東武10000系電車

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東武10000系電車
(10030系・10080系を含む)
東武10000系電車(静和 - 藤岡・2007年10月)
東武10000系電車
静和 - 藤岡・2007年10月)
編成 2両・4両・6両・8両・10両
起動加速度 2.5 km/h/s
営業最高速度 100 km/h
設計最高速度 110 km/h
減速度 3.7 km/h/s(常用最大)
4.5 km/h/s(非常)
車両定員 本文参照
全長 20,000 mm
全幅 2,874 mm
全高 4,145 mm
車両質量 10000系 29t - 39.5t
10030系・10080系 28t - 38t
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
主電動機 直流複巻電動機出力140kW
(10080系は三相交流誘導電動機
歯車比 16:87 (5.44)
制御装置 電動カム軸式バーニア界磁チョッパ制御(10080系はIGBT-VVVFインバータ制御ともに日立製作所製)
制動方式 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ抑速ブレーキ
保安装置 東武形ATS
製造メーカー 東急車輛製造
アルナ工機
富士重工業

東武10000系電車(とうぶ10000けいでんしゃ)は、東武鉄道(東武)の通勤形電車

本項では、10000系電車、改良型の10030系電車、およびVVVFインバータ制御試作車である10080系電車[1]について記述する。1983年昭和58年)から1996年平成8年)にかけて3系列合わせて486両が製造された。

目次

[編集] 系列別概要

[編集] 10000系

8000系の後継車として、また7300系の代替を目的として、1983年より地下鉄有楽町線直通用9000系をベースに製造された地上専用車である。同年12月22日より運用を開始し、当初は東上線のみで運用されたが、翌1984年(昭和59年)3月20日より伊勢崎線日光線でも運用が開始された。

9000系と同じく20m級4ドアのステンレス製軽量車体であるが、正面中央に貫通扉を設けた左右対称のデザインとなっている。制御装置は電動カム軸式バーニア界磁チョッパ制御である。主電動機は直流複巻電動機で、出力140kW、歯車比は16:87 (5:44) である。ブレーキ装置は回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキとなり、日光線新栃木以北などの勾配区間用に抑速ブレーキも備えている。そのため主幹制御器のハンドルやノッチ数は6000系(6050系)と同様のものになった。また乗務員室と客室の仕切りは、8000系や5000系列などでは運転席背面にも窓が設置されていたが、本系列では配電盤を設置するためにそれが廃止されている。

2両・6両・8両編成が製造され、2両・6両編成は伊勢崎線(太田以南)・日光線(新栃木以南)、8両編成は東上線小川町以南)で運用されている。

1986年(昭和61年)以降に製造された車両は、床板の色や座席袖仕切りの形状が変更されている。座席モケットの色もこの年製造分の11606編成以降はコロラドオレンジから現行の黄緑色に変更され、コロラドオレンジで落成した車両も後に黄緑色に交換された。

1989年(平成元年)には、8両編成の一部に中間車を組み込んで10両編成化された。すでに10030系が導入されていたが、編成美を考慮してコルゲートの多い10000系の車体そのままとされた(後述)。

2003年(平成15年)には就役から20周年を迎えたのを記念して、同年11月1日から14日まで「Anniversary 20th 就役記念」と表記されたヘッドマークを取り付けて運転された。

2004年(平成16年)より、客室へのつり革の増設工事が行われて、優先席付近のつり革について三角形でオレンジ色のものへの交換が進められている。これと前後して10両編成の一部で母線引き通しを実施した編成が登場し、パンタグラフを降下させて運用され、この工事によって使用停止としたパンタグラフには、側面に黄色の識別用シールを貼付していたが、この措置は後に中止されている。

2008年(平成20年)5月13日には、本線所属(元日光線・宇都宮線用)だった11201編成・11202編成が東上線に転属した(後述)。

11605編成のクハ16605は前面の種別・行先表示器部分の周囲が、他車の藍色と異なり黒色とされている[2]

[編集] 10030系

10030系クハ11442
つきのわ・2002年3月)
10030系クハ11431
西新井付近・1988年)
新製当時は密着自動連結器、ジャンパ栓を装備
10030系の車内

1988年(昭和63年)4月に、マイナーチェンジを施した10030系が伊勢崎線・日光線に登場した。正面形状が1987年(昭和62年)以降の8000系修繕車に似たデザインに変更されたほか、10000系の凹凸の多いコルゲート車体からビードプレス車体へ、さらにステンレスの光沢を抑えたダルフィニシュ(梨地)仕上げとなり、外観が大きく変化した。この変更は同時代に製造された京王7000系とも共通する[3]。また、台車がボルスタレス式に、補助電源装置がブラシレスMG(電動発電機)からSIV(静止形インバータ)へと変更され、乗務員室車掌台側に簡易モニタ装置が設置された。電動空気圧縮機 (CP) もHB2000から低騒音化を図ったHS20に変更された。室内設備は1人あたりの座席幅が広がったことにより車端部の座席が3人掛けになった。翌1989年8月には東上線にも登場した。当時野田線や伊勢崎線館林・日光線新栃木以北で運用していた3000系列の置き換えとしても製造された。

2両・4両・6両・10両編成が製造され、伊勢崎線・日光線・東上線で運用されている[4]

1989年(平成元年)度製造車から側扉の材質がステンレスからアルミに変更され、窓支持金具や取っ手の形状が変化した。

1990年(平成2年)度製造車から上り方先頭車にラジオ受信アンテナが設置された。

1991年(平成3年)度製造車からつり革のにぎり形状が変更された。

 
ボルスタレス台車
上:SS009(クハ16658)
下:SS010(モハ11258)


[編集] 10050番台

10030系50番台
一体型の冷房装置カバーが外観上の特徴である
(静和 - 藤岡・2007年10月)

1992年(平成4年)度以降に製造された車両は、客室内で車椅子スペースや補助送風機(スイープファン)の設置、外観では冷房装置のカバーが連続式になるなどの変更点があり、車両番号の下2桁を51以降の付番(以下50番台車と表記。10050系と通称されることもある)とした。さらに、雪害対策として強制パンタグラフ上昇装置の追加や屋根上の吸出式通風装置の廃止などの小改良が続けられた。

1993年(平成5年)からは、本線系統の途中駅での自動連結・解放運転に備え、これまでの密着自動連結器に代わり、先頭車に電気連結器付き密着式連結器を装備した車両が登場した。この計画の影響で1994年(平成6年)までに本線系統へ集中的に投入したため、50番台車は本線所属編成が多い。本線にそれ以前投入された車両も同年のダイヤ改正までに密着式連結器に改造された。

1995年(平成7年)に落成した11267編成には、試験的に東武初のシングルアーム式パンタグラフが搭載され、後に20070系30000系など、その後の東武の電車に反映された。

1996年(平成8年)に東上線に投入された11461編成と11667編成は、本線系統との車両転配の利便を考慮して密着式連結器を装備した。このうち前者は先頭車前面の窓回りの縁取りが黒く塗装されているのが特徴だった(2005年に他編成と同一色へ変更)。その後、他の東上線所属車も密着式連結器に改造された。

2000年(平成12年)に11659編成のクハ16659の車体が事故で損傷し、車体を新しいものに取り替えて営業運転に復帰した。損傷のなかった部品はそのまま流用したため、廃車扱いではなく修繕扱いとなっている。

2004年(平成16年)より6両固定編成の一部で母線引き通しを実施した編成が登場し、一部のパンタグラフを降下させて運用している。この工事によって使用停止としたパンタグラフには10000系列と同様に、側面に黄色の識別用シールを貼付している。

[編集] 10080系

現在の10080系のVVVFインバータ(IGBT)

1988年4月に、10030系と同時に登場した。東武で初めてGTOサイリスタ素子によるVVVFインバータ制御(日立製作所製)を採用した車両である。試験車両的な位置付けで、11480編成の4両編成1本のみ在籍する。1990年(平成2年)に100系をインバータ制御で登場させる契機となった。車体は10030系初期車と同一で、10000系・10030系との連結を考慮し、走行性能も揃えられている[5]。当初の主電動機出力は170kW、歯車比は6.21(87:14)であった。

2005年(平成17年)後半からインバータ装置の不具合により長く休車となっていたが、その後50000系列で採用されたIGBT素子によるVVVFインバータ制御装置に交換され、試運転を行った後、2007年(平成19年)9月12日から定期運用に復帰した。改造後の主電動機は50000系列と同じ出力165kWだが、歯車比は5.44と10000系列に揃えられた。改造後も他の10000系列と共通運用され、10000系列および30000系との併結も行われている。

[編集] 車両編成

本節では、編成の組成両数について2両編成は「2R車」、4両編成は「4R車」、6両編成は「6R車」、8両編成は「8R車」、10両編成は「10R車」と表記する。

[編集] 概要

本系列においては、それ以前の車両とは異なる車両番号の付番法則を用いることになった。

具体的には、万の位で形式、千の位では浅草池袋方から何両目に組成されるか(10両目の場合は「0」[6])、百の位では編成の組成両数(10R車の場合は「0」)、残りの下2桁で編成番号を表す方法になっている。例えば、「12608」であれば10000系で6R車の第8編成、浅草・池袋方から2両目(6両編成の5号車)ということになる。電動車制御車付随車の区別は一切考慮されない。

通常、編成番号はそれぞれの番台の「1」から(10030系であれば「31」から、50番台車であれば「51」から)付番されるが、10080系のみ試作車のため「0」が振られ、11480編成となっている。

この法則に従うと、浅草・池袋方の先頭車については必ず千の位が「1」となる。また、反対側の先頭車では、その編成の両数と浅草・池袋から何両目であるかは必ず一致する(例えば、6両編成なら浅草・池袋方から6両目、10両編成なら10両目)ため、千の位と百の位は同じ数字となる。

この法則は、以後の東武鉄道の通勤形電車すべてに適用されている。

[編集] 2R車

本線東上線ともに配置。22本44両(10000系4本8両、10030系50番台18本36両)が在籍する。

主に4R車の増結用であるが、2R車を3本連結した運用(通称:ブツ6)や2R車を4本連結して運用(通称:ブツ8)されることもある。かつては亀戸線大師線でも使用された。2008年時点では30000系4R車と併結することもある。

1995年度から全車に自動扉締め切り装置が設置された。これは浅草駅のホーム有効長の関係で8両編成列車の後部2両がドア扱いできないためである。

長らく本線のみに配置され、東上線への配置はなかったが、2008年6月14日のダイヤ改正より東上線の池袋発着列車が全て10両編成となる際、8R車の増結用として、11201編成・11202編成の2本が2008年5月13日に本線から東上線に転属した[7]

[編集] 4R車

本線・東上線ともに配置。30本120両が在籍する(10030系30番台18本72両、同50番台11本44両、10080系1本4両)。

10000系に4R車はなく、10030系で初めて登場した。伊勢崎線では浅草口で2R車を増結して6両編成を組む他、4R車同士の8両編成又は6R車に増結されて10両編成を組成するなど様々な使い方がされ、30000系と併結することもある。また、一部は日光線新栃木以北にも入線した。東上線では10両編成(以前は8両編成も組んでいた)を組む。以前は、ワンマン運転化前の小川町 - 寄居間・新栃木 - 東武宇都宮間、越生線でも使用されていた。

[編集] 6R車

本線・東上線ともに配置。41本246両が在籍する(10000系9本54両、10030系30番台14本84両、同50番台18本108両) 。

本線の区間準急や区間急行は基本的に6両編成であるため、最も汎用性の高い編成となるが、本系列または30000系4R車と併結し運用されることもある。東上線ではワンマン化前の小川町 - 寄居間などで単独使用されていたこともあるが、2008年現在は常に4R車を連結して10両編成で使用される。

[編集] 8R・10R車

東上線にのみ配置。8R車が2本16両(10000系2本16両)、10R車が6本60両(10000系4本40両、10030系30番台2本20両)在籍する。

10000系では8R車が最初に登場した。東上線の同系列は当初8R車が6本配置されていたが、うち11803編成 - 11806編成の4本は1989年に中間車2両を新製して10R車化され、11003編成 - 11006編成に改番された。この中間車2両は10030系登場後の落成であったが、床材の色や手すり以外は10000系と同一仕様である。

東上線配置の10030系については、最初の2本は10R車で落成したが、その後の増備は6R車と4R車のみとなった。

2008年6月14日のダイヤ改正より池袋口の列車はすべて10両化されるために、8R車の11801編成・11802編成は、前記した2R車の11201編成・11202編成を本線から転用して対応することとなった。

[編集] 編成図

左側が浅草・池袋方

  • 2R車:モハ11200-クハ12200
  • 4R車:クハ11400-モハ12400-モハ13400-クハ14400
  • 6R車:クハ11600-モハ12600-モハ13600-サハ14600-モハ15600-クハ16600
  • 8R車:クハ11800-モハ12800-モハ13800-サハ14800-サハ15800-モハ16800-モハ17800-クハ18800
  • 10R車:クハ11000-モハ12000-モハ13000-サハ14000-モハ15000-サハ16000-サハ17000-モハ18000-モハ19000-クハ10000

[編集] リニューアル工事

10000系リニューアル車
(2008年11月)
10000系リニューアル車 車内
(浅草・2010年7月)
10030系リニューアル車
東松山・2012年2月)

10000系の就役から23年余り経過し、車体の陳腐化が進んだため、2007年(平成19年)より内装の更新を主眼としたリニューアル工事[8]が開始され、同年1月19日11601編成が津覇車輛館林作業所に入場した。同編成を皮切りに2010年(平成22年)までに10000系6R車全9本のリニューアル工事が完了した。その後、工事は10030系に移行し、2011年3月に竣功した11635編成[9]を皮切りに順次施工されている。なお、2011年度は20両が施工対象とされている[10]

[編集] 施工内容

先に施工された9000系とほぼ同等の内容である。前述のように本工事は内装関係部品の新製交換による修繕を主眼としたものであり、走行機器の更新は実施されていない。また、比較的経年の浅い10030系の施工内容は10000系と比較してやや簡略化されたものとなっている。

10000系・10030系共通施工内容
  • モハ15600形の浅草側のパンタグラフを撤去。
  • 種別・行先表示器をフルカラーLED式に交換。
  • 全座席の交換(生地色は緑から紫・青)。
  • 座席間にスタンションポール(縦握り棒)を設置。
  • 座席の端部に仕切り板を設置。
  • 客用ドア部分の戸先部に黄色のマーキングを実施。(一部編成のみ施工)
  • 客用ドア上部に車内案内表示装置を左右交互に設置。設置されなかった側は広告枠としている。
  • 前面排障器(8000系と同タイプのもの)の設置。
  • 車椅子スペースの新設。
  • 前照灯HID式に交換。
  • 車外スピーカーの設置。
  • 非常通報装置を乗務員と相互通話可能な対話式に変更
10000系のみ施工内容
  • 客用ドアと連結面貫通扉の交換。
  • 車端部の座席を4人がけ→3人がけに変更。そのためこの部分の座席幅が大幅に拡大された。
  • 車端部に20000系と同様のデッドスペースの設置。
  • 荷物棚を金網からパイプ式に交換。
  • つり革を○形から△形に交換の上、優先席は黄色のものを使用。部品も新調。
  • パンタグラフをシングルアーム式に変更。
  • 室内灯設備を交換。
10030系のみ施工内容
  • 連結面貫通扉の撤去、各車2箇所全てに設置していたものを、各車1箇所と半減化。
  • 6両編成のクハ16630形と、4両編成のクハ11430形の一部を運転台撤去し、実質10両固定編成化。連結部に転落防止幌を設置。
  • 前照灯と尾灯の位置を左右入れ替え。

[編集] 諸元

  10000系 10030系
10080系
定員 Tc1,Tc2 150名 142名
Tc3,Mc 150名 152名
その他の車両 170名 152名
自重 Tc1,2 29t -
M1,2,Mc 39t -
M3 37.5t -
T1,2 - 28t
T3 - 32.5t
Tc3 - 34t
車長 20,000mm
車幅 2,874mm
車高 4,145mm
設計最高速度 110km/h
営業最高速度 100km/h
起動加速度 2.5km/h/s
減速度 3.7km/h/s(常用)
4.5km/h/s(非常)
歯車比 5.44
冷房能力 42,000kcal/h/車両
備考
10080系はTc1,2とM1,2のみ

[編集] 使用路線

当初は本線系統では伊勢崎線日光線に加え宇都宮線、さらに2R車は亀戸線大師線で、また東上線系統では東上線越生線の全線に渡って使用されていた。

8000系改造車によるワンマン運転実施のため伊勢崎線太田 - 伊勢崎間・宇都宮線・亀戸線・大師線・東上線小川町 - 寄居間・越生線からは撤退しており、本線系統では伊勢崎線浅草 - 太田間・日光線東武動物公園 - 新栃木間、東上線系統では東上線池袋 - 小川町間で運用されている。

[編集] 脚注

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  1. ^ 東武では同一系列内の区分に関して「型」の表記を使用しており、本系列においてはそれぞれ10000型・10030型・10080型と表記される。
  2. ^ 交友社『鉄道ファン』1998年7月号
  3. ^ 京王7000系では番台区分がされたが、形式の変更はされていない。
  4. ^ 2両編成は伊勢崎線・日光線のみ、10両編成は東上線のみで運用されている。
  5. ^ ただし相性はあまり良くないようで、空転が頻発していた
  6. ^ 50000系列などでの号車番号は伊勢崎・寄居方先頭車を1号車としている。
  7. ^ 「Topic Photos 東武10000系2両固定が東上線に転属」 『鉄道ピクトリアル』2008年8月号(通巻806号)p93、電気車研究会
  8. ^ 従来東武鉄道においては車体新製を伴う更新工事を「車体更新」、車体修繕による更新工事を「車体修繕」と称したが、本系列ならびに9000系列における修繕工事については「リニューアル工事」と称する。
  9. ^ 東武10030系リニューアル車が営業運転を開始 rail.jp 2011-03-08
  10. ^ 2011年度の鉄道事業計画 (PDF) - 東武鉄道ニュースリリース 2011年5月31日

[編集] 外部リンク

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