CPUソケット
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![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/cd/Socket_775.png/250px-Socket_775.png)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d9/SocketA.jpg/250px-SocketA.jpg)
CPUソケット、又はCPUスロットとは、
- 狭義には、コンピュータのマザーボード上にある、CPUを保持し電気的な接続をするための接点を持つ、電子部品である。
- 広義には、上述狭義から転じたコンピュータのハードウェアプラットフォームを言う。
狭義のCPUソケット・スロット
2012年現在、ほとんどのデスクトップパソコンとサーバコンピュータ、特にインテルのx86アーキテクチャに基づくものは、ソケットでCPUを搭載している。
ほとんどのCPUソケットインタフェースはPin grid array (PGA) 構造を採用し、CPUパッケージ底面の短く硬いピンがソケットの穴に嵌る。ピンを曲げる危険性を低減するため、 Zero Insertion Force (ZIF) ソケットではほとんど抵抗なくCPUを挿入することができるようになっている。レバーを倒すことによりピンをしっかりと保持し、接点を確実に接触させることができる。
2007年現在、いくつかの現行のCPUと今後予定されているCPUの設計では、Land Grid Array (LGA) が使用されている。このパッケージではピンはソケットの側に存在する。ピンは、CPUパッケージ底面のパッド 又はランドと接触する。
- CPUスロット
- 1990年代後半に、多くのx86プロセッサはソケットではなくスロットに装着された。CPUスロットは拡張スロットに似た、シングルエッジのコネクタであり、そこにCPUを搭載したプリント基板であるCPUユニットを挿入した。スロット型のCPUパッケージは2つの利点があった。CPUユニットのプリント基板に集積回路を追加することによりL2キャッシュメモリを拡充できることと、CPUの挿入・抜却が容易になることである。しかし、スロット型のパッケージはCPUとチップセットの間の配線長が長くなり、その長いプリントパターンに分布する静電容量と電気抵抗が、500 MHz を超えるクロックスピードにおいて無視できないインピーダンスとして顕在化し不適切なものとなった。CPUスロットは、AMDのSocket AとインテルのSocket 370が導入されたことで使われることはなくなった。
- 名称の混同
- 例えば、LGA775パッケージを採用した(すなわち外形がLGA775である)CPUを接続するCPUソケットの正しい名称は Socket T であるが、しばしば LGA775 ソケット 、あるいは略して単に LGA775 と表記される。また LGA775 という語は、後述するとおりハードウェアプラットフォームの名称としても拡大使用されている。これらのことから、LGA775 と表記されている場合はそれがCPUの形状を指すのかマザーボードの部品を指すのかコンピュータの仕様を指すのか、文脈から判断しなければならない。
汎用品
これらはCPU専用として設計されたものではなく、既存の汎用品である。これら汎用品に合致するようCPUがパッケージされた。CPUと同時には設計されておらず、したがってプラットフォームとして扱われることは無い。そのため、電気的に互換性のない8080と8086が同じ形状のソケットを使用したり、他のLSIが他の目的に使用したりしている。また、ZIFソケットではないものが多く、引き抜く際に適切な工具が必要になる。
- DIP ソケット(40個の接点)
- PLCC ソケット(68 個の接点)
- PGA ソケット - 80386 14列・接点数132(3周)
- PGA ソケット - MC68040 18列・接点数179(3周、一隅なし)
広義のCPUソケット・スロット
本節の配下では、広義(コンピュータのハードウェアプラットフォーム)のCPUソケットやCPUスロットについて一覧し解説を加える。
3桁の数字を含んでいる多くのソケット名は、CPUやソケットのピンの数を意味している。
インテルおよびその互換
- Socket 1 - 486[4]
- Socket 2 - 486, 486用Pentium ODP(以下P24T)
- Socket 3 - 486(5Vまたは3.3V), P24T及び互換製品
- Socket 4 - Pentium 60/66 MHz
- Socket 5 - Pentium 75-133 MHz, AMD K5, IDT WinChip C6, WinChip 2
- Socket 6 - 486向けに設計されたが、あまり使用されなかった。ライトバック(WB)対応486DX2, IntelDX4[5]
- Socket 7 - Pentium, Pentium MMX, AMD K6シリーズ, いくつかのサイリックス製 CPU
インテル専用
デスクトップ
- Socket 8 - Pentium Pro
- Slot 1 - Celeron, Pentium II, Pentium III
- Socket 370 - Pentium III, Celeron; Cyrix III; VIA C3
- Socket 423 - Pentium 4[6]と Celeron プロセッサ(Willamette コア)
- Socket N(または Socket 478 として知られる) - Pentium 4, Celeron(Northwood, Prescott, Willamette コア), Pentium 4 Extreme Edition[6]
- Socket 479 - Pentium M
- Socket T(または Socket 775 や LGA 775 として知られる) - Pentium 4, Pentium D, Celeron D, Pentium Extreme Edition, Pentium Dual-Core, Core 2 Duo, Core 2 Extreme, Celeron[6], Xeon 3000 シリーズ, Core 2 Quad(Northwood, Prescott, Conroe, Kentsfield, Wolfdale, Yorkfield と Cedar Mill コア)
- Socket B (LGA 1366 [7]) - NehalemマイクロアーキテクチャのIntel Core i7(DDR3統合メモリコントローラと Intel QuickPath Interconnect(QPI) を取り入れた)
- Socket H (LGA 1156) - NehalemマイクロアーキテクチャのIntel Core i7, Core i5, Core i3, Pentium G。QPIではなくDirect Media Interface(DMI)を採用し、CPU側にメモリコントローラやPCI Expressコントローラを内蔵した。
- Socket H2 (LGA 1155) - Sandy BridgeマイクロアーキテクチャおよびIvy BridgeマイクロアーキテクチャのIntel Core i7, Core i5, Core i3, Pentium G
- Socket R (LGA2011) - Sandy Bridgeマイクロアーキテクチャの Intel Core i7(3800/3900番台)
モバイル
- Socket 479 - Pentium M と Celeron M (Banias と Dothan コア)
- Socket 495 - PPGA-B495 としても知られる。Mobile P3 Coppermine と Celeron [8] で使用された。
- Socket M - Core Solo, Core Duo, Core 2 Duo
- Micro-FCBGA - Mobile Celeron, Core 2 Duo (モバイル向け), Core Duo, Core Solo, Celeron M, Pentium III (モバイル向け)
- Socket P - インテルベース。Socket 479 と Socket M を置き換える。2007年5月9日にリリースされた。
- Socket G1(PGA 989,PGA 988)[9]- NehalemマイクロアーキテクチャのIntel Core i7, Core i5, Core i3(モバイル向け)
- BGA 1288[10]- NehalemマイクロアーキテクチャのIntel Core i7, Core i5, Core i3(モバイル向け)
サーバ
- Slot 2 - Pentium II Xeon, Pentium III Xeon
- Socket 603 - Xeon(Northwood と Willamette コア)
- Socket 604 - Xeon
- PAC418 - Itanium
- PAC611 - Itanium 2, HP PA-RISC 8800 と 8900
- Socket J (または Socket 771 や LGA 771 として知られる) - Xeon(Woodcrest コア)
- Socket N - Dual-Core Xeon LV
- LGA 1567[11] (またはSocket B2)- Xeon(Nehalem-EX)
- LGA 2011 (または Socket R) - Xeon(SandyBridge-E:Xeon E5系の一部)
AMD
デスクトップ
- Super Socket 7 - AMD K6-2, AMD K6-III; Rise mP6.
- Slot A - AMD Athlon
- Socket A(または "Socket 462" として知られている) - Athlon, Duron, Athlon XP, Athlon XP-M, Athlon MP, Sempron, Geode プロセッサをサポートする AMD のソケット(462 個の接点の PGA)。
- Socket 754 - シングルチャネルのDDR SDRAMに対応したAMDのシングルプロセッサ用のソケット。Athlon 64, Sempron, Turion 64 プロセッサに対応する(754 個の接点の PGA)。
- Socket 939 - デュアルチャネルの DDR-SDRAM に対応した AMD のシングルプロセッサ用のソケット。Athlon 64, 1 GHz[12] までの Athlon 64 FX, 4800+ までの Athlon 64 X2, Opteron 100 シリーズのプロセッサに対応する(939 個の接点の PGA)。発売後、約 2 年で Socket AM2 に置き換えられた。
- Socket AM2 - DDR2-SDRAM に対応した AMD のシングルプロセッサ用のソケット。Socket 754 と Socket 939[12] を置き換えた(940 個の接点の PGA であり、Socket AM2 とサーバプロセッサ用の "Socket 940" と混用することがある)。 Athlon 64, Athlon 64 X2, Athlon 64 FX, Opteronプロセッサに対応し、電源回路とBIOSの対応があれば、Phenom, PhenomII プロセッサにも対応できる。
- Socket AM2+ - シングルプロセッサシステム用の AMD のソケット。DDR2 と電源回路の分離された HyperTransport 3 をサポートする。Socket AM2 を置き換えた(940 個の接点の PGA の Socket AM2 と電気的に互換性がある)。Athlon 64, Athlon 64 X2, Athlon 64 FX, Opteronプロセッサに対応し、電源回路とBIOSの対応があれば、Phenom, PhenomII プロセッサにも対応できる。
- Socket AM3 - シンプルプロセッサシステム用のAMDのソケット。DDR3 と電源回路の分離された HyperTransport 3 をサポートする。DDR3-SDRAM をサポートすることで Socket AM2+ を置き換える(938 個の接点の PGA)。AM3版PhenomIIをサポートしているが、DDR3メモリコントローラを搭載していないAM2+版PhenomIIやPhenom以前のCPUは使用できない。
モバイル
- Socket A - モバイルDuron,モバイルAthlon4,モバイル Athlon XP,Geode
- Socket 563 - AMDの省電力モバイル Athlon XP-M(563 個の接点を持つ μ-PGA版Socket A。基板の面積を取らないため主にモバイル用として使用された)。
- Socket 754
- Socket S1 - DDR2-SDRAM に対応したモバイルプラットフォーム用の AMD のソケット。モバイルプロセッサ用の Socket 754 を置き換えた(638 個の接点の PGA)。
- Socket FS1 - 将来の、CPU と GPU の機能を持ったノート PC 向けの Fusion プロセッサ用(コードネーム Swift)。DDR3-SDRAM をサポートする。2009年にリリースされる予定。
サーバ
- Socket 940 - DDR-SDRAM に対応した AMD のシングル、及びマルチプロセッサ用のソケット。AMD Opteron[12](2xx と 8xx シリーズ), Athlon 64 FX プロセッサに対応する(940 個の接点の PGA)。
- Socket A
- Socket F(または "Socket 1207" として知られている) - DDR2-SDRAM をサポートした、AMD のマルチプロセッサ用のソケット。AMD Opteron[12](2xxx と 8xxx シリーズ)と Athlon 64 FX プロセッサに対応する。 Socket 940 を置き換え、部分的に Socket F+ と互換性がある(1207 個の接点の LGA)。
- Socket F+ - 最高 2.6 GHz までの高速 HyperTransport をサポートする、AMD の将来のマルチプロセッサ用のソケット。Socket F を置き換えるが、Socket F 用のプロセッサを後方互換性としてサポートする。
- プロジェクトコードネーム Fusion で開発されている将来のプロセッサは、Socket FS1 と他の 2 つのソケットを使用する。
- Socket G3 - Socket F+ の後継であり、サーバのメモリ拡張のための、Socket G3 Memory Extender とあわせて使用される。
その他
- Socket 463(または Socket NexGen としても知られる) - NexGen Nx586
- Socket 499 - DEC Alpha 21164a
- Slot B - DEC Alpha
- スロケット - ソケット型のプロセッサを、バスが互換のスロット型マザーボードで使用するためのアダプタの通称。
脚注
- ^ NECの8080ソフトウェア互換CPUであるµCOM-8(µPD753)のピン数は42でありピン配置も異なるが、増えた2本のピンはNC(無接続)である。後に8080とピン互換のµCOM-80(µPD8080A)も出た
- ^ http://www.ciao.se/Intel_80186_12_MHz_processor__5790
- ^ http://www.mwiacek.com/pc.pl/x86/x86.htm#4.2.80286/80287%20Socket%20%2880286/80287%29%7Coutline
- ^ 初期には、486用に汎用の17列PGAソケット(3周、接点数168または169(487SXおよびODP用))が使用されたこともある
- ^ WB対応486はWB制御のピン配置がP24T(Socket 2および3で486が使用しない最外周を使用)と異なるため専用ソケットが開発され、また、Socket 6用Pentium ODP(Kバージョン)にはピン配置を変換する基板が装着されていた(基板を外すと通常版のP24Tとして使用できる)。IntelDX4用マザーボードの中にはSocket 3を採用し、WB制御の配線をIntelDX4用とP24T用の両方にしてあるものもある(ただし、IntelDX4→P24Tは、インテルは正規のアップグレードパスとしていない)。
- ^ a b c この 478 ピンのソケットは、micro-PGA レイアウトにより Socket 423 よりも物理的サイズを縮小するために導入された。Socket 775 は PCI Express 、DDR2 メモリと Intel 64 (x86-64 のインテルによる実装) をサポートすることで導入されたが、新しい Land Grid Array レイアウトへの変更も行われた。より良い電気的性能のため、ピンは CPU パッケージでなくソケットの側にある。
- ^ Fudzilla report、2007年10月23日に取得
- ^ http://download.intel.com/design/mobile/applnots/24528401.pdf
- ^ インテル次世代ノートPC向けCPU用「ソケットG1,PGA989/988Aソケット2011年1月19日に取得
- ^ インテル最新Core iシリーズ&チップセットを総チェック2011年1月19日に取得
- ^ http://www.intel.com/cd/channel/reseller/asmo-na/eng/products/server/processors/index.htm 2011年1月19日に取得
- ^ a b c d これらのソケットは、統合メモリコントローラを持った CPU 向けである。754ピンのモデルは CPU のピンに 1 つのメモリチャンネルがある。939 ピンのモデルは 2 つのメモリチャンネルがあり、ピンの数が増えている。940 ピンのモデルにも 2 つのメモリチャンネルがあるが、レジスタードメモリが必要であり、SMP をサポートする。Socket F と AM2 は、DDR2 をサポートするために再設計された。Socket F は 1207 ピンを持っている(より高いスケーラビリティと、電力分配の改善のためと推測されるピンが追加)。Socket AM2 は 940 のピンホールを持つが、現行の AMD Opteron プロセッサには対応していない。
関連項目
外部リンク
- CPU Sockets Chart - x86 のソケットと関連する仕様の詳細なリスト。
- techPowerUp! CPU Database
- Processor sockets