ゲット・アウト

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ゲット・アウト(邦題未定)
Get Out
監督 ジョーダン・ピール
脚本 ジョーダン・ピール
製作 ジェイソン・ブラム
ショーン・マッキトリック
エドワード・H・ハム・Jr.
出演者 ダニエル・カルーヤ
アリソン・ウィリアムズ
音楽 マイケル・エイブルス
撮影 トビー・オリヴァー
編集 グレゴリー・プロトキン
製作会社 パーフェクト・ワールド・ピクチャーズ
ブラムハウス・プロダクションズ
QCエンターテインメント
配給 アメリカ合衆国の旗ユニバーサル・ピクチャーズ
公開 アメリカ合衆国の旗2017年2月24日
上映時間 103分[1]
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 450万ドル[2]
興行収入 世界の旗$184,236,538[2]
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ゲット・アウト』(原題:Get Out)は2017年アメリカ合衆国で公開されたホラー映画である。監督・脚本はジョーダン・ピールが、主演はダニエル・カルーヤアリソン・ウィリアムズが務めた。

ストーリー[編集]

クリス・ワシントンは恋人であるローズの実家に挨拶へ行くことになった。クリスが「何故君は僕が黒人であることを両親に伝えないのか」と尋ねると、ローズは一瞬動揺した素振りを見せたものの、「父さんと母さんは人種を気にするような人たちじゃないわ。貴方のことを歓迎してくれるはずよ。」と答えた。ニューヨークの高級住宅街にあるローズの実家へ向かう途中、2人の乗る車は鹿に衝突した。事故現場にやって来た警官がクリスに横柄な態度を取ったため、ローズは警官を一喝した。その一方で、事態をこじらせたくないクリスは、不快に思いつつも警官の質問に答えていった。

アーミテージ家に到着した2人は、ローズの両親であるディーンとミシーから暖かい歓迎を受ける。ディーンの案内で家を回ったクリスは、甲斐甲斐しく働くジョージーナとウォルターに挨拶する。クリスはミシーから「禁煙のために催眠療法を受けなさい」と言われたが、丁重に断った。家を一通り見て回った後、ディーンとミシーから「明日はパーティーがあるんだ」と告げられたローズは露骨に嫌な顔をしたが、クリスは特に気にも留めなかった。クリスはケンカとスポーツに明け暮れているローズの弟、ジェレミーにも会った。その日の夜、クリスが一服するために家の外に出ると、ウォルターが家の周りを全力疾走していた。ジョージーナに至っては窓を凝視していた。2人の奇行に恐怖を感じたクリスはミシーの部屋に駆け込んだが、そこで彼は強制的に催眠療法を受けさせられた。催眠によって、クリスは母親が亡くなった夜を思い出す羽目になった。

翌日、クリスは煙草を見ると強烈な不快感を抱くようになっていた。クリスはウォルターに話しかけたが、彼は決まり切ったことしか言わなかった。そうこうしているうちに、パーティーの招待客が続々とアーミテージ家にやって来た。ディーンは半ば興奮して招待客をクリスに紹介した。ほとんどの招待客が白人だったこともあって、クリスは少々気分を害した。さらには、盲目の画商、ジム・ハドソンに「僕は君の写真が大好きなんだ」と言われた。気分が悪くなる一方のクリスは、友人のロッドに連絡を取ろうとしたが、携帯電話の充電が切れていることに気がついた。ジョージーナが充電コードを勝手に抜いていたのである。クリスはジョージーナを詰問したが、彼女は「申し訳ありません」とだけ繰り返すのであった。しかし、クリスが「パーティーの招待客が白人ばかりだから、僕はいらいらしているんだ」と行った途端、ジョージーナは狂ったように笑い出してどこかへ行ってしまった。その後、クリスはローガンに出会った。ローガンはずっと年の離れた白人女性と結婚した黒人の青年で、アーミテージ家で働くスタッフと同様に感情表現に乏しかった。クリスがローガンの写真を撮ろうとしたところ、フラッシュが焚かさった。光を浴びた瞬間、ローガンは突然「出ていくんだ!出ていくんだ!」と叫びはじめ、クリスに殴りかかってきた。ローガンはミシーの部屋に連行された。催眠療法を受けたローガンはすっかり落ち着きを取り戻していた。

気分転換のためにクリスがローズと外出していた頃、アーミテージ家では怪しげなオークションが開かれていた。

キャスト[編集]

製作[編集]

長らくコメディアンとして活躍してきたジョーダン・ピールにとって、本作は監督デビュー作であると共に初めて製作に携わったホラー作品であった。長らく「ホラー映画に取り組んでみたい」と公言してきたピールではあったが、監督デビュー作がコメディ作品ではなかったことは少なからぬ驚きを与えた[3]。このことに関して、ピールは「ホラーとコメディは、多様な要素が絡み合いながら展開しているという点で似ている」「コメディアンとしての経験は、ホラー映画を監督するための訓練にもなっていたんだ」と説明している[3]。ピールは『ステップフォードの妻たち』に触発されて本作の演出と脚本執筆に取り組んだのだとも言う[4]。また、ピールはレイシズムをテーマに盛り込んでいることに関して「ストーリーは個人的な経験に依るところもある」と述べる一方で、「自伝的な作品ではない」と明言している[3]

2015年11月にダニエル・カルーヤとアリソン・ウィリアムズの起用が決まり[5][6]、残りのキャストは2015年12月から2016年2月の間に決まっていった[7][8]

2016年2月16日、本作の主要撮影がアラバマ州フェアホープで始まった[9]。同州のモービルにあるアッシュランド・プレイス歴史地区やバートン・アカデミーでも撮影が行われた[10]

エンディングの変更[編集]

当初の計画では、屋敷を脱出したクリスがアーミテージ一家殺害容疑で警察に逮捕されるというエンディングになる予定であった。ピールはレイシズムの過酷な現実を反映したエンディングにしようとしていたのである。それは「黒人であるバラク・オバマが大統領に選出されたのだから、レイシズムは終わったと看做しても良い。もうレイシズムについて語るのを止めよう」と主張する人々に対して、「レイシズムはまだ終わっていない」というメッセージを打ち出すためでもあった。しかし、製作が本格的に始まるまでに、警察が黒人を不当な理由で射殺するという事件がアメリカ国内で相次いだ。そこで、ピールは敢えて本作をハッピーエンドにするという決断を下した[11]。2017年4月4日、本作の公式TwitterはDVDに当初予定のエンディングを収録して発売すると発表した[12]

サウンドトラック[編集]

本作で使用される楽曲を作曲したのはマイケル・エイブルスである。ピールは彼に「黒人音楽と黒人による歌唱が際立つような音楽を作曲してくれ」と要望した。ピールにとって黒人音楽は「黒人たちにかすかな希望を与えてくれるもの」だったからである。また、「ブードゥー教を連想するようなものは避けてくれ」という要望も出したのだという。その結果、楽曲はブルーススワヒリ語圏の音楽の影響が色濃く出たものになった[13]

興行収入[編集]

2017年2月24日、本作は全米2781館で公開され、初週末に3337万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場1位となった[14]

評価[編集]

本作は批評家から極めて高い評価を受けている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには168件のレビューがあり、批評家支持率は99%、平均点は10点満点で8.2点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「笑いどころもあるし、恐ろしさもある上に、観客を思考へと誘う作品だ。『ゲット・アウト』は鋭い社会批判をホラーとコメディを融合させた見事な娯楽作品に仕立て上げた。」となっている[15]。また、Metacriticには42件のレビューがあり、加重平均値は83/100となっている[16]。なお、本作のシネマスコアはA-となっている[17]

批評家の中には、本作が「『ザ・ホワイトハウス』に出てくるようなリベラル派の人間」(レイシズムに抵抗する運動の味方を自認しているが、それが却って害悪をもたらしている人)の行動を風刺しているのではないかと指摘している者がいる[18]。『ガーディアン』は「『ゲット・アウト』の悪役はアメリカ南部の人種差別主義者やネオナチオルタナ右翼ではない。彼/彼女らはリベラルな白人なのだ。『ガーディアン』の電子版を読んでいるような人たちなのだ。トレーダー・ジョーズで買い物をし、ACLU(アメリカ自由人権協会)にお金を寄付し、バラク・オバマに大統領を続けて欲しいと願うような人たちである。つまり、善良な人間であり、良き父・良き母でもある人たちなのだろう。『ゲット・アウト』が炙り出したのは―それが原因で不快感を抱いた観客もいるだろうが―この手のリベラルな白人たちが、どのようにして黒人の生活を困難なものにしているかということなのである(もしかすると、制作陣にその意図はなかったかもしれないが)。『ゲット・アウト』は白人リベラルの無知と傲慢―それはリベラルを腐らせている―を白日の下に晒したのだ。『ゲット・アウト』において、その傲慢な態度は恐るべき結末に至ってしまった。しかし、現実世界では自己満足に行き着くだけなのだ。」と評している[19]

出典[編集]

  1. ^ 'Get Out': Film Review”. 2017年2月23日閲覧。
  2. ^ a b Get Out”. 2017年4月21日閲覧。
  3. ^ a b c Jordan Peele Talks 'Get Out' And His Love For Horror Movies”. 2017年2月23日閲覧。
  4. ^ Key & Peele Star Talks About His Upcoming Horror Movie”. 2017年2月23日閲覧。
  5. ^ Allison Williams To Star In Jordan Peele’s Horror Movie ‘Get Out’”. 2017年2月23日閲覧。
  6. ^ Daniel Kaluuya Lands Male Lead In Jordan Peele Horror Pic ‘Get Out’”. 2017年2月23日閲覧。
  7. ^ Jack McBrayer, Danny Pudi & Joe Manganiello Work Blue In ‘Smurfs’ Sequel; Betty Gabriel Joins ‘Get Out’”. 2017年2月23日閲覧。
  8. ^ Keith Stanfield Joins Jordan Peele Horror Pic ‘Get Out’: Emily Blunt In Talks For ‘Mary Poppins’ Sequel”. 2017年2月23日閲覧。
  9. ^ On the Set for 2/19/16: Rian Johnson Rolls Cameras on ‘Star Wars: Episode VIII’, Chris Pratt & Zoe Saldana Start ‘Guardians of the Galaxy Vol. 2’”. 2017年2月23日閲覧。
  10. ^ Allison Williams, star of 'Girls,' raves about Fairhope after filming movie there”. 2017年2月23日閲覧。
  11. ^ Jordan Peele’s ‘Get Out’ Almost Had a Much More Bleak Ending”. 2017年3月8日閲覧。
  12. ^ 0:00 - 2017年4月5日”. 2017年4月6日閲覧。
  13. ^ Jordan Peele on the Most Terrifying Horror Story: Being Black in America”. 2017年2月23日閲覧。
  14. ^ February 24-26, 2017”. 2017年3月4日閲覧。
  15. ^ Get Out”. 2017年3月8日閲覧。
  16. ^ Get Out”. 2017年3月8日閲覧。
  17. ^ 'Get Out' Box Office: Jordan Peele's Horror Gem Scares Up $30.5M Weekend”. 2017年3月8日閲覧。
  18. ^ 'Get Out' Review: A Masterful Combination of Horror and Racial Commentary”. 2017年3月8日閲覧。
  19. ^ Get Out: the film that dares to reveal the horror of liberal racism in America”. 2017年3月8日閲覧。

外部リンク[編集]