金沢港
金沢港 | |
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所在地 | |
国 | 日本 |
所在地 | 石川県金沢市 |
座標 | 北緯36度36分44秒 東経136度35分16秒 / 北緯36.61222度 東経136.58778度座標: 北緯36度36分44秒 東経136度35分16秒 / 北緯36.61222度 東経136.58778度 |
詳細 | |
開港 | 1970年11月1日[1][2] |
管理者 | 石川県 |
種類 | 重要港湾 |
係留施設数 | 22 |
埠頭数 | 8 |
統計 | |
公式サイト | 石川県金沢港湾事務所 |
金沢港(かなざわこう)は、石川県金沢市の大野川の河口に位置し、日本海に面する港湾である。港湾管理者は石川県。港湾法上の重要港湾、港則法上の特定港に指定されている。
現在の港の部分を、金沢新港(かなざわしんこう)と呼ぶ場合もある[3]。
概要
[編集]1970年(昭和45年)11月1日に開港(関税法上の開港年)[1][2][4][5]。韓国の釜山、中国の上海などを結ぶ外貿定期コンテナ航路が就航するほか、小松製作所の建機輸出用に北米向け多目的船が不定期寄港する。また、金沢港は日本海側における外航クルーズ客船の拠点港としての側面もある[6][7]。
2021年(令和3年)の貨物取扱量は、輸入751,554トン、輸出478,064トン[8]。輸入国・輸出国の割合は中華人民共和国・大韓民国・ベトナム・インドネシアなどアジア諸国が大半を占めている。このほかに、小松製作所の金沢工場が隣接している関係から[9]、ホイールローダーやダンプトラックなどの建設機械や産業機械の輸出が多いのが特徴となっている。
漁港や北陸地方の海産物集散地としての側面もあり、一般消費者も買い物ができる鮮魚市場「金沢港いきいき魚市」が設置されている[10]。
歴史
[編集]古代においては、「大野湊」として『白山禅頂私記』の伝説に登場する。その後戦国時代から江戸時代初期にかけて近接する犀川河口の宮腰(現在の金沢市金石地区)の繁栄に押されていたが、北前航路の隆盛により宮腰とともに金沢の外港としての地位を築いた[11][12]。北前船とそれを受けた日本海航路の全盛時代は明治時代後期まで続いたが、鉄道の普及など陸上交通網の発達とともに衰退した[11]。
大正時代に入り、大野港を漁港として発展させようとする動きが起こる。1923年(大正12年)、石川郡大野町長の光谷次郎松が、金沢港を貿易港として発展させる構想を発表。帝国港湾協会の後援もあり、1933年(昭和8年)には金沢港築港が閣議決定される。1935年(昭和10年)には大野町が金沢市に編入され着工が期待されたが、第二次世界大戦により棚上げされた。
戦後も長い間棚上げされてきたが[13]、1963年(昭和38年)の三八豪雪により北陸地方の陸上交通がほぼ完全に途絶え[5][11]、金沢市内の石油が枯渇し急遽伏木港から取り寄せる事態となっていた[14]ことから、金沢での本格的な港湾建設の気運が急速に高まった[4]。建設予定地が粟崎海岸であったことから港湾計画課サイドは当初「重要港湾というより海水浴場」と揶揄し、不賛成の意見が強かったが、地元がこれを押し切る形で推進したことを受け、翌1964年から重要港湾として12か年計画(建設費152億円)で建設が進められた[14]。当時としては珍しい、日本最初の本格的な掘り込み式港湾であり[14]、浚渫された土砂は河北潟の干拓工事に使用された。
当初は主に木材港として構想されていたことから、1967年には臨海部に木材工業団地の造成も始められた[14]。
金沢港建設時に大野地区の大野町四丁目は、新港の水面で囲まれた島となった[15]。また、五郎島地区は金沢港の工業団地建設のため、隣接する粟崎町に集団移転した[16]。
年表
[編集]- 1954年(昭和29年) - 大野港と金石港を統合、名称を金沢港とする[17]。
- 1963年(昭和38年)
- 1964年(昭和39年) - 重要港湾に指定[17]。
- 1966年(昭和41年)10月27日 - 金沢港の起工式を挙行[19]。
- 1967年(昭和42年)12月 - 浚渫工事に着手[20]。
- 1970年(昭和45年)
- 1972年(昭和47年)8月 - 15,000t船舶が接岸出来る岸壁2バース(戸水岸壁)完成[22]。
- 1973年(昭和48年)12月 - 無量寺岸壁完成[22]。
- 1974年(昭和49年)2月 - 大野岸壁完成[22]。
- 1975年(昭和50年)2月 - 金沢合同港湾庁舎完成[22]。
- 1978年(昭和53年)2月 - 御供田岸壁完成[22]。
- 1988年(昭和63年) - 日韓定期コンテナ航路を開設[17]。
- 1997年(平成9年) - 日中定期コンテナ航路を開設[17]。
- 2000年(平成12年) - 北米貨物定期航路を開設[17]。
- 2008年(平成20年)11月 - 大浜埠頭の暫定供用を開始(2016年に完成)[17][23]。
- 2018年(平成30年)11月16日 - 横浜港とクルーズ客船誘致の連携協定を締結[24][25][26]。
- 2020年(令和2年)6月1日 - 金沢港クルーズターミナルが開館、供用を開始[27][28][29][30]。
- 2022年(令和4年)
定期航路
[編集]2022年時点で週9便が運航されている[37]。特記がないものはすべて週1便の運航。
- 韓国・中国コンテナ航路(高麗海運・汎州海運)
- 中国コンテナ航路(神原汽船)
- 韓国コンテナ航路(興亜海運・高麗海運・長錦商船・Xプレスフィーダーズ)
- 高麗:釜山 - 境港 - 金沢 - 敦賀 - 舞鶴 - 釜山
- 興亜・長錦:釜山 - 釜山新港 - 敦賀 - 伏木富山 - 新潟 - 金沢 - 釜山
- 興亜・長錦:釜山 - 金沢 - 新潟 - 舞鶴 - 境港 - 浜田 - 釜山
- Xプレス:釜山新港 - 新潟 - 伏木富山 - 秋田 - 金沢 - 釜山新港
- 韓国RORO航路(サンスターライン、週2便運航)
- 釜山新港 - 敦賀 - 金沢 - 馬山 - 釜山新港 - 敦賀 - 金沢 - 馬山 - 釜山新港
施設
[編集]金沢港には現在8か所の埠頭(岸壁)がある[5]。
- 戸水埠頭[5]
- 旅客船が停泊する。海上自衛隊の護衛艦や海上保安庁の巡視船が一般公開されるときはここに停泊する。かつてここにあった金沢みなと会館を閉鎖し、新たな施設として金沢港クルーズターミナルを整備[38][39]。新型コロナウイルス感染症(コロナ禍)の感染拡大に伴い、当初2020年(令和2年)4月4日の開業予定日を延期し[28]、同年6月1日にオープンした[27][28][29]。1階にCIQ設備を備えた待合所[28]、2階には展望デッキや体験学習型の展示施設「金沢港まなび体験ルーム」が設置されている[28][29]。なお、施設の愛称として「ひゃくまんごくマリンテラス」が採用されている[40][41]。
- 石油埠頭
- 大野埠頭(水産埠頭)
- 漁船が停泊する。
- 五郎島(ごろじま)埠頭[5]
- リサイクル製品の集積地として活用されている。海上保安庁の巡視船が停泊している。
- 御供田(ごくでん)埠頭[5]
- 大浜埠頭[5]
- RORO船が停泊し、金沢港では一番新しい岸壁で最大の規模を誇る[5]。小松製作所の金沢工場が隣接しており[44]、国際物流ターミナルが整備されている[5]。2017年には加賀国が艦名の由来となった護衛艦「かが」[45][46][47]、2019年には「クイーン・エリザベス」[48][49]が接岸している(いずれも初寄港、金沢港クルーズターミナルの供用前)。
港周辺
[編集]- 国・行政機関
- 金沢港クルーズターミナル
- 金沢港いきいき魚市
- 石川県金沢港大野からくり記念館
- 石川県銭屋五兵衛記念館
- 大野お台場公園
- その他の施設
停泊船
[編集]- 第九管区海上保安本部金沢海上保安部
交通
[編集]連携協定を結ぶ港湾
[編集]いずれもクルーズ客船の誘致に関する連携協定を結んでいる。
近隣港湾
[編集]脚注
[編集]- ^ a b c 北國新聞 2003, p. 126-127.
- ^ a b c 金沢港振興協会 2021, p. 43-44.
- ^ 『角川日本地名大辞典 17 石川県』(1981年7月8日、角川書店発行)263ページ
- ^ a b c 『石川のトリセツ』(2021年2月1日、昭文社発行)44 - 45ページ『2020年 待望のクルーズターミナルが誕生! 活発化する海の玄関口、金沢港』より。
- ^ a b c d e f g h i j k “いしかわ大百科 シリーズ・石川わがまち代表⑨『進化する港~金沢港~』”. テレビ金沢 (2020年11月1日). 2022年9月26日閲覧。
- ^ “総務常任委員会 県外視察(令和元年7月)”. 佐賀県議会事務局 (2019年7月29日). 2022年9月26日閲覧。
- ^ “昨年度寄港ゼロ、京都の海の玄関口が喘ぐクルーズ船誘致”. 産経ニュース. (2021年5月17日) 2022年9月26日閲覧。
- ^ 令和3年 貨物取扱構成 (PDF) - 金沢港振興協会
- ^ 上越市創造行政研究所 2009, p. 46.
- ^ 金沢港いきいき魚市 - 金沢市観光協会
- ^ a b c 上越市創造行政研究所 2009, p. 41.
- ^ 金沢港振興協会 2021, p. 34.
- ^ 金沢港振興協会 2021, p. 39.
- ^ a b c d e 『古地図で楽しむ金沢』(2017年9月7日、本康宏史編著、風媒社発行)129頁より。
- ^ 『古地図で楽しむ金沢』(2017年9月7日、本康宏史編著、風媒社発行)129 - 130頁より。
- ^ 『角川日本地名大辞典 17 石川県』(1981年7月8日、角川書店発行)394ページ
- ^ a b c d e f g 上越市創造行政研究所 2009, p. 42.
- ^ 金沢港振興協会 2021, p. 41.
- ^ 北國新聞 2003, p. 84-85.
- ^ 金沢港振興協会 2021, p. 42.
- ^ a b 金沢港振興協会 2021, p. 43.
- ^ a b c d e f 『古地図で楽しむ金沢』(2017年9月7日、本康宏史編著、風媒社発行)130頁より。
- ^ 金沢港振興協会 2021, p. 66.
- ^ a b 『横浜港・金沢港連携企画第一弾!セレブリティ・ミレニアムで横浜~金沢レール&クルーズ実施』(PDF)(プレスリリース)横浜市港湾局客船事業推進課、2019年6月19日 。2022年9月25日閲覧。
- ^ a b “横浜港と金沢港が連携協定、クルーズ船誘致など”. 日本経済新聞. (2018年11月16日) 2022年9月25日閲覧。
- ^ a b 金沢港振興協会 2021, p. 77.
- ^ a b “金沢港クルーズターミナル 公開 絶景レストラン おもてなし”. 北陸中日新聞Web. (2020年5月29日). オリジナルの2020年6月8日時点におけるアーカイブ。 2022年9月26日閲覧。
- ^ a b c d e “クルーズターミナル開館へ 金沢、寄港見通し立たず”. 産経フォト (2020年5月29日). 2022年9月26日閲覧。
- ^ a b c “金沢港クルーズターミナル開館、賑わいの創出拠点としても活用へ”. 金沢経済新聞 (2020年6月8日). 2022年9月26日閲覧。
- ^ 金沢港振興協会 2021, p. 79.
- ^ a b c 『「みなとオアシス金沢港」を登録します~クルーズターミナルと港町の歴史文化を活かした賑わいづくり~』(PDF)(プレスリリース)国土交通省北陸地方整備局空港港湾部・金沢港湾・空港整備事務所、2022年3月7日 。2022年9月26日閲覧。
- ^ a b c 『「みなとオアシス金沢港」の登録について』(PDF)(プレスリリース)石川県土木部港湾課、2022年3月7日 。2022年9月26日閲覧。
- ^ a b 『神戸港と金沢港のクルーズ振興に関する連携協定締結』(プレスリリース)神戸市港湾局振興課、2022年3月18日 。2022年9月25日閲覧。
- ^ a b “神戸市と石川県が連携協定 神戸港と金沢港を結ぶクルーズ船の航路開設へ”. サンテレビニュース (2022年3月18日). 2022年9月25日閲覧。
- ^ a b “神戸と金沢結ぶクルーズ船、9月に就航へ…瀬戸内海や山陰を4日間で周遊”. 読売新聞オンライン. (2022年3月24日). オリジナルの2022年3月24日時点におけるアーカイブ。 2022年9月25日閲覧。
- ^ a b “金沢港に豪華客船「ぱしふぃっくびいなす」 令和の北前航路 神戸港と連携協定記念第1弾”. 北國新聞. (2022年9月15日). オリジナルの2022年9月15日時点におけるアーカイブ。 2022年9月25日閲覧。
- ^ 国際定期航路 - 金沢港振興協会
- ^ 金沢港クルーズターミナル - 石川県土木部港湾課
- ^ “海の玄関口 クルーズターミナルお目見え”. 北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ(北國新聞). (2019年11月27日) 2020年1月3日閲覧。
- ^ “金沢港クルーズターミナル、新県立図書館 愛称決定 谷本知事年頭会見 3月にも見学ツアー”. 北國新聞. (2022年1月4日). オリジナルの2022年1月4日時点におけるアーカイブ。 2022年9月26日閲覧。
- ^ “石川県、北陸新幹線(金沢~敦賀)から白山の眺望を楽しめるよう建物や広告物のの高さ・色彩など規制へ”. トラベルWatch (2022年1月6日). 2022年9月26日閲覧。
- ^ “新たなクレーン 金沢港に完成 石川知事「拠点港へ前進」”. 日本経済新聞. (2018年4月13日) 2019年8月14日閲覧。
- ^ 金沢港振興協会 2021, p. 57.
- ^ “【港フェスタ金沢2019】 7月13日(土)開催”. 海と日本PROJECT in いしかわ (2019年6月27日). 2019年8月14日閲覧。
- ^ “金沢港で「金沢ベイフェス」 護衛艦とクルーズ船を眺望しながら祭り楽しむ”. 金沢経済新聞 (2017年7月13日). 2019年8月14日閲覧。
- ^ “護衛艦「かが」公開に1万5000人 金沢港、見学者でにぎわう”. 北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ(北國新聞). (2017年7月16日) 2019年8月14日閲覧。
- ^ “海自最大の護衛艦「かが」艦名由来の地、金沢港に寄港 一般公開へ”. 産経ニュース (2017年7月14日). 2019年8月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月26日閲覧。
- ^ “金沢港にクイーン・エリザベス初入港”. 日本経済新聞. (2019年4月23日) 2019年8月14日閲覧。
- ^ “海の女王、洗練豪華 クイーン・エリザベス、金沢初寄港 2千人、市内観光を満喫”. 北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ(北國新聞). (2019年4月24日) 2022年9月27日閲覧。
- ^ a b c d “巡視船艇 紙クラフト 金沢海保製作 本物そっくり”. 北陸中日新聞Web. (2021年4月15日) 2022年9月27日閲覧。
参考文献
[編集]- 『北國新聞に見るふるさと110年(下)』北國新聞社、2003年8月5日。
- 「金沢港の現状」『直江津港をいかしたまちづくりに関する調査 -日本海沿岸地域の連携を目指して- 平成20年度調査報告書』、上越市創造行政研究所、2009年3月、41-50頁、2022年9月26日閲覧。
- 『金沢港開港50周年記念誌』一般社団法人金沢港振興協会、2021年3月31日。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 金沢港関連
- 一般社団法人 金沢港振興協会
- 石川県金沢港湾事務所
- 金沢港 - 国土交通省北陸地方整備局金沢港湾・空港整備事務所
- みなとオアシス金沢港 - 国土交通省北陸地方整備局
- 金沢港クルーズターミナル関連
- 金沢港クルーズターミナル
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