紀元前11千年紀以前
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紀元前11千年紀以前(きげんぜんじゅういちせんねんきいぜん)は、西暦による紀元前10001年までの時代である。すなわち現在からおよそ1万2000年以上過去に当たる。
ただし、ここに記載するのは現生人類(ホモ・サピエンス)と直接関係する程度の範囲のものとする。それ以前の歴史については「古人類学」、「地球史年表」、「地質時代」などの適切な地質時代区分の記事、または「宇宙の年表」を参照すると良い。
完新世突入期の環境変動[編集]
- 最後の氷期と言われるヴュルム氷期が終わり、更新世(約200万年前から約1万年前)から完新世(約1万年前から現在)へと移った。ただし、最終氷期終了に伴う温暖期(亜間氷期)の後にも一時的に気候が寒冷化する新ドリアス期(亜氷期)と呼ばれる期間があった。
- 地球全体が温暖化し、氷河がモレーン(堆石)を残して後退した。
- 地球各地が湿潤化して森林が増加、逆に草原が減少してマンモスやトナカイなどの大型哺乳類の生息環境が縮小し、彼らを絶滅させた。
- この頃には10数万年前から存在していたネアンデルタール人が姿を消し、人類の直接の祖先であるヒト(ホモ・サピエンス・サピエンス)が活躍するようになった。
- 海水面上昇により黄海ができる。
- スンダランドが海中に没し、現在のインドネシアやフィリピンなどに相当する地域がユーラシア大陸から分離して島となった。
- ベーリング海に存在した陸橋ベーリンジアが温暖化の海進により水没し、北米大陸はユーラシア大陸から分離した。
できごと[編集]
更新世
- 紀元前50,000年頃、ホモ・フローレシエンシスが絶滅。
- 紀元前43,000年頃のホモ・サピエンスの遺跡がロシアのドン川畔で見つかった[1]。
- 紀元前40,000年頃、アボリジニがオーストラリアに渡来する。放射性炭素年代測定による考古学データによれば、42,000〜45,000年前[2]。
- 紀元前39,000年頃、西シベリアのアルタイ山脈近辺のデニソワ洞窟で発掘された「デニソワ人」が活躍した年代。
- 紀元前30,000年頃、後期旧石器時代始まる。立川ローム基底部(X層)。日本の旧石器文化発見。群馬県新田郡笠懸村岩宿の局部磨製石斧。
- 紀元前28,000年頃、日本列島の旧石器時代人は、槍先形尖頭器、細石刃、有茎尖頭器、石槍という狩猟具を発達させ、ヘラジカ、ハナイズミモリウシ(野牛の一種)、原牛、ナウマンゾウ、オオツノジカなどの大型の哺乳動物やニホンシカ、イノシシ、アナグマ、ノウサギなどの中小のほ乳動物を狩猟していた。
- 紀元前21,000年頃、鹿児島県にある姶良火山が大爆発を起こす。九州から関東地方まで、直径2000キロのおよぶ卵形の地域に火山灰が降った。それが姶良火山灰層でATが俗称である。現在の鹿児島湾は姶良火山活動によってカルデラとなっている。この頃を境にナウマンゾウが日本列島から姿を消す。
- 紀元前18,000〜16,000年、最終氷期の最寒冷期。海水面の高さが現在よりも約150メートル低かった。
- 紀元前18,000年頃、ヒトの移動、メキシコに到達する。
- 紀元前16,000〜14,000年頃、沖縄県山下町第1洞穴、港川、ビンザアプ人。旧石器時代終末か縄文時代草創期の人類。沖縄県島尻郡具志頭村港川で人骨発見。
- 紀元前15,000年頃、北スペイン・カンタブリア地方のアルタミラ洞窟の壁画が描かれた。
- 紀元前15,000年頃、ウクライナのメジリチ遺跡でマンモスの骨による住居が作られる。[3]
- 紀元前14,000年頃、縄文時代の始まり。縄文土器が作られ始める。
ヤンガードリアス期
- 紀元前13,000年頃、南カリフォルニアのサンタローザ島出土の人骨はこの時代のもので、北米最古の人骨。
- 紀元前12,500年頃、レヴァントでケバラン文化に代わりナトゥーフ文化が始まる。
- 紀元前12,000年頃、中国長江流域で陸稲稲作の開始(仙人洞・吊桶環遺跡)。
- 紀元前12,000年以上前、米国に現代人(ホモ・サピエンス)がいたことを示す証拠が発見された。アメリカ合衆国オレゴン州の洞窟で人間の糞の化石が見つかった。ミトコンドリアDNAから東アジアやシベリアの人と共通する特徴をもっているという[4]。
- 紀元前12,000年頃、イヌの家畜化。静岡県浜北人、沖縄県上部港川人(1万2千〜1万数千年前)。
完新世
- 紀元前11,000年頃、日本、縄文時代草創期。細石器・有舌尖頭器がつくられ、豆粒文様土器がつくられる(長崎県泉福寺洞窟遺跡)。日本列島でオオツノシカが絶滅。
- 紀元前11,000年頃、ロシアの中部ウラルの泥炭地で発見された世界最古級の木像「シギルの偶像」が作られる。
- 紀元前10,603年頃、 ヘール・ボップ彗星が太陽に接近。次に接近するのは紀元前8千年紀。
- 紀元前10,000年頃、縄文時代早期。日本列島の温暖化・温潤化が進む。ハナイズミモリウシや本州のヒグマなどが絶滅し、本州以南では陸上大型動物は消滅した。
- 紀元前10,000年頃、アナトリア半島南東部ギョベクリ・テペ遺跡にて世界最古級の石造の宗教建築(神殿)が作られる。
- 紀元前10,000年頃、イスラエルのアイン・マラッハ遺跡にて老女と仔犬がともに埋葬される最古級の痕跡が残る。
- 紀元前10,000年頃、インドのビームベートカーの岩陰遺跡第2期。
架空のできごと[編集]
- 紀元前28000年頃 - エリダヌス座28番星から来訪したインベム星人が地球の植民地化を目論んで侵略を開始。当時南極で栄えていたソロン王国を滅ぼすも、氷河期の到来によって地球が寒冷化したためエリダヌス座28番星へと撤退する(アニメ『氷河戦士ガイスラッガー』)[5]。
- 紀元前12000年頃 - 太平洋にムー大陸が存在し高度な文明が栄えるが、大地震によって一夜のうちに水没する[注釈 1](アメリカ合衆国の作家ジェームズ・チャーチワードの著書『失われたムー大陸』)。
誕生日[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ 米科学誌『サイエンス』2007年1月12日号発表より
- ^ 横山裕祐典「地球温暖化と海面上昇 -氷床変動・海水準変動・地殻変動」/ 日本第四紀学会・町田洋・岩田修二・小野昭編著 『地球史が語る近未来の環境』 東京大学出版会 2007年 50ページ
- ^ プライス 2015, p. 10.
- ^ 米科学誌『サイエンス』電子版 2008年4月3日付
- ^ 円道祥之 『空想歴史読本』メディアファクトリー、1999年、63 - 67頁。ISBN 978-4-88991-909-7。
- ^ H.E.DEMON KAKKA OFFICIAL WEBSITE
- ^ “虹のコンキスタドールのメンバーはイラストやコスプレが趣味のオタクアイドル!”. (2017年4月7日) 2019年7月25日閲覧。
参考文献[編集]
- ビル・プライス、2015、『図説 世界史を変えた50の食物』、原書房 ISBN 978-4-562-05108-3
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
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