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OVERMANキングゲイナー

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OVERMANキングゲイナー
ジャンル ロボットアニメ
アニメ
原作 富野由悠季
総監督 富野由悠季
シリーズ構成 大河内一楼
キャラクターデザイン 中村嘉宏西村キヌ吉田健一
メカニックデザイン 安田朗山根公利、吉田健一
アニメーション制作 サンライズ
製作 サンライズ、WOWOW
バンダイビジュアル
放送局 WOWOW
放送期間 2002年9月7日 - 2003年3月22日
話数 全26話
漫画
原作・原案など 富野由悠季
作画 中村嘉宏
出版社 メディアファクトリー
掲載誌 コミックフラッパー
発表期間 2002年6月5日 -
テンプレート - ノート
プロジェクト アニメ
ポータル アニメ

OVERMANキングゲイナー』(オーバーマンキングゲイナー)は、2002年9月7日から2003年3月22日までWOWOW(有料枠)で放送されたロボットアニメサンライズ製作。全26話。

作品概要

富野由悠季総監督とサンライズ井荻スタジオ母体による、『∀ガンダム』以来2年半ぶりのTVアニメシリーズ。ハードな作風で知られるそれまでの富野作品とは異なり、明るく楽しい作風になっている。「戦争」ではなく、聖地ヤーパン(Japanのドイツ語読み)への回帰の意の「エクソダス」をテーマにし、死人も直接的には数人しか出ない。各オーバーマンの特殊能力も、直接的な攻撃を加えるものではなく「盗み」「幻」「人びとの本音を心に直接聞こえさせ、争いを起こさせる」などトリッキーな物が多い。従来、富野自身が務めることが多かったストーリー構成を、若い脚本家の大河内一楼に任せており(富野作品に「シリーズ構成」職がクレジットされているのは、1984年の『重戦機エルガイム』以来である)、その大河内が「人間魚雷」を主軸にした人が死ぬ話を提案したところ「もう悲惨な話はいいよ」と諭す[1]など、意識して作風を変化させようとしたことがうかがえる。

「明るく楽しい」作風を象徴するものとして、オープニングのタイトルバックと同テーマソングがある。この作品では、現代風に洗練されてこそいるが1970年代から1980年代のロボットアニメでは王道ともいえる「主要ロボットの名前を連呼する」といったスタイルで、イントロ部分から流れるテンポの良い主題歌の歌詞・メロディに合わせて、登場人物がミュージカル風にポーズを取ったり、作中に登場するオーバーマンが列を成して「激しくモンキーダンスを踊る」という映像だった。

上記のオープニング演出はアニメ作品のクレヨンしんちゃんで頻繁に使われており、富野は「この作品のライバルは、『クレヨンしんちゃん』」と発言している。これは『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』のことを特に指し、富野は「視聴者が、この"アニメというエンターテインメント"の面白さを理解を出来ていないようではいけない」と述べた上で、キングゲイナーはエンターテイメント性を強く打ち出す事を意識したコメントを残している(『オーバーマン・キングゲイナー・イントロダクション―富野由悠季、新作を語る!!』インタビューより)。

富野の監修の下に、キャラクターデザイナーの1人である中村嘉宏が漫画版を連載したが、個々のキャラクター設定などにアニメ版とは若干の違いがある。

あらすじ

時代は地球環境が悪化した未来。シベリアのドームポリス「ウルグスク」に住む少年、ゲイナー・サンガは、シベリア鉄道警備隊に逮捕されてしまう。容疑はドームポリスからの脱出、「エクソダス」を企んだ事だった。

ゲイナーは留置場で出会ったゲイン・ビジョウという男と共に脱走する。逃走中、ゲイナーは「オーバーマン」のキングゲイナーに乗ることになる。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


登場人物

ヤーパンの天井

ゲイナー・サンガ
- 野島裕史
ウルグスク・ドームポリスに生活する少年。 本作の主人公。
オーバーマン・キングゲイナーを手足のように操る、ガウリ隊所属の17歳。高校生。
かつて両親が「エクソダス反対」のビラを握らされて何者か(後にガウリと判明)に殺害(漫画版ではゲイナーが12歳の時に)され、そのショックで家にひきこもった。人気ゲーム「オーバーマンバトル」を得意とし、シンシアとは良きライバル。“クイーン”のシンシアを倒して200連勝を達成し“キング”という対戦チャンプの称号を獲得する。劇中で、現実とゲームでのダブルフィールドで初代キングの称号も獲得。
真面目で融通が利かず、やや内向的な性格だが、エクソダスという大きな環境の変化を通じて様々な人々と、時にぶつかり合い、時に励まされながら人として大きく成長していく。眼鏡をかけてはいるものの、劇中では外しても特に不自由はしていないところから、特別視力が悪いわけではないらしい。潜入のために女装したこともある。
エクソダス請負人・ゲインを「強い男」として尊敬するも、彼の軽薄な言動や悪ノリには眉をひそめる事もあり、実は猛烈な対抗意識を持っている。クラスメートのサラ・コダマに対しては漠然とした憧れを抱いていたが、悲惨な過去を思い出して落ち込んだところを慰められたことがきっかけで恋愛感情に発展する。初期のゲイナーは彼女に良いところをみせようとして奮闘していた。人の心を読むプラネッタのオーバースキルに対抗するため、どうせ読まれるならばと大々的な告白を行う。この告白はプラネッタのオーバースキルの効果でヤーパンの天井はおろか世界中に聞こえており、後でサラに謝罪している。サラに想いを寄せる一方で、ガンガランではシンシアとデートしようとして、似合わない正装で出かける。シンシアの仕掛けたゲームに挑戦するがシベ鉄の襲撃で断念させられた。その様子はサラやアデットたちに尾行され、シンシア当人にも見られていた。
両親を失ってからはずっと一人暮らし。シベ鉄との戦いで部屋が破壊されたこともあった。アデットが強引に押しかけてからは同居生活を送る。辟易することが多かったが、家族として大切に思う一面も見せた。
コンピュータゲームでとはいえ、鍛えていたためオーバーマン操縦には卓越した才能をもち、その習熟速度は群を抜いている。とは言え、初の実戦では勝利するものの直後に嘔吐した。思いつきで様々な応用技を駆使する。特にフォトンマットを使った応用技は数々の敵を打ち破っている。特殊なオーバースキルを使う相手には前述のプラネッタ戦のように様々なアイデアで対抗している。
搭乗機体は主にキングゲイナーだが、ガチコやドーベックにも乗ったことがある。また、物語終盤ではオーバーセンス(後述)を見込まれオーバーデビルに取り込まれ、さらにはオーバーデビルのオーバーセンスで自身が巨大なオーバーマン化し、ブラックメールのコートを着てゲイン達と戦った。
ゲイン・ビジョウ
声 - かわのをとや
本編でのもう一人の主人公。28歳。
エクソダスを成功させるための物資調達から敵対者の撃退・移動ルートの確保など、各種調整を生業とするエクソダス請負人として様々な活躍を見せ、その狙撃の腕は標的に4発の弾丸を撃ち込み、十字の印を残す事から「黒いサザンクロス」の異名を持ち恐れられている。背を向けて逃げる相手は撃たないというルールを信条としている。狙撃だけでなく、ナイフや格闘技も達人級の腕前のようだが、劇中、若白髪を発見されるなど三十路への入り口も迎え、本人も気にしている。
元々はドームポリス・ウッブスのフェリーベ侯爵家の出だったようで、本名はシャルレ・フェリーベというらしい。ウッブスのエクソダスの失敗の後に家系のお取り潰しを権力機構であるロンドンIMAに受けた事からアウトロー化、かつての教育係だったママドゥを嘆かせている。
ウッブスのエクソダス時代は恋人だったガエラとの死別、ピープル同士の殺し合いなど、辛い過去があった様子。その時は、親友のエリアル・ニールセン(声:高橋広司)を相棒にしていた。
冗談めいた言動や、女性に軽い事から軽薄な印象を周囲に持たれるが、その根幹は紳士的で義理堅く、また能力的にも優れている事から、多くの人に信頼されている。アナ姫も女性として扱い、リュボフやコナたちから好意を寄せられるが、アスハムの登場で隠し子が発覚してからは明らかに距離を置かれた。
シルエットマシン・ガチコを愛機としていたが、ガチコが破壊された後にオーバーマン・エンペランザ(二代目)に乗り換えた。また、キングゲイナーに搭乗する事もあった。
撃退してもトドメは刺さないが、カシマルはゲインを本気で怒らせたため黒いサザンクロスで殺害されている。
サラ・コダマ
声 - 小林愛
ウルグスク自警団のはっきりした性格の少女隊員。17歳。
面倒見の良いしっかり屋だが、しばしばその「しっかりしなければ」という自負から、自分自身を追い詰めてしまう事もある。
ゲイナーやベローとは同じ高校のクラスメイト同士である。もともと孤児だったためピッキングなど色々と物騒な特技を持つ。
ゲイナーの事は「情けない引き篭もり」程度にしか見ていなかったが、ゲイナーの一大告白では恥ずかしさのあまり真っ赤になって怒っている。その頃からゲイナーを意識するようになり、シンシアに焼き餅を焼くようになる。オーバーフリーズしたゲイナーを助けようとするがゲイナーの毒舌に打ちのめされた後、キスで凍らされてオーバーフリーズされ、オーバーデビルの手下となる。最終回ではシンシアを間に挟み3人で並ぶがこっそり後ろで手を繋いでいるなどゲイナーとは相思相愛になったらしい。
プラネッタの騒動の際エクソダスのためにガウリがゲイナーの両親を殺害したことを知るも、「エクソダスのためには必要な犠牲」だと割り切ろうと言いだせなかった。
アデット・キスラーとは何かに付けて張り合い駅伝対決は有名。実は似たもの同士で結構気が合う様子もうかがえる。苦手なものはカエル
ウルグスク自警団の正式採用シルエットマシン・パンサーに乗る。他にゲイナーに同乗する形でキングゲイナーに乗ったほか、自律行動するブリュンヒルデに気に入られコックピットにアスハムと共に閉じ込められたり、オーバーデビルに操られジンバに搭乗したこともある。
ヒューズ・ガウリ
声 - 草野徹
ウルグスク自警団・ガウリ隊の隊長で、 設定年齢はゲインと同じ28歳。
忍者マニア(?)で「ヤーパン忍法」(オーバーデビルに操られた時は「デビル忍法」に改名)と称して様々な怪しい技(主に体術)を見せるが、技の実用性と本人の実力は高く、実戦で初めて使った忍法で敵を倒したこともある。格闘戦・接近戦が得意で、暗殺者としても活動していた。戦闘時はパンサーに乗るが白兵戦の方が人間離れしており圧倒的に強い。
ガウリ隊隊員のサラは、隊長であるガウリを完璧な大人として尊敬しているが、ガウリ当人は心に大きな不安を抱えており、その心の隙を付かれてカシマルに操られた。
エクソダスを邪魔するものは何人たりとも斬ると言っており、実はゲイナーの両親を暗殺したのは彼である。ただ、エクソダスを守ることと、それにともなう暗殺者としての自分の間で葛藤している。
物語後半で「強い男にしか興味が無い」と豪語するアデットに熱烈に惚れられた。オーバーデビルの攻撃によりオーバーフリーズさせられ、敵となるがアデットの熱いキスで自我を取り戻した。
搭乗機体はパンサーで、ある時は盗んだガチコで走り出したこともあった。
ベロー・コリッシュ
声 - 大竹周作
ウルグスク自警団・ガウリ隊隊員。長身で派手なリーゼントが特徴で、ゲイナーと同じ高校に通っているが浪人もしくは留年しており、実年齢は20歳。クラスメイトでもあり同じ隊に所属する同年代のサラに好意を寄せている。
お調子者でムードメーカー的な存在ではあるが、そのフットワークの軽さと友人に対する義理堅さで、心に深い傷を負っていたゲイナーといち早く「男の友情」を築き上げている。
普段はヤーパンの天井の先頭を走る、シルエットマンモス・バッハクロンの運転を担当し、戦闘ではシルエットマシン・パンサーにも乗る。名称不明の民間用4本足トラックも運転するなど、運転全般が得意な様子。
ママドゥ・アザフ
声 - 西凛太朗
ドームポリス・ウッブス出身。
かつてのフェリーベ公爵家お抱えの教育係で、現在はゲイナーやサラやベローらが通う高校の歴史教師をしており、ゲイナー逮捕はママドゥの授業中だった。 エクソダスを支える一人。大柄な体格の激情家で、かつての教え子であるゲインの「落ちぶれた」姿を嘆いている。
エクソダスを通じて、アナ姫教育係の「リュボフ女史」と熱々な関係になる。
ガウリ隊内では主にメカニックと新兵器開発を手掛け、代表作は対シルエットエンジンでは絶大な効果を発揮するBB。作業用シルエットマシンで非戦闘活動もする。ベローと共に、シルエットマンモス・バッハクロン内に居ることも多い。
コナ・マダヤ / ナン / トゥン
声 - 本多真弓 / 入江純 / 大林洋平
常に先導役としてエクソダス先頭を行き、ガウリ隊パンサーやキングゲイナー・ガチコなどを整備するシルエットマンモス・バッハクロン(元々は移動整備工場)に常駐するメカニックチーム三人組。
コナは怒りっぽく、童顔で背が小さい事からゲイナー達より年下にしか見えないチーフで、設定では27歳。ナンはのんびり・おっとりした大柄な女性。トゥンは器用で神経質な小男。
かなり優秀なチームで、オーバーマン整備に関しても常に最良の状態を維持し続ける縁の下の力持ちである。オーバーコートの修復やエンペランザの作成も手がけている。
コナはゲインに気があり、性格も背格好も正反対なナンとトゥンは付き合っている。
アナ・メダイユ
声 - 鬼頭典子
ウルグスク・ドームポリスを統治していたメダイユ公爵家当主の末娘。
エクソダスには積極的に関係し、「エクソダスをするための人質」の立場にあるが、その行動はほぼ無制限という「名ばかりの人質」で、ヤーパン・エクソダスの隊列内ではバッハクロン内からゲイナーの自宅に至るまで、どこでも顔パスである。待遇も公爵家の姫というより、ヤーパン・エクソダスのマスコット的な扱いとなっている。政治的地位は、幼いながらもヤーパン・エクソダスの指導者層である五賢人とほぼ対等だが、どちらも他を支配したり上に立とうという意図はみられず、年齢差もあっておじいちゃんと孫という関係。
普段は好奇心旺盛で活発なおてんば姫として様々な事件に巻き込まれるが、幼いながらダメな大人以上にしっかりしている。家名に恥じぬ聡明な判断を見せ、アスハムの非道に対しては絶句させる程、理路整然と説教してみせた。ゲイナーの理解者であり、ゲイナーにとってゲームは現実と対決するための手段と表した。
なお父君のウルグスク公爵は、横暴な中央政府やシベリア鉄道に支配されているとはいえ、比較的リベラルな施政もあって「芸術を愛好する温厚な名君」として「芸術公爵」のニックネームでドームポリス市民に慕われている。父親が心配になり電話したときには突き放されたが、それも自分の事を想ってくれる父の愛情故の行為とすぐに見抜き、このときばかりは父への感謝の言葉と共に泣きじゃくった。
最終回ではオープニングでおなじみのモンキーダンスを披露した。
リンク / リンナ / リンス
アナ姫の飼っているペットで「リンクス」(英語でヤマネコの意。ただし作中世界ではイタチリスを合わせたような動物として描かれている)という種類の雑食性と思われる動物。
常に3匹一緒に行動している上に忙しく動き回るため、個体の区別はアナ姫を含む一部の者にしか付かない様子。
尾と背中の模様の有無がそれぞれ違い、尾が白くて背が黒く、いつも半目で目付きが悪いのがリンク、尾も背も黒いのがリンナ、背が白くて尾が黒いのがリンスとされているが、シーンによって若干違ったりする。性格もそれぞれ違うようである。
驚いて興奮すると粗相をしてしまう事もあるが、かなり賢く、言葉をある程度理解している風にも見える。
寒さに強く泳ぎも上手いようで、危機に際して凄まじい力を発揮する事も。
リュボフ・スメッタナ
声 - 二村愛
メダイユ公爵家に雇われたアナ姫の教育係。
普段は理性的でおっとりしているが、少女趣味的なところもあり、かなり惚れっぽい性格で、ゲインを巡ってチーフメカニックエンジニアのコナ・マダヤとボクシングで殴り合うという激しさものぞかせた。
どうやら知的で優しいマッチョ系が好みのようで、後に親子ほどに歳の離れたママドゥと交際するようになる。
漫画版では「スッメタナ」という名前になっている。
アデット・キスラー
声 - 林真里花
登場するなり授業中のゲイナーを問答無用で逮捕投獄した。ヤッサバと同様にシベリア鉄道警備隊の傍若無人ぶりを象徴する人物として登場する。ドゴッゾに乗っていたが起動したキングゲイナーに返り討ちにされた。ヤッサバの命令で「ヤーパンの天井」に潜入。潜入中にヤッサバが任務に失敗して離脱し、「ヤーパンの天井」に取り残される。駅伝大会に乱入してサラと激闘を繰り広げ、なし崩しに「エクソダス」に参加。高校教師の職(と生徒達用の給食のパン)にありつく。教師となってからはゲイナーの家に強引に転がり込み、同居生活を始める。
シベ鉄時代は知的な口調を使ったりもしていたが、なぜか高校教師になった途端にその口調を使わなくなった。 シベ鉄時代もかなり無茶苦茶だったが高校教師になってからは食料調達のため生徒を引き連れ強盗するなど、輪を掛けて無茶苦茶になった。
サラが羨むナイスバディ。戦闘時は真っ赤なボディコンスーツ。教壇に立つときは白いワイシャツ。寝る時は全裸というとんでもない女傑。
荒っぽくがさつで強引な性格だが人情には厚く、シベ鉄警備隊に居たのも「不器用で女らしい仕事ができないが、それでも家族のために働きたかった」という話が後述のアデット隊隊員から。サラとは犬猿の仲で事ある事に対立するが、ある意味似たもの同士。
また「ヤーパンの天井」にガンガラン・ドームポリスの難民が流入した際、戦闘経験の無いガンガラン・ピープルと乱闘し、衝撃と感銘を受けたガンガラン・ピープルが自警団を創設、アデットは隊長にスカウトされ、隊の通称もアデット隊となる。シベ鉄から「退職金の代わり」と称し大量の新型シルエットマシン・ドーベックを強奪しアデット隊に配備。赤く塗ったドーベックを愛機とする。
かつての部下ケジナンとエンゲは「姐さん(あねさん)」と呼び、同僚のジャボリは「お姉さま(おねえさま)」と呼んでおり、部下の面倒見は良かったようだが、寝返ってからは容赦がなく散々な目に遭わせている。惚れっぽい性格で開始当初はヤッサバと恋仲。ゲインに色目を使った後で、ガウリに惚れ込む。一方ケジナンから熱烈な告白を受けるなど好意を寄せられるがまったく相手にしていない。
デスネッタの不安ウェーブの影響すら少なかった彼女だが、ナメクジだけは苦手らしい。
搭乗機体はシベリア鉄道警備隊時代にはドゴッゾに乗っていたが、エクソダス合流後はゲイナーをしごくためにキングゲイナーに同乗し、アデット隊では赤ドーベックを駆り陣頭指揮をとる。

シベリア鉄道警備隊

ケジナン・タッド
声 - 北沢洋
シベリア鉄道警備隊のヤッサバ隊所属。年齢は31歳。いつも同僚のエンゲとつるんでいる。
ガニ股が特徴的で、上にはへつらうが目下に厳しく、野心は大きいが度胸は小さいなど、状況や相手に応じて態度がコロコロ変わる調子の良い性格をしている。本人によると実家は農家らしい。
惚れっぽく、ヤッサバ退場後はアデットに熱を上げて大胆な告白も行っていたが、後半ではあっさりシンシアに乗り換えた。二人とも年齢や見た目が全く違う相手であり、どちらからも相手にはされていなかった。反対に同僚のジャボリにはまったく興味はない。
物語終盤で「自称・シベリア鉄道副総裁」になった。
搭乗機体はドゴッゾ、ブラックメール、アンダーゴレーム、アントリオン、メックスブルート、ドーベック。
エンゲ・ガム
声 - 小山剛志
シベリア鉄道警備隊のヤッサバ隊所属。年齢は30歳。眼帯をしているのが特徴だが、伊達である。
人相も相まって屈強に見えるが、実際は悲観的な性格で、出世欲も他の同僚と比べるとそれほどではない。
責任逃れのために強いものの下に就いて楽をすることを望んでおり、普段はケジナンの腰巾着をしている。
搭乗機体はドゴッゾ、アンダーゴレーム、アントリオン、ドーベック。
ジャボリ・マリエーラ
声 - 田村真紀
シベリア鉄道警備隊のヤッサバ隊に所属している女性。年齢は23歳。田舎生まれの田舎育ちということにコンプレックスがあるため、相手をやたら田舎者と罵倒する。
玉の輿を狙っているが要領が悪く、上司や同僚から呆れられたりすることもしばしばだが、比較的周囲の中では良識家。警備隊員だが人を撃った事は一度も無いため、銃を扱うのは苦手。たまに少女のように振舞う。
アスハムに惚れ込んでいたが、当の本人にはさほど真剣には相手されてはおらず、むしろザッキに気に入られてしまうなど、幸が薄い。
アデットを「お姉様」と呼んでおり、彼女には頭が上がらない。ゲジナンやエンゲに比べれば優秀な隊長だったが、目立った成果は出せなかった。ザッキによると、ぬいぐるみでは上手に遊ぶらしい。
搭乗機体はドゴッゾ、アンダーゴレーム、ドーベック。
ヤッサバ・ジン
声 - 江川央生
古風な武人としての誇りを持つシベリア鉄道警備隊・ヤッサバ隊の隊長。
剛勇の士だが幼い頃に親が自分を残してエクソダスしたのが許せず、エクソダス阻止に執念を燃やす。
弱きを助け強きを挫くのにやぶさかではなく、後に孤児で養父に虐待を受けていた辻占いの少女を助けインダス方面へエクソダスするが、途中でセント・レーガンのゴレームに襲われる。その後、成功したかどうかは作中語られていないが、最終話で1シーンのみ登場し、少女とのエクソダス途上の光景が描かれた。
喜怒哀楽の表情が豊かで、物語序盤でしか活躍しないにもかかわらず「豪快に笑う」、「オーバーマン相手に生身で手に持った剣を突きつけ、猛烈に怒る」、「戦いに負けていじける」、「捕らえられ助けにきた仲間に弱音を吐く」、「辻占い少女の純粋さに打たれて和む」、「義憤に駆られて懲悪する」、「コテンパンにやられて悔し涙を流す」、「心朗らかにエクソダスする」と、作中にて最も激しい情動の変化を見せている。
戦闘スタイルは勇猛なだけでなく罠を仕掛けるなどの手段も使う。搭乗機体はラッシュロッドのほか、部下のケジナンからブラックメールを強奪した。
カシマル・バーレ
声 - 藤原啓治
シベリア鉄道の運行部長。設定年齢39歳。
鉄道のダイヤの維持のためには手段を選ばないことから「氷の運行部長」と呼ばれ、恐れられている。
エクソダスをダイヤを乱すものと見なしており、旧ヤッサバ隊の隊長に赴任してその阻止のために策謀をめぐらし、大災害を引き起こしたりもしている。
男性だが女性的な物腰、言葉遣い(いわゆるオカマ口調だが、無理して高い声は出さない)をしていて紫色の口紅を愛用しており、トレードマークのモヒカンもまた紫である。ヘルメットもモヒカンが出るようなものを使用している。また健全な男女交際が怖気がするほどに嫌いであるなど、見た目・行動・性格・嗜好のいずれにおいても、かなりアブノーマルである。
最期はゲインの駆るエンペランザによる銃撃「黒いサザンクロス」を受け惨死。 作品中で死が描かれた数少ない人物である。
搭乗機体は出撃のたびに替わり、アントリオンやプラネッタやデスネッタなど乗り継いだが、リオンネッターが最後の乗機となった。
キッズ・ムント
声 - 佐々木誠二
酷薄なシベリア鉄道総裁で別名「鉄道王」、アナ姫曰く「悪いお釈迦様」。
己のためなら他者を踏み台にする事などなんとも思わず、また極めて享楽的な性格である。ケジナンに地位を約束するなど調子がいい。
専用列車「チェルノボーグ」の専用の部屋の椅子にでんと構えてシベリア中を走り回り、敵からも部下からも恐れられている。
様々な策謀を水面下で動かす政治的能力に長けていたが、人に無条件で優しくされたり親切にされる事には慣れていない「孤独な独裁者」であるが、シンシアの事は大切に思っていたらしく、終盤では親衛隊のブラックドミと共にオーバーデビルに取り込まれてしまったシンシアを必死に助けようとした。
部下のカシマルはダイヤを守る事を生き甲斐にしていたが、キッズは最高速と定時刻をこよなく愛していた。
見た目に反して腕っぷしが強く、拳銃を持ったアスハムを軽くいなした。
漫画版によると、セント・レーガンの諜報部を率いていた過去があった様子。
シンシア・レーン
声 - 水城レナ
本名はシンシア・ウェラ・レーン。 18歳。
オーバーマン乗りの少女で、キッズ・ムントの秘蔵っ子。
趣味で遊ぶゲーム・オーバーマンバトルでは連続200回対戦チャンプの「クィーン」の称号を持つ。本人が登場するのはずっと後になってからだが、ゲーム内では第一話から登場。シンシアを倒したゲイナーが「キング」となった所から物語は始まっている。このときには仕事で徹夜明けと言っている。ただ、連続200回という事はその間ゲイナーとは戦っていない事を示し、ゲイナーがエクソダスの影響で、オーバーマンバトルにアクセス出来なかったり、やる暇が無かった事も示している。
ゲーム内ではゲイナーにわずかに及ばないものの、卓越したオーバーセンス(オーバーマン操縦能力)を持つが、それは高いオーバーセンスを持つ家系の娘だからでもある様子。亡き母親が最高のオーバーマン乗りであることがシンシアの自慢でもあるが、母親の顔は写真でしか見たことが無い。
ずば抜けたオーバーセンスでオーバーマン・ドミネーターの能力を駆使し、如何なる相手をも打ち倒す力を持つ。オーバーマンを使って相手を打ち倒す事と、コンピュータゲームで他プレーヤーを倒す事を同一視していたが、ゲーム仲間のゲイナーを実戦で徹底的に打ちのめし、ひどい怪我を負わせてしまったことに強いショックを受け、戦うことに忌避観を感じるようになる。しかし恩人であるキッズ・ムントを裏切ることも出来ず苦悩することとなり、それが物語後半で大きな役割を果たす。
棒付きキャンディやチョコレートなど、いつもお菓子を頬張っているが、本人はかなり痩せっぽちで背も小さい。しかしそれが、ケジナンにはたまらなく魅力的なようである。
キッズの許にはオーバーセンスを持つ多くの少年少女が集められていたが、一人また一人と脱落していき最後にはシンシアしか残らなかった。そのためゲーム内はともかく現実には友達がおらず、ゲイナーやサラとの友情を大切にしていた。

ロンドンIMA

アスハム・ブーン
声 - 子安武人
ロンドンIMA特務隊、アスハムブーン特殊部隊隊長でセント・レーガンの若きエリート。
ゲインには少なからぬ因縁があり、「妹のために」執拗に付け狙っている。妹とゲインの間に娘が出来、妹がゲインに会いたがっていると思い、ロンドンへ連れ帰ろうとしていたが結局はただの勘違いだった。
ロンドンから「ヤーパンの天井」のエクソダスを止めるという名目で出張するも、エクソダス請負人・ゲインの逮捕に頓挫した後、私的な野心(ゲイン絡み)を秘めてシベリア鉄道警備隊の要職につく。
地位を得るためなら信義も曲げ、チャンスと見るや雇い主に反旗を翻すなど自分本位な男だが、そのエネルギーの原動力はシスターコンプレックス
容姿端麗で上流階級を気取っているが、割と濃い性格ゆえか言動がやや三枚目になっている。理屈や能書きを並べるが子供のアナ姫に論破されてしまう程度。
ジャボリはどうやら彼に気があるらしいが、彼の方はジャボリを「うまく扱えば便利な手駒」ぐらいにしか思っていない様子。
シンシアに対しては一度ならず二度までも敗北し、さらに同じゴレームを使って完敗したからか、敬意を表して本人がいない場所でもシンシア殿と呼んでいる。 だが、結局はジャボリと同様に自分の目的のために使い捨てようとしていただけだった。
見た目からキッズを見くびったために手痛いしっぺ返しを食らった。
搭乗機体はロンドンIMA時代にはゴレームやパワーゴレームを使用したほか、ピルウィッツ公から拝借したジンバにも搭乗。最後にはシンシアから奪うような形でドミネーターに搭乗し、ゲインと激闘を繰り広げている。またブリュンヒルデにもサラと共にコックピットに閉じ込められる形で乗り込み、一時操作している。
ザッキ・ブロンコ
声 - 中村たかし
アスハム・ブーン特殊部隊の隊員(副隊長)で、優秀なゴレーム乗り。
アスハムの忠実な部下だが、任務に私情(ゲインの事)を挟む姿勢はあまり良く思っていない。
失敗したジャボリを「悪い子ではないのだが」とかばうなど、やや気がある様子も伺えた。
シンシアが駆るドミネーターのセント・レーガン隊襲撃によって、シベリアの氷の湖にアンダーゴレームごと沈められてしまったが、最終話では生きていたことが判明している。
アスハムに比べれば融通の利く性格で、香水を好んでおり、長い髪を後ろで編んでいるのが特徴。
搭乗機体はゴレームとアンダーゴレーム。

その他の登場人物

ミイヤ・ラウジン
声 - 中西裕美子
歌と踊りを通じ、エクソダスの考えを民衆の間に広げている踊り子。また大量に撮り貯めた立体映像も各地に流れており、ウルグスクでも祭りの際にこれを流していた。青みがかった髪の美少女だが、清楚な見た目とは違い、性格は明るく奔放。その行動のためエクソダスのシンボルと見られ、本人の器量と相まってピープルたちから人気を集めているが、本人は特別な使命感などを持っているわけではなく、自分の考えや思うところを民衆に伝えたいだけ、といった感じである。
歴史上最初にエクソダスを行ったミイヤとは血縁関係があるらしい。
ルブル・ウォン・ダラ
声 - 千葉雅子
ミイヤの旅に同道する彼女のマネージャー。細かいことを気にしないミイヤとは対照的に現実的な性格で、金銭面にもシビア。ただ彼女を嫌っているわけではなく、奔放なミイヤの言動に愚痴を零しつつも、共に旅を続けている。名前はルーブルウォンドル(ダラー)と各国の通貨単位をつなげたもの。
マルチナ・レーン
声 - 沢田敏子
シンシアの祖母。強大なオーバーセンスを持つ。
かつてオーバーデビルに全身を凍らされ、氷付けのままアガトの結晶内に放置されていた。オーバーデビルの覚醒にともない氷が解け、ヤーパンの天井に収容される。氷が解けた後も、下半身はオーバーフリーズしたままだった。

用語

エクソダス
旧約聖書の一つ、出エジプト記が原案。この物語世界では、かつて人が居住した温暖な地域への移動(脱出)と移住を意味するが、その行為は最悪の場合、死を以って償わされる重大犯罪である。
目的地となる温暖な地域は環境保全の目的により一般人の立ち入りが厳しく制限されている。しかし当初こそは脆弱な自然環境を保護するために必要だったこれらの措置も、物語の時代では充分に自然は回復していると考えられており、行政府側の一方的な理由(官僚主義的な利益集約システム維持)のためだけに存続している状況で、ドームポリスに生活するピープルたちのフラストレーションは増大の一途を辿っている。
過去に人口の集中していた住みよく環境の優れた土地は、環境保全のために農業畜産漁業など第一次産業のためのみに利用させており、普通の人々は住むことは出来ない。その保全地域の大半は自然環境を維持するための緑化地域として手付かずの状態にされているようだが、作中では人々の口に出るだけで、映像としてこの緑化地域が出ることは無い。
1日に配給のパンしか食べられない人や、生活のために電化製品を売って生計を立てている子供や、エクソダスを諦めて途中でリタイヤした人、戦闘に参加していないのに巻き込まれ負傷した人や、エクソダスに参加する気が無かったのに家ごと移動していて気づいたら参加していたゲイナーのような人などもおり、実態は危険かつ過酷である。
ドームポリス
人が生きるのに適さない苛酷な環境の土地に人々を住まわせるため建造された都市国家。都市ユニットと呼ばれる巨大建築物の集合体で、周囲の厳しい自然環境から住環境を守るために「巨大な屋根=ドーム」を持っている。世界各地の極限環境に複数点在している。かつての氷雪地域・永久凍土地帯・砂漠地帯に存在しており、この中で多くの人たちが社会を形成、生活している。
長い年月を経て巨大建築物(都市ユニット)には増築や改築で、様々な個人住宅などの住居設備が追加されており、ゲイナーの住む家も、都市ユニット壁面に貼り付くような形で建てられているため、エクソダスの際には窓が壊れて吹きっ晒しになってしまった。
ピープル
ドームポリスに生活する市民の総称。
オーバーマンバトル
世界中のゲーマーがプレイしているオンライン3Dロボ対戦アクションゲーム。主にロボット同士の空中戦を行うゲームで家庭用とアーケード用があり、両者間で対戦する事も可能である。漫画版での表記は「OVERMAN ARENA」。ゲームシステムとして両手の武器、自機の色などはある程度カスタマイズ出来る。ゲイナーがオーバースキルという現象について疎かった事から、ゲームの中のオーバーマンは両手に武器を持った自由に空を飛べるロボット程度のものとされている様子。ゲイナー機は緑色のオーバーマンで、右手の近接武器で止めを刺す。シンシア機はピンク色の機体で、彼女もまた右腕に近接武器を装備している。
エクソダスを開始する日の午前6時、ゲイナーはシンシアとの対戦で勝利して連続200回対戦チャンプの男性用称号「キング」を手にしている。シンシアはドームポリス・カテズのゲームセンターで連続200回対戦チャンプの女性用称号「クイーン」を手にしている。オンラインゲームなのでしっかりした回線が必要なため、ゲイナーはエクソダス中はドームポリスに立ち寄った時以外にゲームする機会が無かった。
漫画版のオーバーマンアリーナの方は、ランキング10位以内のプレイヤーには賞金が出る仕組みになっており、ゲイナーはその賞金と大会優勝の賞金を生活費にしていた。噂ではゲームの開発はシベリア鉄道公社で、腕の良いプレイヤーを鉄道警備員が攫って行くと囁かれている。ゲームチャンプであるという事はシベリア鉄道からマークされるという事である様子。
このゲームにはチャットシステムが存在しており、複数のプレイヤーとコミカルな絵で視覚的な感情表現をしながら会話を楽しむ事が出来る。ゲイナーのキャラクターは「マンボウ」である。
1対1の対戦以外にも、複数対一人や複数対複数。一人用のオフラインモードもあり、スコアアタックも楽しめるようになっている。ゲイナーはブリュンヒルデ戦の後、ブリュンヒルデの攻撃と似たようなステージで練習したりしていた。
また、本物のオーバーマンのコクピットからのプレイも可能で、ゲーム画面がコクピットのスクリーンに映し出される。尚、その場合はオーバーマン自体のMMIを使用して操作する。ゲイナーは、キングゲイナーのコクピットから現実での戦闘中にゲーム内でも戦闘をしていた(現実での戦闘中においては、パイロットのゲイナーの操縦がキングゲイナーの機体の挙動とゲーム内での挙動が同期していた為、傍から見ればキングゲイナーは何も無い所でロングソードを振るう等、無駄な動きをしている様に見える)。
スーパーロボット大戦シリーズ』では宇宙月面ステージも存在するらしく、プレイヤー部隊が宇宙に出た際にはゲイナーが宇宙の存在を知っていた(逆にゲームに疎いサラは知らなかった)。

地名

ウルグスク
旧ヤーパン地域の住人が移住したが、物語の時代では文化面でや人種的に混在が進み、ほぼ無国籍化している。しかしヤーパン地域への帰還願望は根強く残されている。
ヤーパン
かつての日本地域を指しているとされる。劇中描かれるエクソダスの目的地。ウルグスクのピープルの間では、ヤーパンの伝統と称して、忍者(忍法)、エキデン(駅伝)、大衆食堂など(しばしば勘違いされた)日本の風物が流行っている様子。作中世界では地図は北極点を下とするようになっているらしく、地図上では「ひっくり返った日本周辺の地図」が度々登場する。
リマンメガロポリス
シベリア鉄道本社があり、物語終盤の対オーバーデビル戦で舞台となった街。現在のウラジオストク付近に相当するようである。世界中の鉄道網に接続されており、北半球でも屈指の大都会である。
ポリチェフ
ピルウィッツ公が治めるドームポリス。交易が盛んであるが、裏ではシベリア鉄道からの盗品、横流し品を商い巨利を得ている。ヤーパンの天井に触発されたピープルがエクソダスを計画したが、アスハムの乗るオーバーマン「ジンバ」一機にエクソダスは阻止された。
ガンガラン
シベリア地域でも交通の要所として、規模はやや小さいながらも栄えているドームポリス。南の広場には日光を取り込む透明な天井を持つ大きな日時計があり、カップルの待ち合わせにも利用されているなど、居住環境の整備など機能一辺倒のウルグスクに比べると、洗練された潤いのある都市構造のようでもある。
劇中カシマルの作戦により都市機能を破壊され、住民はそのまま全員難民となってヤーパンの天井に流入。以前からのヤーパンの住民と対立した。後にアデットの奮闘により、ドーベックを所有する独自の自警団組織「アデット隊」を持つようになる。
ロンドン
大都会。世界の中心クラスの発言力と戦力がある様子。作中でもビッグ・ベンが描写されているなど、歴史的建造物を多く残す都市である。
ウッブス
砂漠のドームポリス。ゲイン、ママドゥ、エリアル、ガエラの出身地。かつてエクソダスを決行するもセント・レーガンに阻止され失敗、残ったピープルも内部対立を起こし壊滅した。この事件により領主のフェリーベ侯爵家はお取り潰しになっている。ドームポリスとしてはゲインがウルグスクに来る2年前に解体されたようである。
ベールド
ゲインがガチコの左腕を買ったアンダーマーケットがある場所。暑い地域らしく、強い日差しが描写されている。

メカニック

シルエットマシン
作中世界の基本的な乗用装置の総称。架空のテクノロジーであるシルエットエンジンによって稼働する。動力(エンジン)と外装(シルエット)が一体化された機械装置として描かれる。その原型はドームポリス建造時代に遡り、現代の自動車と同じような感覚で使用されている。
人型をしていたり足の生えた乗物(「ホロ付き軽トラ」のような庶民の足レベルで社会に浸透している)が登場する一方で、球形バルーンタイヤを履いた自動車やスクーターも登場するが、これらもシルエットマシンの一種で、自動的にタイヤを変形させる事で、ぬかるんだ泥道を疾走したり階段を上るなど、かなりの悪路でも走破できる能力を持つ。
これらシルエットマシンはドームポリスの市民生活に必要不可欠な要素となっており、凍結したツンドラ地帯などの苛酷な環境下で人間が生活するために利用されている。
市民生活には欠かせない物では在るが、その一方で凶悪な武器を搭載した兵器としてのシルエットマシンも存在する。外装がそのまま動力(動力源+駆動系)になっているため、たとえ胴体を真っ二つにされても、上半身だけで歩き回る。
アニメ版、漫画版の双方でもシルエットエンジンは熱をもっており暖かいことが描写されている。
シルエットマンモス
現実世界でのビル程の大きさのある巨大シルエットマシン。調査、土木工事、通信などの目的で建造された物で武装はもたない。劇中ではエクソダスのための都市ユニットの牽引に用いられた。移動には足のように見える構造だったり地面すれすれに滑走しているように見えるものもあったり、あるいは車輪などが使われていたりと様々である。
都市ユニット
ドーム都市を構成する構造体。超高層ビル並みの巨大建築物で、ドームポリス天井を支えている。
ヤーパン・エクソダスで牽引中の物は、「ヤーパンの天井」とも呼ばれる。
このユニットも、かつては大工業地帯で建造され、長距離を運搬するために古い型の超大型シルエットエンジンで自重を支える能力を持っており、ヤーパン・エクソダスではこのシルエットエンジンを稼動させて地面との摩擦を軽減させ、その都市ユニットをシルエットマンモスで牽引するという方法を行っている。広義ではこの都市ユニットもシルエットマシンの一種と言える。都市ユニットはその上部で太陽光発電を行う機能があるほか、天気の良い時には市民公園としても利用されている。作中ではセントラルヒーティングが利用されている描写も見られる。
オーバーマン
基本的な動力理論はシルエットマシンと同系統の発展技術を使っていたものの、その数倍の性能を持つ。外装と動力が一体化されたシルエットマシンとは違い、人工筋肉と呼ぶべきマッスルエンジンで駆動している。その基本構造は脊椎動物のそれに酷似しており、骨格と筋肉・神経系を持っており、またそれらを覆う皮膚や専用の「衣服(オーバーコート)」すら存在する。オーバーコートは増加装甲としてだけではなく、オプション装備としても利用される。動力はシルエットマシンについてもいえることだが、外装を使った太陽光発電の類(光子を直接エネルギーに変換している?)であることが漫画版などで記述されているほか、オーバーマンのみアニメ版劇中では「リキュール」と呼ばれる調合が必要な液体を補充している様子が描かれている。このリキュールはマッスルエンジンのパッケージ(柔らかく、袋状の莢を持つ)に注入され、手作業で全体に行き渡らせられていた。
またオーバーマンはその駆動に際し、フォトンマットと呼ばれる高エネルギーを放出(半ば質量を持ったエネルギー放射)しており、このフォトンマット放出を自在にコントロールする事で飛行・慣性制御と防御・攻撃を行う事も出来る。またこれはしばしばフライングリングと呼ばれる光輪を形成し、天使の輪や仏像の光背(後光)のようにも見える。
オーバーマン起動時にはシルエットエンジンを動作させるのと同系統のエネルギーを周囲に大量放出するため、シルエットエンジン側が動作できなくなってしまう「起動干渉」とよばれる現象が発生する。
オーバースキル
オーバーマンが持つ特殊能力。オーバーマンの機種によって多様な能力があるが、その一部はオーバーコートに依存しており、他のオーバーマンのコートを着ることによりそのオーバースキルを利用できる。単体でオーバースキルを発揮する物もあるが、オーバーコートを使用することでその能力を数倍にもできる。なお、オーバーコートの使用は違法行為となっている。
サイコオーバーマン
心を読む、心理状態を変化させるなど精神に関するオーバースキルをもつオーバーマンの総称。
アーリーオーバーマン
古いオーバーマンには人間のそれとは異質な意思を持つ物があり、この意思がしばしば搭乗者との衝突を招く事もある。アーリーオーバーマンの場合は、単なる乗物としては不適切なほどの自立性が在ると同時に、人間の感情に反応し易い。また現在のオーバーマンよりも遥かに扱い難い高性能の存在として扱われている。
オーバーデビル
アーリーオーバーマンと同様に人間のそれとは全く異質な意思を有し、人間の欲望や葛藤に敏感に反応する性質を持つ。過剰性能から周囲に災厄を招き、制御・抑制不能な状態(暴走)する事も多く、その扱いは注意を要する。暴走したオーバーデビルはその高い基本性能もあって、災害しか巻き起こさない。
オーバーセンス
オーバーマンの操縦者のオーバーマンへの適性。シンシア・レーンのように特に高いオーバーセンスを持つ者はオーバーマンの潜在能力を引出し、他の者の操縦時とはまるで別の機体のような戦闘力を発揮させる。生まれ付いての才能に拠る所が大きく、シンシアのようなエリートや、ゲイナーのようなアマチュアといった、かなり偏った人に強く現れる性質のようで、またオーバーマンの機種によっても求められる適性が違う様子。
ただし、あまりに適性があり過ぎると、ジンバに乗ったアスハムや、オーバーフリーズ習得後のキングゲイナーに乗ったゲイナーのように、オーバーマンの性能に心を奪われる危険性もともなう。
オーバーフリーズ
オーバーデビルの系統に見られるオーバースキルで「何でも凍結させてしまう力」。あらゆるものを一瞬で凍りつかせる威力に加え、一般の低温による凍結とは異る性質を持つ。特定のものだけを選択的に凍りつかせることができる他、その凍らせることのできるものの範囲にはほとんど制限がなく、生命活動すら凍結させるだけでなく、エネルギーのような無形のもの、「良心」や「愛情」といった心さえも凍りつかせることができる。そのため、原理的には概念そのものの動きを一時的に停止させる能力だと思われる。

組織

ロンドンIMA(ロンドンイマ)
IMAとはInternational Monitoring Agencyの略で、国際監視機構を意味する。ロンドンに本拠地があるためこのように呼ばれる。建前上はドームポリス間の争いをおさめるための組織だが、実際には大きな権力を持つ世界政府のような存在。
セント・レーガン
ロンドンIMA傘下の戦闘組織。ゴレームシリーズのオーバーマンを主戦力とする。
シベリア鉄道公社
シベリア一帯の鉄道路線を運営・管理する巨大組織。ドームポリスへの食糧・資源の供給を握るとともにロンドンIMAとも深いつながりがある。そのためドームポリスの政治・経済に対して大きな影響力をもち、実質的にシベリアを支配しているとも言える。物語の時点ではIMAの意に沿わない独自の動きを強めている。公社のトップは総裁と呼ばれ現在はキッズ・ムントが就いている。本社の所在地リマン・メガロポリスにはアガトの結晶と呼ばれる涙滴型の巨大構造物がある。
シベリア鉄道警備隊
シベリア鉄道公社傘下の武装組織。公社の権力を背景に乱暴な行いが多く、ゲインによると法的には警察権はないらしいが、実際には市民の逮捕・拘束なども当然のように行っている。他に賄賂など私腹を肥やすための行為も横行しており、そのためピープルからは公社ともども「シベ鉄」と呼ばれて蔑まれている。
サイコオーバーマンを始め特殊なオーバースキルをもつオーバーマンを多数所有し、周囲への威圧に頻繁に利用している。

オーバーマン、シルエットマシンとマンモス

オーバーマン

キングゲイナー
ドームポリス・ウルグスク領主であるメダイユ侯爵家の屋敷にコレクションとして保管されていた超高性能オーバーマン。起動者ゲイナー・サンガによって「キングゲイナー」のコードネームを与えられる。その特徴は髪の毛のような頭部パーツと、顔面にある3対の線であり、戦いの中で表情があるかのようにころころその形状を変える。敵からは「髪の毛のあるオーバーマン」「白銀色のオーバーマン」「ヤーパンのオーバーマン」などと呼ばれたが、リオンネッター戦からは敵側もキングゲイナーというコードネームを知るようになった。その出自・能力共に謎が多いが極めて汎用性が高い。アーリーオーバーマンの特性を持つオーバーマンであり、オーバーデビルの眷属である可能性や、対オーバーデビル用オーバーマンとして開発された可能性を示唆されている。
加速」のオーバースキルを持ち超高速戦闘が可能で、ゲイナーの操縦センスとその能力の向上とに相俟って戦果を重ね、数々の危機を切り抜ける。このオーバースキルの「加速」は単なるスピードアップという意味ではなく、分子レベルでの運動の加速という効果も持ち、後述の「オーバーフリーズ」や「オーバーヒート」ような不可思議な現象も引き起こす。
武装には、銃としてだけでなくチェーンソーのように刃を回転させて対象を切り裂く斬撃装備としても使用可能な「チェーンガン(雑誌や劇中でも【チェンガン・チェーンガン・チェインガン】と3種類ほど呼ばれ方があり、統一されていない。ここではアニメ版で一番よく呼ばれたチェーンガンを採用する)」と呼ばれる武器を持ち、他にも短剣として使用する「ピン」、後述するポシェットから取り出して投げ、前方に大量の爆弾をバラまく「散弾手投げ弾」、チェーンガンに装填して使う「オーバーフリーズバレット」などを装備する。それぞれの武装および弾薬は左腿にある「ポシェット」という袋(一種の「四次元ポケット」のような機能がある)の中にスペアがあり、劇中ではオーバーセンス完全覚醒後に、オーバーデビルを相手にチェーンガン二刀流を披露した。
防具としてコクピットを守るブラジャーという装甲を装備している。このブラジャーには、左胸に3つチェーンガン用の予備の弾があるほか、フォトンマットの発生装置も備わっている。
高機動型であるため防御力は他のオーバーマンと比較して高いとは言えないが、その基本性能の高さから来る柔軟性は特筆に価し、およそ人間に可能な仕事(当然、「オーバーマンサイズで」だが)はこなすことができる。
オーバースキルや基本的な機体の性能の良さ、ゲイナーの技量などにより他のオーバーマンと比べて多彩な技を持っており、「オーバーマルチキック」・「真っ向唐竹割り」・「ニンポーカラテ」(変幻自在の体術。ゲイナーがキングゲイナーに教育した技である)・チェーンガン二刀流・背負い投げなどの体術、剣術を使う。また、フォトンマット(フライングリング)を使った攻撃・防御も得意としており、チェーンガンにフォトンマットの影響を与える「チェーンマット」や、フォトンマット最大出力による広範囲攻撃、フォトンマットを使った「フォトンバリヤー」などのフォトンマット技も持つ。
オーバースキルは以下のように様々な形で発動している。
  • 分身や瞬間移動をしているように見えるほどの高速移動。
  • 操縦者には(時間を操っているかのように)周囲の動きがゆっくりに見えて、その中で自分だけ素早く動ける。
  • キングコールドという冷却技を防御用に使ったオーバースキルである「コールドガード」(マグマすら凍らせる事ができるが、機体の消耗が激しい。後の「オーバーフリーズ」の片鱗ともとれる)。
  • 「加速」のオーバースキルの応用で、あらゆるものを凍りつかせるオーバースキル「オーバーフリーズ」(発動前に周囲のシルエットエンジンからエネルギーを奪い取り、天候を操作してオーバーフリーズを使う等の芸当も見せる)。
  • 「オーバーフリーズ」の効果を持つ弾丸「オーバーフリーズバレット」。
  • 「オーバーフリーズ」とは正反対の高熱を発する「オーバーヒート」。
これらは他のオーバーマンに比べてもやはり多彩である。また、ラッシュロッドとの戦いで時間停止らしき能力を使ったことや、ブラックメールのコートを装備して「透明化」のオーバースキルを発動した事もある。
ラッシュロッド
シベリア鉄道警備隊隊長ヤッサバ・ジンの駆る、シベリア鉄道警備隊の看板オーバーマン。「ベロウズ」と呼称される鞴(ふいご)に似た形状の手持ち式超高熱火炎放射器を武器として使う。また両手の付け根に2連装ロケットランチャーを各2門・計4門装備する(ただし劇中では機関銃のように連射されるなど、ロケット弾というより通常の弾丸に近い描写がされている)。
オーバースキルは「時間停止」で、対象物に対して手をかざして光るエネルギー体(劇中では「ストップビーム」と呼称)を投射する事で、その物体の時間経過を止めることができる。停止させた時間はいつでも自由に解除できる。頭部の信号機に似た部位を破壊されるとその能力は使用できなくなる。第4話で破壊されてしまい、オーバーコートは回収され、本体は分解されてキングゲイナーの補修部品にされた。
漫画版ではオーバーミラーというバリアを発生させる全く別のオーバースキルを使用する。
ラッシュロッド(ストップコート装着後)
ラッシュロッドにオプション装備の「ストップコート」を装着させたもの。ストップコートは時間停止のオーバースキルを強化するもので、マント状の部分の裏面からエネルギー体を放ち広範囲の時間を止められる。劇中では先頭の都市ユニット(一号ユニット)全体の時間を止め、ゲイナー達を立ち往生させたほか、30分に渡って嵐の時間を停止させ、中に入ったキングゲイナーを暴風で攻撃した。その他、掌に留めたストップビームを叩きつける「時間止め張り手」という技も披露した。
ブラックメール
ヤッサバが囚われた後のシベ鉄に配備された、頭頂部に突き出た目玉状の部位が特徴的なオーバーマン。
「ブラックコート」と呼ばれるオーバーコートを装着する事で「透明化」のオーバースキルを発動する。見た目だけでなくあらゆるセンサーからも姿を隠すことができる。ケジナンが受領し、ヤッサバに強奪された。ヤッサバはこれを使ってヤーパン・エクソダス全体を危機に陥れたものの、ゲインの策略によりガウリ隊ほか市民有志らの集中砲火を浴びて大破。オーバーコートは回収・修復され、後にユニット起こし作戦においてキングゲイナーが着用した。その際、ブラックメールの目玉状の部位をキングゲイナーが着用したが、これはあくまでキングゲイナーにとって大きすぎる当オーバーコートのサイズを合わせるためのものであり、透明化は頭から背中そして腰のあたりまで覆った部分で行われる(つまりこれが「ブラックコート」)。
また、オーバーコートはオーバーデビル戦において、オーバーデビルが実体化させゲイナーに着用させた。
ゴレーム
セント・レーガンの伝統的なオーバーマン。「機体硬化」のオーバースキルを持ち、高い防御力を誇る。パワーコートを装着する事でパワーゴレームとなる。
近接格闘性能に優れていて、中距離から遠距離の戦闘もこなす。ただ、あまりに防御力が高過ぎる事から搭乗者の慢心を招き易い問題も見られる。特徴は頭部にある赤い4つ眼で、ゴレームのカメラはそれだけである。キングゲイナーも頭部カメラを封じられた際に視界が0になった。頭部に「だけ」カメラを設置するのがこの世界の基本の様子。また、自動操縦機能も搭載している。
後述のアンダーゴレームよりは汎用性に欠けるものの、機銃系統のオプション装備が豊富である。2丁ある片手用の小銃とディスクハープンというオレンジ色のチャクラム型武器が代表格。大量に小型のディスクを放つ・トゲを出して斬撃能力を高める・大型化する・相手の腕にはめて締め付けるなど、操縦者のセンス次第で多くの戦法があるオプションとなっている。大型化した時のディスクハープンは白兵戦用武器としても使用可能。常時携帯している武装では無いが、この2つの他に両手持ちのライフルも使う。
アスハム・ブーンとザッキ・ブロンコが指揮するエクソダス阻止・ゲイン奪還のために編成された特別任務部隊に配備された複数機があったが、その全てがシンシアの操るドミネーターにより撃破された。また対オーバーデビル戦においてシベリア鉄道詰問の目的で動いていた別働隊が大量投入し戦闘を繰り広げたが、それらも1機を残してオーバーフリーズを受け大破している。
パワーゴレーム
ゴレームのパワーコート装着型。どっしりとした相撲取りのような姿をしている。オーバースキルは「怪力」で、高層ビルほどの都市ユニットを放り投げるという荒業を見せた。さらに異常に高い防御力のため、パンサー隊の集中攻撃を無視し続けたほどである。しかし初めてキングゲイナーに対峙した際、素体となっているゴレームの機動力・格闘戦能力に支障をきたすことが理由でパワーコートは脱ぎ捨てられた。作中の登場に関しては、この時が最初で最後である。
アンダーゴレーム
ロンドンIMAの特務部隊、セント・レーガン所属の量産型オーバーマンで、ゴレームの一般兵用の機体。飛行時に座禅のようなポーズをとり、フライングリングが光背のように展開することから、仏像型オーバーマンとも呼ばれる。2体1組で敵を挟み込む事で「衝撃」のオーバースキル・通称「マッハバンドシェイカー」や、その発展技として、2体で衝撃のオーバースキルを球体にして飛ばし、電撃をまとったアンダースティックで跳ね返して敵に当てる攻撃(劇中では「火炎弾攻撃」と呼称)を発動させることができる。
他にもハンドガン、ミサイルとして飛ばせる指、ワイヤーで伸びる手による格闘とワイヤーから手を切り離し自在に操る「リモートフィスト」、左手に盾として使用できる大型の3連マシンガン「シールドガン」(腰に取り付け可能)を持つ。さらに、シールドガンには右手で持つ伸縮自在の棍棒「アンダースティック」が装着されている。アンダースティックは伸ばしている時の耐久力は無いものの、チェーンガン程度のサイズの時なら電撃を流す事ができ、この時はチェーンガンと鍔迫り合いをする事や、前述のオーバースキルで作り出した火炎弾を跳ね返す事も出来るので白兵戦用の武器としては申し分ない性能を誇る。このように豊富な武装を持ち、特別なオーバーマンの操縦スキルを持たない一般兵でも扱い易い機体になっている。反面、機体性能に頼りがちとなる事から、優秀なパイロットが育ち難いようでもある。
ザッキ機は機体を赤く高熱化させて、氷を溶かしながら潜ったりもした。
ジンバ
アスハム・ブーンがドームポリス「ポリチェフ」の領主ピルウィッツ公から事実上強奪したオーバーマンで、単機でポリチェフ住民のエクソダスを阻止した。巨大な目玉のような模様が描かれた、ハート型の頭部が特徴。「窃盗」のオーバースキルを持ち、物体を透過する手や伸縮する腕、手から放たれるエネルギーを使用することで、大小構わず如何なるものも盗むことが可能である。盗むだけが能力ではなく、脚部に2本の対オーバーマン用のカッターを装備しており、それを用いた高速格闘能力も備えている。しかし、アスハムは盗むことに熱中してしまい、それをゲインに見透かされ腕を失って撤退した。
暴走したオーバーデビルとの戦いの際、カラーリングの異なる別型の機体が出現。フリーズしたサラが搭乗し、アデット専用ドーベックと死闘を繰り広げたが、技量の差とゴレームの乱入でアデットに戦局を傾けられ、オーバースキルを保っておくための「袋」を破壊され撃破されている。
ブリュンヒルデ
「ミイヤの街」と呼ばれた太古の遺跡(巨石群)の中心部で長い間眠り続けていたオーバーマンで、「(伝説の)彷徨えるオーバーマン」の異名を持つ。通常のオーバーマンの数倍の巨体で、6本の腕を持つ竜のような姿をしている。最初のエクソダスを行ったとされる初代ミイヤと深い関係がある「アーリーオーバーマン」で、大中小と3対計6本の腕を持つがうち一本が失われている。「重力」のオーバースキルを持ち、腹部にブラックホールのようなものを発生させて周囲のあらゆる物体を吸収する能力を有する。また頭部から「ブリュンビーム」という破壊力の強い光線を発射する。吸収したものを別の場所に移動、出現させるためのホワイトホールのようなものを発生させる事もできるらしい。
ゲインの駆るシルエットマシン・ガチコの左腕に取り付けられている太い腕はこのブリュンヒルデのもので、デスネッタの襲撃によりガチコが大破した際にも左腕は無傷で残り、後にゲインが乗り込む事になるオーバーマン・エンペランザにもこの腕はそのまま付けられた。
ブリュンヒルデは一度、自身の強力な力によって作中世界から姿を消したが、終盤においてオーバーデビルの暴走に呼応する形で再出現、オーバーデビルとの一騎討ちの末に、オーバーフリーズの直撃を受け完全に消滅した。
アントリオン
本来は地下鉄掘削用に用いられる、四肢のみにオーバースキルを持つ作業用のセミ・オーバーマン(シルエットマシンとオーバーマンの中間のような機体)。そもそも戦闘用で無いため、特筆すべき戦闘能力や銃火気等は持っていないが、その「掘削」のオーバースキルを生かした自由自在の地中移動能力を誇る。また、地盤を緩めたり磁場に干渉する事も可能。マグマの中でも活動可能なほどの耐熱性能も有する。独自の武装としては四肢から発射されるドリルビットと4本の腕につけられた8本の爪がある。また、ドリルビットは単体でもオーバースキルを発動出来るようで、キングゲイナーはエンゲ機から奪った2つのドリルビットでオーバースキルを発動。1つを投げて脱出用の横穴作りに使用し、もう1つは手に持って脱出地点までの縦穴を掘るのに使った。
ドームポリス・ガンガランの地下で、カシマル・バーレの指揮の元、ケジナン、エンゲの3機でキングゲイナーと地下で交戦したが、あくまで作業用であるため必要以上の戦闘は行わず、マグマを活性化させて凍土を溶かし、都市ユニットを沈み込ませる目的で使用された。
メックスブルート
ケジナンがシベリア鉄道より受領したオーバーマン。
搭乗者のイマジネーションを直接的に幻として映し出す「幻影」のオーバースキルを持ち、ほぼ無制限に幻を映し出すことが可能である。また、幻は攻撃されると消える特徴がある。幻は広範囲に複雑なものも出せるようだが、メックスブルートからある程度離れると消えてしまう。アデット・キスラーをその幻で追い詰めたものの、超高速戦闘を得意とするキングゲイナーとゲイナーとにより、無数に作り出した幻をその発生速度を上回って高速で撃破され、幻の過剰出力を行ってオーバースキルが機能を停止した。最後は本体を暴かれて、キングゲイナーによって一瞬の内にバラバラにされ大破した。
武装は緑色の電撃球「メックスサンダー」。ドーベックの上部装甲に防がれる程度の威力であり、攻撃力は高いとはいえない。
プラネッタ
カシマル・バーレのオーバーマン。
人の心の内を探り出し、周囲にその意思を放出させる「伝心」のオーバースキルを持つ。そのオーバースキルを広範囲に発動させ、広範囲の人々を混乱させることを得意とするが、攻撃力その物はそれほど高いとは言えず、マントを変形させた近距離から中距離攻撃用の電気兵器干渉用(ゲイナーは電磁干渉鞭と呼称)を装備するのみである。鞭一発一発の威力は大したこと無いようだが、数を受けてしまった事と攻撃を回避出来なかった事からキングゲイナーの脚部装甲の破壊、ダメージ蓄積による機能麻痺を引き起こせている。攻撃の先読みを可能とするオーバースキルにより相手の攻撃が当たらないという、ほぼ無敵とも言える能力を持っていた。
カシマルがヤーパン・エクソダスの集団に攻撃をかけた際、そのオーバースキルを利用してキングゲイナーとガチコを執拗に追い詰めたが、ゲイナーに「どんな事を考えていても読み取られてしまう」というオーバースキルを逆に利用され、カシマル本人の大嫌いな話を聞かされることとなり、当人がこの「攻撃」をオーバースキルを停止して回避したため、その隙をゲインに突かれてプラネッタは大破、カシマルは辛くも脱出した。
後にオーバーデビル(ゲイナー)の暴走を止めるため、エンペランザがこのオーバースキルを逆転させ使用しようとしてオーバーコートを着用したが、プラネッタ専用コートゆえか電気兵器干渉用鞭は作動していない。
また、プラネッタの操縦席は単独飛行が可能な脱出ポッドにもなっており、キングゲイナーに左手と右足を切り取られて中破した後は煙幕を巻きながら脱出した。
プラネッタと後述するデスネッタ、リオンネッターは、人間の精神・感覚に影響するオーバースキルを持つことから「サイコオーバーマン」と総称されることもある。
デスネッタ
カシマル・バーレのオーバーマン。プラネッタ大破後に受領したもので、精神的攻撃により人を不安にさせるという、「不安」のオーバースキル「不安ウェーブ」を使う。
通常は分離式自律稼動型の突撃自爆戦車と合体しており、素体はプラネッタと同じものを使用しているが、突撃戦車と切り離された状態では戦闘能力は皆無であり、それを補うためにミラーコートを装備してカモフラージュすることが可能となっている。精神攻撃を操作する装備はデスネッタが直接手に持ってリモートコントロールしており、これを通じて突撃自爆戦車の遠隔操作が可能となっている。突撃自爆戦車には大量の爆薬を積み込んでおり、周囲に甚大な被害を与えるようになっている。
ヤーパン・エクソダス阻止でこの機体を導入した際、ゲイナーに「(不安の)発信源に近付くほどに不安が増す」という特性を感づかれ、それが原因となり発見されて撃破こそされなかったもののリモコンを破壊され遠隔操作不能となってしまい撤退を余儀なくされた。戦果としては精神支配に囚われたガウリを利用することで、取り込んだガチコを結果的に突撃戦車の自爆という形で大破させている事が挙げられる。その後は登場していない。
味方に不安ウェーブの効果が出ないように、ウェーブ遮断メットという不安ウェーブの効果を遮断するヘルメットがシベ鉄警備隊に配られていたが、ちょっとの衝撃で壊れてしまうようである。
リオンネッター
カシマル・バーレが最後に搭乗したオーバーマンで、一本足のオーバーマンと呼ばれた。
対象がもっとも苦手なものを投影し具現化させる「恐怖具現化」のオーバースキルで、キングゲイナーやアデットの駆るドーベック、サラの駆るパンサーなどを苦しめた。このオーバースキルはメックスブルートほど自由かつ大量に幻を作れたりはしないが、実体があって戦力になる強力なオーバースキルである。一定以上の攻撃を受けると消滅するようだが、簡単に次の幻を作り出す事ができる。相手が苦手なもの以外にも、リオンネッター自体の分身も作れる。
オーバースキルの優位性を過信したカシマルはゲインの最も汚されてはならない記憶(10年前のエクソダス失敗に関係するガエラという女性との死別)を投影してしまい、さらにカシマルに利用されたことを悔やんだ親友エリアルが自害したことによりゲインの怒りが爆発し、ゲインが駆るオーバーマン・エンペランザとの一騎討ちの末に「サザンクロスの印」とも呼ばれ怖れられる集中狙撃を受け、カシマル本人もろとも爆散した。
武装は手持ちの4連ミサイルランチャーのみだが、2本の足を必要としないほどの推力と両腕による近接戦はかなり強力。
ドミネーター
キッズ・ムントの隠し持つシベリア鉄道警備隊秘蔵の伝説のアーリーオーバーマン。「変形」のオーバースキルを持ち、手足を伸ばす・体の一部を武器や盾に変化させる・硬度を高める・体積の増加・ダメージを受けても再生する・パイロットの顔かたちを機体に映し出すといったほとんど何でもありの変形が可能。また、体積増加の応用で、体の一部を弾として撃ち出す事もできる。戦闘時は人型が基本だが、移動時や待機時は「ドミネーターカプセル」と呼ばれる卵のような形に変形する。その他、基本的な機動力や運動能力も高い。
シンシアのオーバーセンスと相俟って、高機動かつ変幻自在の絶大な戦闘能力によりキングゲイナーを窮地に追い詰めた。後に、ゲイナーを重傷に追い込んだことから心を閉ざしたシンシアを追い落としたアスハム・ブーンが奪取・搭乗する。なおキッズ・ムントが2号機を隠し持っていたが、覚醒したオーバーデビルによって撃破された。オーバーフリーズに拮抗する能力も持つ、オーバーデビルの眷属の可能性を持つオーバーマンである。
自動操縦機能を搭載しているようで、シンシアが呼べば上空に待機させたドミネーターはシンシアのもとへやってくる。また、操縦桿も他の量産されているモノとは違い、上のランクのモノを使っている。衝撃吸収用のエアバッグ機能も搭載している。
ブラック・ドミ
シベリア鉄道警備隊がドミネーターの量産型として制作したオーバーマン。鉄道警備隊本社親衛隊に配備されている。変形するは腕のみで、2体1組で電撃攻撃が可能。オーバースキルは「絡め手」。このスキルでオーバーデビルと戦うが、オーバーフリーズさせられてしまった。残りはアスハム・ブーンの指示でキングゲイナーに攻撃するが、撃破されてしまった。アスハムの命令を無視した2機は無事だった。
エンペランザ
寄せ集めの部品から作られたゲイン専用オーバーマン。名前はかつてウッブスのエクソダス時にゲインが駆っていたオーバーマンからとられたもの。ガチコの大型ライフルとブリュンヒルデの左腕を装着しており、左腕を利用することで重力操作のオーバースキルを発動させることが可能である。ブラックホールラケットというオーバースキル技も披露した。暴走したオーバーデビルとの戦いではプラネッタのオーバーコートを装着し高機動戦闘を行ったが、最終的にはオーバーデビルの激しい攻撃を回避しきれずに頭部の陥没、左肩の突起の破損、両膝を切断された末に墜落した。なお初代エンペランザの外観やその性能は、作中にて語られていない。
大型ライフルは右肘に折りたたまれて接続されている。そのため重心がやや右より。
オーバーデビル
最悪かつ最強(最凶)のオーバーマン。通常のオーバーマンの数倍の巨体、豚のような顔、コウモリのような耳、そして細長い脚と六本の腕をもった不気味な姿をしている。全てを凍りつかせるオーバースキル「オーバーフリーズ」を持つ。ブリュンヒルデが封印しようとしたが、完全には封印できなかった。自分の意志があり世界を凍らせるという野望がある。氷の門「アイシングゲート」を開くことが出来る。高いオーバーセンスを持つ者を取り込み、操ってしまう。
「オーバーフリーズ」の他にも様々な能力を持ち、光の反射率を変えて自身の大きさを錯覚させる、手の先など体の一部を変形させてキングゲイナーや列車を取り込む、オーバーマンやオーバーコートを実体化させたりゲイナーをオーバーマン化させる、ネットの世界に入り込みそれを通じて現実世界をオーバーフリーズさせるなどの現象を引き起こした。
パーツごとに分解されてシベリアの大地に封印されていたものをキッズ・ムントが発掘、アガトの結晶に動力源として組み込んでいた。シンシアを取り込んで復活し、ゲイナーやサラの心を凍りつかせて自分の配下にした後、自らの野望を果たそうとしたが、正気を取り戻し、ゲイナーが搭乗したキングゲイナーのオーバーヒートを纏った攻撃の前に倒された。

シルエットマシン

以下では、戦闘用の人型のシルエットマシンを挙げる。

ガチコ
ゲインが乗るシルエットマシン。極めて機動力が高く、後部に装着されたジェット噴射で垂直に飛び上がる事も可能で、狙撃手でもある使用者の使い勝手が良い様子。大型ライフルを装備して最も理想的な狙撃ポイントにいち早く到達する能力がある。操縦席右側にライフル型の照準装置があり、それを使うことで大型ライフルによる超精密射撃が可能。操縦席はむき出しタイプだが、雪よけ・風よけ・防寒用の幌が後方にあり、展開出来るようになっている。また、足を折りたたみ両腕で体を支え、大型ライフルの前方のパーツを伸ばす事で固定砲台として使う事も出来る。この時は操縦席前面の透明なモニターで照準を合わせる。
また特筆すべきはその左腕で、些かアンバランスな印象を受けるものの、その能力は「パワーハンド」と呼ばれる怪力で並みのオーバーマンをも圧倒する。この左腕は伝説のアーリーオーバーマンに関係するとされ、その持ち主と考えられるブリュンヒルデのオーバースキル「重力」に拮抗する力を秘めている事が物語中盤で明らかとなった。腕自体はゲインがベールドのアンダーマーケットで購入した物。それ以前の入手ルートは不明。
対デスネッタ戦でガウリが無断使用したことにより、デスネッタの自爆機構に巻き込まれ大破したが、左に装着された腕は無傷で残り、後に組み立てられたオーバーマン・(2代目)エンペランザに装着された。この時に腕を解析・正しく接続されたためか、腕が持つ特殊能力は怪力のほかに重力操作も加わることになる。
ドゴッゾ
シベリア鉄道警備隊が使用する強力な機関砲を2門搭載したシルエットマシン。ロケット噴射で飛行能力もあるが、その大型火器積載の割に、やる事が乱暴な「シベ鉄」の性格上、非武装な市民を追い回すために機動力を重視しているようで、軽量化のために装甲がやや薄い。二人乗りで一人が足廻り、もう一人が腕と火器管制を行う。
その高機動能力から、対ヤーパン・エクソダス対策で多数導入されたものの、火力よりも防衛力を重視しているシルエットマシン・パンサーに苦戦を強いられた事から、機動力を犠牲にしての火力増強と耐久力を重視した改良型のドーベックが開発されている。
バンサー
ウルグスク・ドームポリス自警団が使用しているバランスの良いシルエットマシン。主な武器は上部ハッチの横にある機銃と手に持ったマシンガン風の機関砲、パンサーガンである。また防衛を主とする性格上、盾を装備するなど防御力向上に重点が置かれており、ロケット噴射でジャンプが可能。接近戦では盾で叩いたり突いたりして攻撃する。一人乗りで機動力も良い。対オーバーデビル戦から対オーバーマン兵器の「BB」(マッスルエンジンに作用する電磁兵器。ママドゥ先生が開発)を装備するようになり、ブラック・ドミを圧倒している。試作品はブリュンヒルデの街でゴレーム相手に一度使用しており、十分な効力を発揮した。
ドーベック
シベリア鉄道警備隊が所有する重装甲・大火力を目的とした1人乗りのシルエットマシン。ドゴッゾの戦闘能力の低さを補うため、改良型として投入された。装甲が厚い上部は変形機構を持ち、閉じた状態を通常状態のタートルモードと呼ぶ。これを展開することで200mmロケットアシスト砲発射形態へ変形する事が可能である。また、上部装甲右側にはパンサーと同様に13mm機関銃も装備している。ただ、パンサーと違い手動で機関銃を操作する必要が無く、操縦席内から機関銃の角度も調節して攻撃が出来る。その形状からトップヘビーで、ややバランスが悪い傾向があるが、ロケット噴射でジャンプ可能であり、両手があることから人に代わって建築などの簡単な作業をこなすことも可能である(コミック版では小規模ながらフォトンマット展開可能と語られている)。また、右手で200mmロケットアシスト砲のフォアグリップを持つ事で狙いを安定させる事も出来る。両手は普段L字になっている為短く感じるが、200mmロケットアシスト砲を持つ時は延ばすため意外と長い。そのため、近接戦闘時には手で相手を殴る事も出来る。また、匍匐前進をしてシルエットマシンとしてはもの凄く低い姿勢で前進する事が可能である。
対ヤーパン・エクソダス戦に投入するために開発・設計され秘密軍事基地に大量に配備されたものの、その基地の存在を知るアデット・キスラーによって内部に侵入され、ガンガラン・ピープルの自警団に大量に強奪されてしまった事から、後に編成されるドーベック部隊の規模が大幅に削減された。
アデットの強奪した機体はメックスブルートとの戦闘で小破して歩行不能になり、その場に放置されることとなった。その後はゲイナーが強奪した機体を赤く塗装して、ホバーブーストを改良したアデット隊長専用の高機動仕様を使用している。この赤いドーベックはアデットの能力に見合った物で、オーバーデビル暴走中にサラ・コダマの駆るオーバーマン・ジンバと互角に渡り合っている。無線使用帯域やスクランブルコードはシベリア鉄道時のままであるため、シベリア鉄道警備隊内の作戦行動が筒抜けになるという実態も見られる。また、他の機体も敵のドーベックと味方のドーベックとを見分けるために濃い色で塗装がされている。シベリア鉄道警備隊のドーベックの基本カラーは水色である。
マッチョン
シンシアの回想に登場したシルエットマシン。空を飛ぶ事が出来るが、フォトンマットでは無くジェット噴射。2本の足についたクローで攻撃する。
操縦席はオーバーマンのものと同一である。セミオーバーマンであるアントリオンとも操縦席周りが似ている。

シルエットマンモス

バッハクロン
ヤーパンの天井を指揮する旗艦。隊の先頭に立ち、戦闘行動時の指揮中枢となる。キングゲイナーやガチコ(後にはエンペランザ)の格納庫兼整備室でもあるほか、五賢人やアナ・メダイユが普段暮らしている場所でもある。
ロルクロン
ヤーパンの天井の都市ユニットを牽引するシルエットマンモスのひとつ。ドームポリス設営時の土台を整備したり、道路や都市ユニット間の接続を整備したりするための土木工事用シルエットマンモス。
ボールロン
ヤーパンの天井の都市ユニットを牽引するシルエットマンモスのひとつ。生活環境を調査するためのシルエットマンモスで、上部左右に二つの球体を持ち、その内部で農作物などの研究を行う。
ドムクロン
ヤーパンの天井の都市ユニットを牽引するシルエットマンモスのひとつで、ボールロンと同じく生活環境を調査するためのシルエットマンモス。概観もボールロンに似ており、上部左右に研究室となる二つの球体を持っている。
シントクロン
ヤーパンの天井の都市ユニットを牽引するシルエットマンモスのひとつで、もとは未開地へ赴きドームポリス建設の可否を調査する先行環境調査用のシルエットマンモス。前部中央と後部中央に通信用の巨大アンテナを一機ずつ備えているほか左右に一機ずつ荷運用のクレーンを備えている。またほかのシルエットマンモスと違って後部に飛行甲板を備え、シルエットマシンを専門に収容する広い格納庫を持つなど、未開地での調査用に特化されている。
エンサイクロン
ヤーパンの天井の都市ユニットを牽引するシルエットマンモスのひとつで、情報管制専用のシルエットマンモス。中央上部に巨大なパラボラアンテナを有し、情報の収集と伝達を担っている。各シルエットマンモスやユニットからの情報は一時的にここへ集められ、まとめてバッハクロンへ送信されるほか、ヤーパンの天井から離れた場所での戦闘時には戦闘地とバッハクロン間の情報の中継も行う。
センローン
ヤーパンの天井の都市ユニットを牽引するシルエットマンモスのひとつで、通信ケーブルを敷設するためのシルエットマンモス。後部にケーブルドラムと2機の敷設機を持ち、主にエンサイクロンから各シルエットマンモスへの通信ケーブル接続を担っている。

その他

5.1chDVD-BOX版では、オーバーマンの飛行音などのSEがTV版から変更された。キングゲイナーがスピンオフ参戦するゲーム『Another Century's Episode 3 THE FINAL』では、この5.1ch版と同じ飛行音が使用されている。

スタッフ

主題歌

オープニングテーマ「キングゲイナー・オーバー!」
作詞 - 井荻麟 / 作曲・編曲 - 田中公平 / 歌 - 福山芳樹
エンディングテーマ「Can you feel my soul」
作詞 - いのうえひでのり / 作曲・編曲 - 岡崎司 / 歌 - 秘密楽団マボロシ
劇中歌「本当かい!」
作詞 - 井荻麟 / 作曲 - 田中公平 / 編曲 - 岸村正実 / 歌 - 宮城小百合&本当隊
劇中歌「ミイヤの祭り」
作詞 - 井荻麟 / 作曲 - 田中公平 / 編曲 - 岸村正実 / 歌 - 宮城小百合
劇中歌「デビルズ・アイシング」
作詞 - 井荻麟 / 作曲 - 田中公平 / 編曲 - 田中公平 / 歌 - 西野薫
挿入歌「氷の上のおやすみなさい」
作詞 - 井荻麟 / 作曲 - 田中公平 / 編曲 - 田中公平 / 歌 - 国分友里恵

各話リスト

話数 サブタイトル 脚本 演出 絵コンテ 作画監督 放送日
1 ゲインとゲイナー 大河内一楼 笹木信作 斧谷稔 吉田健一 2002年
9月7日
2 借りは返す! 宮地昌幸 9月14日
3 炸裂! オーバースキル 森邦宏 しんぼたくろう
中田栄治
9月21日
4 勝利の味はキスの味 久保山えい一 斧谷稔 重田敦司 9月28日
5 シベリアに光る目 渡邊哲哉 西沢晋 大森英敏 10月5日
6 セント・レーガンの刺客 高山治郎 笹木信作 東海林真一 米山浩平
池田有
高瀬健一
10月12日
7 鉄道王キッズ・ムント 浅川美也 森邦宏 鷲田敏弥 10月19日
8 地獄のエキデン 高橋哲子 宮地昌幸 東海林真一 中田栄治
橋本誠一
10月26日
9 奮闘! アデット先生 浅川美也 久保山えい一 斧谷稔
冨永恒雄
重田敦司 11月2日
10 アスハムの執念 野村祐一 五十嵐達也 斧谷稔
北村真咲
大森英敏 11月9日
11 涙は盗めない 大河内一楼 笹木信作 樋口靖子
田中雄一
11月16日
12 巨大列石の攻防 高山治郎 森邦宏 斧谷稔 しんぼたくろう
高瀬健一
11月30日
13 ブリュンヒルデの涙 宮地昌幸 宮地昌幸
斧谷稔
下井草伊井乃弼
奥村正志
12月7日
14 変化! ドミネーター 浅川美也 横山彰利 横山彰利
斧谷稔
吉田健一 12月14日
15 ダイヤとマグマの間 高山治郎 わたなべぢゅんいち 小原正和
斧谷稔
小原充
福島秀樹
12月21日
16 奮戦、アデット隊 大河内一楼 笹木信作 中田栄治
橋本誠一
2003年
1月11日
17 ウソのない世界 五十嵐達也 斧谷稔 重田敦司 1月18日
18 刃の脆さ 野村祐一 羽生尚靖 北村真咲 井上哲 1月25日
19 リオンネッターの悪夢 高山治郎 宮地昌幸 森邦宏 しんぼたくろう
高瀬健一
2月1日
20 カテズで勝てず 浅川美也 森邦宏
古賀理恵
森邦宏
斧谷稔
大森英敏 2月8日
21 オーバーマンの闇 高橋哲子 五十嵐達也 斧谷稔 下井草伊井乃弼 2月15日
22 アガトの結晶 浅川美也 笹木信作 吉田健一
中田栄治
2月22日
23 復活のオーバーデビル 高山治郎 山本裕介 重田敦司 3月1日
24 オーバーマックス 羽生尚靖 斧谷稔 井上哲
西山忍
3月8日
25 氷の中で 大河内一楼 宮地昌幸 西澤晋
斧谷稔
しんぼたくろう
高瀬健一
3月15日
26 ゲインオーバー 森邦宏 斧谷稔 吉田健一
中田栄治
千羽由利子
3月22日

関連作品

コミカライズ

コミックフラッパーメディアファクトリー)連載。中村嘉宏・画。全7巻。第6巻の2007年3月発売から2年半も間が空き、最終巻である第7巻が2009年9月に発売された。

小説版

富野由悠季の手により、月刊ニュータイプで連載されていた(2002年9月号 - 2003年2月号まで6話)。挿絵は西村キヌ。単行本化はされていない。

BLACK OVERMAN'S OVER

2007年に電撃ホビーマガジンで連載されたあきまんによるイラストコラム。デザイン決定時からリボルテック化を前提に進められていたブラックオーバーマンは「XAN-斬-(後のキングゲイナー)」として誌上通販となった。

2009年3月5日に、バンダイナムコゲームスバンプレストレーベル)で発売された『スーパーロボット大戦Z スペシャルディスク』でサンライズ監修の元で初めて映像化となった[2]。また、この作品で単に映像化だけではない、ストーリーモード・シークレットエピローグ(『スーパーロボット大戦Z』本編の後日談)の物語の中核的な役割を担うに加り、スパロボ歴代ボスの最強クラスと呼ばれるほどの性能となっているなど、スパロボ異例である破格の待遇で受けた。

後にバンダイナムコゲームスで発売された『Another Century's Episode:R』に再登場。なお、この作品ではゲイナーの専用機体の1つとして扱い。


ゲーム

キングゲイナーそのもののゲーム化は過去に無いが、スーパーロボット大戦シリーズを筆頭としたバンプレスト(現・バンダイナムコゲームス)作品に何度か登場している。

脚注

  1. ^ 「オーバーマンキングゲイナーオフィシャルブック エクソダスガイド」 大河内一楼インタビュー
  2. ^ あきまんによるTwitterでの発言によれば、『スーパーロボット大戦Z スペシャルディスク』のXANの修正絵コンテは監督である富野由悠季が行っている。

参考資料

  • 富野由悠季、新作を語る!!OVERMAN KING-GAINER Introduction(太田出版)