東武6050系電車

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東武6050系電車
野岩鉄道6050系電車(100番台)
会津鉄道6050系電車(200番台)
東武634型電車[1]
東武6050系6151編成(2013年10月19日 / 板荷 - 北鹿沼)
東武6050系6151編成
(2013年10月19日 / 板荷 - 北鹿沼)
編成 東武:2両編成29本(58両)
野岩鉄道:2両編成3本(6両)
会津鉄道:2両編成1本(2両)
営業最高速度 105 km/h
設計最高速度 110 km/h
起動加速度 1.65(加速度=2.5) km/h/s
減速度 3.5 km/h/s(常用最大)
4.5 km/h/s(非常)
編成定員 295名
車両定員 モハ6150形 150名(うち座席 72名)
クハ6250形 145名(うち座席 68名)
全長 20,000 mm
全幅 2,878 mm
全高 4,200 mm
車体材質 普通鋼
編成質量 74 t
車両質量 モハ6150形 40 t
クハ6250形 34 t
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500 V
架空電車線方式
主電動機 直流直巻補極補償巻線付電動機
TM-63
主電動機出力 130 kW×4(モハ6150形)
歯車比 85:16 (5.31)
駆動装置 可撓継手式中空軸平行カルダン
制御装置 電動カム軸式多段制御器(抵抗・弱界磁制御、4M永久直列、抑速ブレーキ付)
日立製作所製 MMC-HTB-10L)
台車 更新車
ミンデンドイツ式空気ばね台車
モハ6150形 TRS-63M(住友金属形式 FS357)
クハ6250形 TRS-63T(住友金属形式 FS057)
新造車
SUミンデン式空気ばね台車
モハ6150形 TRS-882M(住友金属形式 FS529)
クハ6250形 TRS-882T(住友金属形式 FS029)
制動方式 発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ (HSC-D)
保安装置 東武形ATS
製造メーカー アルナ工機
東急車輛製造
富士重工業
備考 6151F - 6172Fは6000系からの更新車
6173F - 6179F・61101F - 61103F・61201Fは新造車

東武6050系電車(とうぶ6050けいでんしゃ)は、1985年昭和60年)に6000系の車体更新によって登場した、東武鉄道の2ドアセミクロスシート電車(用途の詳細については後述)。伊勢崎線日光線快速・区間快速と一部の区間急行普通で運用される。

本項では、スカイツリートレインの愛称を持つ634型電車[1]野岩鉄道会津鉄道が所有する同型車である野岩鉄道6050系電車(100番台)および会津鉄道6050系電車(200番台)についても併せて記述する。また、個々の編成を表す場合は634型を除き、浅草方先頭車の車両番号の末尾に「F」(「編成」を意味する英語Formationの頭文字)を付して表記する。

概要[編集]

6000系の車体更新によって、1985年10月から翌1986年10月にかけて2両編成(モハ6150形 (Mc) - クハ6250形 (Tc))22本の計44両が登場した[2]。更新途上において運用車両が不足することから1編成 (61101F) が完全新造され、後に野岩鉄道に譲渡された。その後1988年には完全新造車が7編成14両増備され、2012年には2編成が634系に改造されたことから、2012年10月現在27編成54両が在籍する[3]

用途[編集]

当形式は両開き2扉を持つセミクロスシート車両であり、日本国有鉄道(国鉄)・JRの車両区分であれば近郊形車両にカテゴライズされるが、私鉄においては明確な意味で近郊形の概念は存在しないため[4]、セミクロスシート車両については事業者ごとに用途が異なるため、国鉄・JRのように明確に定義することは難しいが、当形式は伊勢崎・日光線の快速・区間快速の運用が主目的であることから実質上の快速系列車専用車となっている。1991年までは有料の快速急行にも使用されていた[5]

外観[編集]

全長は20 mで、両開き式ドアを前後2か所に備える。前面は大型ガラスを使用した三面折妻構造で、窓周りをくぼませ(いわゆる「額縁」スタイル)、貫通扉の上に急行灯を装着する。なお、この前面のデザインは、細部の差異はあるが、8000系1987年度以降の更新修繕車に、また排障器を省略して10030系に採用されている。

塗色は、ジャスミンホワイトを基調に前面はパープルルビーレッド、側面はパープルルビーレッド2本とサニーコーラルオレンジのラインを巻いている。後にこの車両塗色は塗り分けこそ異なるが100系「スペーシア」(1990年 - 2012年のオリジナルカラー)、300・350系にも採用され、日光方面優等系車両のイメージカラーとなる。

2011年頃に転落防止用幌がモハ6150とクハ6250の連結面に設けられた。

車内設備[編集]

座席配置はドア間固定クロスシート、車端・戸袋部ロングシートのセミクロスシートとした。ボックスシートは座席間隔(シートピッチ)が6000系の1,480 mmから1,525 mmに拡大された。また、折り畳み式テーブルを設置している。車内の乗務員室側の妻面上部の中央には、分割運転時の誤乗防止のため、行先表示器を設置している。また長距離運用が前提のため、クハ6250形にトイレを設置している。客室側窓は一枚下降式を採用している。また、蛍光灯にはカバーが取り付けられている。冷房の冷気吹き出し口はラインフロー式で、扉部分には補助送風機も設置してある。車内保温のためのドアカット機能(連結面寄のみ)はあるが、西武鉄道4000系のような開閉ボタン機能は装備していない。

主要機器[編集]

更新に際して6000系より主電動機・台車・電動空気圧縮機 (CP) など[6]を流用しているが、制御器・抵抗器等の主要機器は新製されている。ただし、制御シーケンスやブレーキシステムの仕様は6000系とほぼ同一であり、更新途上においては両系列の併結運転も行われた。

制御器は電動カム軸式の日立製作所製MMC-HTB-10Lである。6000系が搭載したMMC-HTB-10Dと制御段数およびシーケンスは同一で主電動機4個永久直列回路構成であるが、野岩鉄道乗り入れを考慮して耐寒耐雪設計とされたほか、無接点制御方式を取り入れメンテナンス軽減を図っている。電動発電機 (MG) も冷房装置が搭載されたことから新製され、出力75 kVAのCLG-703をクハに搭載する。

1996年には、増解結時の省力化を図る目的で自動連結器から電気連結器付き密着連結器への交換が行われた。その後、2001年3月28日ダイヤ改正より日光線普通列車でも運用されることとなり、5編成に取り用パンタグラフが搭載された。一部の電動台車には当初から撒砂装置が設けられている。

野岩鉄道6050系100番台
(2008年2月5日 / 牛田 - 北千住)
会津鉄道6050系200番台
(2008年11月5日 / 業平橋[現・とうきょうスカイツリー] - 曳舟)
先頭部に架線霜取り用パンタグラフを装備する6154F他6両
(2008年12月5日 / 姫宮)
車体更新車の台車
TRS-63M(住友金属 FS357)
同左
TRS-63T(住友金属 FS057)
同左
砂撒き装置付きTRS-63M


完全新造車の製造[編集]

完全新造車6179F他4両
(2009年6月5日 / 合戦場)
 
完全新造車の台車
上:TRS-882M(住友金属 FS529)
下:TRS-882T(住友金属 FS029)

6050系の完全新造車は、前述の通り1985年に100番台1編成 (61101F) が製造されたことに始まる。1986年には61102Fが新造され、野岩鉄道開業に合わせて2編成とも譲渡された。

新造車と更新車の大きな相違点は、台車が更新車の住友金属工業ミンデンドイツ型FS357・057(東武形式TRS-63M・63T)に対して、住友製SUミンデン型FS529・029(東武形式TRS-882M・882T)に変更されたことである。

1988年には、1986年の開業時から予想以上の人気で混雑し、定期快速列車用の6050系に加え、臨時快速列車として8000系を追加投入し、会津高原駅(現・会津高原尾瀬口駅)まで直通運転していた野岩鉄道会津鬼怒川線の状況を解消するため[7]、また会津鉄道会津線会津田島電化開業に備えるため、完全新造車が7本(および野岩鉄道車1本)製造され追加投入された。

その後、1990年には同年10月12日の会津田島電化開業用として会津鉄道車6050系200番台1編成 (61201F) が製造された。これは会津鉄道が所有する唯一の電車である。

野岩鉄道・会津鉄道所属の6050系列は、書類上は東武鉄道からの譲受とされている。これは各鉄道会社ごとの新造車の扱いにすると、たとえ同一図面で設計されたものであっても、各社ごとの形式取得などの許認可手続きが必要となり、このための費用も発生するため、形式的にまず東武車として籍を入れた後に改めて譲受することで、手続きの簡略化やコストダウンを図ったものである。

  • 製造年度
    • 61101F:1985年
    • 61102F:1986年
    • 6173F - 6179F・61103F:1988年
    • 61201F:1990年

運用[編集]

浅草駅5番線に掲示されている
快速・区間快速発車案内板
(2009年6月6日ダイヤ改正時点のもの)
(2009年7月2日)

野岩鉄道・会津鉄道の所有車両も運用上の区別はされておらず、3社の保有車両が南栗橋車両管区新栃木出張所に配置され、完全に共通運用されている。

2012年現在は、伊勢崎線・日光線・鬼怒川線・野岩鉄道会津鬼怒川線・会津鉄道会津線を直通する快速・区間快速を中心に充当されており、下今市東武日光/会津田島方面列車の連結・切り離し作業が行われる。その他にも、日光線(栃木 - 東武日光間)・鬼怒川線の普通の一部や、下今市で特急に連絡する特急連絡列車、さらには出・入庫の関係から早朝・深夜の浅草 - 新栃木区間急行にも使用される。

  • 1991年7月21日のダイヤ改正までは、座席指定制の優等列車である快速急行「だいや」「おじか」「しもつけ」にも使用されていたが、これらは急行に昇格の上300系・350系に置き換えられた。また、2001年までは「尾瀬夜行」「スノーパル」などの臨時夜行列車にも使用されたが、こちらも現在は300系での運用となり、本系列の定期有料列車の運用はない。
  • 2001年3月28日のダイヤ改正では旧型車の置き換えと運用合理化のため、それまで本系列が主体であった団体列車に300系・350系が充当されることになった。その代わりに、日光線栃木 - 東武日光間の普通や宇都宮線の一部列車に運用され、5050系を置き換えている。
  • 2005年3月1日のダイヤ改正までは新藤原 - 会津田島間の区間列車も存在していたが、改正後は早朝を除くほとんどの列車が浅草 - 会津田島間の直通快速列車となる。この頃から繁忙期に運行の「北千住」の表記がサボから行先表示器に変更される。
  • 2006年3月18日のダイヤ改正からは区間快速(浅草 - 東武動物公園間快速運転、東武動物公園以北各駅停車)が新設され、昼以降の快速が区間快速に置き換えられる。これに伴い、種別表示器の「快速」表記は白地に赤から白地に青に変更され、「区間快速」の表記はは青地に白抜きとされた。また、ダイヤ改正による伊勢崎線・日光線の種別名称変更に伴い、送り込み輸送の種別が準急から区間急行へ変更された(表記は赤地に白抜きのまま)。同時に通勤車と同じ書体から前面種別表示器を除き若干丸みを帯びた大きな書体に変更された。また、野岩鉄道・会津鉄道の会津高原駅が会津高原尾瀬口駅へ駅名を改称したことに伴い、東武では最長となる7文字の行先表示が登場する。
  • 2007年10月31日から宇都宮線の普通でワンマン運転が開始されるのに伴い、同線での運行が終了した。
  • 2009年6月6日のダイヤ改正で、以下の変更があった。
    1. 東武日光発着の区間急行が廃止となり、新栃木発着に短縮。
    2. 前2両が会津田島もしくは会津高原尾瀬口(一部前4両新藤原)発着、中2両が鬼怒川公園もしくは新藤原発着、後ろ2両が東武日光発着となった。
    3. 朝間時に浅草 - 北千住間と南栗橋 - 新栃木間の2区間において普通として充当されるようになった。
  • 2013年3月16日のダイヤ改正から区間快速は新大平下以北各駅停車に変更され、昼間時は2時間間隔になった。それを埋めるために栃木 - 新藤原または会津田島間の普通列車が運行を開始した。

その他[編集]

  • 以前の本系列には、他の通勤用車両とは異なりドアステッカーが貼付されていなかったが、2009年頃からフリーパスの広告が入ったドアステッカーが貼付されるようになった。
  • 東武鉄道ポータルサイトでは、『6050型』と表記されている[8]

形式および編成表[編集]

形式[編集]

モハ6150形 (Mc)
浅草向き制御電動車。主制御装置、パンタグラフを搭載する。
クハ6250形 (Tc)
東武日光・新藤原・会津田島向き制御車。電動空気圧縮機、補助電源装置を搭載する。車内では連結面側にトイレを設置している。

編成表[編集]

 
浅草

形式 モハ6150形
(Mc)
クハ6250形
(Tc)
搭載機器 CON・PT MG・CP
自重 40.0 t 34.0 t
定員
(座席)
150(72) 145(68)
車両番号 6151

6176
6179
61101
61102
61103
61201
6251

6276
6279
62101
62102
62103
62201

634型「スカイツリートレイン」[編集]

会津鉄道会津線を走行する634型
(2013年7月19日 / 会津荒海 - 会津山村道場)
 
上:モハ634-11/21
(写真はモハ634-21)
下:クハ634-12/22
(写真はクハ634-22)

東武634型電車[1](とうぶむさしけいでんしゃ[8])は、6050系のうち6177Fと6178Fを総合車両製作所で改造、車内を高床化し展望窓を設置した観光用車両である。愛称は「スカイツリートレイン[8][9]。文献によっては東武634形[10]東武634系の記述も見られる[1]。形式名の「634」は東京スカイツリーの高さ634 mにちなんでいる[11]。東武線全線の入線に対応するため2両固定を基本とし、通常は4連で運転されている。

  • その他
    • 種別・行先表示器を優等列車としては初のフルカラーLED式に変更。
    • 座席シートにソラカラちゃん、テッペンペン、スコブルブルのシルエット柄を採用。

参考文献[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d 東武では同一系列内、または改造によって登場した車両の区分に関して「型」の表記を使用しており、本系列内において634系ではなく634型と表記される。
  2. ^ 当初は6000系に不燃化等の改造を行い、長大トンネルが多い会津鬼怒川線で使用する計画であった。しかし、同系列は非冷房車であり、車両設備も陳腐化していたことから、大規模改造よりも車体新造による更新を行う方が得策と判断され、本系列の製造が決定した。
  3. ^ 東武籍の編成のみ。野岩鉄道籍の3編成および会津鉄道籍の1編成を加えた本系列全体では合計31編成62両となる。
  4. ^ 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』No.399 p.50
  5. ^ 東武伊勢崎・日光線で運行していた快速急行は他の快速急行とは異なり、急行の速達化というより車内設備の格差によるものであった。同種の列車には小田急電鉄準特急があり、こちらも特急用車両との車内設備の格差によるものであり、車両もセミクロスシート車であった。
  6. ^ CPはアメリカのウエスティングハウス社が第二次世界大戦前に設計した「DH-25」の日本国内ライセンス生産品が6000系時代から継続して搭載され、1編成につき2台搭載とされている。参考文献: 鉄道ファン 1986年1月号 (交友社)
  7. ^ 野岩鉄道会津鬼怒川線直通の臨時快速列車は6050系で揃えられたが、本線系統である東武日光線の臨時快速列車には引き続き3070系が投入された。
  8. ^ a b c 10月27日(土)展望車両634型「スカイツリートレイン」がデビュー! 東武鉄道ポータルサイト
  9. ^ 東武鉄道634系「スカイツリートレイン」が甲種輸送される - 交友社 鉄道ファン railf.jp 2012年9月27日
  10. ^ 鉄道ファン 2013年2月号(通巻622号)
  11. ^ 「スカイツリー電車」公開 東武、高さにちなみ634型日本経済新聞 2012年10月26日 2012年12月30日閲覧)

関連項目[編集]

他社における「両開き」・「2扉」を持つセミクロスシート車両

外部リンク[編集]