データベーススペシャリスト試験

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
データベーススペシャリスト試験
英名 Database Specialist Examination
実施国 日本の旗 日本
資格種類 国家資格
分野 情報処理
試験形式 筆記
認定団体 経済産業省
認定開始年月日 2009年(平成21年)
根拠法令 情報処理の促進に関する法律
公式サイト https://www.jitec.ipa.go.jp/
特記事項 実施はIT人材育成センター国家資格・試験部
ウィキプロジェクト ウィキプロジェクト 資格
ウィキポータル ウィキポータル 資格
テンプレートを表示

データベーススペシャリスト試験(データベーススペシャリストしけん、: Database Specialist Examination、略号: DB)は、情報処理技術者試験の一区分である。試験制度のスキルレベル4(スキルレベルは1 - 4が設定されている)に相当し、高度情報処理技術者試験に含まれる。対象者像は「データベースに関係する固有技術を活用し、最適な情報システム基盤の企画・要件定義・開発・運用・保守において中心的な役割を果たすとともに、固有技術の専門家として情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守への技術支援を行う者」。

概要[編集]

データベースの技術的な専門性を有することを認定する国家試験である。システムエンジニアの中でも主にデータベースの設計担当者や管理責任者、いわゆるデータ管理者(DA)、データベース管理者(DBA)の他、インフラエンジニアも対象とする。

試験対象者には、データベースの専門家として、企業活動を支える膨大なデータ群を管理し、パフォーマンスの高いデータベースシステムを構築して、顧客のビジネスに活用できるデータ分析基盤を提供できる能力が求められる[1]

対象業務の概念設計や論理設計といったシステム開発の上流工程のスキルが重視されるため、DBAよりもDA向けの能力認定試験としての傾向が強い[2]。そのため、実務においてデータベース製品特有の知識を保有しデータベースへの実装や保守・運用する能力を証明する為に、合格者はオラクルマスターなどのベンダー資格もあわせて保持していることが多い[2]

この試験は1988年(昭和63年)に創設されたオンライン情報処理技術者試験を起源とし、1994年(平成6年)よりデータベースに特化した試験区分として分割された。2001年(平成13年)にテクニカルエンジニア(データベース)試験に改称されたものの、2009年(平成21年)にデータベーススペシャリストの試験名称に戻され、現在に至る。

IT技術者向けの能力認定試験としては、ネットワークスペシャリスト試験と並んで昔から社会的な認知度・評価が高く、合格すると技術者として一定の水準に達したと見なされる[要出典]

基本情報技術者試験(旧・第二種情報処理技術者試験)や応用情報技術者試験(旧・第一種情報処理技術者試験)の上位試験にあたり、データベース技術の専門性を追求するために制定された試験である。

試験の難易度[編集]

本試験の合格率は例年10%台であるが、受験者の大部分は既に下位区分の応用情報技術者試験(スキルレベル3)や基本情報技術者試験(スキルレベル2)に合格できる実力を有している場合が多いため、難易度は相対的に高くなっている。試験の水準は非常に高く[2]、日本国内で実施されるデータベースに関する試験の中では、オラクルマスターのプラチナ級と並び、最難関と言えるほどである[2]。たとえ実務経験者であっても合格するのは難しい試験として広く認知されている。

本試験ではネットワークスペシャリスト試験ほどの技術的な知識量は要求されないものの、その分国語力(読解力)と業務知識が要求され、合格に必要な文章読解力はネットワークスペシャリスト試験や情報処理安全確保支援士試験(旧・情報セキュリティスペシャリスト試験)を上回るとされる。

国家試験である性格上、特定のデータベース製品に依存した機能や特定製品のみでしか使えないSQLなどは出題されない(標準SQLが出題対象となる) 。また、特定の製品から離れた試験であるためか、その分業務分析のウェイトが非常に大きい[2]システムアーキテクト試験レベルの業務知識がないと、午後IIの問題は読解すら困難になる[要出典]。なお、同じく業務分析に重点を置いたシステムアーキテクト試験とは出題傾向に類似性が強いため、春期にデータベーススペシャリスト試験に合格した後、秋期のシステムアーキテクト試験に挑戦する人(またはその逆パターン)は多い[3][4](ただしシステムアーキテクト試験は論文試験のため、難易度はさらに高いものになる。)。

沿革[編集]

  • 1988年(昭和63年) - オンライン情報処理技術者試験新設、秋期に年1回実施。
  • 1993年(平成5年) - オンライン情報処理技術者試験はこの年をもって廃止、ネットワークスペシャリスト試験データベーススペシャリスト試験に分割。
  • 1994年(平成6年) - データベーススペシャリスト試験は春期に実施。
  • 2001年(平成13年) - 制度改正によりデータベーススペシャリスト試験からテクニカルエンジニア(データベース)試験と改称および形式変更。
  • 2005年(平成17年) - 午前の試験時間延長及び出題数増加。
  • 2009年(平成21年) - 制度改正により形式変更及び改称、「データベーススペシャリスト」の名称が復活。
  • 2020年(令和2年) - 午前II科目で情報セキュリティ分野からの出題が強化される(予定)。

形式[編集]

午前I

試験時間50分。四肢択一式(マークシート使用)で30問出題され全問解答。他の高度情報処理技術者試験と共通のスキルレベル3相当で、データベースとは関連が薄い「情報化と経営」、「システム監査」等も含めた全分野の問題が出題される。満点の60%を基準点とし、基準点以上で午前I試験通過となる。基準点に達しなかった場合は不合格で、午前II・午後I・午後IIは採点されない。

午前II

試験時間40分。四肢択一式(マークシート使用)で25問出題され全問解答。データベース関連問題(レベル4)が中心であるが、「コンピュータシステム」「情報セキュリティ」「開発技術」のレベル3も試験対象である。満点の60%を基準点とし、基準点以上で午前II試験通過となる。基準点に達しなかった場合は不合格で、午後I・午後IIは採点されない。

例年、データベース分野から20問程度、その他関連領域から5問程度出題される。

2020年度(令和2年度)の試験より、「情報セキュリティ」がスキルレベル4かつ重点分野に引き上げられる予定である[5][6]

データベーススペシャリスト試験の午前I試験および午前II試験の出題範囲
分類 午前Iと午前IIの両方で出題される領域
特に午前IIではスキルレベル4かつ重点分野
午前Iと午前IIの両方で出題される領域
スキルレベル3
午前Iでのみ出題される領域(午前IIでは対象外)
スキルレベル3
テクノロジ系
マネジメント系
ストラテジ系
午後I

試験時間90分。データベース基礎理論、データベース設計、DBMSの保守・運用など中規模の問題が3問出題され、2問を選択して解答。満点の60%を基準点とし、基準点以上で午後I試験通過となる。基準点に達しなかった場合は不合格で、午後IIは採点されない。

午後II

試験時間120分。業務分析からデータベース設計、運用(パフォーマンスチューニングを含む)までを扱う事例解析問題が2問出題され1問を選択して解答する。満点の60%を基準点とし、基準点以上で最終的に合格となる。基準点に達しなかった場合は不合格。

科目免除

下記の試験に合格又は基準点を得れば2年間、午前Iの科目免除が受けられる。

  • 応用情報技術者試験に合格すること。
  • いずれかの高度情報処理技術者試験に合格すること。
  • 情報処理安全確保支援士試験に合格すること。
  • いずれかの高度情報処理技術者試験の午前Iに基準点以上を得ること。
  • 情報処理安全確保支援士試験の午前Iに基準点以上を得ること。

合格者の特典[編集]

  • 合格又は午前Iに基準点以上を得れば2年間、他の高度情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の午前Iの科目免除が受けられる。
  • 科目免除又は任用資格、これには従前のテクニカルエンジニア(データベース)を含む。
  • 本試験は官公庁での階級評価試験として、また大手メーカ、金融機関、シンクタンク、大手情報サービス業などの階級評価や昇格試験、報奨一時金、昇給などの要件として採用されている。また、警察、自衛隊以外の官公庁でも合格者を職員として採用することがある[要出典]

その他[編集]

区分 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
オンライン情報処理技術者 116,205 5,684 4.9
データベーススペシャリスト 40,430 3,086 7.6
テクニカルエンジニア(データベース) 95,342 8,528 8.9

統計資料の応募者・受験者・合格者の推移表[7]において、上記の数値は本試験に計上されている。

脚注[編集]

[ヘルプ]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]