〈古典部〉シリーズ
〈古典部〉シリーズ | |
---|---|
ジャンル | 日常の謎、青春ミステリ |
小説 | |
著者 | 米澤穂信 |
出版社 | 角川書店 |
掲載誌 | ザ・スニーカー、野性時代 |
レーベル | 角川スニーカー文庫→角川文庫 |
掲載号 | ザ・スニーカー:2002年4月号 野性時代:37号 - 45号(奇数号)、56号 |
連載期間 | 野性時代:72号 - 77号(2010年3月12日) |
刊行期間 | 2001年11月 - |
巻数 | 既刊5巻 |
その他 | 作者のデビュー作のシリーズ |
アニメ:氷菓 | |
原作 | 米澤穂信 |
監督 | 武本康弘 |
シリーズ構成 | 賀東招二 |
キャラクターデザイン | 西屋太志 |
音楽 | 田中公平 |
アニメーション制作 | 京都アニメーション |
製作 | 神山高校古典部OB会 |
放送局 | 放送局参照 |
放送期間 | 2012年4月 - |
漫画:氷菓 | |
原作・原案など | 米澤穂信(原作) 西屋太志(キャラクター原案) |
作画 | タスクオーナ |
出版社 | 角川書店 |
掲載誌 | 月刊少年エース |
レーベル | 角川コミックス・エース |
発表号 | 2012年3月号 - |
発表期間 | 2012年1月26日 - |
巻数 | 既刊1巻 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | ライトノベル・漫画・アニメ |
ポータル | 文学・漫画・アニメ |
『〈古典部〉シリーズ』(こてんぶシリーズ)は、米澤穂信の推理小説のシリーズ。角川書店より2001年11月から刊行されている。
シリーズ概要
文化系部活動が活発なことで有名な進学校、神山高校で「古典部」という廃部寸前の部活に入部した男女4人が、学校生活に隠された謎に挑む。主に、主人公であり探偵役でもある折木奉太郎の一人称で語られる。
1作目『氷菓』と2作目『愚者のエンドロール』は、『氷菓』がライトノベルの新人賞である角川学園小説大賞のヤングミステリー&ホラー部門で奨励賞を受賞していたため、初めは角川スニーカー文庫のサブレーベルである<スニーカー・ミステリ倶楽部>から刊行された(『氷菓』は第1回配本)が、売上げが延びず、<スニーカー・ミステリ倶楽部>自体が頓挫したため、続編が出せない状態となった。
しかしその後、東京創元社から出版された『さよなら妖精』が高い評価を受けたため、2005年に3作目『クドリャフカの順番 「十文字」事件』が単行本で刊行され、同時に、『氷菓』と『愚者のエンドロール』も角川文庫から新装丁で刊行された。以降、シリーズ作品はまず単行本で刊行され、後に文庫化される。(詳しくは#判型について参照)
古典部員が高校を卒業するまで、シリーズが続く予定[1]。
既刊概要・あらすじ
- 氷菓
- シリーズ第1弾。著者のデビュー作であり、第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞受賞作。
- 何事にも積極的に関わろうとしない省エネ主義を信条とする高校生の折木奉太郎は、姉の折木供恵の勧めで神山高校の古典部に入部する。そこで出会った仲間と共に、日常に潜む数々の謎を解き明かしていく内に、古典部の文集「氷菓」に秘められた33年前の真実に挑むことになる。
- 愚者のエンドロール
- シリーズ第2弾。高校1年目の夏休みの終盤、古典部の面々は2年F組の生徒が文化祭の出展に向けて自主制作したという映画の試写会へと招かれる。しかしその映画は結末が描かれないまま尻切れトンボで終る未完のものだった。結末が気になる千反田えるは、古典部の仲間とともに未完の映画の結末探しに乗り出す。アントニー・バークリーの『毒入りチョコレート事件』へのオマージュにあたる作品。
- クドリャフカの順番「十文字」事件
- シリーズ第3弾。これまで物語は主人公である折木奉太郎の一人称で語られていたが、今作では場面ごとに折木を含む古典部部員4人の視点が入れ替わり、ひとつの物語が複数の主観の語り部で進行するザッピング形式で描かれている。テーマは「期待」。
- 神山高校の年間最大イベントの文化祭が始まった。しかし古典部は、出品する文集の「氷菓」を発注の手違いで作りすぎてしまい、予想外の大量の在庫を抱えてしまう。どうしたものかと部員一同が頭を抱える最中、学校内ではある奇妙な連続盗難事件が起きていた。この事件を解決して古典部の知名度を上げ、文集の完売を目指すために文化祭の中を古典部の面々は奔走する。
- 遠まわりする雛
- シリーズ第4弾。本作は長編ストーリーだった前3作とは異なり、文芸誌に掲載された後述の短編6作に書き下ろし1作を加えたオムニバス形式の短編集の構成となる。内容的には古典部の部員4人の高校入学当初から翌年の春休みまでの1年間を、前3作のストーリー間を補完するような形で時系列に沿い折木奉太郎の視点で進行していく。
- ふたりの距離の概算
- シリーズ第5弾。後述の文芸誌に連載されたものに加筆分を加えた連作短篇仕立ての長篇。また本作より、折木をはじめとした古典部のメンバーが高校2年生に進級後のエピソードとなる。※雑誌『野性時代』(角川書店)にて72号(2009年11月号)より77号(2010年4月号)まで連載。
- 2年生に進級した折木達の古典部に、新入生の大日向友子という女子生徒が1名入部することになった。しかし部員としての正式登録の直前になって大日向は突然入部の辞退を告げる。入部の締切日に神山高校で開催されるマラソン大会「神山高校星ヶ谷杯」に出場する折木は、20キロの長距離を走る傍ら、道中に彼女の心境の変化を推理し、そこに隠された真意を探っていく。
登場人物
古典部
- 折木 奉太郎(おれき ほうたろう)
- 声 - 中村悠一
- 『〈古典部〉シリーズ』における主人公であり基本的な語り手役。神山高校1年B組の男子生徒。洞察力と推理能力に優れるも、「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」をモットーとする省エネ主義者。その性格ゆえ、校内の部活動にも特に興味を示さなかったが、神山高校古典部のOGである姉の折木供恵に強く薦められ、廃部寸前だった古典部に入部する。後述の千反田えるに洞察、推理能力を見込まれ、入部後は事あるごとに成り行きで探偵役を務める。ただし本人はその能力を推理ではなく(多くの場合)偶然訪れる閃きだと否定している。姉の供恵が苦手で唯一の弱点(後に千反田、入須も加わる)。家族構成は現在までの描写を見る限り、本人と父親と姉だけであり母親の存在は不明。後述の福部とは中学校以来の親友。進級後は2年A組に所属。
- 千反田 える(ちたんだ える)
- 声 - 佐藤聡美
- 本編のメインヒロイン。神山高校1年A組の女生徒。「豪農」千反田家息女。「一身上の都合」により古典部へ入部し部長も務める。性格は真面目、外見は背が高くすらっとした体躯、肩まで伸びた黒髪、薄い唇と清楚な印象で、言葉遣いも全て敬語という、一般的に言うところのお嬢様キャラ。しかし、それら全体の印象からかけ離れた一際大きな瞳や、普通の人より嗅覚が強いのが特徴(視力2.0以上等、嗅覚以外の五感も優れている)。平常時はお嬢様らしく穏やかであるが、一度興味を引かれることや、納得のいかないことに出会えば、「わたし、気になります」という決まり文句を呟き、その大きな瞳を輝かせて好奇心の権化と化す。その際、周囲にいる人間を巻き込事も多いが(主な犠牲者は折木)、他人の感情までには土足で踏み込むようなことはせず、ある程度の節度はわきまえている。成績は学年で上位と優秀。前述の通り五感が優れている為、料理も上手く文化祭の催しではその腕前を披露した。
- アニメ版で折木に頼みごとをするシーンでは、毎回メイド服や幼女といった通常とは違う姿で折木を圧倒するイメージ映像が挿入される演出となっている。
- 福部 里志(ふくべ さとし)
- 声 - 阪口大助
- 神山高校1年D組の男子生徒。古典部と手芸部を兼部し、総務委員会にも所属している。一般男子としては背は低めで、遠くから見れば女性にも見まごう外見だが、サイクリングが趣味で脚力はかなり鍛えられている。笑ったような表情をいつも崩さない。雑学に長け、自らデータベースと自認する。現代史から推理小説まで広範な知識を持つが、「データベースは結論を出せない」という口癖が表すように、自分から推論を組み立てるようなことはほとんどしない。いつも巾着袋を持ち歩いており、その中身は様々。伊原から求愛を受け続け、一貫してはぐらかし続けていたが、「ふたりの距離の概算」では求愛を受け入れている。2年では総務委員会副委員長となる。
- 伊原 摩耶花(いばら まやか)
- 声 - 茅野愛衣
- 神山高校1年(現時点では組は不明)の女生徒。古典部と漫画研究会を兼部し、図書委員会にも所属。背が低く顔も童顔であり、外見は小学生の時とほとんど印象が変わらないらしい。その容姿に似合わず性格は苛烈で、何事にも妥協を許さず他人のミスにも容赦ない突っ込みを入れる。一方では、自らの失敗にも同等、もしくはそれ以上に厳しく受け止めるため、折木曰く、「アクは強いが根はいいやつ」だと云う。また折木とは小・中学校9年間同じクラスだったという腐れ縁でもある。いつからか時期は不明だが、福部には想いを寄せ続けて求愛し、かわされ続けていたが、「ふたりの距離の概算」では求愛を受け入れられている。本作で彼女は、福部を「ふくちゃん」、千反田を「ちーちゃん」、折木を敬称略の「折木」と呼称する。
古典部の元部員・顧問
- 折木 供恵(おれき ともえ)
- 声 - 雪野五月
- 奉太郎の姉。大学生で合気道と逮捕術の達人。推理力と洞察力は弟の奉太郎と同等またはそれ以上のようである。傍若無人な性格であり、奉太郎が古典部に入部する以前は彼女が唯一の弱点だった。シリーズ開始当初は中東・東欧各地を歴訪中だったがエアメールや電話等で登場し、しばしば物語において重要な役割を果たす。3作目『クドリャフカの順番』では日本に帰国しており、神山高校の文化祭にも訪れている(2作目のラストにて帰国を示唆する描写がみられる)。
- 糸魚川 養子(いといがわ ようこ)
- 声 - 小山茉美
- 神山高校司書。古典部32年前の部長。
- 関谷 純(せきたに じゅん)
- 1967年神山高校を10月に退学。千反田えるの伯父。33年前の古典部の部長。7年前マレーシアに渡航、インドのベンガル地方で消息を絶つ。
- 大出(おおいで)
- 神山高校教師。古典部の名目上の顧問。現在のところ名前のみの登場。
神山高校1年
- 三石(みついし)
- 声 - 牧野由依
- 神山高校1年B組の女子生徒。神田の親友。
- 神田(かんだ)
- 声 - 三上枝織
- 神山高校1年B組の女子生徒。三石の親友。
- 佐山(さやま)
- 声 - 三上枝織
- 神山高校1年B組の女子生徒。
- 井上(いのうえ)
- 声 - 近野明日香
- 神山高校1年B組の女子生徒。
- 十文字 かほ(じゅうもんじ かほ)
- 声 - 早見沙織
- 神山高校1年D組の女子生徒。実家は神山市内にある荒楠神社という古い神社の名門宮司。図書館が大好きで、さらさらとした髪とフレームの小さいメガネが特徴。占い研究会部長。縁あって千反田家とは付き合いがあり、千反田えるとは親しい間柄。
- 谷 惟之(たに これゆき)
- 声 - 川原慶久
- 神山高校1年D組の男子生徒。囲碁部所属。
神山高校2年
- 入須 冬実(いりす ふゆみ)
- 声 - ゆかな
- 神山高校2年F組の女子生徒。実家は市内で総合病院を経営する地元の名士であり、千反田家とは家ぐるみの付き合いがある。冷厳な雰囲気と威厳を持つ美人で、頭の回転が早く、高い人心掌握能力とリーダーシップを持つことから、生徒間では「女帝」と渾名される。
- 本郷 真由(ほんごう まゆ)
- 神山高校2年F組の女子生徒。ビデオ映画撮影に際し、脚本家を務める。江波倉子とは親友の間柄。
- 江波 倉子(えば くらこ)
- 声 - 悠木碧
- 神山高校2年F組の女子生徒。「女帝」事件の際、古典部と入須冬実との連絡役を務める。本郷真由とは親友の間柄。
- 中城 順哉(なかじょう じゅんや)
- 声 - 近藤孝行
- 神山高校2年F組の男子生徒。ビデオ映画撮影に際し、助監督を務める。
- 羽場 智博(はば ともひろ)
- 声 - 阿部敦
- 神山高校2年F組の男子生徒。ビデオ映画撮影に際し、小道具係を務める。
- 沢木口 美崎(さわきぐち みさき)
- 声 - 伊瀬茉莉也
- 神山高校2年F組の女子生徒。明るくエキセントリックな性格。天文部に所属。2年F組が文化祭に出展するビデオ映画制作の際は広報班を担当した。彼女は〈古典部〉シリーズには毎回何らかの形でカメオ出演で登場する。
- 海藤 武雄(かいとう たけお)
- 声 - 小西克幸
- 神山高校2年F組の男子生徒。ビデオ映画撮影に際し、役者を務める。
- 杉村 二郎(すぎむら じろう)
- 声 - 入野自由
- 神山高校2年F組の男子生徒。ビデオ映画撮影に際し、役者を務める。
- 山西 みどり(やまにし みどり)
- 声 - 小清水亜美
- 神山高校2年F組の女子生徒。ビデオ映画撮影に際し、役者を務める。
- 瀬之上 真美子(せのうえ まみこ)
- 声 - 広橋涼
- 神山高校2年F組の女子生徒。ビデオ映画撮影に際し、役者を務める。
- 勝田 竹男(かつた たけお)
- 声 - 泰勇気
- 神山高校2年F組の男子生徒。ビデオ映画撮影に際し、役者を務める。
- 鴻巣 友里(こうのす ゆり)
- 声 - 茅原実里
- 神山高校2年F組の女子生徒。ビデオ映画撮影に際し、役者を務める。
- 河内 亜也子(こうち あやこ)
- 声 - 浅野真澄
- 神山高校2年の女生徒。漫画研究会所属。漫研内部における有力者。
- 陸山 宗芳(くがやま むねよし)
- 声 - 森川智之
- 2000年現在、神山高校生徒会会長。2年生。
神山高校3年
- 遠垣内 将司 (とうがいと まさし)
- 声 - 置鮎龍太郎
- 神山高校3年E組の男子生徒。壁新聞部の部長を務めていた。実家は市内の中等教育に影響力のある家系。遠垣内家は千反田家とも縁があり、千反田えるとは学校外でも面識がある。
神山高校の元生徒
- 安城 春菜(あんじょう はるな)
- 神山高校の元生徒。
- 大出 尚人(おおいで なおと)
- 神山高校の元生徒。1年生時の1974年2月2日、車輌暴走事故により死亡したと『神山高校五十年の歩み』に記載。上述の大出と同じ名字を持つが、作者の解説[2]によると、ミステリ好きの人に向けたレッドへリング(=ミスディレクション)として用意された無関係な人物であり、そのため第三汎夢殿の登場人物リストでは大出尚人の項に「鰊の燻製が好物だった。」というコメントがつけられていた。
その他(生徒)
- 田名辺 治朗(たなべ じろう)
- 神山高校総務委員会委員長。
- 湯浅 尚子(ゆあさ しょうこ)
- 声 - 進藤尚美
- 神山高校漫画研究会部長。
- クイズ研究会部長
- 声 - こぶしのぶゆき
- 文化祭においてクイズトライアル7を開催した神山高校クイズ研究会の部長。
- クイズ研究会司会
- 声 - 日笠陽子
- 文化祭においてクイズトライアル7を開催した神山高校クイズ研究会の部員。司会を務める。
- 製菓研究会女子A
- 声 - 伊藤かな恵
- 文化祭において洋菓子の訪問販売を行った製菓研究会の部員の一人。奉太郎曰く、台詞に統一感がない。
- 製菓研究会女子B
- 声 - 升望
- 文化祭において洋菓子の訪問販売を行った製菓研究会の部員の一人。奉太郎曰く、台詞に統一感がない。
神山高校の教師
財前村の民宿
- 善名 梨絵(ぜんな りえ)
- 声 - 豊崎愛生
- 財前村の民宿「青山荘」(単行本版では「西山荘」)の姉妹の一人。伊原摩耶花の姪。善名嘉代の姉。
- 善名 嘉代(ぜんな かよ)
- 声 - 小倉唯
- 財前村の民宿「青山荘」(単行本版では「西山荘」)の姉妹の一人。伊原摩耶花の姪。善名梨絵の妹。
用語
- 古典部(こてんぶ)
- 折木達の所属する神山高校にある文化系の部活。部室は同校の辺境と言われる特別棟4階の地学講義室にある。同校では伝統ある部だったらしいが、折木達が入部するまでは、3年連続で部員がゼロの状態であり廃部寸前となっていた。折木曰く、一体何のためにあるのかよくわからない部活。今のところは古典部で伝統的に続いていたとされる、文化祭に文集を出すこと以外には特に決まった活動目的はない。また、古典部の文化祭はトラブル無しには終わらないのも伝統となってるらしい。折木達の入部以前は、地学講義室の真下にある3階の生物講義室が部室だった(現在は壁新聞部の部室)。
- 神山高校(かみやまこうこう)
- 神山市内にある折木達が通っている高校。通称は神高。生徒数は約千人程度で、地域では進学校で通っているが特別力を入れている様子はない。文化系の部活が多く活発であり、毎年秋に開催される文化祭が他校と比較して盛況なのが特色。
- カンヤ祭
- 神山高校で毎年秋に開催される文化祭の俗称。古典部の部員や神山高校の一部の教師は、ある事情からこの「カンヤ祭」という名を伝統的に禁句としている。
- 桁上がりの四名家(けたあがりのよんめいか)
- 神山市内の旧名家の中でも特に桁上がりとされる四大名家。荒楠神社の十文字家、書肆の百日紅家、豪農の千反田家、山持ちの万人橋家がこれにあたる。市内でこれに対抗できるのは病院長の入須家と重鎮の遠垣内家とされる。なお、この『桁上がりの四名家』というのは里志が提唱したものである(順番に、十、百、千、万、と桁が上がっていくことから)。
- パイナップルサンド
- 神山市内にある喫茶店。焦げ茶を基調とした渋目の店内装飾や、今どき有線放送も流さない静けさなど、構えは小さいが目立つ看板が特徴の店。「氷菓」で折木と千反田が初めて学校外で会合をした場所。折木曰く、自身の知りうるどの店よりも酸味を利かせたキリマンジャロの味がお気に入りだという。
- 一二三(ひふみ)
- 神山市内にある茶店。畳みのいぐさと焙じられた茶の香り漂う渋い店であり、「愚者のエンドロール」で折木と入須が初めて学校外で会合をした場所。入須の払いの場であったが、茶に疎い折木はいきなり高級メニューの「水出し玉露」を頼んでしまう。折木曰く、控えめに掲げられた小豆色の暖簾に、電気仕掛けの行灯という瀟洒な佇まいの店舗は、およそ高校生が学校帰りに立ち寄る店とは思えないという。
既刊一覧
2010年7月現在、既刊はすべて岩郷重力+WONDER WORKZ。が装丁を担当している。
映像化にあわせて特大帯を装丁に巻いておりアニメーション柄の表紙が書店では並んでいる。電子書籍の取り扱いの表紙でもこの特大帯柄の表紙である。
- 氷菓
- 角川スニーカー文庫(カバー装画 - 上杉久代 ISBN 4-04-427101-1) のち 角川文庫、2001年11月、ISBN 978-4-04-427101-5
- 愚者のエンドロール
- 角川スニーカー文庫(カバー装画 - 高野音彦) のち 角川文庫、2002年8月、ISBN 978-4-04-427102-2
- クドリャフカの順番 「十文字」事件
- 角川書店、2005年6月、ISBN 978-4-04-873618-3
- 角川文庫、2008年5月、ISBN 978-4-04-427103-9(『クドリャフカの順番』に改題)
- 遠まわりする雛
- 角川書店、2007年10月、ISBN 978-4-04-873811-8
- 角川文庫、2010年7月、ISBN 978-4-04-427104-6
- ふたりの距離の概算
- 角川書店(カバー装画 - 北沢平祐)、2010年6月、ISBN 978-4-04-874075-3
- 角川文庫、2012年6月予定[3]、ISBN 978-4-04-100325-1
- 初出:『野性時代』72号 - 77号
- 未収録短編
- 連峰は晴れているか(初出:『野性時代』56号)
補記
キャラクター設定
古典部員の立位置は、シャーロック・ホームズシリーズ(コナン・ドイル)での、ホームズを折木、依頼人を千反田、ワトスンを福部、レストレードを伊原と当てはめて設定、性格が作られた[4]。
判型について
<スニーカー・ミステリ倶楽部>がなくなって以降、シリーズの新刊はまず単行本で発行されているが、『氷菓』、『愚者のエンドロール』は初出が角川スニーカー文庫であるため単行本が存在せず、シリーズ全作を同じ判型で揃えることができない状態が続いている。著者が公式サイトで述べたところによると、「角川文庫から「文庫書き下ろし」形式でミステリを、という路線は、基本的に存在しない」ためである[5]。
英題について
<スニーカー・ミステリ倶楽部>の作品は別途英題がつけられることになっており、『氷菓』、『愚者のエンドロール』にはそれぞれ「HYOUKA」、「Why didn't she ask EBA?」という英題がついていた。角川文庫に移籍後も表紙に英題が書かれている(この際『氷菓』の英題は「You can't escape」に変更されたが、さらに第28版発行時に「The niece of time」に変更された[6])。単行本で出版された作品についても、文庫化の際に英題がつけられる。
- 氷菓 - 「HYOUKA」(氷菓)→「You can't escape」(あなたは逃れられない)→「The niece of time」(時の姪)[7]
- 愚者のエンドロール→「Why didn't she ask EBA?」(なぜ、江波に頼まなかったのか?)[8]
- クドリャフカの順番→「Welcome to KANYA FESTA!」(カンヤ祭へようこそ!)
- 遠まわりする雛→「Little birds can remember」(雛は忘れない)[9]
作品舞台
この作品群の舞台となっている神山市は、その風景描写と作者の出身地から、岐阜県高山市がモデルになっていると思われる。尚、アニメ版の舞台ベースとなるロケハンは岐阜県高山市で行われた[10]。
また、アニメ版の千反田家のモデルは静岡県掛川市にある加茂花菖蒲園の加茂荘である[11]。
テレビアニメ
Template:継続中の作品 『氷菓』のタイトルで2012年4月より独立局他にて放送中。
2003年の『フルメタル・パニック? ふもっふ』及び2005年の『フルメタル・パニック! The Second Raid』の、監督・武本康弘とシリーズ構成・賀東招二がタッグを組んでおり、同2作品のヒロインの声を演じた声優の雪野五月とゆかなも声をあてている。
時代設定が原作『氷菓』の2000年から放送年と同じ2012年に変更されたため、「33年前の真実」が「45年前の真実」になっており、関係者の年齢もそれに合わせて設定しなおされている。
スタッフ
- 原作・構成協力 - 米澤穂信(角川文庫刊「古典部シリーズ」から・少年エース連載)
- 監督 - 武本康弘
- シリーズ構成 - 賀東招二
- キャラクター原案・デザイン・総作画監督 - 西屋太志
- 色彩設計 - 石田奈央美
- 設定 - 唐田洋
- 美術監督 - 奥出修平
- 撮影監督 - 中上竜太
- 編集 - 重村建吾
- 音響監督 - 鶴岡陽太
- 音楽 - 田中公平
- 音楽制作 - ランティス
- エグゼクティブプロデューサー - 安田猛
- プロデューサー - 伊藤敦、八田英明
- アニメーションプロデューサー - 瀬波里梨
- アニメーション制作 - 京都アニメーション
- 製作 - 神山高校古典部OB会
主題歌
- オープニングテーマ
- エンディングテーマ
各話リスト
原作の(※)は短編集「遠まわりする雛」に収録。
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | アイキャッチ | 原作 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
第一話 | 伝統ある古典部の再生 | 賀東招二 | 武本康弘 | 西屋太志 | 清明 | Aパート「氷菓」 Bパート「やるべきことなら手短に」 (※) | |
第二話 | 名誉ある古典部の活動 | 武本康弘 | 内海紘子 | 門脇未来 | 立夏 | 「氷菓」 | |
第三話 | 事情ある古典部の末裔 | 村元克彦 | 石立太一 | 秋竹斉一 | 小満 | ||
第四話 | 栄光ある古典部の昔日 | 江上美幸 | 河浪栄作 | 池田和美 | 芒種 | ||
第五話 | 歴史ある古典部の真実 | 賀東招二 | 三好一郎 | 堀口悠紀子 | 夏至 | ||
第六話 | 大罪を犯す | 西岡麻衣子 | 坂本一也 | 高橋博行 | 小暑 | 「大罪を犯す」(※) | |
第七話 | 正体見たり | 芦田杉彦 | 内海紘子 | 門脇未来 | 立秋 |
放送局
放送地域 | 放送局 | 放送期間 | 放送日時 | 放送系列 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
千葉県 | チバテレビ | 2012年4月22日 - | 日曜 24:00 - 24:30 | 独立局 | |
埼玉県 | テレ玉 | 日曜 25:00 - 25:30 | |||
福岡県 | TVQ九州放送 | 日曜 26:30 - 27:00 | テレビ東京系列 | ||
神奈川県 | tvk | 2012年4月23日 - | 月曜 25:00 - 25:30 | 独立局 | |
京都府 | KBS京都 | ||||
兵庫県 | サンテレビ | 2012年4月24日 - | 火曜 24:00 - 24:30 | ||
岐阜県 | ぎふチャン | 2012年4月25日 - | 水曜 24:15 - 24:45 | ||
東京都 | TOKYO MX | 水曜 24:30 - 25:00 | |||
三重県 | 三重テレビ | 2012年4月27日 - | 金曜 25:50 - 26:20 | ||
日本全域 | BS11 | 金曜 27:00 - 27:30 | 独立系BS放送 | ANIME+枠 |
BS11ANIME+ 金曜27:00枠 | ||
---|---|---|
前番組 | 番組名 | 次番組 |
氷菓
|
-
|
Blu-ray Disc/DVD
この項目には発売予定の新製品、提供開始前の新サービス、開店前の店舗、営業・運用開始前の交通機関・車両などに関する記述があります。ウィキペディアは未来を予測する場でも宣伝サイトでもありません。Wikipedia:検証可能性に基づき、正確な記述を心がけてください。また、特に重要と思われることについてはウィキニュースへの投稿も検討してください。 |
Blu-ray Discは限定版のみ、DVDは限定版と通常版と計3系統で発売が開始される予定。各巻2話収録で全11巻の予定。限定版はサウンドトラックとオリジナルドラマとラジオダイジェストを収録したCD、特製ポストカード2枚等が収録される。通常版との共通特典として、ブックレットのほか、音声特典のオーディオコメンタリーや映像特典のロケハン映像、BGMレコーディング映像等が収録される。
巻数 | 発売日 | 収録話 | 規格品番 | ||
---|---|---|---|---|---|
限定版BD | 限定版DVD | 通常版DVD | |||
1 | 2012年予定 6月29日 | KAXA-5001 | KAXA-10086 | KABA-10097 |
OVA
この項目には発売予定の新製品、提供開始前の新サービス、開店前の店舗、営業・運用開始前の交通機関・車両などに関する記述があります。ウィキペディアは未来を予測する場でも宣伝サイトでもありません。Wikipedia:検証可能性に基づき、正確な記述を心がけてください。また、特に重要と思われることについてはウィキニュースへの投稿も検討してください。 |
2013年1月発売のコミック版『氷菓』3巻限定版ではテレビ版の第11話と第12話の間に相当する完全オリジナルエピソードである第11.5話を収録したブルーレイディスクが付録となる予定。第11.5話は2012年7月8日0時よりUSTREAMで先行配信される[12]。
Webラジオ
『古典部の屈託』のタイトルで2012年4月20日(毎週金曜22時更新)より、ランティスネットラジオにて配信中。
- パーソナリティ
- コーナー
- 「わたし、気になります!」
- 千反田えるが興味を持ちそうな情報をリスナーの皆さんから広く募集。彼女に「わたし、気になります!」と言わせてみよう、というコーナー。
- 「視聴者の屈託」
- 古典部部員のように、人間生きていればいろんな「屈託」があるはず。リスナーの皆さんがどんなことに「屈託」を感じているか報告してもらうコーナー。
- 「福部里志のデータベース」
- どうでも良いような雑学に詳しい福部里志を唸らせるような、「なるほど!」という知識をリスナーの皆さんから教えてもらうコーナー。
漫画
タスクオーナによる『氷菓』のコミカライズが、『月刊少年エース』2012年3月号より連載されている[13]。
- 米澤穂信(原作)・タスクオーナ(作画)・西屋太志(キャラクター原案) 『氷菓』 角川書店〈角川コミックス・エース〉、既刊1巻(2012年4月現在)
以前にも『わたし、気になります!』というタイトルで、『氷菓』の冒頭部分がよしだもろへによって漫画化されたことがある。この漫画は米澤穂信の特集が組まれた『野性時代』56号に掲載された。
脚注
- ^ 「畢生の十周年企画 100の質問」「Q2:〈古典部〉シリーズ、どのくらいまで続ける予定でしょうか?」
- ^ 「<古典部>シリーズカルト解説 隠れネタ大公開!」『野性時代』7月号通巻第56号、角川書店、2008年、pp.39 - 41.
- ^ ふたりの距離の概算: 文庫: 米澤穂信 | 角川書店・角川グループ
- ^ 村上高史「著者に聞く全作品解説 part1 〈古典部〉シリーズ全4冊」『野性時代』7月号通巻第56号、角川書店、2008年、pp.26 - 27.
- ^ 「畢生の十周年企画 100の質問」「Q8:どうして〈古典部〉シリーズの新刊は文庫で出さないんですか?」
- ^ 米澤穂信 <古典部>シリーズ
- ^ 「The niece of time」は、ジョセフィン・テイの推理小説『時の娘』(原題:The Daughter of Time)のタイトルをもじってつけられた。
- ^ 「Why didn't she ask EBA?」は、アガサ・クリスティの推理小説『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』(原題:Why didn't they ask Evans?)のタイトルをもじってつけられた。
- ^ アガサ・クリスティの推理小説『象は忘れない』(原題:Elephant can remember)のタイトルをもじってつけられた。
- ^ ニュータイプ2012年4月号より
- ^ ロケ地としても知られる加茂荘(加茂荘 加茂花菖蒲園公式ブログ2012年5月23日)
- ^ 「氷菓」第11.5話先行配信告知
- ^ 「『氷菓』がコミカライズされます」