140度52分51.6秒
愛宕橋駅 0.6 10.0   北緯38度14分50.2秒 東経140度52分55.3秒 若林区
河原町駅 0.9 10.9   北緯38度14分28秒 東経140度53分15.7秒
長町一丁目駅 0.8 11.7   北緯38度14分2.7秒 東経140度53分14.6秒 太白区
長町駅 0.7 12.4 東日本旅客鉄道:東北本線、常磐線
東日本旅客鉄道/仙台空港鉄道: 仙台空港アクセス線
北緯38度13分41.9秒 東経140度53分5.5秒
長町南駅 0.9 13.3   北緯38度13分28.6秒 東経140度52分34.9秒
富沢駅 1.5 14.8   北緯38度12分51.1秒 東経140度52分14秒
  • *印の仙石線は、地下鉄駅コンコース北端で接続しているあおば通駅で乗り換えるのが一般的。ただし、西口中央地下歩道や東西地下自由通路、あるいはペデストリアンデッキを経由してJR仙台駅で乗り換えることも可能である。
  • 地下鉄の乗継指定駅(上の表で背景が緑色の駅 =泉中央・八乙女・旭ヶ丘・台原・北仙台・長町・長町南)からバスの乗継指定停留所に乗り換えると、バスの利用運賃から40円(地下鉄30円、バス10円)割引される。バスから地下鉄の場合も同様で、地下鉄の運賃から40円割引される。乗継指定駅は、バスターミナルがある駅である。ただし、バスターミナルを持つ富沢駅や、北仙台駅の北仙台停留所では乗り継ぎ割引の適用外となっている。なお、宮城交通のバス路線では乗継割引の区間が限定されている(吉岡方面は「湯船沢」バス停、秋保方面は「生出橋」バス停、岩切方面は「台原」バス停まででそれ以遠は乗継割引適用外となる。また、乗継駅バス停から仙台駅行方面以遠は乗継割引適用外。ただし泉中央駅、八乙女駅→虹の丘団地経由仙台駅方面は「水の森公園キャンプ場入口」バス停まで)。
  • 上記の表で色が付いていない地下鉄駅(上記以外の駅)やバス停を利用しても、乗継割引は受けられない。

泉中央以北への延伸構想

かつては仙台鉄道が通り、現在は仙台のベッドタウンとなっている黒川郡富谷町大和町からは、(国道4号等の幹線道路が慢性的渋滞に悩まされるようになったことから)泉中央以北への延伸の要望がある。近年、セントラル自動車などトヨタ自動車系列や高度電子関連企業の進出が相次いでいて、企業の従業員の足を確保するためということで延伸構想が熱を帯びてきている[5]

2002年2月、黒川郡の4町村の首長議長で組織する「緑の未来産業都市くろかわ建設推進協議会」が、南北線を泉区泉ケ丘に延長して大衡までをライトレール(LRT)で結ぶ構想を発表した[5]。しかし、実現には500億前後の費用がかかり、仙台市は「需要が増える見通しが不透明。費用対効果があるだろうか」と冷ややかである[5]

その他

  • 4両編成の列車が運行されているが、各駅のホーム長は6両編成まで対応している。2003年度を目途に一部の4両編成の列車を6両編成に増結する計画があったが見送られ、事実上凍結となっている[6]
  • 仙台市を走るJR線のうち、仙石線とは同じ直流電化であるが、信号等の運転・保安上のシステムが異なり、仙石線以外のJR線とは、電化方式も運転・保安上のシステムも異なる。また現在建設中の仙台市地下鉄東西線とは、車両の規格が異なる。仮に他路線への直通運転を行う場合には、これらの相違を解決する必要があるが、南北線の計画段階より現在まで、他路線への直通運転構想はない。
  • 北四番丁駅をバスとの乗継割引駅に指定してほしいという要望がある。
  • 建設当初からワンマン運転を前提にしていたため、運転士による安全確認を容易にするために、全駅、直線の島式ホームで統一し、車両も、運転席が進行方向に対して右側に設置されている。
  • 駅構内ではBGMが流れる。BGMは季節ごとに流れる曲が変わる。ただし、時報代わりに流れる『荒城の月』は年中使用されている。
  • 地上部の架線(電車線)には[7]自動饋電区分装置が設けられており、パンオーバーを防いでいるだけではなく、安定した回生ブレーキ動作に寄与している。

脚注

  1. ^ 仙台市消防概況(平成20年版)の統計資料「沿革」より
  2. ^ 仙台市道泉3018号・七北田幹線1号線(最小幅員6.50m、最大幅員44.50m、延長2069.4m)
  3. ^ 「ICカード乗車券:仙台市内の地下鉄・路線バス、導入へ-14年度/宮城」毎日新聞、2011年12月14日。
  4. ^ 平成15年度業務監査実施結果報告に関する取り組み状況(平成17年度) 仙台市交通局の取り組み状況 (PDF) - 国土交通省
  5. ^ a b c “「黒川に鉄路を」熱再び 企業進出で「好機」”. 河北新報. (2009年6月2日). http://www.kahoku.co.jp/news/2009/06/20090602t11045.htm 2009年6月5日閲覧。 
  6. ^ “6両編成化凍結 仙台市地下鉄南北線”. 河北新報. (2009年2月19日) 
  7. ^ 鉄道ピクトリアル 525号 (鉄道図書刊行会)

関連項目

外部リンク