大衆文化における近親相姦

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大衆文化における近親相姦(たいしゅうぶんかにおけるきんしんそうかん)とは、大衆文化において扱われる近親相姦のことである。小説、音楽や映画などといった大衆文化の分野においては近親相姦のテーマが様々な形で扱われる。

概説[編集]

近親相姦は日本の官能小説の幾分普及した題材である。官能小説以外でも、近親相姦は時々非好色的な文学作品で記述されている。それに含蓄される意味は様々であり、肯定的であったり否定的であったりする。インターネットの出現により、このタイプのフィクションは頻繁に閲覧できるようになった。

大衆文学において近親相姦が描かれる背景には、他の多くのフェティシズムと同じように、恐らく行為のタブーの性質が背徳感を加えることがあるためと考えられている。一方で、こういった作品に対しては家庭内暴力(性的虐待)の側面の軽視や、実際の話との差異が指摘されることもある。[要出典]

作品の一例[編集]

小説・戯曲・映画[編集]

西洋では『オイディプス王』や『ハムレット』など、古来より近親相姦をテーマにした作品が制作されてきた。『ハムレット』の扱っているのは死んだ夫の弟との結婚ではあるが、近親相姦的な意味合いを感じ悩む息子像が描かれる。

日本でも、平安時代の義理の母と息子の近親姦が描かれる『源氏物語』(紫式部)は有名である。17世紀のジョン・ミルトン作の『失楽園』では、サタンは娘と交わり子供達を作る。雑誌『猟奇』の昭和3年(1928年)10月号に掲載された兄妹の近親相姦を匂わせる『瓶詰の地獄』など、近年に至るまで近親相姦の主題はポップカルチャーの1つであった。

1967年のガブリエル・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』では、甥と叔母の近親姦が描かれる。ロバート・A・ハインラインのいくつかの短編小説にも、近親相姦は描かれている。小説『ロリータ』(ロリータ・コンプレックスの語源)で知られるウラジーミル・ナボコフも、1969年の『Ada or Ardor』で近親相姦に満ちた家庭を描いた。

近親相姦はG・R・R・マーティンのベストセラー『氷と炎の歌』シリーズの主題を担う。シリーズでは、近親相姦のサディスティックな異常が描かれている。J・R・R・トールキンの『シルマリルの物語』では、記憶喪失になっている間に近親婚が行われる。

藤井重夫の小説『家紋の果』では、息子が売春婦に使う金が欲しいからと母に身体を与える。

1971年の平岩弓枝の小説『日野富子』では、息子を自らの傀儡にしようとして交わる母が描かれる。

1971年のルイ・マルの映画『好奇心 (映画) -Le Souffle au coeur』は母と息子の近親相姦が初めて描かれた映画として知られる。

1974年のロマン・ポランスキーの『チャイナタウン (映画) 』では父と娘の近親相姦。

1978年のイアン・マキューアンの小説『セメント・ガーデン』では兄弟姉妹姦。

1979年のベルナルド・ベルトルッチの映画『ルナ (映画) 』では近親相姦がそれぞれ描かれる。

1981年のジョン・アーヴィングの映画『ホテル・ニューハンプシャー』では、ロブ・ロウが演じるジョンは姉妹に強い性欲を感じる。

1985年のフレディ・ムーラー監督のスイス映画『山の焚火』では閉ざされた冬山の中で聾唖で体の不自由な弟と教師志望だった優しい姉との近親相姦と妊娠が描かれる。

1985年の日本映画『魔の刻(とき)』では母と息子(東大二浪落)との母子相姦がテーマとなっている。

1985年の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』では、母がタイムトラベルで過去へ戻った息子に恋をするシーンに台湾からクレームが寄せられた。

1985年のジョン・アーヴィングの『サイダーハウス・ルール』では、父娘の近親相姦と妊娠が描かれる[1]

1994年のデヴィッド・O・ラッセルの小説『Spanking the Monkey』(通称:猿たたき)では、母と息子の近親相姦が描かれる。

2003年の韓国映画『オールド・ボーイ』は、姉と弟の近親相姦を描く。

2007年の桜庭一樹の小説『私の男』では、父と娘の近親相姦が描かれる[2]

2009年の誉田哲也の小説『インビジブルレイン』では父と娘の近親相姦と、その弟との確執が描かれている[3]

音楽[編集]

19世紀のドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーの『ニーベルングの指環』においても、近親相姦は扱われた。

三上寛は「近親相姦の唄」と文字通りの楽曲を持ち歌とし、1972年のアルバム『1972・高知大学ライブ』にライブヴァージョンで収録された。

ケイト・ブッシュの1978年のデビューアルバム『The Kick Inside』では、兄弟姉妹の近親相姦がモチーフにされている。

プリンスは1980年のアルバム『ダーティ・マインド』に収録の「Sister」で、近親相姦を取り扱う。

セルジュ・ゲンズブールは、1984年のアルバム『ラヴ・オン・ザ・ビート』に収録の「レモン・インセスト」で父娘の近親相姦を扱う[4]

ピクシーズは1987年の「Holiday Song」など、いくつかの楽曲に近親相姦をモチーフにしたものがある。

1992年12月には、ニルヴァーナのコンピレーション・アルバム『インセスティサイド』が発売された。

X Japanhideは1994年のアルバム『HIDE YOUR FACE』に収録の「HONEY BLADE」で、近親相姦を取り扱う。

Dir en greyは2001年に近親相姦をモチーフにした『embryo』を発売。

3ドアーズ・ダウンも2002年のアルバム『Away from the Sun』に収録の「Sarah Yellin」で、父と娘の近親相姦を扱う。

ドラマ[編集]

1993年の『高校教師』では父と娘の近親相姦、1994年の『禁断の果実』では姉と弟の近親相姦がそれぞれ描かれた。

2002年の『空から降る一億の星』では物語終盤、主人公の刑事と年の離れた妹とされていた男女が実は義理の兄妹で、妹が愛し肉体関係を持った男こそが妹の実の兄であったことが明かされ、男の危険な面を知った妹が男を彼の拳銃で射殺した後、彼の残した手紙で真実を知り、最後には兄として育ててくれた刑事の前で拳銃自殺する悲劇的な最後となっている。

舞台[編集]

1978年2008年に上演された『身毒丸』も間接的ではあるが、義理の母子の近親愛が描かれた。

漫画[編集]

1972年〜1973年には、手塚治虫が近親相姦を扱った作品『奇子』が連載される。手塚は1976年にも『火の鳥 望郷編』で母と息子の相姦を描く。また短編作品としては、1968年~1970年にプレイコミックで連載された連作短編シリーズ『空気の底』の一編である『わが谷は未知なりき』の終盤において、ある重大な理由で当局から「緩やかな死」を迫られた人間が生き延びて子孫を残し、いずれ自分たちが死んだと思って疑わない役人に一泡吹かす手段として近親相姦が行われていたことが明かされる。

1980年〜1984年には、「血の繋がらない妹」を扱った『みゆき』が連載される。

1994年には、実の兄妹の近親相姦と天使と悪魔の攻防を主題に描く『天使禁猟区』の連載が開始される。

1998年には、実の姉弟の近親相姦を描く『罪に濡れたふたり』の連載が開始される。

2001年〜2004年には、実の兄妹の近親相姦を描く『恋風』が連載される[5]

2003年〜2005年には、実の兄妹の近親相姦を描く『僕は妹に恋をする』が連載される[6]

2007年〜2008年には、実の母と息子の近親相姦を描く『たとえば母が』が連載される。

2008年〜2011年には、実の姉弟[7]の近親相姦を描く『あきそら』が連載される[8]。また劇中では、双子の兄妹の近親相姦も描かれている[9]

アニメ[編集]

1984年には、義理の兄妹を扱ったアダルトアニメくりいむレモンパート1 媚・妹・Baby』(ビー・マイ・ベイビー)が発表された[10]

アダルトゲーム[編集]

1991年には、夢オチながら兄妹や父娘の近親相姦画像が幻覚という設定で含まれていた『沙織 -美少女達の館-』を男子中学生が万引きする沙織事件が発生。

この当時、アダルトゲーム業界では近親相姦はよく扱われていた。代表的なものとして、1995年の『夢幻泡影』などがある。1996年の『』でも、主題ではないが実の兄妹[11]による近親相姦が描かれる。1996年には、実の父娘の近親相姦を扱った『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』も発売された。

1998年12月には、実の父と息子や実の母と息子、実の妹兄や実の姉弟の近親相姦を扱った『コ・コ・ロ・・・』が発売される[12]

1999年6月22日、ソフ倫の倫理規程の改定により、「近親相姦の全面禁止」「18歳未満の性交描写禁止」「獣姦表現禁止」が成文化されたが、「義理を除く」と条件を出す。同年10月1日にこれは施行された。

1999年には、義理の兄妹の近親相姦を扱った『加奈 〜いもうと〜』が発売された[13]。また、同年の『ら〜じ・PonPon』から始まるオーバーフロー作品は、作品群の大半における主要人物の大半が近親相姦によって生まれたという裏設定を付加されている。

2002年には、義理の兄妹の近親相姦を扱った『D.C. 〜ダ・カーポ〜』が発売された[14]

2003年には、義理の兄弟の近親相姦もある『恋する妹はせつなくてお兄ちゃんを想うとすぐHしちゃうの』が発売される。

2004年秋には、ソフ倫の倫理規程が再改定された[15]

2004年10月には実の兄妹の近親相姦を扱った『死妹人形[16]、同年11月には実の兄妹の近親相姦を扱った『ALMA〜ずっとそばに…〜 -Complete Edition-』、同年12月には実の兄妹の近親相姦を扱った『おやつのじかん』がそれぞれ発売された。

2007年発売の『あかね色に染まる坂』では主人公の実妹がヒロインの1人として扱われたが、2008年のテレビアニメ版では義理の関係であることを示唆する描写が挿入された。2008年発売の『ヨスガノソラ』でも主人公の双子の妹がヒロインの1人として扱われていたが、2010年のテレビアニメ版でもそのままの設定で制作された。

2011年には、『ラブラブル 〜lover able〜』や『SuGirly Wish』など実妹を登場させた作品が発売された。また、『SISTERS 〜夏の最後の日〜』では主人公が自らの継母や異母妹2人と行う近親相姦が描かれる[17]

関連項目[編集]

出典・脚注[編集]

  1. ^ 1999年には、ラッセ・ハルストレム監督で映画化された。
  2. ^ この作品で、桜庭は第138回(2007年下半期)直木賞を受賞した。
  3. ^ 2013年に『ストロベリーナイト (映画)』として映画化。
  4. ^ この曲は、娘のシャルロット・ゲンズブールとのデュエットで歌われた。
  5. ^ 2004年にはテレビアニメ化された。
  6. ^ 2007年には実写映画化された。
  7. ^ 物語終盤には、この姉弟も実の姉弟による近親相姦で生まれてきたことが判明する。
  8. ^ 2009年〜2010年にはOVA化された。
  9. ^ この双子の兄は、先述の弟と同一人物である。
  10. ^ この作品は、当時のビデオ倫理審査委員会(ビデ倫)を騒がせた問題作とされている。
  11. ^ リメイクの際、この設定は義理の兄妹へ変更された。
  12. ^ しかし、その直後に販売禁止処分を受け、回収された。
  13. ^ この作品はニュース番組『筑紫哲也 NEWS23』でも取り上げられた。
  14. ^ この作品は漫画化、小説化、官能小説化、テレビアニメ化、ラジオドラマ化、CD化と様々なメディアミックスを展開した。
  15. ^ 倫理機構 倫理規程
  16. ^ 血縁関係のある肉体でのセックスは1回のみ。
  17. ^ ヒロイン達は主人公が自らの継子や異母兄であることを承知の上で彼とのセックスを行うが、作中の時間軸における主人公は交通事故によるコルサコフ症候群を患っているため、ヒロイン達が自らの継母や異母妹であることも忘れてしまっている。

関連書籍[編集]