オートレース選手

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オートレース選手オートレースせんしゅとは、公営競技オートレースにおいて、賞金を獲得するプロスポーツ選手で、通常オートレーサーと呼ばれる。正式には小型自動車競走選手で、経済産業省管轄の国家資格所持者である。総選手数は400人程度(2020年11月時点395人[1])。

オートレース選手になるには[編集]

オートレース選手になるためには、まず、原則として2年に1回行われるオートレース選手養成所入所試験に合格しなければならない。この入所試験はボートレーサー養成所並みに競争率が高く、2020年5月に合格発表があった第35期では、合格者20名に対し応募者が337名(女子38名を含む)であったため競争率は約17倍であった[2]。なお、第26期募集までは「満23歳以下」、27期からはそれに加え特例として「ロードレース世界選手権全日本ロードレース選手権等で顕著な成績を挙げている者については満28歳以下」という年齢の上限が定められていたが、2007年の第30期募集からは年齢制限の上限を撤廃し、下限も従来の「満18歳以上」から「満16歳以上」に引き下げられている。さらにかつては身長制限もあり(こちらも参照)、また受験資格も「男子」に限られていたがこれも撤廃されたため、女子オートレーサーが誕生する可能性が出るようになり[3]、そして第31期の第3次試験を経た正式合格者に女性2人が入った[4]

  • オートレース選手養成所では、選手以外にもオートレース審判員の養成も行っており、国家試験である小型自動車競走審判員資格検定に合格した者がJKAにより競走審判員として登録される。

入所試験に合格すると、筑波サーキットに併設されているオートレース選手養成所に入所し、9か月間の基礎訓練を行う。この間、候補生は正月の帰省以外の私用外出は許されず、外部との連絡も手紙、電話(時間限定)に限られる。この養成所生活を経て、国家試験であるオートレース選手資格検定(規定タイム3.60以上)に合格した者がJKAによりオートレース選手として登録され、各オートレース場へ配属される。

前述の通り選手募集は原則として2年に一度行われることになっているが、2005年の募集は行われず、2007年に第30期、2009年に第31期、2012年に第32期、2015年に第33期、2017年に第34期、2019年に第35期の募集が行われた。

2016年の船橋オートレース場の閉鎖に伴い全国でオートレース場が5場のみとなったこともあって選手数の削減が図られており、2013年には450人以上の選手が登録されていたが、2020年11月時点では395人[1]にまで減少している。

なお、オートバイを使用する立場ではあるが、レースでは公道を走行しないため、選手になるにあたり自動二輪車運転免許証の取得は義務付けられていない(但し原動機付自転車運転免許は必要)[5]

オートレース選手の生活[編集]

オートレース選手は職業分類上、個人事業者である。かつては競走車を自宅に持ち帰り整備することも可能だったが、1993年10月に競走車のエンジンセアに統一されて以後(それまでのエンジンは選手ごとにさまざまだった)は整備要綱が改正され、選手による競走車の持ち出しは禁止された。そのため現在は、フレーム等の破損がない限り、開催が終了すると競走車は一括して輸送用のトラックに載せられ、次の開催地に移動する(破損がある場合はフレームメーカーの担当者が持ち帰り修理する場合もある)[6]

競走開催期間中、選手はオートレース場から出ることを禁じられているだけでなく、外部との接触・連絡も禁止されており、内部者取引ノミ行為八百長等の不正行為を防止するため、携帯電話スマートフォンなどの通信機器は、前検日に競走会へ預けることになっている。なお、近親者の急逝など余程の事情がある場合は、関係者を介して取り次ぎ、通話の際は関係者がその場に立ち会うことになっている。

  • 過去に、開催中の場内で選手が携帯電話で通話している姿がテレビの中継で映されてしまい問題となり、その携帯電話を持ち込んだ選手に対しては斡旋停止処分が下された[7]
  • 2009年には、伊勢崎オートレース場に所属していた選手が、携帯電話を場内に持ち込んでいた事が発覚した。さらにその後の調査で、同選手は過去にも競走参加中においても携帯電話を常用していたことが発覚したため、選手登録消除の懲戒処分を受けている。
  • 2017年11月2日から5日にかけてAbemaTVで配信された「72時間ホンネテレビ」では、元SMAP稲垣吾郎草彅剛香取慎吾の3人が元メンバーの森且行に会うため、日本選手権オートレース開催中であった浜松オートに出向いて、競走参加中の森としばし対談を行った(11月4日)。なお、これは特別な許可を得た上でのことであり、森以外の3人を始め中継スタッフなど関係者は対談前に浜松オートレース場に私物のスマートフォンなど通信機器を預けることを条件に対談が許可された。

オートレース選手の収入[編集]

選手の収入は、主に競走(レース)に出走した際の賞金で賄われる。一般競走の1着賞金は5万円前後、一般競走の優勝賞金は60万円前後、記念(GI・GII)競走の優勝賞金は150 - 300万円(特別GIの共同通信社杯プレミアムCは600万円)、スーパーグレード(SG)競走の優勝賞金は全日本選抜オールスターオートレースGPが1300万円、 日本選手権が1700万円、SS王座決定戦が3000万円である。トップレベルの選手になると年間に1億円以上の賞金を稼ぐこともあり[8]2019年の賞金王であった青山周平は、同年の年間獲得賞金額は1億481万1060円であった[1]。また、2019年の全選手の平均獲得賞金額は1165万9948円であった[1]

前述した通り、オートレース選手は個人事業主という扱いである。そのため、エンジンや競走車のフレームタイヤ、部品、更にはツナギ(レーシングスーツ)やプロテクターに至るまで全て自費で購入しなければならない。ランク上位に属する選手は潤沢な手持ち資金で部品を購入することができるため、それにより競走車の性能も高い水準に保つことが出来る。なお、選手の安全を守るため多くの装備が義務化されており、一般的なヘルメット・グローブ等に加え、足に履く「鉄ゲタ」や各種プロテクター等で、全装備は約10kgにもなる[9]

選手のクラス分け[編集]

選手は晴・雨等全ての競走の競走成績を対象として入着順位、競走タイム順位を得点化した審査方法により、全国統一ランキングによってクラス分けされる。

前年7月1日 - 12月31日の競走成績に基づくランクが新年度の4月 - 9月まで適用され、これを前期ランクと呼び、その年の1月1日 - 6月30日の成績に基づくランクが10月 - 翌年3月に適用され、これを後期ランクと呼ぶ。上位48名がS級、それ以下の232名がA級、更にそれ以下がB級、と分けられる。

S級第1位の選手は全国ナンバーワンとして、他とデザインの異なるナンバーワン勝負服を纏ってレースに出ることが許される。

選手寿命[編集]

オートレース選手の寿命はかなり長い。同じくJKAが管轄する競輪と比べて体力よりも技術(車両整備含む)に比重がかかる競技システムからであるが、一方で、事故による殉職や落車事故の後遺症などで若くして去る選手も少なからず存在する。平均化すると、デビューが20歳として、現役期間は大体30年から40年となる。

オートレース界には競輪と同じく成績下位者の選手登録を強制的に取り消す「新陳代謝制度」が存在し、競走成績が振るわない選手は自主的に引退していくという制度がとられている。特に飯塚オートレース場では多くのベテラン選手がほぼ一斉に引退し、平均年齢が大幅に低下した経緯がある。2005年の選手候補生募集が行われなかったこともあってか、現在新陳代謝制度は実質的に機能を停止していたが、30期生のデビューに伴い2009年3月に新陳代謝制度が適用されることになった。

2009年3月の新陳代謝においては、30期生が20人デビューするのに合わせて、過去2年間(2007年1月から2008年12月)の競争得点が低い選手20人が登録消除の対象となった。また、下位20人に入っていなくとも平均競走得点40点未満の選手も対象となるが、現在のところ平均競争得点40点未満の選手は数名程度である。なお、期間内に自主引退した選手(2007年1月から2008年12月まで12人)は20人の枠に入れて計算したため結果的に2009年3月では成績不振により下位8人が選手登録を消除された。

全日本オートレース選手会[編集]

オートレース界にも、プロ野球や競輪、中央競馬競艇と同様に、全日本オートレース選手会(以下 選手会)という組織が存在する。事実上、個人事業主である選手の労働組合という側面もある。オートレース選手は、選手会のレース場支部に所属している。選手へのペナルティを参加自粛要請という形で、JKAとは独立して行うこともある。

選手会の幹部も選手(プロ野球選手会などと同様)であり、他の選手と同様、順位に応じて競走に参加している。

女子オートレース選手[編集]

ダート競走が行われていた頃、一時的にではあるが女性のオートレース選手が存在した。150ccの6級車でレースを行っており、半ば見世物のようなものではあったが人気はなかなか高く、浜松オートレース場に所属した岡本七重など、人気選手も多かった。しかし、殉職事故の多発や選手層の薄さによるレースの単調化とそれに伴う人気の低下、更には結婚事情による選手引退が連続し、上記した岡本が1960年に引退したのに伴い、自然消滅という形で廃止になった。

しかし、2006年平成18年)12月23日川口オートレース場で開催されるスーパースターフェスタ(開催4日目)に、「オートレース・ウーマンズリーグ」と題し、実に46年ぶりに女性レーサーによる4周回の模擬レースが行われた(詳細はオートレース・ウーマンズリーグの項を参照)。

その後、2010年(平成22年)には正式に女子選手の募集が再開され、31期では合格者も出ており、上述の養成過程をクリアした女性2名のうち佐藤摩弥2011年7月11日に川口オートレース場でデビューし[10]、もう1人の坂井宏朱7月30日船橋オートレース場でデビューを果たした。これにより44年ぶりに女性オートレーサーが実戦に参加となった。しかし、2012年(平成24年)1月15日の夕方、坂井が船場オートレース場での練習中の事故で殉職し、オートレース界に大きな衝撃を与えた。その後、2013年(平成25年)3月18日に開催された川口オートレース場で佐藤は悲願の初優勝を果たし、オートレース史上初の女子選手優勝の快挙を成し遂げた。そして、32期では新たに5人が合格となり、2013年7月にデビューした。5人の中にはプロボクサーから転向した藤本梨恵も含まれている。

33期では7人、34期では5人の女子レーサーがデビューし[注 1]、これまでに19名の女子レーサーがデビューしているが、殉職や引退した選手もあり、現在は16名が選手として活躍している。2020年5月に第35期選手候補生の合格発表され、女子は38名が応募し過去最多の8名が合格した[2]

女子選手でも原則ハンデは特別扱いされることはないため、佐藤摩弥は2020年6月現在最高ハンデの格付けがなされている。また、男子レーサーにも劣らないスピードとスタート力を生かし、グレードレースでも活躍する女子選手もおり、佐藤摩弥はSGでの1着、SG優勝戦進出実績[注 2]、また、益春菜(引退)は初出場のG1レースでいきなりの連勝を記録。2016年5月に川口オートレース場で開催された「GII川口記念」では佐藤が優勝し、女子選手初のグレードレースタイトルを獲得している。

2020年2月5日、33期の金田悠伽がオートレース33期女子オフィシャルブログを更新、同期の吉松優輝と2月2日に入籍したことを発表した[14]。女子オートレース選手が復活した31期以降で、現役女子オートレース選手・現役オートレース選手同士の結婚発表は初めてとなる[15]

2020年11月17日、33期の吉川麻季が31期の鈴木圭一郎(浜松所属)と11月16日に婚姻届を提出し結婚した。現役オートレース選手同士の結婚は2組目[16][17]

脚注・出典[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 33期の交川陽子、34期の信澤綾乃が候補生時代のオートレース選手養成所での訓練の模様等の密着取材がテレビ番組で放送された[11][12][13]
  2. ^ 日本選手権オートレース(2018年4月)、スーパースター王座決定戦(2019年12月)、オールスターオートレース(2020年4月)

出典[編集]

  1. ^ a b c d “森且行転身24年、守れた約束“日本一”/川口SG”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2020年11月4日). https://www.nikkansports.com/public_race/news/202011040000076.html?Page=2 2020年11月4日閲覧。 
  2. ^ a b “柴田善臣騎手三男の陸樹ら20人合格/オート候補生”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2020年5月28日). https://www.nikkansports.com/public_race/news/202005280000359.html 2020年5月29日閲覧。 
  3. ^ 第31期募集候補生の募集について
  4. ^ オートレース選手養成所 第31期選手候補生入所式が行われました
  5. ^ 選手になるには? - オートレース辞典
  6. ^ 競走車の輸送について - オートレースモバイル・2015年2月26日
  7. ^ 競走路における携帯電話使用事案について
  8. ^ 2009年の賞金ランク
  9. ^ 身に着けているものについて - オートレースモバイル・2015年4月23日
  10. ^ 女子オートレーサー・マヤ惜敗デビュー - デイリースポーツ2011年(平成23年)7月12日
  11. ^ 金曜プレミアム キビシー!”. フジテレビ (2017年3月3日). 2020年6月4日閲覧。
  12. ^ 8/25(金)19:57~21:49 フジテレビ「金曜プレミアム・キビシー!」全国放送でオートレース選手養成所第33期生デビューまでの続編が放送されます”. オートレースオフィシャルサイト お知らせ (2017年8月22日). 2020年6月4日閲覧。
  13. ^ 容赦なく飛ぶ、鬼教官の怒号!オートレーサー目指す20歳女子、超厳しい寮生活で奮闘”. テレ朝POST (2019年2月19日). 2020年6月4日閲覧。
  14. ^ ご報告(^_^)かねだ”. オートレース33期女子オフィシャルブログ アメーバブログ (2020年2月5日). 2020年6月4日閲覧。
  15. ^ “オートレース金田悠伽と吉松優輝の同期生が結婚発表”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2020年2月5日). https://www.nikkansports.com/public_race/news/202002050001083.html 2020年2月6日閲覧。 
  16. ^ “鈴木圭一郎と吉川麻季の現役オート選手同士で結婚!”. 日刊スポーツ. (2020年11月17日). https://www.nikkansports.com/public_race/news/202011170000889.html 2020年11月17日閲覧。 
  17. ^ “鈴木圭一郎「交際3年、結婚意識したのは1年前」”. 日刊スポーツ. (2020年11月17日). https://www.nikkansports.com/public_race/news/202011170001036.html 2020年11月17日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]